貿易戦争の結末は? 「痛み分け」50%、「米国勝利」46% 5月の債券月次調査

米中の貿易面での対立が再び激しくなってきた。争いの果てに勝者はいるのか。QUICKが3日にまとめた5月の債券月次調査で「米中貿易戦争の最終的な勝者」を聞いたところ、「なし」が5割、「米国」が4割超だった。覇権をめぐる争いの長期化が見込まれるなか、米中双方が損失を被るとみる意見が多い。米国の「勝利」を見込む回答も多かった一方、中国が優位に立つとの見方は少なかった。 ※5月のQUICK月次調査<債券>の問8(6)より。有効回答は125人。 債券市場のコンセンサスは「対立の長期化」だ。米中の貿易戦争は、長期にわたった1980年代の日米対立などを念頭に、今回も「10年またはそれ以上の年月をかけて交渉していく」(証券会社)との見方が多い。対立が長引けば両国や世界の貿易への影響は大きく、勝者は「いない」(50%)とする回答が最も多かった。 次いで多かったのは「米国」の46%。中国経済は米国向け輸出に強く依存していることから、長期では米国が優位に交渉を進めやすいからだ。一方で、「中国」を挙げた回答は2%と少なかった。対米依存度の面で中国が不利な交渉を強いられるなかで「対米政策に国内で不満が出るのではないか」(証券会社)といった中国の内政を懸念する意見が目立った。 5月の債券月次調査は5月28~30日に実施され、証券会社および機関投資家の債券担当者134人が回答した。(ナレッジ開発本部 伊藤央峻)

中国経済、年内「横ばい」が過半数 債券QUICK月次調査

世界の景気を左右する中国経済の先行きを債券市場はどう見ているのか。QUICKが7日にまとめた債券月次調査で、2019年の中国経済が前年同期比で「横ばい」の成長率を維持するとの回答が最も多くなった。世界全体の経済についても、ほぼ同様の見方だ。ただトランプ米大統領が5日に対中追加関税の引き上げを突如表明し、依然、先行き不透明感は強い。 中国経済の見通しについて、19年前半、19年後半、20年前半いずれもほぼ半数の回答者が「横ばい」を予想している。債務問題など構造的な課題は多いものの、政府の経済・財政政策などの効果で足元では小康状態にある。 トランプ大統領の突然の関税引き上げ発言で米中協議の先行きを不安視する声もあるが、三井住友DSアセットマネジメントの深代潤執行役員は「あくまで交渉の戦略の一つ。米国も決裂は避けたいはずだ」と見る。 ■10月の消費増税は「支持」8割 10月の消費税率の引き上げに関しても質問した。自民党幹部が4月に「消費増税の先送り」に言及し、こちらもやや不透明感が出てきたが、「引き上げを支持するか」との問いに「支持する」(49%)と「どちらかといえば支持」(31%)を合わせた回答が8割だった。増税で日本経済は「多少、悪化する」と見込む声は7割で、18年10月の調査とほぼ結果は変わらずだった。(QUICKナレッジ開発本部 伊藤央峻) ※QUICKは債券市場関係者に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査<債券>」として公表しています。今回の調査期間は4月23~25日。回答者数は136人。

平成最大の衝撃「マイナス金利政策」 債券QUICK月次調査、世代間で違いも

新元号が「令和(れいわ)」に決まり、30年あまり続いた「平成」が間もなく幕を閉じる。振り返ると、1990年代半ばに3~4%だった日本の長期金利は右肩下がりを続け、今ではマイナス圏で推移する。   平成の時代を債券市場関係者はどう総括するのか。QUICKが4月1日にまとめた3月の債券月次調査によると、平成時代、債券市場に影響を与えた出来事として、2016年1月の「マイナス金利政策の導入」との回答が最も多かった。副作用を伴う「劇薬」への印象は強烈だった。   ■「マイナス金利」は全世代1位  ※平成に債券市場に影響を与えた出来事のなかで印象に残っているものを3つまで選んでもらった。   マイナス金利導入で受けた大きな衝撃は、世代を超えた共通体験となっているようだ。これを選んだ回答者の割合は、すべての世代でトップとなった。   またマイナス金利政策にはやや否定的な声が多い。米欧の中銀がハト派姿勢に転換するなか、日銀にとってマイナス金利の深掘りは残された数少ない追加の緩和の手段ともいえる。だが回答者からは「副作用が大きく選択肢にならない」(投信投資顧問)、「『緩和』と呼んではいけないのではないか」(証券会社)などの意見が相次いだ。   「為替相場の水準と市場のセンチメント次第」(証券会社)との見方もある。金融機関の利ざやの縮小など負の側面もあるが、為替が円高に振れれば、評価が割れる金利引き下げを日銀が選択する可能性はある。   ■世代間で差が出た項目も   回答を世代ごとに見ると、印象の残った出来事にはばらつきがある。例えば、1998年12月の「大蔵省資金運用部ショック」は、50代以上の回答者は、マイナス金利に次いで2番目に多い36%が選択した。一方で20代の回答者は選んでおらず、実際に経験した世代とそうでない世代での感覚の違いが浮かび上がった。   月次調査は3月26~28日に実施し、証券会社および機関投資家の債券担当者132人が回答した。(QUICKナレッジ開発本部 伊藤央峻)

米欧の中銀「ハト派」化、織り込み一段と 債券QUICK月次調査

債券市場で、2019年の米欧の金融政策はハト派色が強まるとの見方が目立ってきた。QUICKが4日にまとめた2月の月次調査では、米連邦準理事会(FRB)は保有資産の縮小をいったん停止し、政策金利の引き上げもゼロないし1回と予想する声が多かった。   「FRBの保有資産の縮小ペースをどう予想するか」との問いに対し、縮小を停止するとの回答が56%を占めた。19年中のFRBの政策金利(FF金利)の引き上げ回数は0~1回の合計で9割を超す。欧州中央銀行(ECB)の19年中の金融政策に関する質問でも緩和的な政策が多く選ばれた。 実際、FRBのパウエル議長は、米国債などの保有資産縮小を年内に終了することを検討していると議会で証言。ECBの長期資金供給オペ(TLTRO)の再実施の観測も浮上している。当事者からハト派的なメッセージが相次いで出されていることもあって、約2週間前に外為市場関係者を対象に実施した月次調査と比べても、緩和的な政策の織り込み度合いがより強まっている。 今後の長期金利上昇の余地は限定されると見る向きが多い。足元では世界的な投資家心理の改善をうけ金利は小幅に上昇しているものの、「政策的な金利上昇要因がない。海外金利の動向が日本の金利の上値も抑える」(BNPパリバ証券の徳勝礼子氏)という。 今回は同時に、英国の欧州連合(EU)離脱による英経済への影響についても聞いた。「小幅に減速する」が60%と最も多く、ついで「大幅に減速する」が29%だった。「(英経済の)ハードデータとして現れるのは20年以降」(証券会社)などの声があった。 2月の債券月次調査は2月26~28日に実施し、証券会社および機関投資家の債券担当者136人が回答した。(ナレッジ開発本部 伊藤央峻)

