米のドル売り介入「する」3割、標的は人民元 QUICK外為調査

QUICK編集チーム=伊藤央峻、写真=Zach Gibson/Getty Images 米中の貿易摩擦が為替市場に及んだ。米トランプ政権は対中関税の第4弾発動を表明したのに続き、中国を25年ぶりに為替操作国に指定。貿易赤字の削減に向けてドル安誘導に躍起だ。政権内でドル売り介入が議論されたことも明らかになった。QUICKと日経ヴェリタスによる共同調査では、回答者の3割が米国はドル売り介入に動くとみているとの結果が出た。 米が対中制裁関税第4弾の発動を表明したのは1日。5日に人民元が1ドル7元台に下がると、すかさず為替操作国の指定を発表し、人民元安の封じ込めに強い姿勢を見せた。調査期間の5~7日は市場が激しく動揺していた局面にあたる。外国為替市場関係者91人が回答した。 米国第一の保護主義を掲げ、貿易赤字の削減を最優先するトランプ政権にとって、ドル安は最も重要な武器といえる。米政権は伝統的に「強いドル政策」を志向してきたが、トランプ氏は8日のツイッターで「私は違う!」と強調した。 米連邦準備理事会(FRB)が7月末に0.25%利下げした後もドルの実効為替レートは下がらず、この10年でみるとなお高水準だ。来年の大統領選をにらみ、貿易相手国とFRBに圧力をかけ続ける強硬なドル安政策を繰り出しているだけに介入の可能性は無視できない。 調査では12%が「年内に介入」、18%が「2020年の米大統領選までに介入」と回答した。その場合に対象となる通貨は、人民元(72%)、ユーロ(51%)、円(43%)となった。 JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は「中国を為替操作国に指定し、対人民元での介入を正当化する余地が出てきた」と指摘する。 米の為替介入は、金融市場への影響が大きく、東日本大震災後の急激な円高に対応した協調介入を最後に行われていない。1985年のプラザ合意では介入の結果、ドル安が止まらなくなる事態も招いた。「介入しない」の回答者は「利下げや口先介入で十分」「各国の介入合戦を招く」などを理由に挙げた。 市場参加者の円の対ドル相場の予想は1ドル=106円台とほぼ3年ぶりの円高水準になった。先週は米中摩擦の激化から、リスク回避の円買いが強まり、円相場は前週末に一時105円台前半と1月以来約7カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。 ※QUICKでは株式、債券、外為の市場関係者を対象に、景気や相場動向についての月次アンケートを実施しています。それぞれの調査結果の詳細は、QUICKの様々な金融情報端末・サービスで公表しています。

米利下げ「年内1回」5割弱 市場の織り込みは行き過ぎとの見方 外為月次調査

世界の金融市場は米国の利下げをかなり織り込んだ展開になり、18~19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の判断が注目されている。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した外為市場関係者へのアンケートによると、米連邦準備理事会(FRB)の利下げの回数について、「年内は1回」との回答が半分近くに上った。2~3回を織り込んだ水準で推移する先物相場の動きを「行き過ぎ」とみていることになる。 FRBのパウエル議長は米中摩擦などの影響を踏まえ、利下げを否定しない姿勢を見せているが、ここへきて市場と政治の両面からさらに強く利下げを迫られている状態だ。先週発表された5月の米消費者物価指数が低調だったほか、新規失業保険申請件数も3週連続で増加するなど、堅調だった雇用の陰りを示す統計が目に付く。トランプ大統領は相変わらずFRBの金融政策を批判。ロス商務長官からも、昨年12月の利上げは「時期尚早だった」と再考を求める発言が出ている。 こうした中、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の将来の水準を想定して取引されるFF金利先物は、2020年1月物の価格が2.5回分の利下げ(1回あたり0.25%)を先取りした値動きとなっている。シカゴ・マーカンタイル取引所の「Fedウオッチ」でも、年内に2回利下げする確率は約3割、3回以上が約6割に上る。 これに対し、月次調査では「年内1回」の回答が47%、「2回」は32%、「3回以上」は1%だった。オフィスFUKAYAの深谷幸司代表は「足元の景気動向から見れば年内2~3回の利下げは織り込みすぎ」と指摘。景気悪化を事前に食い止める予防的な利下げを1回実施するのにとどまるとみている。 一方、SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは「利下げは予防的措置で済まされなくなる」とみる。サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数の下落が賃金や雇用に波及する経路を警戒。「景気失速で年内に2回、20年3月までに計4回の利下げの可能性がある」とする。 最初に利下げが決まる時期については、7月の38%と9月の41%がほぼ拮抗した。調査は10~12日に実施し、金融機関や事業会社の外為担当者95人が回答した。(ナレッジ開発本部 伊藤央峻) ※QUICKでは株式、債券、外為の市場関係者を対象に、景気や相場動向についての月次アンケートを実施しています。それぞれの調査結果の詳細とヒストリカルデータは、QUICKの様々な金融情報端末・サービスで公表しています。

