中国テック投資、東南アジアで拡大 3つの領域に注目 HSBCリポート

HSBCシンガポール CEO トニー・クリップス(Tony Cripps)氏が東南アジアに広がる中国のテクノロジー投資についてリポートします。 ■アリババ、テンセント、JDドットコムが進出 中国の東南アジア向け投資の次の潮流としてテクノロジー分野が一段の存在感を示している。その影響は東南アジアの大手企業にとどまらないだろう。東南アジアの企業はどのような効果を享受するのか、そしてそのための準備は整っているのだろうか。 先に米国が発動した関税をきっかけに中国の投資が米国のシリコンバレーから離れつつあるため、東南アジアのテクノロジー企業がその恩恵を受ける可能性があるのは事実である。ただし、このような見方は東南アジア地域自体の投資先としての魅力を過小評価している。 ASEAN(東南アジア諸国連合)を構成する10ヵ国を対象とした2018年のテクノロジー関連の対内直接投資の総額は、シンガポールのベンチャーキャピタル、セント・ベンチャーズのまとめでは過去最高の110億米ドルに達し、17年の58億米ドルからほぼ倍増した。 この全体の金額の大部分を占めているのが、東南アジアへ進出しているアリババ、テンセント、JDドットコムといった中国のテクノロジー大手による投資である。 東南アジアの消費者や製造業のポテンシャルを考えれば、中国が東南アジア地域へのテクロノジー投資を拡大し始めたことは驚くべきことではない。 2017年と2018年が飛躍的進歩を遂げた2年間であったとすれば、中国の東南アジアへのテクノロジー投資の次のステップはどうなり、地域の企業にどう影響するだろうか。 結論から言うと、このような投資により地域企業が影響を受けるのは確実だ。そして、いくつかの分野が考えられる。 ■スタートアップ1300社以上が資金需要 注目すべきは東南アジアの中堅企業や新興テクノロジー企業に向かう中国からの投資である。 コンサルタント企業ベイン・アンド・カンパニーの調査では、東南アジア企業の1300社以上が2011年からこれまでに新規ビジネスの起業前の段階で初期投資を受け入れている。 これはつまり、需要に見合う投資案件のある東南アジア全域で、企業所有者がベンチャーキャピタル投資やプライベートエクイティ投資を積極的に利用しようとしている、ということだ。 中国はデジタル技術におけるベンチャーキャピタル投資の金額において世界上位3ヵ国の一角を占める。ASEANの新興企業はどちらかといえば過少評価され続けてきたため、これから投資が拡大していく可能性が極めて高い。 直近の事例として、シンガポールに拠点を置く小売業向けコンピューター・ビジョン・ソリューションの大手プロバイダーである新興企業のTRAXが、中国の大手プライベートエクイティ投資会社の博裕資本(Boyu Capital)が主導する投資ラウンドから1億2500万米ドルの資金を調達している。 ■次世代交通などのスマートシティ計画も もう一つの投資分野は東南アジアにおける都市化やスマートシティ構想に関するものになるだろう。 マッキンゼーの推計によれば、「ASEANスマートシティネットワーク」の次世代型交通サービスの社会実装となるスマートモビリティ市場は700億米ドル規模に達する可能性があり、構築環境を高度化するための事業機会も260億米ドルに達すると考えられている。 すでに500を超えるスマートシティ計画が進行する中で、世界で最も多くのスマートシティを有している中国はそれらの計画に貢献するための経験を着実に積んでいる。このような事例としては、マレーシアの首都クアラルンプールが2018年1月にアリババと契約を結び、アリババのクラウドサービス「シティブレイン(City Brain)」を交通管理や都市計画、事故対応に生かす計画を進めていることが挙げられる。 スマートシティに広がるソリューション事業の分野は多国籍企業に限定されるものではない。実際、都市ごとにある固有のニーズの多くは、その都市のことを深く理解している地元の企業だけが掘り起こすことができる。 ■製造業のサプライチェーン底上げ ASEAN地域のサプライチェーンのポテンシャルを思うと、3番目の投資分野は地域の製造業の生産能力を改善する取り組み、ということになるだろう。   中国は自らに代わり東南アジアが技術水準の比較的低い製造業の役割を積極的に担うことを期待してはいるが、東南アジアの技術力と生産能力が拡大しない限りサプライチェーンのシフトは考えにくい。 中国自動車メーカーの吉利汽車(Geely)がその端的な事例だ。吉利汽車は2018年、マレーシア子会社プロトンに技術移転することで大胆な生産コスト削減を発表した。 所得増加や、消費と生産のデジタル化が東南アジアを魅力的な投資先に変えた。しかし地理的に多様であることやビジネス環境が整っていないこと、さらに外国からの投資への法規制がしばしば難題となる。ブロードバンド通信のスピードと容量に問題があるのも確かだ。データや財貨、サービスをデジタルプラットフォーム上で交換し、売買できるようなASEANの統一政策も必要である。 このような課題はあるものの、中国企業は投資を拡大する姿勢にある。 投資を待ち望む地域企業や新興企業は、今後生じるであろう商業的な機会やテクノロジーが生み出す事業機会に敏感だが、事業パートナーや投資家としての中国テクノロジー企業やベンチャーキャピタルに対する理解はおそらくまだ十分ではないと考えられる。 ■デジタルの変革の波、待ったなし このような認識は変える必要がある。なぜなら、デジタルとテクノロジーの発展は急速かつ圧倒的であり、あらゆるセクターがテクノロジーに関係してくる中で、投資競争が激しくなってくるためだ。 投資を引き寄せるためには、企業の中にテクノロジー投資の分野や技術的な課題を積極的に見出せるような適切な環境や文化、考え方を事前に確立しておく必要がある。より具体的に言えば、柔軟でデジタルを重視する考え方を持ち、イノベーションを促進し、新しいアイデアを受け入れる姿勢が求められる。   また、投資家は一段と高い成長と実績を事業にもたらすパートナーであるという考え方も必要である。 技術進歩の最先端にある企業であれ、自社のテクノロジーの信頼性を高めようとしている企業であれ、多くの企業にとってこのような変革を戦略的あるいは文化的に進めていくことは一筋縄では行かず、必ず課題に直面するものである。しかし事業機会を捉えるためには今すぐに変革に着手する必要がある。なぜならば、歳月が人を待たないのと同じく、デジタルの変革も人を待たないからである。   本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元であるトニー・クリップス氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。