物価2%上昇を達成できぬワケ 債券市場の見立ては…… QUICK月次調査

日銀は1月に2019年度以降の物価見通しを引き下げ、目指している「物価上昇率2%」への道のりはさらに見えなくなってきた。QUICKが4日にまとめた1月の月次調査<債券>で物価目標を達成できない理由を聞いたところ、根強いデフレ心理や低賃金など構造問題に票が集まった。債券市場と、原油価格の下落の影響などを理由に挙げる日銀との認識の違いが目立つ。 日銀は今回発表の展望リポートで、生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の上昇率予測について、19年度を0.5ポイント引き下げ0.9%に、20年度を0.1ポイント引き下げ1.4%(いずれも消費増税、教育無償化の影響を除く)とした。調査はその翌週に実施し、証券会社および機関投資家の債券担当者134人が回答した。 物価上昇率2%が達成できない主な理由を3つ選んでもらい、最も多いのは「根強いデフレ心理・構造」(71%)との回答だった。「賃金の伸び悩み」(59%)、そもそも「(2%という)目標が高すぎる」(53%)と続く。さらに「人口動態」を挙げる回答も35%あり、様々な構造要因からデフレがあまり払拭されていない印象を持っているようだ。 日銀は今回の見通し引き下げについて「原油価格の下落を主因として」と説明しているが、調査ではその要因を選んだ回答は23%にとどまった。 アベノミクスを掲げる政府と日銀が共同声明(アコード)で、物価目標2%の早期達成などを約束したのはちょうど6年前。政府は今では、2%へのこだわりを見せなくなった。調査に回答したJPモルガン証券の足立正道シニアエコノミストは、「賃金面への波及なども含めて、マイルドなインフレが社会全体にとって望ましいというコンセンサスがない」としたうえで、財政政策、構造改革の取り組みの必要性を指摘している。(QUICKナレッジ開発本部 伊藤央峻)

長期金利は年末にかけ上昇へ 19年相場、債券のプロが読む QUICK月次調査

QUICKは7日、2018年12月のQUICK月次調査<債券>の結果を発表した。特別質問では19年の相場見通しについて質問し、証券会社および機関投資家の債券担当者128人が回答した。調査期間は12月25~27日。19年末にかけて日本の長期金利は上昇が見込まれるが、引き続き水準は低いとの予想が多い。目先の債券相場では海外金利の動向が注目されそうだ。 長期金利の指標となる10年国債利回りは昨年10月に0.155%と最も高い水準をつけたが、足もとはマイナス0.020%程度で推移。年始の波乱相場で4日に一時、マイナス0.050%まで低下するなど、市場参加者の想定を超える勢いで金利低下が進んでいる。回答者からは「日米の景気動向や企業収益の見通しをふまえると、明らかに行き過ぎた動き」(その他金融機関)と反発を予想する声がある。 10年金利が最も高くなる時期については12月の予想が46人、最も低くなる時期は1月が27人でそれぞれ最も多い。20年国債の利回りについても同様に、1月に低く12月に高いとの見立てが目立つ。 米国の10年物国債利回りは、予想最高値の平均が3.183%、予想最低値の平均が2.581%となった。昨年は米国経済の好調などを背景に断続的に3%台で推移(1年前の調査で18年予想は最高が2.786%)したが、最近は米中貿易摩擦に端を発する景気減速が懸念されるなど情勢は様変わり。米10年金利はいま2.6%台だ。 債券担当者の間では、価格変動要因として、米金利をはじめとする海外の金利動向に注目ポイントが移っている。米連邦準備理事会(FRB)の政策金利変更の回数を聞くと、「利上げ2回」との回答が51%と最も多く、次いで「1回」が38%、「なし」が10%だった。利下げについては、回答者の95%が「なし」と予想した。(QUICKナレッジ開発本部)

米は利上げ2回、欧州の利上げは秋以降、そして日銀は 11月のQUICK債券月次調査

2018年も残すところあと1カ月。市場動向を左右する日米欧の金融政策を債券市場関係者はどう見ているのか。QUICKは3日に発表した「QUICK月次調査<債券>」で、19年以降の日米欧の金融政策の見通しを聞いた。 まずは19年の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ回数と実施時期。回数は「2回」との回答が58%と最も多く、次いで「3回」が19%、「1回」が17%と続いた。実施時期で最も多かった回答は、「3月19~20日」(80%)で、次に「6月18~19日」(62%)、「9月17~18日」(34%)と続いた。 米景気への見方は分かれている。「グローバルに景気減速に向かう」(投信投資顧問)との見方がある一方、「雇用、賃金、消費が底堅く19年中も金利上昇局面は続く」(投信投資顧問)と強気の声も多い。11月28日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は「政策金利は経済に中立的とされる水準をわずかに下回っている」と発言。それまでの「中立金利には程遠い」との発言からスタンスを変化させ、市場には利上げ打ち止め時期が近いとの空気が一気に広がった。 次に、欧州中央銀行(ECB)はいつ頃利上げに踏み切るか。「19年秋ごろ」が37%と最多を占め、次いで「19年末」が31%、「20年中」が19%と続いた。19年中には利上げに踏み切るとの見方が多い。「英国の欧州連合(EU)離脱)が難航することを考えると、ECBの利上げはまだ先のことになる」(その他金融機関)など、EU離脱の先行き次第との指摘もあった。 そして、緩和からの「出口レース」で最後方を独走する日本。 日銀がイールドカーブ・コントロールの修正について、19年中に実施すると思うものを聞いたところ、「10年金利の許容レンジの拡大」(47%)との回答が最も多く、次いで「19年中は修正しない」(39%)、「長期金利の目標年限の短期化」(16%)、「マイナス金利の縮小、撤廃」(15%)が続いた。 「政治日程や消費増税をふまえると日銀は大きな政策変更をしづらい」(証券会社)と見る向きが多い。「ダブル・スタンダード的な利上げ(=許容レンジの拡大)に終始せざるを得ない」(証券会社)というわけだ。金融政策が後手に回れば、景気減速から悪化に向かう局面で身動きが取れなくなる懸念がある。 QUICKは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として公表している。今回の<債券>の調査期間は11月27~29日。回答者数は139人だった。 (QUICKナレッジ開発本部 伊藤央峻)

