アップル、特許和解がもたらす長期の甘味と短期の渋味【米決算プレビュー】

アップルが30日の大引け後、2019年1~3月期(2Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(35社、25日時点)は前年同期比13.1%減の2.37ドルとなっており、前年同期から減収減益決算となる見込み。期間中は中国で多機能携帯電話(スマートフォン)のiPhoneの値下げを行うなど厳しい環境が続いたが、今月16日にクアルコムと特許を巡って和解した。クアルコムとの係争が解消されたことで2020年に発売するとみられる5G対応iPhoneに対する長期的な期待感が出る一方、短期的にはロイヤリティ支払いなどで粗利益率が悪化するリスクが警戒されている。 【1~3月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高      575億ドル ( -5.8%) ・EPS(1株利益) 2.37ドル (-13.1%) ・iPhone販売台数 4190万台 (-19.7%) 【4~6月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高      520億ドル (-2.1%) アップルは例年、売上高の6割を稼ぐiPhoneを9月に発売するため、1~3月期は新型モデルの発表を前に買い控えが起こりやすい。その買い換えサイクルも機種の高価格化などで長期化しているとみられるほか、アップルは2018年11月の決算発表時にiPhone販売台数の開示を行わない方針を表明済み。成長期待が薄れたiPhoneに代わるサービスなどの成長戦略が注目されている。3月25日には独自の動画定額制配信サービスの「アップルTV+(プラス)」などを発表したばかりだ。 アップルに対して強気派のモルガン・スタンレーは24日付のリポートで「4~6月期(3Q)の業績見通しは保守的になる見込みだが、バイサイドのポジションがネガティブなら好ましい反応が予想される」と指摘した。アップル株は24日に208.48ドルまで上昇して年初来で32%超も上昇。昨年10月に付けた分割後高値(233.47ドル)にあと10%ほどに迫っているが、モルガンはリポートで「我々は株価がここからさらに回復すると見込んでいる。投資家はiOSユーザーがモバイルサービスに関心が高く、アンドロイドユーザーの10倍のお金をアプリに使うという、アップルのプラットフォームの強さを充分に理解していない」などと指摘。iPhoneの買い換えサイクルは従来の3年未満から9月末にはパソコンなどと同様、4年に伸びると見込んだが、サービス部門の好調さを理由に投資判断のアウトパフォーム(買い)を維持しつつ、目標株価を220→234ドルに引き上げていた。10%の増配、少なくとも自社株買いを500億ドル増やすなどの株主還元策にも注目した。 QUICK FactSet Workstationによれば、同社をカバーするアナリスト39名の目標株価の平均値は198.64ドル(25日時点)で、25日終値から3.2%のダウンサイド余地があると見込まれている。「買い」の投資判断を下している比率が49%で過半数割れとなる一方、中立としているのは44%、売りが8%となっている。強気派はかつてほど多くない。 アップルに対して弱気派のゴールドマン・サックスは23日付のリポートで、投資判断のニュートラル(中立)を維持しつつ、目標株価を140→182ドルに引き上げていた。iPhone販売台数や平均販売価格がコンセンサスを下回る可能性があるとする一方、「クアルコムとの和解を受けて4~6月期での粗利益率に潜在的なリスクがある」と警鐘を鳴らした。また「米国の消費者のセンチメントが前年比で悪化しているほか、日本では補助金の廃止があるためiPhone販売台数のボラティリティが高まる恐れがある」とし、販売動向に不透明感が残ることも指摘していた。 アップルはクアルコムとの和解で詳しい条件を明らかにしていない。クアルコムとアップルが和解した16日にはインテルが早々に5Gモデム事業の終了を発表し、クアルコムは実質的に同分野でライバル不在の状態でもある。クアルコムに有利な特許使用料契約が結ばれる可能性について、UBSは17日付のリポートで「アップルからクアルコムへのロイヤリティはiPhone1台あたり8~9ドルになりそうで、従来(5ドル以下)より改善しそうだ」と予想していた。 2020年に5G対応のiPhoneが発売されると見込まれる中、長期的には来年の「スーパー買い換えサイクル」で成長期待は残るものの、2019年モデルはカメラが3個に増える程度で5G未対応のため、クアルコムとの和解はむしろ強力な買い控え要因となる。短期的に業績期待は膨らみにくい状況と言え、iPhone販売台数のコンセンサス・トレンドを見る限り、足元で販売台数に大幅な改善期待は膨らんでいない。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

