トルコリラ、対円で3カ月ぶり高値 利下げでも翌日物金利は下がらず

日経QUICKニュース(NQN)=編集委員 今晶 外国為替市場でトルコリラの対円相場が上昇している。29日の海外市場では一時1リラ=19円台半ばと4月中旬以来の高値を付けた。トルコ中央銀行は25日に政策金利である1週間物レポ金利を4.25%引き下げて19.75%としたが、低金利国の日本に比べ圧倒的に高い状態に変わりはない。しかも日本の個人投資家に深くかかわる「翌日物金利」はほとんど下がっておらず、リラの買い安心感を誘っている。 個人が手掛ける外為証拠金(FX)取引で利息収益に相当する「スワップポイント」は円とリラの交換取引である「為替スワップ」の動きに左右される。基本的には短期金融市場における翌日物の金利格差を反映し、一日あたりいくらで算出する。 だがここ数カ月のリラのスワップ市場では、「空売り」に目を光らせるトルコ規制当局によって金利が高めの水準に張り付いている。3月下旬、スワップを通じた翌日物のリラ調達コストが1000%を超えたのは記憶に新しい。中銀が利下げをし短期市場に影響が及んだとしてもおいそれとは下げられない構図になっている。 日本のFX会社が30日朝時点で提示しているスワップポイントにはばらつきがみられるものの、多いところでは1万通貨あたり100円前後でトルコの利下げ前とさほど変わっていない。利回りに換算すると年18%前後で政策金利よりも低い。スワップ市場の不透明さを背景にもともとスワップポイントを抑え気味に示していた会社は利下げ後に直ちに対応する必要がなかったと考えられる。 昨年8月に起きたトルコショックからまもなく1年。トルコ国内では中銀総裁の交代で独立性への懸念が再燃し、国外では中東情勢が混迷したままでリラ安の圧力はくすぶっている。そんな中でも、背に腹は代えられないとの切迫感から来るリスクをとった「金利志向」は根強いようだ。 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

強権大統領の「圧」に屈するトルコ中銀 前総裁クビ、今度は利下げ濃厚

日経QUICKニュース(NQN)=矢内純一 景気と支持率浮揚を狙って大統領が中央銀行に利下げを強要する構図は、洋の東西を問わないようだ。 エルドアン大統領によって7月上旬にチェティンカヤ総裁(当時)が更迭されたトルコ中央銀行は25日、金融政策決定会合を開く。22日にはロイター通信が更迭の理由として「6月に3%の利下げを総裁が拒否していたこと」を伝えた。利下げ見送りが更迭を招いたとあって、新しいウイサル総裁下での初めての会合は、利下げが確実視されている。 ロイターが関係者の話として伝えたところによれば、「中銀は6月に3%の利下げ、7月にも追加利下げを要求されていた」という。ただ、5月に消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年比18.7%となり、中銀の目標(5%)を大幅に上回っていた。高インフレなどを背景にトルコ中銀は6月の会合で、主要な政策金利である1週間物レポ金利を年24%で据え置いた。インフレ率の高さから利下げは時期尚早と判断した。 景気浮揚のために金利を下げたいエルドアン氏と、物価上昇抑制のために高い金利を維持したいチェティンカヤ氏との溝はなかなか埋まらなかったようだ。6月下旬にはトルコ最大都市イスタンブール市長選の再選挙で、エルドアン氏が推す与党候補が大敗。高い金利が足かせとなり、経済活動の停滞を招き、支持を得られなかった面もある。エルドアン氏の矛先が中銀総裁に向いたのは、自然な流れだったのかもしれない。 エルドアン氏が後任のウイサル氏にも利下げを強いるとの見方は根強い。市場では「3%程度の利下げに踏み切るのではないか」(野村証券の中島将行・外国為替エコノミスト)との声がある。利下げの幅にばらつきはあるものの、トルコ中銀が25日の会合で利下げするとの予想が大勢だ。 ただ、仮に大幅な利下げに踏み切っても、トルコの通貨リラが大きく値を下げるとの声は少ない。投機筋にとっては「金利が高いため、空売りをしにくい通貨」(国内証券)である上、米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が緩和バイアスを強めているため、主要通貨に対してリラ安が進みにくい状況にある。対円でも、6月以降のレンジである1ドル=18~19円台で底堅い動きが続きそうだ。 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

CTAのドル売り拡大、対円で顕著に 米景気懸念で作戦変更

外国為替市場でシカゴに拠点を置く商品投資顧問(CTA)などの投機筋の姿勢が変化している。CTAは従来、世界経済の減速懸念から基軸通貨の米ドルと低リスク通貨の円を同時に買う戦略に傾いてきたが、トランプ米大統領による対メキシコ関税の表明などを受けて米景気の減速のほうをより意識し始めた。対ユーロなどでドルの買い持ち高を減らす一方、対円ではドル売りへの傾きを強めたようだ。 米商品先物取引委員会(CFTC)が5月31日に発表した28日時点のシカゴ通貨先物市場の建玉報告によると、投機筋をあらわす非商業部門の円の買い持ち高は21日時点よりも1700枚程度縮小していた。だがトランプ氏が31日、市場の意表をついてメキシコに追加関税を課す方針を示して以降、円が1ドル=108円台前半まで上昇する過程で円買いを急速に積みあげたとみられる。 ■5月28日時点では円買い持ち高は縮小していたが…… (CFTCの円の対ドルポジション) CTAによる米ドル買い意欲の後退は世界株安に対する新興国通貨の底堅さを演出し、対円のドル売りをアシストしている――。市場ではそんな指摘もあった。ドル安で新興国の高金利通貨の魅力が相対的に高まった結果、対円での新興国通貨の売りが鈍り、ドル売り・円買いが出やすくなっているというのだ。 例えばトルコリラの対円相場は5月30日に1リラ=18円台後半とほぼ1カ月ぶりの高値水準を付けた後、足元では18円台半ばとさほど崩れていない。相場の流れに逆らう「逆張り」で知られる日本の外為証拠金(FX)投資家も、リラに限れば利息収益狙いの長期保有のスタンスが目立つ。 CFTC統計によれば、シカゴ勢が5月28日時点で保有する円の売り持ち高は8万1380枚残っている。新規にドル売りを膨らませる戦略とあいまって円の買い戻しが進む展開になれば、円買いのエネルギーは一段と増すかもしれない。 【日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 今 晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

