今度は「マイナス金利」でFRBに圧力 利下げ確率⤵で88.8%

QUICKコメントチーム=池谷信久、写真=Tom Brenner/Getty Images トランプ米大統領は11日、「FRB(米連邦準備理事会)は金利を0%かそれ以下に下げるべきだ」とツイッターに投稿した。★トランプ大統領のツイッターはこちら ツイートでは「Boneheads(まぬけ)」の表現で、いつも以上に批判のトーンを強めた。FRB攻撃はこれまで、主にドル安を目的にした利下げ要求だったが、今回は、金利が下がれば国債発行で資金を調達したときに金利負担が大きく減るなどとしており、財政ファイナンスにあからさまに言及したともいえる。かねてムニューシン財務長官も超長期債の発行を真剣に考えると発言している。 米債市場では長期金利が小幅に低下したものの反応は限定的だった。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が金利先物から市場の利下げ予想の確率を算出する「Fedウオッチ」では、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利下げ確率が逆に88.8%と前日の92.3%からやや低下している。 強まる風圧。パウエル議長とFRBはどこまで「骨のあるやつ」なのか、これからのFOMCはそこにも注目だ。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

振れぬ円相場 読めぬ議長の「次の一言」に「次の一手」打てぬHFT

日経QUICKニュース(NQN)=編集委員 今晶 写真=Mark Wilson/Getty Images 高速の回転売買で市場に厚みをもたらす高頻度取引「HFT」が外国為替市場で本調子を取り戻していない。8月の株安・円高をもたらした材料の消化は進み、円相場はひとまず1ドル=106円台を中心とする範囲で動きが鈍っている。変化を好まないHFTにとっては格好の取引環境に見えるが、米金融当局者の発言などが市場を再び惑わしかねないとの緊張感がまだ強いようだ。 「トランプ米大統領は通商交渉で弱腰の姿勢を示せない半面、自らの通信簿と位置付ける株価の下落は防ごうとする」(欧州系ヘッジファンドのマネジャー)。米通商代表部(USTR)が対中制裁関税「第4弾」の一部の発動を9月から12月に延ばすと表明した13日以降、市場では期待とも楽観ともつかない雰囲気が広がっている。トランプ氏が大手米金融機関や米アップルの幹部と電話で話し合っていたこともわかった。 トランプ大統領は米連邦準備理事会(FRB)に対して短期間での1%の利下げと量的な金融緩和政策の再開も求めた。中央銀行の独立性などお構いなしに圧力をかけ続けている。米金融緩和は教科書的にはドル安要因だが、景気刺激の効果を見込んで株価が上がれば、少なくとも投資家のリスク回避(リスクオフ)志向がもたらす株安・円高の「負の連鎖」加速は起こらないだろう。HFTが好む低ボラティリティー(変動率)の状況が復活するはずだ。 問題はそうしたシナリオを描くのに最も重要な存在といえるパウエルFRB議長の肉声がまだ聞こえてこない点だ。利下げが決まった7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、パウエル氏は「長期の利下げサイクルの始まりではない」とコメント。「金利引き下げが1回だけと言ったわけではない」と付け加えたものの、ここで追加緩和を表明するとトランプ政権のプレッシャーに負けたとの印象を持たれかねないだけに「次の一手」の予測は難しい。 次の試金石となる22~24日開催の米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でFRB議長などの見解が伝わり、早期の大幅利下げ観測が後退したり政権とFRBとの摩擦が意識されたりすればリスクオフムードが再燃するかもしれない。コンピューター・プログラムを用いる市場参加者はおおむね「まだ無理はできない」と身構えている。 将来の為替レートを予測する通貨オプション市場で、円相場の翌日物の予想変動率はこのところ年率8.00~13.00%程度の範囲で振れが大きくなっている。円を買う権利(コール)と売る権利(プット)の価格も目まぐるしく変わり、相場観がまったく定まっていないと受け取れる。HFTが再び拡大し相場が安定していくためのハードルはまだ高い。 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