テンセント・ショック、それでもアナリストは強気

中国のインターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)の決算が15日の米市場を揺らした。2018年4~6月期決算で純利益が前年同期比2%減の178億6700万元(約2880億円)となった。四半期ベースの減益はおよそ13年ぶり。米国の店頭市場(ピンクシート)でテンセント株は6%超も下落した。 投資家が動揺したのは減益だけではない。主要項目がアナリスト予想に届かなかったことが大きい。 <テンセントの4~6月期決算>           実績      市場コンセンサス 売上高      736億7500万元  779億4600万元 ゲーム関連事業  420億6900万元    464億400万元 EPS                              1.87元                  1.97元 ※QUICK FactSet Workstationより   特に主力のゲーム関連では実績と市場予想のかい離率が9.3ポイントとなった。QUICK FactSet Workstationによると13年4~6月期以降で最大だ。急速な成長への期待感が今回の決算で一気に失望に転じた可能性が出てきた。米市場ではほかのネット関連株も軒並み売られただけに、余波がどこまで広がるのか注意が必要だ。   <ゲーム事業の売上実績に対する市場予想のかい離率の推移> ※QUICK FactSet Workstationより   しかし、テンセントの成長に対してアナリストはまだ希望を捨てていないようだ。主軸のゲーム関連事業が事前予想に届かなかったことを受け、各社の担当アナリストは一斉に目標株価の引き下げに動いたが、投資判断を「買い」で据え置くアナリストも目立つ。JPモルガンでは「今回の決算でゲーム関連が弱かったものの、引き続き力強い成長を続けると予想する」との見方を示しているようだ。    ※QUICK FactSet Workstationより 最近では8日に配信したオンラインゲーム「モンスターハンター:ワールド(モンハン)」が13日に当局の指導により配信停止に追い込まれた。懸念材料ではあるものの「年末までには解決されるのではないか。株価の急落場面は押し目買いの好機」(マッコーリー・キャピタル)との声もあった。(岩切清司 ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

