3452日の歴史、3451日の現実 S&P500にみる長期ブル相場の有効期限

20日の米国市場でS&P500種株価指数は一時2859.76まで上昇し、1月に付けたザラ場・終値ベースの史上最高値(2872.87)にあと13.11ポイント(0.4%)に迫った。先行き不透明が出ている割に強い地合いが続いている。 エバコアISIによれば前回のS&P500の長期上昇相場は1990~2000年に3452日続いたという。今回は3451日。2000年3月にS&P500がピークを打った際にFF金利は6.00%、10年債利回りは6.19%、株価収益率(PER)は31倍だったといい、ITバブル当時と現在を比較する事には違和感もあるが、その後、2001年3月に米国はリセッションを迎えた。長期ブル相場の最終局面が近いのだろうか。 ちなみにノムラ・セキュリティーズは19日付で「米国:追加関税による不確実性を我々の予想に組み込む」と題するリポートを公表し、2018年・19年の米国内総生産(GDP)予想をやや引き下げていた。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

「嬉しくない」で金利もドルも⤵ T砲介入、夏バテも夏休みもなし

20日の米国市場でドル指数(DXY)は4日続落し、0.38%安の95.77で終えた。トランプ大統領が17日にニューヨーク州で行われた資金集めのイベントで、「共和党支持者向けに米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が低金利政策をとると見込んでいたが、逆に金利を引き上げていると不満を漏らした」(ブルームバーグ)などと報じられたことでドル安が進んだ。 この日はロイターもトランプ氏とのインタビューで「パウエル議長が利上げを行うことを嬉しく思っていない」と伝えた。さらにトランプ氏は「中国は為替を操作していると思っている。ユーロもまた、操作されていると思う」と述べ、貿易紛争懸念が残る状況下、FRBの利上げを受けてドル高が進む中で人民元やユーロが下落基調にあることに不満を示した。珍しく、日本や円についての言及はなかった。 今週、ワイオミング州ジャクソンホールで開かれるカンザスシティ地区連銀主催の金融シンポジウムでパウエル議長の講演を控える中、トランプ氏から利上げをけん制するかのような見解が相次いだことになる。トランプ氏は7月19日にCNBCのインタビューで利上げに関して「私は嬉しくない」と述べていた経緯がある。 20日はトランプ氏の利上げけん制発言を受けて、米10年債が買われる展開となった(金利は低下)。米10年金利は2.81%台へ低下し、7月上旬以来の水準。ドル指数と米長期金利は8月に入ってから正相関の関係を強め、ドル安・金利安の流れが強まっている。(片平正ニ、池谷信久)    <ドル指数(緑・左)と米10年債利回り(白・右)の年初来チャート> (注)QUICK FactSet Workstationより作成 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。    

【朝イチ便利帳】21日 7月の全国百貨店売上高、20年物国債の入札

 21日は7月の食品・全国スーパー売上高、全国百貨店売上高などが発表される予定のほか、20年物国債の入札が行われる。IPO関連ではナルミヤ・インターナショナル(9275)の仮条件が決定する。第100回全国高校野球選手権大会の決勝戦が、午後2時から甲子園球場で開催される。秋田県勢としては103年ぶりの決勝進出をはたした金足農(秋田)と、大阪桐蔭(北大阪)が対戦する。 海外では豪中銀理事会の議事録などが発表される予定だ。