貿易交渉で圧力→景気業績に下押し圧力→利下げ圧力 対中関税第4弾の衝撃波

QUICKコメントチーム=池谷信久、片平正二 イラスト=たださやか ①貿易交渉の相手国に圧力をかける、②その影響で実体経済や企業収益に下押し圧力がかかる、③だから景気下支えのためFRBに利下げ圧力をかける、とみれば、衝撃と混乱を与え続けるトランプ流が理解しやすくなる。   トランプ大統領が1日にツイッターで、「中国は大量の農産物を米国から輸入すると合意したが実際には実施しなかった。9月1日から3000億ドル規模の中国製品に対して10%の関税を課す」とつぶやき、対中関税の第4弾を発動する方針を表明した。米中の閣僚級貿易協議が7月末に再開されたものの、事態が悪化する可能性が高まっている。 9月利下げ確率80%台に急上昇 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が金利先物から市場の利下げ予想の確率を算出する「Fedウオッチ」では1日、9月の利下げ確率が80%台に急上昇した。米サプライマネジメント協会(ISM)の7月の製造業景況感指数が市場予想を下回ったことに加え、トランプ大統領のツイッターを受け、米中貿易摩擦が激化し、米景気が減速するとの懸念が広がったためだ。7月31日にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見が市場想定以上にタカ派的だったことで、利下げ確率は50%台に低下していた。 アップルの1株利益4~8%減も エバコアISIは1日付のITハードウェアに関するリポートで「第4弾が発動されれば、今後の(業績の)インプリケーションに大きな影響を与えると見込まれる。中国から部品などを調達する企業にとって関税で価格が上昇すれば、米国向け輸出製品の需要が減る。一方、中国側が報復措置で米国からの輸入品に対して関税をかけるようなら、米国からの輸出品の需要に悪影響が出るだろう」と指摘した。 アップルやアンフェノール、HPなどに影響が大きい一方、影響が小さい銘柄としては中国売上高が6%以下のインターナショナル・ビジネス・マシーンズやCDWを挙げた。その上で「アップルに関しては10%の関税に伴う製品値上げによって、1株当たり利益(EPS)に4~8%の影響が出る可能性がある」と見込んだ。 政権幹部で戦略的判断、周到な準備か 今回のトランプ大統領のツイートに関して、米経済専門チャンネルのCNBCで政治問題を担当するEamon Javers氏は1日にツイッターで「ホワイトハウスの関係者によると、きょう11時30分に行われた会議でトランプ大統領は上海で行われた貿易協議に関してムニューシン財務長官、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表から報告を受けた」とつぶやいた。 その後、別のツイートで「トランプ大統領が対中関税の第4弾のツイートを下書きを書いている時、トランプ大統領と一緒に会議に出席していたのはムニューシン財務長官、マルバニー米大統領首席補佐官代行、ナバロ大統領補佐官(通商製造政策局長)、国家経済会議(NEC)のクドロー委員長だった。トランプ氏が自分の言葉でツイートを書く上でアドバイスをしていた」とも明らかにした。トランプ大統領の突発的な思いつきではなく、上海で行われた米中の閣僚級協議の結果を踏まえ、トランプ政権幹部で戦略的な判断が示された可能性があるようだ。 Eamon Javers氏はさらに別のツイートで「私はトランプ大統領に『なぜ25%ではなく10%で中国に関税を課すのか』と尋ねた。彼は『これは段階的に行わる』と言った、そして彼は『適当と思うような水準に徐々に上げたり、徐々に下げたりできる』と述べた」とつぶやいた。今回、10%という数字が示されたのは、今後の米中の貿易協議を巡って交渉余地を残したものなのかも知れない。 トランプ大統領は普段はiPhoneでツイートを発しているが、対中関税の第4弾を表明した一連のツイートはWebアプリ経由だった。入念に下書きを作成していた可能性が示唆されていた。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

米国株高値そろい踏み 債券、金まで⤴は、そろい過ぎ

「S&P500指数が新たな最高値を付けた。今年は19%上昇している。おめでとう!」 このご機嫌なツイートが誰のものか、もはや言うまでもないだろう。3日の米国市場は独立記念日の休場を前に短縮取引だったが、S&P500指数は今年8回目となる史上最高値更新となったほか、ダウ工業株30種平均株価とナスダック指数も史上最高値を更新して主要3指数は堅調に終えた。 対中強硬派として知られるピーター・ナバロ大統領補佐官(通商製造政策局長)は3日にブルームバーグTVのインタビューで「新しい米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が承認され、金利を下げ、トランプ大統領の成長計画を推進すれば、ダウは3万ドルに到達する」と述べていた。米中の貿易戦争が一時休戦となる中、トランプ政権幹部から株式市場に強気のコメントが相次いでいる。 高値で推移するのは株価だけではない。米債券市場で米10年債利回りは約2年8カ月ぶりの水準まで低下(価格は上昇)した。利下げ観測や中東情勢の緊張で、ニューヨーク金先物相場も6月末に約6年ぶりの高値をつけている。 ■ダウ平均、S&P500、米10年債利回り(逆目盛り)、NY金先物の年初からの推移 株や原油といったリスクオン相場で買われる商品から、債券や金といった本来はリスクオフ相場で買われる商品までがそろって上昇。「ゴルディロックス」を通り越したかのような今の相場を、なんと呼べばよいのだろうか。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