「習演説」で買われた中国関連銘柄 貿易摩擦懸念が後退

10日の米国市場で、航空機大手の米ボーイングが3.82%高、キャタピラーが3.50%と大幅高となり、2銘柄でNYダウを119.54ドル押し上げた。中国の習近平国家主席が、博鰲(ボアオ)アジアフォーラム2018の演説で、自動車などの輸入製品に対する関税引き下げや知的財産権の遵守などの方針を示したことを受けて貿易紛争懸念が和らぎ、中国関連銘柄に買い安心感が広がった。 中国の電子商取引(Eコマース)大手のアリババ・グループが4.25%高で大幅高。ポータルサイトの百度(バイドゥ)が3.19%高、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のレンレンも3.12%高となった。テンセントの米ピンクシート(TCEHY)は2.94%高だった。   また、上海総合指数に先行性があることで知られるiシェアーズ中国大型株ETFは3.15%高になった。   ※QUICKデリバティブズコメント・エクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

テンセント、前期7割増益も成長鈍化懸念 CEO「本土上場、条件整えば検討」

中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が21日発表した2017年12月期の決算は純利益が前の期比74%増の715億元(約1兆2000億円)となった。主力のゲームや広告の伸びがけん引し市場予想(672億元)を上回った。ただ売上高は市場予想に届かず、22日の香港市場で同社株は一時4.6%下落。ゲーム事業の伸びが足元で減速し、成長の鈍化が意識され始めた。 21日に香港で開いた決算記者会見には創業者の馬化騰・最高経営責任者(CEO)、ナンバー2の劉熾平総裁らが登壇した。馬CEOは株式市場で注目が集まっている中国本土への上場について「条件が整えば検討する」と語った。米フェイスブックで問題になった利用者情報の保護について劉氏は「広告主に対して鍵となる個人情報を提供することはない」などと述べた。主なやりとりは以下の通り。 ――中国政府が解禁を検討しているCDR(中国預託証券)を利用した本土上場の考えはありますか。  馬氏「CDRは最近のホットなトピックだ。政策面での可能性や技術的な要因を考慮したうえで、条件が整えば検討したい」 ――音楽配信の騰訊音楽娯楽集団など子会社を上場させる可能性は。  劉氏「騰訊音楽娯楽集団は上場候補として考えているが、完全子会社ではないため関係者間での調整が終わるまで待つ必要がある。他の完全子会社については現在、上場を検討していない。上場先として中国もしくは海外のどちらを選ぶかは事業の特性に沿って考えていく。現在約600社に出資しており、そのなかには上場を検討している企業もある」 ――主力のゲーム事業は四半期ベースでは減収となりましたが、先行きをどうみていますか。  劉氏「ゲームの先行きについてはとても楽観的だ。短期的な収益化よりも、1日当たりの利用者数や有料利用者数の増加に注力している。最近でもレーシングゲーム『QQスピード』など内製したゲームや(昨年11月に中国での運営権を取得した)人気バトルゲーム『PUBG』が好調で今年前半から収益に貢献する」 ――中国では子供のゲーム中毒への批判もあります。  馬氏「未成年者の保護は重要な課題ととらえており、昨年も主力ゲームで12歳以下の1日の利用時間を1時間に制限するなどの規制を設けた。保護者たちと話し合いの場を持っており、政府の関係部署とも連携して対策を講じていく。業界のリーダーとして高い基準に従う必要がある」 ――電子商取引のアリババ集団との小売業界での競争についてどのように考えていますか。  馬氏「我々は小売業者になりたいわけではなく、ビッグデータやクラウドなどの公共的なサービスを提供して小売業者を技術的に支援していきたい。他社と競争があるのは健全で、良いことだ。モバイル決済は両社がお互いに競い合うことで中国で急速に広がった」 ――米フェイスブックの保有する会員情報が不正に外部に流出した事案が問題となっています。個人情報の保護についてどうとらえていますか。  劉氏「プライバシーの確保は我々が最も注意を払っている事項だ。広告主に対して鍵となる個人情報を提供することはない。対話アプリでのやり取りを会社側でコピーしたりもしていない。中国をはじめとする各国の法律に沿って対応するのは当然のことだ」 【日経QUICKニュース(NQN )香港 林千夏、柘植康文】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

