どこまで踏み込む、日銀の次の一手 市場関係者に緊急サーベイ

QUICKコメントチーム=丹下智博 米中対立が貿易から通貨の領域に及び、世界経済のリセッション(景気後退)入りが意識されるなか、各国の中央銀行が我も我もと利下げに動く。金利低下に拍車がかかり、円は1ドル105円台前半まで上昇した。お盆休みは相場も荒れがちだ。金融緩和の先頭を走ってきた日銀はこの先どう動くのか、9月の政策決定会合への注目はいやがうえにも高まる。市場関係者に、日銀の次の一手を予想してもらった。 目立つのはマイナス金利の深掘りと長期金利目標の変更、フォワードガイダンスの強化だ。副作用が大きすぎるとの指摘も多いマイナス金利だが、現在のマイナス0.1%からさらに10bp引き下げてマイナス0.2%にする(内田氏、門間氏、渡辺氏)との見方がある。高田氏はマイナス0.15%にするとの予想だ。 意識されるタイミングは1ドル=100円ラインが目安か。そこまで円高が進めば、長期金利の目標の変更、国債やETFの買い入れ増額など政策を総動員する可能性も出てきそうだ。日銀貸し出しへのマイナス金利適用などの組み合わせを予想する声もあった。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

【朝イチ便利帳】7日 ソフトバンクGや東芝の決算 NZ、インドなど政策金利

7日は日銀が金融政策決定会合(7月29~30日開催分)の主な意見を公表する。ニュージーランド、インド、タイの中央銀行は政策金利を発表する。 ソフトバンクG(9984)やJXTG(5020)、東芝(6502)、昭電工(4004)などの4~6月期や1~6月期の決算発表が予定されている。   【7日の予定】 国内 時刻 予定 8:50 日銀金融政策決定会合の主な意見(7月29〜30日開催分)   7月上中旬の貿易統計(財務省) その他 4〜6月期決算=大林組、日清食HD、JXTG、住友大阪、三菱マ、東芝、Jディスプレ、IHI、大日印、丸井G、ソフトバンクG、日本生命(大樹生命を含む)、MS&AD   1〜6月期決算=昭電工、電通、クボタ 海外 時刻 予定 1:00 ブラード米セントルイス連銀総裁が講演 4:00 6月の米消費者信用残高(8日) 22:30 エバンス米シカゴ連銀総裁がメディア関係者と朝食会 23:30 米エネルギー省の石油在庫統計(週間) その他 ニュージーランド中銀が政策金利と金融政策報告書を発表   タイ中銀が政策金利を発表   インド中銀が政策金利を発表   4〜6月期決算=リフト 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 7606 Uアローズ、純利益22%増 4〜6月 日経 +5.80% 8/6 7201 中国新車販売7月、日産自1%増 日経 +3.35% 8/6 6841 横河電、特損30億円 4〜6月 部品不良は「宇宙線の影響」 日経 +2.05% 8/6 7731 ニコン、50%減益 一眼レフ露光装置が不振、4〜6月最終 日経 +1.97% 8/6 2811 カゴメ、純利益23%増 物流事業の売却益寄与、1〜6月 日経 +1.46% 8/6 6740 Jディスプレ、決算発表9日に延期 金融支援の調整で 各紙 +1.44% 8/6 4912 ライオン、純利益38%減 1〜6月、半導体部材伸び悩み 日経 +0.91% 8/6 2503 キリンHD、ファンケルに33%出資 1300億円、健康食品に注力 日経 +0.65% 8/6 4921 +0.99% 8/6 3258 ユニゾHDがTOBに反対表明 HIS、敵対的買収に 各紙 +0.14% 8/6 9603 -0.94% 8/6 9432 NTT、純利益3%減 4〜6月 自社株買い枠3000億円 日経 +0.12% 8/6 9432 NTT社長「顧客に迷惑」、中国ファーウェイ製販売巡り 日経 +0.12% 8/6 8802 菱地所、純利益4%増 4〜6月 オフィスけん引 日経 +0.02% 8/6 4689 ヤフーと三越伊勢丹、AIでスカート開発 ニーズ解析、来月発売 日経 0.00% 8/6 3099 -0.75% 8/6 3769 GMO−PG、純利益41%増 18年10月〜19年6月 日経 0.00% 8/6 6367 ダイキン、純利益6%増 4〜6月最高益、日欧で空調好調 日経 -0.11% 8/6 7867 タカラトミー、78%減益 4〜6月最終、玩具など販売減 日経 -0.51% 8/6 1762 高松グループ、青木あすなろにTOB 完全子会社化へ 日経 -0.77% 8/6 1865 +0.25% 8/6 2914 JT、たばこ115銘柄10円上げ 各紙 -0.81% 8/6 7550 ゼンショHD、純利益67%増 4〜6月 日経 -0.91% 8/6 6723 ルネサス新体制に試練、2四半期連続赤字 4〜6月営業、産業向け在庫圧縮遅れ 過剰設備の解消急務 日経 -1.14% 8/6 9684 スクエニHD、純利益26%減 4〜6月 日経 -1.20% 8/6 7238 ブレーキ、88億円赤字 4〜6月最終、北米で受注減 日経 -1.43% 8/6 7701 島津4〜6月、純利益22%減 分析装置伸び悩み 日経 -1.89% 8/6 5301 東海カ19年12月期の営業益、15億円上方修正 独社買収が寄与 日経 -1.95% 8/6 3436 SUMCO、18%減益 韓国勢の半導体減産懸念 1〜6月最終 日経 -1.97% 8/6 4812 ISID、子供に合った競技提案 AI活用システム販売 日経 -2.02% 8/6 6448 ブラザー純利益、4〜6月22%減 工作機械が受注減 日経 -2.24% 8/6 4109 ステラケミ、20%減益 4〜6月最終、韓国向け輸出「影響見極め」 日経 -2.81% 8/6 8354 ふくおかFG、地銀初のネット専業銀行 2020年度にも 各紙 -3.22% 8/6

