やっぱり強いドルが一番 トランプ大統領「リブラ、信頼性ない」

QUICKコメントチーム=片平正二  写真=Chesnot/Getty Images、イラスト=たださやか トランプ大統領は11日にツイッターで「私はビットコインやその他の暗号通貨のファンではない。お金ではない。その価値は非常に揮発性と薄い空気に基づいている。規制されていない暗号資産は、麻薬取引やその他の違法な行為を含む違法行為を促進する。フェイスブックの仮想通貨の『リブラ(Libra)」』はほとんど信頼性を持っていない。フェイスブックが銀行になりたいのなら、彼らは他の銀行と同様、銀行の規制がかけられる必要がある」とつぶやいた。 ★トランプ氏のツイッター さらに「米国には唯一の現実の通貨がある。それはかつてないほど強い。それはアメリカドルと呼ばれている!」とツイートを連発し、仮想通貨よりも基軸通貨のドルの信頼性をアピールしていた。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

議長も議会も「リブラ」は好きじゃない? 世界27億人の仮想通貨に警戒の声

25日の米株式市場でフェイスブックが続落し、前日比1.95%安の188.84ドルで取引を終えた。株価は上昇基調にあり5月に付けた高値を視野に入れつつあるが、同社が中心となって開発を進めている仮想通貨(暗号資産)に対する、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言を嫌気した売りが優勢となった。 パウエル議長は同日、仮想通貨「リブラ(Libra)」に対して「規模を考えると、消費者保護の観点や規制の観点から(同通貨に対する要求として)私たちの期待は非常に高いものになるだろうと」との姿勢を示した。リブラがサービスを開始するまでに解決すべき課題の多さが改めて意識された格好だ。重要インフラを担うIT大手が信用不安やサイバー攻撃などに直面した場合の危険性には国際決済銀行(BIS)も警戒感を強めている。 また、18日に米下院金融委員会のマキシン・ウオーターズ委員長はリブラの「開発を停止することに合意するよう求める」との声明を発表している。仮想通貨に対する規制の枠組みが確立されていないことを危惧しているほか、27億人のユーザーを抱えるフェイスブックへの個人情報保護対策に懸念があり、規制当局や議会の精査が必要との見解が示されている。(川口究、大野弘貴) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ビットコインに1万ドルの壁 上昇を阻む「フェイクマネー」懸念

インターネット上の仮想通貨、ビットコインの上値が重くなってきた。空売り持ち高の解消などで一時は1ビットコイン=9000ドル台と約1年ぶりの高値を付けたが、追随する新たな買い手が増えたとの話はとんと聞こえてこない。足元ではしばしば急落を演じ、11日時点では8000ドル前後で推移している。投資家の新規参入を阻む要因の1つとみられているのが、ビットコインとともに主要コインの一角を占める「テザー」(USDT)を巡る懸念だ。 テザーを発行するテザー社は香港の大手交換所ビットフィネックスとの人的な結びつきが強い。その関係でテザーには中国マネーが流れ込みやすいとされてきた。かつては1ドル=1テザーの等価交換をうたっていたが「3月ごろに『1USDT=法定通貨、現金に相当するものまたは(仮想通貨など)その他の資産』と改められたらしい」(ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリスト)という。テザーの裏付けの一部にビットコインが用いられている公算は大きく、「ビットコインが4月から上昇基調をたどった背後に(ビットフィネックスなどの)価格操作的な買いが絡んでいた」との指摘は市場には多い。 ビットコインには3月のテザーの商品設計の変更前にも「価格操作」の疑惑が出ていた。テザーを受け取る側がそれをビットコインなどに換えるなか、相場への支援が必要だったからだ。米テキサス大学のジョン・グリフィン教授などが2018年6月の論文で「17年のビットコインバブルはテザー絡みの買いが一因となった」とまとめたのは記憶に新しい。不当なテザー発行がビットコインの価格操作につながったと米当局からも疑われた。形は変わってもテザーとビットコインの関係性は変わっていないと考えられている。 テザーの時価総額は約32億ドルある。テザー社の顧問弁護士は以前、「ドルでは7割程度しか裏付けがない」と認めていた。3月の設計変更でドル保有の基準は緩んだとはいえ、ビットコイン相場を支えなければならない状況には変わりはなさそうだ。もし価格安定に失敗すればテザーは「フェイクマネー」となり、仮想通貨市場の屋台骨を揺るがしかねない。 もう1つの問題は仮想通貨の業界全体にかかわることだが、銀行などの既存の決済システムになかなか受け入れられない点だ。仮想通貨はマネーロンダリング(資金洗浄)などの違法取引に使われるとの疑念がつきまとう。規制整備にかじを切った日本はまだしも、海外では口座開設や決済処理などを銀行に断られるケースが珍しくない。 ビットフィネックスも同様だ。スイスに本拠地を置く交換業者向け金融サービス提供会社、クリプトキャピタルに決済処理などで依存していた。ところが昨年夏~冬頃にかけて出金遅延が頻発したあげく、クリプトキャピタルに預けていた資産8億5000万ドル相当は事実上、引き出せなくなってしまった。その結果、ビットフィネックスは顧客の預かり資産のうちコントロールしやすいテザーで損失の穴埋めをしたとの疑惑が持ち上がっている。 ビットバンクの長谷川氏は「これだけ問題を起こしているにもかかわらず、テザーはいまも大量の中国マネーの受け皿になっているようだ」と指摘する。厳しい規制を受けている中国の個人などが手持ちのドルをいったんテザーに換え、ビットコインなどに振り向ける動きは根強いためだが、あくまでも局地現象にすぎない。 来年に採掘の報酬としてもらえるコインの量が半分になる「半減期」を控え、市場には「上昇相場に取り残される恐怖(FOMO=Fear Of Missing Out)も生じている」(米調査会社のファンドストラット)との声がある。だが、伝統的な金融・資本市場に比べると依然として課題が多いことを忘れてはならないだろう。 〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