着々とFRB包囲網 トランプの青い鳥「理事に指名、うれしく思う」

こちらの中銀を巡ってはハトだけでなく青い鳥も飛び交っている。 トランプ大統領が2日にツイッターで「私はセントルイス地区連銀の調査局長であるクリストファー・ウォーラー氏を米連邦準備理事会(FRB)理事に指名することを嬉しく思う。彼は現職に就く前はノートルダム大学で教授を務め、経済委員長を務めていた」とつぶやいた。 イラスト:たださやか さらに別のツイートで「欧州復興開発銀行(EBRD)のジュディ・シェルトン氏をFRB理事に指名することを嬉しく思う。ジュディはエンパワー・アメリカの取締役会の創設メンバーであり、ヒルトン・ホテルズの取締役を務めていた」ともつぶやいた。2名の空席があるFRB理事の人事をツイッターで表明したもの。シェルトン氏については、ブルームバーグが5月に「トランプ氏の非公式顧問を務めている、保守派エコノミストのシェルトン氏をFRB理事に指名することを検討」と報じていた経緯がある。 ★トランプ氏のツイッターはこちら① ② ホワイトハウスがパウエル議長を法的に解任できないか検討していたと伝わるなど、足元でFRB人事を巡ってトランプ政権が画策している報道が相次いでいた。セントルイス地区連銀のジェームズ・ブラード総裁がホワイトハウス関係者からFRB理事にならないかと提案を受けていたことも判明。トランプ大統領としては地区連銀総裁を理事として送り込むことを避けつつ、セントルイス地区連銀の幹部、EBRDの友人らを抜擢しそうな情勢だ。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

目指せデータの達人⑩トランプ関税⇔利下げと綱引き ドル高要因↔ドル安要因

「トランプ関税」の実体経済への影響がじわじわ広がっている。外国為替市場でみると、教科書的にいえば、輸入関税の引き上げは自国通貨高(ドル高)の要因になる。その場合、米連邦準備理事会(FRB)が景気減速に対応するために利下げを実施しても、外為市場でのドル安の持続性は乏しくなる可能性がある。 米国の関税と、FRBが算出する名目為替レートのドルインデックスには、一定の正の相関が確認される。両者の関係について過去10年分の月次データを回帰分析したところ、関税収入が増加すればドルインデックスが上がるという検証結果が得られた。つまり、米政府の関税収入が増加すれば、ドル高になりやすいとの結論となる。実際、米国が第1弾の対中制裁関税(340億ドル分)を実施した2018年7月以降、ドルインデックスは4月末までに3%上昇した。 なぜこのような動きになるのか。輸入関税をかけると対象製品の輸入量が減少する。輸入が減少すると、為替市場では輸入業者による代金支払いのためのドル売り・外貨買い需要が減ることになる、というわけだ。米国企業がドル建てで貿易した場合は通貨交換は発生しないが、関税による相手国の貿易収支の悪化を通じて「相手国通貨の下落を招く結果、ドル高になる」(ニッセイ基礎研究所の窪谷浩主任研究員)との見方がある。 トランプ米大統領は28~29日に大阪で開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせ、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談する。会談前に貿易交渉を再開するが、意見の隔たりは大きく対立緩和に向かうかは予断を許さない。再び決裂となった場合、トランプ氏は現在は制裁対象としていない3000億ドル(約32兆円)分の中国製品に関税を課す方針を示している。 実施すれば、中国からの全輸入が追加関税の対象となり、ドル売り需要の減少や中国の貿易収支の一段の悪化から、理論的には一段のドル高を招きやすい。一方で、FRBが19日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で早期の利下げ観測が強まり、足元ではドル高の勢いがやや止まっている。 ますます複雑にせめぎ合うドル高要因とドル安要因。為替相場はさらに動きにくく、読みにくくなる可能性がある。 〔日経QUICKニュース(NQN) 張間正義〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

じわじわ狭まるFRB利下げ包囲網 つぶやき大統領&おねだり市場 

トランプ米大統領がツイッターで「適切な時が来れば、中国と取引ができるだろう」と投稿した。同時に「中国はマネーを供給し利下げをする」と述べた上で、「米連邦準備理事会(FRB)も同じことをすれば我々の勝ちだ」とFRBの利下げに言及した。 パウエル議長をはじめとしたFRB高官からは、利下げに否定的な発言が相次いでいる。しかし、市場の利下げ期待は高く、CMEの「Fedウオッチ」によると2019年中の利下げ確率は70%を超えている。 ■市場が織り込む2019年の利下げ確率は70% 世界の投資家も、FRBに利下げを催促しているかのようだ。 バンクオブアメリカ・メリルリンチが14日に公表した5月のグローバルの機関投資家調査によると、S&P500種株価指数がどの水準まで下落すればFRBが利下げに踏み切るか質問したところ、「2500」との回答比率が前月の10%をやや上回る水準から一気に20%前後にまで上昇した。 ■S&P500で2500が分水嶺か(バンカメメリルのグローバル機関投資家調査より) もっとも比率が高いのは「2350」で25%を上回った。ただ、「2200」も25%をやや下回る水準にあり、2200~2500のレンジに収れんしている。14日の終値は2834だった。まだ距離はあるものの、2500が視野に入ると、市場では次第にFRBの利下げが意識される展開になりそうだ。(池谷信久、岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

