平成最大の衝撃「マイナス金利政策」 債券QUICK月次調査、世代間で違いも

新元号が「令和(れいわ)」に決まり、30年あまり続いた「平成」が間もなく幕を閉じる。振り返ると、1990年代半ばに3~4%だった日本の長期金利は右肩下がりを続け、今ではマイナス圏で推移する。   平成の時代を債券市場関係者はどう総括するのか。QUICKが4月1日にまとめた3月の債券月次調査によると、平成時代、債券市場に影響を与えた出来事として、2016年1月の「マイナス金利政策の導入」との回答が最も多かった。副作用を伴う「劇薬」への印象は強烈だった。   ■「マイナス金利」は全世代1位  ※平成に債券市場に影響を与えた出来事のなかで印象に残っているものを3つまで選んでもらった。   マイナス金利導入で受けた大きな衝撃は、世代を超えた共通体験となっているようだ。これを選んだ回答者の割合は、すべての世代でトップとなった。   またマイナス金利政策にはやや否定的な声が多い。米欧の中銀がハト派姿勢に転換するなか、日銀にとってマイナス金利の深掘りは残された数少ない追加の緩和の手段ともいえる。だが回答者からは「副作用が大きく選択肢にならない」(投信投資顧問)、「『緩和』と呼んではいけないのではないか」(証券会社)などの意見が相次いだ。   「為替相場の水準と市場のセンチメント次第」(証券会社)との見方もある。金融機関の利ざやの縮小など負の側面もあるが、為替が円高に振れれば、評価が割れる金利引き下げを日銀が選択する可能性はある。   ■世代間で差が出た項目も   回答を世代ごとに見ると、印象の残った出来事にはばらつきがある。例えば、1998年12月の「大蔵省資金運用部ショック」は、50代以上の回答者は、マイナス金利に次いで2番目に多い36%が選択した。一方で20代の回答者は選んでおらず、実際に経験した世代とそうでない世代での感覚の違いが浮かび上がった。   月次調査は3月26~28日に実施し、証券会社および機関投資家の債券担当者132人が回答した。(QUICKナレッジ開発本部 伊藤央峻)

年末「ドル>円>ユーロ」の構図 米の金融正常化一服、日欧は動けず QUICK月次調査

金融市場が落ち着かず世界経済の減速懸念も浮上する中で、2019年の日米欧の中央銀行のかじ取りに注目が集まっている。QUICKと日経ヴェリタスが外国為替市場の関係者に調査したところ、米国の金融引き締めは小休止し、欧州と日本も大きく動けないと予想する回答が多かった。全般に景気配慮型の金融政策を前提に年末は「ドル>円>ユーロ」の強弱関係になるとの見方が目立つ。 1月は米連邦準備理事会(FRB)が利上げの一時休止を示唆し、引き締め路線を修正。欧州中央銀行(ECB)は政策金利を19年夏まで現状水準で据え置くことを確認し、日銀も金融緩和策の維持を決めた。 年内はこの流れが続くというのが市場のコンセンサスになっているようだ。米国の利上げ回数予想については「1回」が46%で最も多く、ゼロが32%で続く。利上げする場合でも1~3月の予想はなく、4~6月(46%)や7~9月(42%)と年央以降との予測が多い。 ECBは「夏まで金利水準を維持」としており、理屈上は最速で今秋の利上げがあり得るが、市場には「年内は据え置き」(78%)との見方が広がっている。日銀についても「現状維持」の予想が68%と断トツ。日欧とも金融政策を大きく動かしにくい状況にある。 こうした各中銀の動向などを踏まえ、年末のドル、円、ユーロの3通貨の強弱関係を予想してもらった。最も多い回答が「ドル>円>ユーロ」の33%で、「ドル>ユーロ>円」(10%)を合わせたドル高派は43%にのぼった。「成長率、金利水準からみてドル1強がつづく」(証券会社)など、堅調な米国景気を背景に緩やかなドル高が続くとの見方は根強い。 「円>ドル>ユーロ」(26%)と「円>ユーロ>ドル」(14%)の円高派も40%だった。 FRBの路線修正で米金利の上昇余地が乏しくなり、一本調子のドル高は想定しにくくなった。加えて政治が安定しない欧州のユーロは買えないとなれば「消去法で円になる」(事業会社)。日本固有の買い材料は限られるが、米国の政治・経済状況しだいで相対的に円が強くなりやすいとの読みだ。昨年12月の月次調査でも、今年の最強通貨としてドルと円をあげる回答が30%強で拮抗しており、今回の結果と合致する。 ユーロについては、英国の欧州連合(EU)離脱や域内経済見通しの下方修正などで総じて弱気。ただ「欧州景気は底割れせずに持ちこたえ、ユーロが年後半にかけて相対的に強含む」(三井住友信託銀行の瀬良礼子氏)との見方もある。 月次調査は2月12~13日に実施し、金融機関や事業会社の外為担当者など81名が回答した。(ナレッジ開発本部 伊藤央峻) ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。ヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