アップルショックから4週間 見えなくなるもの、見えてくるもの【米決算プレビュー:10~12月期】

アップルが29日の大引け後、2018年10~12月期(1Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(35社、24日時点)は前年同期比7.1%増の4.17ドルとなっている。アップルは2日に1Qの売上高が当初予想よりも5~10%低い840億ドルにとどまる見込みだとして従来予想を下方修正済み。利益ベースの業績悪化に加え、前回決算時のカンファレンスコールでiPhone販売台数を開示しない方針を示していた経緯もあり、市場では2018年1~3月期(2Q)の見通しなども含めて先行き不透明が強い状況だ。 【10~12月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高      840億ドル ( -4.8%) ・EPS(1株利益) 4.17ドル ( +7.1%) ・iPhone販売台数 6782万台  (-12.2%) 【1~3月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高      593億ドル (-2.9%) アップルは2018年9月に有機エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレー(OLED)のiPhoneXS、XS Maxに加え、液晶パネル(LCD)モデルのiPhoneXRの計3機種を発表した。需要期である10~12月期を前に買い換えが期待されたが、需要低迷といった報道が相次ぎ、アップルの販売戦略や多機能携帯電話(スマートフォン)市場の飽和懸念が強まる状況だった。また昨年11月2日の4Q決算発表時のカンファレンスコールで、ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)が今後、決算でiPhoneなど個別製品の販売台数・平均販売価格を発表しない方針を表明したことで、情報開示に対する姿勢に疑問符もついた。24日には自動運転開発を進めるプロジェクト・タイタンで200人以上の人員を削減したと伝わっており、iPhone以外の成長シナリオが見つかりづらい状況である。 ゴールドマン・サックスは24日付のリポートで「2018年1~3月期(2Q)の弱い業績見通しを受けて株価は弱含みそうだ」と指摘した。2日に売上高見通しを下方修正したことについてアップルは中国など新興市場の需要の弱さを理由にしていたが、GSは「中国は依然として弱いと考えられるが、欧州でシェアを失っているとみられる」と指摘。1QのEPSを4.17ドルとコンセンサス並みで予想しつつ、2Qについては売上高が583億ドル、iPhoneの販売台数を4230万台と見込み、それぞれ市場予想(593億ドル、4499万台)を下回る弱気な見方を示した。 「バイサイドの推定はさらに我々を下回る可能性が高い」としつつ、「アップルは今後、iPhone販売台数を公表しないため、2Qの動向についてはより高いレベルの議論と変動が予想される」と先行きに不透明感があるいう。GSは2018年9月に中国のスマホ市場が弱いことを検出したため10月からアップルの収益にリスクがあると積極的に指摘してきたとしつつ、「中国の潜在需要環境に改善の兆候はみられないが、悪化の速度は鈍化している」と指摘した。 またリポートでは、アップルが今月8日に会計を変更した点に着目。音声認識のSiri、無料のiCloudなどの償却をiPhoneやiPad、Macなどその他の製品の販売価格とまとめてサービスの売上高として計上するという。「これにより、iPhoneなどの製品の売上げを効果的に減らしつつ、それに相応してサービスの売上高粗利益率の向上に役立つと確信する」と指摘した。