踏ん張れるか企業業績 過去の「弱気」局面と比較、コンセンサスDI

企業業績の見通しが弱気に傾いている。今月初旬にまとまった「QUICKコンセンサスDI」(2月末時点)は金融を含む全産業ベースでマイナス32と、16年7月以来の低水準。製造業ベースではマイナス51で、11年12月以来の低さになった。米中貿易摩擦などの悪材料が相次ぎ、製造業を中心に業績悪化への懸念が強まっている。過去の「業績弱気」(DI低下)の局面と比較してみた。 ※QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出する。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが予想している銘柄が対象で、主要企業の業績への市場全体の期待値が上向きか、下向きかが分かる。 データを確認できる04年10月以降で、コンセンサスDIの低下局面は大きく3回ある。1回目は08年のリーマン・ショックの時期。リーマンが破たんした08年9月の前後から、金融が先行して、製造業と非製造業も巻き込んでいく事態に発展した。 2回目は11年3月11日の東日本大震災の弱気局面だ。地震や原発事故によるサプライチェーンの混乱などで製造業と非製造業で業績懸念が広がった。災害からの復旧が進み一時は持ち直したが、その後は原発停止による電力供給(エネルギー)問題、ギリシャ問題や米政治の混乱などで進んだ円高が追い打ちをかけた。様々な供給制約要因が重なる「六重苦」などといわれ、景況感はなかなか上向かなかった。 3回目の16年ごろは、15年夏~16年初めのチャイナ・ショックが関連している。中国経済の減速が懸念され製造業の業績見通しが悪化したほか、日銀のマイナス金利の導入で金融機関の業績DIもリーマン・ショック期以来の低水準となった。 ※経常利益伸び率は1期前の決算との比較 コンセンサスDIが低下した後、実際の業績がどのように推移したのかも調べてみた。リーマン・ショックの際はDIが急激に低下し、少し遅れて業績も大きく落ちこんだ様子がわかる。一方、16年のチャイナ・ショックの局面は、業績DIが一気に下げたのに対し、実際の業績のマイナスは比較的小さかった。DIが急回復を見せるとともに株価も上昇し、日経平均は2万円台の水準を突破していった。 振り返ると、当時の米連邦準備理事会(FRB)は15年12月に9年半ぶりの利上げに踏み切ったものの、16年1月の世界同時株安などを踏まえて、次の利上げまで時間をおいた。16年の利上げは4回と見込まれていたが実際は1回にとどめ、その効果もあって景気と企業業績が持ち直した。 今回も、FRBは中国発の景気懸念と株安をうけて利上げ路線をいったん棚上げしており、ここまでは16年のチャイナ・ショックと共通する。今後、実際の業績がどの程度の減速・悪化で踏みとどまり、景気の本格的な腰折れを回避できるのかは、なお不透明な部分が多い。(QUICKナレッジ開発本部 伊藤央峻)

米欧の中銀「ハト派」化、織り込み一段と 債券QUICK月次調査

債券市場で、2019年の米欧の金融政策はハト派色が強まるとの見方が目立ってきた。QUICKが4日にまとめた2月の月次調査では、米連邦準理事会(FRB)は保有資産の縮小をいったん停止し、政策金利の引き上げもゼロないし1回と予想する声が多かった。   「FRBの保有資産の縮小ペースをどう予想するか」との問いに対し、縮小を停止するとの回答が56%を占めた。19年中のFRBの政策金利(FF金利)の引き上げ回数は0~1回の合計で9割を超す。欧州中央銀行(ECB)の19年中の金融政策に関する質問でも緩和的な政策が多く選ばれた。 実際、FRBのパウエル議長は、米国債などの保有資産縮小を年内に終了することを検討していると議会で証言。ECBの長期資金供給オペ(TLTRO)の再実施の観測も浮上している。当事者からハト派的なメッセージが相次いで出されていることもあって、約2週間前に外為市場関係者を対象に実施した月次調査と比べても、緩和的な政策の織り込み度合いがより強まっている。 今後の長期金利上昇の余地は限定されると見る向きが多い。足元では世界的な投資家心理の改善をうけ金利は小幅に上昇しているものの、「政策的な金利上昇要因がない。海外金利の動向が日本の金利の上値も抑える」(BNPパリバ証券の徳勝礼子氏)という。 今回は同時に、英国の欧州連合(EU)離脱による英経済への影響についても聞いた。「小幅に減速する」が60%と最も多く、ついで「大幅に減速する」が29%だった。「(英経済の)ハードデータとして現れるのは20年以降」(証券会社)などの声があった。 2月の債券月次調査は2月26~28日に実施し、証券会社および機関投資家の債券担当者136人が回答した。(ナレッジ開発本部 伊藤央峻)