トルコリラ、戻らぬ「空売り」 ミセスワタナベが買い再開

外国為替市場でトルコリラ相場が落ち着きを見せている。対円はここ2週間ほど1リラ=18円ちょうど前後で値幅が小さく、世界経済の先行き不透明感を背景にした投資家のリスクオフ(回避)局面でも粘り腰を見せた。トルコ政府が為替スワップ市場でリラを調達する際のコストを必要に応じて引き上げ、海外投機筋による「空売り」をけん制し続けているためだ。 リラの空売りが加速すれば当局はスワップ金利を一気に上げて投機資金を追い出そうとする。4月初旬には年率で1000%を超えた日もあった。 トルコの弱点はリラ安を防ぐための外貨準備が潤沢ではないとみられることだ。欧米ヘッジファンドなどは「不十分な外準」をよりどころにリラ売りのスタンスを変えていない。だがファンド勢が対ドルの為替スワップでリラを調達すれば市中にドルが戻る。トルコ政府は市中銀行からの借り入れでドルの「運転資金」をまかなえる。外準不足がすぐに深刻化する状況とまではいえない。 相場の変動率が低下すると金利差に焦点が当たりやすい。日本で外為証拠金(FX)取引を手掛ける個人投資家「ミセスワタナベ」のリラ買いも回復してきた。FX大手の外為どっとコムによると、リラの買い持ち高はトルコ政治の先行き不透明感が強まった6日にかなり減った後、しばらく停滞していたが前週後半ににわかに拡大。4月下旬以来の多さになった。 あるFX関係者は「トルコの金利水準がもともと高いだけでなく、当局のスワップ規制は投資家の金利収入に相当する『スワップポイント』の増加につながり得る点が認知されてきた」と話す。トルコの政治や経済を取り巻く環境は特に改善してはいないが、リラのスワップ市場の微妙な均衡が保たれているうちはミセスワタナベのリラ買いは続くのかもしれない。 【日経QUICKニュース(NQN ) 今 晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

トルコリラ下落、エルドアン氏の利下げ圧力意識 FX買い後退

国内で外国為替証拠金(FX)取引を手掛ける個人投資家「ミセスワタナベ」によるトルコリラの需要が後退している。代表的な高金利通貨であるリラはミセスワタナベの重要な運用先だが、同国のエルドアン大統領による利下げ圧力が影を落とす。トルコ中央銀行の政策スタンスやトルコ国内の政治情勢の先行き不透明感などから買いを抑える動きが出てきた。 トルコリラの対円相場は6日の海外市場で一時1リラ=18円ちょうど前後と年初来の安値圏に沈んだ。トルコ最大の都市イスタンブールで市長選のやり直しが決まり、投機的なリラ売りを促したためだ。一方でこの日は、ふだんは相場の流れに逆らう「逆張り」の買いで臨むミセスワタナベの反応は鈍かった。 FX大手の外為どっとコムによると6日、リラの買い持ち高は前営業日の3日比で約5%減った。リラ買いは日本の10連休の直前である4月24日に急増した後は減少傾向で、6日の数字は1割程度細った計算になる。市場では「4月24日のリラ買いは25日にリラをすぐ売れば10日分の金利収入が得られるとの戦略からで、積極的に為替リスクをとろうとしたわけではない」との指摘が多い。 トルコ中銀は4月25日の政策声明で金融引き締めに関する文言を削った。折しもトランプ米大統領の対中関税の引き上げ表明を受けて米中貿易摩擦への懸念が再燃している。利上げをけん制し続けるエルドアン大統領の存在も意識され、市場参加者の間では「遠からず金利引き下げの選択肢が出てくる」との警戒感がくすぶる。 イスタンブール市長選の再実施決定はそんな中で起きた。もしエルドアン氏率いる与党・公正発展党(AKP)が勝利を収めれば大統領の気勢は上がり、利下げが現実味を帯びるのではないか――。リラの下値不安はすぐには消えそうにない。 【日経QUICKニュース(NQN)今晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

平成・危機の目撃者➓ E・ユルマズが見た「トルコショック」(2018)

