好調エヌビディアに市場は警戒モード 目標株価下げ相次ぐ 【米決算プレビュー:8~10月期】

GPU(画像処理半導体)大手のエヌビディアが15日、2018年8~10月期決算(第3四半期)を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、日本時間12日時点で市場予想の調整後1株利益(EPS、24社平均)は1.72ドルが見込まれている。 第2四半期の5~7月期決算では仮想通貨向けGPUの需要が大きく減少するとの見方を示し、市場に衝撃を与えた。足元ではアナリストは好調な業績を維持するとの見方が多勢だが、目標株価を引き下げる動きが続く。 【8~10月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高       :32億4200万ドル(+23.0%) ・調整後EPS         :             1.72ドル(+29.3%) ~~~売上高の部門別内訳~~~ ・ゲーム部門     :19億0900万ドル (+47.7%) ・映像化部門    : 2億8200万ドル(+8.7%) ・データセンター部門: 8億1900万ドル(+78.6%) ・自動車部門    : 1億6100万ドル(+4.1%) ・OEMその他   : 1億1600万ドル(-25.6%) ※QUICK FactSet Workstationより作成  ソフトバンクG(9984)の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の投資先でもあるエヌビディア。任天堂(7974)のゲーム機「ニンテンドースイッチ」のメーンプロセッサーにエヌビディア製のモバイルプロセッサ「Tegra」が採用されて一時期話題を集めたほか、完全自動運転へのGPUの活用でも期待がかかる。 とはいえ、市場の見方は日に日に厳しさを増している。8月発表の5~7月期決算ではジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)が仮想通貨向けGPUの8~10月期売上高見通しについて「基本的にゼロ」と断言。市場に衝撃が走り決算発表翌日には1日で株価水準を約5%ほど切り下げていた。 売り上げの過半を占めるゲーム部門に対して警戒感が強まっている。仮想通貨用GPUの品薄が解消した結果として低価格製品の不振を指摘する見方がある。加えて中国では当局によるゲーム規制があり、GPUの最終需要の落ち込みも警戒される。 同業のAMDが10月24日に発表した7~9月期決算でゲーム関連事業の売上高がふるわず、エヌビディアのゲーム部門に対しても警戒する向きもある。8~10月期の同部門の売上高は前年同期比47.7%増の19億900万ドルと高い伸びを見込んでいるが、市場の期待に応えられるか注目だ。あるアナリストは「今後2~3四半期は伸びが見込めるだろうが、どの程度かが問題だ」との見方を示していた。 QUICK FactSet Workstationによると、10月以降にエヌビディアの目標株価を引き下げる動きが相次いだ。モルガン・スタンレーが従来の273ドルから260ドルに、JPモルガンは265ドルから255ドルに引き下げ、目標株価の引き下げ社数は計8社(日本時間11月12日時点)にのぼる。 これまで持続的に売上高を伸ばして株価上昇の要因となったデータセンター部門では、大手クラウド事業者の設備投資の伸び率も鈍化する見通し。米国と中国の貿易摩擦にも警戒感が広がるなか、会社側がどのようなコメントをするか今回の決算発表には先行きを占う材料が満載だ。(中山桂一)     ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

ディズニーに強気、「買い」判断4カ月ぶり半数超 【米決算プレビュー:7~9月期】

ウォルト・ディズニーの投資判断を引き上げるアナリストが増えている。QUICK FactSet Workstationによると、「買い/オーバーウエート」が4カ月ぶりに半数を超えた。足元の堅調な業績に加えて、21世紀フォックスのコンテンツ事業の獲得に伴うポテンシャルの高まりが背景にある。株価は年初来高値に近い水準。8日の引け後(日本時間9日午前)の2018年7~9月期決算発表の中身しだいで、大きく反応する可能性もある。 テーマパーク事業が寄与し、市場平均上回る利益成長に QUICK FactSet Workstationによると、市場はディズニーの7~9月期の1株あたり利益(EPS)を前年同期比25%増の1.33ドル(10月末、22社)と予想。主要500社の17%増益を上回る利益成長を達成するとの見方だ。テコ入れ中の有料テレビ事業が収益の足かせとなったものの、テーマパーク事業でカバーしたようだ。映画関連事業の伸長やトランプ政権による法人減税も寄与した。 <市場予想>         18年7~9月期 ・売上高  137億ドル(7.4%増) ・EPS  1.33ドル(24.7%増、非GAAP)  (注)10月末時点、EPSは22社の予想()内は前年同期比 Huluを軸としたポテンシャルに注目 成長のカギは今後、動画配信となるだろう。なかでもフォックスのコンテンツ事業の買収で経営権を握る動画配信サービス「Hulu(フール―)」との連携は、未知数なだけに市場の注目も高い。投資判断がにわかに引き上げられた背景には、こうした先行き期待に加えて、英有料放送局スカイ株を巡る動きもあったようだ。 ディズニーがフォックスから買収する一部事業の中には、スカイ株39%も含まれていた。しかし、フォックスがスカイ株の残り61%の取得を巡るコムキャストの争奪戦に敗れると、フォックスは9月下旬、ディズニーに売却するスカイ株39%をコムキャストに売却すると発表。ディズニーは欧州ビジネスのルートを1つ失ったものの、スカイ株の売却益を事業に有効活用できると評価された。 市場の目標株価は平均121.99ドル(24社・5日時点)だが、モルガン・スタンレーは15日付リポートで130ドルから135ドルに引き上げた。RBCキャピタル・マーケッツは140ドルと強気だ。 一方で、収益性や競争激化に伴うコンテンツ制作費の増加などに注目したい。例えば、動画配信で先行するネットフリックスの収益の伸びは著しいが、売上高営業利益率はディズニーの半分程度。ネトフリの18年のコンテンツ制作費は80億ドルともいわれ、純現金収支(フリーキャッシュフロー)の赤字が続いている。動画配信事業はとかくお金がかかるだけに、売り上げが拡大してもこれまでの利益率を維持できるか、見極める必要がある。(根岸てるみ)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。        

アリババ、成長のための踊り場か 【米決算プレビュー:7~9月期】

中国の電子商取引(Eコマース)最大手のアリババ集団が2日、2018年7~9月期(2Q)の決算を発表する。QUICK  FactSet  Workstationによれば、売上高は前年同期比59%増の868億人民元、1株あたり利益(EPS)は13%減の7.45元が見込まれている。中国の景況感の悪化や子会社の赤字が足を引っ張り「通期見通しが下方修正されても驚きではない」との声もある。長期的な成長期待は根強いものの、短期的には業績下振れへの警戒感から、株価の上値が重くなる可能性もある。 【アリババの18年7~9月期決算の市場予想】 ・売上高   :868億7970万元(59%増) ・EPS   :7.45元(13%減) (注)予想はQUICK FactSet Workstation 8月10日時点、カッコ内%は前年同期比 QUICK  FactSet  Workstationによると、2Qの売上高は前年同期比59%増と、1Q(64%増)と比べて増収率が鈍化する見通しだ。コア・コマース部門の売上高は市場予想が60%増の738億元。出前アプリ「餓了麼(ウーラマ)」が四半期を通じて連結計上となり増収に寄与するものの、伸び率は4~6月期(70%増)に及ばない。背景にあるのは、中国のネット消費の減速感。中国国家統計局によると、オンライン小売売上高の前年同月比でみた増加率は低下し続けている。 <中国のオンライン小売売上高の推移>   (注)ゴールドマン・サックスのリポートより引用 ゲームや映画、音楽などさまざまなコンテンツを配信しているデジタル・メディア・エンターテインメント部門もさえない。1Qは53%の増収だったが、2Qは35%増にとどまるもよう。 警戒すべきは売上高の減速だけでない。アナリスト予想によると、EPSは上場来、四半期ベースで初めて減益になる見通し。積極的な投資によるコスト負担が重くのしかかる。モルガン・スタンレーはウーラマの赤字額が1Qの12億元から2Qは20億~25億元に拡大するとみる。「美団点評」との競争が激化し「採算性よりも市場シェアの獲得を優先している」(大和証券)ためだ。 デジタル・メディア・エンターテインメント部門でもコンテンツ拡大に向けて積極的な投資が続いているとみられ、赤字が続くもよう。電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」を展開する金融会社アント・フィナンシャルも投資の加速を背景に減益となる可能性が高い。 野村証券は29日付のリポートで「米国や欧州を訪問した際、投資家の質問が最も多かったのは『2019年3月期のガイダンスを達成できるのか』ということ。独身の日(11月11日)の販促イベント後にガイダンスが下方修正されても驚きではない」と指摘する。騰訊控股(テンセント)よりも弱気に見る投資家が多かったという。 ただ、アナリストは強気だ。50社中、なんと49社が「買い」か「オーバーウエート」。残り1社は「中立」で、目標株価やレーティングの変更は8月30日で止まっている。言い換えれば、きちんとアリババ株をウオッチしているアナリストはすべて強気、ということになる。 理由は明白だ。EPSが2Qに減益となる理由は一段の成長に向けた先行投資が主因。アリババはEコマースの枠を飛び出し、ネット注文も可能な実店舗型スーパーマーケット「Hema(盒馬)」、百貨店の「Intime Retail(銀泰商業)」なども含めさまざまな分野で種まきをしている。「Eコマースでの主導的な立場と、新しい分野でのイニシアチブは、長期的にはコア・コマース部門での強力な地位の確立につながる」(ゴールドマン・サックス)との見方は多い。 加えて、投資指標面でも割安感が出ている。中国景気の減速懸念と米国市場でのグロース株売りがかさなった結果、株価は30日に52週安値を更新した。12カ月先のEPS予想に基づいたPERは21倍にとどまる。 大きくジャンプするためには、かがむことも大切だ。減益決算で上値が重くなったとしても、過度に悲観する必要はないのかもしれない。(松下隆介)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