年末「ドル>円>ユーロ」の構図 米の金融正常化一服、日欧は動けず QUICK月次調査

金融市場が落ち着かず世界経済の減速懸念も浮上する中で、2019年の日米欧の中央銀行のかじ取りに注目が集まっている。QUICKと日経ヴェリタスが外国為替市場の関係者に調査したところ、米国の金融引き締めは小休止し、欧州と日本も大きく動けないと予想する回答が多かった。全般に景気配慮型の金融政策を前提に年末は「ドル>円>ユーロ」の強弱関係になるとの見方が目立つ。 1月は米連邦準備理事会(FRB)が利上げの一時休止を示唆し、引き締め路線を修正。欧州中央銀行(ECB)は政策金利を19年夏まで現状水準で据え置くことを確認し、日銀も金融緩和策の維持を決めた。 年内はこの流れが続くというのが市場のコンセンサスになっているようだ。米国の利上げ回数予想については「1回」が46%で最も多く、ゼロが32%で続く。利上げする場合でも1~3月の予想はなく、4~6月(46%)や7~9月(42%)と年央以降との予測が多い。 ECBは「夏まで金利水準を維持」としており、理屈上は最速で今秋の利上げがあり得るが、市場には「年内は据え置き」(78%)との見方が広がっている。日銀についても「現状維持」の予想が68%と断トツ。日欧とも金融政策を大きく動かしにくい状況にある。 こうした各中銀の動向などを踏まえ、年末のドル、円、ユーロの3通貨の強弱関係を予想してもらった。最も多い回答が「ドル>円>ユーロ」の33%で、「ドル>ユーロ>円」(10%)を合わせたドル高派は43%にのぼった。「成長率、金利水準からみてドル1強がつづく」(証券会社)など、堅調な米国景気を背景に緩やかなドル高が続くとの見方は根強い。 「円>ドル>ユーロ」(26%)と「円>ユーロ>ドル」(14%)の円高派も40%だった。 FRBの路線修正で米金利の上昇余地が乏しくなり、一本調子のドル高は想定しにくくなった。加えて政治が安定しない欧州のユーロは買えないとなれば「消去法で円になる」(事業会社)。日本固有の買い材料は限られるが、米国の政治・経済状況しだいで相対的に円が強くなりやすいとの読みだ。昨年12月の月次調査でも、今年の最強通貨としてドルと円をあげる回答が30%強で拮抗しており、今回の結果と合致する。 ユーロについては、英国の欧州連合(EU)離脱や域内経済見通しの下方修正などで総じて弱気。ただ「欧州景気は底割れせずに持ちこたえ、ユーロが年後半にかけて相対的に強含む」(三井住友信託銀行の瀬良礼子氏)との見方もある。 月次調査は2月12~13日に実施し、金融機関や事業会社の外為担当者など81名が回答した。(ナレッジ開発本部 伊藤央峻) ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。ヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

外為市場、ドル先安観が強まる QUICK調査、今後6ヵ月「下落」>「上昇」

外国為替市場関係者の間で、ドルの円に対する先安観が強まっている。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した月次調査によると、向こう6ヵ月でドルが対円で下落するとみている人の割合は38%にのぼり、上昇するとみている人の割合(26%)を初めて上回った。景気減速懸念や米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測の後退、政府機関の一部閉鎖など政治の先行き不透明感を映した結果とみられる。 昨年12月の調査では、ドルが対円で上昇とみる回答は46%、下落は31%だった。年初に「アップルショック」などで一時、1ドル=108円台から104円台に急騰しており、こうした相場波乱をみて短期間で市場参加者のセンチメントが一変した格好だ。上昇予想の割合から下落予想の割合を差し引いたDIはプラス15からマイナス12へと大きく悪化。ドルのDIがマイナスに転じるのは調査が始まって以来初めてだ。 ■半年先に米ドルは下落するとの見方が優勢(上昇と答えた割合から下落と答えた割合を引いた値) 市場参加者がドル安予想に傾いた背景には、米国の金融政策に対する見方が逆回転したことがある。これまでの月次調査では、金融緩和を手仕舞いして利上げに向かった米国の金利と金融政策はドル高をもらたらす要因だとみる向きが多かった。 しかし、利上げ観測が後退して利下げの可能性も取りざたされる中で行われた今回の調査では、今度は金利・金融政策はドル安の要因としてみられるようになった。調査を基に算出している為替変動要因指数で、金利・金融政策が「ドル安」方向に振れたのは6年ぶりとなる。 (QUICKナレッジ開発本部 永島奏子) ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。ヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

長期金利は年末にかけ上昇へ 19年相場、債券のプロが読む QUICK月次調査

QUICKは7日、2018年12月のQUICK月次調査<債券>の結果を発表した。特別質問では19年の相場見通しについて質問し、証券会社および機関投資家の債券担当者128人が回答した。調査期間は12月25~27日。19年末にかけて日本の長期金利は上昇が見込まれるが、引き続き水準は低いとの予想が多い。目先の債券相場では海外金利の動向が注目されそうだ。 長期金利の指標となる10年国債利回りは昨年10月に0.155%と最も高い水準をつけたが、足もとはマイナス0.020%程度で推移。年始の波乱相場で4日に一時、マイナス0.050%まで低下するなど、市場参加者の想定を超える勢いで金利低下が進んでいる。回答者からは「日米の景気動向や企業収益の見通しをふまえると、明らかに行き過ぎた動き」(その他金融機関)と反発を予想する声がある。 10年金利が最も高くなる時期については12月の予想が46人、最も低くなる時期は1月が27人でそれぞれ最も多い。20年国債の利回りについても同様に、1月に低く12月に高いとの見立てが目立つ。 米国の10年物国債利回りは、予想最高値の平均が3.183%、予想最低値の平均が2.581%となった。昨年は米国経済の好調などを背景に断続的に3%台で推移(1年前の調査で18年予想は最高が2.786%)したが、最近は米中貿易摩擦に端を発する景気減速が懸念されるなど情勢は様変わり。米10年金利はいま2.6%台だ。 債券担当者の間では、価格変動要因として、米金利をはじめとする海外の金利動向に注目ポイントが移っている。米連邦準備理事会(FRB)の政策金利変更の回数を聞くと、「利上げ2回」との回答が51%と最も多く、次いで「1回」が38%、「なし」が10%だった。利下げについては、回答者の95%が「なし」と予想した。(QUICKナレッジ開発本部)

