手術ロボISRG、成長性の「診断カルテ」は期待以上か 【米決算プレビュー】

インテュイティブサージカル(ISRG)が18日の大引け後、2019年1~3月期(1Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、調整後の1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(15社、15日時点)は前年同期比10.6%増の2.70ドルと見込まれている。株価は決算に先立って6カ月ぶりに上場来の高値を更新しており、2四半期ぶりのポジティブ・サプライズで出尽くし感を払拭する展開が待たれる。 【2019年1~3月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高      9億7300万ドル  (+15.0%) ・EPS(1株利益)   2.70ドル  (+10.6%、Non-GAAP) ・ダ・ヴィンチ・サージカルシステム 219台(+18.3%) インテュイティブサージカルはロボット支援による低侵襲手術「ダ・ヴィンチ・サージカルシステム」を手掛ける医療機器メーカーである。従来は遠い戦地での治療を行うために開発された軍事用の遠隔手術装置だったが、ロボットアーム技術などの進歩によって患者の負担を減らす低侵襲手術として民間で発展。2000年にロボット支援手術システムとして米食品医薬品局(FDA)の認可を得た。 胸腔鏡手術、心臓手術のほか、小児外科など多岐に活躍の場を拡大し、2014年から日本でも直接販売されて2018年4月からは国内での手術が保険適用となった。手術の際に大きく開腹する必要がないため、術後の回復も早く、感染症に罹りづらいメリットもある。 ISRGは先進技術を活かした手術システムを持つわけだが、ジョンソン&ジョンソン傘下で手術用医療機器を手掛けるエチコンが今年2月、手術用ロボットを手掛けるオーリス・ヘルスを34億ドルで買収すると発表。昨年にはライバル機の手術支援ロボットシステム「Versius」を手掛けるCMRサージカルとフロリダ州の病院がVersiusの訓練プログラムを始めた経緯もあり、手術ロボット業界内で競争が激しくなりつつある。 それでもISRGの株価は足元で強く、4月に入り、2018年10月1日に記録した上場来高値を6カ月ぶりに更新した。12日には589.32ドルまで上昇して600ドルの大台を試す展開となっている。QUICK FactSet WorkstationによればISRGをカバーしているアナリスト(20名)の目標株価の平均値は593.77ドルとなっており、足元の株価はアナリストの目標株価の平均に迫っている。最も高い目標株価を設定しているのはSVB Leerinkの650ドル(11日付)だ。 強気派の一角のドイチェ・バンク・リサーチは1日付のリポートで投資判断・買い、目標株価630ドルで新規カバレッジを開始した。リポートではまだ世界規模の外科手術市場が浸透していないため、技術革新による堅調な売上げ成長のための滑走路が残されているとしながら、「競合相手の手術ロボットの発売が迫っており、見逃すことはできないが、無数の重要な競争上の優位性を鑑みると市場のリーダーシップを維持することは可能だ」と指摘。「我々は世界で、安定的に10%台半ばで手術が増加すると見ており、最終的にISRGのビジネスモデル全体を推進することになるだろう」とも指摘した。米国でロボット手術が継続的に行われるとみられる一方、今後数年は日本と中国が成長ドライバーになるとも指摘した。 RBCキャピタルマーケッツは15日付のリポートで「最近のイベントで外科医達と話したところ、我々が今年予想する全世界でISRGが17%成長することを満足させるものだった」と指摘。フレキシブルカテーテルの「Ion」と、1つの穴から複数のロボットアームを入れて手術を行う「ダ・ヴィンチSP」に投資家が感心を寄せているなどと指摘していた。 なお、ISRGの決算時の反応を知るQUICK FactSet Workstationのサプライズ履歴を見ると、ISRGは2015年4~6月期(2Q)から2018年7~9月期(3Q)まで14四半期連続でEPSの実績が市場予想を上回るポジティブ・サプライズを記録していた。今年1月に2018年10~12月期(4Q)決算を発表した際には、決算に先立って売上高速報を出した経緯がある中でのネガティブ・サプライズとなったが、通常なら市場予想を上回る好決算を出す銘柄である。業績期待で既に株価は上場来の高値圏にあるものの、好材料出尽くしとならなければ株価は堅調な展開が続くとみられる。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ネットフリックス 値上げの影響を見極め【米決算プレビュー】