アップル、iPhone鈍化・対中関税リスクを払拭できるか【米決算プレビュー:7~9月期】

アップルが11月1日の大引け後、2018年7~9月期(4Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(37社、29日時点)は前年同期比34.2%増の2.78ドルとなっている。売上高の6割を稼ぐ多機能携帯電話(スマートフォン)のiPhoneの販売が鈍化する一方、中国市場の成長鈍化やトランプ政権による対中関税リスクが警戒されている。中国リスクを払拭できるかどうかを占う上で、2018年10~12月期(1Q)の売上高見通しに関心が高まりそうだ。 【7~9月期決算の市場予想】   (前年同期比) ・売上高            614億ドル  (+16.8%) ・EPS(1株利益)     2.78ドル   (+34.2%) ・iPhone販売台数 4749万台  ( +1.7%) 【10~12月期決算の市場予想】   (前年同期比) ・売上高            927億ドル  ( +5.0%) アップルは例年、7~9月期にiPhoneの新機種を発売し、10~12月期に過去最高益を更新するのが通例となっている。今回の7~9月期には有機エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレー(OLED)のiPhoneXS、XS Maxに加え、液晶パネル(LCD)モデルのiPhoneXR計3機種を発表した。昨年の10周年記念モデルのiPhoneXに比べて関心は低いとみられ、今回それほどiPhoneに対する期待値は高くない。 iPhoneXSラインアップ (注)出所:アップル QUICK FactSet Workstationで7~9月期のiPhone販売台数のトレンドをみたところ、今年1月以降は5000万の大台を割り込み、かろうじて前年同期(4667万台)を上回る程度となっていた。LCDモデルの販売が遅れたこともあるとみられるが、中国での販売鈍化が警戒されている。ゴールドマン・サックスは24日付のリポートで、「中国の消費の弱さが10~12月期のアップルの業績にリスクをもたらすとみている」と指摘。iPhone販売台数を7~9月期で4780万台、10~12月期で8010万台と市場予想よりやや強めで見ていたが、投資判断のニュートラル、目標株価の240ドルは据え置いていた。中国当局の減税策で個人消費が持ち直すとみられるとしつつ、アップルの業績については慎重だった。 <アップルの四半期iPhone販売台数のトレンド推移> (注)QUICK FactSet Workstationより作成 一方、アップルに強気のパイパージャフレーは22日付のリポートで、投資判断のオーバーウエイトと目標株価250ドルを据え置いた。10代を対象にした調査でiPhoneやApple Watchの人気が高かったとし、「アップルのブランド力は10代の若者の間で無傷だ」と指摘した。 その上で、iPhoneの買い換えが進むスーパーサイクルに関しては、今年初めの時点でiPhoneXに買い換えなかった人達に「価格が高い、画面が小さい」という不満があったことを紹介しながら、「現在は画面が広いXS Maxと、価格が安いXRという選択肢がある」と指摘。「2019年通期にアップルは2億2300万台(市場予想は2億1800万台)のiPhoneを販売すると見込まれ、機種が増えたことで買い換えサイクルは2020年までのスーパー・ロング・サイクルを迎えるだろうと指摘した。 米国や日本に限ればパイパーのような強気の見方もできそうだが、アップルを巡ってはトランプ政権による対中関税策の影響が警戒されている。9月に実施された対中関税第三弾ではかろうじてApple Watchなどの適用は免れたものの、第四弾が発動された場合、中国で部品を組み立て・製造しているiPhoneなど主力製品への影響は避けられないとみられている。ブルームバーグは29日、「11月に予定されている米中首脳会談が不調の場合に備え、米国が全ての中国の品目に対する追加関税を12月初旬までに発表する用意がある」と報じており、トランプ政権としては貿易戦争の手を緩めないもようだ。 アップルが業績見通しでiPhone販売台数を示すことはないため、中国需要を占う上で10~12月期の売上高見通しが従来にも増して関心を集めそう。カンファレンスコールでは対中関税の粗利益への影響のほか、中国の景気減速懸念を払拭するようなコメントが発せられるのかどうかポイントになりそうで、相場が不安定な中、1兆ドルの時価総額を維持できるか正念場を迎えている。(片平正ニ)    ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。    

フェイスブック、市場が求める株価反転の条件は?【米決算プレビュー:7~9月期】

フェイスブックが30日に2018年7~9月期決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、20日時点の市場の予想EPS(1株利益、Non-GAAP)は前年同期比8%減の1.78ドルと、この3年間で初のマイナス成長が予想されている。4~6月期決算では規制強化に対する市場の楽観が打ち砕かれ、株価は下げ基調。29日に年初来安値をつけた。今回の決算が反転のきっかけとなるには、収益成長期待が再び高まるような内容が求められるだろう。 【フェイスブックの18年7~9月期決算に対する市場予想】 ・売上高      :137億6500万ドル(33.3%増) ・広告売上高    :136億1900万ドル(34.3%増) ・うち携帯向け広告 :125億1000万ドル(40.2%増) ・1株利益(EPS) :1.78ドル(7.8%減、Non-GAAP)            1.46ドル(8.2%減、GAAP) (注:増減率は対前年同期) 18年7~9月期の売上高は、携帯向け広告収入の伸びがけん引し同33%増の137億ドルと高い成長ペースを維持する見通しだ。市場では、今後相次いで稼働するデータセンター設備の減価償却費がかさみ、利益を圧迫するとの見方が出ていた。不正な投稿や広告を監視する人員を大量雇用したことも、利益悪化要因とみられている。 4~6月期決算では、個人情報保護規制が強化された欧州の利用者減少が判明し、フェイスブック株は2割近く急落。その後も同社は下げ基調が続く。10月以降、フェイスブックと合わせて「FANG」と並び称されたネットフリックス、アマゾン・ドット・コム、アルファベット(グーグル)の株価も低迷しており、ハイテク株全体に投資家心理の悪化は広がっている。     フェイスブック株の反転は、市場全体の投資家心理の改善につながる可能性がある。とはいえ主力の広告事業は、規制懸念から成長期待が高まりにくい。ドイツ銀行は2日付リポートでフェイスブックへの広告出稿の増額に慎重な企業が増えているとの見方を示している。反転のきっかけは、傘下であるインスタグラムの収益化など「新規分野の成長期待が高まるような情報次第」(国内投信のファンドマネジャー)との見方があった。(吉田晃宗)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