荒ぶるビットコイン、投機マネーが翻弄 流動性の乏しさは不変

インターネット上の仮想通貨ビットコインの変動が再び大きくなってきた。ドル建て価格は4月初めの1ビットコイン=4000ドル台から今週に入って8300ドル台とわずか1カ月で倍になり、ここ数日は数百ドル単位での上下動が目立つ。仮想通貨市場の厚みや取引の自由度を示す「流動性」は法定通貨に遠く及ばない。一部の投機資金が手掛けるまとまった規模の売り買いに振り回されやすくなっている。 ビットコインの急伸局面では欧米ヘッジファンドなどの投機筋による空売り持ち高の解消がささやかれた。一連の動きは主要な投機戦略である「リスク・パリティ」に似ている。 リスク・パリティでは株や債券などの保有資産の持ち高をボラティリティー(変動率)の高さに応じて変えていく。ビットコインの空売りは厳密にいえば資産ではないが、ボラティリティーの強弱が持ち高形成や整理を促す点では同じだ。2019年に入ってコインの採掘者(マイナー)などからの「投げ売り」が収まって相場の反発色が増すにつれ、空売りファンド勢は17~18年初のような上昇方向への変動率の高まりを意識せざるを得なくなったようだ。 そんな中でトランプ米大統領が対中関税を強化する姿勢を示し、米国株の変動性指数(VIX)先物の売りに傾いていたファンドなどを動揺させた。小回りの利くヘッジファンドには仮想通貨を組み込んでいるところが少なくない。欧米主導の株安でリスクをとる余裕がなくなり、コインの買い戻しを促しやすかった面もある。 ドルを基軸とする法定通貨の取引は100万ドル(約1億1000万円)単位が基本だ。市場が厚い円やユーロの対ドル取引では、コンピューター経由の高頻度取引「HFT」が1000分の1~100万分の1秒単位で100万ドル規模の売買を繰り返す。一方、発行量が限られ流動性は上がりにくい仮想通貨は、ブームだった18年初にかけてでさえ機械取引の参入は厳しかった。 HFT全盛の先進国通貨の取引では一日で少なくとも数兆ドル(数百兆円)のお金が行き来するとみられている。これに対し、情報サイトのコインマーケットキャップなどによると仮想通貨の日々の売買高は1000億ドル台まで膨張してきたが、算出に用いられる交換業者のデータには「水増し」疑惑がつきまとう。売買増が投機の持ち高整理主導なら市場参加者の裾野は広がっていないことにもなる。 足元では「安全資産としてのビットコイン」「分散投資の対象としての仮想通貨」といった声も出ている。今後、法定通貨と同様に先物やスワップ市場の整備が進み、機関投資家や企業の利便性が高まる可能性が意識されている。だが巨額の資金をコンスタントに受け入れ続けられるほどの流動性はすぐには望めない。価格変動リスクも大きい。その点は心しておくべきだろう。 【日経QUICKニュース(NQN ) 編集委員 今 晶】

平成・危機の目撃者⓮ 大西知生が見た外為指標不正の真実(2013)

信用失墜の瀬戸際、取引ルール作りに奔走 巨大な外国為替市場では参加者の利害関係が極めて複雑だ。しかも相対取引が中心のため長年、明確なルールがないままの「なれ合い」体質がまん延していた。国際ルールが固まったのはつい最近の2017(平成29)年。きっかけは13年、10年代前半まで繰り返されてきた外為指標の不正が発覚したことだ。ルール作りに奔走し「Mr.FXJapan」と呼ばれた大西知生氏は「あそこで動かなければ外為市場は瀕死(ひんし)の状態に陥ったかもしれない」と振り返る。       大西知生氏 おおにし・ともお 1990年に慶大経済学部を卒業し東京銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。その後はチェース・マンハッタン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)やドイツ銀行グループで為替市場にかかわり、2017年12月まで東京外国為替市場委員会の副議長として国際ルールの整備にあたった。現在は仮想通貨(暗号資産)交換業への参入を目指すFXcoinの代表取締役社長 ◆なれ合い体質まん延、顧客無視のディーラーも 2010年代前半、金融・資本市場では2つの大きな不祥事が起きた。一つは世界の企業向け融資や、金利スワップなどのデリバティブ(金融派生商品)の基準となるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を巡る談合問題。12年、欧米大手銀の担当者が自らに利益になるようレートを決めていたことが発覚した。もう一つは13年に明らかになった為替指標の操作疑惑だ。欧米金融機関の一部の為替ディーラーが顧客から受けた注文に関する秘密情報を共有し、決済に絡む指標を操作しようとしていたとわかった。 疑惑発覚前の外為市場には取引規範として明文化されたルールがなかった。大手自動車メーカーがいくら売っている、機関投資家がいくら買っているといった情報があふれ、ディーラーたちが大手顧客の注文に便乗し売買をするといった顧客無視の動きがあった。いまでは禁止されている「見せ玉」などを駆使して収益をあげるのが良いディーラーとさえ思われていた。モラルの高いディーラーはなかなか利益を出せない不公平な状況も生じていた。 外為指標の不正はそうした不公平感や不満が吹き出す引き金にもなったほか、不祥事の責任が個人に対して追及されたために世界中のトレーダーは萎縮し、疑心暗鬼の連鎖によって日々の取引量は目に見えて細った。ルール作りは待ったなしだった。 ◆日本主導でガイドライン、バイサイドを説得 関係者が多岐にわたるとあって道のりは平たんではなかったが、日本がリーダーシップをとってどうにか合意にこぎ着けた。まず東京外国為替市場委員会は「外国為替ガイドライン」を作り、情報共有などについて具体例を挙げながらディーラーができること、できないことを「○」「×」形式で示した。例えば具体的な取引先名や、特定の水準にいくらの注文が控えるかなどは伝えてはならない。 東京を含む主要8カ国・地域の外為市場委員会の代表が東京に集まり2015年3月に開催された「外国為替市場グローバル会合」でこのガイドラインを公表すると、○×方式は分かりやすいと高く評価された。17年5月に国際決済銀行(BIS)が明らかにした「グローバル外為行動規範」でも同じ形式が採用になった。内容は日本に近い。外為業務の国際ルールをようやく一本化できた。 ガイドライン作成にあたってまずは国内の大手銀行、証券のマネジャーたちを集めて会合を開いた。すると「ガイドラインの通りに業務をするともうからなくなるからと反対」との声があがった。半面、自分の部下であるドイツ証券のスタッフには「ガイドラインよりもさらに厳しく律するぐらいにしてほしい」と指示した。顧客の一部は「ドイツ証券は情報をくれなくなった」と離れていった。 ガイドラインを作っても使ってくれる人がいなければ意味がない。大手製造業、商社、機関投資家などの「バイサイド」にも理解してもらわなければならなかった。東京外為市場委員会のメンバーはバイサイドと何度も議論した。 当初は「外為市場の改革というが、そもそもセルサイド(銀行や証券などのセールス部門)が悪いことをしたのが原因。その結果ルールを厳しくしたから情報提供などのサービスクオリティーが低下するのでは納得がいかない」と不満をぶつけてくるバイサイド幹部もいた。それでも市場の健全化はセルサイドだけでなくバイサイドも恩恵を受けるのだと粘り強く説明し、理解を得た。 一方、指標関連の不祥事をもたらしたヒューマン・リスク(人間のトレーダーを置くリスク)を完全に消し去るのは難しい。このところ急速に進んでいるコンピューター取引や人工知能(AI)の活用拡大はこと外為市場では避けられないだろう。感情をもたない機械取引はプログラムに沿って淡々と動くので、恣意的な不正はしない。記録も取りやすく顧客への説明責任を果たせる。 ◆今度は仮想通貨、実需拡大に期待 外為市場で自分ができることは一通りできたかなと思っていたところに仮想通貨と出会った。「外為市場のルール作りをした大西さんのような人が仮想通貨業界にもいたらいいのに」と周囲に乗せられる格好で転身を決めた。「仮想通貨は人々の生活を豊かにする」と確信した当時の思いは変わっていない。 17~18年初めのようなバブルが再び起こる可能性は低く、国際送金などにおける仮想通貨の利用を模索する企業は増えている。バブルを起こした投機取引の熱は冷めたが、決済などに絡む「実需」が拡大すれば、必要なインフラとして世間の認知度が増すだろう。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)尾崎也弥 =随時掲載