投資判断のニュートラル、目標株価140ドルを維持していた。 ベアード・エクイティ・リサーチは24日付のリポートで「2019年の予想は依然として高いか?」と先行きに警戒した。ガイダンスに注意として「2Qと2019年通期の市場予想が中国やその他に地域が困難な状況であることを踏まえると、依然として高い」と指摘。アップルのエコシステムの優位性や潤沢なキャッシュフローという長期的なポジティブ要因はあるが、「短期的に市場のコンセンサスがリセットされるまでは慎重に見たい」と指摘。投資判断のアウトパフォーム、目標株価185ドルは維持した。 アップルの株価は今月3日に142ドルまで下げ、2日に売上高を下方修正したことを受けて一時は10%超の急落となった。昨年10月に付けた上場来高値(233.47ドル)からは39%もの下げを記録している。その後は相場の地合い改善を受けて戻り歩調にあるが、一時は1兆ドルを超えた時価総額も7000億ドル台で低迷し、マイクロソフトやアマゾン・ドットコムの後塵を拝している。 QUICK FactSet Workstationによれば、同社をカバーするアナリスト41名の目標株価の平均値は179.62ドル(24日時点)で、24日終値から17.6%のアップサイド余地があると見込まれている。株価は悪材料を織り込んだ状態にあると言えるが、年明け以降は投資判断や目標株価の引き下げが相次ぎ、「買い」の投資判断を下している比率が49%に低下し、2005年12月以来、14年ぶりに買い推奨の比率が過半数割れとなった。2007年に初代iPhoneを発売して以降、初めてのことである。市場のセンチメントが弱気に傾いていることは確かで、映像コンテンツなどでiPhoneに変わる成長シナリオを示せるかどうかが焦点となりそうだ。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

アップル、iPhone鈍化・対中関税リスクを払拭できるか【米決算プレビュー:7~9月期】

アップルが11月1日の大引け後、2018年7~9月期(4Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(37社、29日時点)は前年同期比34.2%増の2.78ドルとなっている。売上高の6割を稼ぐ多機能携帯電話(スマートフォン)のiPhoneの販売が鈍化する一方、中国市場の成長鈍化やトランプ政権による対中関税リスクが警戒されている。中国リスクを払拭できるかどうかを占う上で、2018年10~12月期(1Q)の売上高見通しに関心が高まりそうだ。 【7~9月期決算の市場予想】   (前年同期比) ・売上高            614億ドル  (+16.8%) ・EPS(1株利益)     2.78ドル   (+34.2%) ・iPhone販売台数 4749万台  ( +1.7%) 【10~12月期決算の市場予想】   (前年同期比) ・売上高            927億ドル  ( +5.0%) アップルは例年、7~9月期にiPhoneの新機種を発売し、10~12月期に過去最高益を更新するのが通例となっている。今回の7~9月期には有機エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレー(OLED)のiPhoneXS、XS Maxに加え、液晶パネル(LCD)モデルのiPhoneXR計3機種を発表した。昨年の10周年記念モデルのiPhoneXに比べて関心は低いとみられ、今回それほどiPhoneに対する期待値は高くない。 iPhoneXSラインアップ (注)出所:アップル QUICK FactSet Workstationで7~9月期のiPhone販売台数のトレンドをみたところ、今年1月以降は5000万の大台を割り込み、かろうじて前年同期(4667万台)を上回る程度となっていた。LCDモデルの販売が遅れたこともあるとみられるが、中国での販売鈍化が警戒されている。ゴールドマン・サックスは24日付のリポートで、「中国の消費の弱さが10~12月期のアップルの業績にリスクをもたらすとみている」と指摘。iPhone販売台数を7~9月期で4780万台、10~12月期で8010万台と市場予想よりやや強めで見ていたが、投資判断のニュートラル、目標株価の240ドルは据え置いていた。中国当局の減税策で個人消費が持ち直すとみられるとしつつ、アップルの業績については慎重だった。 <アップルの四半期iPhone販売台数のトレンド推移> (注)QUICK FactSet Workstationより作成 一方、アップルに強気のパイパージャフレーは22日付のリポートで、投資判断のオーバーウエイトと目標株価250ドルを据え置いた。10代を対象にした調査でiPhoneやApple Watchの人気が高かったとし、「アップルのブランド力は10代の若者の間で無傷だ」と指摘した。 その上で、iPhoneの買い換えが進むスーパーサイクルに関しては、今年初めの時点でiPhoneXに買い換えなかった人達に「価格が高い、画面が小さい」という不満があったことを紹介しながら、「現在は画面が広いXS Maxと、価格が安いXRという選択肢がある」と指摘。「2019年通期にアップルは2億2300万台(市場予想は2億1800万台)のiPhoneを販売すると見込まれ、機種が増えたことで買い換えサイクルは2020年までのスーパー・ロング・サイクルを迎えるだろうと指摘した。 米国や日本に限ればパイパーのような強気の見方もできそうだが、アップルを巡ってはトランプ政権による対中関税策の影響が警戒されている。9月に実施された対中関税第三弾ではかろうじてApple Watchなどの適用は免れたものの、第四弾が発動された場合、中国で部品を組み立て・製造しているiPhoneなど主力製品への影響は避けられないとみられている。ブルームバーグは29日、「11月に予定されている米中首脳会談が不調の場合に備え、米国が全ての中国の品目に対する追加関税を12月初旬までに発表する用意がある」と報じており、トランプ政権としては貿易戦争の手を緩めないもようだ。 アップルが業績見通しでiPhone販売台数を示すことはないため、中国需要を占う上で10~12月期の売上高見通しが従来にも増して関心を集めそう。カンファレンスコールでは対中関税の粗利益への影響のほか、中国の景気減速懸念を払拭するようなコメントが発せられるのかどうかポイントになりそうで、相場が不安定な中、1兆ドルの時価総額を維持できるか正念場を迎えている。(片平正ニ)    ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。    

ネトフリ、契約者伸び増益 膨張する制作費にリスクの芽 【米決算プレビュー:7~9月期】

米主要ハイテク企業の7~9月期の決算発表が16日(日本時間17日朝)から本格化する。先陣を切るネットフリックスの実績や見通しはハイテク株全般に影響を与える可能性があり、米株式相場の先行きを占ううえでも注目される。QUICK FactSet Workstationによると、主要500社の2018年7~9月期の純利益は前年同期比20%程度の増加と8年ぶりの高い伸びが見込まれている。恒例の米決算プレビューで注目企業の読みどころを紹介する。 ネットフリックスの7~9月期業績は拡大基調が続く見通し。QUICK FactSet Workstationによると、市場の予想1株利益(EPS)は前年同期比87.5%増の0.75ドル(15日時点)と大幅増益が見込まれている。業績を左右する動画配信の契約者数について、市場は会社予想を上回るとの予想だ。ただ、足元ではゴールドマン・サックスなど米証券大手の目標株価の引き下げが相次いでおり、アナリストの慎重な見方が台頭している。 【ネットフリックスの18年7~9月期の市場予想】 ・売上高  39億9500万ドル(33.8%増) ・EPS  0.75ドル(87.5%増、Non-GAAP)       0.68ドル(2.3倍、GAAP) (注)※予想はQUICK FactSet Workstation。15日時点、EPSは18社の予想()内は前年同期比。 契約者数は518万人の増加予想 7~9月期はインドなど海外向け動画配信事業が引き続き好調だったようだ。市場予想の契約者数は全世界で518万人程度(前期は515万人、前年同期は530万人)と、会社予想の500万人増に対してやや上振れを見込んでいる。ちなみに4~6月期の契約者数は520万人増と会社予想(620万人増)だけでなく市場予想(637万人増)を大幅に下回り、市場で失望が広がった。 契約者数の増加に加えて、ユーザー当たりの平均収入の増加も収益の押し上げに寄与したようだ。ただ、純現金収支(フリーキャッシュフロー)は赤字基調でゴールドマン・サックスも12日付のリポートでこの点を指摘。