アルファベット、攻めるも守るも巨額投資 費用増で減益も 【米決算プレビュー:7~9月期】

「グーグル」のアルファベットは25日の大引け後に2018年7~9月期(3Q)の決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(37社、22日時点)は前年同期比9%増の10.42ドル、売上高は23%増の272億ドルと見込まれている。検索エンジンや動画投稿サイト「Youtube」での広告収入の拡大はコンセンサス。だが、喜んでばかりもいられない。市場では、減益決算への警戒感も高まっている。 【7~9月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高 272億9300万ドル(+23%) ・EPS(1株利益) 10.42ドル(+8.9%)  (注)QUICK FactSet Workstationより作成 3Qは、収益の大部分を占める広告の売り上げが好調だったようだ。エバーコアISIは「モバイル検索広告で30%を超える成長が期待できるほか、Youtubeの収益貢献度も高まっている」と指摘。バークレイズも「自動入札など新しい広告ツールに力を入れており、マーケットシェアを獲得し続けている。23%の増収は達成可能だ」とみている。トップラインの拡大は、多くの市場関係者の見方が一致するところ。ネット広告市場の拡大を追い風に、予想を上回る売上高も期待できそうだ。 アルファベットの向こう12カ月の予想EPSをもとにしたPERは、およそ24倍。同じ「FAANG」の一角のアマゾンやネットフリックスは70~80倍ほどだ。あるアナリストは「アルファベットはEPSの成長に伴って株価が切り上がってきただけ。高いわけではない」と話す。レーティングを付与している43社中、39社が「バイ」や「オーバーウェート」としている。 検索エンジンやYoutubeの成長はコンセンサス。市場の関心は「第三の柱」が育ちつつあるかどうかだ。アルファベットは、安定して増え続ける広告収入を使ってさまざまな分野で種まきをしている。ノムラ・セキュリティーズは3Q決算で「クラウドサービスの『グーグル・クラウド・プラットフォーム』や各種デバイスなどハードウェア、自動運転の『ウェイモ』といった大型プロジェクトの進展を確認したい」としている。 なかでも、次の柱として期待の大きい分野が、膨大なデータを保存できるクラウドサービスだ。データ量の増大にともなって需要が高まっている。アルファベットのほかアマゾンやマイクロソフトも力を入れており、3社による寡占化が進んでいる。グーグル・クラウドの売り上げは4~6月期(2Q)時点で10億ドルを超えた程度。広告と比べて小さいが、バンクオブアメリカ・メリルリンチは「2019年には100億ドルまで成長する」と見込む。アルファベットの評価を一段と高めるカタリストになるのか、確認する決算となりそうだ。 一方、クラウドサービスは、データ量の増加に対応するためデータセンターの増強も必要になる。設備投資が膨らみやすく、コストとなって利益を圧迫する。アルファベットの2Qの設備投資額は55億ドルと、前年同期比で2倍近い規模に達した。この期の売上高である262億ドルの2割に及ぶ。 アルファベットの設備投資額の推移(四半期ベース、単位百万ドル) (注)QUICK FactSet Workstationより作成 データセンターだけでない。フェイスブックは個人情報が流出し、株価を大きく下げた。10月に明らかになったアルファベットのサービス「グーグルプラス」での個人情報流出は、サービスが終了する事態にまで発展した。ネット企業にとってセキュリティ対策は喫緊の課題。セキュリティ対策のための設備投資を打ち出すのであれば、さらに利益の圧迫要因となる。 トラフィック獲得コスト(TAC)の増加率が鈍り利益にプラスに働く、との見方は多いものの、設備投資の膨脹への不安は根強く、7社のアナリストはEPSが前年同期と比べ1ケタ台前半の増益率にとどまるか、2017年の2Q以来の減益を見込む。「最近はコストへの視線が厳しい。クラウドの成長に向けた前向きな投資でも、セキュリティ対策のための現状維持を目的とした投資でも、減益決算ならば売られるだろう」(アナリスト)との声もある。 ネット関連株が主力の一角を担う米株式市場だけあって、強弱入り交じるアルファベット決算に対する関心は高い。減益となれば、相場全体の重荷になりかねない。(松下隆介)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

稼ぐ力さらに勢い、アマゾンの敵は「アマゾン」 【米決算プレビュー:7~9月期】

アマゾン・ドット・コムは25日の引け後に、2018年7~9月期(第3四半期)決算発表を予定している。QUICK FactSet Workstationによると、調整後の1株当たり利益(EPS)の市場予想(44社平均)は3.08ドルが見込まれている。売上高は前年同期比31%増の571億ドルと予想されている。第2四半期では利益率が上昇し、市場の評価が高まってきた。第3四半期決算でもアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)に代表されるクラウド事業の伸びへの期待が根強い。物流などのコストを抑制しつつ「稼ぐ力」を示せるかに注目だ。 【7~9月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高    571億ドル(+30.5%) 会社予想540億ドル~575億ドル ・調整後EPS 3.08ドル (+5.92倍) アマゾンに対する市場の期待は大きい。カバレッジする47社のうち投資判断を「買い」またはオーバーウェイトとする比率は98%、中立は2%にとどまる。目標株価の平均は2216ドルと足元の水準から25%高い。 第2四半期決算では商品の在庫管理や配送の代行サービスといった「フルフィルメント」やマーケティングなど、営業費用の伸びがその前の四半期に比べて大幅に低下した。一方でAWSや広告、第三者に商品を販売する場を提供する「Third-Party Seller Services」事業が大きく伸びて市場の評価につながっていた。 <アマゾンの事業別売上高の推移> (注)QUICK FactSet Workstationより作成 第3四半期では売上高の過半を占める事業のEC事業の「Online Stores」は前年同期比11%増の293億ドルが見込まれる。利幅が大きとされる「AWS」事業の売上高は46%増の66億ドル、「Third-Party Seller Services」は36%増の107億ドルが見込まれている。第2四半期ではコストを抑えて利益率が高まっていただけに、改めて「稼ぐ力」に注目が集まる。 アマゾンは10月2日、米国内の全従業員の最低賃金を11月1日から時給15ドルに引き上げると発表した。平時から雇用している25万人に加え、年末商戦向けに短期で雇う10万人も対象となる。ロンドンでも最低賃金を引き上げる。 モルガン・スタンレーは賃金増加の影響として第4四半期の営業費用は5億ドル、19年度の営業費用として27億5000万ドルの増加が見込まれると分析する。とはいえ、モルスタはアマゾンの収益見通しに対して楽観的だ。投資判断はオーバーウェイト、目標株価は2500ドルと高い水準に設定する。 この2~3年で建設された倉庫には自走式のロボットが導入されているという。従来の倉庫に比べて、同じ処理能力に必要な延べ床面積が30%も少なくて済み、物流面の効率改善につながる。第2四半期にはモルスタの予想に比べて物流コストが予想を約7%下がったとし、今後もロボット導入により数年間は効率改善が見込めると予想する。 既存勢力を駆逐する「アマゾンエフェクト」なる言葉が定着し、小売業の業績を脅かすアマゾン。9月には株価は2000ドル、時価総額が1兆円を超える場面もあったが、その後は1700ドル台まで水準を切り下げている。市場の期待が高いだけに、利益の拡大による成長ストーリーを再び提供できるかに注目が集まる。(中山桂一)    ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

