貿易戦争の結末は? 「痛み分け」50%、「米国勝利」46% 5月の債券月次調査

米中の貿易面での対立が再び激しくなってきた。争いの果てに勝者はいるのか。QUICKが3日にまとめた5月の債券月次調査で「米中貿易戦争の最終的な勝者」を聞いたところ、「なし」が5割、「米国」が4割超だった。覇権をめぐる争いの長期化が見込まれるなか、米中双方が損失を被るとみる意見が多い。米国の「勝利」を見込む回答も多かった一方、中国が優位に立つとの見方は少なかった。 ※5月のQUICK月次調査<債券>の問8(6)より。有効回答は125人。 債券市場のコンセンサスは「対立の長期化」だ。米中の貿易戦争は、長期にわたった1980年代の日米対立などを念頭に、今回も「10年またはそれ以上の年月をかけて交渉していく」(証券会社)との見方が多い。対立が長引けば両国や世界の貿易への影響は大きく、勝者は「いない」(50%)とする回答が最も多かった。 次いで多かったのは「米国」の46%。中国経済は米国向け輸出に強く依存していることから、長期では米国が優位に交渉を進めやすいからだ。一方で、「中国」を挙げた回答は2%と少なかった。対米依存度の面で中国が不利な交渉を強いられるなかで「対米政策に国内で不満が出るのではないか」(証券会社)といった中国の内政を懸念する意見が目立った。 5月の債券月次調査は5月28~30日に実施され、証券会社および機関投資家の債券担当者134人が回答した。(ナレッジ開発本部 伊藤央峻)

「日米通商交渉で円高」6割 トランプ流警戒 米中は進展なく反応薄 QUICK月次調査

ロシア疑惑や「壁」建設を巡る議会との対立、米中摩擦など国内外で難問が山積みの米トランプ政権。外国為替市場はとりわけ日本や中国との通商問題の悪化を懸念している。QUICKと日経ヴェリタスの共同調査によると、4月以降に開催される見通しの日米物品貿易協定(TAG)交渉が円高要因になるとする回答者が6割超に上った。 国内政治の混乱が続いたり景気減速が表面化したりした場合、トランプ政権は支持率の維持のため外交や通商面で目に見える成果を求めるとみられる。 日米交渉に先駆けて行ってきた米中交渉は、交渉期限が延期されたうえに首脳会談の予定も決まっておらず、合意への道筋は見えない。月次調査で米中首脳会談の見通しと円相場への影響を聞いたところ、最も多い回答は「大きな進展がなく、円相場も反応薄」(43%)だった。 「追加関税の取り下げなど何らかの進展があっても、市場は織り込み済み」(27%)などを合わせ、円相場への影響は軽微との見方が7割に上る。金融助言会社MCPの嶋津洋樹チーフストラテジストは「大きな決裂が避けられれば市場全体がリスクオンになりやすい」と話す。 これに対し日米交渉の行方は円相場の動向に直結しそうだ。米中交渉で具体的な進展がみられなければ、トランプ政権はその後の日米交渉で一段と圧力を強めることが予想される。調査では「自動車などの輸出規制が強化されて円高になる」(25%)と、交渉の過程で「米側が円安是正を求めてきて円高になる」(24%)との予想が目立つ。 トランプ政権はかねて日本の対米貿易黒字や円安を問題視している。米商務省が自動車の輸入制限に関する報告書を2月に提出し、トランプ大統領は5月中に関税発動の是非などを判断する見通しだ。 教科書的には、日本からの輸出の抑制は貿易収支の悪化につながり、円安方向に作用する。だが市場は、自動車輸出の減少で企業収益が悪化→輸出企業などの株価下落でリスクオフ→円高という波及経路をイメージしている。過去の日米通商交渉の局面でも円高・ドル安の傾向がみられたうえ、米が金融引き締めを小休止した今年はもともとドル安・円高に向かいやすい。 「通貨安誘導を防ぐ為替条項が盛り込まれて円高要因」(15%)の予想もあわせると、日米交渉を機に円高圧力が高まるとみる人は64%に達する。みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、2円程度の円高要因になると指摘する。 「米国からの農産物、防衛装備品、エネルギーなどの輸入拡大で着地し、円相場への影響は限定的」や「影響なし」と回答した人は少数派だ。 こうしたトランプ政権の貿易交渉などを踏まえた2019年(1月~)の円の対ドル相場の予想を改めて聞いた。高値の平均は1ドル=102円93銭、安値の平均は114円83銭だった。 月次調査は11~13日に実施し、金融機関や事業会社の外為担当者91人が回答した。(ナレッジ開発本部 伊藤央峻) ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。ヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