物価2%上昇を達成できぬワケ 債券市場の見立ては…… QUICK月次調査

日銀は1月に2019年度以降の物価見通しを引き下げ、目指している「物価上昇率2%」への道のりはさらに見えなくなってきた。QUICKが4日にまとめた1月の月次調査<債券>で物価目標を達成できない理由を聞いたところ、根強いデフレ心理や低賃金など構造問題に票が集まった。債券市場と、原油価格の下落の影響などを理由に挙げる日銀との認識の違いが目立つ。 日銀は今回発表の展望リポートで、生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の上昇率予測について、19年度を0.5ポイント引き下げ0.9%に、20年度を0.1ポイント引き下げ1.4%(いずれも消費増税、教育無償化の影響を除く)とした。調査はその翌週に実施し、証券会社および機関投資家の債券担当者134人が回答した。 物価上昇率2%が達成できない主な理由を3つ選んでもらい、最も多いのは「根強いデフレ心理・構造」(71%)との回答だった。「賃金の伸び悩み」(59%)、そもそも「(2%という)目標が高すぎる」(53%)と続く。さらに「人口動態」を挙げる回答も35%あり、様々な構造要因からデフレがあまり払拭されていない印象を持っているようだ。 日銀は今回の見通し引き下げについて「原油価格の下落を主因として」と説明しているが、調査ではその要因を選んだ回答は23%にとどまった。 アベノミクスを掲げる政府と日銀が共同声明(アコード)で、物価目標2%の早期達成などを約束したのはちょうど6年前。政府は今では、2%へのこだわりを見せなくなった。調査に回答したJPモルガン証券の足立正道シニアエコノミストは、「賃金面への波及なども含めて、マイルドなインフレが社会全体にとって望ましいというコンセンサスがない」としたうえで、財政政策、構造改革の取り組みの必要性を指摘している。(QUICKナレッジ開発本部 伊藤央峻)

長期金利は年末にかけ上昇へ 19年相場、債券のプロが読む QUICK月次調査

QUICKは7日、2018年12月のQUICK月次調査<債券>の結果を発表した。特別質問では19年の相場見通しについて質問し、証券会社および機関投資家の債券担当者128人が回答した。調査期間は12月25~27日。19年末にかけて日本の長期金利は上昇が見込まれるが、引き続き水準は低いとの予想が多い。目先の債券相場では海外金利の動向が注目されそうだ。 長期金利の指標となる10年国債利回りは昨年10月に0.155%と最も高い水準をつけたが、足もとはマイナス0.020%程度で推移。年始の波乱相場で4日に一時、マイナス0.050%まで低下するなど、市場参加者の想定を超える勢いで金利低下が進んでいる。回答者からは「日米の景気動向や企業収益の見通しをふまえると、明らかに行き過ぎた動き」(その他金融機関)と反発を予想する声がある。 10年金利が最も高くなる時期については12月の予想が46人、最も低くなる時期は1月が27人でそれぞれ最も多い。20年国債の利回りについても同様に、1月に低く12月に高いとの見立てが目立つ。 米国の10年物国債利回りは、予想最高値の平均が3.183%、予想最低値の平均が2.581%となった。昨年は米国経済の好調などを背景に断続的に3%台で推移(1年前の調査で18年予想は最高が2.786%)したが、最近は米中貿易摩擦に端を発する景気減速が懸念されるなど情勢は様変わり。米10年金利はいま2.6%台だ。 債券担当者の間では、価格変動要因として、米金利をはじめとする海外の金利動向に注目ポイントが移っている。米連邦準備理事会(FRB)の政策金利変更の回数を聞くと、「利上げ2回」との回答が51%と最も多く、次いで「1回」が38%、「なし」が10%だった。利下げについては、回答者の95%が「なし」と予想した。(QUICKナレッジ開発本部)

米は利上げ2回、欧州の利上げは秋以降、そして日銀は 11月のQUICK債券月次調査

2018年も残すところあと1カ月。市場動向を左右する日米欧の金融政策を債券市場関係者はどう見ているのか。QUICKは3日に発表した「QUICK月次調査<債券>」で、19年以降の日米欧の金融政策の見通しを聞いた。 まずは19年の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ回数と実施時期。回数は「2回」との回答が58%と最も多く、次いで「3回」が19%、「1回」が17%と続いた。実施時期で最も多かった回答は、「3月19~20日」(80%)で、次に「6月18~19日」(62%)、「9月17~18日」(34%)と続いた。 米景気への見方は分かれている。「グローバルに景気減速に向かう」(投信投資顧問)との見方がある一方、「雇用、賃金、消費が底堅く19年中も金利上昇局面は続く」(投信投資顧問)と強気の声も多い。11月28日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は「政策金利は経済に中立的とされる水準をわずかに下回っている」と発言。それまでの「中立金利には程遠い」との発言からスタンスを変化させ、市場には利上げ打ち止め時期が近いとの空気が一気に広がった。 次に、欧州中央銀行(ECB)はいつ頃利上げに踏み切るか。「19年秋ごろ」が37%と最多を占め、次いで「19年末」が31%、「20年中」が19%と続いた。19年中には利上げに踏み切るとの見方が多い。「英国の欧州連合(EU)離脱)が難航することを考えると、ECBの利上げはまだ先のことになる」(その他金融機関)など、EU離脱の先行き次第との指摘もあった。 そして、緩和からの「出口レース」で最後方を独走する日本。 日銀がイールドカーブ・コントロールの修正について、19年中に実施すると思うものを聞いたところ、「10年金利の許容レンジの拡大」(47%)との回答が最も多く、次いで「19年中は修正しない」(39%)、「長期金利の目標年限の短期化」(16%)、「マイナス金利の縮小、撤廃」(15%)が続いた。 「政治日程や消費増税をふまえると日銀は大きな政策変更をしづらい」(証券会社)と見る向きが多い。「ダブル・スタンダード的な利上げ(=許容レンジの拡大)に終始せざるを得ない」(証券会社)というわけだ。金融政策が後手に回れば、景気減速から悪化に向かう局面で身動きが取れなくなる懸念がある。 QUICKは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として公表している。今回の<債券>の調査期間は11月27~29日。回答者数は139人だった。 (QUICKナレッジ開発本部 伊藤央峻)