落ちた橋、再び落ちそうな信用力 イタリア財政不安、株も債券も売り

イタリアで14日発生した高速道路の高架橋の崩壊事故が金融市場に影を落としている。インフラ投資など財政拡大が容認されるのではないかとの懸念がくすぶり、同国10年債利回りは足元で3.1%台と、政局混迷から同国金利が急騰した5月下旬以来の高さで推移している。今秋の欧州連合(EU)への予算案提出を前に、財政懸念を市場の波乱要因として意識する市場参加者が増えている。 イタリアではポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と極右「同盟」による連立政権が、予算案の閣内協議を進めている。予算案の作成中に起きた高架橋の崩壊事故を受け、サルビーニ内相は先週、「イタリア国民の安全を最優先しなければならない」と発言。EUの財政基準を超えても歳出を増やすべきだと主張した。 一方、EU側は監視の目を強めている。ダウ・ジョーンズ通信は17日、欧州委員会の報道官の話として「イタリアは2014~20年にEUインフラ基金から約25億ユーロの提供を受けている」と伝えた。EUとしては、イタリアは資金を受けている以上は財政基準を守るのが当然との考えのようだ。 イタリア政府は高速道路の管理会社「アウトストラーデ」の責任を追及する構えを見せる。同社の親会社である伊運輸大手アトランティアの株価は大きく値を下げている。同国の代表的な株価指数「FTSE・MIB」は前週末17日まで7日続落しており、トルコ情勢への過度な警戒が一服するなかでも下げ止まりの兆しは見えない。 事故の責任の所在がどこであれ、市場では「財政拡大の連想が働きやすく、イタリア債の売り要因として意識される」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広マーケットエコノミスト)との声が多い。予算案は9月27日までに議会に提出した後、EUに10月15日までに出さなければならない。 市場では「米中の貿易摩擦やトルコ情勢を材料にした取引に食傷気味になっている」(国内証券)との声も聞かれる。5月に金利が急上昇した際は世界的な株安も招き、金融市場に「イタリア・ショック」が走った。財政不安が強まる事態に備え、イタリアの金利上昇をきっかけに市場が再び動揺するシナリオも頭の隅に入れておいた方が良いだろう。 【日経QUICKニュース(NQN) 矢内純一】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

投機筋ついにユーロ売り越し トルコ余波、半端ないドル一強

米商品先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(14日時点)でユーロが1789枚のネットショートとなった。ユーロの投機ポジションがショートとなるのは2017年5月2日以来、1年3カ月ぶりのこと。トルコと米国の対立が激化したことで13日、トルコの通貨リラの対ドル相場が1ドル=7.2362リラに急落。史上最安値を更新するなか、ドル高・欧州通貨安の流れを受けてユーロ売りが活発化した格好だ。 豪銀大手オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は20日付のリポートで、CFTCの為替ポジションを踏まえて「レバレッジド・ファンドとアセット・マネジャーズらは2週続けてドルを買い越した」と指摘した。ドルの買い越し規模は前週比で5億ドル増の303億ドルに膨らんだといい、2015年11月以来の高水準に達したという。米中の貿易紛争懸念が残るなか、ドル指数が強含んでいることと整合的な動きとみられる。 なお、リポートでは「今週はFOMCの議事要旨のほか、ジャクソン・ホールでパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が週末に開かれるため、短期的なポジショニングを占う上で重要なものになるだろう」と指摘した。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

トップは働き過ぎと睡眠薬に要注意 テスラ騒ぎで見えた懸念と教訓

17日の米国市場で電気自動車(EV)大手のテスラが大幅に4日続落して8.92%安の305.50ドルで終えた。終値ベースの下落率としては2016年6月22日(10.45%)安以来、2年2カ月ぶりの大きさを記録した。 この日にNYタイムズ紙電子版がイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)のインタビュー記事を掲載。その中で、マスク氏がEVのモデル3の量産にあたって苦しんでいる様を紹介したことが警戒された。マスク氏は「私のキャリアで困難な年だった、ひどく苦しかった」と近年のテスラの経営について心境を吐露。また記事では、マスク氏が睡眠薬のアンビエン(日本名・マイスリー)を服用していることに取締役会メンバーが懸念を抱いているとも報じていた。マスク氏は今月7日にツイッターで「非公開化を検討、資金は確保した」と投稿してレバレッジド・バイアウト(LBO)による非公開化を買付価格1株420ドルで行う方針を明らかにしていたが、市場では空売り投資家の踏み上げを図ったとみられていた。今回のNYTの記事を受けて、睡眠薬の副作用によって衝動的に行った可能性が市場で警戒された格好だ。 マスク氏は1週間に120時間働いているといい、今年夏に兄弟の結婚式に出席できなかったほか、誕生日をテスラのオフィスで過ごしたことも明らかにした。 なお、マスク氏は19日にツイッターで「フォードとテスラの2社は、米国の自動車メーカーで唯一破綻しなかった。私は工場から帰ったばかりだ。あなたはこれがオプションだと考えているが、それは違う」とつぶやいた。リベラル系ニュースサイト「ハフィントン・ポスト」の創設者であるアリアナ・ハフィントン女史が公開書簡の形式で「親愛なるイーロン。あなたは人間のエネルギーを使う上で、ひどく時代遅れ、反科学的、ひどく非効率的な方法を実証しています」と批判的な記事を書いたことに対する返答だったが、相変わらずマスク氏は本業で忙しいもようだった。(片平正ニ) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ステルス減額?ただの微調整? ペースダウン、夏の本石砲に思惑