【朝イチ便利帳】1日 日銀の雨宮副総裁会見、7月の米ISM製造業指数

1日は雨宮正佳日銀副総裁が鹿児島県金融経済懇談会であいさつし、午後に記者会見する。米連邦公開市場委員会(FOMC)が10年半ぶりに決めた利下げについてどのような見解を示すのか注目だ。参院選後初めての臨時国会の召集なども予定されている。 海外では7月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数の発表がある。そのほか、主な予定は下記の通り。   【1日の予定】 国内 時刻 予定 8:30 QUICKコンセンサスDI(7月末時点) 8:50 対外対内証券売買契約(週間、財務省) 10:30 10年物利付国債の入札(財務省)   雨宮日銀副総裁が鹿児島県金融経済懇談会であいさつ(鹿児島市) 14:00 雨宮日銀副総裁が記者会見(鹿児島市)   7月の新車販売(自販連)   7月の軽自動車販売(全軽自協) 15:30 6月末の税収実績(財務省) その他 臨時国会召集   4〜6月期決算=双日、王子HD、イビデン、三井化学、小野薬、板硝子、日本製鉄、古河電、フジクラ、千代建、シャープ、カシオ、ローム、マツダ、ヤマハ、三菱商、あおぞら銀、西武HD、KDDI、ヤマダ電   1〜6月期決算=アサヒ、協和キリン 海外 時刻 予定 10:45 7月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI) 20:00 英中銀金融政策委員会の結果と議事要旨を発表 21:30 米新規失業保険申請件数(週間) 23:00 7月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数   6月の米建設支出 その他 4〜6月期決算=スクエア、デュポン、ゼネラルモーターズ(GM)、ベライゾンコミュニケーションズ 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 9062 日通、トラックのチャーターで10%値上げ 日経 +6.02% 7/31 5938 LIXILグ「混乱収拾にもう1カ月」 前体制の中計取り消し 日経 +2.38% 7/31 7181 かんぽ生命不適切販売で全3000万契約調査 各紙 +2.07% 7/31 6762 TDK、純利益4%減 4〜6月、自動車向けが不振 日経 +2.04% 7/31 9501 東電HD、福島第2廃炉に4100億円 各紙 +1.74% 7/31 4005 住友化、4〜6月純利益52%減 税負担増で 日経 +1.01% 7/31 6752 パナソニック、営業利益44%減 4〜6月、メキシコ工場閉鎖へ 日経 0.00% 7/31 6981 村田製、純利益20%増 4〜6月、車載向け部品けん引 日経 -0.10% 7/31 9201 JAL、純利益32%減 4〜6月、羽田拡張にらみ投資増 日経 -0.43% 7/31 4502 武田、最終赤字幅縮小 役員報酬見直し 日経 -0.62% 7/31 6701 NEC、11年ぶり営業黒字 4〜6月 日経 -0.66% 7/31 5802 住友電、純利益69%減 4〜6月 日経 -0.73% 7/31 3099 三越伊勢丹、営業益11%減 4〜6月、訪日客需要鈍る 日経 -0.91% 7/31 7752 リコー、純利益68%増 4〜6月 値引き販売抑制 日経 -1.18% 7/31 8303 新生銀、純利益34%増 4〜6月、与信関係費用が減 日経 -1.19% 7/31 8604 証券、個人向け不振深刻 16社が減益赤字 4〜6月 野村、大幅増益も海外要因 日経 -1.29% 7/31 6383 ダイフク、営業益2割減 4〜6月、半導体工場向け伸び悩み 日経 -1.47% 7/31 9064 ヤマトHD、4〜6月営業赤字61億円 値上げ裏目に 日経 -1.60% 7/31 7211 三菱自、タイでPHV生産 海外初 日経 -1.63% 7/31 4114 日触媒、純利益33%減 今期予想を下方修正 日経 -1.65% 7/31 4507 新薬開発、中国シフト 仏サノフィや塩野義、13億人のデータ活用 日経 -1.65% 7/31 8848 レオパレス、改修工事の完了 来年6月に延期 日経 -1.72% 7/31 7003 三井E&S、中型LNG船に参入 中国大手と合弁 日経 -1.73% 7/31 7261 マツダ、営業益7割減 4〜6月、米が不振 日経 -1.77% 7/31 2678 アスクル、株売り渡し請求 審議延期、ヤフー声明受け 日経 -2.60% 7/31 4689 -1.23% 7/31 4452 花王、1〜6月純利益9%減 中国の転売需要減る 日経 -2.62% 7/31 4922 コーセー、4〜6月37%減益 日経 -2.71% 7/31 6503 三菱電、工場データ分析を代行 日経 -3.43% 7/31 6103 オークマ、純利益25%減 4〜6月 日経 -3.70% 7/31

緩和モードの中銀、債券関係者も「有望なのは株」 QUICK月次調査

日経QUICKニュース(NQN)=矢内純一 市場関係者の注目が集まる「中銀WEEK」が始まった。29~30日で日銀が政策決定会合を開き、米連邦準備理事会(FRB)は30~31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で10年ぶりの利下げに踏み切ることが確実視されている。そうなると、想定されるのは世界的な「株高・金利低下」の再加速だ。QUICKが29日公表した7月の月次調査<債券>で、債券担当者が内外株式を有望な投資先としてみていることが明らかになった。日銀の長短金利操作で国内債券相場は膠着が続き、世界的な金利低下で利息収入狙いの外債運用は厳しさを増している。債券市場には、上昇基調が続く内外株式のキャピタルゲイン(値上がり益)への羨望が集まる。 年度内の有望な投資対象を1~3位まで次のうちそれぞれお選びください        1位      2位     3位 内外株式    32%  10%  10% REIT          14%    22%    15% 米国債              9%    12%    12% イタリア国債     9%     6%     4% 日本国債           6%     5%     9% 調査実施は23~25日。証券会社や運用会社など債券市場関係者133名から回答を得た。年度内の有望な投資対象について、1位を「内外株式」(32%)とする回答が最も多く、「不動産投資信託(REIT)」(14%)、「米国債」(9%)、「イタリア国債」(9%)が続いた。 一方、「日本国債」との回答は6%にとどまった。足元では、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りはマイナスが常態化。利息収入狙いの投資資金が相対的に金利が高い超長期債に流入し、30年や40年利回りも金利低下が続き、投資妙味が薄れている。 今年度に入り、前週末26日までで、日経平均株価は2%上昇。S&P500種株価指数は7%値上がりしている。東証1部の予想配当利回りでみても、2%程度と40年物利回り(前週末時点で0.395%)を大きく上回る。 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

見えてきた10年半ぶり米利下げ そして、さあどうする?黒田さん

市場が注目していた10日の米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長の議会証言で、10年半ぶりの利下げがいよいよ視界に入ってきた。 CMEグループが提供するFedウォッチツールで7月FOMCでの50bp利下げ織り込み度は26.6%となり、前日(3.3%)から急拡大。25bpの利上げ織り込み度は73.4%で、FF金利先物市場は7月FOMCでの25bp以上の利下げを100%織り込んだ状況が続いた。ナスダック指数はザラ場・終値ベースの史上最高値を更新し、S&P500も一時3000の大台に乗せた。 ◆米国の各指数のチャート(NYダウ:青、ナスダック総合:赤、S&P500:緑) 各社の10日付リポートは下記の通りだ。 ■ゴールドマン・サックス……7月の25bp利下げ確率を60%から75%に引き上げ ■バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ……7月に25bpの利下げ後、累積で75bpの利下げへ ■ナットウエスト……貿易戦争の一時休戦後も7月に25bpの利下げが軌道に乗っている ■JPモルガン……7月に25bpの利下げ予想を据え置き 7月の据え置きを見込んでいたバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが25bpの利下げ見通しに変更したのが目を引くが、50bpの利下げの可能性もあるとしてハト派サプライズも一部で期待されているもようだ。 利下げがほぼ確実の情勢ということになると、次はFOMC(30~31日)の直前29~30日に決定会合を開く日銀に注目が集まる。打つ手が限られる中で動けるのか、動かないのか。さあ、どうする?黒田さん。(片平正二、イラスト=たださやか) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