18年の独自番組の制作費が33億ドルと前年の20億ドルから大幅に増え、フリーキャッシュフローの赤字拡大を懸念しているという。投資判断は最上位の「買い」を維持したものの、目標株価を470ドルから430ドルに引き下げた。 ネットフリックスはオリジナルを含むテレビ番組や映画をネット配信しており、契約者数は世界で約1億3000万人に膨らんでいる。 市場の目標株価は平均380ドル 主力ハイテク株で構成される「FANG」のなかでも一人勝ちといわれてきたネットフリックス株だが、足元の株価は軟調に推移している。動画配信事業の競争激化に対する警戒感が底流にある。19年には米アップルが動画配信事業を始めるほか、ウォルト・ディズニーはネットフリックスとの契約を打ち切り、独自でコンテンツ配信に乗り出す。9日には、ウォルマートと「007」シリーズを手掛ける映画スタジオ大手のメトロ・ゴールドウィン・メイヤーが動画配信のコンテンツ分野での提携を発表した。 <FANGの年初からの株価推移> (注)青:ネットフリックス、赤:フェイスブック、緑:アマゾン、オレンジ:アルファベット(グーグル)、紫:ナスダック。 競争が激しくなりコンテンツの制作費が膨らむ可能性があるなか、足元の米金利上昇に伴う利払いコストの増加が追い打ちをかけるリスクが台頭。しかし競合の動画配信ビジネスが軌道に乗るには時間を要すため、ネットフリックスは先行者メリットを享受できるとの見方もある。市場平均(43社)の目標株価は380ドルと、15日の終値333.13ドルを1割強上回っており、ネットフリックスに対する成長期待は根強い。(根岸てるみ)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

ディズニー、「動画の王国」へのエピソード1 【米決算プレビュー】

2019年にウォルト・ディズニーが本格参入する動画配信サービスは覇権争いが激しさを増している。ディズニーに勝算はあるのか。期待と憂慮が交錯するなか、同社が米東部時間7日の引け後(日本時間8日午前)に発表する4~6月期決算に関心が集まる。 <市場予想>       18年4~6月期 ・売上高  153億ドル(7.8%増) ・EPS  1.95ドル(23.4%増、Non-GAAP) (注)7月31日時点、25社の予想()内は前年同期比 ネットフリックスに勝る豊富なコンテンツが強み 動画配信で先行するネットフリックスに対抗するため、ディズニーとアップルは19年から自社で動画配信を始める。競争激化が見込まれるが、ディズニーにはコンテンツを豊富に保有している強みがある。人気映画シリーズの「スター・ウォーズ」や「アベンジャーズ」に加え、コムキャストとの買収合戦を制して21世紀フォックスのコンテンツ事業を獲得することで「アバタ―」もラインアップに加わる予定だ。今後はドル箱作品を自社で配信し、それ以外は競合に販売するなど選択肢も広がりそうだ。  一方で、これに伴いバランスシートには負担がかかりそう。コンテンツ事業(映画スタジオ「20世紀フォックス」など)の買収額は、コムキャストの登場で当初の524億ドルから713億ドル(約8兆円)に引き上がり、ディズニーの年間売上高の約550億ドル(17年9月期)を大きく上回る。純現金収支(フリーキャッシュフロー)は安定的に増加してきたが、大型買収で財務バランスが保持できなくなる可能性や、競争激化でヒット作を生み出すために制作費が膨らむことも考えられる。 英放送局スカイを巡る展開も気掛かりだ。ディズニーは今回の買収でフォックスが所有するスカイ株39%を手に入れる予定だが、スカイの完全子会社化を目指すフォックスと、コムキャストの間でスカイ争奪戦が繰り広げられている。状況次第でディズニーは欧州での戦略の見直しを迫られる可能性がある。   4~6月期のEPSは23%増の1.95ドルの見込み ディズニーの4~6月期の決算は増収増益を見込む。QUICK FactSet Workstationによると、市場予想(7月末時点)は売上高が前年同期比7.8%増の153億ドル、1株利益(EPS・特殊項目を除く)は23.4%増の1.95ドルを見込む。有料テレビ事業など主力部門の収益は低迷が続くものの、テーマパークや映画制作の事業でカバーする。 コムキャストがフォックスの買収を断念したと発表した7月19日以降、ディズニーの株価は堅調に推移。6日には一時116.84ドルと2015年11月以来の高値を付けた。株価上昇を受けて時価総額は再びネットフリックスを上回っている。しかし、両社の年初からの株価を比較するとディズニーの上昇率は小幅にとどまる。 <ディズニー(青)とネットフリックス(緑)の年初からの株価推移> 先行きを見極めたいアナリストは多いようだ。QUICK FactSet Workstationによると、ディズニー株に対する投資判断は足元で「中立」と「売り」が増えている。ディズニー株が一段高となるには、動画配信サービスの行方がカギを握る。(根岸てるみ)       ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。  