中国減速、製造業の警戒強く 非製造「影響ない」8割 2月のQUICK短観

中国は2018年の国内総生産(GDP)成長率が28年ぶりの低い伸びになるなど、景気の減速が表面化している。QUICKが18日にまとめた2月のQUICK短期経済観測調査(QUICK短観)によると、製造業のほうが非製造業に比べて、売り上げ減少などのダメージが強いという状況が浮き彫りになった。 「中国景気の減速でどのようなマイナスの影響がありましたか」との問いに対し、製造業の回答企業117社のうち42%が「何らかのマイナス影響がある」と回答。なかでも化学や鉄鋼などの素材業種では、過半数の企業が影響ありと答えた。 製造業が感じている影響の多くは、中国向けや現地での売上高や受注の減少だ。「出荷量の低下など中国の景気減速の影響が少しずつ出ている」などの声がある。実際、1月中下旬から2月上旬にかけて発表された上場企業の決算では、東レや旭化成、日本電産やファナックなどといった大手が相次いで2019年3月期の業績見通しを下方修正した。 一方、非製造業のほうは、回答企業171社のうち「影響なし」の回答の割合が84%にのぼった。ただインバウンド関連の需要の減少は数字に表れ始めており、百貨店大手では1月、訪日外国人による免税売上高が前年同月比マイナスになった。今後さらに中国の消費者や旅行者の財布のひもが固くなる可能性もある。 企業の景況感を示す業況判断指数(DI)からも業種による中国景気への「感応度」の違いが見て取れる。景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いて算出した業況判断DIは、製造業では前月より5ポイント悪化のプラス11で、5カ月連続で悪化。非製造業DIは前月比2ポイント悪化のプラス34で、製造業と比べて直近の水準からの下げ幅は小さかった。 2月のQUICK短観では350社の上場企業が回答した。調査期間は2月1日~13日。 ※QUICK端末では、QUICK短観の業況判断DI、自社株判断DI、円相場判断DIなど各種ヒストリカルデータをダウンロードできます。