消費増税で「景気悪化」9割 債券市場、それでも8割が「賛成」 QUICK月次調査

景気は悪化するが消費増税は「賛成」――。QUICKが29日にまとめた10月の月次調査によると、2019年10月に消費税率が10%に引き上げられた後の日本経済について債券市場関係者の9割が「悪化」すると回答した。一方、8割は増税そのものに「賛成」だった。 ※QUICKは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として公表しています。今回の<債券>の調査期間は10月23~25日。回答者数は134人。 安倍晋三首相は10月15日、来年秋に消費税率を10%へ引き上げると表明した。債券市場の関係者に引き上げを支持するか聞いたところ、「支持する」との回答が49%と最も多かった。次いで「どちらかといえば支持する」が32%と続き、引き上げ支持派が全体の8割を超えた。 消費増税を支持する理由は、債券市場にとっては言わずもがな。つまり「財政健全化を達成するため」(証券会社)だ。法人税率の引き上げや労働人口の増加が見込めないなか、手をつけるのは「社会保障の財源は高齢者の自助的な負担も含めた消費税」(銀行)という結論になるという。   一方、少数派ながら、引き上げを支持しない債券関係者もいた。「消費税率の引き上げは結果的により財政赤字を増やすための方便になっているため、財政規律の正常化に役立つどころか、むしろ逆になっている」(証券会社)との指摘があった。「デフレ脱却を完全に果たさない段階での消費増税は将来に禍根を残す」(投信投資顧問)との懸念も出ていた。 消費税率が予定通り引き上げられた場合、軽減税率などの対策を踏まえた消費増税後1年の日本経済への影響を聞いてみた。最も多かったのは「多少悪化する」で80%。「大幅に悪化する」の8%の回答と合わせると、およそ9割が景気の悪化を予想した。財政健全化の道を歩むには、多少の景気悪化はやむなし、というわけだ。景気が「影響なく堅調を維持する」との答えは11%にとどまった。 長期的に消費税率はどこまで上昇するか聞いたところ、単純平均で16.64%となった。「諸外国平均の20%近くまで引き上げざるを得ない」(信託銀行)。「軽減税率を導入しながら15%程度まで引き上げられる」(投信投資顧問)との見方が多かった。ただ、消費税は「政治的に鬼門。20%まで引き上げられるのに15年はかかる」(証券)との声もあった。   長期金利への影響については「金融政策が影響している部分が大きく、増税だけで金利がブレることはなさそうだ」(銀行)との指摘が目立った。 (QUICKナレッジ開発本部 伊藤央峻)

ガバナンス改革、市場活性化に効果あり 持ち合い株縮減など  QUICK月次調査<株式>

QUICKがまとめた10月の月次調査<株式>によると株式市場関係者は、この数年、企業や運用会社が様々なガバナンス改革に取り組んできた結果、資本市場の活性化に一定の効果をもたらしたと考えていることが分かった。 企業経営の統治指針であるコーポレートガバナンス・コードと、機関投資家向けの行動規範となるスチュワードシップ・コードは、どちらも企業経営に緊張感をもたらし、「稼ぐ力」を高めて、資本市場の活性化ひいては個人金融資産の活用・発展につなげる狙いだ。 調査はこれらのコードに盛り込まれた項目の中から5つを選び、市場の活性化にどのぐらい効いたかを質問した。「政策保有株の縮減」と「資本コストを意識した経営」、「議決権行使結果の個別開示」、「企業と投資家の建設的な対話」の4項目については、いずれも「(効果が)大いにあった」「多少あった」の回答の合計が8割に上った。「取締役会の多様性」も、何らかの効果があったとみる回答は66%だった。 こうした取り組みが推進される一方で、日銀のETF買いが株式市場に無視できない影響を与えているとの見方は根強い。この点を聞いたところ、「個別株の価格形成を歪める」(35%)および「市場全体の株価水準を歪める」(32%)との見方が多かった。 回答者からは「価格形成はあくまで市場に任せるべき」(投信投資顧問)、「いずれ政策の修正が必要になると思うが、出口戦略を誤ると株式市場の下落要因になる」(銀行)などの指摘があった。少数派だが「企業ガバナンスの空洞化を招く」(4%)との意見もあった。 調査期間は10月2~4日。証券会社および機関投資家の株式担当者148人が回答した。   ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