日銀のETF買い入れ(本石砲)が議論を呼んでいる。8月に入ってからETFの購入ペースが落ちているため、将来の購入減額に向けた布石としての「ステルステーパリング」の思惑がくすぶる。 7月末の日銀金融政策決定会合ではETF買い入れに関して「年間約6兆円」という金額を残しつつ、「市場の状況に応じて、上下に変動しうる」との注意書きを加えた。購入基準は非公表だが、今年1~7月までは午前中にTOPIXが0.4%以上下落した際には700億円強の買い入れを実施。8月は15日にTOPIXが0.43%安、16日には0.42%安で午前中を終えていたが、買いが見送られていた。 <7月以降、前場TOPIXが下落した日の日銀のETF買い入れ状況> 野村証券は16日付リポートでETF会に関して「ステルステーパリング発動?その可能性は極めて高い」とのリポートを公表した。リポート内ではETF買入減額は静かに開始されたと見るのが妥当であろうと指摘している。一方、東海東京調査センターの鈴木誠一氏は現状の発動条件は「現状、TOPIXの前場の下落率が0.50%に設定されている」と指摘する。そのうえで足元までにETFの買い入れ進捗ペースが6兆円を上回るペースだったためであり、「ステルステーパリングが進行していると考えるのは期待しすぎ」とする。 歴史を紐解けばTOPIXが前場に0.45%下げても買い入れを見送っていた日はある。2016年10月12日にはTOPIXが前場を0.45%安で終えていたがETF買いは実施されなかった。この時期に日銀のETF買い入れが過剰なペースだったと指摘されていた。足元も当時と状況は重なり、これまでの買い入れペースはイーブンレベルから1600億円ほど上回っている。鈴木氏はこうした状況からあくまで「マイナーチェンジ」と捉える。 いずれにせよ「まだ状況を見極めるべき時期だが、ある程度の基準で買い入れが実施される状況は変わっていない」(国内証券)との声がある。ETFが買い入れがある限り、一部銘柄の需給を引き締めるという見方もある。議論は尽きないが、足元のピースだけでステルステーパリングとの結論を導くのは早計といえる。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

【朝イチ便利帳】 20日 7月の主要コンビニ売上高、ギリシャ金融支援が終了

20日は7月の主要コンビニエンスストア売上高が発表される予定。海外では、ギリシャ金融支援(第3次金融支援プログラム)が終了する。  

「日経平均10万円」には根拠がある by 武者陵司氏(シリーズ:ベテランに聞く)