平成・危機の目撃者⓬ 伊藤嘉洋が見たバブル崩壊(1992)

市場の宿命、令和の時代も必ず起きる 平成の日本はバブル崩壊とその後始末に追われた。海外でも1997(平成9)年のアジア通貨危機や2008年のリーマン・ショックに直面し、18年にはインターネット上の仮想通貨ビットコインなどのバブル崩壊が起きた。それらの出来事が示すのは、投資家が利益を追求する限りバブルは避けられないということだ。株式市場にかかわって今年で57年、酸いも甘いも知る大ベテランの伊藤嘉洋・岡三オンライン証券チーフストラテジストは「バブルは次の令和の時代でもまたやってくる」と断言する。 伊藤嘉洋氏 いとう・よしひろ 1962年に岡三証券に入社し、取引所のフロアで独特のサインを駆使して売買注文を出す「場立ち」から市場でのキャリアをスタート。90年には株式部長に就任し、約9年間にわたってメディアの解説者やセミナー講師としても活躍。その後は岡三投資顧問、岡三アセットマネジメントを経て2010年から現職。長年の経験を生かした相場見通しや銘柄解説は評価が高い ◆「敗戦処理」に明け暮れた日々 岡三証券の株式部長に就任したのは1990(平成2)年4月だった。前年の12月に日経平均株価が3万8915円の史上最高値を付け、世の中は浮かれきっていた。大手証券会社からは5万円などという今から思えばとんでもない予想まで飛び出した。資産価値がどんどん高くなって給料やボーナスも増え、それが一段の株高につながっていたのだが、いったん崩れるとあっという間だ。 相場があれよあれよと下げ始めたのは92年のこと。証券各社が何度予想を切り下げても止まらず、日経平均はついに2万円の節目を割り込んだ。(損失が生じた)顧客に毎日頭を下げ続ける文字通りの「敗戦処理」となったが、それを乗り越えて99年まで株式部長を務められたのを誇りに思う。 岡三投資顧問に移った後に経験したのが99~2000年にかけてのIT(情報技術)ブームだ。コンピューターやインターネットの発達でネット企業に対する投資熱が高まり、自動車や機械といった「オールドエコノミー」から主役が交代していく動きを目の当たりにした。だが、ここでもバブルは起きた。 2つのバブルのけん引役はいずれも海外マネーによる先物の買いだった。日本で先物取引が始まったのはバブル終盤の88年でまだ歴史が浅く、先物を積極的に取引する国内投資家はまだ少なかった。今でこそ「海外の先物買い」はよく知られているものの、当時は姿があまりはっきりせず、気がつくと先を越されていた。特に個人がついて行けない。「高値づかみ」をした結果、相場の下落局面で痛手をこうむるのをたくさん見てきた。 ◆家計に巨額の貯蓄、投資余力は大きく 2008年のリーマン・ショックや12年以降のギリシャの財政不安などいくつかの危機を乗り越え、日経平均は昨年10月に2万4000円台と、27年ぶりの高値を付けた。90年代のバブル崩壊の傷がようやく癒えようとしているなかで「令和」の新時代を迎える。秋には消費増税を控え、働く世代の懐は苦しくなりそうだが、家計全体では依然として巨額の貯蓄を抱える。個人の投資余力は大きく、バブルはどこかのタイミングでまた繰り返されるだろう。 個人が平成初期のバブル時代に買った不動産や株などの資産価値は当時には到底及ばないため、売るに売れない状況が続きそうだ。ただそんな人たちも子供がいれば遠からず相続の時期が来る。相続する側は資産が含み損を抱えているとの認識は乏しい。特に不動産の現金化にはためらいはないだろう。 不動産や株の売却が進むと相場を一時的には押し下げるかもしれないが、懐の潤った個人は新たな消費や投資に動く可能性が高い。株式市場にも新たなお金を呼び込みそうだ。 しかも日欧を中心に世界はなおも歴史的な低金利環境にある。市中にあふれて行き場をなくしたマネーは株式などのリスク資産に移らざるを得ず、景気の悪化局面でもしばらくは株高を促すはずだ。 ◆過去に学び、転換点を見逃すな ジョン・テンプルトンが残した有名な相場格言に「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」とある。リーマン・ショック後の米経済が長期回復をしながら先行き不透明感が残っているように、足元は「懐疑」に向かっている段階だと思う。株価の本格上昇は実はここからではないか。それでもバブルは必ず崩壊する。 日本の個人がまた負けないために大事なのは、過去の教訓に学んで相場の転換点を見逃さないことだろう。日々の動きは「あや」にすぎないと割り切り、相場が大局的にみて「上昇」、「横ばい」、「下降」のどの段階なのか冷静に見極めてほしい。そのうえで、自らの決めたルールに従って損失を確定させる潔さが必要だ。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)尾崎也弥 =随時掲載