米・トルコきな臭さ再び リラ急落、ETFは10%安 ゴラン高原問題で

22日の米市場でトルコ株に連動する「iシェアーズMSCIトルコ」が急落した。前の日に比べ10.35%安の24.24ドルとなった。売買高は約3倍に膨らむなど売りが殺到した。背景には中東の地政学リスクがある。トランプ米大統領が21日にイスラエルによるゴラン高原における主権を認めると表明。これに対しトルコのエルドアン大統領が「地域を新たな危機の瀬戸際に追いやる」との見解を示した。米-トルコ間の緊張感の高まりが意識された。 外国為替市場ではトルコリラも急落し、対円で20円を割りこんだ。トルコ中銀は対応に追われ、22日に緊急で金融引き締め策を公表。市場全体に動揺が広まった。 (岩切清司) ■トルコリラの対円チャート ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

市場の非常事態は回避されても止まぬFRB攻撃 次期理事選び、新たな火種に

トランプ大統領は8日、米連邦準備理事会(FRB)の利上げを改めてけん制するコメントをツイッターに投稿した。トランプ氏は「経済指標は本当に良い。想像できますか?今日、金利の正常化がかなり早いペースで進められているが、過去の政権のようにゼロ金利政策が長期化していればもっと(景気回復は)簡単だったろう。市場は2016年の選挙以降、大きくなった!」とつぶやいた。パウエルFRB議長が4日に利上げの一時停止に加え、バランスシートの縮小を見直す方針を示し、その後に米株は大幅高となっているにも関わらず、トランプ大統領としては改めてFRBの利上げをけん制した格好だ。 これに先立つ7日、昨年9月にFRB理事に指名されていた元FRBエコノミストのネリー・リャン氏が指名を辞退した。リャン氏は1986年に分析エコノミストとしてFRBに加わり、2017年に退任。その後はリベラル系シンクタンクのブルッキングス研究所のシニアフェローや国際通貨基金(IMF)の顧問を務めた。リャン氏は民主党員のため、トランプ政権が議会上院での承認公聴会に備えて民主党に配慮した可能性が考えられたが、金融政策に関してはややタカ派的なスタンスとされた。トランプ大統領がFRBの利上げをけん制し続ける中、リャン氏としては厳しい状況に巻き込まれることを警戒して辞退した可能性も考えられる。人事を承認する米上院で規制緩和派の議員から就任に反対する意見が浮上していたという。 証券会社カウエンは8日付のリポートで「リャン氏の指名辞退でリスクが増大した」と指摘した。システミックリスクのエキスパートとして経験豊富なリャン氏が辞退したことで、米銀大手には広くネガティブな影響が予想されるとしながら、金融政策に関しては「金融政策の統一性の重要性を理解する人物で、彼女がパウエル議長の価値を低下させる恐れはなかっただけに、パウエル議長による金利の正常化を支持すると見込まれていた」とし、新たに指名される候補はトランプ大統領の意向を受けてパウエル氏の利上げ路線を支持しない恐れがあることから「FRBがマクロ的な不安定要因になる恐れがある」と指摘した。 市場では、トランプ大統領がパウエル議長を解任することは難しいながら、将来的にFRB議長を交代させるために意中の人物を理事として送り込むのではないかと警戒されていた。FRB批判を続けるトランプ大統領だけに、リャン氏に替わる今後の理事候補の指名でFRB攻撃の本気度がうかがえそう。カウエンは「ホワイトハウスは今後数カ月の間に代替候補を出すと見込まれるが、まだ実行可能な候補は聞いていない」と締めくくっていた。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米金利低下と人民元高 為替めぐる米中“密約”説が浮上

1日の米中首脳会談以降、世界の株式・金融市場に地鳴りが響いている。目立つのは中国の通貨や長期金利の上昇と米国の長期金利の低下だ。一部の投資家はこれまでの米国一強を前提とした「米株買い・新興国株売り」のトレードから中国の回復を視野に入れたトレードへと投資戦略をシフトしている可能性がある。 中国通貨の人民元は対ドルで4日に1ドル=6.83元台まで一時上昇し、約2カ月半ぶりの元高水準を付けた。5日はやや伸び悩んでいるが、首脳会談直前の11月30日から12月4日までの上昇率は約1.8%で円の約0.9%を上回る。ユーロはほぼ横ばいだ。 「貿易摩擦の激化による中国の景気悪化への懸念が薄れ、海外投資家が人民元を買い戻している」(日本総合研究所の関辰一氏)という見方が一般的だ。しかし、市場の一部では別の読み筋が浮上している。 「米中の間には、まだ公表されていない合意があるはずだ」。ニッセイ基礎研究所の三尾幸吉郎氏は一時休戦に至ったトランプ大統領と習近平(シー・ジンピン)国家主席との間に期間限定の密約が交わされたのではないかとみる。人民元相場の切り上げについてだ。 通貨高は金融引き締め作用がある半面、米国に輸入拡大を約束した中国にとっては物価を押し下げ、消費を促す面がある。慢性的な資本流出不安を打ち消す効果もある。 国際通貨基金(IMF)によれば、米中の物価をもとにした購買力平価は1ドル=3.5元程度と実勢よりも大幅なドル安・人民元高水準だ。この観点から「人民元を現在の水準から1~2割程度切り上げても弊害は少ない」と三尾氏は話す。 北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉では、米国とメキシコの大筋合意後に通貨安誘導を防ぐ為替条項の存在が明らかになった。米韓のFTA見直し交渉も同じだ。トランプ外交は為替に関する約束を後出しにする傾向がある。 今後の焦点のひとつは、来年の経済政策を決める中国の共産党中央委員会第4回全体会議(4中全会)だろう。開催が遅れているとされるが、この場で為替調整やハイテク産業育成策「中国製造2025」の看板掛け替えを明らかにするとの観測が出ている。米国からの圧力ではなく、中国自らが決めたという点をアピールするためだ。 米中の長期金利の動きの違いも見逃せない。金融取引仲介のタレットプレボンによれば、10年物国債の利回りは11月30日に中国が3.37%程度、米国が3.00%程度だった。それが12月4日は中国が3.40%程度に上昇する一方、米国は2.91%程度に低下した。 人民元切り上げには米金利が低下した方が都合はよいが、足元の「米金利低下・中国金利上昇」は、市場の景気見通しの変化を示している可能性がある。 米金利の低下と中国金利の上昇が同時進行した2011年3~9月は、リーマン・ショック後の景気対策効果のはく落や欧州債務危機で先進国経済が減速する一方、新興国は内需拡大で成長して世界経済のデカップリング(非連動)論が語られた。米中の金利差拡大が持続するかどうかはもうしばらく推移を見守る必要があるが、トランプ減税効果の一巡や英国の欧州連合(EU)からの離脱問題など現在の政治経済情勢は11年当時と似通う点がある。 【日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 永井洋一】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