来年、最も強いのはドルか円か 米利上げ「1~2回」で見方分かれる 月次調査<外為>

「ドル一強」から2019年は「ドル高・円高」へ――。QUICKと日経ヴェリタスが共同実施した外国為替市場関係者への調査で、来年の最も強い(上昇が見込まれる)通貨に米ドルと円を挙げる見方がそれぞれ30%台と多くなった。ドルは米国経済の底堅さへの期待から買われ、円の場合は米国や世界景気の減速などリスクオフで買われるという理由が目立つ。 ドルは今年、複数通貨に対する名目実効レートが33年ぶりの高水準を記録するなど、独り勝ちの状況だ。雇用統計をはじめ、好調な経済指標をうけて米連邦準備理事会(FRB)は3回の利上げを実施。世界の投資マネーが米国に流れ込み、そのあおりでトルコやアルゼンチンなど新興国の通貨が急落する局面もあった。 調査では19年も引き続きドル=最強を予想する回答が32%にのぼったほか、円を選んだ人の割合も36%と拮抗している。これは、為替相場への影響が極めて大きい米国の金融政策についてのとらえ方の違いによるものだ。 今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では今年4回目の利上げが確実視されるが、問題は来年の回数。調査では「2回」の予想が47%、「1回」が41%と、見方が分かれた。これまで3~4回の強気な予想も多かったが、パウエル議長のハト派的発言などもあって足元では雰囲気が変わってきた。 「ペースが鈍ったとしても利上げする国の通貨は強いし、米経済は世界の中で相対的に堅調」(証券会社)とみればドル高のシナリオ。逆に、「利上げ打ち止め、景気減速に伴うリスク回避」(投信投資顧問)と見れば、ドルが売られて円が買われやすくなる。 住友商事グローバルリサーチの鈴木将之シニアエコノミストは「米経済が弱くなり、景気が鈍化あるいは減速に向かっていけば、円高傾向が強まると考えている」と話す。 では19年末の円の対ドル相場をどう読むか。調査では「1ドル=110~115円」の予想が34%、「105~110円」が31%となった。 今年の円の対ドルの高値は104円半ば、安値が114円半ばで、約10円の値幅は歴史的にみても狭い。「ドル・円相場は2年続けて狭いレンジに留まっており、動く力が蓄積されている可能性がある」(MU投資顧問の菊池宏債券運用部チーフストラテジスト)との声がある。来年は相場のボラティリティー(変動率)にも関心が集まりそうだ。 調査で最も弱い(下落が見込まれる)通貨に挙げられたのは英ポンド(50%)だった。現在は1ポンド=1.26ドル台と年前半の1.43ドル台から切り下がっている。欧州連合(EU)離脱協議の難航や政局混乱でポンド売りの展開はまだしばらく続くとの見方が多い。 月次調査は10~12日に実施し、金融機関や事業会社の外為担当者78人が回答した。(QUICKナレッジ開発本部 永島奏子) ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。ヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

米は利上げ2回、欧州の利上げは秋以降、そして日銀は 11月のQUICK債券月次調査

2018年も残すところあと1カ月。市場動向を左右する日米欧の金融政策を債券市場関係者はどう見ているのか。QUICKは3日に発表した「QUICK月次調査<債券>」で、19年以降の日米欧の金融政策の見通しを聞いた。 まずは19年の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ回数と実施時期。回数は「2回」との回答が58%と最も多く、次いで「3回」が19%、「1回」が17%と続いた。実施時期で最も多かった回答は、「3月19~20日」(80%)で、次に「6月18~19日」(62%)、「9月17~18日」(34%)と続いた。 米景気への見方は分かれている。「グローバルに景気減速に向かう」(投信投資顧問)との見方がある一方、「雇用、賃金、消費が底堅く19年中も金利上昇局面は続く」(投信投資顧問)と強気の声も多い。11月28日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は「政策金利は経済に中立的とされる水準をわずかに下回っている」と発言。それまでの「中立金利には程遠い」との発言からスタンスを変化させ、市場には利上げ打ち止め時期が近いとの空気が一気に広がった。 次に、欧州中央銀行(ECB)はいつ頃利上げに踏み切るか。「19年秋ごろ」が37%と最多を占め、次いで「19年末」が31%、「20年中」が19%と続いた。19年中には利上げに踏み切るとの見方が多い。「英国の欧州連合(EU)離脱)が難航することを考えると、ECBの利上げはまだ先のことになる」(その他金融機関)など、EU離脱の先行き次第との指摘もあった。 そして、緩和からの「出口レース」で最後方を独走する日本。 日銀がイールドカーブ・コントロールの修正について、19年中に実施すると思うものを聞いたところ、「10年金利の許容レンジの拡大」(47%)との回答が最も多く、次いで「19年中は修正しない」(39%)、「長期金利の目標年限の短期化」(16%)、「マイナス金利の縮小、撤廃」(15%)が続いた。 「政治日程や消費増税をふまえると日銀は大きな政策変更をしづらい」(証券会社)と見る向きが多い。「ダブル・スタンダード的な利上げ(=許容レンジの拡大)に終始せざるを得ない」(証券会社)というわけだ。金融政策が後手に回れば、景気減速から悪化に向かう局面で身動きが取れなくなる懸念がある。 QUICKは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として公表している。今回の<債券>の調査期間は11月27~29日。回答者数は139人だった。 (QUICKナレッジ開発本部 伊藤央峻)