テスラ発表前倒し、今度はどんなサプライズ 【米決算プレビュー:7~9月期】

テスラが24日の大引け後、2018年7~9月期(3Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、調整後の1株当たり損益(EPS)の市場予想の平均値(23社、23日時点)は0.03ドルの赤字で、8四半期連続の赤字が見込まれている。8月にイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がツイッターで「非公開化を検討」とつぶやき、大きな混乱を招いたことで業績に対する関心は低いとみられるが、昨年は11月1日だった3Q決算を前倒しして発表することから、にわかにサプライズがあるのではないかと期待が高まっている。 【7~9月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高    60億5200万ドル  (2.02倍) ・EPS(1株損益)0.03ドルの赤字 (Non-GAAP、前年同期は2.92ドルの赤字) テスラの業績を占う上で重要なのは、量産型電気自動車(EV)のモデル3の生産動向だ。テスラは10月2日、2018年7~9月期(3Q)のEV出荷台数を発表し、全出荷台数は8万3500台で市場予想(8万1000台)を上回った。量産車のモデル3は5万5840台で市場予想(5万6100台)を下回ったものの、12日にEVの情報サイト・エレクトレックが「テスラが2018年10~12月期(4Q)に力強い生産でスタートし、1万1500台のEVを生産し、このうち量産車のモデル3は7400台を占めた」と報じ、比較的順調とみられている。 モデル3の四半期生産台数のコンセンサス・トレンドを見ると、3Qのコンセンサスは5万6100台にとどまる一方、注目すべきは2018年10~12月期(4Q)が6万5400台にやや上昇していること。2019年1~3月期(1Q)以降は7万台超となっており、週5000台の生産目標を達成したことで、四半期(13週)で6万5000台以上の生産が徐々に増えるとみられている。マスク氏のツイッターで投資家の信頼感が薄れているとみられたが、モデル3に関しては順調な生産が見込まれているようだ。 (注)QUICK FactSet Workstationより作成 決算発表を前に、23日の米国市場でテスラ株は12%高で急伸した。空売り投資家のシトロン・リサーチが23日、ツイッターで「テスラを今四半期にロング(買い持ち)にしている」とつぶやいたことで警戒感が薄れる展開だった。シトロンは、テスラがフォードの決算発表と同じ24日に決算を発表すると明らかにしたことについて「空売りには悪い兆候になるかも知れない」などと指摘していた。 今回の決算に関して、モルガン・スタンレーは23日付のリポートで「なぜテスラは決算を前倒ししたのか」と指摘。決算の前倒しはモデル3の生産動向、4Qの業績見通しでポジティブなサインが出ることを示唆しているなどと見込んでいた。投資判断のニュートラル、目標株価の291ドルは維持していた。 一方、弱気派のバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは23日付のリポートで「3Qは強い生産動向、車種の好ましい組み合わせ、運転資金のメリットで良いものになりそうだが、これらのファクターは一時的だろう」と指摘。バリュエーションやキャッシュフローに疑問があるとし、投資判断のアンダーパフォーム、目標株価200ドルを維持していた。 お騒がせCEOの動向に注目が集まる(Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images) 業績にやや安心感があるが、テスラに関してはマスク氏の動向に振り回される状況が続きそうだ。 マスク氏はツイッターで非公開化を検討と発信したことに関連して米証券取引委員会(SEC)と9月に和解したばかりだが、その後の10月4日にSECを「空売り投資家を金持ちにする委員会」と挑発するなど、ツイッターで自由奔放に情報発信を続けている。テスラはガバナンスを強化するため新たに独立した取締役2人を加えるほか、マスク氏の情報発信を監督する体制を整えるハズだが、ツイッターを見ている限り、あまり改善はみられない。 また、テスラの次期会長の有力候補に21世紀フォックスのジェームズ・マードック最高経営責任者(CEO)が浮上と報じられるなど、11月中旬までに会長人事で結論が出る見通しとなっている。決算発表のカンファレンスコールでガバナンス強化策などが出れば投資家心理の改善に繋がるとみられるが、テスラ株に投資する上では清濁併せ呑む心意気が必要かも知れない。(片平正ニ) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。  

マイクロソフト、株高導いたクラウド成長の強さ持続 【米決算プレビュー:7~9月期】

マイクロソフトは24日、2019年6月期の第1四半期(18年7~9月期)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationがまとめたアナリストの調整後1株当たり利益(EPS)予想(28社平均)は0.96ドル。前年同期(0.84ドル)から増益となる見通しだ。100ドル台の上場来高値となった株価を裏付ける収益をあげたかが焦点だ。 ソフトウエアがなくてもインターネットを通じてアプリケーションなどが使える「クラウド」サービスの市場拡大がマイクロソフトの業績に大きく貢献している。クラウドサービス「アジュール」は4~6月期の売り上げが前年同期に比べ89%伸びた。採算の良いネットサービスの広がりは利益成長を大きくする。 アジュールを含むインテリジェント・クラウド(IC)部門は4~6月期に26%の増収。マイクロソフト全体で17%の増収だった売上高の牽引役になった。会計年度が替わり、高成長だった前年度からのハードルがあがるものの、「クラウド需要が強さを保ち、アウトパフォーマンスを導く」(バークレイズ、10月15日付のリポート)と評価は高い。7~9月期のIC部門は2割近い増収になるとみられている。 マイクロソフトといえば、世界中にあるパソコン(PC)の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を扱う巨大企業。PCから情報端末の主役がスマホに移るなかで、同社はクラウドサービスに収益源の軸足を移した。 企業向けのアジュール以外も順調だ。エクセルやワードに代表される業務ソフトも伸びている。クラウド型の「オフィス365」に力を注ぎ、オフィス製品を扱うビジネス・プロセス(PBP)部門も7~9月期に二桁の増収率が見込まれている。 ウィンドウズやゲーム、タブレットPC「サーフェス」などを含むモア・パーソナル・コンピューティング(MPC)部門も前四半期に続いて高い増収率が予想されている。 【7~9月期の市場予想】 ・売上高              278億ドル     (+13.6%) ・調整後EPS(1株利益)   0.96ドル  (+15.7%) ・事業別売上高  MPC: 市場予想 101億ドル  (+8.6%) /会社計画99.5~102.5億ドル  PBP: 市場予想93.9億ドル (+14.0%) /会社計画92.5~94.5億ドル   IC: 市場予想82.7億ドル  (+19.6%) /会社計画81.5~83.5億ドル ※QUICK FactSet Workstationをもとに作成。カッコ内は前年同期比 <マイクロソフトの年初来の株価推移> もっとも株価は高値更新を続け、アジュール好調を相当織り込んだ。4~6月期の決算を開示した7月19日以降には業績拡大を好感した買いに支えられ、株価は100ドルを大きく上回った。4~6月期のEPSは1.13ドル、売上高は300億ドル。市場予想(それぞれ1.08ドル、292億ドル)を上回る好業績となり、買いに弾みを付けた。企業の資産に対する株価の割高さを示す株価純資産倍率(PBR)は約10倍に上昇した。9倍ほどのアップルを超え、グーグルを運営するアルファベットの4倍台を大きく上回る。 高値警戒感が残るなかで7~9月期の業績開示は株価にどのような影響を与えるか。株価は10月に入り全体の株式相場の軟化もあって、上昇が一服している。10月3日に116.18ドルの上場来高値を付けた後は、11日に104.20ドルまで下げる場面があった。押し目買いの好機となるには、市場の高い期待を超える利益成長を示す必要がある。(今田素直)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