修羅場をかいくぐってきた人々の言葉は重い。そんな市場の大ベテランたちに大変動を乗り切るための相場との向き合い方を尋ねる「ベテランに聞く」。シリーズの第1回目、武者リサーチ代表の武者陵司氏は、40年以上にわたって株式アナリスト・ストラテジストとして市場と対峙し、その分析力は高く評価されている。武者氏は市場を動かす最も根本的なメカニズムは「企業の価値創造である」と指摘。今の日本企業は「オンリーワン領域」で戦う非常に強いビジネスモデルを築いており、日経平均株価の10万円突破が視野に入っていると主張する。【聞き手は日経QUICKニュース(NQN)=大西康平、張間正義】   武者陵司(むしゃ・りょうじ)氏 1973年に大和証券入社。企業調査アナリストとして自動車や電気機器などのセクターを担当。88~93年までニューヨークに駐在し、チーフアナリストとして米国のマクロ・ミクロ市場を調査。97年にドイツ証券調査部長兼チーフストラテジスト、05年に副会長を経て、09年に武者リサーチを設立して独立し、代表を務める   ■市場を動かすのは、企業の価値創造 私が40年以上手掛けてきたリサーチという仕事は、世の中の背景にある理屈や道理を読み取り、仮説を立てて将来を展望する作業だ。因果関係と論理を使って、誰も知らないことについて「謎解き」をしていくようなもの。非常にエキサイティングな行為で、世の中を突き動かす一番大きなメカニズムを捉えるのが大事だ。 最も重要と考えているのは「企業による価値創造」だ。健全、かつ持続的に企業が価値を生み出せているかがポイントとなる。それが株価や金利といった市場価格を動かし、国内総生産(GDP)などの実体経済を動かし、さらには政治体制をも動かすと考えている。 私は1997年から2002年までの日本株に弱気の意見を出し続け、実際に的中させた。戦後の日本企業の価値創造の源泉は、米国から導入した技術を使い、円安と低賃金によって価格競争力のある製品を作り、米国へ輸出するというビジネスモデルだった。しかし、1980~90年代のバブル崩壊と米国による貿易摩擦によってこのモデルは崩壊した。その後、新たなビジネスモデルを生み出せなかったと考えたためだ。 05年以降は一転して日本株に超強気の意見を出し、また的中させた。03年のりそな銀行への公的資金の注入をきっかけに、信用収縮が止まるというパラダイム転換があったことがきっかけだ。さらに、日本企業の新たな価値創造モデルとして、日本に比べてコストが安い海外の労働力を活用しながら、高い技術力で稼ぐというあり方が見えてきたためだ。 ただ、07年7月以降、日本株に強気のスタンスを維持したのは大外れだったと考えている。リーマン・ショックがあっても日本企業の価値創造は揺るがないと確信していた。ただ金融危機の伝染力や、実体経済への影響力を軽視してしまった。私の認識に誤りがあり、学びとして修正している。 ■「オンリーワン領域」で戦う日本企業は圧倒的に強い 私は2033年に日経平均株価が10万円を突破すると公言している。「そんなばかな」と思う方もいるかもしれないが、世の中の根本にある日本企業の価値創造の力から論理的に考えた結論だ。今の日本企業は「オンリーワン領域」で戦う、非常に強いビジネスモデルを確立した。 日本企業は国際分業が進む中で、周辺及び基盤の分野で圧倒的な強みを持っている。例えばデジタル機器が機能するためには、半導体などの中枢分野だけではなく、半導体が処理する情報の入力部分をつかさどるセンサーや、モーターなどのインターフェースといった周辺分野が必要だ。また中枢分野の製造工程を支える素材や部品、装置などの基盤分野も欠かせない。 周辺と基盤の分野に強みを持つ最大のメリットは、価格競争に巻き込まれるリスクが極めて低いことだ。今後、ハイテク業界はあらゆるモノがネットにつながる「IoT」関連投資が活発になり、極めて高い成長率となるだろう。その中で、希少性が高く、価格支配力が維持できる分野に強い日本企業は、極めて有利なポジションに立っている。 ■過去の経験則が通用しないパラダイム転換を読み取る アナリストの仕事も、昔と今とでは規制の強化などで大きく変化しているが、根本は変わらないと考えている。今後の社会では、過去の経験から予測できる広義の「不確実性」は人工知能(AI)で推測できるようになる。単なるトレーディングは誰がやってもAIを用いれば同じことになり、利益が出なくなるだろう。そこで、人間であるアナリストに求められるのは、過去のデータや経験則からは全く予測できない、狭義の「不確実性」を読み取ることだ。世の中のパラダイム転換を読み取ることが、金融のリターンの源泉となる。それに必要なのが仮説を立てて将来を見通すという知恵、つまりリサーチの力だ。 (随時掲載)