アップル、需要鈍化は織り込み済み 鈍らないのは株主還元拡大の期待 【米決算プレビュー】

アップルが5月1日の大引け後、2018年1~3月期(2Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(30社、4月25日時点)は前年同期比28.0%増の2.69ドルとなっている。スマートフォン(スマホ)の需要に対する警戒感から株価は足元で弱含んでいる。4~6月期のiPhone販売台数の市場予想も低下基調にあるが、アップルが新製品発売前に在庫圧縮に努めるとの見方もあって需要鈍化は織り込み済みとみられる。自社株買いの増額など、買い戻しのキッカケになる材料が待たれる。 【1~3月期決算の市場予想】   (前年同期比) ・売上高            612億ドル  (+15.8%) ・EPS(1株利益)     2.69ドル  (+28.0%) ・iPhone販売台数 5314万台  ( +4.6%) アップルは例年、7~9月期(4Q)にiPhoneの新機種を発売し、10~12月期(1Q)に過去最高益を更新するのが通例となっている。しかし、高価格のiPhoneX(テン)の販売が振るわず、前回の1Q決算でiPhone販売台数は市場予想を大きく下回った。アップルの売上高の69%(1Q実績)を稼ぐiPhoneの販売台数が今回の決算でも最大の注目点だ。 アップル決算に先立ち、サプライヤーのTSMCが19日に4~6月期の売上高見通しで慎重な数字を示したことでiPhoneの需要鈍化懸念が広がった。さらに20日にはモルガン・スタンレーが投資判断をオーバーウエイトとしながら目標株価を203→200ドルに引き下げ、4~6月期のiPhone販売台数が弱含むと指摘したことも警戒された。モルガンはリポートで、iPhone販売台数を1~3月期で100万台、4~6月期で600万台それぞれ引き下げ、2018年通期の販売台数予想を2億1700万台から2億1000万台へと下方修正した。悪材料が重なり、アップル株は25日終値時点で163.65ドルと3月13日に付けた分割後の上場来高値(183.50ドル)から10.81%下げた状態にある。 アップルの売り材料になったTSMCの業績見通しについて、RBCキャピタル・マーケッツは19日付のリポートで「スマートフォンや仮想通貨関連の需要が弱いことを示したが、iPhone需要が弱いことは株価に織り込まれている」と指摘していた。TSMCの売上高の2割はアップル向けとされるが、「TSMCの弱い見通しで、アップルが2018年秋の新製品発表に向けてiPhoneの在庫を圧縮しようとしていることが再確認できた」と指摘。新型のiPhoneの販売台数につては「2018年下半期で8000万~9000万台と見込まれ、2017年のiPhoneX、8、8Plusの累計(1億~1億2000万台)を下回るだろう」と慎重に見込みつつ、サービス部門の好調さや自社株買い・増配といった株主還元策がポジティブサプライズになるとも指摘した。今後5年間で250億ドル規模の自社株買いが行われ、年間で7%ずつ発行済み株式が消却されるだろうとしながら、投資判断のアウトパフォーム、目標株価203ドルを維持。概ね強気の見方を披露していた。 前出のモルガンのリポートでも株主還元策に着目し、米国の税制改革が成立して1630億ドルの現金が利用可能になったため、「決算に併せて資本還元プログラムの大幅な拡大が発表されるだろう」と指摘していた。モルガンは2018~19年度の自社株買いが現行の300億ドルから800億ドルのペースに引き上げられると見込み、50%の増配が行われれば「アップル株の配当利回りは2%超となる」とみていた。UBSも24日付のリポートで自社株買いの規模を年間で300億→600億ドルと2倍に増やすだろうと指摘しており、株主還元に対する期待は根強い。 