メアリー、ドナルドに叱られる 補助金削減「脅し」でGM反落

27日の米国市場でゼネラル・モーターズ(GM)が反落した。前日比2.54%安の36.69ドルで終えた。トランプ米大統領がGMの補助金削減を検討しているとツイートし、取引終盤にかけて下げ幅を広げた。 トランプ大統領は27日、「オハイオ、ミシガン、メリーランド各州の工場の閉鎖について、GMとメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)に非常に失望した」とツイートした。このほか「米国がGMを救済したことへの感謝がこれだ」と不満をぶちまけ、「我々は現在、GMへのあらゆる補助金の削減を検討している」とした。前日にGMが北米5工場の生産停止や全世界で15%の人員を削減するリストラ策を発表して株価は上昇していたが、この日はトランプ大統領による経営への圧力への警戒感も強まった。 GMは27日に声明文を発表し、「GMは2009年以来、米国で220億ドル以上の投資をしている点から明らかなように米国での強力な製造業の維持に努めてきた」と説明。声明文では長期的な成功に向けて自社の体制を整えて米国内雇用を維持、拡大するとも示した。(中山桂一) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。  

米中間選挙後ラリー 意識するアノマリー

トランプ米大統領がツイッターで習近平(シー・ジンピン)国家主席と電話で協議したことを明らかにした。今月末に開催される20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて会談する意向を確認したという。落としどころの見えなかった米中の貿易摩擦の打開に対する期待を市場が抱くのは容易に理解ができる。 さすがのビジネスマン。6日に投開票を控える米中間選挙を前に株価を下げるより上げるにこしたことはない。自分のリップサービスで相場が吹くことくらい、トランプ氏にとっては朝飯前なのだろう。低迷する中国株を抱える習首席にとっても悪い話ではない。お互いに締めあう首を緩めたといったところか。 それでも米共和党への追い風は限られているのかもしれない。RBCキャピタル・マーケッツの株式投資家サーベイでは、大半が上院で共和党が過半を維持しつつも下院で民主党が過半を奪取する「ねじれ議会」を想定している。 実現した場合に米経済と市場にはどのような影響を与えるのだろうか。オーストラリア・ニュージーランド(ANZ)銀行が立てるシナリオは以下だ。 ■ANZのシナリオ バークレイズも上院は共和党が過半を維持、民主が下院で過半数がメーンシナリオだ。米議会にねじれが生まれるもののマーケットのリスクとしてはニュートラルとしている。株価の上昇シナリオは共和による上下両院の過半数維持。トランプ大統領が2020年の大統領選まで減税に景気刺激策を継続させる。短期的にコールのスプレッド取引とVIXのプット保持を推奨している。上下両院を共和党が抑え株高となる結果が市場にとってのテールリスクだ。 実現確率の高い上院=共和、下院=民主のねじれ議会は、決められない政治が経済をも停滞させかねない懸念につながる。しかし、現時点で警戒感は薄い。ドイツ銀・ウェルス・マネジメントは、ねじれ議会になっても今後12カ月で米景気が後退局面に入る可能性は5%程度と予想。米連邦準備理事会(FRB)は引き続き引き締めを継続させ、米10年物国債利回りは今後12か月で3.25%をターゲットに上昇するとみる。 一方で同社の調べによると1934年以降の米中間選挙では、その後の1年間でS&P500種株価指数が上昇したのは19回あった。足元も米景気の力強さなどを背景に、S&P500が今後1年間のうちに3000に達するとの見通しは維持すると強気だ。 ■米中間選挙後1年間のS&P500の騰落率 ※ドイツ銀・ウェルス・マネジメントのレポートより 強気シグナルは選挙関連のアノマリーだけではない。株式ストラテジストの心理を指数化したバンクオブアメリカ・メリルリンチの「セル・サイド・インディケーター(=ウォール街のストラテジストの株式に対する毎月の最終営業日における推奨配分比率の平均値)」は10月末に56.4まで下げた。前の月からの下落幅は過去14カ月間で最も大きく、ほぼ1年ぶりの低い水準だという。そのうえで過去のケースを振り返ると同指数が現在のような低い水準かそれ以下だった場合、その後12カ月間のトータルリターンは94%の確率でプラスを記録した経験則があるという。 また貿易戦争への懸念が和らいだといっても、トラ・習会談で打開策が決まると決まったわけではない。投資心理としては半身に構えざるを得ないだけに買いをためらう投資家も出てきそうだ。悲観の中で芽吹く期待をどこまで信じるのか。上下に値幅の出やすい地合いが続きそうだ。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