消費増税で「景気悪化」9割 債券市場、それでも8割が「賛成」 QUICK月次調査

景気は悪化するが消費増税は「賛成」――。QUICKが29日にまとめた10月の月次調査によると、2019年10月に消費税率が10%に引き上げられた後の日本経済について債券市場関係者の9割が「悪化」すると回答した。一方、8割は増税そのものに「賛成」だった。 ※QUICKは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として公表しています。今回の<債券>の調査期間は10月23~25日。回答者数は134人。 安倍晋三首相は10月15日、来年秋に消費税率を10%へ引き上げると表明した。債券市場の関係者に引き上げを支持するか聞いたところ、「支持する」との回答が49%と最も多かった。次いで「どちらかといえば支持する」が32%と続き、引き上げ支持派が全体の8割を超えた。 消費増税を支持する理由は、債券市場にとっては言わずもがな。つまり「財政健全化を達成するため」(証券会社)だ。法人税率の引き上げや労働人口の増加が見込めないなか、手をつけるのは「社会保障の財源は高齢者の自助的な負担も含めた消費税」(銀行)という結論になるという。   一方、少数派ながら、引き上げを支持しない債券関係者もいた。「消費税率の引き上げは結果的により財政赤字を増やすための方便になっているため、財政規律の正常化に役立つどころか、むしろ逆になっている」(証券会社)との指摘があった。「デフレ脱却を完全に果たさない段階での消費増税は将来に禍根を残す」(投信投資顧問)との懸念も出ていた。 消費税率が予定通り引き上げられた場合、軽減税率などの対策を踏まえた消費増税後1年の日本経済への影響を聞いてみた。最も多かったのは「多少悪化する」で80%。「大幅に悪化する」の8%の回答と合わせると、およそ9割が景気の悪化を予想した。財政健全化の道を歩むには、多少の景気悪化はやむなし、というわけだ。景気が「影響なく堅調を維持する」との答えは11%にとどまった。 長期的に消費税率はどこまで上昇するか聞いたところ、単純平均で16.64%となった。「諸外国平均の20%近くまで引き上げざるを得ない」(信託銀行)。「軽減税率を導入しながら15%程度まで引き上げられる」(投信投資顧問)との見方が多かった。ただ、消費税は「政治的に鬼門。20%まで引き上げられるのに15年はかかる」(証券)との声もあった。   長期金利への影響については「金融政策が影響している部分が大きく、増税だけで金利がブレることはなさそうだ」(銀行)との指摘が目立った。 (QUICKナレッジ開発本部 伊藤央峻)

与党大勝に終わった衆院選 アベノミクス・消費増税は信任得たか

10月22日に投開票された衆院選で与党が圧勝した。安倍政権が進めるアベノミクスや現行の緩和的な金融政策が継続するとの安心感が広がり、23日の日経平均株価は15営業日連続で上昇。24日には16連騰と史上最長記録を更新しました。そこで毎月実施している「QUICK月次調査<債券>」※を通じて、衆院選後のアベノミクスや消費増税などの経済政策について聞きました。調査期間は10月24~26日、回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者141人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。   消費増税8割支持も、使途変更に異議あり 今回の衆院選で自民党は6議席減らしたものの284議席を獲得、単独で過半数を大きく上回りました。連立を組む公明党と合わせて、憲法改正の国会発議に必要な3分の2の310議席以上を得る大勝となりました。安倍晋三首相(自民党総裁)は23日の記者会見で、教育無償化やその財源となる消費増税の使途見直しの具体策を年内に策定する意向を示し、政権最大の課題であるデフレ脱却を目的としてアベノミクスの再起動を図るようです。 衆院選結果を受けて、アベノミクス(旧三本の矢)の行方はどうなると思いますか、と聞いたところ、最も多かったのは「アベノミクスの維持」で6割を占め、7月調査で75%と最も多かった「アベノミクスの部分的な見直し」は3割にとどまりました。与党の勝利でアベノミクスが信任を得たとみる市場関係者が多いようです。 現行の金融政策継続との見方が強まる中、イールドカーブ・コントロールが改めて意識されるとの声が聞かれます。「日銀の中曽宏副総裁が18日のニューヨークでの講演で『必要ならイールドカーブの形状についても調整する』と発言したことに注目しています。近い将来、金利操作目標の引き上げ等があると予想しています」といった意見もありました。 2019年10月に消費税率を10%に引き上げる予定についてどのようにお考えですか、と聞いたところ、「予定通り10%に引き上げ、大半を国の借金返済に充てるべき」が5割を占め、「予定通り10%に引き上げ、教育無償化などに使途変更すべき」(21%)に大差をつけました。「デフレ脱却が確実になるまで、消費税10%は先送りすべき」(14%)と「消費税減税すべき」(4%)を合わせても反対は2割弱。「税率10%を上回る水準への消費税増税すべき」(7%)を含めると消費税率の引き上げを支持する声が8割を占めたものの、安倍首相が表明する使途変更には待ったをかける結果となりました。 市場関係者からは「(与党が大勝したものの)国民は消費税率引き上げと教育等への使途変更を容認したものではない。今後、各論での反対が出てくるだろう」、「財政健全化、消費拡大を目指すのなら、消費税率を引き上げると同時に所得減税するなど、可処分所得を増やす工夫も必要か」といった指摘もありました。   政府のデフレ脱却宣言は「しない」との予想が最多 安倍首相は10月26日の経済財政諮問会議で、来年の春季労使交渉をめぐって賃上げを要請しました。消費増税分の使途を変更し、国の借金返済を後回しにしても子育て世帯への支援を優先することで個人消費を支える一方、企業の賃上げを通じた家計所得の引き上げで消費拡大の実現を促し、デフレ脱却につなげたい考えのようです。 では、政府のデフレ脱却宣言の時期はいつになると思いますかと聞いたところ、最も多かった予想は「(デフレ脱却宣言は)しない」で25%、次いで「2019年度中」が19%となりました。市場関係者からは「物価の前年比上昇率が安定的に2%を見通せる状況になることは考えづらい」という見方が多く、時期を予想することは困難との意見が大半を占めました。一方で「消費税率引き上げを行う方便の一つとしてデフレ脱却宣言を行う基準を引き下げる可能性はある」、「政治的効果のありそうな参議院選挙前ではないか」との予想もありました。 政府のデフレ脱却宣言等、日銀の現行の異次元緩和を縮小できる環境になった場合、最初の手段は何だと思われますかと聞いたところ、「長期金利目標の引き上げ・解消」が最も多く60%、次に「国債買い入れ額の明示的な縮小」が36%、「ETF・J-REITの買い入れ額縮小」が32%、「マイナス金利の解除」が26%、「社債・CPなどの買い入れ額縮小」が14%という結果になりました。   国債組み入れ比率、「ややアンダーウエート」が増加 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.066%、3カ月後が0.075%、6カ月後が0.090%と、9月調査(0.052%、0.062%、0.076%)に比べていずれも上昇しました。今後6カ月程度で注目する債券価格変動要因で最も多かったのは「短期金利/金融政策」が46%、次いで「海外金利」が35%でした。 資産運用担当者69人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が前回より5ポイント低下の54%となった一方、「ややアンダーウエート」が39%で13ポイント上昇しました。

2017衆院選、希望の党は波乱を呼ぶか?