政治も経済も危うさ、リラ急落は再び起きる 長期金利がマイナス圏に沈むなど、金利低下が続いた平成の日本。行き場を失った個人マネーの一部は高い金利の新興国に向かった。そんな中で2018年の夏にかけて起きたトルコリラ・ショックは、新興国運用の難しさを改めて意識させた。トルコ出身のエコノミストで現在は日本で株式投資のアドバイザーも務めるエミン・ユルマズ氏は「トルコの政治的混乱は簡単には収まりそうになく、ショックは再び起こり得る」と警鐘を鳴らす。   Emin Yurumazu氏 えみん・ゆるまず トルコ出身で1996年に日本に留学。2006年に東京大学大学院理学修士を取得後、野村証券に入社し15年に四季リサーチ株式会社に移る。現在は複眼経済塾の取締役・塾頭として、投資を実践する方法を指南中 ◆GDP(Global Debt Problem)の火種 平成が始まるとほぼ同じタイミングで冷戦が終結し、東西の区別がなくなった。資本が世界中をかなり自由に動けるようになり、新興国はお金の調達が容易になった。その結果、借金が膨らみ、2000年からいままででおよそ3倍の240兆ドル近くに増えた。 新興国の高い成長は多額の借金のうえに成り立っている。その現実は忘れてはならない。国民総生産(GDP)ならぬ「GDP(Global Debt Problem)」が危機の火種になる可能性を常に警戒すべきだろう。 中国だけでなく、インドやメキシコも主要先進国に匹敵する経済規模になってきた。20カ国・地域(G20)の枠組みの中でもっと発言権を持っておかしくないのだが、そうはなっていない。 ◆米露のはざまで揺れ動く 米通商代表部(USTR)は3月上旬、トルコとインドを一般特恵関税制度(GSP)から外すと発表した。十分な経済発展を遂げたためというのが表向きの理由だが、本当は新興国に米国側につくか、ロシアにつくかを選ばせているだけだ。冷戦の構造は変わってないのかもしれない。 トルコは北大西洋条約機構(NATO)加盟国でありながら、ロシア製のミサイルシステム「S400」を導入しようとしている。米国とロシア双方のご機嫌をとっているわけだ。S400のパーツは今年の夏にも届くとされており、米露の間でのトルコの振る舞いが第2のトルコショックのような状況を引き起こす可能性は十分にある。 3月末の統一地方選では、エルドアン大統領が率いる与党連合が首都で敗北したとみられるなど厳しい結果だった。内政も昨年に比べると安定しているとはいえない。 トルコ軍は1980年代から、クルド人の独立国家建設を目指す武装組織である現在のクルド労働者党(PKK)と武装闘争を繰り返してきた。PKKの分派勢力は過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討作戦で米軍と協力したため、トルコ政府の扱いは難しくなっている。ISと唯一真剣に戦ってきたクルド人を見直す機運が国際的に出ているうえ、長引く内戦でクルド人たちのアインデンティティが強まり、クルド人国家が誕生するのは時間の問題かもしれない。 ◆原油価格上昇の影響大、通貨安に エネルギー輸入とドル建て債務が多いトルコ経済は原油価格の影響を受けやすい。トルコリラと原油相場の関係をみると、原油高とリラ安のきれいな「逆相関」が成り立つ。中東や南米の政治不安が原油高を促せばトルコの景気とリラへの打撃も大きくなる。高い金利にばかり目を奪われていては本質を見誤るのではないか。 日本人は投資対象として日本を見直す必要があるだろう。世界経済の中心は米国と中国を中心とした環太平洋圏に移っている。欧米から日中をみた「ファーイースト(極東)」の表現はもう当てはまらない。 日本には隠れた名企業がたくさんある。選球眼を磨き、個別株の運用を通じてもっと投資を楽しんでほしい。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)矢内純一 =随時掲載

米・トルコきな臭さ再び リラ急落、ETFは10%安 ゴラン高原問題で

22日の米市場でトルコ株に連動する「iシェアーズMSCIトルコ」が急落した。前の日に比べ10.35%安の24.24ドルとなった。売買高は約3倍に膨らむなど売りが殺到した。背景には中東の地政学リスクがある。トランプ米大統領が21日にイスラエルによるゴラン高原における主権を認めると表明。これに対しトルコのエルドアン大統領が「地域を新たな危機の瀬戸際に追いやる」との見解を示した。米-トルコ間の緊張感の高まりが意識された。 外国為替市場ではトルコリラも急落し、対円で20円を割りこんだ。トルコ中銀は対応に追われ、22日に緊急で金融引き締め策を公表。市場全体に動揺が広まった。 (岩切清司) ■トルコリラの対円チャート ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

再び動き始めたトルコリラ買い 「利下げ当面なし」の観測、市場不安やわらぐ

外国為替市場でトルコリラが戻り歩調を強めている。対円は1月31日に1リラ=21円台を回復し、およそ1カ月ぶりの高値を付けた。トルコ中央銀行が公表した四半期インフレ報告書をきっかけに、当面は利下げはないとの見方が広がった。米連邦準備理事会(FRB)が金利引き上げの姿勢を後退させていることも米ドル安を通じてリラの買い安心感につながっている。 トルコ中銀は1月30日に最新のインフレ報告書を発表し、2019年末のインフレ率見通しを14.6%とした。2018年10月時点の15.2%から下方修正し20年末のインフレ見通しも引き下げたが、市場関係者が注目したのは予想の前提が「引き締め的な政策スタンス」だった点だ。 トルコでは3月末、首都のアンカラや最大都市イスタンブールの市長などを選ぶ統一地方選を控える。市場では「エルドアン大統領が選挙前の景気刺激策として利下げを求め、中銀が応じるのではないか」との思惑が出ていたものの、インフレ報告書を受けて「中銀はテコでも動かないとの見方が強まった」(野村証券の中島将行・外国為替アナリスト)という。 中銀の「自信」の背景として、昨年夏から秋にかけてのリラ安がトルコ経済に好影響を及ぼし始めたことも見逃せない。トルコの文化観光省によると、18年の外国人旅行者数は過去最高となった。リラ急落でトルコ旅行の割安感が高まった。一時はブランド品を安く買おうとする企業の「トルコ詣で」が広がった。いずれにせよ外貨獲得が進めば、ドル建て債務の多いトルコのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)改善を促す。 しかも18年終盤から米金利の先高観が薄れ、「トルコショック」の一因にもなった米ドル高圧力が薄れている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが金利先物から算出する米国の金融政策予想「フェドウオッチ」によると、直近では19年は「利上げなし」が76%、「1回の利下げ」が17%。利上げを織り込む動きはしぼんでいる。高金利通貨であるリラには資金が流入しやすい。 米国株の変動性指数(VIX指数)は足元では2カ月ぶりの低さ。市場の不安心理は和らいでいる。高金利のリラが投資家の視線を集める条件は整ってきた。 〔日経QUICKニュース(NQN) 矢内純一〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

HFT隆盛で変質、外為市場は元には戻らず  by 花生浩介氏(シリーズ:ベテランに聞く)