VIXが5日続落で1か月ぶり低水準 シリア攻撃後、世界同時株高の流れ 【US Dashboard】

16日の米国市場で恐怖指数のVIXが大幅に5日続落し、4.88%安の16.56で終えた。一時は16.38まで下げ、3月21日以来、1カ月ぶりの低水準を付けた。 トランプ大統領が先週13日、シリアのアサド政権に対して米軍が攻撃したと発表。悪材料出尽くし感からアジアや欧州など主要国の株が買われ、世界同時株高となる中で相場の落ち着きを示す展開だった。 VIXの大幅安を受け、この日のNYSE Arcaの売買高ランキングではiPath S&P500VIX短期ETNが5位で、商いを伴い5.01%安となった。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。また、QUICKデリバティブズコメントでは特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。

中東諸国の株価指数、軒並み堅調 シリア攻撃の影響は限定的

トランプ大統領が13日、シリアのアサド政権に対して米軍が攻撃したと発表した。シリアでの軍事行動を受けて株式市場への影響が警戒されたが、15日の中東諸国の株価指数は軒並み堅調。イスラエルのTA-125指数は0.55%高で続伸した。 サウジアラビアのTASI指数は1.90%高、ドバイのDFM指数は1.83%高とそれぞれ堅調だった。 週明けの為替市場もドル円は107円50銭台で推移し、13日のNY終値(107円35銭)と比べてドル高・円安に振れている。(片平正ニ)   ※QUICKデリバティブズコメント・エクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

中国、過去数週間で米国債の買い入れを停止か

先週、トランプ大統領が中国に対して1000億㌦規模の製品に関して追加関税を検討するよう米通商代表部(USTR)に指示したことを受け、米中の貿易紛争が警戒されている。スティーブン・ムニューシン財務長官は6日、米経済専門チャンネルのCNBCのインタビューで「貿易紛争になる可能性はある」との見解を示した。 SGHマクロ・アドバイザーズは6日付のリポートで「一見したところ過去数週間、中国は米国債の買い入れを停止したようだ」と指摘した。リポートでは「中国の当局者らはいまだに人民元が相対的に高いと判断しており、幅広くリーズナブルな水準になるべきだと思っている」としながら、「米国との二国間貿易交渉が決着した場合、今年は緩やかに上昇し続けかねない」と人民元相場に上昇圧力が掛かりかねないと警戒してみているとのこと。QUICK FactSet Workstationによれば1月末時点の中国の米国債保有額は1兆1628億㌦で昨年10月末から減少傾向にあり、米中の貿易協議が早期妥結しなければ中国による米国債売りが警戒されそうだ。 中国の米国債保有額と米10年債利回りの推移(QUICK FactSet Workstationより) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ティラーソン米国務長官解任、市場への影響は