キャタピラー、原材料高や中国景気の逆風しのげるか【米決算プレビュー:10~12月】

建設機械大手のキャタピラーは日本時間28日夜、2018年10~12月期決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると22日時点の市場の予想EPS(1株利益)は前年同期比38%増の2.98ドル。売上高は11%増の143億ドルと予想されている。 【キャタピラーの18年10~12月期決算に対する市場予想】 ・売上高      :143億ドル(前年同期比10.9%増) ・EPS(Non-GAAP)  :2.98ドル(同37.9%増) (QUICK FactSet Workstationより) トランプ政権の施策の負の側面が米企業の業績に表れてきた。18年3月に発動した鉄鋼やアルミニウムに対する追加関税がコスト高につながり、キャタピラーの収益も圧迫されている。18年1~3月期に0.2億ドル、同4~6月期に0.8億ドルだった製造費用の増加額は7~9月期は2億ドルに達した。コスト高などを背景に同社は通期の利益見通しを据え置き、市場予想を上回った決算でも株価は一時10%安と急落した。  ■17年7~9月期と18年7~9月期の営業利益の比較 同社株に強気の見通しを貫いてきたアナリストも白旗を上げ始めた。クレディ・スイスは1月18日付けのリポートで目標株価を183ドルから173ドルに引き下げた。機械業種の最有望株であるとしながらも、マクロ環境や原材料コストの上昇などを引き下げの理由に挙げた。 焦点は製造コストの上昇だけではない。アップルをはじめ、今回の米決算では中国の景気動向からどういったネガティブ・インパクトを受けたのかが関心の1つ。21日発表の中国の国内総生産(GDP)は物価の変動を除く実質で前年比6.6%増と28年ぶりの低い伸びとなり、グローバル企業の業績に影を落としていたことが鮮明になっている。 キャタピラーの売上高に占める中国の販売額はそれほど多くはないが、昨年10月から原油価格を中心に商品市況が崩れた。世界景気の敏感株とも言えるだけに、市場が抱く警戒感は根強い。 ■中国 実質GDP年成長率(IMF) 19年通期に対する業績予想も重要だ。ここでも中国景気がカギを握る。JPモルガン証券は19日付けのリポートで、アナリストが参加したアジアの投資家との会合で「中国の投資家は鉱山機械や米建機の需要には前向きだったものの、中国景気に否定的だった」と指摘。投資心理が弱気に傾いているだけに、慎重な予想を示せば売りが膨らむ可能性がある。 半面、米ウェルズ・ファーゴは17日付のリポートで19年の業績見通しについて「保守的なガイダンスを出してくると想定される」としながら、「19年1月に実施した値上げや、在庫の消化といった好材料を活用して市場予想に近いガイダンスを示せればポジティブ」と期待も残していた。 キャタピラー株は相場全体の戻りの流れに乗って回復基調にある。ある程度は悲観が払しょくされた可能性がある中、強気の見通しが援護する形で買いに弾みがつくかもしれない。一方で過去数四半期に高水準を維持してきた利益にピークアウトが鮮明になるようだと再び下値を試す場面もありそうだ。(伊藤央峻)   ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

高値2万3160円で去年を超えられぬ?日経平均 専門家155人が月次調査で予想、リスクは米中

2019年の日経平均株価は、米中の摩擦などが引き続き重荷になり、18年の水準を下回るレンジで推移する--。QUICK月次調査がまとめた市場参加者155人の予想は、年間高値の平均が2万3160円、安値の平均が1万8742円。18年の高値(2万4270円、10月)と安値(1万9155円、12月)にいずれも届かないという弱めの集計結果になった。 調査期間は1月8~10日。重要なリスク要因を3つまで挙げてもらったところ、多い順に「米国の政治・経済の混乱」「中国経済・金融の混乱」「米中貿易摩擦」となった。市場関係者の懸念は米中摩擦をめぐる両国の政治的・経済的な混乱に集中している。 東洋証券の檜和田浩昭投資調査部部長の予想は高値2万4000円、安値1万8500円で全体の最頻値に近い。「足元の米マクロ統計の強弱がリスク要因となりそう。中国も景気の減速懸念が指摘されているが、何かが悪いとなれば政府が前倒しで政策を発動し、景気の底割れを回避するだろう」とみている。 最高値の予想で最も強気なのは3万円、最安値の予想で最も弱気なのは1万2000円だった。 実際、景気や企業業績への期待はしぼみ始めている。今後6カ月の最も注目すべき株価変動要因を聞く設問では回答者の47%が「景気・企業業績」と答えた。株価へのプラスマイナスの影響度合いを示す変動要因指数(0に近づくほど株安懸念が強く、50が中立、100に近づくほど株高期待が高い)でみると、48.9と16年6月以来の低水準となった。昨年の秋に指数は70に近づいていたが、短期間で相場の雰囲気が悪くなっている。 QUICKは12月の債券担当者への月次調査でも今年の相場見通しを尋ねている。そちらの予想は、高値予想が2万2827円、安値が1万8229円と、今回の株式調査とだいたい同じだった。一方で債券担当者は債券市場のリスク要因として、「米国の政治・経済の混乱」に次いで「日本の金融政策の変更」「米国の金融政策の変更」を挙げており、中央銀行の動きに一段と敏感になっている様子がうかがえる。 (QUICKナレッジ開発本部 永島奏子) ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