新興国不安の深まり次第で「米利上げ見直し」4割 月次調査<外為>その1

乱高下するトルコリラをはじめ新興国の通貨不安がなかなか収まらない。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した外国為替市場関係者への調査によると、通貨不安が一段と深刻になった場合、米国は金融政策を見直し、利上げペースにブレーキがかかるとの見方が4割超に上った。 月次調査は10~12日に実施し、金融機関や事業会社の外為担当者98人が回答した。 米連邦準備理事会(FRB)は好調な経済を受けて金融正常化のプロセスを進行中。金融市場では、今月と12月を含めて今年は最大4回、来年も数回の利上げが見込まれている。 新興国通貨不安が一段と深刻になった場合の米金融政策運営の見直しの有無を尋ねたところ、最も多い回答は「見直しはない」(54%)だった。その一方で「利上げ回数を減らす」(33%)と「利上げ打ち止め」(10%)、「利下げに動く」(1%)と見直し予想が目立った。 調査はその前段で、新興国不安のそもそもの要因は何かを聞いており、回答者が最も影響が大きいとみるのが「米の利上げ」(49%、複数回答)だった。 みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「米の利上げが止まらない限り新興国通貨の苦境が続くだろう。米経済の好調が持続するほど、新興国が通貨安に陥る皮肉な状況」と指摘する。米国が進める金融正常化が自縄自縛に陥り、成り行き次第では挫折しかねない可能性を市場関係者が意識し始めたとみることができる。 そのほか調査では、トルコリラ、アルゼンチンペソに続く「危機候補」を挙げてもらった。ブラジルレアル(31%)と南アフリカランド(25%)が突出。国際通貨研究所の武田紀久子主任研究員は10月のブラジルの大統領選など国内政治の混迷ぶりを懸念する。レアルは13日に対ドルで最安値を更新し、年初からの下落率が2割に達した。 新興国通貨安・ドル高の構図は円高要因にも円安要因にもなる。新興国通貨不安が一段と深刻になった場合の今年末のドル円相場については「1ドル=105~110円」と、今よりやや円高方向の予想が4割だった。(QUICKナレッジ開発本部)   ※日経ヴェリタスの16日付記事を掲載。QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。Qr1などQUICKの情報端末では月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

米利上げペース加速か 年内「4回」予想33%に上昇 QUICK月次調査<外為>

米議会上下両院で就任後初の議会証言に臨んだパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、景気や物価の先行きに強気の見通しを示し、市場は利上げペース加速の可能性を嗅ぎ取った。3月の「QUICK月次調査<外為>」※では、2018年の米利上げ回数について、外国為替市場の担当者に聞いた。調査期間は3月5~8日。回答者数は76人。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 年内利上げ回数 「4回」が大幅に増加 今回の調査期間外だが、前週末9日に発表された2月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が市場予想を上回り、米景気の改善持続を印象付けた。市場ではこれまで米利上げ回数は3回との予想が多かったが、パウエル議長の議会証言に加え、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が講演で「年4回の利上げでもペースは緩やかだ」と語るなど、上振れの可能性が出始めている。 市場関係者に米国の2018年の利上げ回数を聞いたところ、最も多かったのは1月調査に続いて「3回」で5割強を占めた。しかしむしろ目を引くのは「4回」を予想する回答が33%と1月の14%から大幅に増加し、逆に「2回」が1月の35%から大きく減少して12%まで落ち込んだことだ。市場の利上げ観測は確実に強まっている。 市場では「米景気が堅調を持続するなかでインフレ圧力が高まり、FRBが利上げペースを加速させる可能性が出ている」との指摘がある。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