元ゴールドマン・サックス社長兼COOだったゲーリー・コーン氏が国家経済会議(NEC)委員長の職を6日に辞してからわずか1週間で、ティラーソン米国務長官が更迭される事態に発展した。オッズサイトではデービッド・シュルキン退役軍人長官の辞任観測が高まっていたが、米朝首脳会談が5月までに行われる見通しの状況下、事前交渉役となるはずの国務長官を更迭するのは極めて異例だ。 トランプ氏とティラーソン氏の関係が悪化しているのは昨年から伝わっていた。昨年6月には政治任用が遅れて職員が不足していることでホワイトハウス幹部に不満をぶちまけていた。7月には「どこにも行かない」と公言して辞任観測を自ら否定した。 しかし、米朝関係が緊迫化する中で昨年10月にはトランプ氏が「時間の浪費」と、ティラーソン国務長官が訪中して習近平国家主席と会談し、北朝鮮情勢を巡って交渉した直後にツイッター攻撃を行っていた。 そして10月4日にNBCニュースが「ティラーソン国務長官が7月に辞任を検討し、ペンス副大統領らが思いとどまらせるための会合を持った」と報道。ティラーソン氏の辞任は不可避とみられていた。イラン核合意でも、トランプ氏はティラーソン氏の方針に不満を持っていたとされる。 今回、トランプ氏はティラーソン氏の更迭に続けてマイク・ポンペオ米中央情報局(CIA)長官を指名し、ポンペオ氏の後任にはハスペルCIA副長官を昇格させると発表。上院の承認を経て初の女性長官が誕生する見込みだ。ポンペオ氏はかつて「ロシアより中国の方が脅威だ」との見解を示すなど、保守強硬派ながら中国に対して厳しい姿勢を示していた。 元エクソン・モービルのCEOでロシア人脈を買われたティラーソン氏が更迭される一方、ポンペオ氏を次期国務長官に指名したところをみると、トランプ大統領としては中間選挙に向けて「外交政策で中国をターゲットにした」(ジム・クレーマー氏、13日のCNBC発言)ことを意味する。 BMOキャピタルは13日付のリポートで、ティラーソン氏の更迭について「はるか水平線の彼方に貿易戦争が控えていることを意味し、既にガタガタしているマーケットを慌てさせている」と指摘。先行きを警戒していた。 ティラーソン氏の更迭と歩調を合わせるように、政治情報サイトのポリティコは13日、「トランプ政権が対中貿易赤字を減らそうと100品目以上に課税を検討している。年間300億ドルの輸入をターゲットにしている」と報じた。 これまでトランプ政権は知的財産権などを問題視して対中貿易赤字削減を図るとみられていたが、電化製品から通信機器、家具やおもちゃまで対象にする方針とのこと。トランプ政権が自由貿易に反するかのような姿勢を強めれば、市場に売り材料を提供する恐れがあり、続報に注意したい。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ドル急落、株安進行 コーンNEC委員長辞任へ 高関税への懸念再び

ニューヨーク・タイムズ電子版は6日、トランプ米政権の経済政策の司令塔であるゲーリー・コーン米国家経済会議(NEC)議長が辞任すると報じた。これを受け、ドルは急落。対円では一時1ドル=105円台半ばまでドル安・円高に振れた。トランプ政権の経済政策の先行きに警戒感が出ているもよう。 GLOBEXの時間外取引でCME日経先物(円建て)が21265円まで下げ、清算値比で300円超の大幅安となっている。前日のOSE日中終値比で185円安。コーン氏の辞任報道を受け、ドル安・株安の流れとなっている。 米国市場では時間外取引で主要株が軒並み売られている。再び通商問題に関する懸念が高まり、ゴールドマン・サックスやアップル、エヌビディア、キャタピラーなどで下げが目立つ。 コーン氏は元ゴールドマン・サックス社長兼COOで、ウォール街の信任が厚い。同じくゴールドマン出身のスティーブン・ムニューシン財務長官と共に経済政策運営にあたっていたが、過去にも辞任観測がたびたび伝えられていた。昨年8月には米バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者と反対派の団体が衝突した事件を受け、トランプ大統領の対応に懸念を示していたとされる。 今回、トランプ大統領が打ち出した鉄鋼・アルミに対する高関税措置には反対の意向で、対中国を念頭に高関税を推進するウィルバー・ロス商務長官やピーター・ナバロ氏らとの対立が深まっていた。 市場では、鉄鋼・アルミへの高関税の実現可能性が高まったとの思惑が浮上。貿易紛争が世界経済の下押し要因になるとの懸念が再び広がった。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