長期金利は年末にかけ上昇へ 19年相場、債券のプロが読む QUICK月次調査

QUICKは7日、2018年12月のQUICK月次調査<債券>の結果を発表した。特別質問では19年の相場見通しについて質問し、証券会社および機関投資家の債券担当者128人が回答した。調査期間は12月25~27日。19年末にかけて日本の長期金利は上昇が見込まれるが、引き続き水準は低いとの予想が多い。目先の債券相場では海外金利の動向が注目されそうだ。 長期金利の指標となる10年国債利回りは昨年10月に0.155%と最も高い水準をつけたが、足もとはマイナス0.020%程度で推移。年始の波乱相場で4日に一時、マイナス0.050%まで低下するなど、市場参加者の想定を超える勢いで金利低下が進んでいる。回答者からは「日米の景気動向や企業収益の見通しをふまえると、明らかに行き過ぎた動き」(その他金融機関)と反発を予想する声がある。 10年金利が最も高くなる時期については12月の予想が46人、最も低くなる時期は1月が27人でそれぞれ最も多い。20年国債の利回りについても同様に、1月に低く12月に高いとの見立てが目立つ。 米国の10年物国債利回りは、予想最高値の平均が3.183%、予想最低値の平均が2.581%となった。昨年は米国経済の好調などを背景に断続的に3%台で推移(1年前の調査で18年予想は最高が2.786%)したが、最近は米中貿易摩擦に端を発する景気減速が懸念されるなど情勢は様変わり。米10年金利はいま2.6%台だ。 債券担当者の間では、価格変動要因として、米金利をはじめとする海外の金利動向に注目ポイントが移っている。米連邦準備理事会(FRB)の政策金利変更の回数を聞くと、「利上げ2回」との回答が51%と最も多く、次いで「1回」が38%、「なし」が10%だった。利下げについては、回答者の95%が「なし」と予想した。(QUICKナレッジ開発本部)

QUICK短観、19年の株価予想は弱め控えめ 関税✖増税のWパンチ警戒  

外は関税、内は増税。2つの挟み撃ちで2019年の株式相場はさえない展開ーー。QUICKが6日まとめた12月の短期経済観測調査(QUICK短観)で、日経平均株価の19年の最高値予想の平均は2万3857円と、18年の高値(2万4270円)に届かないという結果が出た。19年の最安値予想は2万0174円で、こちらも18年の最安値(2万0617円)を下回る。米中貿易摩擦の激化に加え、19年秋の消費増税が影響するとみており、企業の相場観は総じて弱めだ。 日経平均の見通しは上場している製造業82社、非製造業133社が回答した。製造業の最安値の平均予想は2万0378円で、非製造業は2万0047円。非製造業の方が下値が広がるとみている。最高値については製造業が2万3782円、非製造業は2万3903円。非製造業は製造業よりも上値余地があると想定している。 株式相場のマイナス要因を複数回答で聞いたところ、製造業の70%が「米中貿易摩擦の激化」を挙げた。当事者の米国と中国の景気が減速し、企業業績の悪化につながりかねないと警戒されている。一方、非製造業は62%が「消費増税」と回答。「米中貿易摩擦の激化」の59%を上回り、最も多かった。内需企業が多い非製造業の気がかりは、米中問題よりも増税後の消費の落ち込みというわけだ。 政府は消費増税に伴う景気悪化を避けるため、住宅ローン減税の延長やキャッシュレス決済のポイント還元などを検討している。これらの対策については、回答企業の25%が株価のプラス要因に挙げるなど期待は大きい。 相場の最大の支えは62%が指摘した「堅調な企業業績」だが、それさえも「株安と円高が影響を与え、業績を鈍化させる悪循環」(回答企業)というリスクをはらむ。内患外憂を抱えた来年の株式市場は、今年以上に波乱含みの展開になる可能性もある。 (QUICKナレッジ開発本部)