中国テンセント、17年12月期の決算発表へ 市場予想は純利益6割増

中国ネットサービスの騰訊控股(テンセント)が21日に2017年12月期の決算を発表する。アイテム課金などを含めて売り上げの過半を占めるゲーム事業が引き続き好調で、アナリストの間では6割を超える増益が見込まれる。ゲームでのコスト増の影響や新施策を導入した広告事業の伸びにも関心が集まりそうだ。 QUICK・ファクトセットのアナリスト予想では、17年は売上高が前の期比58%増の2401億元(約4兆円)、純利益が63%増の672億元となっている。主力のゲーム事業では社会現象になった「王者栄耀」のほか、シューティングゲームなどでもスマホ向けの配信で人気を集める。決済やクラウドといった新たな事業も好調だ。 これまで市場予想を大きく上回る増収増益を繰り返してきただけに、今回も投資家の期待は高い。株価は直近の7営業日のうち6営業日で上昇し、1月29日に付けた実質的な上場来高値(476.6香港ドル)に近い水準まで回復してきた。足元では目標株価を500香港ドル程度とするアナリストが多い。 アナリストの間で先行き期待につながっているのがウィーチャット内で動かせる様々なアプリを提供する「ミニプログラム」だ。軽いデータ容量で設計された独自のアプリをアプリストアなどからインストールせずに楽しめる。17年初に開始されると、マクドナルドから電気自動車(EV)のテスラまで幅広い海外企業がミニプログラムを投入した。いまでは58万のプログラムが提供されているという。 米ジェフリーズは「ミニプログラムによってネット通販分野が強化されており、広告や決済事業の収益化につながっていく」と予想。テンセントの目標株価を足元より1割以上高い525香港ドルに設定した。成長余地が大きいとみられてきた広告事業の伸びが注目される。 17年12月にはこのプログラムで簡単なゲームも楽しめるようにした。離れたブロックの間を跳ぶゲーム「ジャンプ ジャンプ」は投入から数週間で1日の利用者数が1億7000万人以上に達した。こうした手軽なゲームによる短期的な収益の押し上げ効果は限られそうだが、利用者がウィーチャットを使う頻度をさらに高める効果がありそうだ。 テンセントを巡っては先行きも大きなイベントが相次ぎそうだ。足元では預託証券を用いて中国本土に重複上場するハイテク企業の第1陣になるとの見方が浮上した。 市場関係者からはA株への重複上場が実現すれば「(テンセントなど中国ネット大手の)株価見直しにつながる可能性がある」(UBS証券の高挺・中国戦略ヘッド)と予想する声は多い。また音楽配信を手がける子会社の騰訊音楽娯楽集団は18年内の香港もしくはニューヨークへの上場を検討しているとされる。 もっとも足元の利益はやや伸び悩むと見込まれている。 市場では10~12月期の四半期ベースの純利益予想は前年同期比56%増の164億元となっており、7~9月期実績の180億元を下回る。競争の激しいゲーム市場でのシェア確保のため、開発や販売チャネルの拡充で費用が増えるとの指摘がある。株価への影響は気になるところだ。21日の決算会見には創業者の馬化騰・最高経営責任者(CEO)らが登壇する予定で、経営陣の反応にも注目が集まりそうだ。 【関連記事】 テンセント決算予想 ゲーム好調で5割増収か 課題はコンテンツコスト抑制 【日経QUICKニュース(NQN )香港 柘植康文】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