鉄鋼・アルミ関税 トランプ米大統領の君子豹変はあるか

5日の米国市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、336.70ドル(1.37%)高の24874.76ドルで終えた。トランプ米大統領が同日、ツイッターで「われわれはメキシコとカナダに大きな貿易赤字を抱えている。NAFTAで新しくフェアな合意がなされれば、鉄鋼とアルミの関税は除外されるだろう」などとツイート。さらに共和党のポール・ライアン下院議長が鉄鋼・アルミ関税に関して「深刻に懸念している」と、大統領の方針に反対する姿勢を表明したことを受け、貿易摩擦懸念がやや和らぐ展開となった。 ナスダック指数とS&P500指数も1%超上げて堅調。ダウの上げ幅は一時422ドルに広がった。上昇寄与度トップはボーイングで55ドルほどダウを押し上げ。値上がり銘柄数は29で、ほぼ全面高の展開だった。恐怖指数のVIXは大幅続落して4.38%安の18.73で終えた。 【ダウ構成銘柄の寄与度一覧】 トランプ大統領が1日に鉄鋼・アルミに高関税を課す方針を明らかにしたことで、貿易摩擦や保護主義への懸念が3月相場の悪材料となっている。5日の米国市場ではその流れが小休止したが、果たしてトランプ氏は鉄鋼やアルミの高関税措置について、どう落としどころを探るのだろうか。 新興情報サイトのアクシオスが4日に報じた情報によると、元ゴールドマン・サックス社長で、トランプ政権の経済政策の司令塔である国家経済会議(NEC)のゲーリー・コーン委員長はトランプ氏が高関税を課そうとしていたことに異議を唱えていたという。 コーン氏は、トランプ政権のもとで歴史的な高値圏に上昇した株式市場や、税制改革の効果が高関税によって失われてしまうと主張。保護主義的な政策の導入に反対し続けていたという。しかし、トランプ氏は「コーンはグローバリストだ」などと述べ、意見に耳を貸さなかったもようだ。 コーン氏は後に同僚らに「高関税を支持するウィルバー・ロス商務長官や貿易強硬派のピーター・ナバロ氏がトランプ氏に嘘をついている」と話していたといい、強攻策を主張したロス商務長官らに不満を高めていたという。 高関税を課す根拠の1つである米通商法232条「国家安全保障上の脅威」についてもコーン氏は適用するのは難しいと反対していたようだが、1日にトランプ氏の口から方針が示されたという事は、ひとまずロス氏らの主張が通った状況と言える。鉄鋼・アルミの高関税を巡って、ひとまずホワイトハウス内で貿易強硬派が勝ち、コーン氏と共に自由貿易を主張していたロバート・ポーター秘書官は2月にドメスティック・バイオレンスを理由に辞任した。 政治情報サイトのポリティコによればコーン氏は先週、トランプ氏が全面的に関税を課し、貿易戦争に踏み切る場合は辞任するつもりだと一撃を放ったという。 コーン氏のほか、NECや米財務省の担当者らは無遠慮な関税が導入されれば米国経済がダメージを受け、株式市場が暴落するとトランプ氏に説得を続けているとのこと。全ての国を対象にしつつ、品目ごとに細かな適用除外品を設けるなど、実質的な骨抜き策が出るのか、コーン氏らの巻き返しが注目されそうだ。 トランプ氏が5日、NAFTA再交渉と絡めて関税措置の見送りを示唆したことは、コーン氏らの説得が徐々に効果を挙げていることを想像させる。 世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエーツを率いる米著名投資家のレイ・ダリオ氏は5日にリンクトインにコラムを投稿し、「米中の貿易紛争は起こらないだろう、政治ショーだ」と冷静な分析をしていた。 コンサルティング会社のトレード・パートナーシップ・ワールドワイドによれば、鉄鋼・アルミ関税が導入されれば鉄鋼関連で3万3464人の雇用が増えるというが、他の職種では17万9334人の雇用が失われるといい、差し引き14万6000人の雇用喪失に繋がるとのこと。中国による米国債売却懸念も含め、保護主義に対して金融市場・実体経済ともに大きな代償があることはトランプ氏も分かっているはずだが…。 トランプ氏が以前から鉄鋼に関心を寄せていたとはいえ、このタイミングで高関税を課す方針を出したことには意外感がある。NAFTA再交渉や北朝鮮情勢を巡って中国にプレッシャーをかける意味合いがあったかも知れないが、中間選挙を控えた国内要因が影響している可能性がある。 双日総合研究所の吉崎達彦チーフエコノミストは2日付の溜池通信・不規則発言で、今回の鉄鋼・アルミへの関税方針について「ひとつ考えられるのは『PA-18』である」と指摘した。 トランプ氏は、今月13日に予定されているペンシルベニア州18選挙区の下院補欠選挙を意識しているとみられるとのこと。吉崎氏は「ピッツバーグ市の郊外にある選挙区で、この選挙を勝つために鉄鋼業のテコ入れをぶち上げているのかもしれない。『ピッツバーグってことは鉄鋼だろ?』と考えているんだとしたら、いかにもトランプさんらしい短絡的な思考である」と指摘しながら、「435もある下院議席のひとつのために、通商政策を歪めるなんてのは筋ワルもいいところである」と指摘した。 情報サイトのReal Clear Politicsによれば共和党のリック・サッコーン候補が世論調査でリードしているが、昨年12月12日に行われたアラバマ州の上院補欠選挙で共和党候補が敗れた以上、トランプ氏としては確実に巻き返しを図りたいと思っても不思議はない。 アラバマ補選に先立ち、トランプ氏が昨年12月6日にイスラエルのエルサレムに米大使館を移転する方針を表明したことはアラバマの福音派票を取り込む狙いがあったと取りざたされており、選挙に絡んで大胆な行動に出る前例がある。 しかし今回のペンシルベニア補選にはオチがある。前出の吉崎氏の指摘によれば、「選挙区割りは今年、改定される」という。つまり、今回の補欠選挙ではPA-18は今まで通りの選挙区で行われるが、今年11月の中間選挙では選挙区の形は全然違うことになってしまうというのだ。仮にペンシルベニア補選に配慮して今回の鉄鋼業界への保護策を決めたのなら、実質的に意味がないと分かったところで振り上げた拳を降ろす可能性も否定できず、トランプ氏の君子豹変が期待される。 ※QUICKではトランプ政権の日々の動向や、トランプ大統領のツイッターを翻訳して掲載した「トランプウオッチ」をナレッジ特設サイトで公開しています。ナレッジ特設サイトは、QUICKの情報端末でご覧いただけます。   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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