米国や英仏などと比較して政治が相対的に安定していた日本ですが、衆院の解散・総選挙により先行き不透明感が広がっています。毎月実施している「QUICK月次調査<債券>」※を通じて、債券のプロに衆院選の行方を聞いたところ、与党勝利が大半を占める予想となり、政権交代は難しいとの見方です。調査期間は9月26~28日、回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者138人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 衆院選の結果予想は「与党勝利」が8割以上 9月28日、衆院は本会議で解散し、臨時閣議で10月10日公示、22日投開票の衆院選の日程を決定しました。野党第1党の民進党は、小池百合子東京都知事が代表を務める新党・希望の党との事実上の合流を決めるなど、選挙戦は波乱の様相を呈しています。 ただ、債券市場関係者は今回の選挙結果について「与党勝利」が83%と予想しており、自民・公明が引き続き政権を握るとの見方です。市場関係者からは「与党勝利を予想するが、投票率が上昇すると与党が劣勢になる可能性がある。与党が辛勝だった場合、安倍首相の求心力が低下し、金融政策や日銀総裁人事に影響を及ぼし、場合によっては、首相交代も意識される可能性がある」といった声が聞かれました。 総選挙の主要なテーマについても聞いたところ、「財政問題(消費税の使途変更・健全化目標先送り)」が47%と最も多くなりました。安倍首相は2019年10月の消費増税に伴い、増収分の使途の一部を借金返済から2兆円規模の子育て支援や教育無償化などに充てると提起しました。 一方、小池氏は消費増税の凍結を主張しているため、与野党どちらが勝ったとしても財政が悪化する点を債券関係者は問題視しているようです。 10年国債は「横ばい」、日経平均は「上昇」 さらに衆院選の結果を受けた金融市場の見通しについて質問したところ、10年国債利回りは「横ばい」が65%、日本国債の格付けは「据え置き」が80%で最も多くなりました。また、日経平均株価は「上昇」が50%、円・ドル相場は「横ばい」と「円安」の予想が拮抗する結果になりました。 市場では「与党が勝利することを予想しており、アベノミクス継続から金融政策の方針が変わることはないとみている。仮に与党が惨敗した場合でも、ポピュリストと目される小池氏が株安・円高につながる緩和縮小を推し進める可能性は低いとみており、結局のところ選挙の結果に関わらず金利は低位に推移することが考えられる」といった見方もあります。 債券価格変動要因は海外金利に注目が集まる 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.052%、3カ月後が0.062%、6カ月後が0.076%と、8月調査(0.029%、0.048%、0.067%)に比べていずれも上昇しました。今後6カ月程度で注目する債券価格変動要因で最も多かったのは「海外金利」が42%、次いで「短期金利/金融政策」が37%でした。 資産運用担当者66人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が前回より6ポイント低下の59%となった一方、「かなりアンダーウエート」が9%で5ポイント上昇しました。  

債券のプロは米国債デフォルトの可能性についてどう見る?

トランプ政権が抱える問題は山積みです。3日には北朝鮮が6回目となる核実験を実施したほか、内政については足元で政府閉鎖と国債のデフォルト(債務不履行)懸念の財政問題が顕在化しています。  そこで毎月実施しているアンケート調査「QUICK月次調査<債券>」※を通じて、債券市場担当者に米国債がデフォルトになる確率などについて聞きました。調査期間は8月29~31日。回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者138人です。  ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。   米国債デフォルトの可能性は? 5日に再開予定の米議会の最優先課題は、29日に期限が迫る連邦政府の債務上限引き上げと、2018会計年度(17年10月~18年9月)の予算案を成立させることです。米国では政府が国債を発行できる金額が法律で定められているため、上限を引き上げないと新たな借り入れや利払いができなくなり、米国債はデフォルト(債務不履行)に陥ってしまいます。そこで債券市場関係者に「米国債の債務不履行」が発生する確率を聞いたところ、債務不履行が発生する確率は0~10%と回答した人が最も多く、単純平均で7.1%となりました。   また、新年度の予算についてはトランプ大統領が公約で掲げたメキシコとの国境に壁を建設することに固執しており、これがネックになっています。トランプ氏は建設費を予算に盛り込まなければ政府を閉鎖するとコメントしています。昨年の大統領選で掲げた大半の公約が頓挫し、支持率が低迷するなか、打開策として壁の建設にこだわっているようです。  米政府機関が閉鎖された場合、緊急の機能以外は停止し、公共施設の閉鎖や事務処理の遅れなど様々な問題が発生します。直近では2013年10月に政府機関が一部閉鎖され、景気にも影響を与えました。  債券市場関係者に「米国の政府機関の閉鎖」の確率についても聞いたところ、11~30%との回答が最も多く、閉鎖される可能性は単純平均で25.2%でした。仮に米国の政府機関が閉鎖された場合、米国の金融市場はどのように反応すると予想されますかと質問したところ、米国10年国債利回りは「小幅低下」、ドル円相場は「小幅円高」、ダウ工業株30種平均は「小幅下落」という結果が最も多くなりました。 市場関係者からは「米政府の短期的な閉鎖については既にコンセンサスに近く、それだけで大きく反応することはないと思う。ただ米議会が問題意識を共有しながら解決力の欠如により、事態が長引いた場合(あるいはデフォルトに至る場合)はトリプル安となる可能性も否定できない」といった声が聞かれました。   リスクオフなら日本国債の利回り、どこまで低下? 米国の財政問題や地政学的リスクなど、リスクオフの材料が目立ちますが、日本の国債利回りは年内にどこまで低下する可能性があると思いますかと聞いたところ、10年物国債利回りで-0.04%という結果になりました。 20年国債利回り   0.44%  10年国債利回り  -0.04%  5年国債利回り  -0.19%   また、日本の10年国債利回りがマイナス水準で定着しそうな場合、日銀はどのように対応すると思いますか、と聞いたところ、最も多かったのは「国債買い入れの小幅減額」が66%、「国債買い入れの大幅減額」が21%、「国債買い入れ額の維持」は10%でした。 市場関係者からは「日銀の国債購入が減額されるなかでもYCC(イールドカーブ・コントロール)は機能しているとみえ、需給は限界的に緩むなかでも金利の上昇圧力は限定的」「QQEを進めている以上、減額の大幅修正は認められず小幅な修正にとどめ、スタンスを堅持する方針を示すと考えられる。海外発の地政学リスクは、日本の景況感と別であり、日銀も金利低下と物価を分ける論理で国債買い入れ額を正当化すると考えられる」などの声が聞かれました。   債券価格変動要因は海外金利などに注目 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り低下を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.029%、3カ月後が0.048%、6カ月後が0.067%と、7月調査(0.069%、0.077%、0.088%)に比べていずれも低下しました。今後6カ月程度を想定した注目される債券価格変動要因で最も多かったのは「海外金利」で38%、次いで「短期金利/金融政策」が37%でした。 資産運用担当者65人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が前回より2ポイント低下の65%となったものの、「ややアンダーウエート」、「ややオーバーウエート」は27%で前回と変わらず、「かなりアンダーウエート」が4%で2ポイント上昇しました。当面の投資スタンスについては「現状を維持する」が80%と引き続き多数を占めています。    

安倍政権、低支持率からの脱却はもはや無理!?