金融政策の「修正」は消化不良 債券市場、緩和後退の解釈も多く QUICK月次調査

日銀が7月末に金融緩和の枠組み強化を打ち出してから1ヵ月たっても、債券市場はまだ消化不良ーー。QUICKが3日にまとめた月次調査<債券>でこんな結果が出た。金融政策の「修正」は、金融緩和の強化なのか、中立なのか、それとも緩和の後退(金融引き締め方向)なのか、債券担当者自身がどう解釈したのかを尋ねたところ、「中立」と「緩和の後退」の回答が拮抗した。同時に、日銀はどのような意図(狙い)を込めたと見ているか、という問いかけもしたが、「中立」あるいは「緩和の後退」が多く似たような結果となった。 ※QUICKは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として公表しています。今回の<債券>の調査期間は8月28~30日。回答者数は140人。 金融政策の見直しを債券担当者がどう解釈しているかの質問では、「緩和の強化」と受け止めている人が6%で、「緩和の後退」が45%。「中立」が最も多く49%だった。フォワードガイダンス(将来の指針)の導入で現在の低金利を「当分の間」継続することを示す一方で、経済や物価情勢に応じた長期金利の変動幅拡大を「これまでの2倍程度」を念頭に容認した。市場関係者の間ではフォワードガイダンスを、日銀が言うように緩和の枠組み強化と素直に受け止める向きもあるが、「日銀の国債買入による債券市場の流動性枯渇により対応を余儀なくされたという側面が強く、実質的には緩和の後退と同義であると考える」(銀行)との指摘もあった。 長期金利の一定程度の上昇の容認と、金利の抑制と、日銀の真意がどちらにあるのか、債券担当者の見方は真っ二つ。結局どちらなのか分からないので、結果として長期金利が大きく動きにくい状況になっている、といえる。   では、フォワードガイダンスが導入され、現行の低金利はいつまで継続するのか。最も多かった回答は「2021年以降も続く」(29%)というもので、「20年前半まで」(23%)と「20年後半まで」(15%)をあわせると67%。少なくとも来年19年に金利が引き上げられることはなさそう、とみている債券担当者が3人に2人の割合というわけだ。「今回のフォワードガイダンスで2020年より前に金利水準を引き上げたら日銀のコミュニケーションは破綻する」(証券会社)といった指摘があった。   ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

日銀は動くのか 「金利誘導の見直し」求める債券市場、QUICK月次調査

日銀は30~31日に開く金融政策決定会合で、現行の金融緩和策の副作用などについて点検する。QUICKが30日にまとめた月次調査<債券>によると、債券の市場関係者の多くが「市場機能の低下」を副作用として最も問題視し、市場機能の維持にはゼロ%程度に設定している長期金利の誘導目標を見直す必要があるとの声が多かった。 ※QUICKは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として公表しています。今回の<債券>の調査期間は7月24~26日。回答者数は133人。 大規模な金融緩和(長短金利操作付き量的・質的金融緩和)の副作用を挙げてもらったところ、最も多かった回答は「市場機能の低下」で47%を占めた。次いで「金融機関の収益圧迫」が29%だった。 次に、市場機能を維持するためには何が必要なのか(優先順位で2つ選択)を聞いた。最も多かったのは「長期金利ターゲットの撤廃・柔軟化」で74%、次いで「マイナス金利の解除」が38%、「国債買い入れ(現行ペース比)の減額」が35%、「ETFの買い入れの減額」が22%で続いた。 回答者からは「10年金利の誘導を現状の0.0%程度から『0.0~0.25%』の幅を持たせた柔軟運営に変更することで、将来の正常化への小さな一歩としての実績を残す可能性がある」(銀行)との予想があった。一方、「マイナーな文言の変更はあるかもしれないが、大枠は変わらない」(証券会社)、「今回は金融政策の変更はないが、今後の方向性について何らかの示唆がされる」(投信投資顧問)との指摘が出ていた。 そもそも副作用が生じるのは、日銀が掲げる2%の物価目標がいつになっても達成のメドがたたないため、超低金利の金融緩和策をひっこめることができないからだ。31日に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、4月時点で出した18年度の消費者物価指数(CPI)の見通しを下方修正するとみられている。政策委員が示す見通しを事前に予想してもらったところ、18年度は1.1%(4月の展望リポートは1.3%)、19年度は1.5%(同1.8%)、2020年度は1.6%(同1.8%)となった。   ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