ネットフリックスが16日に2019年1~3月期(1Q)の決算発表を予定している。QUICK FactSet Workstationがまとめたアナリストの調整後EPS予想は0.69ドルで、前年同期(0.79ドル)から減少する見通し。トップラインとなる動画配信の有料契約者数は前年同期比での増加を続けそうだが、番組制作費の負担増などが収益を圧迫するとみられる。 【1~3月期の市場予想】 ・売上高  45億220万ドル(21.7%増) ・EPS  0.69ドル(12.6%減、Non-GAAP) (注)※予想はQUICK FactSet Workstation。12日時点、EPSは12社の予想()内は前年同期比。 ▼米国内の有料契約純増数は鈍化か ネットフリックスの有料会員純増数は増加基調を辿っているが、四半期ごとの振れが激しく、会社予想および市場予想を大幅にかい離することも珍しくないことには留意したい。1Qの有料会員純増数に関して、市場は前年同期比8.1%増の893万人(会社計画は890万人)と見込む。その内訳は米国内が160万人、米国外が732万人となっており、前年同期(米国内227万人、米国外598万人)と比べると、米国内の伸びが大きく鈍化するとみられている。その背景にあるのは、値上げの影響だろう。 ネットフリックスはこれまで数回値上げを実施してきたが、今年1月に米国内向けで従来比12.5~18%の値上げを実施した。これは過去最大の上昇率であり、ユーザー離れを懸念する向きがある。また、11月からサービスを開始するディズニーの定額動画サービス「Disney+」の月額最低料金は6.99ドルと、ネットフリックスの通常ブラン(12.99ドル)を大きく下回る水準に設定したことも影響を与えそう。今秋に動画配信参入を予定しているアップルはまだ料金体系を発表していないが、ネットリックスおよびディズニーを意識した金額に設定するとみられ競争激化は必至とみられる。(本吉亮) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

スクエア、成長性への懐疑を晴らす時 株価トレンド転換点【米決算プレビュー】

モバイル決済サービスを手掛けるスクエアが27日の大引け後(日本時間28日)、2018年10~12月期決算を発表する。調整後の1株利益は前年同期比63%増の0.13ドルと、同社が想定する0.12~0.13ドルの上限で着地すると市場はみている。ただ、今後の成長性については懐疑的な見方があり、株価のトレンドも転換点にある。 ▼市場予想        18年10~12月期        17年10~12月期 売上高     9億1000万ドル(48%増) 6億1600万ドル 調整後EPS   0.13ドル(63%増)       0.08ドル ※QUICK FactSet Workstationの2月22日時点のデータを使用。()内は前年同期比、1株利益は34社の予想 ▼決済取引高の市場予想は3割増 スクエアの決済サービスは、スマートフォンのイヤホン端子にICカードリーダーを差して、クレジットカード情報を読み取るというもの。設備コストを抑えたい小規模事業主や個人事業主などの需要を取り込んでいる。市場予想では、10~12月期の決済取引高は前年同期比約3割増の230億4900万ドルに膨らんだようだ。 銀行口座が不要な送金アプリ「Cash App(旧スクエア・キャッシュ)」のダウンロード数も増えているもよう。米国の人口の約2割が銀行口座を持っていないといわれ、こうした人たちの給与決済ツールとして使用されている。このアプリではビットコインの取引も可能で、市場予想では4000万ドル程度の取引に関する売り上げがあったようだ。 そのほか、年末商戦のかきいれ時にフードデリバリーサービス「キャビア」がどれだけ売り上げを伸ばせたかも注目だろう。 ▼弱気派じわり増加 スクエア株に対する見方は分かれる。野村インスティネットは過小評価されているという。1月8日のリポートで「19年の年初からオンラインチケットを手掛けるイベントブライト向けに決済処理サービスを提供し始めた。市場はこの新規顧客の売上高を反映していない可能性が高い」と指摘する。 一方、米証券会社のレイモンド・ジェームス・アソシエイツは1月末、スクエアの成長は既に天井を打って19年4~6月期に大幅に成長が減速するという内容のリポートを公表。実際、足元でスクエア株に対する弱気派がやや増えている(図表の赤色が弱気)。キャッシュレス化が進む中で市場拡大が見込まれるものの、ペイパル・ホールディングスなどとの競争は激しくなるだろう。市場はスクエアの将来的な優位性を見出したいようだ。 スクエア株は昨年10月に101.15ドルの上場来高値を付けたのち、同年末に約半分の50ドル台まで下げた。この高値から安値までの下げ幅の半値戻しは75ドル台で、足元で回復した。一段高の展開になるかどうか、今回の決算は株価の方向を決める重要な材料になりそうだ。(根岸てるみ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

