半導体が「辛い」のは皆同じ AMDは「違い」示せるか【米決算プレビュー:10~12月期】

アドバンスド・マイクロ・デバイシズが29日の大引け後、2018年10~12月期(4Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、調整後の1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(29社、24日時点)は前年同期比横ばいの0.08ドルと見込まれている。2四半期連続の減収・減益となる見通し。半導体市況の悪化が見込まれ、目標株価の引き下げが相次ぐ中で悪材料出尽くしとできるかが焦点だ。 【10~12月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高 14億4500万ドル(-2.3%) ・EPS(1株利益) 0.08ドル(±0%、Non-GAAP) AMDの業績をけん引してきたのはPC用中央演算処理装置(CPU)のライゼンや画像処理半導体(GPU)のラデオンを含むコンピューティング&グラフィックス部門(C&G)である。しかしC&Gは2018年7~9月期(3Q)に2四半期連続の減収となり、ビットコインの下落基調もあって仮想通貨需要も低迷。売上高の過半を占めるC&Gの伸びにブレーキが掛かった。さらに3Qに大きな伸びを記録したサーバ向けCPUのEPYCを含む「エンタープライズ組み込み・セミカスタム部門(EESC)の鈍化が今後は予想され、AMDの成長ペースが曲がり角を迎えている。4QのC&Gの売上高の市場予想は前年同期比5%減の4億9400万ドルとなっており、前四半期との比較では30%減と大きく減る見込みだ。 ベアード・エクイティ・リサーチは18日付のリポートで「EPYCは2019年に市場シェアを10%減らすとみられ、我々の見解では困難に直面するとみられる」と指摘した。同業のインテルのサーバ向けCPUの「スケーラブル・プロセッサー」がEPYCより高性能だといい、さらに「インテルは昨年の大幅値下げに続き、大幅な価格改定を行う可能性がある」という。また仮想通貨のマイニング需要の減少を受け、中国でGPU在庫が通常の水準を大幅に上回っていることにも懸念を示し、投資判断のニュートラルを維持しつつ、目標株価を23から20ドルに引き下げていた。 バーンスタイン・リサーチは22日付のリポートで「仮想通貨の高揚感が和らぐにつれ、GPUの問題がAMDに圧力を掛けている」と指摘した。表面的に4Qの業績に期待はできず、GPUの逆風が持続する可能性があるとしながら、CPUやサーバ、データーセンター向けGPUが好調なら不安が覆い隠されるだろうとも見込んだ。投資判断はマーケット・パフォーム、目標株価16ドルで慎重な見方を維持した。 AMDの株価は2018年9月13日に34.14ドルまで上昇して2006年5月以来、12年4カ月ぶりの高値水準を回復して昨年半ばまでは堅調だったが、年末にかけては半導体市況の悪化を織り込む形で下げ基調に転じた。昨年12月26日には16.03ドルまで下げて昨年来高値から53%もの下げを記録した。テクニカル的には昨年10月安値(16.17ドル)と共に二番底を形成したようにみえ、年明け後は緩やかな戻り歩調にある。インテルが24日の大引け後に決算を発表し、2019年1~3月期(1Q)の売上高見通しが市場予想を下回ったことで時間外では7.11%安の46.22ドルで終えて急落したが、AMD株には目立った反応はみられなかった。 しかし、28日は前週末比8%安の20.18ドルと大幅安。米エヌビディアによる売上高見通しの下方修正を受けて、懸念が広がった。スタイフェルは28日付のリポートで「AMDのクラウド関連事業はまだ初期段階で収益への影響は小さい。ゲーム向け画像処理半導体(GPU)もエヌビディアより低価格・低コストだ」などとエヌビディアとの違いを強調し、下方修正との関連性は低いとの見方を示した。 QUICK FactSet Workstationによれば、同社をカバーするアナリスト36名の目標株価の平均値は22.47ドル(24日時点)で、24日終値(20.85ドル)から7.7%のアップサイド余地があると見込まれている。足元では目標株価の引き下げが相次ぎ、アンダーウエイトや売りの投資判断を下している比率が17%と半年ぶりの高水準に達しているが、弱い決算を受けて悪材料出尽くしとできるかがポイントとなりそうだ。(片平正ニ、松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