  日本経済新聞社とテレビ東京が実施した7月の世論調査によると、安倍政権の支持率は39%と前回の6月調査から10ポイント低下しました。加計学園問題や、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に関する日報問題などが低下の背景にあるようです。日報問題では稲田朋美防衛相が28日、引責辞任しました。 そこで毎月実施しているアンケート調査「QUICK月次調査<債券>」※を通じて、債券市場担当者に安倍内閣の先行きについて聞きました。調査期間は7月25~27日。回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者140人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 安倍晋三首相   内閣改造でも政権立て直しは無理? 安倍首相は7月上旬の東京都議選で自民党が惨敗したことも踏まえ、8月3日に内閣改造に踏み切り、政権を立て直したい考えのようです。しかし、実際は難しいかもしれません。債券市場関係者に閉会中審査や内閣改造などを受けて内閣の支持率がどうなるか聞いたところ、「ほとんど変化しない」が46%と最も多く、「さらに低下する」は23%と7割近くが低支持率が続くとみています。一方、「大幅に回復する」との回答はわずか1%でした。 市場関係者からは「閣僚の責任問題や都議会選挙の結果を受けて現政権の信用力が低下しつつある中では、円滑な議会運営も難しくなることが予想される。安倍首相の統率力にも疑問符がつくことから、自民党内では次期総裁候補についての議論が活発になる可能性がある」との指摘がありました。一方、支持率回復策として北朝鮮やロシアに対するポジティブサプライズな外交をあげる向きもありました。 次に安倍晋三氏はいつまで首相を務めると予想しますかと質問したところ、最も多かった回答は「自民党総裁2期満了時(2018年9月)」で34%でした。市場では安倍政権に代わる受け皿が見当たらないとの理由から、安倍氏の続投を予想する声が多かったものの、「安倍次の選挙が勝てないとなれば、自民党は総裁交代に向けて動き出す」との見方もありました。         「ポスト安倍」は石破氏? 次に安倍首相の辞任後、次の首相は誰になると予想するか質問。最も多かったのは「石破茂」で31%、次いで「岸田文雄」が29%、「麻生太郎」で22%という結果となりました。  首相交代を受けて、アベノミクス(旧三本の矢)の行方はどうなると思いますか、と聞いたところ、「アベノミクスの部分的な見直し」が7割以上を占めました。また、首相交代時の10年国債利回りの予想は単純平均で「0.27%」でした。 市場関係者からは「安倍首相の後任は党内情勢から考えてアベノミクスの継承を掲げざるを得ないだろう。結局、程度の差はあるにせよ、大規模な金融緩和が続いて、債券市場の機能低下がさらに進むとみている」「安倍首相と現状の金融緩和の結びつきが強いため、首相交代は政策の転換を意識されるものの、日銀のロジックからは、緩和を縮小する状況には至っておらず、副作用が効果を上回るまでは、現状の金融政策が継続する可能性が高いと見込む」といった声が聞かれました。   国債組み入れ比率、8割が現状維持 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.069%、3カ月後が0.077%、6カ月後が0.088%と、6月調査の(0.054%、0.064%、0.076%)に比べていずれも上昇しました。今後6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因は「短期金利/金融政策」でした。 資産運用担当者65人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が前回より1ポイント上昇の67%を占め、「ややアンダーウエート」が4ポイント上昇の27%、一方「ややオーバーウエート」は5ポイント低下の4%でした。当面の投資スタンスについては引き続き「現状を維持する」が84%と多数を占めています。

日銀の出口戦略のきっかけは首相交代!?

  欧米の中央銀行が金融政策の正常化に向けて舵を取り始めた一方、日銀の出口戦略にはメドが立っていません。そこで今回は毎月実施しているアンケート調査「QUICK月次調査<債券>」※を通じて、債券市場担当者に日銀の「出口戦略」のきっかけやタイミングなどを予測してもらいました。調査期間は6月27日~29日。回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者140人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。   物価上昇率2%は「達成できないが、目標は維持される」が6割超 日銀は6月15~16日に開いた金融政策決定会合で、金融緩和策の現状維持を決め、黒田総裁は物価上昇率が目標の2%を安定的に超えるまで資金供給量の拡大を続けると、従来の説明を繰り返しました。しかし「物価目標2%」の達成が見通せないにもかかわらず、市場の関心は金融緩和からの「出口」に対して高まっています。 そこで「物価目標2%」の達成について聞いたところ、最も多かったのは「達成はできないが、目標は維持される」で64%、続いて「達成できず、目標が変更される」が30%、「達成できる」との回答はわずか4%に止まりました。 市場関係者からは「国内景気は東京オリンピック関連の需要に支えられ、実感を伴わない景気回復傾向が20年まで続くと見るが、2%の物価安定の目標には達しないと予想。日銀は総括をしながら現在の政策を継続する。仮に2%程度の物価上昇率が安定的に継続すると判断された場合は伝統的な金融政策へ回帰し、マイナス金利解消などが検討されると見るが、2%の物価安定の判断は容易ではない」という意見や、「現実的な話として、現状目標達成を信じている市場関係者は極めて少数派だと思われる。出口=目標達成ではなく出口=目標達成断念という出口論のあり方を見つめなおす議論したほうが現実的だと考えている」といった声も聞かれました。   では、もし日銀が「出口」に向かうとすれば、何がきっかけになると思いますか、という問いに最も多かった回答は「首相の交代」で26%、次いで「変更後の目標を達成」と「金融市場の激変」が23%で並びました。「その他」としては「日銀総裁の交代」という意見が目立ちました。 市場関係者からは「リフレ派のブレーンに囲まれている安倍首相が在任している限り、多少の枠組み修正はあるにせよ、大規模な緩和が続いていく公算が大きい。後任の首相が『アベノミクス』継承を掲げる場合、この金融緩和はますます終わりが見えなくなる」「他国が金融緩和を縮小させる流れの中で、日本だけが目標を達成できず金融緩和を継続して、その結果、通貨安(円安)がさらに進み、海外からの圧力で出口を模索するといった流れになると考えている」といった意見があがりました。 さらに「出口」としての緩和縮小の最初の手段は何だと思われますかと聞いたところ、「長期金利目標の引き上げ・解消」が最も多く53%、次に「国債買い入れ額の明示的な縮小」が51%、「マイナス金利の解除」が34%、「ETF・J-REITの買い入れ額縮小」が31%、「社債・CPなどの買い入れ額縮小」が12%という結果になりました。また、日銀が「出口」を宣言して着手する時期で最も多かった予想は「2018年度中」で32%でした。     注目の変動要因は海外金利 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.054%、3カ月後が0.064%、6カ月後が0.076%と、5月調査の(0.046%、0.057%、0.073%)に比べていずれも上昇しました。  今後6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因で、最も多かったのは「海外金利」で前回とかわらずの36%、次いで前回から2ポイント低下した「短期金利/金融政策」が35%でした。「債券需給」は前回から2ポイント低下したものの13%をキープしています。  同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については、「政府・日銀のオペレーション」が前回と変わらずの64%で最も多く、次いで「外国人」が11%、「都銀・信託銀行(投資勘定)」が10%、「生損保(年金除く)」が9%、「地方銀行」が5%で続きました。   国債組み入れ比率、「現状維持」が8割強を維持 資産運用担当者66人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が66%を占めるも7ポイント低下し、「ややアンダーウエート」が5ポイント上昇、「ややオーバーウェート」が4ポイント上昇しました。当面の投資スタンスについては相変わらず「現状を維持する」が83%と多数を占めています。

マイナス金利の導入から1年、債券市場のプロの評価は?

