今度は「マイナス金利」でFRBに圧力 利下げ確率⤵で88.8%

QUICKコメントチーム=池谷信久、写真=Tom Brenner/Getty Images トランプ米大統領は11日、「FRB(米連邦準備理事会)は金利を0%かそれ以下に下げるべきだ」とツイッターに投稿した。★トランプ大統領のツイッターはこちら ツイートでは「Boneheads(まぬけ)」の表現で、いつも以上に批判のトーンを強めた。FRB攻撃はこれまで、主にドル安を目的にした利下げ要求だったが、今回は、金利が下がれば国債発行で資金を調達したときに金利負担が大きく減るなどとしており、財政ファイナンスにあからさまに言及したともいえる。かねてムニューシン財務長官も超長期債の発行を真剣に考えると発言している。 米債市場では長期金利が小幅に低下したものの反応は限定的だった。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が金利先物から市場の利下げ予想の確率を算出する「Fedウオッチ」では、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利下げ確率が逆に88.8%と前日の92.3%からやや低下している。 強まる風圧。パウエル議長とFRBはどこまで「骨のあるやつ」なのか、これからのFOMCはそこにも注目だ。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

貿易交渉で圧力→景気業績に下押し圧力→利下げ圧力 対中関税第4弾の衝撃波

QUICKコメントチーム=池谷信久、片平正二 イラスト=たださやか ①貿易交渉の相手国に圧力をかける、②その影響で実体経済や企業収益に下押し圧力がかかる、③だから景気下支えのためFRBに利下げ圧力をかける、とみれば、衝撃と混乱を与え続けるトランプ流が理解しやすくなる。   トランプ大統領が1日にツイッターで、「中国は大量の農産物を米国から輸入すると合意したが実際には実施しなかった。9月1日から3000億ドル規模の中国製品に対して10%の関税を課す」とつぶやき、対中関税の第4弾を発動する方針を表明した。米中の閣僚級貿易協議が7月末に再開されたものの、事態が悪化する可能性が高まっている。 9月利下げ確率80%台に急上昇 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が金利先物から市場の利下げ予想の確率を算出する「Fedウオッチ」では1日、9月の利下げ確率が80%台に急上昇した。米サプライマネジメント協会(ISM)の7月の製造業景況感指数が市場予想を下回ったことに加え、トランプ大統領のツイッターを受け、米中貿易摩擦が激化し、米景気が減速するとの懸念が広がったためだ。7月31日にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見が市場想定以上にタカ派的だったことで、利下げ確率は50%台に低下していた。 アップルの1株利益4~8%減も エバコアISIは1日付のITハードウェアに関するリポートで「第4弾が発動されれば、今後の(業績の)インプリケーションに大きな影響を与えると見込まれる。中国から部品などを調達する企業にとって関税で価格が上昇すれば、米国向け輸出製品の需要が減る。一方、中国側が報復措置で米国からの輸入品に対して関税をかけるようなら、米国からの輸出品の需要に悪影響が出るだろう」と指摘した。 アップルやアンフェノール、HPなどに影響が大きい一方、影響が小さい銘柄としては中国売上高が6%以下のインターナショナル・ビジネス・マシーンズやCDWを挙げた。その上で「アップルに関しては10%の関税に伴う製品値上げによって、1株当たり利益(EPS)に4~8%の影響が出る可能性がある」と見込んだ。 政権幹部で戦略的判断、周到な準備か 今回のトランプ大統領のツイートに関して、米経済専門チャンネルのCNBCで政治問題を担当するEamon Javers氏は1日にツイッターで「ホワイトハウスの関係者によると、きょう11時30分に行われた会議でトランプ大統領は上海で行われた貿易協議に関してムニューシン財務長官、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表から報告を受けた」とつぶやいた。 その後、別のツイートで「トランプ大統領が対中関税の第4弾のツイートを下書きを書いている時、トランプ大統領と一緒に会議に出席していたのはムニューシン財務長官、マルバニー米大統領首席補佐官代行、ナバロ大統領補佐官(通商製造政策局長)、国家経済会議(NEC)のクドロー委員長だった。トランプ氏が自分の言葉でツイートを書く上でアドバイスをしていた」とも明らかにした。トランプ大統領の突発的な思いつきではなく、上海で行われた米中の閣僚級協議の結果を踏まえ、トランプ政権幹部で戦略的な判断が示された可能性があるようだ。 Eamon Javers氏はさらに別のツイートで「私はトランプ大統領に『なぜ25%ではなく10%で中国に関税を課すのか』と尋ねた。彼は『これは段階的に行わる』と言った、そして彼は『適当と思うような水準に徐々に上げたり、徐々に下げたりできる』と述べた」とつぶやいた。今回、10%という数字が示されたのは、今後の米中の貿易協議を巡って交渉余地を残したものなのかも知れない。 トランプ大統領は普段はiPhoneでツイートを発しているが、対中関税の第4弾を表明した一連のツイートはWebアプリ経由だった。入念に下書きを作成していた可能性が示唆されていた。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ドル円、一時108円台 米財務長官のドル安容認発言でどうなる?