貿易摩擦、日本企業は意外に冷静? 「経済停滞」心配だが…… 7月のQUICK短観

米中の貿易摩擦が激化するなか、QUICKが18日まとめた7月の「QUICK短期経済観測調査(QUICK短観)」によると、日本企業は貿易摩擦の深刻化で経済全体の停滞を心配しているものの、自社への直接的な収益影響などは比較的、少ないとみていることが分かった。 7月のQUICK短観は365社の上場企業が回答し、うち308社が貿易摩擦に関する特別質問に回答した。調査期間は7月3日~12日。 貿易摩擦による最も大きな影響は何かを聞いたところ、「経済全体を停滞させる」が45%(139社)で最多だった。次いで「大きな影響なし」が22%(69社)だった。 「外為相場や株式相場の変動による悪影響」が20%(61社)、「販売減や調達難およびコスト増で収益面に悪影響」が11%(33社)と続いた。「生産・調達体制(拠点や経路)の見直し再編を迫られる」は2%(6社)だった。   ※QUICK端末では、QUICK短観の業況判断DI、自社株判断DI、円相場判断DIなど各種ヒストリカルデータをダウンロードできます。

アジア株vs米国株 「貿易戦争リスク」に強いのはどっちだ

トランプ米大統領が中国に仕掛けた「貿易戦争」のリスクを、今のところ世界の市場は冷静に受け止めている。それでも今後、米中の通商問題はどう転ぶか、全くわからない。市場が振り回されたこの2か月間の一連の流れを、アジア株指数と米国株指数の動きで復習してみると、興味深い構図が浮かび上がってくる。貿易戦争リスクに相対的に強かったのはアジア株。その背景には何があるのか――。 米商務省がトランプ米大統領に鉄鋼とアルミニウムの輸入増が安全保障上の脅威になっているとして輸入制限の実施を提言したのが2月16日。この前営業日にあたる15日終値を基準にして、世界中の運用担当者が米国株投資のベンチマークに使うS&P500種株価指数と、日経のアジア株指数の値動きを比べたのが、以下のチャートだ。  日経アジア300インベスタブル指数は、日経が選んだアジアの有力企業群Asia300の考え方を定量的なルールに置き換えて300銘柄を選定。投資信託など金融商品での利用を想定して開発された、より現実的な運用の世界に近い指数といえる。 当初は2つの指数には、それほどパフォーマンスに目立った開きはなかった。しかし、3月中旬を境に日経アジア300インベスタブルがS&P500をアウトパフォームし始めた。ちょうど3月14日に米メディアが「トランプ米政権が中国に対して米国の対中貿易赤字を1千億ドル(約10兆6千億円)減らすよう求めた」と報じた局面だ。 日経アジア300インベスタブルに占める中国企業のウエートは21%で韓国と並び指数の中では最大。また、米国が知的財産権の侵害を理由に制裁関税を課すとしているのは中国製の産業用ロボットなどで、電子部品を多く使う工業品が含まれる。指数の個別企業のウエート上位には韓国・サムスン電子や半導体の台湾積体電路製造(TSMC)が並んでおり、ひとたび貿易戦争リスクが意識されれば指数への影響は膨らみやすくなるとみるのが自然だ。 <日経アジア300インベスタブルの国・地域別ウエート> 韓国      21.08% 中国      21.00% 香港      15.94% 台湾      14.13% インド     11.25% シンガポール   5.75% タイ       3.11% マレーシア    3.02% インドネシア   2.96% フィリピン    1.75% (4月12日時点) それでも日経アジア300インベスタブルがS&P500をアウトパフォームした理由について、JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳ストラテジストは、「ドルとの強い相関性が上回ったため」と分析する。 新興国株は基本的に、ドル安が進むと上昇するという方程式の上にある。ドルの総合的な価値を示す「ドルインデックス」は2017年初から下落基調に転じており、特に18年に入ると下げが加速。「米市場から逃避した資本が新興国へ向かった」(重見氏)という。米の上場投資信託(ETF)市場では新興国株のETFに年初から資金流入が加速した。貿易戦争のリスクが高まる中でもドルインデックスは安値圏でもみ合いを続けたため、結果的に新興国株がグローバルマネーを吸収した形になった。 ※QUICK FactSet Workstationで作成  重見氏は「ドル安=新興国株高の相関性が継続するなら(アジア株を)買っておけ、という判断になったのではないか。市場は米中間の貿易問題も結局はポーズで終わると見切ったのだろう」と指摘している。米中当局の「口撃」の応酬にも冷静に「実」を取った投資家の姿勢がアジア株指数と米株指数のパフォーマンスの違いとして現れたようだ。(岩切清司) ※QUICKは、日経アジア300インベスタブル指数のローンチを記念して5月10日に開かれる「日経アジア株式投資セミナー~Asia300の実像~」(日本経済新聞社主催)に製品・サービス紹介のブースを出展します。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