右肩下がりビットコイン「さらに15%下落も」 クリプタクトが分析リポート

ビットコインが下値を切り下げている。仮想通貨の情報サイト、QUICK CRYPTO LABによると、日本時間27日午前11時10分時点の円建て価格は前日比1万1760円(2.75%)安の41万6048円で推移している。 bitFlyerベースで価格を比較すると2017年9月下旬以来、約1年2カ月ぶりの低水準。ちょうど1年前には一時、200万円を突破するなどバブルの様相を呈していたが、年明けから調整局面に入った。さらに11月からは一段安の展開となっている。 背景には様々な要因が考えられる。仮想通貨そのものが盗難されるなど仮想通貨交換業者のセキュリティーに対する不信感のほか、ビットコインの分裂騒動も逆風になった。仮想通貨関連のツール開発・資産管理を手掛けるクリプタクト(東京・千代田)は直近のレポートで「ビットコインの価格はさらに15%近いダウンサイド(36万円)があり得る」と指摘した。 ■2013年12月~17年1月の価格と変動率 ■現在(17年12月~18年11月)の価格と変動率 (いずれもクリプタクト調べ) 同社が今回の分析で利用したのがビットコインの変動率だ。「今回の市場低迷期において2018年11月24日には、2017年12月16日の高値価格と比べて80%下落した。これは前回の低迷期の82%と比較してほぼ同じ水準まですでに下落した計算。前回の底値を意識するなら2%ほどの下落の可能性がある。すなわち現在の価格からみるとおよそ15%の下落、価格にして36万円近辺まで下値余地があることを示唆している」と見る。 一方で「底入れのタイミングも近い」という。「ボラティリティの動きが前回の低迷期と似ていることから、現在起きているボラティリティの上昇は、株式市場でいうところの、いわゆるセリング・クライマックスに近いかもしれない。その場合はボラティリティの落ち着きと共に底値からの反転が生じる」との見方も示した。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

すべての道は金利に通ず by 鈴木涼介氏(シリーズ:ベテランに聞く)

一国の経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)や金融政策と最も密接に関わるのは金利の市場だろう。しかも一回あたりの取引額が大きく、名だたる金融機関やヘッジファンドが慎重に立ち回るため、株や外国為替よりも理路整然とした動きをしやすいとされる。ドイツ銀行やHSBCロンドンで敏腕の金利ディーラーとして活躍した鈴木涼介氏は現在は仮想通貨の世界に身を置くが、自らの経験を踏まえて「すべての道は金利に通ず」と明言する。【聞き手は日経QUICKニュース(NQN)編集委員=今晶、尾崎也弥】 ※11月27日付の記事を再配信しています。 鈴木涼介(すずき・りょうすけ)氏 高校から英国で教育を受け、ロンドン大のキングスカレッジ自然科学工学部数学科で学んだのちドイツ証券に入社。円金利スワップ担当としてディーラーのキャリアをスタートさせた。ドイツ銀行東京支店を経て英国に戻り、ドイツ銀ロンドン拠点の金利・通貨スワップデスクでヘッドトレーダーを務めた。2013年に英HSBCロンドンに移籍し主要7カ国(G7)短期金利・通貨スワップ部門のヘッド。18年に独立してゼニファス・キャピタルを立ち上げ。仮想通貨ヘッジファンドを運営するほか、一般向け投資教育プラットフォームの構築を目指し、ツイッターで情報発信も ■判断に迷ったら金利を見よ 外為市場には「金利と為替の方向性が違ったら、たいてい金利が正しい」との自虐的な教訓がある。債券や短期金融市場の効率性と合理性をよくあらわしていると思う。投資判断に悩んだら必ず金利動向を参照すべきだ。 もちろん株や為替と同様、金利にも情報や需給の偏りがもたらすゆがみは生じる。だが、きわめて見えにくい。短期資金やデリバティブ(派生商品)の取引は参加者の信用力に応じて価格や金利水準がころころと変わるため、惑わされるのだ。そんな中で巨額のお金を回していくのだから、相場環境とゆがみの有無を的確に判断できなければ絶対に生き残れない。 例えば現在、日本の金融機関は「ベーシススワップ」や「為替スワップ」を通じてドルを調達する際に大幅な上乗せ金利を求められるのに対し、ドルの保有者は取引相手を選べば円をかなり安く調達できる。さらにドルの需給が引き締まりがちな海外の決算期末を意識し、スワップを年末年始を挟む期間にするだけで円のコストはさらに下がり、国庫短期証券(TB)での運用利回りは良くなる。 もしそのような微妙な違いに気づき、収益を高められる人なら他の市場でも必ずつぶしがきく。資産の割安・割高を見極めて売買する「レラティブバリュー」運用で十分生き残れるだろう。 ■「負けて覚える相場かな」 相撲界に「負けて覚える相撲かな」との格言がある。相場も実践あるのみだろう。オンライン証券会社がよく提供している模擬トレードのシステムで練習してからなどとは決して思わないことだ。身銭を切ってディーリングに臨み、負けてお金を失うからこそ真剣に敗因と向き合い、次につなげられる。 もちろん大けがばかりして再起不能になっては意味がない。自信がなければ投じる資金を最小限に抑え、トライ・アンド・エラーの精神を忘れずに臨むべきだ。 長めの相場シナリオをたてるときは過去の経験則やチャートには頼らず、ファンダメンタルズの変化を意識しながらまずは自分で考えてほしい。ファンダメンタルズ分析は外為証拠金取引(FX)や株では短期トレーダーを中心に軽視されがちだが、金利系の投資家は誰もがきちんとやっている。 ■仮想通貨でも金利ディーラーの視点 インターネット上の仮想通貨は引き続きビットコイン(BTC)が主役になるだろう。足元では機関投資家や富裕層はあまり仮想通貨に手を出していない。ただ富裕層は「我」や向上心が強く、もっともうけて他人との差を広げたいと頑張る。仮想通貨市場の将来性や収益性が高いと判断すればすぐに買いを増やしそうだ。 ポイントは仮想通貨の上場投資信託(ETF)の行方だ。承認されれば正式に「アセット(資産)クラス」の仲間入りをする。機関投資家の保有ハードルが低くなるので、気の早い個人は先回りした買いを進め、相場には上昇圧力がかかるだろう。 ここで重要なのは金利ディーラーが大切にする時間軸の視点だ。ビットコインETF市場などが再び拡大に向けて動き出したとしても、法律やシステムが整って実際にマネーが流入するのはだいぶ先の話だ。前のめりな買いに対しては淡々と売り、底値を確かめたほうがよい。 BTC市場の復活までにそれなりに時間がかかるとすると、大口投資家はなかなか持ち高を積みあげられない。では、BTCの代わりはないだろうか。 いま注目しているのはリップル(XRP)だ。一民間企業であるリップル社が深くかかわるXRPは、管理者不在の印象が強い仮想通貨らしからぬファンダメンタルズの底堅さをもつ。銀行間の資金決済にも試験的に用いられ、認知度は高い。 トルコやアルゼンチンといった対外債務が多く、経済基盤が脆弱な国の人々が自国通貨安を回避(ヘッジ)する目的でもリップルは使われやすいとみている。足元ではトルコリラ建てのXRP相場がしばしば値を上げている。トルコのエルドアン体制は安定しているが、経済政策は心もとない。トルコでは銀行口座をあえて持たず、リラ安ヘッジのためにリップルなど仮想通貨を求める人が結構いるようだ。 (随時掲載)