「混乱、残念」エヌビディア、出口は見えるか 【米決算プレビュー:11~1月期】

画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディアが14日に2018年11月~19年1月期決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均(28社、12日時点)は前年同期比60.1%減の0.63ドルとなっている。1月28日には主力のゲーム事業やデータセンター事業が予想に届かないとして売上高見通しの大幅下方修正を発表済み。先行きにはなお警戒感が強く、目標株価の引き下げも相次ぐ。 【18年11月~19年1月期決算の市場予想】 ・売上高    :22億5400万ドル(-22.6%) 会社予想:22億ドル(±2%) ・EPS    :    0.63ドル(-60.1%) 【19年2月~4月期】 ・売上高    :23億4000万ドル(-27.0%) 「異常に混乱した残念な期となった」――1月28日に発表した業績下方修正の資料でジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)はこう説明した。11~1月期の売上高は従来7%減の27億ドルを見込んでいたが、24%減の22億ドルに引き下げた。いずれも上下2%の範囲で変動するとしている。中国の景気減速などにより主力のゲーム事業やデータセンター事業の業績が振るわなかったという。 エヌビディアの多くをゲーム事業が占める。11~1月期の同事業の売上高は前年同期比42.1%減の10億700万ドルが見込まれている。次に売上規模の大きいデータセンター向け事業は13.6%増の6億8900万ドルが市場予想の平均となっている。データセンター事業はかろうじて前年同期を上回る成長と見込まれるが、徐々に伸びは鈍化傾向にある。レイモンド・ジェームズは1月の下方修正を受けて「ゲーム用半導体とクラウド向けの需要の弱さは少なくとも19年2~4月期(1Q)まで続くだろうと分析している。 長期的にはAIや自動運転向けなどで同社が他社に比べて優位に立っているとの見方は多い。とはいえ、目先の業績を睨んで足元では投資判断や目標株価の引き下げが相次いでいる。同社をカバレッジする38社の目標株価の平均は174ドル台。18年10月には目標株価の平均は289ドル台あったことからすると大きく水準は下がってきた。投資判断はなお65%が買いまたはオーバーウエイトとしているが、市場は疑心暗鬼だ。 1月29日の下方修正の資料でジェンスン・ファンCEOは「戦略と成長の原動力に自信を持っています。エヌビディアの事業基盤は強固であり、かつてないほど明確になっています」とも説明していた。不安の火種がくすぶるなか、投資家の信頼を取り戻せるか。先行きの見通しに最も関心が集まっている。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです

アルファベットのクラウド事業、晴れのち「?」【米決算プレビュー:10~12月期】

「グーグル」を傘下に抱える米アルファベットは4日、2018年10~12月期(4Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、1株あたり利益(EPS)のアナリスト予想は前年同期比12%増の10.88ドル、売上高は50%増の389億ドルで、インターネット広告の拡大が成長をけん引するのは間違いない。一方、広告事業以上に急成長を続けてきたクラウド事業には暗雲が垂れこめている。 【アルファベットの18年10~12月期決算の市場予想】 ・売上高   :389億400万ドル(50%増) ・EPS   :10.88ドル(12%増) (予想はQUICK FactSet Workstation。1月30日時点。かっこ内は前年同期比の増減率) 「堅調な決算を予想する」(キーバンク)など市場では、4Q決算について前向きな予測が多い。稼ぎ頭は中核事業のインターネット広告。検索や動画サイト「Youtube(ユーチューブ)」といった自社サイトの広告にAdWordsなど外部のネットワーク広告を加えた、売上高の8割強を占める広告事業の売上高は、前年同期比19%ほど伸びる見通しだ。 ネット広告は急拡大で成長が続いている。米調査会社マグナによると、2018年のグローバルでの広告市場は前年比7%増の5520億ドルだった。2010年以来の高い伸びだ。とりわけデジタル広告の成長が顕著で、18年は前年比17%増の2510億ドル。検索広告(16%増)、動画(29%増)、ソーシャルメディア(33%増)の3分野が大きく成長した。広告市場の4割近くを占める米国でも、デジタル広告は隆盛を極める。 ※米国の広告市場の見通し(マグナのリポートから引用) グーグルは、2018年に新たに手軽に商品を買える仕組みと広告を組み合わせた「ショッピング・アクション」機能を導入するなど、米アマゾンに対抗すべく、ネットショッピングに絡む新しい広告の仕組みづくりにも力を注いでいる。ロバート・W・ベアードは28日付リポートで「EC市場の成長も追い風になり続けるだろう」などと指摘する。 武器はもう1つある。クラウド事業だ。QUICK FactSet Workstationによると、クラウド事業を中心とした「その他」の売上高は前年同期比37%増の64億ドルになり、ネットワーク広告(55億ドル)を上回る見通しだ。4~6月期は43%増、7~9月期は36%増など、足元では広告事業を上回る成長率を叩き出し、成長のけん引役となりつつある。 リサーチ会社カナリスによると世界のクラウド市場はアマゾン、マイクロソフト、グーグルの3社で6割近いシェアを握る。グーグルはアマゾンから大きく離された3番手に過ぎないが、成長力はアマゾン、マイクロソフトを上回る。ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズは19日付リポートで「人工知能や機械学習といった強みに加え、元オラクル幹部の最高経営責任者(CEO)起用で、収益力の拡大に期待できる」などと分析している。 ※2018年6月末時点のクラウド市場のシェアと成長率(カナリスまとめ) ただ、クラウド事業は足元で減速への懸念も強まり始めた。米インテルの18年10~12月期決算は、クラウド用データセンターの拡張一服を示唆した。独ソフトウェア大手のSAPも、18年10~12月期でクラウド製品の新規受注の伸びが鈍化した。世界シェア2位である米マイクロソフトの「アジュール」でさえ、18年10~12月期の成長率は前年同期を下回った。世界景気の先行きが不安定な中では、クラウド採用を見送る企業が出ても不思議ではない。成長分野であることは間違いないものの、かつての勢いがいったん鈍る可能性はある。 QUICK FactSet Workstationによると、カバーする44の証券会社のうち、43社が「買い」、1社が「中立」だ。株価は足元の水準を35%ほど上回る1348ドルが目標株価となっている。向こう12カ月先の予想をもとに計算した株価収益率(PER)は足元で22倍。昨年末から上昇基調が続いているとはいえ、さまざまな分野で競合するライバルのアマゾン(56倍)と比べると割安で、投資妙味を指摘する声は多い。 ただ、第二の柱であるクラウド事業の伸び悩みが明らかになった場合はどうか。アナリストの楽観論が後退し、売り材料視される可能性もある。マイクロソフトも、アジュールの伸び悩みが明らかになった30日の時間外取引で、一時売られる場面があった。 政治的な足かせにも警戒だ。フランスのデータ保護機関は21日、一般データ保護規則(GDPR)に基づきグーグルに5000万ユーロの制裁金を科した。国内でもグーグルなどに対する規制強化の議論が出始めている。「(政治リスクは)ビジネスを展開する上でのコストを投資家に意識させてしまう」との見方もある。決算では広告収入以外にも、しっかりと目配せする必要がありそうだ。(松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