米金利上昇とドル安の同時進行、「一時的」7割 QUICK月次調査<債券>

米長期金利の指標である10年物国債利回りが約4年ぶりの高水準まで上昇し、節目の3%突破への警戒感が市場では根強い。2月上旬の世界同時株安の引き金となった米国の金利動向を、市場はどうみているか。2月の「QUICK月次調査<債券>」※では、米長期金利上昇の持続性について聞いた。調査期間は2月20~22日、回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者134人。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 米長期金利、3%近辺が上限か 2月21日公表の1月30~31日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、大半のメンバーが短期的な景気見通しやインフレ見通しを引き上げたことが明らかとなった。これを受けて、景気拡大期待は強い一方で利上げペースの加速観測が高まり、米長期金利は2.95%付近まで上昇。市場では米連邦準備理事会(FRB)が年内に4回の利上げに踏み切るとの予想が増えている。 米長期金利の上昇は教科書通りならドル高要因だが、実際には外国為替市場ではドル安が進行した。こうした米長期金利上昇とドル安の持続性の有無について聞いたところ、「持続性がある(中長期的な変化)」との回答は31%にとどまり、「持続性はない(一時的な動き)」が69%を占めた。 市場参加者からは「市場の(米利上げの)織り込みが十分に進み、さらなる金利上昇は限られる」「足もとの米長期金利の上昇は米財政赤字拡大への懸念、ドル安は海外勢によるポジション調整の米債売却によるもので一時的。ポジション調整が一服すれば、米長期金利の上昇を受けた海外勢の米債再購入の動きから、米長期金利は3%近辺で高止まり、ドル高に転じる」といった声があった。 一方で「ドル安は米国の保護主義的なスタンスに加えて米利上げを相当程度織り込んだこと、国内勢の米債処分売りやドル買いポジションの巻き戻しなどが背景で、当面はドル高に転じにくい」といった意見もあった。 債券価格変動要因は「短期金利/金融政策」に注目 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り低下を予想する結果となった。新発10年物国債の金利見通しは1カ月後が0.062%、3カ月後が0.076%、6カ月後が0.090%と、1月調査(0.072%、0.086%、0.101%)に比べていずれも低下した。今後6カ月程度で注目する債券価格の変動要因で最も多かったのは「短期金利/金融政策」が56%、次いで「海外金利」が24%だった。 資産運用担当者64人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」(56%)と「かなりアンダーウエート」(8%)がそれぞれ1ポイント低下した一方、「ややオーバーウエート」(4%)が2ポイント上昇した。「ややアンダーウエート」(32%)は変わらずだった。

北朝鮮情勢、五輪後どうなる? そのとき円相場は…… QUICK月次調査<外為>

韓国で9日に平昌冬季五輪が開幕し、アスリートの活躍だけでなく、北朝鮮による「ほほ笑み外交」が注目を集めている。金融・資本市場にとって北朝鮮情勢は、相場に重大な影響を及ぼしかねない関心事のひとつ。平昌冬季パラリンピックが閉幕する3月18日までは「異変」はない、というのが市場のコンセンサスとなっているが、はたして五輪・パラリンピック後はどうなるのか。 2月の「QUICK月次調査<外為>」※では、北朝鮮情勢や地政学リスクが円相場に与える影響、トランプ米政権のドル政策について、外国為替市場の担当者に聞いた。調査期間は2月5~8日、回答者数は78人。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 北朝鮮情勢、「緊張高まって円高」が60% 平昌五輪終了後の北朝鮮情勢について展望を聞いたところ、最も多かったのは「不透明な情勢が続き、円相場の不安材料」で回答全体の60%に達した。次いで「緊張が高まる方向に傾いて円高材料」が33%と、外為市場参加者の間では北朝鮮情勢への警戒は怠れないとの見方が大勢だ。円相場の方向性としては北朝鮮情勢を材料に円高方向を見込む向きが多い。 回答者からは「平昌五輪もあり、しばらくは落ち付いた展開になりそう。落ち着いている間に、株価調整は済ませておきたい」「平昌五輪後のリスク回避(姿勢の強まり)が少し気になるが、それがはやされるのはまだ先の話」といった声が聞かれた。一方、「中国で全人代が3月前半に開催されるが、その後、米国の北朝鮮先制攻撃の可能性が高まるだろう」と警戒を強める見方もあった。 米国のドル政策、「従来と変わらない」74% トランプ米政権のドル政策を巡っては、ムニューシン米財務長官による異例のドル安容認発言を受け、1月25日の東京市場で円相場は1ドル=108円台まで上昇した。その後、トランプ米大統領が「強いドルが望ましい」と財務長官の発言を打ち消し、早々に沈静化を図ったものの、市場では輸出増を狙う米国の通商政策への思惑もあり、ドル安・円高方向に相場が傾きやすい状況が続いている。 今回の月次調査で「米国の為替相場に対する今後の姿勢」を聞いたところ、最も多かったのは「従来とあまり変わらない」で77%。次いで「ドル安重視が強まる」が22%。「ドル高重視が強まる」は4%にとどまった。 回答者からは「米国は今後のインフレ動向と、それをパウエル新FRB(米連邦準備理事会)議長がどう考えるか次第。その判断に大きな影響を与えると考えられるFRB副議長の人事が重要」「今秋に中間選挙を控えるなか、ドル高が加速するシナリオは考えにくい」といった意見の一方、「米国の金融政策の正常化は円安を促す材料。米税制改革の実施で物価上昇率が高まれば利上げペースが想定より速まる可能性も意識される。ドル高圧力が高まる場面もあるだろう」といった指摘も聞かれた。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