「株皇后」ヤゲオが来た 台湾ハイテク、次の主役は電子部品

ハイテク企業の世界的な集積地の1つである台湾の株式市場で「地殻変動」の兆しが起きている。台湾では、長年の相場の主役は半導体受託の台湾積体電路製造(TSMC)など、米アップルの関連銘柄だった。しかし、今年になってコンデンサー大手の国巨(ヤゲオ)などの電子部品株に注目が集まっている。アップルに代表されるスマートフォン(スマホ)から、電気自動車(EV)などに製品需要の趨勢が移りつつあるとの読みが背景だ。折しもハイテク業界では、ゲーム不振を背景に「テンセント・ショック」が吹き荒れる。ハイテクの花形といえるスマホやゲームの「終わりの始まり」の現れなのだろうか。 「アップル関連と電子部品株の神秘の交代劇」――台湾の投資コンサルティング会社、万宝投資顧問は傘下の週刊誌に今週、こんな見出しの記事を掲載した。今年に入り台湾の投資家の間で、たびたびささやかれてきた話題だ。直接の背景にあるのはヤゲオ株の急伸だ。 ヤゲオ株は6月、初めて1000台湾ドルの大台に乗せた。台湾市場で現在、株価が1000台湾ドルを超えるのは「株王」の異名を持つ光学レンズの大立光電(ラーガン・プレシジョン)のみ。値がさ株2位に付けたヤゲオに対し、台湾の投資家は「株皇后」の名称を与えた。現在の株価は7月からの利益確定売りで伸び悩んでいるが、それでも昨年末の2倍以上も高い水準にある。 ヤゲオが生産するのは積層セラミックコンデンサー(MLCC)や抵抗器などの受動部品だ。スマホにも使われるが、用途はさらに広く、あらゆるモノがネットにつながる「IOT」やEVの普及で需要が拡大。ヤゲオの4~6月期純利益は108億台湾ドルと前年同期の9倍超に伸びた。このほか、同じMLCC生産を手掛ける華新科技(ワルシン・テクノロジー)の株価も、年初来から約2.5倍になった。 台湾市場はTSMCと鴻海(ホンハイ)精密工業、そしてラーガンの時価総額上位3銘柄が、いずれもアップルの「iPhone(アイフォーン)」の生産に関わる。ところが、鴻海が13日に発表した4~6月期営業利益は前年同期比で37%減った。株価は年初から15%安。ラーガンは同1割上げたものの、騰落率は「王」が「皇后」の10分の1にとどまる。アップルは今年も秋に新製品を発表するとみられるが、「スマホの飽和感が強まるなか、高価格製品がどこまで売れるか未知数」(豊盛金融集団アナリストの馮宏遠氏)との不安はくすぶる。 【日経QUICKニュース(NQN ) 桶本典子】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

FANGよりWANG 「W」はネットとリアルの融合効果が出始めたあの老舗

16日の米国株式市場でウォルマートが大幅反発。2月以来、半年ぶりの高値となる100ドルを突破する場面があった。終値は前日比9%高の98.64ドルだった。朝方発表した2018年5~7月期の決算で調整済み1株あたり利益が1.29ドルと、市場予想(QUICK・ファクトセット、1.22ドル)を上回った。 売上高は前年同期比3.8%増の1280億ドル(市場予想は1259億ドル)。来店者数が増えたことで食料品などの売り上げが好調となり、既存店売上高は4.5%増とここ10年あまりで最も増加率が大きかった。「対アマゾン」で力を入れているネット通販の伸びも貢献しているようだ。 著名コメンテーターのジム・クレーマー氏は16日の米経済専門チャンネルのCNBCで「FANGを見直し、ウォルマート、アップル、ネットフリックス、米検索大手グーグルの親会社であるアルファベットで構成される『WANG』という新しいグループを見るべき時かもしれない」と指摘した。 ※QUICK FactSet Workstationより FANGは言うまでもなくフェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグルといった主力ハイテク株のグループ。QUICK FactSet WorkstationでFANGとWANGを指数化したところ、16日時点でFANGは年初来で33.72%上昇しているが、7月25日をピークにして上値が重くなっている。一方、WANGは17.85%上昇し、ウォルマートの急騰を受けて年初来の高値を更新してきた。ウォルマートやアップルの一段高に期待を持つなら、WANGに上昇余地があるのかも知れない。(松下隆介、片平正ニ)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

【朝イチ便利帳】 17日 anfac(7035)仮条件、8月の米消費者態度指数

17日は3カ月物国庫短期証券の入札が行われる予定。IPO関連では、and factory(7035)の仮条件が決定する。 海外では8月の米消費者態度指数や7月の米景気先行指標総合指数などが発表される予定だ。