日銀の国債買い入れオペ「転機」 増額と減額の合わせ技に市場は……

日銀が3日に市場に通知した国債の買い入れオペ(公開市場操作)が関係者に動揺を与えている。残存期間が短めの国債については買い入れ額を前回から増やした半面、中期においては減額した。「日銀オペの転機かもしれない」「日銀の困難さが印象付けられた」ーー。これまでと違うオペレーションに対する市場の反応を拾った。 ■日銀の買い入れオペ 「1年超3年以下」:3,500億円→3,800億円 「3年超5年以下」:4,000億円→3,800億円 「10年超25年以下」:2,000億円→1,800億円 「25年超」     : 400億円→400億円 相対的にみると日銀はタカ派? 「オペの金額を3本とも変更するとは思わなかった。特に1~3年を増額したのは、日銀オペにおいては大きな変化だろう。これまでは減額を続け、カーブのスティープ化を促してきた。今回、1部増額したのは、マネタリーベースの増加に支障が出ないよう配慮したためだろう。今後、単純に減らすことができなくなった可能性がある。日銀オペの転機になった可能性がある」(ストラテジスト) 「全体的に減らせる額が限られてきたという印象ですね。ネットではわずか100億円の減額に過ぎませんから」(ストラテジスト) 「残存10年超25年以下を200億円減額しましたが、6月に月4回から3回に減らすときに1回あたりの購入額を200億円増やした分をもとに戻しただけですね。1回当たりのマーケットインパクトを意識したんだと思います。市場機能の回復という観点では好ましいことではないというのがベースにあったんだと思います」(ストラテジスト) 「短い年限を増減したことは単に需給のタイト化に対応したものでしょう。5年ゾーンをもっと減らしたかったかもしれませんが、ここを減額すると10年金利に効いてしまいますから。ターゲット金利である10年には影響を与えたくないということでしょう。同じ理屈で、超長期債についても需給面では対応するもののフラットニングのけん制といった明確な意思が示されるようなことはないと思いますよ」(ストラテジスト) 「短中期の増減額については6月28日のオペ予定が公表された時点の予想通り。すでにマーケットは織り込んだ動きとしていた。超長期債については25年超も減額があると思っていたので、据え置かれたことはサプライズだ。といっても、ベースが400億円しかないので100億円減額されても影響は限定的とみていた。いずれにしても今日の減額は相場が大きく動く材料ではない」(マーケットアナリスト) 「日銀国債買い入れの増減額は数字としては、レンジの中央値からそれぞれ50億円上振れ、下振れと微々たるもので予想通りといえる。ただ、YCCとマネタリーベースの拡大というなかで日銀の困難さが印象付けられたのではないだろうか。為替市場はやや円高方向に振れている。わずか100億円の減額なのだが日銀のタカ派姿勢が材料にされたようだ。米国ではハト派理事が決まりそうだし、ECB総裁(候補)のラガルド氏もハト派と目される。このタイミングだと日銀の緩和姿勢が最も弱いとマーケットは受け取ったのだろう」(ストラテジスト) 「中央値が250億円しか動いていなかったので、300億円増、250億円減というのは予想通りなんではないでしょうか。マーケットも冷静で、5年債が買われているので一部では5年の減額が少なかったという印象があるのかもしれません。ショートカバーしたかった方々は残念でした」(ストラテジスト) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

世界の中銀ハトだらけ 強まる緩和期待、御指名ラガルド氏どう出る

世界の金融市場で中央銀行による緩和期待が一段と広がっている。 2日に豪州準備銀行(RBA)が開いた定例理事会で、政策金利を0.25%引き下げて年1.00%にすると決めた。2年11カ月ぶりに利下げした6月に続き、2会合連続で政策金利を過去最低水準に引き下げたことになる。一部では0.5%までの追加利下げがあるのではないかとの指摘もある。市場からは「みんなRBAのようにハト派になっていくのかな」(国内証券)と、FRBや欧州中央銀行(ECB)も金融緩和路線を強めるのではないかと期待する見方が出ていた。 マジックの後は?(Thierry Monasse/Getty Images) 欧州連合(EU)は2日、ブリュッセルで開いた臨時首脳会議で欧州中央銀行(ECB)総裁にフランスのクリスティーヌ・ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事、EUトップの欧州委員長にドイツのウルズラ・フォンデアライエン国防相を指名した。これまで、ECBのマリオ・ドラギ総裁の後任にはタカ派のイェンス・バイトマン独連銀総裁が候補として取り沙汰されていたが、EUの政治力学によってトリシェ総裁以来となるフランス出身のECB総裁が誕生する可能性が出てきた。女性初のECB総裁誕生となる可能性もある。 エバコアISIは2日付のリポートで「ラガルド氏が総裁になれば、ユーロ圏の成長を促す上でより積極的な役割を果たすよう促す一方、金融政策は幅広くハト派に傾くだろう」と指摘した。その上で、9月のECB理事会は「ドラギ総裁による最後のハト派プレーとなりそうだ。10~15bpの利下げ、毎月300億ユーロの新規量的緩和(QE)プログラムの両方が行われる可能性があり、金融政策のフォワードガイダンスは過去のものと異なる措置が取られる可能性がある」と指摘した。ドラギ総裁が6月に追加緩和を示唆したのはECB総裁の後任人事を踏まえ、ハト派路線を継続させたい狙いがあったとされる。 一方、JPモルガンは2日付のリポートで「金融政策に関するラガルド氏の見解は余り知られていないが、我々は彼女は非常に安全な選択だと思っている」と指摘。正式な経済学の経歴を持たず、中央銀行勤務の経験もないわけだが、「フランスの財務大臣を務め、IMFでユーロ圏の危機、ギリシャ救済の対応にも深く関わってきた」と実績を評価。ドラギ総裁ほどハト派的かは不明としながら、IMFがECBの量的緩和(QE)や目標を絞った長期資金供給オペ(TLTRO)、マイナス金利などの政策を支持してきたことを踏まえれば、「考えが近いと思うのは安全で、方向に大きな変化はないだろう」ともみていた。米連邦準備理事会(FRB)だけでなくECBも緩和路線を強めるようだと、日銀としても何らかの緩和策を検討して円安・日本株高を促す施策に迫られるかもしれない。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

【朝イチ便利帳】25日 日銀が金融政策発表 任天堂、京セラ、アマゾン、インテルなど決算

 25日は日銀が金融政策決定会合の結果を公表し、黒田東彦総裁が記者会見する。任天堂(7974)、京セラ(6971)、大和(8601)、野村(8604)などが3月期決算を発表する。IPO関連ではトビラシステムズ(4441)、グッドスピード(7676)が東証マザーズに上場する。  海外では3月の米耐久財受注額などが発表されるほか、インテル、スターバックス、アマゾンなどの1~3月期の決算が発表される予定だ。   【25日の予定】 国内 時刻 予定 8:50 対外対内証券売買契約(週間、財務省) 12:00 3月の建機出荷額(建設機械工業会) 14:00 3月の外食売上高(日本フードサービス協会) 15:30 黒田日銀総裁が記者会見 その他 日銀金融政策決定会合の結果公表   4月の「経済物価情勢の展望(展望リポート)」(日銀)   3月期決算=ZOZO、野村不HD、積水化、アステラス、第一三共、OLC、ヤフー、日立金、富士電機、アドテスト、京セラ、川重、日野自、任天堂、大和、野村、松井、マネックスG、丸八証券、JR東日本、JR東海、関西電   東証マザーズ上場=トビラシステムズ、グッドスピード 海外 時刻 予定 16:30 スウェーデン中銀が政策金利を発表 20:00 トルコ中銀が政策金利を発表 21:30 米新規失業保険申請件数(週間)   3月の米耐久財受注額 その他 インドネシア中銀が政策金利を発表   1〜3月期決算=UPS、スリーエム(3M)、インテル、スターバックス、アマゾンドットコム、フォードモーター   オーストラリア、ニュージーランド市場が休場 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 3938 LINE、1〜3月期最終赤字103億円 スマホ決済投資かさむ 各紙 +6.46% 4/24 9434 ソフトバンクと米グーグル、成層圏に5G基地局 日経 +0.97% 4/24 9984 ソフトバンクG、独決済大手に出資 日経 +0.39% 4/24 6861 キーエンス、前期純利益7%増 海外でセンサー伸びる 7年連続で最高更新 日経 +0.04% 4/24 6645 オムロン、今期純利益22%減 制御機器伸び悩む 日経 0.00% 4/24 7751 キヤノン、純利益45%減 1〜3月 日経 -0.25% 4/24 6954 ファナック中国不安濃く 今期、想定超す6割減益予想 5G対応も思わぬ逆風 日経 -0.64% 4/24 3850 イントラマト、5年連続増配 今期、年24円に 日経 -0.95% 4/24 4452 花王、1〜3月純利益5%減 紙おむつ販売減る 日経 -0.98% 4/24 6305 日立建機、今期純利益3割減 円高進行見込む 日経 -1.04% 4/24 6701 NECの前期、純利益13%減 日経 -1.19% 4/24 7211 三菱自、中国エンジン生産を縮小 合弁見直し、電動化対応 日刊工 -1.25% 4/24 1861 熊谷組の前期、純利益16%減 日経 -1.31% 4/24 6501 日立、日立化を売却へ グループ再編仕上げ 日経電子版 -1.42% 4/24 4217 -0.53% 4/24 2928 RIZAP、松本取締役退任 日経 -1.60% 4/24 8002 丸紅、前期減損500億円 貿易摩擦で米事業悪化 日経 -2.55% 4/24 9509 北海電社長退任へ 大規模停電の検証区切り 毎日など -2.71% 4/24 9532 大ガス、山口の石炭火力建設計画から撤退 日経 -2.73% 4/24 7201 日産自、営業益45%減 前期2度目の下方修正 各紙 -3.99% 4/24 9508 九州電の川内原発、停止の可能性 規制委、テロ対策延期認めず 各紙 -5.28% 4/24