  日銀がマイナス金利を導入してから1年が経過しました。また、昨年9月に導入したイールドカーブ・コントロール(YCC)は、世界的に金利が上昇した局面でも日本の長期金利はゼロ%程度の目標水準に維持された一方、その副作用に警鐘を鳴らす意見も聞かれます。今回はこのマイナス金利や「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」が物価押し上げに寄与したかどうか、毎月実施しているアンケート調査「QUICK月次調査<債券>」※を通じて、債券市場担当者に聞いてみました。調査期間は5月23日~25日。回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者145人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。   マイナス金利、「効果なし」が6割 日銀が導入したマイナス金利とイールドカーブ・コントロールについて、物価押し上げに向けた金融緩和としてそれぞれをどう評価しますか? と質問したところ、マイナス金利について、最も多かった回答は「効果なし」で60%、「まだわからない」が27%、「効果あり」が13%となりました。また「イールドカーブ・コントロール」についても「効果なし」が45%で最も多く、次いで「まだわからない」が39%、「効果あり」が16%という結果になりました。       また、運用担当者にマイナス利回りの債券を購入してきましたか、と聞いたところ、最も多かった回答は「購入していない」で半数近くを占めましたが、購入したなかでは「売却目的」と「保有目的」が29%、「担保目的」が4%でした。 市場関係者からは「マイナス金利は適用残高が多い地銀などの負担が大きく、経営体力が削がれる状況が続いている。また、YCCが導入された後も足元では、債券市場は動意に乏しい展開が続いており、今後についても流動性の低下が進行する可能性が高い。年後半に物価は幾分上昇すると見込まれるが、現状の政策での2%達成は厳しいと考える」といった声が聞かれました。 なお、日銀の黒田東彦総裁は5月中旬の米紙のイベントで「日銀は(出口戦略のための)十分なツールを持っている」などと出口戦略について言及し、話題になりました。       金利水準次第なら国債への投資も増やす? 今年度のポートフォリオの方向について運用担当者に聞いたところ、最も多かった回答は「外債を増やす」で44%、次いで「金利水準次第で国債を増やす」が38%、「株式を増やす」が34%、「社債を増やす」が33%、「オルタナティブを増やす」が24%と続きました。 市場関係者からは「欧米の政治不安やテロなどの地政学リスクが続いていることや、低インフレ率と欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備理事会(FRB)の緩やかな量的緩和の解除と日銀の強力な金融緩和が継続することから、国内金利は現状の低金利が長期化するリスクがある。円債を積極的に買う投資家が依然として少ない中で、市場流動性の低下と市場機能低下により、金利上昇リスクに過敏になりやすい地合いが続くとみる」といった声が聞かれました。     債券価格変動要因、「債券需給」への関心高まる 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.046%、3カ月後が0.057%、6カ月後が0.073%と、4月調査の(0.033%、0.049%、0.068%)に比べていずれも上昇しました。 今後6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因で、最も多かったのは前回調査とかわらずの「短期金利/金融政策」と、前回から5ポイント低下した「海外金利」で、ともに36%でした。次いで、前回から8ポイント上昇した「債券需給」が15%と関心が高まっています。 同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については「政府・日銀のオペレーション」が最も多く64%を占め、次いで「都銀・信託銀行(投資勘定)」が11%、「外国人」が10%、「生損保(年金除く)」が7%、「地方銀行」が4%で続きました。     国債組み入れ比率、「現状維持」9割近くまで上昇 資産運用担当者69人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が74%を占める一方、「ややアンダーウエート」が10ポイントも低下しました。様子見ムードのようです。当面の投資スタンスについても「現状を維持する」が87%と多数を占めています。        

北朝鮮有事はテールリスクながらも、次のXデー韓国大統領選に警戒?

  北朝鮮情勢は過度な警戒感が後退したものの、次の「Xデー」として5月9日の韓国大統領選が控えています。地政学リスクに加えて、7日にはフランスで大統領選挙の決選投票が実施されるなど、政治リスクも依然として拭えません。そこで、今回は債券の市場関係者に北朝鮮情勢や、欧州の政治リスクによるマーケットへの影響などについて聞きました。調査期間は4月25日~27日。回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者140人です。   北朝鮮情勢は戦闘状態を回避、もし有事なら円買い!? 警戒されていた4月25日の北朝鮮の軍創設記念日は北朝鮮が過激な行動に出なかったため、地政学リスクはやや後退しています。ただ、ただ、9日に韓国大統領選を控えているため、予断は許さない状況が続いています。米海軍の原子力空母「カール・ビンソン」と海上自衛隊は米軍の艦船を守る「米艦防護」を5月1日、初めて実施したようです。 こうしたなか、債券市場関係者に「北朝鮮情勢の今後の展開をどう読む?」と聞いたところ、一番多かった回答は「戦闘状態に入らぬまま、緊張が続く」で56%、次いで「現状のまま、関心が薄れる」が32%でした。市場関係者からは「建軍節とされる25日に北朝鮮からの大型の挑発行為がなかったことで、地政学リスクは一旦後退したとみられる。しかしながら、5月9日の韓国大統領選挙や、中国が北朝鮮に今後どのような圧力をかけるかなども影響すると見ている。また、トランプ政権が推進する経済政策等に実現性が乏しいと予想される中、支持率低下が一段と進むと、北朝鮮に圧力をかける可能性もあり、地政学リスクが再燃することがあると考える」という声もありました。 加えて、北朝鮮が戦闘状態に入った場合、日本のマーケットへの影響をどのように考えますか、との問いで最も多かった回答は、10年国債利回りは「低下」が7割弱を占め、日経平均株価は「下落」が9割を占めました。円・ドル相場については、「円高」が6割を超えました。         フランスのEU離脱の可能性は1割 4月下旬の第1回のフランス大統領選を受けて、中道系のマクロン候補と極右党のルペン候補が5月7日の決選投票に進む結果になりました。 親欧州連合(EU)のマクロン氏が優勢とみられるなか、「フランスのEU離脱の可能性はどのくらいの確率だと考えますか」と市場関係者に聞いたところ、単純平均で「13.3%」となりました。離脱の可能性は低いとみているようです。また、欧州では今後も多くの政治イベントを控えていますが、この半年の欧州金融市場をどのように予想しますかと聞いたところ、ドイツ・フランス・イタリア・イギリス、すべての国債利回りで「上昇」するとの予想が最も多い結果となりました。ユーロ・円相場については、「円安」が5割弱を占めました。  市場関係者からは「フランス大統領選でルペン候補の勝利する可能性は大幅に低下したが、ポピュリズムがある程度の支持を集めたことで、中道政権の先行きが懸念される。今後も欧州の政治リスクは残り、英国の解散総選挙やドイツの議員選挙も引続き要ウォッチだろう。現時点では、EUのメリットを享受できているドイツが、周辺諸国の財政悪化からEU離脱に向かうならば、欧州の政治的混乱はより深くなる」との声も聞かれ、「フランスのEU離脱の可能性は低くなったが、ゼロではない」との見方も少なくないようです。         10年債利回り、0.033%で11月調査以来の低水準  毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り低下を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.033%(3月調査は0.064%)と昨年11月調査(0.029%)以来の水準まで低下しました。3カ月後は0.049%、6カ月後は0.068%と、3月調査(0.070%、0.088%)に比べていずれも低下しました。  今後6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因で、最も多かったのは「海外金利」で3月調査から9ポイント上昇の45%となりました。次に注目度が高かった「短期金利/金融政策」は前月から9ポイント低下の36%と、関心の高さが逆転しています。  同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については「政府・日銀のオペレーション」が最も多く67%を占め、次いで「外国人」が12%、「生損保(年金除く)」が9%、「都銀・信託銀行(投資勘定)」が7%で続きました。  国債組み入れ比率、「現状維持」8割超をキープ 資産運用担当者67人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、3カ月連続で「ニュートラル」が63%で変わらない一方、「ややオーバーウエート」がやや増加し、「ややアンダーウエート」がやや低下しました。依然として様子見ムードが広がり、現状維持の姿勢から抜け出せないようです。当面の投資スタンスについても「現状を維持する」が82%と、引き続き多数を占めています。

日本はデフレから脱却できない!?