外国為替市場の主要プレーヤーや取引形態は1980~90年代に比べると激変した。コンピューターや人工知能(AI)の発達で高頻度取引(HFT)が幅をきかせる時代になり、2008年のリーマン・ショック後に規制強化が進んだ影響もあってどんな場面でも腰を据えて売り買いの価格を示す「マーケットメーカー」は姿を消した。日本興業銀行(現みずほ銀行)や香港上海銀行(現HSBC)で30年以上為替ディーリングに携わった花生浩介氏は「HFTによって売買高自体は増えたが、市場の流動性はむしろ減少した。もう元には戻らないだろう」と話す。【聞き手は日経QUICKニュース(NQN)=菊池亜矢】 花生浩介(はなお・こうすけ)氏 1980年に日本興業銀行入行。84年から為替ディーリングの道を一貫して進む。2001年にロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)東京支店で外国為替部部長、06年から香港上海銀行に移り外国為替本部長とマネージングディレクター。17年にバルタリサーチを設立し個人の目線からマーケット情報を提供する傍ら、トレーニング用品やソフトウエアを扱うスポーツ関連企業フィットネスアポロ社の社長 ■混乱時のパニック増幅しやすく 現在の市場の主役はAIをバックにしたHFTだ。HFTはふだんはマーケットメーカーのように振る舞って相場の値動きを決める半面、混乱時にはいっせいに手を引き、パニックを増幅してしまう。いざというときには頼りにならない。責任感をもって市場機能を維持する真のマーケットメーカーがいない現在の外為市場は、市場メカニズムの是正といった自らの優れた機能を大きく損ねている。市場は事実上しぼんでしまったといっていい。 ディーラーの駆け出しのころ、日本はバブル絶頂期だった。金融危機の前で金融機関や投資家のリスク許容度は極めて大きく、いまでは考えられない大金が活発に動いていた。現在に比べるとはるかに小さい規模の市場の中で、30歳代にかけての5~6年は朝から夜中まで顧客の注文に応じて価格を出し続けた。 ときには大きなリスクも取ったが、ポジションの保有時間は長くて5分、下手をすると5秒で回転させて「流動性」を供給してきた。回転売買に徹していた気がする。結局はそれがリスクヘッジになっていたかもしれない。当時は自分よりも巨額の持ち高を振り回し、マーケットメーカーの役割を果たすディーラーがごろごろいて市場全体が活気づいていた。 ■ポンド危機の攻防に息のむ 忘れられないのは1992年の9月。英国がジョージ・ソロス氏率いるヘッジファンドの英ポンド売りに耐えられず、欧州の為替相場メカニズム(ERM)離脱を決めたころだ。ある日、東京市場でイングランド銀行(英中央銀行)がポンド防衛のため、日銀に委託してポンド買い・円売り介入をしたと噂された。一方、ロンドン市場でソロスファンドは売り崩しを続け、他の投機筋も追随し英ポンドは暴落した。 投資家が中央銀行に歯向かうなどということは通常は考えられない。だがERM離脱によって英国の金利は大幅に低下し、通貨安もあってその後の英国経済は回復に向かった。政府・中銀の無理な政策を市場メカニズムが是正した好例といえ、ファンド勢の動きに感心したのを覚えている。 コンピューターの草創期で取引記録は完全には機械化できず、損益も手計算でリアルタイムでの把握は難しかった。それが不正やミスの温床になったわけで、昔を懐かしんでもしょうがない。ただコンプライアンス(法令順守)強化など規制でがんじがらめになった結果、市場のダイナミズムは間違いなく失われた。 「毎日が戦争」の感覚で混乱の極みのような生活を続けていたにもかかわらず、疲れたとか嫌になったとかの記憶はない。大きな損失を抱え途方にくれたことは何度もあったが、ディーリングは結果がすべて。学歴も派閥も関係ない極めてフェアな世界で奮闘できたのは幸せだった。 外為市場はスポーツに例えると、地元の野球少年がメジャーリーガーと一緒にプレーするようなもの。「伝説のディーラー」と呼ばれる人は尊敬できる人が多く、いつか自分もそうなりたいと励みになっていた。理屈やデータの通りに動くコンピューターやAIの時代はそれはそれでフェアなのかもしれないが、淡泊すぎる。 ■大局観を忘れずに そんな中でも為替でディーリングを続けるとすればどんなスタンスで臨むべきだろうか。とりあえずは世界の大まかな流れを忘れないようにしたい。 ニューヨークで勤務した1990年代後半は米経済が絶好調だった。政策を担っていたのはグリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長とルービン財務長官、サマーズ財務副長官という最強トリオ。折しもWindows95が発売になり、IT(情報技術)化の波が押し寄せていた。業種を問わずパソコン導入が加速した。米国のバロンズ誌が毎年出す景気予測で、エコノミストらの「好景気は続かない」という主張がことごとく外れていく。それまでと違うレベルで設備投資の革命が起きていると感じた。 「本場」に身を置くことで近視眼的な見方から離れ、大局観を得るのは大切だ。インターネット全盛の現代はネット経由で様々な情報を入手できるが、それでも「百聞は一見にしかず」の真理はまったく変わらない。 リーマン・ショックを境に産業の主役が金融からITに移ったことも重要だ。金融はITと親和性が高く、リーマン・ショック前までは最先端の技術を誇る業界だった。しかし、金融危機後は名だたる金融機関が公的資金で救済され金融規制に縛られると業界全体が萎縮した。現在はアップルやグーグルなど大手IT企業の取り組みのほうがずっと面白く金融は背中を追いかける格好になっている。金融とITをあわせた「フィンテック」でファイナンスは前だが、実際にはITの後じんを拝しているとの印象が否めない。 足元のAI活用はコンプライアンス違反を避けるためとの後ろ向きな理由もある。機械なら基本的に不正はしない。ヒューマンエラーによる訴訟リスクを抱え込まずに済む。金融は徹底的にリスクを抑える方向になり、生産性を抑えた。 ■次の活路は新興国市場に AI活用の大きな流れはおそらく止められない。万難を排して最先端の技術革新をもう一度金融に取り入れないと、金融業界の復活はないだろう。 金融が他の産業と異なるのは決済をつかさどっている点だ。決済は最も大切な社会インフラの1つで、多額の資金を安定的に決済することで社会全体の安定を下支えする。流動性や安定性は他の産業とは比較にならないほど大切で、流動性を担保する意味は大きい。1回あたりの取引金額から考えてもリスクが取りにくい環境になっているはずなのに、機械化以前のほうがリスクが少なかったように思えるのは昔のほうが流動性が厚かったからだろう。 昨年初めにかけて仮想通貨がブームとなったが、投機性だけに焦点が当たると通貨としての必然性は失われる。為替を含めた決済システムを仮想通貨の基幹技術「ブロックチェーン」に変えるといった話でも、市場流動性を確保する方向に持っていくなどの努力を忘れてはならない。 昨年の「トルコリラショック」などを振り返ると、新興国では短期金融や為替市場が未整備で、為替差損リスクヘッジの手法や投資情報など主要国では当たり前のインフラがまだ整っていないと痛感した。新興国経済は世界全体の約半分を占めるまでに拡大しているのに金融市場は脆弱で、流動性は異様に低い。 裏を返せば、新興国市場での流動性創出は金融業界に残された数少ない課題だ。経済成長率が1~2%の先進国でできることはほとんどなく、もはやリターンも期待できない。次の活路は新興国に求めるべきだろう。 (随時掲載)