平成・危機の目撃者⓭ 八尾和夫が見たマイナス金利政策(2016)

「黒子」日銀のあるべき姿を問う まもなく「令和」の時代が幕をあける。一方、日銀は長短金利操作付きの量的・質的金融緩和を粘り強く続ける構えで、終わりが見えない。日銀で高松や仙台の支店長を歴任し、現在は東京証券信用組合の理事長を務める八尾和夫氏は「突然のマイナス金利政策は日銀マンだった私も本当に驚かされたが、日銀の政策がここまで世の中を騒がせるのは過去になかった」とサプライズ続きだった平成終盤の政策対応に戸惑いを隠さない。 八尾和夫氏 やお・かずお  1975年に日本銀行に入行し、留学、北京勤務などをへて人事局研修課長や情報サービス局広報課長を務める。98年1月から高松支店長、2002年5月から仙台支店長を歴任後、05年6月に全信組連の専務理事に転じた。11年6月に中央労働金庫の常勤監事に就いた後、15年6月から現職 ◆あっという間に崩れるのがマーケット 日銀のマイナス金利政策には参った。導入が決まった2016年から我々が手掛ける証券金融の世界にまで、新たな収益源を求める地方の銀行などが参入してきた。我々よりも低い貸出金利を提示し、利ざやは縮まった。 半面で資金需要はさほど刺激されず、貸し出しの量は増えない。単純に金融機関の利ざやを落とす「効果」ばかりが目立つ。金融機関の経営者は業態にかかわらず軒並み頭を抱えているはずだ。 金融緩和の出口はいずれ来る。スムーズに着地できればよいが、株や債券など金融市場の先行きに気をもむ市場関係者は少なくない。だからといって今の時点で運用をゼロにするわけにはいかず、株買い、債券買いの持ち高は膨らんでいく。転換点で起きる衝撃が大きくならないよう願うばかりだ。 きっかけは何にせよ、あっという間に崩れるのがマーケットの歴史だ。日本人が9割保有しているから問題ないといわれる日本国債であっても安心してはいられない。 ◆政治に振り回されている ここ数年は一般のメディアでも日銀の一挙手一投足を追いかけているが、こんなに日銀に関心が高まることはかつてなかった。金融政策は本来、世の中が過激な方向に傾かないよう調整したり、時間稼ぎをしたりするものだ。日銀は黒子のように、任せておけば知らないうちにうまくやってくれる、そういう信頼される存在であって欲しい。 1998年4月の日銀法改正は「大蔵省本石町出張所」(日銀本店の住所は日本橋本石町)とも称された日銀に、きちんと権限と責任を持たせて独立させるべきだとの機運が高まったからだ。では日銀は一体どこを見ることになったか。国民とその代表である国会だった。それ自体はあるべき姿なのかもしれないが、昨今はかなり政治に振り回されている感じがする。 昭和の時代は首相ですら(当時の政策手段である)公定歩合に触れるのはご法度だった。それも今は昔。日銀には、短期的な視点に偏りがちな政治とは距離を置き、中長期的な観点から政策を打ち出すことが本来は求められているのではないか。 ◆「デフレ脱却」は何を示すのか、「物価上昇」で何を目指すのか 日銀の中には2つの広報部門がある。マスコミ向けの対応をする専門部署の企画局広報と、マスコミを除く広報業務を手掛ける情報サービス局だ。 日銀も主体的に自ら発信をしていこう――。90年、国内外に向けての情報発信や外部からの問い合わせや要望などの窓口となる情報サービス局ができた。97年にホームページの開設にこぎつけ、スクリーンに映るパソコン画面を示しながらの記者発表では「画期的な仕組みだ」と感嘆の声があがった。 97年といえば北海道拓殖銀行や山一証券など大きな金融機関が相次いで破綻に追い込まれた。情報サービス局には「日銀の政策が悪いからではないか」と直接お叱りの電話がかかってきた。それでも開かれた日銀を目指そうとの姿勢は変わらなかった。 98年1月に赴任した高松支店長時代は、日銀に対する幅広い理解を得ることの大切さを痛感した。四国地方では都市圏ほどバブルの後遺症はなかったもののさまざまな金融不祥事が報じられるなか、日銀への風当たりもかなり強かった。「豪華すぎる」と批判を受けた支店長舎宅を引き揚げるとテレビのワイドショーにも取り上げられた。 仙台支店長を務めていた2002年、金融再生プログラムが発表され急速な不良債権処理が進むなか、「銀行も破綻やむなし」といった雰囲気が広がり続け、株価も急落した。03年にりそな銀行への公的資金注入が決まり、ようやく株価は底を打ったが、経済の先行きは読めない。地元経済界との懇談などで何と説明したらよいのか本当に苦しく、体調を崩してしまったほどだ。それでもいろいろと考えを巡らし、自分の言葉で語り続けた。 当時、政治は株価が上がると「政策が良かったから上がる」と都合のいいようにアピールし、株価が下がると「マーケットはマーケットが決めるから仕方ない」という。政治の動向も、相場決定の重要な一因となるはずだが……。 ところで「デフレ脱却」とはいったい何を示すのだろう。単なる貨幣現象なのか、経済活動の本質そのものなのかが曖昧に聞こえる。物価さえ上がればよいというものではなく、経済の活性化を通じて潜在成長率を高めることが大切だろう。 令和の時代に向け、より長期的で総合的な政策を展開していってほしい。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)片岡奈美 =随時掲載

平成・危機の目撃者➐ 松田邦夫が見たジャパンプレミアム(1990年代後半)