  債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の3月調査を4月3日に発表しました。今回の調査では日本のデフレや米連邦準備理事会(FRB)の金融政策、新年度の欧州の政治リスクなどについて聞きました。調査期間は3月28日~30日。回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者134人です。   日本のデフレは「当分、脱却の見込みがない」が4割 日銀は15~16日に開いた金融政策決定会合で、現行の長短金利操作付きの量的・質的金融緩和政策の現状維持を決めました。こうした中、日本の経済はデフレが続いていると思いますかと聞いたところ、最も多かった回答は「当分、脱却の見込みがない」で42%、次に「脱却した」が25%、「近いうちに脱却する」が23%と続きました。         FRBの年内追加利上げは「2回」が7割弱 FRBは3月15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、昨年12月以来2会合ぶりとなる政策金利の引き上げを決めました。そこで、FRBは年内に追加利上げをあと何回、実施するでしょうかと質問したところ、最も多かった回答は「2回」で69%、続いて「3回」が18%、「1回」が11%となりました。時期については最多が「12月」で64%、次いで「9月」が63%、「6月」が56%と続きました。市場関係者からは「市場は年3回の利上げをメインシナリオとして織り込んでいるが、足許ではそのトーンを若干修正しつつあるように感じられる。トランプ政権への失望や、欧州政治リスクの高まりなどを背景に、利上げ回数が減少する可能性も想定される」といった声が聞かれました。         欧州政治リスクへの警戒感はやや低い?  欧州選挙イヤーの幕開けとして注目が集まったオランダ下院選(3月15日投開票)では、極右政党が破れ、与党が第1党を維持しました。一方、英国は3月29日に欧州連合(EU)に正式に離脱を通知しました。こうした中、新年度の欧州の政治リスクについてどう考えますかと聞いたところ、最も多かったのは「政治リスクは顕在化しない」で45%、次に「一部の主要国で顕在化」が24%、「一部の周縁国で顕在化」が23%という結果になりました。市場関係者は「欧州の政治リスクは、昨年のBREXITやトランプ政権の誕生を受けてポピュリズム政党の支持率が頭打ちとなる可能性がある。加えてEUが英国のEU離脱交渉に厳しく臨むことが想定され、さらに反EUの支持率後退が強まる公算。結果的に、欧州政治リスクは顕在化しない可能性が高い」といった見方が大勢を占めているようです。 加えて、こうした欧州の政治リスクや米国の金融政策を前提とした際の投資資金の配分についても聞いてみました。もしあなたが運用担当者だった場合、各資産の新年度の運用を2016年度と比べてどう変えますか、と質問したところ、日本国債やREIT、海外ソブリンについての投資スタンスは変わらずの「不変」が最も多くなりました。一方、国内株と海外株については「増加」が多くないました。           目先の変動要因として引き続き「金融政策」に注目 毎月定例の相場見通しの調査では前回に比べて利回り低下を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.064%、3カ月後が0.070%、6カ月後が0.088%と、2月調査の(0.084%、0.090%、0.100%)に比べていずれも低下しました。  今後6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因で、最も多かったのは「短期金利/金融政策」で45%ですが2月調査から3ポイント低下となりました。次に注目度が高かった「海外金利」も前月から4ポイント低下の32%と、1月調査をピークに次第に関心が低下しています。  同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については「政府・日銀のオペレーション」が最も多く65%を占め、次いで「都銀・信託銀行(投資勘定)」が11%、「生損保(年金除く)」が10%、「外国人」が7%で続きました。     国債組み入れ比率、投資スタンス「現状維持」8割超 資産運用担当者66人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、前回調査に比べて「ニュートラル」が63%で変わらない一方、「ややオーバーウエート」がやや低下し、「ややアンダーウエート」がやや増加しました。依然として現状維持の姿勢が続き、様子見ムードがさらに広がっているようです。当面の投資スタンスについても「現状を維持する」が前月から2ポイント上昇の84%と、引き続き多数を占めました。

日銀の金融政策、効果はあった?(2月調査)

  債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の2月調査を27日に発表しました。調査期間は2月21日~23日。回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者133人でした。   80兆円の国債買入れは「なしくずしに減額」が55%  今回の調査では、2016年9月に導入されたイールドカーブ・コントロールなど日銀の金融政策について聞きました。まず、日銀保有国債残高の年間増加額のメドとされる80兆円が年内どうなるかと質問したところ、最も多かった回答は「なしくずしに減額」で55%、次に「変更なし」が23%と続きました。市場関係者からは「年間増加のメドである80兆円はすでに反故となっており、減額したペースで買入れを継続し、10 年金利が安定すれば国債の発行減額も相まって、更なる買入れ減額が想定される。ただし、マーケットはすでにその状況を織り込んでおり、減額した後に80 兆円の文言が削除されたとしても、それほどのサプライズにはならないと考える」といった声が聞かれました。 加えて、10年物国債の金利が概ねゼロ%程度になるよう買い入れをして長期・短期の金利を調整する「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」についても聞きました。イールドカーブ・コントロールがなかった場合、現在の国債利回りはどの程度だと思いますかと質問したところ、単純平均で10年債利回りが0.307%、20年債利回りが0.950%となりました。調査期間中の新発10年物国債利回りは0.075~0.095%、新発20年物国債利回りは0.660~0.705%で推移しましたので、イールドカーブ・コントロールによって上昇圧力がある程度抑えられている、とみる市場関係者が多いようです。      また、イールドカーブ・コントロールの効果・副作用を導入前と比べて、現時点でどう評価するかとの質問に対しては、インフレ押し上げについては75%、金融機関の収益改善については50%が「効果なし」と回答。年金等の運用収益改善については「効果なし」が39%だったものの、「期待できる」が39%、「効果があった」が21%と6割はプラスと捉えているようです。 円安・株高については「効果なし」が43%を占めましたが、「効果があった」30%、「期待できる」27%と、こちらも半数超がプラスとみていました。金融市場の機能阻害は「副作用があった」が50%と最も多く、「恐れあり」が39%で続きました。財政規律の弛緩については、最も多かった回答が「恐れあり」で52%となりました。  市場関係者からは「日銀の量的・質的緩和導入後、債券市場の機能は大きく低下した状態が続いています。イールドカーブ・コントロール導入前は、参加者の大半が利益を得られたと思いますが、導入後は収益の確保は難しくなりました。物価への影響が限定的だとすれば、真の狙いがあるのでしょうか」など懐疑的な声が聞かれました。     目先の変動要因として金融政策に注目集まる    毎月定例の相場見通しの調査では前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.084%、3カ月後が0.090%、6カ月後が0.100%と、1月調査の(0.065%、0.075%、0.085%)に比べていずれも上昇。  今後6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因としては、「短期金利/金融政策」が48%で前月から11ポイント上昇して最も多くなりました。前月に最も注目度が高かった「海外金利」については比率が関心がやや低下しました。  同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については「政府・日銀のオペレーション」が最も多く70%を占め、次いで「生損保(年金除く)」が14%、「都銀・信託銀行(投資勘定)」が8%で続きました。これまで2ケタだった「外国人」は4%に低下しています。     国債組み入れ比率、「現状維持」が8割超  資産運用担当者65人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、前回調査に比べて「ニュートラル」が63%に増加した一方、「ややオーバーウエート」が低下。現状維持の姿勢が一段と強まり、様子見ムードが広がっているようです。当面の投資スタンスについても「現状を維持する」が82%と多数を占めました。          