鈍い物価、要は気持ちの問題 賃金伸びず遠い好循環 7月のQUICK短観 

国内では需給ギャップが改善する一方、物価上昇率が伸びない状況が続いている。QUICKが18日にまとめた7月の短期経済観測調査(QUICK短観)によると、上場企業の半数以上が物価の上がりにくい要因に「消費者の根強いデフレ心理」を挙げた。 7月のQUICK短観は上場企業365社が回答。このうち304社が物価に関する特別質問に回答した。調査期間は7月3日~12日。 物価が上がりにくい最も大きな要因は何なのかーー。「消費者の根強いデフレ心理」との回答は56%を占めた。次いで「賃金の伸び悩み」が37%となり、この2つで9割以上に達した。政治の賃上げ号令にも関わらず、企業側は賃金の伸び悩みを「自覚」しているといえる。業績拡大が賃金上昇につながり、それが消費拡大と物価の上昇をもたらすという景況回復の理想のサイクルからは程遠い現状が浮かび上がる。 一方、「電子商取引(EC)の拡大」と答えた企業は4%にとどまる。物価上昇の頭を抑える一因になっているとの見方も出始めた、いわゆる「アマゾンエフェクト」はまだ、それほど影響力が大きくないようだ。また「人手不足を補う省力化投資」は3%にとどまった。さらに、2%の物価目標を掲げ金融緩和を続ける日銀に対して「金融緩和が不足している」とみているのはわずか1%だ。 6月の消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除くベースで前年同月比0.7%の上昇と伸びは鈍い。7月のQUICK短観をみると、1年後のCPI上昇率の見通しは加重平均で前年比「0.8%」と前月の調査から0.1%低下。2年後の見通しは1.0%と、前月比で0.2%低下した。 QUICK短観の調査結果について、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「消費がさえず、企業が値上げしにくいなか、物価は日銀の考えとは逆に向かっている」と分析する。日銀は30~31日の金融政策決定会合で物価が上がりにくい背景を精査する見通しだ。 (QUICKナレッジ開発本部 永島奏子、大谷篤)

「長短金利操作の撤廃を」 停滞する債券市場、8割が要望 QUICK月次調査

取引の停滞が著しい国内債券市場が活発化するには何が必要か。QUICKが2日まとめた月次調査<債券>によると、債券担当者の8割(複数回答)が日銀の長短金利操作(イールド・カーブ・コントロール、YCC)を撤廃するべきと答えた。日銀が今の金融政策で金利を低位で抑えつけているかぎり、市場の停滞は続くという見方が大勢だ。 ※QUICKは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として公表しています。今回の<債券>の調査期間は6月26~28日。回答者数は141人。 国内債券市場は盛り上がりを欠き、現物債の取引が成立しない時もある。取引が活発になるには「YCCの撤廃」(82%)のほか、「日銀による国債の買い入れの停止」(63%)といった金融政策の修正が不可欠という意見が多かった。「物価の上昇」(40%)、「首相・日銀総裁の交代」(35%)という声も目立った。 調査では「YCC政策で国内債券市場のボラティリティは低位で安定しており、原因がはっきりしている以上、金融政策の変更がなされないかぎり市場の活性化にはつながらない」(国内銀行)との指摘があった。「債券市場を活発化させるだけなら現在の政策をやめて、市場のことは市場に任せればいいが、それには株価暴落など大きな痛みを伴う」(証券会社)という声も聞かれた。 一方、「日銀が金融政策を動かそうとしても、政権が許さない」(投信投資顧問)といった見方や「本格的な債券市場の機能回復には、政権交代がないと難しい」といった意見もあった。 政府は6月15日に経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)と新たな成長戦略「未来投資戦略2018」を決めた。基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化について「2025年度を目指す」とし、2019年10月に予定している消費税率10%への引き上げは「実現する必要がある」と明記した。 債券担当者に消費税率の将来の見通しについて聞いたところ、2019年10月時点の消費税率は単純平均で9.7%となった。回答者の84%が予定通り「10%」になるとみているが、16%は「8%」のまま据え置かれると予想しているためだ。さらに5年後の2024年12月末時点の税率予想は10.9%。回答者の58%が「10%」の見通しを示し、次いで「12%」に引き上げられているとの答が24%を占めた。 市場関係者は「19年10月には予定どおり10%に引き上げられると見込んでいる。ただ、安倍政権の後に再び消費税率の引き上げに切り込める強い政権が生まれるとは考えにくく、さらなる引き上げは見通せない」(信託銀行)との声があった。 成長戦略で最も効果があると思う取り組みを聞いたところ、最も多かったのが「外国人材の受け入れ」で37%、次いで「多様な人材の活躍(女性活躍・高齢者雇用など)」が22%だった。「人材への投資(教育の無償化など)」が15%、「働き方改革(長時間労働の是正、最低賃金の引き上げなど)」が14%と続いた。 回答者からは「『外国人材の受け入れ』は、日本の産業に大きく寄与する人材を確保できるメリットが大きい。一方で、『人材への投資』の教育無償化は長期的な視点では国の成長につながるが、結果が見えるまで時間がかかる」(信託銀行)との意見があった。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