FXはパチンコや競馬と違う by 太田二郎氏(シリーズ:ベテランに聞く)

日本の外国為替証拠金(FX)取引は今も昔も、一定のレンジを前提に相場の流れに逆らう「逆張り」が主流だ。相場経験が浅い人は戦略なしに何となくレンジを決めることが多く、1990年代後半から相次いだ金融危機や市場の混乱にうまく対応できなかった。FX取引がまだマージントレードと呼ばれていた草創期から投資家の浮き沈みをつぶさに眺めてきた為替ストラテジストの太田二郎氏は「ともかく1つのやり方を極めるべきだ」と諭す。【聞き手は日経QUICKニュース(NQN)編集委員=今晶】 太田二郎(おおた・じろう)氏 1970年代の終わりに外国為替業界入りし、米ファーストボストン(現クレディ・スイス)やドイツのBHF銀行を経て98年、英ナットウェスト銀行でマージントレードの営業を始める。その後はFX向け取引システムのフロンティアである米GFT(Global Forex Trading)東京支店でキャリアを積んだ。現在は個人向けの外為アナリスト、ストラテジストとして情報提供を続ける ■直感頼みは通じない 現代の外為取引で重要なのはいかに自らを律するかだ。(自己資金よりも多い額を運用できる仕組みの)レバレッジの比率を抑えたり、予想が外れたらすぐに損失覚悟の持ち高解消を進めたりするのは当然だ。もう1つ、チャートでもファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)でも何でも構わないのでこだわりを持つとよい。 ある投資家は、テクニカル分析の「ギャン・ルール」を用いたトレーディングに専念している。法則を発見したウィリアム・ギャン氏はルールに厳格に従い、勝率を高めたことで知られる。ここで言いたいのはギャン・ルールが良いか悪いかではない。1つの分野を極めていこうとする探究心だ。 かつてのディーリング部門は自らの経験と勘に頼る職人の世界で、リスク管理などあってないような足元では考えられないところだった。英ナットウェスト銀行(現ロイヤルバンク・オブ・スコットランド)にいたころは自己勘定でディーリングをしながら顧客対応をし、銀行全体の収益を押し上げた。同時代のトレーダーには大損の危険を顧みず巨額の持ち高を振り回していた猛者が多い。当時は参加者の数が少なかったので直感頼みでもどうにかなったが、市場が拡大した一方でとれるリスクが少ない現在では無理だ。 為替相場は株や債券に比べるとはるかにランダムに動く。勝てたとしても打率はせいぜい3~4割だろう。漫然とディーリングをしていてはせっかくの勝機にきちんと資金を投じられない。 ■「このやり方で必ず勝てる」は絶対にない FXを手掛ける個人のマインドはあまり変わっていない。パチンコや競馬をするようなレジャー感覚で、ともかく楽をしてもうけたいとの考えが強い。安易にレバレッジ運用に傾くために想定外の事態にもろく、2000年にかけての日本の金融危機や01年の米同時多発テロ、03年のイラク戦争、08年のリーマン・ショック、11年の東日本大震災の後の大荒れの市場に耐えきれず次々と去っていった。 退場者には共通項がある。書籍やウェブサイトで「このやり方なら必ず勝てる」といった根拠がはっきりしない取引手法や経験則を疑いもせずに取り入れるのだ。自分で考えを巡らせていないのでまったく応用がきかない。 各国の経済情勢や金融政策は奥が深い。例えば米雇用統計では非農業部門雇用者数や失業率だけでなく、時間当たりの賃金や広義の失業率などチェックすべきポイントが少なくない。それに対し1つのパターンや取引手法で語れるはずがない。にもかかわらず、たいてい「必勝法」のやすきに流れてしまう。努力が必ず報われるわけではないが、楽をしていては絶対に勝てない。 ■為替の需給、かなり複雑に 17年に起きたインターネット上の仮想通貨バブルと18年初めにかけての崩壊をみると08年までのFX隆盛期を思い出す。FXもかつてははるかに規制が緩く、レバレッジ比率の上限は会社によっては数百倍にも達していた。「簡単にもうけられる」との甘い言葉に乗り、ろくにリスクを考慮せずに高いレバレッジをかけて多額の損失をこうむるケースが後を絶たなかった。 為替需給はここ10年ほどでかなり複雑になった。昔の常識は当てはまらないと割り切るべきだろう。主要国の経済は総じて成熟し、日米欧ともに潜在成長率が下がって為替の大きな変動をもたらすような金利差は生じにくくなってきた。 それでも相場に対する心構えの基本は変わらないはずだ。テクニカルを用いるにせよ、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に傾斜するにせよ、何らかの勝ちパターンを見つけてこだわってほしいと思っている。 (随時掲載)