アマゾンの巨体、「ポスト小売業」へ脱皮中【米決算プレビュー:10~12月期】

アマゾン・ドット・コムが1月31日の取引終了後に2018年10~12月期(4Q)の決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、売上高の市場予想の平均(42社、28日時点)は前年同期比19%増の718億ドル、1株当たり利益(EPS、46社)は2.60倍の5.63ドルが見込まれている。18年7~9月期決算では売上高が市場予想に届かず、10~12月期の売上高見通しも市場予想を下回り発表後には売りに押されていた経緯がある。多くの証券会社は強気スタンスだが、かつてほどの売り上げの伸びも見込みにくい。クラウド事業の伸びとともに利益成長を示せるか注目される。 【2018年10~12月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高       718億ドル (+18.9%) 会社予想665億ドル~725億ドル ・EPS(1株利益) 5.63ドル (+2.60倍) 【19年1~3月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高       610億ドル (+19.5%) 既存勢力を駆逐する「アマゾンエフェクト」という言葉が定着し、小売業の業績を脅かす存在になりつつあるアマゾン。売上高の過半を占めるEC事業「Online Stores」事業の18年10~12月期の売上高は9%増の384億ドルが見込まれる。利益率の高いクラウド事業「AWS」は42%増の72億8300万ドル、第三者に商品を販売する場を提供する「Third-Party Seller Services」は36%増の135億3700万ドルが見込まれている。 投資家の大多数はアマゾンの成長率がさらに減速するリスクに注目している。同社の売上高の伸びは1~3月期の43%、4~6月期の39%、7~9月期の29%増と急激に鈍化しつつある。7~9月期決算発表時には10~12月期の売上高見通しを665億~725億ドルと、市場予想(738億ドル程度)を下回る見通しを示して投資家の失望を招いた。決算発表と同時に開示される見込みの1~3月期の売上高見通しにも注目が集まる。 利益率の高い事業の伸びにも注目だ。11月からは全米の倉庫で働く従業員35万人を対象にした最低賃金の引き上げや実店舗の拡大に向けた積極的な投資や輸送コストの上昇が全体の収益の重荷となる。EC事業に比べてAWSなどの利益率は高く、ゴールドマン・サックスは「当面および将来の投資サイクルの利益率拡大のためにはAWSの持続的な成長および広告事業の伸びに期待している」とする。 現状は小売り事業者の色彩が強いが、徐々に手数料を稼ぐビジネスモデルに移行する過渡期にあるとの指摘もある。事業構造の変化とともに粗利益率が一段と上向くか注目する向きは多い。 アマゾンに対する市場の期待は大きい。同社をカバレッジする48社のうち、「買い」またはオーバーウェイトとする比率は98%、中立が2%にとどまる。目標株価の平均は2139ドルと、足元の株価水準に比べても28%ほど高い。とはいえ、一時期に比べると目標株価は切り下がりつつある。クレディ・スイスは28日付リポートで目標株価を従来の2400ドルから2100ドルに引き下げた。ドイツ銀行も23日に2300ドルから2250ドルに小幅に切り下げた。市場の見方が弱気に傾きやすいなかで、しっかりと成長シナリオを示せるか。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