中国版FANGの「BATJ」 本土市場への里帰り模索

米国の有力ハイテク企業の頭文字をつなげた「FANG」の中国版といえるのが「BATJ(バットジェイ)」だ。百度(バイドゥ)、アリババ集団、騰訊控股(テンセント)、京東集団(JDドットコム)という中国の代表的ネット企業4社の英語表記の頭文字をつなげて海外の投資家はこう呼ぶ。米国や香港に上場する「BATJ」が、中国本土の上海・深セン市場への上場を模索している。 中国メディアの財新などは「BATJ」を含む海外上場の8社が、預託証券を発行して上海あるいは深センに重複上場を検討していると報じた。残りの4社として候補に挙がっているのは旅行予約サイトの携程旅行網(シートリップ)、中国版ツイッターの微博(ウェイボ)、ポータルサイトの網易(ネットイース)、光学レンズの舜宇光学科技だ。 受け入れ側となる中国当局はネット企業の呼び込みに環境整備を進めている。今年後半にも中国預託証券(CDR)に関するガイドラインを設け、証券監督委員会(証監会)は年末にかけてCDR上場申請の受け付けを始めるとの観測が出ている。 「BATJ」は、大規模な資金調達が可能で国際的なブランド力向上のメリットもあることから、ニューヨークや香港に上場している。中国本土への上場は、審査期間が長いことも彼らが敬遠してきた一因だ。だが、中国では市場活性化に有力企業の誘致が課題になってきた。 この1年間、上海株式相場は横ばいだが米国や香港に上場するBATJは大幅に上昇している 上海の市場関係者は「ネット関連などニューエコノミー企業の誘致へ当局のムードが変わってきた」(東洋証券上海代表処の黄永錫代表)と期待を寄せる。今年に入ってからは、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下のハイテク企業、フォックスコン・インダストリアル・インターネット(FII)の上場の手続きが異例の速さで進んでいる。株式市場では、先端技術に関連する有力企業の上場審査を優先させる姿勢と受け止められている。 百度の李彦宏董事長兼最高経営責任者(CEO)は「本土市場への上場を夢見てきた」と表明した。審査期間の長さなどの障壁がなくなれば本土上場に前向きな企業は多いとみられ、今年中に香港への上場が見込まれる中国スマートフォン大手の小米(シャオミ)も、中国本土への重複上場をうかがっているとされる。 中国当局にとって、有力ネット企業の誘致は急速に広がるネットサービスに規制の網をかけやすくなるという狙いもあるかもしれない。とはいえ、高い成長性や知名度を誇るネット大手の上場が実現すれば株式市場の活性化につながるのは間違いなさそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN)香港=柘植康文】 ※NQNが配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます

テンセント決算予想 ゲーム好調で5割増収か 課題はコンテンツコスト抑制

QUICKは「アジア特Q便」と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信している。今回はフィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏が香港上場の中国インターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)についてレポートした。 テンセントが21日に2017年12月期決算を発表する。アナリスト予想では売上高は前の期比57.9%増の2398億人民元、純利益は64.6%増の676億4000万元。1株当たり利益(EPS)は57.5%増の6.9元が見込まれている。 17年1~9月期のテンセントの売上高は、前年同期比59%増の1713億元だった。スマートフォン向けゲームやPCゲームのほか、決済関連サービスやデジタルコンテンツ販売、オンライン広告もけん引した。純利益は44%増の507億元だった。テンセントの17年12月期の市場予想をもとに試算すると、第4四半期(17年10~12月期)は売上高が5.1%増の685億元、純利益が5.9%減の169億4000万元だったことになる。 この1年のテンセントの株価の推移 事業別でみると、付加価値サービス(オンラインゲームやPCクライアントゲーム、ソーシャルネットワーク関連)が引き続きテンセントの主な収益源となっている。1~9月期の付加価値サービスの売上高は前年同期比45%増の1140億元で、売上高全体の66.5%を占めた。粗利益は33.3%増の689億元で、全体の80.7%に達していた。 オンライン広告業務の売上高は50.3%増の280億元(全体の16.3%)、粗利益は32.9%増の102億5000万元(全体の12%)。決済関連業務やクラウドサービスの売上高は171.5%増の292億5000万元と大幅に伸び、粗利益も337%増の62億64000万元に拡大した。 テンセントの交流サイト(SNS)「QQ」の月間アクティブユーザー数(MAU)は17年9月末時点で前年同期比3.8%減の8億4300万人で、ブログサービス「QQ空間」のMAUは10%減の5億6800万人だった。 一方、チャットアプリ「微信(ウィーチャット)」のMAUは9億8000万人と15.8%増えた。1日当たりのメッセージ送信数は25%増の約380億件に達した。月間のアクティブ公式アカウント数は14%増の350万件、公式アカウントの月間アクティブフォロワー数は19%増の7億9700万人だ。QQユーザーの伸びが頭打ちになる一方、ウィーチャットのユーザーが引き続き増えているということが、これらのデータからうかがえる。 注意すべき点は、テンセントが売上原価について一定程度のプレッシャーを抱えているということだ。ゲームを中心とする付加価値サービス事業の7~9月期の売上原価は前年同期比73%増え169億元に上った。レベニューシェアやコンテンツコストが比較的多いことに加え、第三者との提携によってアプリケーションストアのスマートフォン向けゲームチャネルのコストが増えたことが主な要因だ。 今後いかにしてコスト増を抑えるかが、テンセントの課題となる。 ※アジア特Q便は、QUICK端末で先行してご覧いただけます。 本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元であるルイス・ウォン氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。