ビットコインの変動率が低下、トルコリラ並みに

インターネット上の仮想通貨の変動率(ボラティリティー)がここにきて安定している。ビットコインのボラティリティーは期間によっては法定通貨のトルコリラ並みの水準まで下がった。価格の急変動をもたらした投機資金の大部分は既に退散。仮想通貨市場が脚光を浴びる前から取引をしてきたグループが細々と売り買いを繰り返している程度で前途は多難だが、値動きの荒さを嫌う機関投資家からみると参入障壁が下がるというポジティブな要素もある。   30日のビットコインのドル建て価格は1ビットコイン=6300ドル前後で膠着している。9月までは1日で1000ドル超上下することも少なくなかったが、10月は大きくても300ドル程度の変動にほぼ収まっている。   仮想通貨市場の調査などを手掛けるアルトデザインによると、過去の値動きから算出するヒストリカル・ボラティリティー(HV)は直近1カ月で26%前後と、トルコリラの21%台に比べると5%程度高い水準にとどまっている。直近3カ月のベースでは43%前後と、「トルコショック」を挟んだトルコリラの48%台よりも低い。   コインチェック問題に揺れた1~2月のビットコインのHVは120~130%台だった。現在はその5分の1程度しかない。イーサリアムやリップルなど安全性が高いとされる代表的なオルトコインの変動率も軒並み下がっている。   足元では仮想通貨「テザー」を巡る混乱が続いているほか、カナダの交換所が突然取引を止めるなど相変わらずトラブルは多い。それでも現在市場に参加しているベテランの仮想通貨トレーダーや通貨の採掘者(マイナー)は「市場健全化に向けて避けては通れない道で、想定の範囲内」とほぼ反応しなかった。   波乱材料に対する抵抗力の強さは長期投資にとってはプラスだ。国際通貨研究所の志波和幸主任研究員は「価格がある程度安定していなければ投資家層は広げられない。このまま相場が落ち着けば規制整備に向けた追い風になるだろう」と話す。仮想通貨全体の売買高はピークだった今年1月から大幅に減少しているが、志波氏は「身の丈にあった市場規模は、健全性を高めるために大切なプロセスの1つ」とみる。   主に仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)で生み出されるオルトコインの増加にも一服感が出ている。セキュリティー面で劣るオルトは悪意を持ったハッカーの標的になるなど市場を混乱させてきたが、投資家の視線が厳しくなり、10月はICOによる資金調達額は前年同月割れになるもようだ。   国が旗振り役となってICOの規制を進める機運も高まっている。さらに各国の金融当局者が集まる金融活動作業部会(FATF)は、来年6月までに仮想通貨取引などに関する最初の国際ルール策定に向けて動いているようだ。同じ時期に開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国日本が主導権を取るかもしれない。市場では「外国為替証拠金(FX)取引がレバレッジ規制などで通った道を仮想通貨もようやくたどれる」との期待が出てきた。   【日経QUICKニュース(NQN ) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

仮想通貨カストディー業務、フィデリティが参入

フィデリティ・インベストメンツが15日、仮想通貨への投資支援を目的にフィデリティ・デジタル・アセット・サービシズLLCを立ち上げた。ヘッジファンドや機関投資家に仮想通貨のカストディー(資産の管理・保管)サービスを提供するという。フィデリティは7兆2000億ドル以上の顧客資産を持つ世界最大の金融サービス・プロバイダ。 フィデリティ・インベストメンツのアビゲール・ジョンソン会長兼CEO(最高経営責任者)は15日の声明文で「我々の目標はビットコインなどのデジタルネイティブ資産を投資家が利用しやすくなる事です。この新しいアセット・クラスを顧客が理解し、使いやすくなるための方法を長期的に投資・実験し続けていきます」との見解を示した。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

新種乱立、止まらぬ「オルト離れ」 Zaif問題で心理悪化に拍車

仮想通貨市場でビットコイン以外の「オルトコイン」の需給悪化が続いている。ICO(イニシャル・コイン・オファリング)と呼ばれる仮想通貨技術を使った資金調達に伴うオルトの乱立でただでさえ需給が緩みやすくなっているところに、相次ぐハッキングによる不正流出問題で投資家離れが進んだ。そんな中で20日、国内で仮想通貨の不正流出が発覚。相場の先安観が改めて強まった。 仮想通貨交換会社のテックビューロ(大阪市)は日本時間の20日2時15分ごろ、運営する「Zaif(ザイフ)」に外部からの不正アクセスがあり、管理していたビットコイン、モナコイン、ビットコインキャッシュが流出したと発表した。 ザイフでの被害額は現時点で約67億円相当とみられ、1月にコインチェックで起きた仮想通貨ネム流出時の約580億円と比べると規模は小さいが、投資家は敏感に反応し多くの通貨が売り込まれた。 ビットコインなど市場規模の大きい通貨に打診的な買いが入り、ビットコインは下落前の水準である1ビットコイン=6300~6400ドル台のレンジに戻っている。半面、小規模オルトコインの下げはきつい。情報サイトのコインマーケットキャップを見ると、オルトには週間の下落率10%超えのコインがごろごろしている。 「国内外で頻発する不正流出を受け、交換会社はとりわけオルトコインの取り扱いに慎重にならざるを得なくなった」。そう危機感を抱く市場関係者は多い。 海外では悪意を持ったマイナー(採掘者)がマイナーの少ないオルトコインを狙ってブロックチェーン(分散型台帳)を書き換えてコインを盗み出した事例が増えている。セキュリティー面で脆弱なコインには上場廃止になったものも現れた。 日本国内での仮想通貨交換業には金融庁への登録が必要でコインチェック事件後は事実上、登録停止となっていた。最近になって登録再開の可能性も噂されていたが今回の問題を受け、「金融庁による交換所の登録再開は先送りされかねない」とアルトデザインの藤瀬秀平チーフアナリストは危惧する。 取り扱う交換所が増えなければオルトコインの流通市場の裾野拡大は見込めない。仮想通貨の時価総額全体に占めるオルトの比率は5月以降は下がるばかりで、その裏返しでビットコインの比率が上昇。足元では55~58%程度と昨年12月以来の水準まで高まっている。 ICOが盛んなロシアやスイス、エストニアなどでは現在も新たなオルトコインがどんどん立ち上がっている。その種類は2000近くまで膨れあがった。 アルトデザインの藤瀬氏によると、仮想通貨の市場全体の時価総額はピークだった年初比で4分の1だが、コイン増加により、1通貨あたりの時価総額は6分の1まで減っている。オルトコインの大部分がほとんど取引されていない状況のようだ。投資家の「オルト離れ」が止まる兆しはみえない。 【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