ミセスワタナベ「瞬落」の後遺症 トルコリラ、近くて遠い20円台定着

トルコリラの上値が重い。米国の利上げペースが鈍るとの思惑や米中貿易交渉への楽観論などから米株式相場は持ち直し、投資家のリスク回避姿勢は緩んでいる。トルコなど高金利国の通貨には本来追い風のはずだが、主な買い手である日本の外為証拠金(FX)投資家「ミセスワタナベ」は年初のフラッシュ・クラッシュ(瞬時の急落)でかなりの痛手をこうむり、まだ十分に立ち直れていないようだ。 ■トルコリラ(グラフ青)とドル、ユーロの対円相場 トルコリラの対円相場は足元で1リラ=19円台後半で推移している。3日のフラッシュ・クラッシュで17~18円台まで下げた後、米株高などにつれて4日には20円台半ばまで戻したものの、昨年12月終盤に付けていた20円台後半~21円ちょうど近辺には届かないまま再びずるずると下げた。 FX大手外為どっとコムによると、3日のトルコリラの買い持ち高は前日比で23%程度減少した。値動きから考えて売りのほとんどが損失確定の注文とみられる。3日は他の通貨に対しても軒並み円高が加速したため、ユーロやドル、オセアニアの通貨などを並行して買っていた投資家はダブルパンチ、トリプルパンチだった公算が大きい。体力回復には時間がかかるだろう。 FXは「レバレッジ」と呼ばれる仕組みにより、差し入れた証拠金の25倍まで運用額を増やせる。リラの利息収入に相当する「スワップポイント」は1万通貨で1日あたり最大100円を超えることもある。1リラを買うのに必要な円の元手はユーロや英ポンドに比べるとはるかに少ないので、金利重視でリラを買う戦略の人気は根強い。だが、レバレッジに傾きすぎると逆回転にもろくなる。 レバレッジを抑えリスクを落としたら落としたで買いのインパクトは弱まる。トルコの政治・経済に新たな悪材料が出ているわけではなく、ミセスワタナベに余力が戻ればリラの需要は相応に増えそうだが、相場の上昇エネルギーは簡単には高まらないだろう。昨年末の水準は近くて遠い。 〔日経QUICKニュース(NQN) 編集委員=今 晶〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICK端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ビットコインの変動率が低下、トルコリラ並みに

インターネット上の仮想通貨の変動率(ボラティリティー)がここにきて安定している。ビットコインのボラティリティーは期間によっては法定通貨のトルコリラ並みの水準まで下がった。価格の急変動をもたらした投機資金の大部分は既に退散。仮想通貨市場が脚光を浴びる前から取引をしてきたグループが細々と売り買いを繰り返している程度で前途は多難だが、値動きの荒さを嫌う機関投資家からみると参入障壁が下がるというポジティブな要素もある。   30日のビットコインのドル建て価格は1ビットコイン=6300ドル前後で膠着している。9月までは1日で1000ドル超上下することも少なくなかったが、10月は大きくても300ドル程度の変動にほぼ収まっている。   仮想通貨市場の調査などを手掛けるアルトデザインによると、過去の値動きから算出するヒストリカル・ボラティリティー(HV)は直近1カ月で26%前後と、トルコリラの21%台に比べると5%程度高い水準にとどまっている。直近3カ月のベースでは43%前後と、「トルコショック」を挟んだトルコリラの48%台よりも低い。   コインチェック問題に揺れた1~2月のビットコインのHVは120~130%台だった。現在はその5分の1程度しかない。イーサリアムやリップルなど安全性が高いとされる代表的なオルトコインの変動率も軒並み下がっている。   足元では仮想通貨「テザー」を巡る混乱が続いているほか、カナダの交換所が突然取引を止めるなど相変わらずトラブルは多い。それでも現在市場に参加しているベテランの仮想通貨トレーダーや通貨の採掘者(マイナー)は「市場健全化に向けて避けては通れない道で、想定の範囲内」とほぼ反応しなかった。   波乱材料に対する抵抗力の強さは長期投資にとってはプラスだ。国際通貨研究所の志波和幸主任研究員は「価格がある程度安定していなければ投資家層は広げられない。このまま相場が落ち着けば規制整備に向けた追い風になるだろう」と話す。仮想通貨全体の売買高はピークだった今年1月から大幅に減少しているが、志波氏は「身の丈にあった市場規模は、健全性を高めるために大切なプロセスの1つ」とみる。   主に仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)で生み出されるオルトコインの増加にも一服感が出ている。セキュリティー面で劣るオルトは悪意を持ったハッカーの標的になるなど市場を混乱させてきたが、投資家の視線が厳しくなり、10月はICOによる資金調達額は前年同月割れになるもようだ。   国が旗振り役となってICOの規制を進める機運も高まっている。さらに各国の金融当局者が集まる金融活動作業部会(FATF)は、来年6月までに仮想通貨取引などに関する最初の国際ルール策定に向けて動いているようだ。同じ時期に開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国日本が主導権を取るかもしれない。市場では「外国為替証拠金(FX)取引がレバレッジ規制などで通った道を仮想通貨もようやくたどれる」との期待が出てきた。   【日経QUICKニュース(NQN ) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

トルコリラ一服 牧師・経常収支ひとまず解決、あとは高インフレ

トルコがアメリカ人牧師を釈放したことを受けたトルコリラの買い戻しの流れが続いており、16日の外為市場でリラは大幅に続伸した。対円では2%超の上昇となり20円の節目が視野に入ってきた。 ファンダメンタルズ面でリラ安要因となっていたトルコの経常収支は単月で黒字に転じた。一方、インフレ率は加速している。市場では25日に開催されるトルコ中銀の金融政策会合が注目されている。(池谷信久) <トルコリラの対円相場>    ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