アップルは2018年秋にiPhoneの新機種を3つ発売するとみられている。モルガンのリポートでは、①6.5インチの有機エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレー(OLED)を搭載したiPhoneX Plus、②現行のiPhoneXと同じ5.8インチのOLEDモデル、③6.1インチの液晶パネル(LCD)モデル――が発売されるだろうと指摘していた。新機種では価格の安いLCDモデルを用意しつつ、不人気だったiPhoneXで画面サイズを大きくしたPlus版を出し、いわゆるファブレット端末を好むユーザーの取り込みを図るとみられる。5月には廉価版のiPhone SEの後継モデルであるSE2も出る見通しだ。 モルガンは3機種の構成比についてOLEDとLCDで6対4と見込み、「5月に部品設計が確定し、早ければ5月半ばから月末にかけて部品の生産が始まる」と予想していた。4~6月期は例年、iPhone需要が低迷する時期だが、7~9月期の新機種販売に向けて売上高見通しなどで在庫管理に注力する方針が示されれば、投資家は需要期であるその先の10~12月期のiPhone販売台数に関心を高めそう。過度に4~6月期の販売鈍化を警戒する必要は無さそうだ。 QUICK FactSet Workstationでアップルの四半期ごとのiPhone販売台数のコンセンサスを見ると1~3月期が5314万台に下がっているのはやむを得ないが、10~12月期が7709万台と前年同期(7731万台)を下回る状態にあるのが分かる。前年は高価なiPhoneXが不人気だったほか、生産が遅れるという特殊要因があっただけに、現在のコンセンサスはiPhone需要にかなり悲観的と言える。TSMC決算などで短期的に弱気ムードが強まったアップルだが、Appストアといったサービス部門の成長性、自社株買いなどの株主還元策が期待される状況だけに、決算を機にリバウンドが待たれそうだ。 アップルの四半期iPhone販売台数のトレンド推移 (注)QUICK FactSet Workstationより作成 4月30日の米株式市場でアップルの株価は1.81%高の165.26ドルで終えた。1銘柄で20ドルほどダウ工業株30種平均を下支えした。iPhoneの需要鈍化に対する警戒感から株価は足元で軟調な展開だったが、決算発表を控えてやや買い戻しが入った格好だった。 米経済専門チャンネルのCNBCは30日、「自社株買いや増配計画への楽観的な見方からアップル株がジャンプした」と報じた。アップルが決算に併せて発表すると見込まれる株主還元策についてモルガン・スタンレーは1500億ドル、シティ・グループは1000億ドルと見込んでいることを紹介していたが、モルガンの見解は4月20日付のリポートで指摘していたもので目新しいものではなかった。一方で英サンデー・タイムズ紙電子版は29日、複数のアナリストの見方として株主還元策が4000億ドル規模になるとの見方を報じていた。(片平正ニ)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

アップル、iPhone Xの需要鈍化vs増配・自社株買い期待の構図 【米決算プレビュー】

米アップルが2月1日の大引け後、2017年10~12月期(1Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(31社)は前年同期比14.2%増の3.84ドルとなっている。四半期ベースで売上高・EPS共に過去最高を更新する見込みだが、期待されていた最上位機種「iPhone X(テン)」の生産遅れや需要減が響き、iPhoneの販売台数は伸びが鈍化する見込み。株価が一段と上昇するのは難しそうだが、増配や自社株買いの具体策が示されればアップサイド余地はありそうだ。 【10-12月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高      871億ドル  (+11.2%) ・EPS(1株利益)   3.84ドル  (+14.2%) ・iPhone販売台数 7943万台     ( +1.4%) アップルは7~9月期(4Q)にiPhoneの新機種を発売し、需要期である10-12月期(1Q)で過去最高益を更新するのが通例だ。しかし今回は高価格の10周年記念モデル・iPhone Xの発売日が11月3日となり、例年9月の新製品発表時期から1カ月以上も遅れた。