マイクロソフト、好調クラウドに曇りなし【米決算プレビュー:10~12月期】

マイクロソフトが30日に2018年10~12月期の決算発表を予定している。QUICK FactSet Workstationがまとめたアナリストの調整後EPS予想は1.09ドルで、前年同期(0.96ドル)から2桁増加する見通し。 クラウドサービス「Azure」の好調が業績を牽引しそうだ。 【2018年10~12月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高        290億8400万ドル (+18.5%) ・純利益(非GAAP)     84億7430万ドル (+13.0%) ・調整後EPS(1株利益)      1.09ドル (+13.5%) 【事業別売上の市場予想/会社計画】  PBP  :100億9200万ドル (+12.7%) /会社計画99.5~101.5億ドル、中央値100.5億ドル   IC    :  92億8100万ドル (+19.1%) /会社計画  91.5~93.5億ドル、中央値  92.5億ドル MPC :130億7600万ドル   (+7.4%) /会社計画    128~132億ドル、中央値   130億ドル ※QUICK FactSet Workstationより 売上構成比で約4割を占めるモア・パーソナル・コンピューティング(MPC)はWindows、デバイス、ゲーム、検索などを含む主力事業で利益率は3割弱、売上構成比が3割程度の生産性及びビジネス・プロセス(PBP)は法人向け、個人向けのOffice、Dynamicsなどを扱い利益率は4割弱。同様に売上構成比が3割程度のインテリジェント・クラウド(IC)ではクラウドサービス「Azure」を提供し、こちらも利益率も約4割と高い。 「Windows」で一世を風靡した同社は、パソコン需要の低迷で業績が頭打ちとなる時期もあったが、現在はクラウドサービスを主力とする企業への転換を推進している。主力の基本ソフト(OS)は稼ぐための製品というよりもクラウドサービスの利用を促す道具となりつつある。企業向けクラウド事業の「Azure」は中核サービスの一つとして急成長を遂げ、大企業向けで強みを発揮している。クラウドとソフトウエア販売を融合させた「ハイブリッドコンピューティング」戦略で売り上げを伸ばしているとみられ、2Qも2桁増収増益が期待できそう。米調査会社ガートナーは、クラウド市場が年率2割の成長が続くと予想しており、市場規模規模拡大の恩恵享受はしばらく続きそうだ。 マイクロソフト株の市場評価は高まっており、2018年秋には時価総額でアマゾン、アップルを抜き去って、15年ぶりに時価総額首位に躍り出る場面もみられた。現在の市場平均のマイクロソフトの目標株価は124.42ドル。年末の相場急落局面で一時100ドル台を割り込む場面もみられたが、足元では戻り歩調となり目標株価との乖離は17%程度となっている。2Q決算が市場予想を上回る着地となり株価の騰勢を強めれば、昨秋につけた52週高値(116.18ドル)の更新も視野に入りそうだ。 ▼QUICK FACTSETの「サプライズ履歴」より <過去20四半期決算分析> EPS実績   対アナリスト予想 上振れ回数   17 下振れ回数     3 EPS実績/アナリスト予想(%) 平均乖離率    +10.6 平均上振れ率   +13.2 平均下振れ率      -4.2 決算発表直後1日の値動き 上昇回数     15 下落回数       5 平均騰落率   +1.9 平均上振率   +3.9 平均下振率    -4.3 同社の決算発表は概ねアナリスト予想を上回って着地するケースが多く、過去5年(20四半期)で17回も上振れ。その際の平均上振れ率は13.2%に達する。下振れは3回で、率は4.2%にとどまる。決算発表直後1日の値動きは、15回が上昇し、5回下落。平均上昇率は3.9%、下落率は4.3%だった。概ね市場予想を上回る決算を発表してポジティブに動くことが多い。ただ、まれに利益確定売りに押されることもあるほか、市場予想を下回った際には大幅安に見舞われる傾向にあるので留意したい。(本吉亮) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