仮想通貨に「客観的な指標の必要性」 研究会報告、QUICKがBC4社の平均算出

昨年から今年前半にかけ急騰・急落を演じた仮想通貨。価格の正当性などいくつかの問題が浮上した中、個人や企業から仮想通貨に係る価格水準や市場動向を把握するためのベンチマークに対するニーズが出ている。これを受けQUICKが主催する「仮想通貨ベンチマーク研究会」は3月~6月にかけて仮想通貨交換業者や金融商品、会計、法律の専門家などと議論を重ね、8月に報告書をまとめた。 最も基本的なニーズは、法定通貨と仮想通貨の交換レート。代表的なビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)については、リップルのような一部の仮想通貨を除いて「日本円との交換レートよりもビットコイン、テザーおよび米国ドルとの交換レートに対してベンチマークに係るニーズがあると考えられる」という。 そのうえで「アルトコイン以外にも資金調達目的のICOトークンや資金調達目的以外のユーティリティトークンなど幅広い多様な仮想通貨・トークンが多数発行されていくことが見込まれる」とした。金融取引用のベンチマークについては「取引可能性」や「価格操作耐性」といったより高度な頑健性が必要との認識でも一致した。 QUICKではビットコインの円建て価格でbitFlyer、BTCBOX、QUOINE、Zaifの4社平均を算出している。 ※QUICK CRYPTO LABのトップページ (QUICK News Line)

賢人も大富豪もビットコインに厳しい見方 関連銘柄の米DPWが7%安

7日の米国市場でパソコン用電源などを手掛け、仮想通貨関連として知られるDPWホールディングスが大幅続落し、7.10%安の0.8639ドルで終えた。仮想通貨のビットコイン(BTC)が1万ドルの節目突破に失敗して大幅安となったことで関連銘柄の一角が軟調だった。コインデスクによれば、ビットコインは1BTC=9188.66ドルまで下げ、前日比で4%超下げた。 米経済専門チャンネルのCNBCによれば、この日に著名投資家らがビットコインに厳しい見方を示したことが売り材料になったという。投資会社バークシャー・ハザウェイを率いるウォーレン・バフェット氏は7日にCNBCのスクウォーク・ボックスに出演し、ビットコインに関して「何も作り出していない資産だ」と厳しい見方を披露した。バフェット氏は従来からビットコインに対して批判的な見解を持っていることで知られるが、この日はマイクロソフトの創業者でビリオネアとしても知られるビル・ゲイツ氏が同じくCNBCに出演し、「ばかげた理論に基づく投資だ。私は簡単な方法があるのなら空売りしたい」と述べたことも警戒されたという。(片平正ニ) DPWホールディングスの2018年1月からの日足チャート QUICK Qr1多機能チャートより   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ビットコインが7000ドル割れ FBIが技術サポートを装った詐欺を警告

仮想通貨のビットコイン(BTC)が1日に7000ドルの節目を割り込み大幅安。コインデスクによれば、1BTC=6443.20ドルまで下げ、前日比で6%超の大幅安となった。2月上旬以来の安値圏に下げたことになる。ビットコインは円ベースでも軟調な動きだ。2日の8時半時点で1BTC=72万円台後半と、3月30日比で約1.7%下落して推移している。 情報サイトのコインテレグラフによれば、米連邦捜査局(FBI)のインターネット犯罪苦情センターが3月28日、仮想通貨業界など様々な業種で横行している技術サポートを装った詐欺について警告する公共広告を出したという。広告では、技術支援の提供をかたる犯罪者が政府職員のふりをして、技術サポート詐欺の損害を取り戻すと持ちかけているといい、仮想通貨取引所を通じて詐欺が行われていることが警戒されたもよう。 この日の仮想通貨市場ではイーサリアム、リップル、ビットコインキャッシュなどいわゆるオルトコインも軒並み大幅安となった。   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

イーサリアム急落、ピーク時の4分の1に 個人の焦りが下げ加速

インターネット上の仮想通貨市場に相変わらず活気がない。ここにきて下げが目立つのはビットコインに次ぐ市場規模を有するイーサリアムで、日本時間30日朝方に昨年11月以来の安値を付けた。国内外で相次いだ仮想通貨交換業者の不祥事以降、ヘッジファンドなどの大口投資家の需要は細った。含み損を抱えた個人投資家は焦りを募らせ、売りを急ぐ傾向にある。   イーサリアムのドル建て価格は一時1イーサリアム=370ドル程度と、1月中旬に付けたピークの1400ドル台の4分の1程度になった。ここ1週間で売り圧力が強まり、下落率は30%に達する。イーサリアムは取引記録だけでなく、いつ誰に送金したかなど詳細な契約内容を管理できるといったメリットが多く、昨年後半は仮想通貨技術を使った資金調達「ICO=イニシャル・コイン・オファリング」のニーズが高かった。   年初までは仮想通貨の相場は総じて右肩上がりだったため、ICOブームに乗ってイーサリアムを調達した多くの発行体はすぐには円やドルに換金せず、そのまま保有していたようだ。だが仮想通貨は2月以降、イーサリアムを含めたビットコイン以外の「オルトコイン」主導で総崩れになった。   ICOには発行の枠組みに不透明な部分もあり、投資家の視線は厳しくなっている。「発行体はイーサリアムを慌てて法定通貨に交換しているのではないか」(アルトデザインの藤瀬秀平チーフアナリスト)。しかもイーサリアムには一時、相性の良いスマートコントラクトと呼ばれる自動決済サービスの普及に期待して個人マネーがかなり流れ込んでいた。イーサリアムの売りがほかのオルトコインに波及する負の循環が生じやすい状況だ。   情報サイトのコインマーケットキャップによると、仮想通貨全体の時価総額は30日朝方に2600億ドル台と、ピークだった1月初旬の約8300億ドルの3分の1に減った。オプションや先物市場の動きから判断すると、イーサリアムに対する個人の売りとともに、ヘッジファンドによるビットコイン売りが続いていると受け取れる。   <円建てのビットコインも売られている> ビットコイン価格は日本時間30日午前に1ビットコイン=6700ドル程度まで下げ、6000ドルを割った2月6日以来の安値を付けた。仮想通貨の取引プラットフォームを提供するレッジャーXのデータによると、きょう期日を迎えるビットコインのプット(売る権利)のオプション料から算出した3月30日終値の予想中心値は6000~7000ドル台。足元の水準は「理論値」に近い水準となっている。   主要な投機資金が離れていった市場が態勢を立て直すのは容易ではない。現在もビットコインなどで含み益を有する投資家は、仮想通貨のブーム前からマイニング(採掘)を積極的に手掛けていた中国勢の一角に限られそうだ。   焦点の1つは決済サービスなどを通じた「実需」の拡大だが、高額の手数料など課題が多い。市場低迷がまだ続くことを覚悟すべきだろう。 【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕   ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ビットコインに先安観再び 下値メドは5000ドル? オプション取引が示唆