流動性低い通貨には手を出すな by 若林徳広氏(シリーズ:ベテランに聞く)

投資に必勝法などはなく、ミスを極限まで減らすことこそ勝利への近道。その鉄則に忠実に従い、相場の荒波を乗り越えてきたのが外国為替ディーラーのバート若林こと若林徳広・ステート・ストリート銀行東京支店長だ。若林氏は「相場観を間違えてもすぐに気づけば十分立て直せる」と指摘し、そのうえで「流動性」の大切さを訴える。「トルコリラのように相対的に流動性が低い通貨には手を出さぬ割り切りも必要」と説く。【聞き手は日経QUICKニュース(NQN)編集委員=今 晶】 若林徳広(わかばやし・とくひろ)氏 東京都出身。セント・メリーズ・カレッジ・オブ・カリフォルニアを卒業後、東京で外国為替のキャリアをスタート。以後トロントやシドニー、香港で勤務した後、2000年にステート・ストリート銀行に入行し東京支店の金融市場部部長や香港支店の外国為替営業部長を経て現在にいたる   ■どんな荒れ相場でも変わり身早く プロとして生き延びてきた人はともかくミスをしない。ミスをしないとは、相場観やポジショニングを間違わないとの意味ではない。誤解を恐れずにいえば変わり身の早さだ。読みが外れてもすばやく気持ちを切り替えて流れに乗り、相場が上げても下げても収益を得る。トライ・アンド・エラーを続け、経験を積んでミスを防げば収益拡大の好機はいずれ訪れる。 2008年のリーマン・ショックや12年にかけてのギリシャ危機、16年の英欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)決定と米大統領選でのトランプ氏当選後など金融市場が大荒れとなった時期を最前線の為替ディーラーとして過ごしてきた。相場が激しく動いているときはどこが適正水準かの見極めはほぼ不可能だ。それでも顧客や他のディーラーから価格提示を求められたらレートを出さなければならない。そんな中でミスなく注文をさばいていく力を付けていった。 若いころに野球をしていたので、1つのミスが試合全体に及ぼす悪影響の大きさは身にしみている。相場も、利害が異なる多数の参加者がせめぎ合うスポーツのようなものだ。ミスばかりしていては絶対に勝てない。 電子トレーディングシステム(EBS)が普及するまでは人間のブローカーがスピーカー経由で流す声を聞き、専用回線を通じてトレーダーとブローカーが取引していた。ブローカーの声色から大量の注文が入っているのか相場が荒れているのか、商いが厚いのか薄いのかだいたい推測できた。一方、デジタル全盛のいまは値段をコンピューターのモニター画面で見る時代。無機質な数字には感情がこもらない。相場の風向きを把握するのは難しくなっている。 足元ではコンプライアンス(法令順守)の制約もある。ディールはどうしても守りに入りがちだが、ミスの原因を減らして変化に対する感度を高められれば優位にたてる。 ■トルコリラ急落は起こるべくして起きた アルゴリズムなどの高速取引が存在感を増している。機械がひとたび反応するとごく短い時間で巨額のお金が行き来し、相場の振れが大きくなりやすい。 ここで重要なのが取引の自由度をあらわす「流動性」だ。流動性が低いと市場の混乱時に機動的な持ち高調整が難しく、思わぬ損失につながりかねない。流動性が乏しかったら手を出さないぐらいの割り切りがあっていいと思う。 8月にかけて急落したトルコリラにも同じことが言える。主要20カ国・地域(G20)メンバーでもあるトルコの市場規模はかなり大きく、リラの平時の流動性は問題ない。ただ先進国通貨に比べると足の速い投機資金の割合が高い。いざというときの流動性はだいぶ下がると考えられる。少なくとも相場が一定期間、一方向に振れ続けているときは急激な反動のリスクを意識すべきだ。 日本では低金利環境が長引いているため、トルコリラのような金利の高い通貨の需要は根強い。外為証拠金(FX)投資家を中心に持ち高は円売り・リラ買いに傾いてくる。半面、そのことを海外勢はよく知っていて、損失覚悟のリラ売りを行使させようと攻めてくる。流動性の問題と持ち高の偏り。7~8月にかけてのリラ安加速は起こるべくして起きたのだろう。 バブルやその崩壊時期の見分け方についての研究はまだ進んでいないが、場数を踏んだ金融機関は傷を最小限に抑えるためのノウハウを蓄積している。収益を上げるには、ある程度はリスクをとって動かざるを得ない。ここでも、いかにミスを減らすかの重要性が強調されているはずだ。(随時掲載)    