テンセント・ショック、それでもアナリストは強気

中国のインターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)の決算が15日の米市場を揺らした。2018年4~6月期決算で純利益が前年同期比2%減の178億6700万元(約2880億円)となった。四半期ベースの減益はおよそ13年ぶり。米国の店頭市場(ピンクシート)でテンセント株は6%超も下落した。 投資家が動揺したのは減益だけではない。主要項目がアナリスト予想に届かなかったことが大きい。 <テンセントの4~6月期決算>           実績      市場コンセンサス 売上高      736億7500万元  779億4600万元 ゲーム関連事業  420億6900万元    464億400万元 EPS                              1.87元                  1.97元 ※QUICK FactSet Workstationより   特に主力のゲーム関連では実績と市場予想のかい離率が9.3ポイントとなった。QUICK FactSet Workstationによると13年4~6月期以降で最大だ。急速な成長への期待感が今回の決算で一気に失望に転じた可能性が出てきた。米市場ではほかのネット関連株も軒並み売られただけに、余波がどこまで広がるのか注意が必要だ。   <ゲーム事業の売上実績に対する市場予想のかい離率の推移> ※QUICK FactSet Workstationより   しかし、テンセントの成長に対してアナリストはまだ希望を捨てていないようだ。主軸のゲーム関連事業が事前予想に届かなかったことを受け、各社の担当アナリストは一斉に目標株価の引き下げに動いたが、投資判断を「買い」で据え置くアナリストも目立つ。JPモルガンでは「今回の決算でゲーム関連が弱かったものの、引き続き力強い成長を続けると予想する」との見方を示しているようだ。    ※QUICK FactSet Workstationより 最近では8日に配信したオンラインゲーム「モンスターハンター:ワールド(モンハン)」が13日に当局の指導により配信停止に追い込まれた。懸念材料ではあるものの「年末までには解決されるのではないか。株価の急落場面は押し目買いの好機」(マッコーリー・キャピタル)との声もあった。(岩切清司 ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

【朝イチ便利帳】 16日 7月の豪雇用統計、エヌビディア決算

16日は財務省が7月の貿易統計速報を発表するほか、1年物国庫短期証券及び5年物国債の入札が行われる。海外では7月の米住宅着工件数や米新規失業保険申請件数(週間)などが発表される予定だ。

【QUICK Forecast 企業業績】主要345社、来期も堅調 全業種で営業増益

QUICKは上場企業の2期先までの業績予想を示すツール「QUICK Forecast企業業績」を提供している。このツールで日経業種分類による2018年第1四半期終了時点(8月13日時点)の業績集計を行った。 2018年度通期の連結業績予想(金融を除く全産業345社ベース)は、売上高が前期比2.7%増、営業利益が同3.8%増、経常利益が同5.0%増、純利益が同0.7%減となった(表1)。営業利益は金融を除く29業種中、20業種で増益を予想。5月20日集計の期初予想と比較すると、精密機器とサービスが増益から減益に転じた(表2)。精密機器の減益は、オリンパス(7733)の訴訟に関する営業損失が主因だ。 今期の営業利益予想で期初時点からの変化率が大きい業種は、鉱業、非鉄金属製品、鉄鋼といった素材関連、電力やガスなどのエネルギー関連がある。プラスの変化率が大きい素材関連は増益率がさらに拡大する見込みだ(表3)。 表1.QUICK Forecast企業業績(今期予想) 表2.期初と直近の予想営業利益(今期予想) 表3.営業利益(今期予想)の期初からの変化率ランキング  また、来期2019年度の連結業績予想(金融を除く全産業345社)は、売上高が今期予想比で4.0%増、営業利益が同4.7%増、経常利益が同6.1%増、純利益が同7.0%増となった。金融を除く29業種中すべての業種で営業増益を予想する(表4)。 表4.QUICK Forecast企業業績(来期予想) (注)表1と表4で金額の単位は億円。集計は、JPX日経400採用のうち、直近実績・今期予想・来期予想のデータが全て揃う銘柄を対象とした。集計日は8月13日 ※QUICK Forecastは全上場企業約3700社のうち、必要なデータがそろわない一部の銘柄を除き、ほぼすべての銘柄をカバーしている。決算や業績予想の修正などに対応し、タイムリーに予想値を算出することができる。現在はβ版として提供しており、サービス内容は適宜、改善・更新される。QUICKの情報端末の「ナレッジ特設サイト」ではこのほかさまざまな決算情報のコンテンツツールを提供している。