米税制改革で「小幅円安」70% 黒田総裁続投78% QUICK月次調査<外為>

今年も残すところ2週間。外国為替市場の担当者に聞いた「2017年の3大ニュース」は、1位が「北朝鮮リスク(ミサイル発射・緊迫化など)」、2位は「日経平均高値更新」、3位は「ビットコイン急騰」となりました。来年はどんな年になるでしょうか。12月の「QUICK月次調査<外為>」※では、2018年に向けての外国為替市場の注目材料や日銀総裁人事などについて、外国為替市場の担当者に聞きました。調査期間は12月11~14日、回答者数は72人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 米税制改革に独政権協議…為替への影響は? 米与党・共和党は15日に税制改革の最終法案を公表しました。懸案だった連邦法人税率は現行の35%から2018年に21%に下げることで決着し、週内にも両院で可決・成立する見通しとなっています。トランプ米大統領はかねてクリスマス前の成立を目指す意向を示し、法人減税は2018年を予定していました。改革案が成立した場合、円相場はどのようなトレンドになるかと聞いたところ、最も多かったのは「小幅に円安が進行する」で7割を占め、次いで「ほとんど反応しない」が19%でした。円高の予想は「小幅に円高が進行する」(7%)と「大幅に円高が進行する」(1%)を足しても1割に満たない結果となりました。 一方、ドイツでは13日、メルケル首相が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と第2党のドイツ社会民主党(SPD)の政権協議が始まりました。大連立で一致できるかが焦点ですが、政策の溝が深いため長期化も想定されており、交渉が決裂すれば再選挙突入のリスクもあります。交渉の行方について聞いたところ、最も多かったのはメルケル首相が目指す「大連立政権の樹立」で6割近くを占め、次いでシュルツSPD党首が選択肢のひとつとしている「閣外協力」で33%となりました。 また、2018年に向けて外国為替市場の材料として最も注目しているものは何ですかと聞いたところ、パウエル新体制となる「米連邦準備理事会(FRB)の金融政策」を半数が挙げました。次いで「米国の経済・通商政策」が16%、「ECBの金融政策」は12%、「日銀の金融政策」は10%でした。 市場関係者からは「来年以降の米利上げペースを模索するなか、2018年に投票権を持つ米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの発言が注目を集めよう」「FRB副議長などのポストはまだ空席のため、候補者の政策スタンスを巡る思惑で、短期的に相場が反応することも十分考えられる」といった指摘が聞かれました。 さらに「米国第一を標榜するトランプ政権は、対米貿易黒字国である日本の通貨がさらに減価することに難色を示し、口先介入を始める可能性がある」「欧州の景気の強さが一段と目立ち、ECBの量的緩和政策の終了と年末までに利上げ開始との思惑が高まると、ユーロ独歩高となる可能性がある」「トランプ・北朝鮮問題は2017年通年に渡り市場に影響を与えた要因であり、来年も引きずる」などの声もあがりました。 日銀の長期金利目標、来年変更の可能性は? 2018年4月の黒田東彦総裁の任期満了後、日銀執行部の新体制はどうなると予想しますか、と聞いたところ、総裁の後任は「黒田東彦・日銀総裁」の再任予想が78%で12月の債券調査と同じく圧倒的です。 副総裁も債券調査と同様に「雨宮正佳・日銀理事」が最多で66%、「中曽宏・日銀副総裁」は35%でした。次いで「伊藤隆敏・コロンビア大学教授」が25%、「本田悦朗・駐スイス大使」が21%となりました。 日銀は、2016年9月に長期金利をゼロ%程度に誘導する「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和」導入を決めましたが、物価上昇率目標の2%にはいまだ距離があります。では2018年末までに長期金利ターゲットを変更すると思いますかと聞いたところ、最も多かったのは「変更しない」で43%、次いで「明示せずに上昇を容認する」が35%でした。 12月の債券調査に比べても「変更しない」との予想が多い一方で「引き上げる」は減り、日銀が物価上昇目標に向けて粘り強い姿勢を続けるだろうとの見方が増えているようです。 市場関係者からは「基本的には、誰が総裁となっても基本的な政策の枠組みは変わらない」という見方が大勢ながら、株高や国内景気回復等を背景に、今後は日銀内で出口戦略への議論が強まるのではとの意見もあります。「日本とそれ以外の先進国とで金融政策の方向性が異なってきたが、それが世界経済や国際資金フローにどのような影響を及ぼすか注目したい」といった声も聞かれました。 12月末は1ドル=113円37銭 予想は円高方向にシフト 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは12月末の平均値で1ドル=113円37銭と、11月調査(114円01銭)から円高へシフトしました。3カ月後の2018年2月末には113円65銭、6カ月後の5月末には114円00銭との予想です。今後6カ月程度を想定した注目の変動要因は、円・ドル・ユーロすべて「金利/金融政策」で5割を超えています。 ファンドの運用担当者に外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、「ニュートラル」が78%から75%に低下した一方で、「オーバーウエート」が22%から25%に上昇しました。また、事業法人の業績予想の前提為替レートは平均値で1ドル=111円46銭と現在の水準(112円76銭~113円46銭)より円高に予想し、また対ユーロでは1ユーロ=124円70銭と現在の水準(133円15銭~133円65銭)より大幅に円高に予想しているため、為替差益が生じる可能性がありそうです。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