AMDに吹くインテルの追い風と仮想通貨の逆風 【米決算プレビュー:7~9月期】

アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が24日の大引け後、2018年7~9月期(3Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、調整後の1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(28社、20日時点)は前年同期比20%増の0.12ドルと見込まれている。半導体市況の悪化が見込まれる中、インテルの中央演算処理装置(CPU)の供給が不足していることが下支え要因となりそうだが、市場の懸念を払拭する成長性が示されるかが重要となりそうだ。 【7~9月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高(営業収益)  17億200万ドル(+3.5%) ・EPS(1株利益)       0.12ドル(+20%、Non-GAAP) AMDの業績をけん引してきたのは、仮想通貨のマイニングに優れる画像処理半導体(GPU)の「ラデオン」を含むコンピューティング&グラフィックス部門(C&G)である。3QのC&G部門の売上高のコンセンサスは前年同期比28.2%増の10億5000万ドル。前年同期では大幅な増収だが、C&Gは2018年1~3月期(1Q)にピークを付け、2四半期連続で減収が見込まれている。ビットコインに代表される仮想通貨が今年は低迷しており、マイニング需要に対する期待値が低いのが現状だ。 AMDに強気な調査会社カウエン&カンパニーは17日付のリポートで、投資判断のアウトパフォームと目標株価の33ドルを維持した。その中では「インテルの14ナノメートル製品の供給不足を受け、パソコン市場の一部でAMDが恩恵を受けると考えている」としながら、「CPUの主力製品であるライゼンの中でも、GPUを統合した『ライゼン・モバイル』が好調とみられるため、低・中価格のGPU市場、仮想通貨のマイニング需要の鈍化という逆風を相殺するのに充分と考えられる」と指摘。特にインテルの供給不足の影響については「短期的な株高要因だけでなく、長期的にAMDのチャンスを広げる可能性がある」と見込んだ。インテルの顧客の半導体需要を取り込みつつ、2020年に向けてPC、GPU、サーバ向けCPUの「EPYC」、ゲーム用GPUなど製品全体で一貫したロードマップを実行できれば、高い粗利益目標を上回ることができるだろうと今後の成長に強気の見方を示した。 【AMDのセグメント別売上高の推移】 (注)QUICK FactSet Workstationより作成 一方、弱気派のゴールドマン・サックスは18日付のリポートで、目標株価を21→27ドルに引き上げたが投資判断はニュートラルを維持した。同社が半導体業界を調査した結果や最近のインテルの見解を踏まえ、インテルのCPU不足の影響を考慮。好調なCPUとは対照的に「GPUの売上高は2019年1~3月期(1Q)まで35%減少すると見込まれる」と予想した。その主因として、GPUのライバルであるエヌビディアが新製品をこれから発表する可能性を挙げ、「エヌビディアがGPUの『GeForce』の高価格製品である2070/2080/2080Tiを導入したが、まだ中低価格帯の製品が出ていないことに注意」と指摘した。エヌビディアの新製品が出ると、AMDのシェアは数四半期は低下する恐れがあるという。 AMDは19日に11.11%安で急落した。ニューストリート・リサーチが19日付のリポートで投資判断を売り、目標株価を18ドルとしたことが嫌気された。ニューストリートは「AMDはインテルの代替役にはなれない」などとし、近年の好調な業績が曲がり角を迎えたと厳しい見方を示していた。 AMDの株価は足元で下げ基調にあるが、年初来で2.08倍の上昇を記録している。4月に10ドルを割った後は好業績を背景に急伸し、9月には34.14ドルまで上昇して年初来で3倍の急騰を果たした。4月末時点で21%だった空売り比率も9月末時点では14%に縮小し、売り方の買い戻しが進んだことが株高の一因とみられている。AMDは2015年4Q決算以降、11四半期連続でEPSが市場予想を上回る「ポジティブ・サプライズ」の常連で、インテル要因以外で成長性を示せるのかが重要となりそう。決算発表を前に急騰後の調整が進んだため、サプライズがあれば見直し買いが入る可能性も否定はできない。(片平正ニ)    ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。  

キャタピラーが示す米中景気の強弱とリスク【米決算プレビュー:7~9月期】

建設機械大手のキャタピラー(CAT)は、米中部時間23日午前6時30分(日本時間23日午後8時30分)に2018年7~9月期決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると23日時点の市場の予想EPS(1株利益)は2.83ドル。売上高は前年同期比16%増の132億5800万ドルと予想されている。 【キャタピラーの18年7~9月期決算に対する市場予想】 ・売上高      :132億5800万ドル(前年同期比16.1%増) ・EPS(Non-GAAP)  :2.83ドル(同45.1%増) (注)(QUICK FactSet Workstationより) キャタピラー株には依然として強気の見方が多い。23日時点でQUICK・ファクトセットが集計した目標株価の平均は175.84ドルだ。22日の株価(128.71ドル)を約36%上回る水準。28社のアナリスト予想のうち16社が「買い」のレーティングとなっている。「中立」は9社で、「売り」推奨は1社のみだ。米中の通商摩擦が取りざたされるなか、中国関連のキャタピラー株には売りがかさみ、アナリスト予想との乖離は大きくなっている。 JPモルガン証券は5日付けのリポートでキャタピラーの目標株価を188ドルに据え置いた。毎年ニューヨークで開かれる米国道路交通建設者協会(ARTBA)のミーティングで過去最高の受注環境が大手建設会社などから報告されたという。米政府の支出は増加傾向で、上位12州に今後3年間で1000億ドルが支出される見込みであることをキャタピラー株に強気な見方を示す理由に挙げた。最大のリスクは原材料価格や人件費などのコスト上昇であることも指摘した。 クレディ・スイス証券も強気だ。15日付けのリポートで、キャタピラーは引き続き機械業種の最注目株であると指摘した。目標株価は210ドルとした。機械業種全体の18年7~9月期の業績について、4~6月期と同様、ドル高の逆風のなか売上高は予想と一致かやや上振れる程度の水準に着地するとの見方を示した。コスト高が利益の下押し要因となるが、それでも株価が上昇傾向にあるのは19年への期待の現れだとも指摘した。 キャタピラーの地域別売上高の46%を占める北米地域の景気は好調となっている。1日、サプライマネジメント協会(ISM)が発表した9月の米製造業景況感指数は59.8だった。2004年以来14年ぶりの高水準となった8月を1.5ポイント下回ったものの、引き続き高水準で推移している。 売り上げのもう一つの柱である中国の景気はやや先行き不透明だ。中国国家統計局が9月27日に発表した一定規模以上の工業企業の2018年1~8月期の利益は前年同期比16.2%増の4兆4248億7000万元だった。増加率は1~7月(17.1%)からやや鈍化したほか、8月単月では前年同月比9.2%増の5196億9000万元と、伸び率が7月(16.2%)から大幅に減速した。 米中の貿易摩擦の激化の兆しへの株価の反応は大きい。トランプ米大統領が10月9日、対中関税に中国が報復した場合残りすべての輸入品に追加関税を課すと改めて述べると、キャタピラーの株価は2.53%下落した。通商摩擦の動向次第で売られる構図は変わらない。今後の業績の成長には、好調な米景気だけでなく貿易摩擦による減速が懸念される中国経済からの後押しも欠かせないと市場は見ている。(伊藤央峻)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