ニッポン信頼低下の象徴、疑心暗鬼の連鎖 バブルの後始末が始まった平成前半、金融市場では邦銀向け上乗せ金利「ジャパンプレミアム」の嵐が吹き荒れた。銀行や証券会社の不祥事と経営悪化が相次ぎ、日本の金融システム全体に対する海外からの視線が厳しくなった。誤った情報が疑心暗鬼の連鎖を招くケースもあった。1990年代後半に日銀で国際金融を担当し、海外向けの正しい情報発信に奔走してきた松田邦夫氏は「信用不安の恐ろしさと予防的対応の大切さを痛感した」と振り返る。 松田邦夫氏 まつだ・くにお 1980年に日銀に入行。90年代半ばに国際金融担当として、海外市場における邦銀の業務や国際的な金融規制動向をモニター(監視)する役割を担った。秘書室調査役(国会担当を兼務)を経てフランクフルトに赴任した際にもユーロの誕生から間もない欧州と日本の間の情報・認識ギャップを埋める努力をした。2009~10年には預金保険機構に出向し、預金保険部長として日本振興銀の破綻処理を担当。2013年に外為証拠金(FX)会社のセントラル短資FXの社長に就いた。趣味はクラシック音楽鑑賞と居合道。 ◆邦銀撤退相次ぐドイツ、率先して情報周知 日銀のフランクフルト事務所長を務めていた1998~2001(平成10~13)年は日本の金融システムに対する海外の見方が特に厳しかったころだ。邦銀の撤退が相次ぎ、現地で日本の事情を詳しく語れる人が減っていたので、日本についての誤解が一人歩きをしないよう奮闘する毎日だった。 97~98年の山一証券と北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行の経営破綻の影響は大きかった。邦銀の情報開示やコンプライアンス(法令順守)と政策対応への不信は極限に達し、日本を代表する大手銀でさえ外貨調達に苦しんでいた。信頼低下の象徴といえるジャパンプレミアムが拡大する中で、現地の当局者と会ったりドイツ語で講演したりして情報周知に努めた。 邦銀も守りの姿勢一辺倒だったわけではない。危機後の邦銀の海外事業は縮小傾向ではあったものの、与信先企業の信用力だけに依存しないプロジェクトファイナンス(大型事業向けの融資)などに活路を見いだそうとしていた。それを日銀側からフォローできたのは貴重な経験だった。 折しも1999年、統一通貨ユーロ導入に現地で立ち会った。日本では、ユーロや欧州中央銀行(ECB)などに対して懐疑的な英米有力メディアの論調に引きずられがちなことがずっと気になっていた。その後のユーロ安も影を落としていたようだ。だがドーバー海峡を隔てて大陸側にいれば、ユーロが導入国の崇高な理念と固い意志によって生まれたもので、いかに膨大なエネルギーと英知が注がれているかは自明。ユーロ圏各国の中銀関係者と対話を深め、日本に正しい情報を伝えるのと同時に改めて日本国内の事情を理解してもらうようにした。 ※ジャパンプレミアム……バブル崩壊に苦しんでいた邦銀に対し、欧米の金融機関がロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に対し求めた上乗せ金利。1995(平成7)年に大和銀行(現りそな銀行)ニューヨーク支店で発生した米国債の巨額損失事件をきっかけに急拡大し、信用力の劣る銀行では上乗せ幅が1%を超えた。信託銀行などは手持ちの円を元手に為替スワップを通じてドルを調達し、その裏返しで欧米銀はゼロ%に近い利回りで円を借りられた   足元でもジャパンプレミアムが発生し、欧米金融機関は低コストで円を調達できるが、1990年代とは様相が異なる。日銀のマイナス金利政策による運用難に伴い国内勢のドル志向が高まったためで、信用不安を背景にした動きではない。 ◆「保険屋」としても危機管理 2010年、預金保険機構の預金保険部長として、経営破綻した日本振興銀行に対して発動された日本初のペイオフ(全額保護上限を1000万円とする預金払い戻し)処理を担った。今のところ国内で唯一のペイオフ事例だ。振興銀は普通預金を持たない特異な事業モデルだったことから金融システム全体へのインパクトは薄かったとはいえ、社会的事件として世間の注目度は高かった。国民に預金保険制度を正しく認識してもらういい機会になった。国際金融担当だった時代の危機管理のノウハウはここでも生きている。 振興銀の処理をした後でも預金保険機構の資金プールは潤沢で、大きめの銀行が複数倒れても大丈夫なほどだったので、金融業界からは保険料率引き下げの要請が強まった。関係者と「金融機関破綻は本当に遠のいたか」といった議論をした末、私の離任後には実際に引き下げにいたった。こうした変化は、1990年代の危機から2008年のリーマン・ショックなどを経て、金融システム不安がようやく峠を越えた証しでもあった。 一方、日本の実体経済は低迷をなかなか抜け出せない。技術革新などを背景に産業構造が世界的に変わっているにもかかわらず、自動車など重厚長大の輸出産業に経済を支える役割を期待する構図が続いているからだろう。 リーマン・ショックが起きた当時は日銀の大阪支店にいた。サブプライム(低所得者層向け)ローンもリーマン・ブラザーズも日本から遠い存在なのに、関西でも経済人が皆「なぜ?どうして?」といぶかるほどに悪影響と不安が急速に広がった。「需要の蒸発」がグローバル化と産業構造の転換の遅れとも深く関係していることを再認識させられたのを覚えている。 リーマン・ショックや東日本大震災後の円高は、昔からある円高恐怖症を改めて強いものにしたのではないか。安倍晋三政権誕生の前後から円安の流れに変わったとはいえ、引き続き円高を国難に結び付けがちなメンタリティは構造改革を阻む要因のひとつではないかと思っている。 円高恐怖症とセットで、欧米の景気や金融政策に左右されやすい構図も続いている。ここにきて米経済の減速懸念から米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが鈍るとの思惑がにわかに浮上し、ECBの政策正常化観測も後退してきた。日銀としては一段と金利が下がったときの副作用を心配する声がある中で、今後は打てる手が限られるとの悩みを抱えているのではないかと感じる。 ◆必要な構造転換から目を背けるな 日本は少子高齢化の課題先進国。遠からずアジアも欧州も同じ問題に直面する。課題を逆手に取り、海外に先駆けてビジネス分野を切り開いていく余地は大いにある。医療・介護・健康はもちろん、資産や経験と知識、時間が豊富な層向けの商機拡大を望みたい。 日本経済のパイを広げるには、単純に移民を国内の労働市場に呼び込むよりも、まず日本人の労働参加意欲を高めていくことが肝要だ。女性や高齢者の労働参加率の上昇傾向からは、働きたい人が増加し、また働きたい人々を受け入れる労働環境が整ってきた様子が確認できる。勤労機会の拡大は将来的な年金不安を和らげて消費を促すだろう。 さらにグローバルに活躍する人や企業とともに、産業のソフト化に伴って付加価値が高く為替の影響を大きく受けない分野が育てば、円高のトラウマからも脱却できそうだ。 東京五輪や大阪万博などのイベントも確かに経済を活性化させるが、目先の需要掘り起こしだけに気をとられ、本当に必要な構造転換を先送りしてしまうリスクが残る。長期的な危機管理の視点を忘れず、課題から目を背けてはいけない。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)蔭山道子 =随時掲載

平成・危機の目撃者➏ 市東久が見た天安門事件(1989)