黒田日銀、やはり不評のマイナス金利 「2%物価目標」は評価分かれる QUICK月次調査<債券>

2期目に入った黒田日銀。市場関係者は金融政策の手腕をどう評価しているのか。QUICKが1日まとめた月次調査<債券>によると、債券担当者の半数以上がマイナス金利について不適切とみており、解除すべきとの声が7割近くにのぼった。4月の「QUICK月次調査<債券>」※では、これまでの金融政策の評価と今後について聞いた。調査期間は4月24~26日。回答者数は140人。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 黒田東彦氏が日銀の総裁に就任したのは2013年。1期目の5年間は大規模な金融緩和を推し進めてきたものの、就任当初に2年程度を目安としていた2%の物価目標は達成できなかった。債券担当者に日銀の金融政策・手段に対する評価を聞いたところ、最も不評だったのがマイナス金利だった。マイナス金利の導入は「不適切」だったとの回答が65%を占めたうえ、今後についてはマイナス金利を「解除すべき」との回答が66%に達した。 ETF(上場投資信託)の買い入れについても「不適切」だったとの見方が43%を占め、今後については「減額」すべきとの回答が68%と半数を超えた。国債の買い入れは妥当だったものの、今後は現行よりも買い入れペースを減額すべきとの回答が82%を占めた。 半面、2%の物価目標は「不適切」との回答が43%、「妥当」が40%と評価が割れる結果となった。 黒田総裁の1期目について100点満点で評価してもらったところ、単純平均で58.5点だった。最も多かったのは70点で、落第点とも及第点ともいえる微妙な採点結果。ちなみに、外為市場関係者の月次調査で同じ質問をした際は「60点以上80点未満」だった。 黒田総裁は4月に2期目の新体制をスタートさせ、27日に発表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では2%の物価目標の実現時期について「2019年度ごろ」としていた文言を削除した。目標達成は容易ではないが、実現に有効な最手段を聞いたところ、「成長戦略・構造改革など」との回答が約6割を占めた。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

黒田日銀、1期目は及第点?「60点以上80点未満」49% QUICK月次調査<外為>

日銀は9日の金融政策決定会合で、現行の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の維持を決めた。再任される見通しの黒田東彦総裁は記者会見で5年間の金融政策運営を振り返り、日本経済は改善し、デフレではなくなったと成果を強調した。ただ市場では、マイナス金利に伴う金融機関の収益力低下など副作用の指摘も多い。3月の「QUICK月次調査<外為>」※では、黒田総裁の1期目の評価について聞いた。調査期間は3月5~8日。回答者数は76人。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 80点以上は22% 9日の記者会見でも「2%の物価安定目標は達成されていない」として、現行の金融緩和を今後も粘り強く続ける方針を表明した黒田総裁。9日は現体制最後の金融政策決定会合となったが、外為市場関係者の1期目の評価で最も多かったのは「60点以上80点未満」で約半数の49%を占めた。 「60点以上」で見ると、全体の71%。少なくとも外為市場関係者は黒田総裁が主導した異次元の金融緩和に及第点をつけたかたちだ。 高得点と判断できる80点以上は「100点」を合わせて22%にとどまったが「(金融政策で)ぎりぎりまで踏み込んだのは評価できる」と好意的な意見は少なくなかった。 結果として円安が進んで企業業績が上向き、完全失業率は大幅に低下。「経済パフォーマンスが安定し、雇用環境が良好なことは大いに評価できる」との声が上がった。 一方で大規模な国債買い入れにもかかわらず、2%の物価安定目標に近づけない現状に冷めた評価もある。今回は「0点」との評価はなかったものの「政府の協力もなく物価を上げろと言われた日銀に対しては、多少の同情の余地があるため『20点未満』としたが0点でもよい」との回答もあった。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

日銀新執行部、物価目標とマイナス金利は「維持」9割 QUICK月次調査<債券>

政府は2月16日、日銀の黒田東彦総裁を再任し、副総裁に日銀の雨宮正佳理事、積極的な金融緩和を訴える「リフレ派」の若田部昌澄・早大教授を充てる人事案を国会に提示した。2月の「QUICK月次調査<債券>」※では、日銀の新執行部が金融政策を今後1年、どのように運営すると予想するか市場関係者に聞いた。調査期間は2月20~22日、回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者134人。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 国債買い入れは「減額」が「維持」上回る 現行の金融政策のうち、2%の物価安定目標とマイナス金利については市場関係者の9割超が現状維持を見込んだ。「新執行部になっても実質はほとんど何も変わらないであろう。淡々と2%の物価上昇を目指して金融緩和を続けることが予想される」と冷めた見方が多い。 ETF・J-REITの買い入れは8割以上、長期金利ターゲットについても7割以上が「維持」と回答した。 「安倍晋三政権が続く限り、景気配慮型の金融政策運営は避けられず、長短金利操作目標ならびにETF購入額の変更は難しい」との指摘があった。「年後半に国内の物価上昇が進み円安基調になれば、日銀の長短金利操作の微修正に加えてETFなどリスク資産の買い入れ減額が可能になる」との声も一部であるが、株式市場を動揺させかねないETFの買い入れ減額は難しいとの見方が優勢だ。 一方で国債の買い入れ額については「減額」が50%と「維持」(46%)を超えた。「国債買い入れ額はステルス・テーパリングのもとで既に減らしており、この傾向が続く」との指摘があった。一方で昨夏に日銀審議委員となった片岡剛士氏に続いて「リフレ派」の若田部氏が副総裁に就くなか「インフレが鈍化すれば、円高阻止のためにマイナス金利を深掘りし、財政拡張を支援する国債購入を増額させるだろう」との予想もあった。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