AMDに吹くインテルの追い風と仮想通貨の逆風 【米決算プレビュー:7~9月期】

アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が24日の大引け後、2018年7~9月期(3Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、調整後の1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(28社、20日時点)は前年同期比20%増の0.12ドルと見込まれている。半導体市況の悪化が見込まれる中、インテルの中央演算処理装置(CPU)の供給が不足していることが下支え要因となりそうだが、市場の懸念を払拭する成長性が示されるかが重要となりそうだ。 【7~9月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高(営業収益)  17億200万ドル(+3.5%) ・EPS(1株利益)       0.12ドル(+20%、Non-GAAP) AMDの業績をけん引してきたのは、仮想通貨のマイニングに優れる画像処理半導体(GPU)の「ラデオン」を含むコンピューティング&グラフィックス部門(C&G)である。3QのC&G部門の売上高のコンセンサスは前年同期比28.2%増の10億5000万ドル。前年同期では大幅な増収だが、C&Gは2018年1~3月期(1Q)にピークを付け、2四半期連続で減収が見込まれている。ビットコインに代表される仮想通貨が今年は低迷しており、マイニング需要に対する期待値が低いのが現状だ。 AMDに強気な調査会社カウエン&カンパニーは17日付のリポートで、投資判断のアウトパフォームと目標株価の33ドルを維持した。その中では「インテルの14ナノメートル製品の供給不足を受け、パソコン市場の一部でAMDが恩恵を受けると考えている」としながら、「CPUの主力製品であるライゼンの中でも、GPUを統合した『ライゼン・モバイル』が好調とみられるため、低・中価格のGPU市場、仮想通貨のマイニング需要の鈍化という逆風を相殺するのに充分と考えられる」と指摘。特にインテルの供給不足の影響については「短期的な株高要因だけでなく、長期的にAMDのチャンスを広げる可能性がある」と見込んだ。インテルの顧客の半導体需要を取り込みつつ、2020年に向けてPC、GPU、サーバ向けCPUの「EPYC」、ゲーム用GPUなど製品全体で一貫したロードマップを実行できれば、高い粗利益目標を上回ることができるだろうと今後の成長に強気の見方を示した。 【AMDのセグメント別売上高の推移】 (注)QUICK FactSet Workstationより作成 一方、弱気派のゴールドマン・サックスは18日付のリポートで、目標株価を21→27ドルに引き上げたが投資判断はニュートラルを維持した。同社が半導体業界を調査した結果や最近のインテルの見解を踏まえ、インテルのCPU不足の影響を考慮。好調なCPUとは対照的に「GPUの売上高は2019年1~3月期(1Q)まで35%減少すると見込まれる」と予想した。その主因として、GPUのライバルであるエヌビディアが新製品をこれから発表する可能性を挙げ、「エヌビディアがGPUの『GeForce』の高価格製品である2070/2080/2080Tiを導入したが、まだ中低価格帯の製品が出ていないことに注意」と指摘した。エヌビディアの新製品が出ると、AMDのシェアは数四半期は低下する恐れがあるという。 AMDは19日に11.11%安で急落した。ニューストリート・リサーチが19日付のリポートで投資判断を売り、目標株価を18ドルとしたことが嫌気された。ニューストリートは「AMDはインテルの代替役にはなれない」などとし、近年の好調な業績が曲がり角を迎えたと厳しい見方を示していた。 AMDの株価は足元で下げ基調にあるが、年初来で2.08倍の上昇を記録している。4月に10ドルを割った後は好業績を背景に急伸し、9月には34.14ドルまで上昇して年初来で3倍の急騰を果たした。4月末時点で21%だった空売り比率も9月末時点では14%に縮小し、売り方の買い戻しが進んだことが株高の一因とみられている。AMDは2015年4Q決算以降、11四半期連続でEPSが市場予想を上回る「ポジティブ・サプライズ」の常連で、インテル要因以外で成長性を示せるのかが重要となりそう。決算発表を前に急騰後の調整が進んだため、サプライズがあれば見直し買いが入る可能性も否定はできない。(片平正ニ)    ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。  

人気記事ランキング

  1. 登録されている記事はございません。

アーカイブ

PAGE TOP