「有事のドル買い」の構図いまも 戦争や政治的な混乱の際に米国にマネーが向かう「有事のドル買い」は、1989(平成元)年の天安門事件まで定石だった。以後は米同時多発テロ事件や中国の台頭によって鳴りを潜めるが、市場では「基軸通貨であるドルの優位性は損なわれていない」との声が根強い。2018年にディーラー生活40周年を迎え、金利と外国為替の市場を縦横無尽に駆け続ける「生き字引」である市東久クレディ・スイス銀行東京支店長もそうみる一人だ。 市東久氏 しとう・ひさし  1976年に東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。78年から本店為替部の為替課でディーラーとしてのキャリアを開始。6年間のロンドン支店勤務中は、王立取引所で始まったロンドン国際金融先物取引所(LIFEE)の立会場の公認フロアトレーダーとして公開セリ売買方式での先物取引にも携わった。帰国後は国債トレーディング業務に従事し、ヘッジファンドを経て92年にクレディ・スイス・ファースト・ボストン銀行(現クレディ・スイス銀行)に移籍。金利裁定(アービトラージ)のディーラーとして短期市場ではその名を知らない人はいないほどの有名人で、今も現役で活躍。愛読書は新渡戸稲造の「武士道」 ◆「円買い」には違和感 1989年6月の天安門事件で円相場は1ドル=142円前後から150円をうかがう水準まで下げた。天安門広場で中国の民主化運動が武力で鎮圧され、学生のデモ隊に戦車が突っ込んだ映像は世界に衝撃を与えた。この少し前、ドルは緩やかな下落基調で、数億ドルものドルの買い持ちを抱えていた自分は苦しかった。過去に積みあげた「含み益」は毎日100万ドル単位で目減りしていく。天安門の後のドル高は苦境を打破できた点でも鮮明に記憶に残っている。 今のところこれを最後に有事のドル買いは起きていないが、構図が変わったわけではない。例えばもし朝鮮半島が有事となったら円はどうなるだろうか。地理的に近い日本の円を持ちたくないとの空気が広がり、大きな金融機関や投資家を中心に円を売ってドルを買う判断に傾いてもおかしくないとみている。 経済評論家などが最近「有事の円買い」を乱発しているのを聞くと違和感を覚える。有事とは、戦争など安全保障上の重大な危機が起きたときに投資資金が逃避先を探し回るような状況を指す。例えばどこかの超大国の主要都市にミサイルが着弾するといった強烈なインパクトを持つ事象だ。 現在の円買いは国際分散運用を手掛ける投資家が円の減価に備える目的で、資産の一部を整理して円に戻しているにすぎない。巨大な対外債権国の日本にお金が回帰しやすい面はあっても、有事のリスク回避に伴って円が買われているわけではない。こうした点をきちんと理解したうえで解説者は有事の円買いという言葉を使っているのだろうか。とても不安になる。 ◆流動性リスク対処、受け継がれぬ経験 風化のリスクは有事のドル買いに限らない。市場の混乱局面には経験豊富なベテランの存在が必要だが、足元では日銀の緩和長期化による市場縮小に見舞われた短期金融市場を中心に、ノウハウがまったく引き継がれず危機感を抱いている。具体的には流動性リスクへの対処だ。 1990年代後半の日本の金融危機を生き抜いたわれわれの世代は信用不安と流動性枯渇の恐ろしさが身にしみている。2008年のリーマン・ショック前後でもまずドルの手元資金を厚めにした。欧米金融機関がドルの調達に苦しみ、銀行間の取引金利が上がっていくとすぐにイメージできたからだ。 一方、大手米銀は為替フォワード(スワップ)を通じて日米金利差の拡大に賭ける取引を先行させた。ドルを直物で売って先物で買い戻すもので、これをするにはドル資金をきっちり確保しておかなければならないのにしていなかった。結果的にとんでもない高いコストでドルを借りるハメになり、大きな損失を出した。逆にドル保有者のこちらは1日で数百万ドルほどの利益を計上した日もある。経験の差が物を言った好例だろう。 日本の短期市場では資金が潤沢で金利のない世界が長期化し、人員を配置して大々的にディーリングをする必要がない環境が当たり前になっている。経験者や専門家がいなくても何とかなっているものの、それこそ有事で右も左もわからなくなるリスクと背中合わせだ。 日本が量的金融緩和政策を解除して3度目の利上げ(初回は2006年、2回目は07年2月)のタイミングを測っていた07年3月1日、日銀主催の短期金融市場フォーラムで外国銀行の代表として提言をした。当時の中曽宏金融市場局長(後に日銀副総裁、現大和総研理事長)とも日銀の出口政策に向けて意見を交わした。無担保コール翌日物金利が0.001%に張り付き、既に短期市場がしぼんでいたので、経験者を市場に呼び戻す重要性についても語り合った。 中曽氏とやりとりをしてからさらに10年以上がたった。日銀が異次元の緩和策に足を踏み入れるにいたり、事態は一層深刻になってきたようだ。 ◆緩和が長期化、難しい時代に 日銀が異次元緩和に踏み切る前のことだ。日本の銀行は国内の融資ニーズが細って収益を上げられなくなるので、いずれ海外シフトしてドル建ての投融資を増やすと想定していた。ただ欧米の短期金融市場で簡単には直接ドルを借りられない地方銀行などがドル調達のため、手持ちの円を売ってドルを買おうとすると、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)比で0.80%前後も高い金利を払わなければならなかった。 ドル調達のコストが高すぎて運用しても収益を得られなくなったり、損失が出たりすれば投融資自体をやめざるを得なくなる。欧米銀が信用リスクを感じればドルを貸してくれなくなるかもしれない。ただでさえ米連邦準備理事会(FRB)が緩和からの「出口」に向かっているところだ。懸念は一昨年ぐらいから現実になり始めている。 数年前、前日銀総裁の白川方明氏と話をする機会があった。白川氏も自分と問題意識は一緒だった。貸出先を求めて海外へ打って出るとしても、資金調達やリスク管理のノウハウがなければうまくいかないだろうと心配していた。だが、経験はいっこうに蓄積されない。 1997年の金融危機の前の無担保コール翌日物金利は4%以上だった。2001年の量的緩和策の導入とともに0.001%になったとき、ものすごく小さな金利という意味で「ピーナツ」と海外の仲間にからかわれたのを覚えている。それがまさかマイナスになるとまでは当時は考えていなかった。 円金利単独での投資は基本的にはすることがない。フォワードで米金利の上下動に着目する戦略は引き続き有効だが、ドル資金の流動性の問題が出てくる。リスク管理の制約もきつい。 難しい時代になった。それでも有事にどう備えるべきかを常に意識しながら市場と向き合い続けたい。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)菊池亜矢 =随時掲載

【朝イチ便利帳】26日 3月権利付き売買最終日 2月の米住宅着工、3月消費者信頼感指数

26日は日銀金融政策決定会合(14~15日開催)の主な意見や2月の企業向けサービス価格指数などが発表される。40年物利付国債の入札が行われる。IPO関連では東名(4439*J)の公募・売り出し(公開)価格が決定する。 海外では2月の米住宅着工、1月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、3月の米消費者信頼感指数などが発表される予定だ。   【26日の予定】 国内 時刻 予定 8:50 日銀金融政策決定会合の主な意見(14〜15日開催分)   2月の企業向けサービス価格指数 10:30 40年物利付国債の入札(財務省) 13:30 小林同友会代表幹事の記者会見 その他 閣議 海外 時刻 予定 9:30 ローゼングレン米ボストン連銀総裁が討論会に参加 21:00 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が講演 21:30 2月の米住宅着工 22:00 1月の米S&Pコアロジックケースシラー住宅価格指数 23:00 3月の米消費者信頼感指数 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 8114 デサント、伊藤忠との対立に終止符 取締役10人中9人退任 各紙 +0.14% 3/25 8001 -1.93% 3/25 3774 IIJ系、仮想通貨交換業に初の新規登録 日経 +0.08% 3/25 6178 日本郵政傘下の日本郵便、80歳以上保険勧誘を自粛 日経 -0.60% 3/25 9434 ソフトバンク、プロ野球VRで配信 5Gにらみ、好みの視点で 日経 -0.73% 3/25 3482 ロードスターとイオン傘下のイオン銀が提携 日経 -1.24% 3/25 8267 -3.04% 3/25 7201 ゴーン日産自元会長会見、弁護人「来月10日以降」 各紙 -1.24% 3/25 3082 きちりHD、香港でスーパー内レストラン 日経 -1.55% 3/25 7630 壱番屋、前期純利益13%減に下方修正 日経 -1.57% 3/25 9064 ヤマトHD、宅配用EV開発 独DHLと、秋に500台導入 日経 -1.69% 3/25 5938 LIXILグ、臨時総会5月中に「瀬戸前CEO復帰を」 各紙 -2.20% 3/25 3612 ワールド、米通販買収 サイズ計測技術を取得 日経 -2.61% 3/25 8601 大和、介護や老人ホーム オリックス系を買収 日経 -2.74% 3/25 8591 -0.09% 3/25 8306 三菱UFJ傘下の三菱UFJ銀、ベア1%実施へ 要求超す 各紙 -2.94% 3/25 5715 古河機金、今期純利益20%減に下方修正 日経 -3.11% 3/25 3562 No.1、他社顧客リスト複製疑い 役員ら書類送検 日経 -3.58% 3/25 6753 シャープ、中国冷蔵庫メーカーと協業 日経 -3.67% 3/25 6723 ルネサスが自社株買い 新株予約権発行で希薄化懸念に対応 日経 -4.07% 3/25 4044 セ硝子、今期純利益2.3倍に上振れ 電解液の販売好調 日経 -4.07% 3/25 5333 ガイシ、今期純利益25%減に下方修正 中国向け販売不調 日経 -4.34% 3/25 4634 洋インキHDが減価償却方法を定率法から定額法に 日経 -4.44% 3/25 7408 ジャムコ、旅客機シート不正疑い 無資格者検査か 読売 -4.70% 3/25 9984 ソフトバンクグループなど、インド物流企業へ投資 450億円 日経 -5.01% 3/25

平成・危機の目撃者➊ 藤巻健史が見た英ポンド暴落(1992)