今年値上げする企業31%、据え置きは68% 新体制の日銀に逆風 QUICK短観

QUICKが16日まとめた2月の「QUICK短観」によると、「2018年に値上げする製品やサービスを増やす」と回答した上場企業(全産業ベース)は5%だった。「やや増やす」(26%)と合わせても31%にとどまった。日銀は2%の物価上昇を目標に掲げるが、企業の値上げの動きが急速に広がる気配はない。 値上げや値下げをせず、「基本的に据え置く」と答えた企業が68%を占めた。昨年あたりから人手不足や原材料価格の上昇を背景に一部で値上げの機運が出てきたが、多くの企業は慎重な姿勢を崩していない。新興企業の製造業では85%が今年は据え置きと回答した。 QUICK短観の2月の販売価格DI(「上昇」と答えた企業と「下落」と答えた企業の割合の差)をみると、金融を除く全産業ベースで4と前月から1ポイント低下した。一方、仕入れ価格DIは33と前月から1ポイント上昇し、およそ3年ぶりの高水準。コスト増の販売価格への転嫁が難しい現状を映している。 政府は16日午前、日銀の黒田東彦総裁を再任する人事案を衆参両院に提示。副総裁に雨宮正佳・日銀理事と若田部昌澄・早大教授を充てる案も示した。みずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミストは「この春からの新体制の日銀も物価安定の目標達成は容易ではなさそうだ」と話していた。 ※QUICK端末では、QUICK短観の業況判断DI、自社株判断DI、円相場判断DIなど各種ヒストリカルデータをダウンロードできます。

黒田日銀の5年、企業の33%「プラスの影響大」 マイナスは4% QUICK短観

2013年3月に就任した日銀の黒田東彦総裁が4月に任期を終える。続投観測が高まるが、これまでの5年間の黒田日銀の「異次元の金融緩和」を上場企業はどう評価しているのか。QUICKが16日まとめた2月の「QUICK短期経済観測調査」によると、「プラスの影響が大きかった」と回答した企業(全産業ベース)は33%に上り、「マイナスの影響が大きかった」の4%を大きく上回った。 全産業ベースでは「プラスもマイナスも同じくらいの影響」と答えた企業が30%、「何の影響もなかった」が33%を占めた。大規模企業の製造業に限ると「プラスの影響が大きかった」は37%と最も多かった。新興企業の製造業の場合、プラスの影響を受けた企業は15%にとどまり、影響がなかったという回答が44%と最も多かった。   もっとも、製造業も非製造業も「マイナスの影響が大きかった」と答えた企業は4%前後しかなかった。黒田日銀は安倍晋三首相のアベノミクスを支えてきたが、その恩恵を感じとっている企業が少なくないことが分かる。ある回答企業からは「金融政策の大きな方針転換には反対であり、黒田総裁の留任を望む」といった声が寄せられていた。   2月のQUICK短観の回答企業は377社。回答期間は2月1日~13日。   ※QUICK端末では、QUICK短観の業況判断DI、自社株判断DI、円相場判断DIなど各種ヒストリカルデータをダウンロードできます。