【朝イチ便利帳】13日 トルコ中銀決定会合、ECB理事会とドラギ総裁会見

13日は7月の機械受注統計、9月のQUICK短観などが発表される予定。IPO関連ではマリオン(3494)、香陵住販(3495)が新規上場するほか、ブリッジインターナショナル(7039)の仮条件が決定する。   海外では、欧州中央銀行(ECB)理事会やトルコ中銀の金融政策決定会合が予定されているほか、8月の米消費者物価指数、米財政収支などが発表される。また、インド市場が休場となる。   【13日の予定】 国内 時刻 予定 8:30 9月のQUICK短観 8:50 対外対内証券売買契約(週間、財務省)   7月の機械受注統計(内閣府)   8月の企業物価指数(日銀) 10:30 5年物国債の入札(財務省) 11:00 8月のオフィス空室率 11:30 8月の首都圏マンション発売 15:00 8月の投信概況(投資信託協会)   全銀協会長の記者会見 その他 東証ジャスダック上場=マリオン、香陵住販 海外 時刻 予定 2:15 ボスティック米アトランタ連銀総裁が講演(14日) 3:00 8月の米財政収支(14日) 10:30 8月の豪雇用統計 20:00 英中銀が金融政策委員会の結果と議事要旨を公表   トルコ中銀が金融政策決定会合の結果発表 20:45 欧州中央銀行(ECB)理事会の結果発表 21:30 ドラギECB総裁が記者会見   米新規失業保険申請件数(週間)   8月の米消費者物価指数(CPI) 23:00 クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長が議会証言 その他 インド市場が休場 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 9005 「祖業」の鉄道、東急が分社化 不動産など本体に 各紙 +1.64% 9/12 2502 アサヒ傘下のアサヒビール、海外3ブランド販売終了 日経 +1.00% 9/12 3099 三越伊勢丹傘下、来年2月休業日廃止 日経 +0.78% 9/12 8011 米RMB、三陽商株を5%取得 日経 +0.64% 9/12 9432 NTT、世界競争に備え 米に資材調達会社 日経 +0.45% 9/12 7150 金融庁、島根銀行収益悪化 業務改善命令へ 週内にも 朝日 +0.32% 9/12 7261 逆風ディーゼル、マツダの賭け HV投入 電動化で燃費2割向上 日経 +0.20% 9/12 5711 東京地検、三菱マ3子会社を起訴 品質データ不正で 各紙 +0.16% 9/12 8227 しまむら、3〜8月期営業益4割減 婦人服落ち込む 日経 -0.19% 9/12 7203 トヨタ「サイドミラーレス車」、量産車に世界初 カメラで安全確認 各紙 -0.58% 9/12 6954 ファナック、米に新拠点 倉庫や評価機能も 日刊工 -0.61% 9/12 7011 三菱重とJAXA、H2B打ち上げ 15日の早朝に 日経 -0.89% 9/12 6326 クボタ、検査で不正 金属部品、報告書書き換え 各紙 -1.35% 9/12 3193 鳥貴族、前期税引き益32%減 値上げで客足減 日経 -3.44% 9/12 8358 オーナー弁護団、スルガ銀に対し幹部の提訴請求 朝日 -8.30% 9/12  

底なしトルコリラ安、利上げ示唆の中銀声明にも冷淡 金融リスクの警戒感広がる

外国為替市場でトルコリラの下落が続いている。トルコ中央銀行は3日、インフレ率の急上昇を受けて9月の金利引き上げを示唆する声明を出したが市場の反応は冷ややかだった。利上げに否定的とされるエルドアン大統領の姿勢が変わらない限り、物価抑制と景気安定に必要な金融引き締めは難しいとの認識が広がっている。 4日の東京市場でリラの対円相場は1リラ=16円台後半で推移している。3日の中銀声明の発表後は17円前後まで上値を試したが、買いは続かなかった。8月の急落時に付けた過去最安値の15円台後半に近い水準で低迷したままだ。 3日に発表された8月のトルコ消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比17.90%と2003年12月以来ほぼ15年ぶりの高さになった。国内の生産者物価指数(PPI)は同32.13%と7月(25.00%)から一段と上昇ペースが速まった。生産者が物価上昇に耐えきれず消費者に価格転嫁する公算は大きく、「CPIの前年比上昇率は年末までに20%に達する」(みずほ証券投資情報部の折原豊水シニアエコノミスト)。トルコ中銀の危機感は相当高まったはずだ。 3日の中銀声明は「物価の安定を支えるため必要な措置を講じる」、「9月の金融政策委員会で金融のスタンスを調整する」というもの。オランダのラボバンクは3日付リポートで「中銀のチェティンカヤ総裁は声明を出すことによって、正攻法の利上げに踏み切る義務を自らに課した」と解説していた。 だが、エルドアン氏がチェティンカヤ氏の意向を尊重してくれるとは限らない。 みずほ証の折原氏は「市場が期待する大幅利上げにはおそらく踏み切れない」と話す。中銀介入にかじを切るエルドアン政権のもとで、引き締めを強化し通貨安を止められるかは依然として不透明だ。「少なくとも10%は利上げしないと市場は驚かないだろうが、政治サイドに金利上昇への嫌悪感が強いなかで、中央銀行がすべきこととそれが実際にできるのかは分けて考える必要がある」(ラボバンク)との懐疑論が目立つ。 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの橋本和子研究員は「リラ安が進むなか、外貨建て債務の多いトルコ企業が経営危機に陥る恐れがある」と指摘する。市場からは「信用リスク懸念からトルコ系銀行のドル調達コストは上昇した」との声も聞こえてくる。 ただでさえトルコの大手企業はエルドアン大統領の縁故主義が強く、ガバナンス(統治)がうまく機能していないとされる。「トルコの金融機関が、借り換えが集中する年末にかけて円滑に借り換えを進められるかが焦点」(みずほ証の折原氏)との警戒感が広がってきた。 〔日経QUICKニュース(NQN) 菊池亜矢〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

トルコリラ急落から何を学ぶか by 小林芳彦氏(シリーズ:ベテランに聞く)