インターネット上の仮想通貨ビットコイン(BTC)が再び下げ基調になっている。情報サイトのコインデスクによると、ドル建て価格は日本時間15日に一時7700ドル程度と2月上旬以来の安値を付けた。 国内の個人投資家を中心に売りが続き、前週半ばまでの中心レンジだった1万ドル台からの下げ幅は3000ドル程度に達した。2月6日に付けた今年の安値である6000ドル割れが視野に入り、オプション市場を中心に先安観が広がってきた。 今週の相場下落について、市場では「コインチェックの利用者による法定通貨への換金売りがコンスタントに出ている」との声が多い。1月に仮想通貨「NEM(ネム)」の巨額流出が発覚したコインチェックは12日、ビットコインやイーサリアム、リップルなど一部通貨の売却や引き出しを順次再開すると発表していた。 <円建てのビットコインも下げ基調になっている> イタリアや中国系の交換業者でハッキング被害や通貨の不正流出が相次いだこともあって、世界的にビットコイン取引の熱は冷めている。情報サイトのブロックチェーンインフォによれば、3月に入ってからの1日あたりのビットコイン取引承認数は15万件程度と、2016年3月以来、約2年ぶりの水準まで急減。足元でも20万件に届かず、ドル建て換算の売買高も低迷したままだ。 取引高の減少は、市場でどの程度自由に売買可能な状況かを示す「流動性」の低下に直結する。小規模な売りでも相場は大きく下げやすくなっていると考えられる。 大口投資家の間では規制強化を嫌気するムードも生じている。香港を拠点に仮想通貨関連のファンドを運用するクリプトムーバーのギャビン・ヤン最高経営責任者(CEO)は「米グーグルによる仮想通貨の広告規制や、19~20日の20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議で規制強化の方策が話し合われる見込みなのも買いの手控え要因になっている」と分析していた。 では、相場の下値メドはどのあたりになるだろうか。市場では「オプションの需給から判断すると5000ドル程度ではないか」との指摘が聞こえてくる。ビットコインオプションは今のところ、市場参加者の相場観をストレートに反映する唯一の指標だ。 オプションのプラットフォームを提供するレッジャーXでは14日と15日の両日、1ビットコイン=1万ドルを権利行使価格とし6月29日を期日とするプット(売る権利)の取引がまとまった規模で成立した。オプション料は平均すると3000ドル弱。オプションの買い手の「損益分岐点」は単純計算すると7000ドル程度になる。 一方、懸念されているG20に対しては「今回は投資家保護やマネーロンダリング(資金洗浄)対策の必要性を各国が共通認識として持とうとするだけで、具体的な規制内容には踏み込まない」(国際通貨研究所の志波和幸主任研究員)との予想が支配的だ。コインチェック絡みの売りもいずれ終わる。 15日、6月29日期日で5000ドルを権利行使価格とするプットのオプション料は平均で500ドル弱にとどまった。相場が数カ月単位で持続的に下がり、5000ドルを大きく割り込むとの見方までは増えていないことがわかる。ビットコインは当面、5000~7000ドルで推移するというのが、オプションディーラーを中心とする現在のメインシナリオのようだ。 【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

仮想通貨のマイニング熱、半導体企業に大きな商機

QUICKは「アジア特Q便」と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がビットコインなど仮想通貨と半導体需要の高まりについてレポートします。 世界中で仮想通貨のマイニング(採掘)熱が高まり、台湾の半導体メーカーに新たな活力を与えている。 消息筋の情報によると、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループが世界初となる仮想通貨の商業銀行の設立を計画している。ビットコインの中国マイニング最大手、ビットメインも別の仮想通貨イーサリアム向けの新たなマイニングマシンの発売を予定している。 こうしたマイニング熱は、特定用途向けの半導体集積回路(ASIC)の受託生産を手掛ける台湾積体電路製造(TSMC)やメモリー製造の晶豪科技、愛普科技、ASIC設計の創意電子といった企業に大きな商機をもたらしている。 仮想通貨の価格が足元でいくら激しく変動してもマイニング熱は一向に衰えず、この分野に参入する半導体企業は増える一方だ。 Electronic circuit board and global network concept. マイニングマシン市場では中国のビットメインが世界市場シェアの80~90%を握るベンチマーク的なトップ企業だ。 マイニングマシンの機能向上に向けて、同社は今年、TSMCにウエハー10万枚を発注。使用する半導体製造プロセスを当初の回路線幅16ナノメートル(ナノは10億分の1)から12ナノメートルに微細化した。TSMCの最先端技術となる7ナノメートルにする可能性もあるという。 また、ビットメインは智原科技にマイニングマシン向けASICの設計を委託するとともに、サムスン電子のウエハー受託生産部門で生産を行う。こうした動きは仮想通貨に携わる企業が依然として旺盛な市場開拓意欲を持っていることを示す。 ビットメインはライトコインなど仮想通貨専用ASIC半導体を有する。また3年前からTSMCと提携している。昨年は業績が急速に伸び、中国のIC設計企業トップ5に躍進。同時に、TSMCの主要顧客5社に入り、同社の昨年の売り上げの10%を占めた。 ビットコインはマイニングの難度がますます高まる一方、大量の電力を消費する。このため、ビットメインは事業の主軸の一部をイーサリアムに置く方針を固め、今後の需要に備えて次世代マイニングマシンを発売するもようだ。 ビットメインが近く発売するイーサリアム向けマイニングマシンF3は、DRAM全体のバス幅を拡大させると同時に、メモリー搭載量を増やした。今後、マイニングマシン1台につきマザーボード3枚を搭載。マザーボードには1枚当たりマイニング専用ASICプロセッサ6個が装備され、このASICプロセッサに1GBのDDR3が32個含まれる。 1台当たりのマイニングマシンF3は72GBのDRAMメモリーを搭載する計算だ。512MBのDDR3メモリーを搭載するビットコイン向けS9型マイニングマシンと比べ数百倍の規模となる。マイニング熱がビットコインからイーサリアムへと広がりを見せるなか、市場では、TSMCやサムスンにマイニング用ICの巨大な注文がもたらされる一方、現時点で品薄状態にあるDRAM産業の品薄感が一段と強まり、価格上昇期間も長引くとの予測が出ている。 ※アジア特Q便は、QUICK端末で先行してご覧いただけます。

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