先行き懸念を払拭できるか、アリババと14億人の消費市場 【米決算プレビュー:10~12月】

中国のインターネットコマース(電子商取引、EC)最大手のアリババ・グループ・ホールディングスは、30日に2018年10~12月期(3Q)の決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、売上高は前年同期比48%増の1191億人民元、1株あたり利益(EPS)は12%増の11.47元が見込まれている。多くの証券会社は強気スタンスだが、足元ではかつての成長の勢いにやや陰りもみられる。市場予想も、決算発表日が近づくにつれて切り下がってきた。じわり懸念が広がるECの先行き不安を決算で払拭できるか、注目される。 【アリババの18年10~12月期決算の市場予想】 ・売上高   :1191億2200万元(48%増) ・EPS   :11.47元(12%増) (予想はQUICK FactSet Workstation。1月26日時点。かっこ内は前年同期比の増減率) QUICK FactSet Workstationによると、3Qの売上高は前年同期比48%増。4~6月期(1Q)は64%増、7~9月期(2Q)が56%増と鈍化が続く。中核事業であるコアコマース部門のうち、収益の柱である中国での売上高は前年同期比37%増の822億元と、15年10~12月期(35%増)以来の低い伸び率にとどまる見通し。 取引手数料収入よりも大きい、広告売り上げなどから成るカスタマー・マネジメント部門が伸び悩む。クリック数に応じて支払われる既存の広告モデルが伸びる一方、キーバンクによると、新たな広告モデル(レコメンデーション型広告)への移行によるマネタイズの遅れが成長の足かせになっているようだ。 中国のネット通販全体の成長鈍化懸念もある。スタイフェルのまとめでは、中国のオンライン小売売上高(モノ)は18年10~12月期が前年同期比21%増だった。35%増を記録した1~3月期以降、減速感が鮮明。単月でみれば12月に持ち直したものの、10~11月が10%台の伸びにとどまったためだ。 10%台の伸びにとどまった11月は、ネット通販セール「独身の日」でアリババの取扱高が前年比26%増の2135億元と過去最高だった時期。中国消費全体の成長が鈍化する中での記録更新は、他社のシェアを奪っているだけ、との見方もできる。中国消費というパイの拡大余地が乏しくなるのであれば、シェアを奪いきった後は、これまでのような成長は期待できない。 ■中国オンライン小売売上高(モノ)の伸び率 (前年同期比、スタイフェルのリポートより) 中国消費の減速を補えるほど、第二の柱はまだ成長できていない。野村証券は7日付のリポートで、動画やゲーム、音楽などさまざまなコンテンツを展開するデジタル・メディア・エンターテインメントについて「動画コンテンツへの多額の投資と動画広告収入の伸び鈍化で、連結ベースのマージンを下押しした」と予測する。 巨額の設備投資を必要とするクラウド事業も、収益貢献を期待するにはまだ早い。ジェフリーズはEBITA(利払い前・税引き前・減価償却前の利益)で損益分岐点の水準に達するのは、2020年3月ごろと見込む。売上高はEC事業にはるか及ばず、中国ECの動向が業績を左右する構図はこれまでと何も変わらない。 QUICK FactSet Workstationによると、同社をカバーする53社のアナリストの目標株価は平均で204ドル。足元の株価から30%超の上値余地があると見込まれている。投資判断を「バイ」や「オーバーウエート」など最上位に置いている証券会社は52社にのぼる。 決済システム「アリペイ」を含むアリババの巨大なエコシステムは「事業間でもっと大きなシナジー効果を生み出せる」(THデータ・キャピタル)。こうした期待にもかかわらず、実際の株価がアナリストの目標水準を超えたことはない。世界的なグロース株の見直し機運が高まり足元で株価は戻しているが、米中貿易摩擦が重荷になり伸び悩みもみられる。「アナリストの評価は過大」との烙印を押されないためには、マクロの影響を跳ね返すだけの、ミクロの積み上げによる力強い成長シナリオを示す必要がある。(松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ビザ、個人消費と世界景気を占う試金石【米決算プレビュー:10~12月期】