黒田日銀総裁の続投予想8割、副総裁は雨宮氏・伊藤氏か QUICK月次調査<債券> 

2018年は日米の中央銀行でトップが任期満了を迎えます。米連邦準備理事会(FRB)では2月にパウエル理事が議長に昇格する予定で、イエレン現議長が推進してきた緩やかな利上げ路線を継承するとの見方が優勢です。ただ、円相場や各国の株価に影響する18年中の利上げ回数や利上げの打ち止め時期などは不透明なままです。また18年4月が任期切れとなる日銀総裁人事はこれから調整が本格化するとみられます。12月4日公表の11月の「QUICK月次調査<債券>」※では、日銀総裁人事の行方や2018年の米追加利上げ、日銀の長期金利ターゲットなどについて聞きました。調査期間は11月28~30日、回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者142人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 来年の米利上げ予想「2回」が最多、時期は意見分かれる 米金融政策については、今後発表される雇用統計など主要な経済指標が予想を大幅に下回らない限り、12月12~13日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBは0.25%の利上げに踏み切るとの予想が大勢を占めています。一方、イエレンFRB議長は、2018年2月にパウエル次期議長が就任した時点で、理事ポストからも退任すると表明しており、ニューヨーク連銀のダドリー総裁も同年半ばに退任するため、FRB人事は大きく刷新され、パウエル体制への完全移行となります。それに伴う金融政策への影響が注目されています。 では、FRBは2018年に追加利上げを何回行うか、また何月に実施すると予想しますか、と聞いたところ、追加利上げ回数については「2回」が52%で最多となり、次に多かったのは「3回」で37%でした。時期(複数回答可)については「6月」が69%で最多でしたが、「3月」が58%、「12月」が56%、「9月」が50%と見方が割れました。 市場関係者からは、やはりパウエル次期議長はイエレン現議長の政策を踏襲するとの見方が強く、「緩やかな景気拡大に合わせた利上げを随時実施していくだろう」という声が大半を占めました。一方、「パウエル理事についてハト派的との見方が大勢だが、景気、賃金上昇率、インフレ率の上昇、上振れが続く状況の下、利上げペースは市場の想定を上回るものとなり、米金利は全般的な上昇をみせ、国内金利に対する上昇圧力をもたらそう」といった意見もありました。 また、FRBの追加利上げの終了時期はいつごろだと思いますか、と聞いたところ、最も多かったのが「2019年前半」で34%、次いで「2019年後半」が29%、「2018年中」が22%、「2020年以降」が15%で続きました。 欧州中央銀行(ECB)は11月26日の理事会で、2018年1月から毎月の資産買い入れ額を月600億ユーロから300億ユーロに減らしたうえで、2018年9月末まで量的金融緩和を延長すると決めました。では、その後、2018年内の政策はどうなると予想しますか、と聞いたところ、最も多かったのは「資産買い入れを減額して継続」で約7割を占めました。次いで「資産買い入れを停止」が27%、「マイナス金利を縮小する」が14%、「300億ユーロの買い入れを継続」が6%、「ゼロもしくはプラスに金利を引き上げる」が3%という結果でした。   黒田日銀総裁の続投予想が8割 日銀は、2016年9月から長期金利をゼロ%程度に誘導する「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和」を導入していますが、2%の物価上昇率目標にはいまだに距離があります。中曽副総裁は10月18日の講演で「必要であればイールド・カーブの形状についても調整を行っていく」と述べています。では、2018年末までに長期金利ターゲットを変更すると思いますか、と聞いたところ、最も多かったのは「明示せずに上昇を容認する」で38%、次いで「変更しない」が34%、「引き上げる」が26%と見方が分かれました。 また、2018年4月の黒田東彦総裁の任期満了後、日銀執行部の新体制はどうなると予想しますか、と聞いたところ、総裁の後任は「黒田東彦・日銀総裁」の再任が約8割を占めました。副総裁については「雨宮正佳・日銀理事」が66%と最も多く、次いで「伊藤隆敏・コロンビア大学教授」が34%、「中曽宏・日銀副総裁」が32%と続きましたが、「予想できない」といった声もありました。 市場関係者は「YCC微調整などの思惑が浮上している」ものの、「アベノミクス道半ばでの執行部交代による市場の混乱を避ける意味でも、再任の可能性が高い」と、安倍政権の長期安定化から黒田総裁続投の公算が大きいと見ています。「日銀体制も金融政策も大幅な変更はない」「国内長期金利は低水準で推移する」というのが大方の見方のようです。一方で「黒田総裁の年齢等を鑑みれば5年の任期を満了することは考えづらい」との指摘もありました。  債券価格変動要因、「短期金利/金融政策」の注目度が6割占める 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り低下を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.049%、3カ月後が0.066%、6カ月後が0.085%と、10月調査(0.066%、0.075%、0.090%)に比べていずれも低下しました。今後6カ月程度で注目する債券価格変動要因で最も多かったのは「短期金利/金融政策」が62%、次いで「海外金利」が20%でした。  資産運用担当者67人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が前回より6ポイント上昇の60%となった一方、「ややアンダーウエート」が33%で6ポイント低下しました。

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