通貨安競争は避けられた? 日本株、関心集める巨大バスケット取引

日本市場から安堵の声が聞こえてきそうだ。トランプ米大統領は25日に米CNBCのインタビューでドルに対し以下の見解を示した。 ・ドルは一段と強くなる  ・強いドルを望む  ・ムニューシン米財務長官の発言は誤って解釈された 発言が伝わると外国為替市場では一転してドル買い・円売りとなり、円相場は1ドル=108円台半ばから109円台後半まで一気に1円幅も戻す展開を見せた。 同日に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が理事会後の記者会見で、先日のムニューシン米財務長官のドル安容認発言をけん制。政策当局者のさや当てが続くものの「ガチンコ」の通貨安競争へなだれ込む最悪シナリオはひとまず回避された。 それでもトランプ政権が中間選挙を控えドル安を選好する懸念を完全に拭うことはできないだろう。ある外資系証券の幹部は「投資家は短期的にドル安方向へ目線を向けたままにある」と話す。米景気は順調に拡大し米連邦準備理事会も引き続き政策金利を引き上げる基調に変わりはない。米長期金利に上昇圧力がかかっているにもかかわらず強まるドル安。短期的なモメンタムが出てしまったことで、プレーヤーは目先、流れに乗るしかないのだろう。 これまで日本国内では個人投資家が円高局面でドルへの押し目買いを入れてきた。前週は買い建玉も増えた。ストップロスをシカケにいくような展開はまだ残っているか。 円高を材料にした日本株の売り圧力はトランプ発言でいったんは弱まりそう。そもそも最近になって売られているのは日本株だけではない。足元でファナック(6954)の下げが目立つが、年初からの上昇はもっと目立っていた。アジア市場に目を移せば右肩上がりだった中国のテンセントも昨日まで続落した。利益確定売りという言葉は自然体で使える状況。投資環境が一変したわけではなく、過度な警戒は無用と言えそう。 一部の市場関係者の間で関心を集めるのが取引所外で執行される巨大なバスケット取引だ。25日も継続し、前場中に500億円超の取引が確認された。1月中旬から始まった一連の取引では寄り値で執行される点が共通項として浮上している。取引の背景にはゆうちょ銀行が保有株のアクティブ化を進めているとの観測が流れるものの、ここにきて「新説」も出てきた。 注目されるのが米市場に上場する日本株の上場投資信託(ETF)。QUICK FactSet WorkstationのデータではMSCIの日本株ETFの口数は11月上旬を起点に再び増加。直近までに16%。年明け以降も順調に増大している。対照的にほかの日本株ETFは軒並みAUM(運用資産残高)を減らしている。 MSCIの日本株ETF口数は増加基調をたどる 取引量とETFのAUM増減額がきれいに釣り合わないため、単に右から左へ株券が流れているとは言えないが「ETF間で何らかの動きが出ているのかもしれない。同時に別のファンド設定に絡んでいる可能性もある。この類の取引が発生する場面ではよく米系証券が利用されるけれどね」(関係者)との指摘があった。 円相場に目を奪われがちだが、取引所の外では粛々と国内上場モノのETFで数百億円単位の取引も続いている。需給はどちらに向いているのか。長期的な視点の相場観も必要な局面と言える。 (QUICKデリバティブズコメント) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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