上場企業、貿易摩擦の強まりで「マイナスの影響」46% QUICK短観

QUICKが17日まとめた4月の短期経済観測調査(QUICK短観)によると、世界的な貿易摩擦が強まることで2018年度の業績に「マイナスの影響を受ける」と答えた上場企業の割合が46%に上った。 4月のQUICK短観は384社の上場企業が回答。うち317社が貿易摩擦の強まりによる業績への影響に関する特別質問に回答した。調査期間は4月3日~12日。 「影響は受けない」との回答が53%(168社)と最も多かったが、「マイナスの影響」と答えた企業も147社あった。回答した317社のうち、輸出企業が多い大規模企業の製造業(103社)に限ってみると、「マイナスの影響を受ける」が61社と約6割を占めた。 回答企業の中には、「直接的な影響は軽微だが、保護主義の拡大が世界貿易を縮小させ、世界経済が失速することを懸念している」と、世界経済への悪影響を心配する声があった。 製造業DI、3カ月連続の悪化でプラス29 11カ月ぶりの低水準 毎月定点調査している製造業の業況判断指数(DI)は前月調査から6ポイント悪化のプラス29で、3カ月連続で悪化した。昨年5月以来11カ月ぶりの低水準。今後3カ月の間に景況感がどのように変化するかを聞いた「先行き」はプラス33と、前月から4ポイント悪化した。非製造業DIは前月比1ポイント悪化のプラス39、金融を含む全産業DIは前月比2ポイント悪化のプラス36となった。 ※QUICK端末では、QUICK短観の業況判断DI、自社株判断DI、円相場判断DIなど各種ヒストリカルデータをダウンロードできます。

円相場、市場の目線は円安・ドル高方向に QUICK月次調査<外為>

世界的な貿易摩擦や地政学リスクを背景にした円高・ドル安の進行は一巡か。QUICKが16日まとめた4月の月次調査<外為>によると、市場参加者は当面、円の対ドル相場が緩やかながら下落すると予想している。4月末の円相場の予想は1ドル=107円06銭と、3月調査(106円39銭)から円安・ドル高にシフトした。前月比で円安が予想されるのは5カ月ぶり。 ※QUICKは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 外為担当者への調査は4月9~12日に実施。3カ月後となる6月末の円相場は107円72銭が見込まれている。3カ月後予想も5カ月ぶりの円安・ドル高だ。円相場の下値は堅いが、市場参加者の目線は円安・ドル高方向を向いている。   月次調査<外為>の各月末の円相場の予想(横軸は調査の月) 米国と中国の貿易摩擦は不安の種だが、「通商摩擦の激化への懸念は米中交渉が進む過程で弱まり、市場のリスク回避姿勢も緩和に向かうため、円安・ドル高方向で推移するだろう」(証券会社)。「トランプ米大統領は中間選挙に向けて夏場までに成果を誇りたいタイミング。夏に向けて政治面での不安材料が薄れ始めると金利差のドル優位が相場材料として重要視される」(銀行)。 保護主義的なトランプ氏に翻弄されがちな円相場だが、先行きは米連邦準備理事会(FRB)の政策が勝るという読みだ。今回の月次調査で米中が貿易戦争に突入すると思うかと聞いたところ、「思う」と答えたのは8%にとどまり、「思わない」が79%に上った。一方、仮に貿易戦争が始まると円相場はどのくらいの水準になるかとの問いには、62%が100円を突破して円高が進むと回答した。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

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