ネトフリ、契約者伸び増益 膨張する制作費にリスクの芽 【米決算プレビュー:7~9月期】

米主要ハイテク企業の7~9月期の決算発表が16日(日本時間17日朝)から本格化する。先陣を切るネットフリックスの実績や見通しはハイテク株全般に影響を与える可能性があり、米株式相場の先行きを占ううえでも注目される。QUICK FactSet Workstationによると、主要500社の2018年7~9月期の純利益は前年同期比20%程度の増加と8年ぶりの高い伸びが見込まれている。恒例の米決算プレビューで注目企業の読みどころを紹介する。 ネットフリックスの7~9月期業績は拡大基調が続く見通し。QUICK FactSet Workstationによると、市場の予想1株利益(EPS)は前年同期比87.5%増の0.75ドル(15日時点)と大幅増益が見込まれている。業績を左右する動画配信の契約者数について、市場は会社予想を上回るとの予想だ。ただ、足元ではゴールドマン・サックスなど米証券大手の目標株価の引き下げが相次いでおり、アナリストの慎重な見方が台頭している。 【ネットフリックスの18年7~9月期の市場予想】 ・売上高  39億9500万ドル(33.8%増) ・EPS  0.75ドル(87.5%増、Non-GAAP)       0.68ドル(2.3倍、GAAP) (注)※予想はQUICK FactSet Workstation。15日時点、EPSは18社の予想()内は前年同期比。 契約者数は518万人の増加予想 7~9月期はインドなど海外向け動画配信事業が引き続き好調だったようだ。市場予想の契約者数は全世界で518万人程度(前期は515万人、前年同期は530万人)と、会社予想の500万人増に対してやや上振れを見込んでいる。ちなみに4~6月期の契約者数は520万人増と会社予想(620万人増)だけでなく市場予想(637万人増)を大幅に下回り、市場で失望が広がった。 契約者数の増加に加えて、ユーザー当たりの平均収入の増加も収益の押し上げに寄与したようだ。ただ、純現金収支(フリーキャッシュフロー)は赤字基調でゴールドマン・サックスも12日付のリポートでこの点を指摘。18年の独自番組の制作費が33億ドルと前年の20億ドルから大幅に増え、フリーキャッシュフローの赤字拡大を懸念しているという。投資判断は最上位の「買い」を維持したものの、目標株価を470ドルから430ドルに引き下げた。 ネットフリックスはオリジナルを含むテレビ番組や映画をネット配信しており、契約者数は世界で約1億3000万人に膨らんでいる。 市場の目標株価は平均380ドル 主力ハイテク株で構成される「FANG」のなかでも一人勝ちといわれてきたネットフリックス株だが、足元の株価は軟調に推移している。動画配信事業の競争激化に対する警戒感が底流にある。19年には米アップルが動画配信事業を始めるほか、ウォルト・ディズニーはネットフリックスとの契約を打ち切り、独自でコンテンツ配信に乗り出す。9日には、ウォルマートと「007」シリーズを手掛ける映画スタジオ大手のメトロ・ゴールドウィン・メイヤーが動画配信のコンテンツ分野での提携を発表した。 <FANGの年初からの株価推移> (注)青:ネットフリックス、赤:フェイスブック、緑:アマゾン、オレンジ:アルファベット(グーグル)、紫:ナスダック。 競争が激しくなりコンテンツの制作費が膨らむ可能性があるなか、足元の米金利上昇に伴う利払いコストの増加が追い打ちをかけるリスクが台頭。しかし競合の動画配信ビジネスが軌道に乗るには時間を要すため、ネットフリックスは先行者メリットを享受できるとの見方もある。市場平均(43社)の目標株価は380ドルと、15日の終値333.13ドルを1割強上回っており、ネットフリックスに対する成長期待は根強い。(根岸てるみ)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

アリババ、「腹ペコ」の子と元安リスク 【米決算プレビュー】

中国の電子商取引(EC)大手のアリババ集団(BABA)が23日、2018年4~6月期決算を発表する。ネット出前サービス「餓了麼(ウーラマ)」を傘下に収めた効果で売り上げは大幅に伸びたが、その損失も加わるため利益は圧迫されたもよう。ウーラマは中国語で「お腹が減った!?」の意味。文字通り、腹ペコの子供が親の稼ぎを食っている構図といえる。米中の貿易戦争を背景とする人民元安もリスクだ。 【アリババの18年4~6月期決算の市場予想】 ・売上高         :814億6500万元(前年同期比62%増) ・EPS(非GAAP)  :8.42元    (同6%増) ※予想はQUICK FactSet Workstation 8月10日時点 QUICK FactSet Workstationによると、4~6月期の連結売上高は前年同期比62%増の814億6500万元(約1兆3200億円)だったようだ。ウーラマの運営会社を5月に完全子会社にし、連結対象に加えたことが寄与する。アリババは期初に19年3月期の売上高が前期比60%伸びるとの見通しを示しており、第1四半期は会社計画を上回る増収ペースになったとみられている。 ウーラマは中国のネット出前サービスの横綱だ。香港の交銀国際によると、中国の外食市場全体に占める出前市場の比率は18年に18%と、17年の8%から倍以上に拡大する。ウーラマの売上高も順調に伸び、19年3月期はアリババの売上高におよそ170億元がプラスされる見通しだ。これはアリババ全体のおよそ4%に相当する。 ネット出前の市場規模は拡大の一途だが、ライバルとの競争も激しい。騰訊控股(テンセント)グループの「美団点評」とつばぜり合いを演じており、なかなか利益が上がらない。ウーラマが19年3月期にアリババ全体の利益率を3%押し下げるとの試算もあり、今後いかにうまく注文をさばき、配送効率を高めていくかが利益を上げるカギになる。「今年はウーラマの逆ザヤが縮小する」(UOBケイヒアン)との見方もあるが、しばらくは親のすねをかじり続けることになるだろう。連結決算に加わった第1四半期は、売り上げアップと利益ダウンの間でアリババの評価は揺れるかもしれない。 ウーラマだけではない。動画配信の「優酷土豆」がサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の放映権を買って、およそ15億元の追加コストが発生したのに加え、グループに加えた物流サービスの「菜鳥網絡」や生鮮スーパーの「盒馬(フーマー)鮮生」も引き続き利益の足を引っ張る要因だ。 もちろん、それらはみな巨大なアリババ経済圏を築くために必要なコストだろう。たくさん食べれば、すくすく育つかもしれない。優酷でW杯が観戦された回数は、日本の紅白歌合戦に相当する春節(旧正月)晩会の1.5倍になったという。アリババのライバル、京東集団(JDドットコム)が仕掛けた創業記念日の「6月18日」商戦には、ネットとの融合を狙うアリババ傘下の実店舗も参戦。「ニューリテール(新小売り)戦略が効き始めている」(中金公司)という。 足元のアリババ株は上値が重い。リスクは、中国消費の減速感と激しさを増す米中の貿易戦争か。中国国家統計局によると、物品に限った全国インターネット売上高は1~6月に前年同期比29.8%伸びた。十分に高い伸びだが、1~3月の34.4%から鈍化している。一方、貿易戦争は投資家心理を重くするだけでなく、中国の通貨、人民元の対ドル相場に下落圧力をかけている。ロバートWベアードは6月の人民元の対米ドルの下落率から、アリババの為替関連の損失が少なくとも10億元になるとはじき、「人民元安の基調が変わらなければ、向こう数四半期にわたって逆風になりかねない」との見方を示している。 アリババの上場以来の株価推移 (大谷篤) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。  