ビザは30日(日本時間31日朝)、2018年10~12月期決算を発表する。金融市場の関心は米ハイテク株に集まりがちだが、世界景気の先行きを占ううえで今回の10~12月期決算ではビザがカギを握りそうだ。仮に同社の決算が市場予想を下回り、個人消費が弱含んでいることが確認されれば、景気減速はもはや懸念ではなくなる。 ■市場予想は16%増益、データ処理手数料けん引 QUICK FactSet Workstationによると、ビザの18年10~12月期の予想1株当たり利益(EPS・非GAAP)は、アナリストの平均で前年同期比16%増の1.25ドル(24日時点、39社)を見込む。外国為替市場では「ドル1強」の流れだったが、ドル高のマイナス要因を上回る決済手数料を確保したようだ。特にネットワークの利用や清算などデータ処理に伴う手数料収入に加えて、国境をまたぐ海外取引手数料が伸びた。 <市場予想>18年10~12月期 ・売上高  54億ドル(11%増) ・EPS  1.25ドル(16%増、非GAAP) (注)1月24日時点、39社の予想()内は前年同期比 先行きの業績については、米中貿易摩擦による影響が大きい。ビザにとって米国は主戦場のほか、中国はここ数年で需要が勢いづいた重要な地域だからだ。 (注)QUICK FactSet Workstationから引用。2018年9月時点 ■マスターカードより投資妙味あり、との見方 アナリストはビザに対して強気だ。目標株価の平均は162ドルと、25日の終値138ドルを上回る。マスターカードとの相対比較で出遅れ感があるとの見方もある。バンクオブアメリカ・メリルリンチ17日付のリポートで「ビザの株価は52週高値から10%近く下落(17日時点)しており投資妙味がある」と指摘。さらに欧州での事業拡大のポテンシャルなどにも期待が持てるため、マスターカードよりもビザを長期的な視点から選好するとの見方を示した。 世界的なキャッシュレスの流れに加えて、電子商取引(EC)の拡大と事業環境は底堅い。ビザには高いシェアを保持する強みもある。景気減速下でも競合より相対的に高い成長を維持できる可能性がありそうだ。(根岸てるみ) <アナリストの目標株価とレーティング> ■2018年の決済額は8兆ドル近い ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

アク抜け遠いフェイスブック、市場が探すきっかけ【米決算プレビュー:10~12月期】

フェイスブックが30日に2018年10~12月期決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、24日時点の市場の予想EPS(1株利益、Non-GAAP)は前年同期比6%減の2.34ドルが予想されている。7~9月期決算では、月間アクティブユーザー(MAU)の伸び悩みが想定の範囲内と受け止められたが、株価が上昇基調に転換したとは言い難い。米大手IT企業全体に対する投資家心理が好転していないためだ。 【18年10~12月期決算に対する市場予想】 ・売上高      :163億9900万ドル(26.4%増) ・広告売上高    :161億9900万ドル(26.8%増) ・うち携帯向け広告 :149億4400万ドル(31.4%増) ・1株利益(EPS)  :2.34ドル(6.0%減、Non-GAAP)            2.18ドル(51.4%増、GAAP) (注:増減率は対前年同期) 18年10~12月期の売上高は同26%増の163億ドルと、これまでの3割増加ペースから伸び悩む見通しだ。7~9月期決算の発表後、業績の鈍化は想定の範囲内だと市場はいったん受け止めた。それでもフェイスブック株価が反転しないのは、「FANG」「GAFA」と称される大手IT企業(アマゾン・ドット・コム、アップル、グーグル、ネットフリックス、フェイスブック)に対する国際的な規制強化の懸念が払しょくされないためだ。 下記チャートから分かる通り、昨年後半、フェイスブックは個人情報の流出問題をきっかけに個別要因で下落。フェイスブックの下げが、他のGAFA銘柄をはじめとした米IT株の重荷となる格好だった。だが、7~9月期決算以降は、GAFA銘柄全体の軟調さに連動する動きとなっている。 ■株価はGAFAの他社に比べても大きく見劣り(フェイスブック=グラフ緑、ほか3社の指数=グラフ青) ■アクティブユーザーの推移          月間      日次 17年1~3月期 19.3(17%) 12.8(18%)       4~6月期 20.0(17%) 13.2(17%)   7~9月期 20.7(16%) 13.6(16%)    10~12月期 21.2(15%)  14.0(15%) 18年1~3月期 21.9(13%)  14.4(13%)       4~6月期 22.3(11%) 14.7(11%)   7~9月期 22.7(10%) 14.9( 9%)   10~12月期 23.1( 9%)  15.2( 9%)市場予想  (注)単位億人、カッコ内は前年同期比の増加率 「GAFA」にまとわりつく不安からフェイスブックが抜け出すきっかけとして、市場は、傘下であるインスタグラムの収益化など、新規分野の成長期待を高めるような成果を求めている。他のGAFA銘柄に比べた割安感を指摘するアナリストもいるため、きっかけさえあれば、株価の急反発は十分ありうる。もっとも、そのきっかけは「なかなか明確に出てこない」(国内投信)状況だ。今回の決算でもきっかけが見えないようだと、伸び悩む主力事業をめぐる様々な不安に振り回される展開は続くだろう。(吉田晃宗) (注)QUICK FactSet Workstationより引用。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