ドル高の圧力、トルコ一服でさらに 逆相関の金も1年半ぶり安値

14日のニューヨーク商品取引所(COMEX)で金先物相場は4営業日ぶりに小反発したが、1200ドルの節目を割り込む場面があった。一時、1198.6ドルをつけ、中心限月としては17年3月以来の安値となった。金価格(グラフ緑)はドルと逆相関の関係にある。ドルの総合的な強さを示すドル指数(DXY、グラフ青、逆目盛)は4日続伸し、前日比0.38%高の96.68と、17年6月以来の水準に上昇している。 この日の為替市場でトルコリラがドルに対して前日比で6%ほど上昇し、6.30リラ近辺までリラ高・ドル安となったことで世界同時株安が一服。リラに対してドル高が一服する一方、リスク・オンの展開で円安が進むなど、ドル高の流れが続いた。 米経済専門チャンネルのCNBCによればトルコリラは13日に1ドル=7.2362リラまで下げて史上最安値を更新した。8月に入ってから28%、年初来で40%下げていたせいか、自律反発の動きが出たもよう。13日にトルコ中銀がリラ防衛策を発表していたが、14日にはトルコの経済団体がエルドアン大統領に対して、通貨の安定のためには政策金利の引き上げが必要だと通貨防衛策の実施を要請した。英フィナンシャル・タイムズ紙電子版によればトルコの経済団体が政府に要請するのは珍しいといい、経済界の危機感がうかがわれた。 「トルコ情勢ばかりに焦点が当たりますが、結局はドル高進行の影響を見極める必要があるのではないでしょうか」――国内投信のストラテジストは金相場のチャートをにらみながらこう話す。 投資家は冷静にドルと金の逆相関をにらんでいる。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋による金先物の買い越し幅は7日時点で1万2688枚と4週連続で縮小し、2年8カ月ぶりの低水準となった。足元はトルコ・ショックと冠がつく状態でも積極的に買いが入る様子もみられていない。 金は発行体リスクがなく、無国籍通貨としての側面を持つ。それだけに世界の金融相場が荒れる現状でも冷静に売られる金相場動向からはマーケットがドルに対する信頼感を示している状況といえる。ドルと金の逆相関が崩れた時こそ「要警戒」というバロメーターとして見ても良い状況かもしれない。(池谷信久、片平正ニ、中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

【朝イチ便利帳】15日 7月の米小売売上高、8月のQUICK短観

15日は8月のQUICK短観が発表される。その他、7月の首都圏・近畿圏のマンション市場動向(不動産経済研究所)や7月の訪日外国人客数(日本政府観光局)などが発表される予定。海外では、7月の米小売売上高や7月の米鉱工業生産・設備稼働率などが発表される予定だ。  

「盾突く国」を狙い撃ち 進むドル高、新興国通貨安もう一つの読み方 

13日にドル指数(DXY)が大幅に3日続伸し、1.19%高の96.31で終えた。一時は96.52まで上昇して2017年6月以来、1年2カ月ぶりの高値水準を回復した。この日の為替市場でトルコリラ(TRY)の急落を受けて南アランド(ZAR)など新興国通貨に売りが伝染(コンテージョン)する中、ドル高の流れが強まった。  QUICK FactSet WorkstationによればZARは1ドル=15.51ZARまでドル高ZAR安が進み、前日比で10%超急落して2年ぶりの安値水準を付ける場面があった。アルゼンチンペソ(ARS)は1ドル=30ARSの大台を突破して史上最安値を更新。アルゼンチン中銀がこの日、政策金利を500bp引き上げて年45%にする5月以来の緊急利上げを行ったことで終値では29ARS台でややペソ安が一服したが、トルコリラの急落を受けて新興国通貨が弱い流れが続いている。 QUICK FactSet Workstationで新興国通貨を指数化したところ、年初来の下落率が対ドルで最も大きかったのはTRY(グラフ赤)で181.34%。これにARS(グラフ青、160.92%)、ロシアルーブル(グラフ白、RUB、117.53%)、ブラジルレアル(グラフ濃緑、BRL、117.21%)などが続いている。   もっとも、コンテージョンとはいっても新興国通貨の売られ方には温度差がある。そもそも米国の利上げという逆風が吹き続けているし、トルコ問題に端を発して信用問題が他の新興国にも広がる可能性を論じるには無理がある。 新興国という角度より、米国と喧嘩しているかどうかがポイントと言える。ロシアのルーブルはトルコリラと似たようなチャートを描いている。また下落圧力が高まっているのは中国の人民元も同じ。外交面で米国から制裁を受けているか通商問題を抱えている点で共通している。市場は今、トランプ米大統領に盾突く国の通貨を狙い撃ちにしているとみた方がいいのではないか。(片平正ニ、岩切清司)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。   

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