エヌビディア、データセンター好調で大幅増益か【米決算プレビュー】

GPU(画像処理半導体)大手のエヌビディアが米西部時間16日午後に2018年5~7月期決算の発表を予定している。QUICK FactSet Workstationによると、市場予想の調整後EPS(39社平均)は前年同期比79.8%増の1.65ドルが見込まれている。 部門別売上高ではOEMその他事業が25.6%減と落ち込むものの、売上高全体のうち比率の大きいゲーム部門の成長とともにデータセンター事業の大幅な売上増が見込まれている。直近では米中の貿易摩擦による警戒感から株価水準を切り下げていたが、株価は再び好調な業績を折り込みつつある。 ソフトバンクグループ(9984)は10兆円ファンドの「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を通じてエヌビディアに多額の出資している。エヌビディアの業績や株価はソフトバンクの株価動向にも影響を与えやすい。 【2~4月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高        :30億9760万ドル(+49.3%) ・調整後EPS            :1.65ドル(+79.8%) ~~~売上高の部門別内訳~~~ ・ゲーム部門      :17億5100万ドル (+47.7%) ・映像化部門    : 2億5500万ドル(+8.7%) ・データセンター部門: 7億4300万ドル(+78.6%) ・自動車部門    : 1億4800万ドル(+4.1%) ・OEMその他   : 1億8700万ドル(-25.6%) ※QUICK FactSet Workstationより   エヌビディアはコンピューターグラフィックスの先端を行くビジュアルコンピューティング企業。PCやモバイル機器に搭載される高性能なグラフィックスチップとプロセッサの開発・製造を手掛ける。 製品用途はPCの画像処理から、ゲーム機、専門可視化装置、データセンター、AI、仮想通貨のデータ処理、自動車などへと拡大の一途をたどる。任天堂(7974)の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」のメーンプロセッサーにエヌビディア製のモバイルプロセッサ「Tegra」が採用されている。 売上高の過半はゲーム部門が占め、好調な伸びが予想されている。ゲーム部門の売上高は前年同期比47.7%増の17億5100万ドルが見込まれる。一方、規模こそ小さいものの市場が期待するのはデータセンター部門の伸びだ。18年5~7月の同部門の売上高は前年同期比78.6%増の7億4300万ドルと大幅な伸びが見込まれる。クラウド・サービスを利用する顧客の「ディープラーニング」に対する市場の関心は高いとされ、データセンター部門はエヌビディアが最も注力すべき事業との見方もある。   あるアナリストは「ゲーム事業の成長加速と自動車向けやVR向け製品市場の伸びにより『Tegra』の大幅な売上増」を強気ケースとして挙げる。 <過去20四半期決算分析> EPS実績  対市場予想 上振れ回数          18 下振れ回数             2 EPS実績/市場予想(%) 平均乖離率   +21.9 平均上振れ率      +27.6 平均下振れ率       -30.2 決算発表直後1日の値動き 上昇回数     13 下落回数      7 平均騰落率      +5.9 平均上振率        +10.9 平均下振率           -3.3 (注)QUICK FactSet Workstationの「サプライズ履歴」より作成   エヌビディアの決算発表は市場予想の平均を上回るケースが多い。過去5年(20四半期)で18回も市場予想を上振れ、下振れは2回にとどまる。決算発表後1日の同社株の値動きは上昇回数が13回と実績値を評価する向きが強い。 とはいえ、前四半期決算の翌日には実績値が市場予想を上回ったものの、株価は2.2%下落した。5~7月期に仮想通貨向けの半導体需要が落ち込むとの見通しが嫌気された経緯がある。  エヌビディアの年初からの株価推移 その後、株価はじりじりと持ち直し、各社の目標株価の平均(276.19ドル)に接近している。ゲーム事業は安定的な収益源であるとの見方は多いが、ブレが大きいとされる仮想通貨向けGPUが収益にどれほど貢献するか。市場予想を上振れる好業績を示せれば上場来高値の更新が視野に入るだけに、各事業の直近の収益だけでなく目先の見通しにも注目が集まる。(中山桂一)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

ディズニー、「動画の王国」へのエピソード1 【米決算プレビュー】

2019年にウォルト・ディズニーが本格参入する動画配信サービスは覇権争いが激しさを増している。ディズニーに勝算はあるのか。期待と憂慮が交錯するなか、同社が米東部時間7日の引け後(日本時間8日午前)に発表する4~6月期決算に関心が集まる。 <市場予想>       18年4~6月期 ・売上高  153億ドル(7.8%増) ・EPS  1.95ドル(23.4%増、Non-GAAP) (注)7月31日時点、25社の予想()内は前年同期比 ネットフリックスに勝る豊富なコンテンツが強み 動画配信で先行するネットフリックスに対抗するため、ディズニーとアップルは19年から自社で動画配信を始める。競争激化が見込まれるが、ディズニーにはコンテンツを豊富に保有している強みがある。人気映画シリーズの「スター・ウォーズ」や「アベンジャーズ」に加え、コムキャストとの買収合戦を制して21世紀フォックスのコンテンツ事業を獲得することで「アバタ―」もラインアップに加わる予定だ。今後はドル箱作品を自社で配信し、それ以外は競合に販売するなど選択肢も広がりそうだ。  一方で、これに伴いバランスシートには負担がかかりそう。コンテンツ事業(映画スタジオ「20世紀フォックス」など)の買収額は、コムキャストの登場で当初の524億ドルから713億ドル(約8兆円)に引き上がり、ディズニーの年間売上高の約550億ドル(17年9月期)を大きく上回る。純現金収支(フリーキャッシュフロー)は安定的に増加してきたが、大型買収で財務バランスが保持できなくなる可能性や、競争激化でヒット作を生み出すために制作費が膨らむことも考えられる。 英放送局スカイを巡る展開も気掛かりだ。ディズニーは今回の買収でフォックスが所有するスカイ株39%を手に入れる予定だが、スカイの完全子会社化を目指すフォックスと、コムキャストの間でスカイ争奪戦が繰り広げられている。状況次第でディズニーは欧州での戦略の見直しを迫られる可能性がある。   4~6月期のEPSは23%増の1.95ドルの見込み ディズニーの4~6月期の決算は増収増益を見込む。QUICK FactSet Workstationによると、市場予想(7月末時点)は売上高が前年同期比7.8%増の153億ドル、1株利益(EPS・特殊項目を除く)は23.4%増の1.95ドルを見込む。有料テレビ事業など主力部門の収益は低迷が続くものの、テーマパークや映画制作の事業でカバーする。 コムキャストがフォックスの買収を断念したと発表した7月19日以降、ディズニーの株価は堅調に推移。6日には一時116.84ドルと2015年11月以来の高値を付けた。株価上昇を受けて時価総額は再びネットフリックスを上回っている。しかし、両社の年初からの株価を比較するとディズニーの上昇率は小幅にとどまる。 <ディズニー(青)とネットフリックス(緑)の年初からの株価推移> 先行きを見極めたいアナリストは多いようだ。QUICK FactSet Workstationによると、ディズニー株に対する投資判断は足元で「中立」と「売り」が増えている。ディズニー株が一段高となるには、動画配信サービスの行方がカギを握る。(根岸てるみ)       ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。  

テスラ、生産は?財務は?CEOの振る舞いは? 【米決算プレビュー】

テスラは8月1日の大引け後、2018年4~6月期(2Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、調整後の1株当たり損益(EPS)の市場予想の平均値(20社、29日時点)は2.78ドルの赤字で、7四半期連続の赤字が見込まれている。電気自動車(EV)の「モデル3」の生産目標の週5000台は達成されたが、市場では量産に慎重な見方が支配的。前回の決算発表時にはカンファレンスコールでイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の非常識な振る舞いも問題となった。 【4~6月期決算の市場予想】  (前年同期比) ・売上高    39億9000万ドル(+43.0%) ・EPS(1株損益)-2.78ドル (Non-GAAP、前年同期は-1.33ドル) テスラの業績を占う上で重要なのは、モデル3の生産動向だ。7月に入り、6月最終週に5031台生産し、2Q末の生産目標(週5000台)を達成したことで株価は一時戻り歩調にあったが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙電子版が22日、「テスラが一部のサプライヤーに対し、これまでに支払った代金の一部を返金するよう求めている」と報じたことで財務不安が台頭。足元で株価は300ドル近辺で戻りの鈍い展開となっている。生産現場のトップエンジニアでシニア・バイスプレジデントのダグ・フィールド氏がテスラを辞職したと報じられたこともあり、モデル3の生産目標達成が一時的に過ぎないのではないかとの懸念も残る。テスラは8月末には週6000台に生産台数を引き上げる予定だ。 今回の決算に関して、ノムラ・セキュリティーズは25日付のリポートで投資判断の買い、目標株価450㌦で強気の見方を示しながら、「倒産危機説が再度現れたが、売上高は一段と拡大する見通し」と本業が好調との見方を披露した。7~9月期(3Q)の売上高はモデル3の生産にけん引されて前四半期比で60%増の64億ドルになるといい、「台湾と韓国のサプライチェーンの調査によると、モデル3向け部品を週あたり生産台数6000台超に見合うペースで調達しているようだ」と指摘。また過去18カ月間、テスラ株の空売り残高が株価と逆相関を示してきたとしながら、「決算発表に向けて、7月末時点の空売り残高は120億ドル規模で過去最高に上るとみる」と分析した。決算をきっかけに空売りの買い戻しが入れば需給的には上昇圧力が掛かりやすいかも知れない。 創業者のマスクCEOの振る舞いも注目される。前回の決算発表時のカンファレンスコールでは、マスク氏がバーンスタインのアナリストが増資について質問した際、「クールじゃない」と述べて回答を拒否。RBCキャピタルマーケッツのアナリストが生産が遅れているモデル3に関して、予約したうちの何パーセントが生産されたのか質問した際には「それらの質問は、かなりつまらない」と述べ、真剣に答えようとしなかった。マスク氏の天真爛漫なツイートも投資家からすれば悩みの種だ。 モルガン・スタンレーは25日付のリポートで「テスラ株の乱高下が続いている。その要因はメディア報道、アナリストレポート、マクロ経済イベント、奇異なツイートと様々だ」としながら、「株価はフェアバリューに近い水準にあるとみており、投資家が株価の方向性をよりつかみやすくなる機会が生じるのを待ちたい」とした。ある投資家から先日、モルガンに質問が寄せられた。それは「テスラはモデル3の受注残が40万台を超えていると依然述べているが、公式ウェブサイトのオンライン受注コーナーには1~3カ月後に納車とある。しかし、週当たりの生産台数を5000台と仮定するなら、18カ月分の受注残が存在することになる。そのような状況なのに6万台(週当たり5000台×12週間)もの注文を受け付け、これを先に納車することができるのか」という内容とのことだったという。 ★モデル3の生産台数のコンセンサストレンドは各四半期横ばい状態 【週5000台を達成できれば、1四半期(13週)で6万5000台になるはず!】  (注)QUICK FactSet Workstationより作成 モルガンは、納期の正確さ、正確なモデル構成、そして「架空の」受注残などは正確な予測を困難にする要因の一部に過ぎないとしながら、「あのような短い納期をテスラはなぜ宣伝しているのか、と心配する投資家もいるかもしれない」と指摘する。今回のカンファレンスコールでもアナリストから厳しい質問が出る可能性があり、マスクCEOがサプライヤーへの返金要請報道などに丁寧に答えて信頼回復を果たせるのかがポイントとなりそうだ。コンセンサスを見る限り、市場はモデル3の量産に依然として慎重なことが分かる。(片平正ニ)    ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