外国為替市場で7月以降に加速したトルコリラの下落は、日本で外為証拠金(FX)を手掛ける個人投資家に大きな打撃を与えた。銀行の為替ディーラーからFX業界に転じたJFX(東京・中央)の小林芳彦社長は「個人はどんぶり勘定になりがちで気がつくと負けが込んでいる」と指摘し、「自分がどれだけの頻度で勝ち、1回当たりどのぐらい勝てるトレーダーなのかの『身の程』をきちんと知ることが勝利への近道」と説く。【聞き手は日経QUICKニュース(NQN)編集委員=今 晶】 小林芳彦(こばやし・よしひこ)氏 1979年慶大商卒、協和銀行(現りそな銀行)入行。87年から本店資金為替部の調査役となり、カスタマーデスクのヘッドなどを務めた後、89年10月に外資系金融機関に移る。クレディ・スイス銀行の資金為替部長や独バイエリッシェ・ヒポ・フェラインス銀行(現ウニクレディト)為替資金部長、バンク・オブ・アメリカの為替資金部営業部長を歴任しFX業界に入った。「NO.1為替ディーラーが伝授するインターバンク流FXデイトレ教本」(日本実業出版社)などの著書がある ■自らの「損益分岐勝率」を知る 金利差重視で外貨を売り買いする人は金利の高い通貨を安く買って長く保有するだけなのでとりたてて戦法はないが、秒単位で売買を繰り返す「スキャルピング」などの短期取引で差益を狙うのなら押さえておきたいポイントがある。運も実力も備えた「常勝型」はめったにいない。たいていは勝率3~6割の間をうろうろしているだろう。問題は勝つときにどれだけ収益を上げられるかだ。 まず過去を振り返るところから始めてほしい。例えば円の対ドル取引で勝ちを収めた際に1ドル当たり何銭程度利益を上げ、負けたときに何銭損をしたか紙に書き出してみる。 敗戦時の損失が勝利を収めたときの1.5倍だったら、6勝4敗でどうにか収支トントン。7勝3敗でようやくプラスになる。勝率7割はかなり難しいはずだ。勝ちの数を増やせないなら1回当たりの損失を抑えるしかない。 含み損を抱えた持ち高をずるずると維持した結果、それまでコツコツと積みあげてきた利益がパーになった苦い経験はないだろうか。「まずいな」と思ったらただちに手を引くべきだ。リーマン・ショックなどのように相場が大きく荒れる局面ではなおさら、撤収のスピードが大切になる。 市場では「仮に1勝9敗の成績でも、その1回で大きく勝てれば収支はプラスにできる」とのもっともらしい解説をよく聞く。だが6勝4敗でトントンの人間がいきなり1勝9敗で勝てるはずはない。「逆転ホームラン」を狙うあまり損失確定のタイミングが遅れ、損を取り返せないまま終わるのが関の山だ。 限られた資金をどう使うかのルールは厳格にすべきだ。持ち高は差し入れた証拠金の10~20%程度に抑えたり、損失は証拠金の2%以内にとどめたりする。含み損を平準化するために持ち高を増やす「ナンピン」は避けたい。ナンピンを絶対ダメだとはいわないが、撤退の方針を決めて臨んでほしい。 ■ファンダメンタルズは金融政策と金利に絞れ ディーリングの基本は相場の流れに乗る「順張り」だ。日本のFX投資家は流れに逆らう「逆張り」を好むものの、逆張りはいわば、ぶつかってくる相手を受け止める横綱相撲だ。横綱のように胸を貸せるぐらいの力(お金)の余裕があればそれはそれで1つの選択肢だろうが、たいていは「衆寡敵せず」で寄り切られてしまう。 7月の金融市場を動揺させたトルコリラ安の局面でもFX勢は果敢に逆張りでリラを買った。だが結局は欧米ヘッジファンドなどの投機筋のリラ売りに歯が立たず、損失覚悟のリラ売りがさらなるリラ売りを招く悪循環に陥った。 ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)では金融政策と金利に絞って考えるとよいだろう。チャートなどを用いたパターン分析は何でもかんでも手を出すのではなく、ローソク足や一目均衡表、移動平均線など4~5個に絞って定点観測をする。値動きからマーケットのセンチメント(投資家心理の傾き)を瞬時に判断し、取引につなげていくアプローチも大切だ。 短期のディーリングは気持ちに余裕がないと勝てない。負けてカッカしているときは無理にディールをせず、パソコンのモニターの電源を消したり、冷たい水を飲んだりして心を落ち着かせることだ。 思い通りにいかないからといって「相場が間違っている」とムキになってはいけない。相場は常に正しいと謙虚に受け止める冷静さを保ちたい。(随時掲載)    

犠牲祭よりリスクオン祭 トルコリラ安は「取るに足らない」動きか

「犠牲祭」を乗り切れるのかーー。一部の外国為替市場関係者が心配していた注目イベントが、大きな混乱なく通過した。27日の外為市場でトルコリラは対円で18円を割り込み17.76円まで売られる場面があったが、売り一巡後は18円台を回復する動きとなっている。 トルコリラは一時対ドルでも大きく売られたが、欧米株式相場は軒並み上昇しており、「トルコ発のリスクオフ」とはなっていない。イスラム教の祝祭日である犠牲祭は今年は21~24日。休み中は流動性が低下するため、トルコリラ相場のボラティリティが上昇しやすいとの指摘も出ていたが、犠牲祭の最中も休日明けの取引でも、パニック的な動きは見られなかったもようだ。 SMBC日興証券の野地慎氏は28日のレポートで、「トルコ一国の問題は世界経済にとって軽微」だが、ドル高(米国金利上昇)が続けば、ブラジルや南アフリカなどにも波及し、「結果として先進国経済への負のインパクトも大きくなる」可能性はあると述べている。 現時点で「ドル高と新興国通貨安のスパイラル」を回避できているのは、パウエルFRB議長の「High pressure economyを志向するようなジャクソンホール講演」によって「米国市場はドル安、株高の典型的なリスクオンと化した」ためであると指摘。そして、「ドルインデックスが大きく下げるなかであれば、自ずと新興国通貨の対ドル減価も止まり、ドル安に連動したコモディティ価格の上昇がむしろ新興国市場で好感される」とし、「トルコリラの下落など『取るに足らない』動きとなって当然である」と述べている。(丹下智博、池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

投機筋ついにユーロ売り越し トルコ余波、半端ないドル一強

米商品先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(14日時点)でユーロが1789枚のネットショートとなった。ユーロの投機ポジションがショートとなるのは2017年5月2日以来、1年3カ月ぶりのこと。トルコと米国の対立が激化したことで13日、トルコの通貨リラの対ドル相場が1ドル=7.2362リラに急落。史上最安値を更新するなか、ドル高・欧州通貨安の流れを受けてユーロ売りが活発化した格好だ。 豪銀大手オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は20日付のリポートで、CFTCの為替ポジションを踏まえて「レバレッジド・ファンドとアセット・マネジャーズらは2週続けてドルを買い越した」と指摘した。ドルの買い越し規模は前週比で5億ドル増の303億ドルに膨らんだといい、2015年11月以来の高水準に達したという。米中の貿易紛争懸念が残るなか、ドル指数が強含んでいることと整合的な動きとみられる。 なお、リポートでは「今週はFOMCの議事要旨のほか、ジャクソン・ホールでパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が週末に開かれるため、短期的なポジショニングを占う上で重要なものになるだろう」と指摘した。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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