平成も残り1カ月半。この約30年間、金融市場は様々な危機やショックに見舞われてきた。激震の平成から何を学び、将来にどう生かすか。危機を目の当たりにしてきた市場関係者に聞いた。シリーズ第1回はモルガン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)東京支店長などを務めた藤巻健史フジマキ・ジャパン代表。1992(平成4)年の英ポンド危機を振り返り、市場の調整機能の重要性を強調する。 ソロスファンドの「暴力」と「市場調整機能」 藤巻健史氏 ふじまき・たけし 1974年に三井信託銀行(現三井住友信託銀行)入行。85年にモルガン銀行東京支店に移り、資金為替部長を経て95年に東京支店長(兼日本代表)に就いてディーラーとしても存在感を示す。2000年にはジョージ・ソロス氏のアドバイザーを務めた。その後は企業のアドバイザーやいくつかの大学で教べんをとり、13年から参議院議員 ◆欧州通貨メカニズム参加の矛盾を突く いまでも夢に出るほど後悔しているのが92年、ジョージ・ソロス氏率いるヘッジファンドの激烈な英ポンド売りを指をくわえてみていたことだ。欧州の為替相場メカニズム(ERM)に参加していた英国は多くの矛盾を抱え、ERM離脱とポンド下落は当然の帰結にもかかわらず、ソロスファンドの二大ファンドマネジャーの一人、スタンリー・ドラッケンミラー氏の鬼気迫る動きに追随できなかった。 90年にERMに入った英国はポンドの対ドイツマルク相場の中心レートを1ポンド=2.95マルク、変動幅を6%に収めなければならなかった。つまり1ポンド=2.77マルク以上を維持するとの条件だったが、当時の英国は景気が悪く、ポンドには常に下落圧力がかかっていた。 英中央銀行のイングランド銀行はポンド買いの市場介入で相場を支えようとしたもののらちが明かない。景気が悪いから英国では簡単に利上げできなかったし、ドイツはドイツで根強いインフレ懸念から利下げが難しかった。どちらも金融政策による通貨安定は厳しかったわけで、ドラッケンミラー氏のポンド売り戦略は後から振り返ると非常に論理的だった。市場の調整機能が働けばポンド安や英国のERM離脱は避けられなかったはずなのに、なぜ付いていかなかったのか。 英国は結局ERMを離脱し、そのおかげで通貨安が進み、英経済は回復した。ソロスファンドのとった行動について「市場の暴力」「やりすぎ」といった批判も聞こえてくるが筋違いだ。ひずみが生じたらうまく調整し、結果的に良い方向に進めていく市場の健全性をもっと評価してほしい。 ドラッケンミラー氏とはのちにソロスファンドで一緒になった。ファンドのもう一人の巨人ニック・ロディティ氏がオンとオフをはっきり分けるメリハリの効いた性格だったのに対し、アナリスト出身らしい学究肌の冷徹な雰囲気が印象に残っている。 ◆「イングランド銀をつぶした男」の素顔 2000年に加わったソロスファンドでは初めて損失を計上し、あっさりとクビになった。ドラッケンミラー氏からはその後、中東に拠点を置く総額1兆円規模のファンドに誘われたが、自分の全財産の80%をファンドに入れる条件が付いていた。子供が小さかった当時、ファンドと一蓮托生(いちれんたくしょう)の勝負はもうできなかった。自らの一切合切を賭けられないとすればどうすべきか。そのとき、ディーラーをやめようと思った。 ソロス氏は一言で表すなら好々爺(こうこうや)。ヘッジファンドのオーナーには変わり者が多く、例えば相場観などの説明を聞くためだけにわざわざプライベートジェットでニュージーランドからロンドンまで飛んで来たり、引き連れてきたエコノミストの質問を途中で遮ってまったく無関係の話題を始めたり、ディーリングルームの隣に超高級スポーツジムを設立したりなどの奇行の話題には事欠かない。ソロス氏はマーケットセンスはあまりなかったと思うが、人柄に関しては穏やかで好ましかった。 ◆異次元緩和は最大の失敗、出口を見いだしにくく 平成最大の失敗は日銀が2013年に導入した異次元の金融緩和政策だろう。2年で2%の物価目標を掲げて国債などの大量購入に踏み切り、伝統的な金融政策は本当の終焉(しゅうえん)を迎えた。 日銀が現在やっているのは財政ファイナンス(財政赤字の穴埋め)そのもの。出口は見いだしにくい。これだけ財政赤字が拡大するなか、物価目標を達成したから緩和をやめると言っても政府はおそらく受け入れないだろう。金利上昇で予算が組めなくなり、財政危機に陥りかねないからだ。 日銀のバランスシート(貸借対照表)は危険水域に入っている。もし当座預金の金利を引き上げれば支払利息が増える半面、資産のほとんどを占めるのは金利が低く残存期間の長い国債のため、損失が膨らんで債務超過に陥りかねない。 ドイツが第2次世界大戦で敗れた後、中央銀行がドイツ帝国銀行(ライヒスバンク)からドイツ連邦銀行(ブンデスバンク)に移った例はあるが、平時ではない。日本が平時に中銀が変わる初めてのケースにならないかと心配している。 1つアイデアがある。日銀が米連邦準備理事会(FRB)の保有する米国債を直接買い取ることだ。日本経済が低迷している要因の1つは外国為替市場での円高傾向だ。半面でFRBは現在、保有米債を売却しバランスシートを縮めている最中で利害は一致する。為替介入とみなされずに行き過ぎた円高を食い止める方法はいくらでも存在する。 ◆「飛ばし」「問題先送り」体質変わらず 市場の健全性を測るにはそのときそのときのリスクをきちんと計量化できる仕組みが必要だ。具体的にいえば時価会計。リーマン・ショックなど次々と訪れた危機でいつも米国の経済の立ち直りが日本よりも早かったのは時価会計を徹底し、潜在リスクの有無の把握がスムーズに進んだからではないか。 時価会計なら損失は昨日と今日の差でしかない。ところが日本ではまだ簿価会計の部分が少なくない。もしここで時価会計に変え、損失を出すと過去のことも含めてすべて自分のせいになるので、損切りがなかなかできない。だから「飛ばし」が発生する。古くは山一証券を破綻させた問題先送りの悪弊はすぐには改善しないだろう。 日本でもし物価目標の2%がみえてくると金利の先高観が強まり、財政破綻は近づく。市場では「日本は対外資産が巨額なのですぐには財政破綻しない」との声ばかりだが、資産のほとんどは政府のものではない。インフレ率が急上昇する「ハイパーインフレ」が起これば政府債務は相対的に減るが、国民に負担を強いることになる。日銀による巨額の日本国債の購入は財政破綻リスクをまさに「飛ばし」ているだけだ。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)菊池亜矢 =随時掲載

日銀オペ200億円減額、3つの理由

日銀が、残存期間「10年超25年以下」の国債買い入れオペを200億円減らし1800億円とした。この期間の買い入れ減額は2018年7月19日以来。長国オペとしては、2018年12月14日に「5年超10年以下」を減額して以来となる。 今回の減額は、超長期債の「需給ひっ迫」への配慮が背景にある。20年債利回りは8日、0.400%と2016年11月以来の水準まで低下した。市場では「今月中は日銀オペの減額はない」(証券会社)との見方が増えており、年度末に向けて一段と金利低下が進む可能性が高まっていた。行き過ぎた金利低下を抑制することに加え、「オペの柔軟性」を市場に示すために、コンセンサスに反して動いた面もある。また、米長期金利は1月初旬にボトムを打って上昇しているにも関わらず日本は低下している。「市場機能」という観点から問題との判断もあったようだ。 同時に通知した「25年超」ではなく、「10年超25年以下」だった理由は、「20年債の需給のタイトさが顕著だった」(市場関係者)ことに加え、同期間のオペ額が500億円しかなく、減額余地が乏しいことも一因と見られている。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