スマホ決済のスクエア、顧客層広がりに期待 【米決算プレビュー】

スマホなどを使った販売店向け決済サービスを提供するスクエアは8月1日、2018年4~6月期の決算を発表する。EPS(1株あたり利益)の市場予想は0.11ドル(非GAAPで希薄調整後、QUICK FactSet Workstation)。0.09~0.11ドルを掲げる会社予想の上限まで期待は高まっている。2009年設立のベンチャーは育ち盛り。顧客層がまだまだ広がるとみた投資家が多く、株価は右肩上がりだ。 <18年4~6月期業績の市場予想> 売上高(GAAP)    7億7810万ドル(41%増) EPS(GAAP)    0.04ドルの赤字(横ばい) EPS(非GAAP)   0.11ドル(57%増) ※()内は前年同期比 ※売上高は22社の予想。1株損益は非GAAPが34社、GAAPが18社の予想 (QUICK FactSet Workstationをもとに作成) スクエアのICカードリーダーはスマホのイヤホン端子に差せば、クレジットカード決済もできるレジになる手軽さが受けている。顧客層は37%が飲食店、28%がサービス業、23%が小売店舗だ。米国やカナダだけでなく、日本やオーストラリア、英国にも展開している。 スクエアは中小企業向けの融資や人気レストランのフードデリバリーサービス「キャビア」も手がける。送金が簡単にできる「スクエアキャッシュ」では、1月から仮想通貨ビットコインの取引もできるようになった。 1~3月期の売上高は前年同期に比べ45%増えた。ビットコインの取引を始めたのが底上げした。ビットコインの収益を除いても増収率は37%を確保している。 4月には電子取引を可能にするネットシステム基盤を提供するWeeblyを買収すると発表し、業績拡大の期待が高まりそうだ。スクエアの加盟店に、実店舗だけでなくネットでも顧客と取引ができる包括的サービスを提供する。 【過去2年の株価チャート】     軽い投資負担を魅力にして中小規模の店舗を取り組むビジネスには未開拓の顧客層が多いとされ、将来の成長期待は高い。決算発表前の株価はじり高となり、一時は70ドル台まで水準を切り上げた。予想PER(株価収益率)は100倍を大きく超える。(今田素直)    ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。  

アップル、本当の期待と驚きは新機種が出る7~9月 【米決算プレビュー】

アップルが31日の大引け後、2018年4~6月期(3Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(34社、26日時点)は前年同期比29.3%増の2.16ドルとなっている。新型の多機能携帯電話(スマートフォン)であるiPhoneの発表前の四半期のため販売台数でポジティブ・サプライズは期待しづらいが、7~9月期の業績見通しで強い数字が示されれば新機種への期待感から見直し買いが入る可能性もある。 【4~6月期決算の市場予想】   (前年同期比) ・売上高            523億ドル  (+15.1%) ・EPS(1株利益)    2.16ドル  (+29.3%) ・iPhone販売台数 4179万台  ( +1.8%) アップルは例年、7~9月期(4Q)にiPhoneの新機種を発売し、10~12月期(1Q)に最高益を更新するのが通例となっている。今回は3Q決算で新機種発表前の買い控えが想定されるほか、米中の貿易紛争懸念が残る中、米国で設計して中国で製造するiPhoneがターゲットにされるのではないかとの警戒感も根強い。 モルガン・スタンレーは23日付のリポートで、同社の従来予想を若干修正して3QのiPhone販売台数を3980万台と見込みつつ、「投資家は引き続き7~9月期のガイダンスと秋のiPhone販売に注目するとみられる」と指摘した。アップルは今秋にiPhoneの新機種①6.5インチの有機エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレー(OLED)を搭載したiPhoneX Plus、②現行のiPhoneXと同じ5.8インチのOLEDモデル、③6.1インチの液晶パネル(LCD)モデル――の3機種を発売すると見込まれている。 リポートでは「サプライヤーによれば、6.1インチLCDモデルの量産に1カ月の遅れが出たが、当初想定されていた6週間の遅れより小幅である」としながら、「それでもiPhoneの3つの新モデルはすべて9月に発表される見通しだ」と指摘。「当社の中国チームは2018年下期のiPhone生産台数を9000万台に据え置いている。これは2017年下半期(8900万台)を若干上回る水準だ」とし、iPhoneXの生産・販売が遅れた前年同期よりも生産台数が増えることを評価していた。アップル株のカタリストとして9月の新製品が重要としつつ、リスク要因として①iPhone発売日の先送り、②サービス部門の大幅な予想未達、③貿易問題を巡る米国と中国の舌戦が激化する――を挙げていた。 <アップルの四半期iPhone販売台数のトレンド推移> ※QUICK FactSet Workstationより作成 9月に発売されるiPhoneの新機種の動向を探る上で注目されるのが、2018年7~9月期(4Q)の業績見通しである。BMOキャピタル・マーケッツは22日付のリポートで、4Qの売上高を559億ドル、EPSを2.44ドルと見込み、市場予想よりも弱めで見込んだ。「iPhoneの平均販売価格の見通しに警戒している」と指摘し、新機種のOLEDモデルが余り人気を博さない可能性を指摘した。BMOによればiPhoneの買い換えサイクルは従来の2.2年から2.5年に伸びているといい、「新製品が顧客を惹きつけなければさらにサイクルが伸びる可能性がある」と見込んだ。 iPhoneの平均販売価格は高価格のiPhoneXの販売が始まった2017年10~12月期(1Q、778ドル)をピークに低下基調にあり、4~6月期の市場予想は704ドルとなっている。7~9月期で724ドルと3四半期ぶりに増加が見込まれているが、会社側の予想が市場予想並みの低めの数字になると、高価格の新機種は売れないとアップル自身が考えていることを意味するだけに、新製品投入が予定されている7~9月期の見通しに、より関心が集まりそうだ。 アップル株は26日に195.96ドルまで上昇し、連日で分割後の上場来高値を更新していた。今回の米決算では決算を機にグーグルの親会社であるアルファベットやアマゾン・ドット・コムが大幅高となる一方、ネットフリックスやフェイスブックが売られる展開で、FANG銘柄の中で選別の動きが強まっている。アップルは決算前に期待先行で上昇しているだけに、材料出尽くしの動きもやや警戒されそうだ。(片平正ニ)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。  

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