トランプ政権の金融政策はタカ派に傾斜?(1月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の1月調査を1月30日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者139人が回答、調査期間は1月24~26日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りが0.050~0.085%で推移しました。  超長期債の利回りはそろって高水準となり、なかでも新発40年債利回りは1月26日に大台乗せとなる1.005%を付けました。過去1カ月の金利推移は以下の通りです。 1月25日の日銀による国債買い入れオペ(公開市場操作)で、予想されていた中期債を対象にした買い入れが実施されず、債券売りに拍車をかけました。米国の長期金利が2.5%近辺で推移していることも、日本国債の利回り上昇に影響しています。 米国では31日~2月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が実施される予定ですが、今回の利上げは見送られるとの予想が大勢です。     トランプ大統領の金融政策 「タカ派に傾斜」が半数  今回の調査ではトランプ大統領の就任を受けて、米国と日本経済への影響を聞きました。まず、トランプ米大統領の経済・通商・外交政策の効果とその影響について予想してもらったところ、経済成長率は「加速」(58%)、インフレ率も「加速」(78%)が最多となり、雇用者数の増加率(55%)と、賃金の上昇率(54%)は「加速」が「変わらない」をやや上回る結果となりました。財政赤字は「拡大」(84%)が多数を占めましたが、貿易赤字は「変わらない」と「縮小」が同じ(40%)でした。  金融政策については、11月調査で最多だった「影響なし」(43%)から「タカ派に傾斜」(49%)の回答が上回りました。トランプ政権の景気浮揚策により財政赤字が拡大し、インフレ率が上昇すると金融引き締めを強めるタカ派的な勢いが増すとの見方のようです。  トランプ大統領は就任以来、次々と米企業の経営者らと会談し、米国の企業活動を支える姿勢をアピールしたことで、規制緩和や法人税の減税などを早期に実現させるのでは、との思惑が市場に広がりました。さらに、メキシコ国境の壁の建設や、石油パイプライン建設に関する大統領令に署名するなど、景気刺激策への期待が一段と高まると、1月25日のダウ平均は史上初の2万ドルの大台を突破しました。一服していた「トランプ・ラリー」が再び幕を開けたかに見えますが、トランプ大統領の一挙手一投足に振り回される状況はまだまだ続きそうです。   日米の通商政策は「2国間協定」へ転換か  トランプ米大統領の政策は、日本経済にどのような影響を与えるでしょうか。環太平洋経済連携協定(TPP)や北米自由貿易協定(NAFTA)など米国の貿易通商政策の見直しについて、最も重要と考えるものを聞いたところ、一番多かったのは「日本の通商政策の転換(2国間協定等)」が28%、次に「日本企業の対外直接投資の見直し」が22%、「円高圧力の拡大」が21%と続きました。  23日、トランプ米大統領がTPPから「永久に離脱する」とした大統領令に署名し、さらに日本の自動車貿易について「不公平」だと名指しでけん制しました。スパイサー米大統領報道官は、アジア太平洋との貿易協定は2国間交渉に軸足を移すと明言しており、日本にも交渉を求める可能性があるとされていました。これに対して、安倍首相は「理解を求めていきたい」とコメント。2月10日にワシントンでの首脳会談が決まり、日米2国間の通商協議に意欲をにじませる米国側との貿易問題の話し合いには、大きな注目が集まりそうです。  ドル高をけん制する発言がまたいつ飛び出すか警戒感が拭えませんが、トランプ大統領が容認するドル・円相場のレートを聞いたところ、円安の限度の平均値は「1ドル=121円95銭」でした。一方、日銀が現在の金融政策を継続するための円安の限度額は「1ドル=125円74銭」、円高の限度は「1ドル=97円96銭」となりました。  日銀は30~31日に金融政策決定会合を開き、新たな金融政策方針と「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表します。市場関係者からは「海外長期金利の上昇や株高、ドル高円安など、外部要因から長期金利の上昇圧力がかかりやすい。日銀は日本の長期金利をゼロ%程度に調整することが徐々に難しくなる可能性もある」との声も上がりました。前述の1月25日に中期の買い入れオペを見送ったことで、市場の一部では「日銀のテーパリングでは」との思惑が強まったこともあり、今後の日銀の動向にも目が離せません。     長期金利は上昇シフト 中期はマイナス金利が継続    毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べてまた一段利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年国債の金利見通しは、1カ月後が0.065%、3カ月後が0.075%、6カ月後が0.085%と、12月調査の(0.055%、0.063%、0.067%)に比べて、いずれも上昇しました。  一方、新発5年国債は1カ月後がマイナス0.101%、3カ月後がマイナス0.091%、6カ月後がマイナス0.086%となり、新発2年国債は、1カ月後がマイナス0.198%、3カ月後がマイナス0.189%、6カ月後がマイナス0.182%となりました。いずれもマイナス幅が拡大し、今後もマイナス金利が継続するとの見方のようです。  今後、6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因は、前回調査とほぼ変わらず「海外金利」が45%で最も多く、次いで「短期金利/金融政策」が36%で続きました。  同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については「政府・日銀のオペレーション」が最も多く64%、次いで「外国人」の13%となりました。注目度が増してきた「生損保(年金除く)」の9%を上回って、「都銀・信託銀行(投資勘定)」が10%で3番手に上がってきました。   国債組み入れ比率、「ややアンダーウエート」比率が増加    ディーリング部門を除く資産運用担当者67人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、前回調査に比べて「ニュートラル」、「ややオーバーウエート」が低下。その半面「ややアンダーウエート」が増加しました。全体的に現状維持とし、様子見ムードを強めているようにみえます。  また国内債券の組み入れ比率について、当面のスタンスとしては「かなり引き上げる」の回答比が0%、「かなり引き下げる」が2%で変わらず、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」がやや低下。「現状を維持する」だけが上昇し、78%と大勢を占めました。  デュレーションについて、現在が通常の基準に比べてどのようになっているのかについては「ほぼ基準通り」が51%が最多で、前回調査に比べて「かなり長い」が0%に低下し、「やや長い」「やや短い」は微増となりました。  当面のデュレーションについては、「現状を維持する」が82%で大勢を占め、「やや短くする」が10%で続きました。指数は「48.4」となり、現状維持を示す50を2015年6月調査以来、1年7カ月ぶりに下回りました。トランプ新政権が掲げる「米国第一主義」の下、次々と打ち出される政策を前に、やはり当面は様子見ムードが強まりそうです。    

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