TOPIX1400?で「打ち方やめ」 本石砲の持続性と日銀財務に高まる関心

年間6兆円規模に達する本石砲(日銀のETF買い)に関する議論が巻き起こっている。先週22~23日に開かれた日銀金融政策決定会合に向けてETF購入配分の変更があるのではないかとの見方が浮上したほか、持続性への問題提起も出始めた。 JPモルガン証券は28日、「日銀はいつまでETF購入を続けられるか」と題したリポートを発行した。日銀のETF購入の持続性を検証し、先行きに警鐘を鳴らす。阪上亮太氏らは「日銀がETF購入を減額あるいは変更しなければならない臨界点は目先ではないが徐々に迫っている」とみる。 今回の検証で懸念したのは日銀のETFの時価が簿価を割り込む事態だ。TOPIXが1400を下回ると日銀が保有するETF全体の簿価を時価が下回り、同様にTOPIXが1200を下回ると資本勘定の法定準備金が枯渇するという。昨年末の世界株安でつけたTOPIXの直近安値(12月25日)は1415.55だ。日銀の財務悪化に伴い政府による損失補填の必要性が生じるため購入の打ち切りや減額を余儀なくされる可能性を指摘する。その場合、日本市場には売りが売りを呼ぶリスクがあるとする。 前回の決定会合では購入配分変更は起きなかったが、ファーストリテイリング(9983)など一部の値がさ株では日銀の保有比率が20%に接近するものがある。日本株の大きな買い手である日銀のETF買いは需給を歪めているなどの指摘もある。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

カリスマ投資家ダリオ氏、ダボスから警告 「私が最も恐れているのは……」

世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエーツを率いる米著名投資家のレイ・ダリオ氏が22日、「私が長期的に最も恐れているのは、大きな政治的・社会的反目を抱える中、最も価値のある道具である金融政策に限界があるということだ」との見解を示した。スイスのダボス会議で行われたパネルディスカッションの内容を米経済専門チャンネルのCNBCが伝えた。 ■日米欧の中銀のマネタリーベース(日本はグラフ青=兆円、米はグラフ赤=100億ドル、欧はグラフ緑=100億ユーロ) ダリオ氏のコメントは、米中の貿易戦争がビジネスと消費者心理を長く悪化させている状況下、投資家が深刻な世界経済の減速についてますます懸念するようになったのと歩調を合わせるもの。ダリオ氏はトランプ政権発足以降、ポピュリズムが世界的に高まっていることをもともと懸念していたが、「この種の政治問題が経済問題と密接に関連しているのが現在の特長だと思う」とも述べ、実体経済やマーケットの変動リスクとして政治要因を警戒していた。 また、CNBCのスクウォーク・ボックスに出演した際には「2020年にリセッションに陥るリスクがかなり高い」との見解も示していた。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

本石砲の弾道「微修正」に思惑 ETF購入方針見直しで買われる銘柄、売られる銘柄

日銀が22~23日に開催する金融政策決定会合後に公表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)で物価見通しを引き下げる公算が大きい。金融政策の変更・修正は展望リポートでの物価見通し修正が「前提条件」になることを踏まえると、金融政策で何らかの微修正があっても不思議ではない。 黒田東彦総裁は2018年12月の金融政策決定会合後の記者会見で、世界経済の下振れリスクに懸念を示したほか、物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するために必要と判断されれば、適時・適切に追加緩和を検討していくと述べた。 ■年間6兆円、海外勢の売りの緩衝材に 日銀はブレグジットに揺れた2016年7月にETF購入額を従来比ほぼ倍増の6兆円に引き上げ、2018年7月の金融政策修正時には「資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて買い入れ額は上下に変動しうる」と方針を微調整していた。2018年の投資主体別売買動向では、外国人投資家が日本株を6兆円弱売り越したのに対して、日銀が6兆円強を買い入れたことで相場を下支えした経緯があり、買い入れ枠拡大を望む声は多い。 ただ、足元で相場がやや落ち着きを取り戻していることを勘案すると、ETFの買い入れ枠拡大に踏み切ることは難しそうだ。そこで現実的な路線で考えられるのはETF買い入れ配分の変更だろう。日銀が一部値がさ株の実質大株主になっていることなどを踏まえ、昨年7月の政策修正時にはTOPIX連動型ETFの買い入れ比率を従来の約75.0%から約87.5%へ引き上げた一方で、日経平均連動型は約22.4%から約11.2%に、JPX日経400連動型も約2.6%から約1.3%へ引き下げた経緯がある。 ■注目はキーエンスやメガバンク、ファストリやユニファミマ 今回もTOPIX連動型ETFの買い入れ比率を引き上げ、日経平均連動型比率を引き下げる場合は、TOPIX寄与度の高いトヨタ(7203)、三菱UFJ(8306)、NTT(9432)、キーエンス(6861)などの買い入れ比率が上がることになる。特に、キーエンスなど日経平均非採用銘柄や、日経平均寄与度が低いメガバンクなどはTOPIX連動比率の引き上げは歓迎されよう。 その一方で、日経平均寄与度の高いファーストリテイ(9983)、ソフトバンクG(9984)、ファナック(6954)、ユニー・ファミマ(8028)などの買い入れ比率が下がることになる。足元でファーストリテイの下落、任天堂の上昇などが目立つが、このような思惑も背景にありそうだ。(本吉亮) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先 物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門 への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。 米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

アルゴ勢とっくに「Brexit」 2年前からポンドの優先度引き下げ、備えはむしろ日銀緩和への思惑

英議会は15日(日本時間16日朝)、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)協定案を否決したものの金融・資本市場での反応は今のところ目立たない。2016年の国民投票でブレグジットが決まって以降、長期投資家は英ポンド建ての資産整理を進め、そう簡単には浮足立たなくなっている。コンピューター・プログラム経由の「アルゴリズム」も英国の優先度を下げ、トランプ米大統領の存在感が増した17年初めごろから米国の政治・金融政策などに軸足を移している。 英議会での採決結果が伝わると外国為替市場で英ポンドは急落したが、あまり間を置かずに戻した。対円は1ポンド=138円前後を底に140円近辺まで反発。15日の東京市場17時時点で付けていた139円90銭台とほぼ同じ水準になり、円の対ドル相場は1ドル=108円台でのもみ合いを続けた。「安全資産」のドイツや米国の債券への買いは限られ、米国では主要な株価指数が上昇しハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は1カ月ぶりの高値を付けた。 ポンドは、主要通貨にもかかわらず取引に厚みがなく、何も材料がない平時でも変動率は高い。採決前後に注文が細り、値が振れやすくなっていたことや、15日の英議会採決に否決予想がもともと多かった点を踏まえれば市場参加者は総じて冷静だったと解釈できるだろう。 「日欧の(金融緩和策の)『出口』は完全に遠のいた。そちらのほうが重要だ」。アルゴ周辺からはそんな声も聞こえてくる。15日の日米株高の背景には中国の金融緩和を含めた経済対策への期待があった。世界景気の先行き不透明感は簡単には消えそうになく、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続観測はだいぶ後退し、欧州中央銀行(ECB)の19年中の利上げには黄信号がともった。日銀もひょっとすると何らかの追加緩和を検討するのではないか――。プログラムの一部は日銀に関するニュースに円売りで応じる備えをしているという。 日銀が進める国債の大量買い入れやマイナス金利の弊害などから、日本国内では「追加緩和といっても何をするのか」との疑念が強い。ただ海外では日銀の政策に明るくない投資家がかなりいる。 ある欧州系ヘッジファンドの日本人マネジャーは「日銀が早ければ1月にも追加緩和の検討を始める、との思惑が出ているようだ」と話す。円が対ポンドや対ドルを含めてここにきて上値が重くなっているのには日銀の政策を巡る思惑が一枚かんでいるのかもしれない。 【日経QUICKニュース(NQN ) 編集委員 今 晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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