その後、期待されたほど需要は高まらず、生産の遅れも報じられた。1月23日にJPモルガンが「最上位機種の出荷は今年は横ばいになりそうなことがハッキリしてきた。1~3月期のiPhone Xの生産台数の見通しを従来の3000万台から2000万台に減らす」との見解を示すなど、決算発表前に弱気な見方が相次いでいる。 29日には日本経済新聞が「米アップルが1~3月期の生産量を当初計画から半減させる見通し。iPhone Xの生産計画を従来の4000万台超から2000万台前後に減らす」と報じた。日経ニュースが伝えたiPhone X・2000万台という数字はJPモルガンの予想と同じだったが、29日の米国市場でアップル株は2.06%安で反落。市場でiPhone Xの需要減に対する警戒感が根強いことを示す展開だった。高価格の最上位機種に買い替えが進み、好業績をもたらすという「iPhoneスーパーサイクル」に対する期待値は低い。 投資判断を中立としている弱気派の一角、オッペンハイマーは28日付のリポートで、「我々は2Q、2017年4-6月期(3Q)のiPhone出荷予想をそれぞれ1000万台、800万台引き下げた。iPhone Xの価格の高さ、人を引きつける機能の欠如を受け、予想よりも買い替え需要は低いとみている」と指摘した。「潤沢なキャッシュフローや税制改革の影響でダウンサイドリスクは限られそうだが、将来のiPhoneの買い替えサイクルを踏まえれば大幅なリターンを得られるか疑問だ」とし、今後のアップサイドには慎重だった。 アップルの1Q売上高の68%を占める見込みのiPhone販売台数は、1Qだけでなく、2Qについても市場予想が低下傾向にある。QUICK FactSet Workstationのコンセンサス・トレンド分析を見ると、iPhone Xが発売された11月に1Qの販売台数は8000万台を割り込んで下げ渋ったものの、2Qは6000万台を割り込んできた。2Qの販売が弱いことは例年通りだが、iPhone Xの人気がそれほど高くない現状では弱気材料として警戒されるかも知れない。 【iPhone販売台数のトレンド推移】(QUICK FactSet Workstationより) (2017年10-12月期(1Q)=青、2018年1-3月期(2Q)=緑) 一方、強気派のモルガン・スタンレーは25日付のリポートで、目標株価こそ205→200ドルに引き下げたが投資判断のオーバーウエイトを維持した。1QのiPhone販売台数の見通しを7600万→8000万台へ引き上げ、平均販売価格も771→819ドルに上方修正した。1Qは市場予想を上回るだろうと実績に強気の見方を示しつつ、2QのiPhone販売台数の予想は950万台引き下げ、6450万台と見込んだ。最近、アップルのサプライヤーに出荷減が伝わったとされる報道については「ノイズ」と一刀両断。今年はiPhone Xのように画面サイズが大きく、かつ価格が安い新製品の発売が予定されていることも踏まえ、2019年度に向けて買い替え需要が高まるだろうと見込んだ。 アップルは1月17日、今後5年間で米経済に3500億ドルを上回る貢献をすると発表した。税制改革の成立を受けたもので、新たに2万人を雇うほか、300億ドルの投資を行う方針を示したが、増配などに関する具体策はまだ示されていない。カンファレンスコールで増配・自社株買いの具体策が示されるか注目だが、モルガンは「自社株買いは今後2年で従来の2倍の1000億ドル規模が行われそうで、2019年度のEPSを0.60ドル押し上げるだろう」と指摘。「為替市場のドル安要因やNAND価格の下落によって粗利益率が改善するアップサイド余地がある」とも指摘しており、業績拡大期待は根強いようだ。 (QUICK エクイティコメント) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。また、米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に業績の着地点や注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を決算発表前に配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

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