日銀は大規模緩和をいつ修正するのか QUICK月次調査<外為>

日銀は現行の大規模な金融緩和策(長短金利操作付き量的・質的金融緩和)をいつ修正するのか――。米国発の金融・資本市場の動揺が収まらないなか、円相場や日本株の先行きを占ううえで市場参加者が注目するテーマだ。黒田東彦日銀総裁の再任報道もあり、日銀の次の一手への関心が高まる。 2月の「QUICK月次調査<外為>」※では、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)の調整・上場投資信託(ETF)の買い入れ縮小の時期などについて、外国為替市場の担当者に聞いた。調査期間は、日米株が乱高下した2月5~8日。回答者数は78人。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 YCCの調整時期、年内が4割近く 日銀が進めてきた大規模な金融緩和策については、縮小観測は一部で浮上している。しかし、日銀は2月2日、利回りを指定して国債を無制限に買い入れる指し値オペ(公開市場操作)を約7カ月ぶりに実施。長期金利は狙い通りに0.1%手前で抑えられ、日銀は現時点では市場でくすぶる誘導金利水準の引き上げ観測を後退させようと努めているもようだ。 2月9日から10日にかけては、市場ではコンセンサスだったとはいえ、黒田東彦日銀総裁の続投も報じられた。 今回、日銀が現行のイールドカーブ・コントロール(YCC)の調整に乗り出す時期について聞いたところ、最も多かったのは「2018年後半」で32%、次いで「2019年」が30%、「2020年」が17%だった。「(調整時期は)こない」という回答も9%あった。「2018年前半」(5%)と合計すると、外為市場関係者の4割近くは年内のYCC調整を予測していることになる。 市場関係者からは「春季労使交渉で賃上げがある程度高めで決着すれば、物価上昇への人々の拒否反応が和らぐ可能性があり、物価情勢は日銀の目標である2%に近づいて行く。その流れが日銀の金融政策正常化観測を強める可能性は否定できず、YCCの調整等への期待感が強まる」との指摘があった。一方、「円高を恐れている限り、いつまでたっても日銀に出口はない」といった冷めた意見も寄せられた。 日銀によるETF(上場投資信託)買い入れ額の縮小時期について聞いたところ、「2019年」が45%と大多数を占め、次いで「2018年後半」が19%、「2020年」が14%だった。 ETFの買い入れ方針を見直せば株式市場に混乱を招く恐れもあり、早期の縮小は難しいとの見方が多いもよう。調査期間中に世界同時株安が発生したこともあり「株価暴落が一時的か否かでその先々の金融政策に影響を及ぼす」と株式相場の動向を重視する声が上がった。 2月末は1ドル=109円99銭 予想は円高方向にシフト 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは2月末の平均値で1ドル=109円99銭と、1月調査(111円26銭)から円高へシフトした。3カ月後の4月末には111円01銭、6カ月後の7月末には111円97銭の予想。今後6カ月程度を想定した注目の変動要因は、円・ドル・ユーロすべて「金利/金融政策」で、特に円に関しては、引き続き注目度7割を超えている。 ファンドの運用担当者に外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、「ニュートラル」が67%から36%に大幅に低下した一方で、「オーバーウエート」が11%から27%に上昇し、「アンダーウエート」も22%から36%に上昇した。 事業法人の業績予想の前提為替レートは、平均値で1ドル=110円60銭と現在の水準(109円02銭~109円90銭)より円安の予想だが、対ユーロでは1ユーロ=132円00銭と現在の水準(134円36銭~136円71銭)より大幅に円高の予想となっている。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

日銀の長短金利操作 「年内に調整」が5割近くに QUICK月次調査<債券>

日銀が現行の金融政策の修正に動くのではないか、との警戒感が市場で根強い。黒田東彦総裁がダボス会議で「粘り強く金融緩和を続ける必要性」を強調したにもかかわらず、市場では円高・ドル安が進んだ。市場は日銀の金融政策の方向性をどう見ているのか。1月の「QUICK月次調査<債券>」※では日銀の出口戦略について聞きました。調査期間は1月23~25日、回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者143人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 日銀のYCC調整「2018年後半」が39% 日銀は1月23日に開いた金融政策決定会合で、現行の大規模な金融緩和の維持を決めました。2%の物価目標の達成時期の見通しも「2019年度ごろ」のままで据え置きました。金融市場では、9日の国債買い入れオペ(公開市場操作)で、超長期ゾーンを対象とした国債の購入減額に踏み切ったため、日銀が近く緩和縮小に動くのではないかとの思惑が一部で浮上していました。 今後の日銀による金融緩和について、イールドカーブ・コントロール(YCC)の調整時期を聞いたところ、最も多かったのは「2018年後半」で39%、次いで「2019年」が27%でした。「2018年前半」も6%と、5割近くが年内にもYCCの見直しがあると予測しています。 一方、ETF(上場投資信託)買い入れ額の縮小時期を聞いたところ、最も多かったのは「2019年」で30%、次いで「2018年後半」が23%。「(買い入れ縮小時期は)こない」との回答も1割ありました。 市場参加者からは「世界景気の過熱と原油高が続き、インフレ加速により米長期金利の上昇基調が強まった場合は、円安が進み、YCCの調整(長期金利誘導目標の引き上げ)に動くと見る」、「春季労使交渉における賃上げ率が3%程度で着地した場合、政府はデフレ脱却宣言を行い、日銀も均衡イールドカーブの上昇を根拠に国債金利目標を少し引上げる可能性がある」といった声が聞かれました。 半面、「超長期オペの減額のみで強烈に円高になってしまっていることを考えると、そうそう出口を意識させるような行動を取りづらい。今の政策を続けていくことが一番可能性としては高い」という声をはじめ、黒田総裁が続投なら当面の政策スタンスに変化なしといった見方も少なくないようです。 国内債券に対する「ややアンダーウエート」が上昇 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは1カ月後が0.072%、3カ月後が0.086%、6カ月後が0.101%と、12月調査(0.055%、0.069%、0.090%)に比べていずれも上昇しました。今後6カ月程度で注目する債券価格の変動要因で最も多かったのは「短期金利/金融政策」が61%、次いで「海外金利」が20%でした。 資産運用担当者68人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が57%と5ポイント低下した一方、「ややアンダーウエート」が32%と8ポイント上昇しました。「ややオーバーウエート」(2%)は2ポイント、「かなりアンダーウエート」(9%)は1ポイント低下しました。

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