24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、41ドル31セント(0.15%)高の2万6252ドル12セントで終えた。金融株が強くダウの上昇をけん引したが、主力ハイテク株が弱く、ナスダック指数はザラ場の史上最高値を更新したものの、4日ぶりに反落した。 ウィルバー・ロス米商務長官が24日、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が開かれている現地スイスでの記者会見で「中国は直接的な脅威となっている」と述べたことが伝わり、保護主義への警戒感から米株は引けにかけて売られる展開となった。 この日のダウの上昇寄与度トップはゴールドマン・サックスで38ドル押し上げ要因となった。半面、下落寄与度トップはアップルで19ドルほどの上値抑制要因となった。バーンスタインが23日付のリポートで、昨年12月から2018年3月までのiPhone販売台数が33%減りそうだと弱気な見方を示したことが嫌気された。2018年1-3月期のiPhone販売台数について5100万~5700万台になりそうだと指摘し、市場予想(6200万台)よりも弱い数字を見込んだが、アップルの投資判断のアウトパフォーム、目標株価195ドルは維持した。 一方、野村インスティネットは24日付のリポートで、iPhone出荷台数を例年並みに下方修正した。ベライゾンでの買い替え率が2017年10-12月期(4Q)に7.2%にとどまり、2014年のiPhone 6発売時の9.8%、6s、7の8.4%・8.3%を下回ったといい、中国市場でシェア拡大が鈍っている状況を打ち消すのには不十分などと指摘。投資判断のニュートラル、目標株価175ドルは維持した。 アップルを巡っては、ロングボウ・リサーチが17日に投資判断を引き下げたほか、22日にアトランティック・エクイティーズが投資判断をオーバーウエイトからニュートラルに引き下げ。24日にもJPモルガンがiPhone Xに関して「最上位機種の出荷は今年は横ばいになりそうなことがはっきりしてきた」と弱気な見方を示すなど、2月1日の決算発表を前に市場の一部で慎重な見方が増えている。 この日、スティーブン・ムニューシン米財務長官の発言が市場を騒がした。ダボスで「ドル安は貿易にとって良いこと」、「長期的には、強い米経済を反映してドルは強くなる」と述べ、足もとでドル安が進んでいる状況を容認するかのような発言をしたことからドル売りの動きが活発化した。 ドル円は108.965円(3時22分)まで円高・ドル安が進行。ドル指数(DXY)は大幅に3日続落。QUICK FactSet Workstationによれば89.25まで下げ、2014年12月以来、3年1カ月ぶりの安値水準を付けた。 トランプ米大統領は25日にダボスを訪れる予定で、米国第一主義を掲げるトランプ氏に先立ってムニューシン氏がダボスでドル安誘導を図ったかのような状況だ。 米経済専門チャンネルのCNBCは専門家の見方として、「米財務長官は短期的な為替の動きに対して『見て見ぬ振り』(benign neglect)しており、止めようとしてない」と基軸通貨の番人であるムニューシン氏の対応を警戒する声を伝えていた。周知の通り、ムニューシン長官はゴールドマン・サックス出身。大先輩のロバート・ルービン元財務長官のように、昨年4月の英フィナンシャル・タイムズ紙電子版のインタビューでは「強いドルは良いことだ。米国経済の強さ、信頼を示す機能がある」と発言していた。 かつてはドル高誘導発言をしていたが、中間選挙を控えた今年は米国の景気回復を優先してか、短期的なドル安を容認、むしろ歓迎したいのかも知れない。しかし、米債が売られ、金利が上昇局面にある状況で安易なドル安容認を続けるのは危険な対応とみられ、米金利の急騰を招けば新興国の株・債券・通貨や米国内の住宅市場にも悪影響が出る恐れがある。 オクスフォード・エコノミクスは24日付のリポートで、ダボス会議で保護主義的な発言がロス長官から出たことを踏まえ、「これらの強いシグナルからは、米政権が国際的な貿易問題に関してさらなる権限を行使しようとしているのがうかがえる」と指摘した。トランプ大統領は23日に洗濯機や太陽光パネルに関するセーフガードに署名したばかり。リポートでは「まず第一に、保護主義によって輸入価格が上昇し、消費者物価指数(CPI)の上昇に影響が出るだろう。第2に、諸外国が報復措置をとる恐れがある。そして第3に、米国は孤立し、最近のドル安によってサポートされていた米国債買いが活発にならないリスクがある」と警鐘を鳴らした。 米ブルームバーグが今月10日、「中国の外貨準備に携わる政府高官が米国債の購入の減額や停止を提案している」と事情に詳しい関係者の話を元に伝え、その後、ロイターが11日に「中国が米国債の購入減額を検討しているとの報道は間違った情報に基づくもの」と報じたばかり。貿易問題で中国への制裁が強化されるのではないかとみられる状況下、中国による米債購入で情報が錯綜した経緯がある。17日に発表された対米証券投資動向で中国の米国債保有額はほぼ横ばいだったが、保護主義的なスタンスを鮮明にしているトランプ政権に対し、中国などがけん制してくる恐れがあり、市場のボラティリティを高める可能性がある点に注意したい。 (QUICKデリバティブズコメント) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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