アップルショックから4週間 見えなくなるもの、見えてくるもの【米決算プレビュー:10~12月期】

アップルが29日の大引け後、2018年10~12月期(1Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(35社、24日時点)は前年同期比7.1%増の4.17ドルとなっている。アップルは2日に1Qの売上高が当初予想よりも5~10%低い840億ドルにとどまる見込みだとして従来予想を下方修正済み。利益ベースの業績悪化に加え、前回決算時のカンファレンスコールでiPhone販売台数を開示しない方針を示していた経緯もあり、市場では2018年1~3月期(2Q)の見通しなども含めて先行き不透明が強い状況だ。 【10~12月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高      840億ドル ( -4.8%) ・EPS(1株利益) 4.17ドル ( +7.1%) ・iPhone販売台数 6782万台  (-12.2%) 【1~3月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高      593億ドル (-2.9%) アップルは2018年9月に有機エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレー(OLED)のiPhoneXS、XS Maxに加え、液晶パネル(LCD)モデルのiPhoneXRの計3機種を発表した。需要期である10~12月期を前に買い換えが期待されたが、需要低迷といった報道が相次ぎ、アップルの販売戦略や多機能携帯電話(スマートフォン)市場の飽和懸念が強まる状況だった。また昨年11月2日の4Q決算発表時のカンファレンスコールで、ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)が今後、決算でiPhoneなど個別製品の販売台数・平均販売価格を発表しない方針を表明したことで、情報開示に対する姿勢に疑問符もついた。24日には自動運転開発を進めるプロジェクト・タイタンで200人以上の人員を削減したと伝わっており、iPhone以外の成長シナリオが見つかりづらい状況である。 ゴールドマン・サックスは24日付のリポートで「2018年1~3月期(2Q)の弱い業績見通しを受けて株価は弱含みそうだ」と指摘した。2日に売上高見通しを下方修正したことについてアップルは中国など新興市場の需要の弱さを理由にしていたが、GSは「中国は依然として弱いと考えられるが、欧州でシェアを失っているとみられる」と指摘。1QのEPSを4.17ドルとコンセンサス並みで予想しつつ、2Qについては売上高が583億ドル、iPhoneの販売台数を4230万台と見込み、それぞれ市場予想(593億ドル、4499万台)を下回る弱気な見方を示した。 「バイサイドの推定はさらに我々を下回る可能性が高い」としつつ、「アップルは今後、iPhone販売台数を公表しないため、2Qの動向についてはより高いレベルの議論と変動が予想される」と先行きに不透明感があるいう。GSは2018年9月に中国のスマホ市場が弱いことを検出したため10月からアップルの収益にリスクがあると積極的に指摘してきたとしつつ、「中国の潜在需要環境に改善の兆候はみられないが、悪化の速度は鈍化している」と指摘した。 またリポートでは、アップルが今月8日に会計を変更した点に着目。音声認識のSiri、無料のiCloudなどの償却をiPhoneやiPad、Macなどその他の製品の販売価格とまとめてサービスの売上高として計上するという。「これにより、iPhoneなどの製品の売上げを効果的に減らしつつ、それに相応してサービスの売上高粗利益率の向上に役立つと確信する」と指摘した。投資判断のニュートラル、目標株価140ドルを維持していた。 ベアード・エクイティ・リサーチは24日付のリポートで「2019年の予想は依然として高いか?」と先行きに警戒した。ガイダンスに注意として「2Qと2019年通期の市場予想が中国やその他に地域が困難な状況であることを踏まえると、依然として高い」と指摘。アップルのエコシステムの優位性や潤沢なキャッシュフローという長期的なポジティブ要因はあるが、「短期的に市場のコンセンサスがリセットされるまでは慎重に見たい」と指摘。投資判断のアウトパフォーム、目標株価185ドルは維持した。 アップルの株価は今月3日に142ドルまで下げ、2日に売上高を下方修正したことを受けて一時は10%超の急落となった。昨年10月に付けた上場来高値(233.47ドル)からは39%もの下げを記録している。その後は相場の地合い改善を受けて戻り歩調にあるが、一時は1兆ドルを超えた時価総額も7000億ドル台で低迷し、マイクロソフトやアマゾン・ドットコムの後塵を拝している。 QUICK FactSet Workstationによれば、同社をカバーするアナリスト41名の目標株価の平均値は179.62ドル(24日時点)で、24日終値から17.6%のアップサイド余地があると見込まれている。株価は悪材料を織り込んだ状態にあると言えるが、年明け以降は投資判断や目標株価の引き下げが相次ぎ、「買い」の投資判断を下している比率が49%に低下し、2005年12月以来、14年ぶりに買い推奨の比率が過半数割れとなった。2007年に初代iPhoneを発売して以降、初めてのことである。市場のセンチメントが弱気に傾いていることは確かで、映像コンテンツなどでiPhoneに変わる成長シナリオを示せるかどうかが焦点となりそうだ。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

半導体が「辛い」のは皆同じ AMDは「違い」示せるか【米決算プレビュー:10~12月期】

アドバンスド・マイクロ・デバイシズが29日の大引け後、2018年10~12月期(4Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、調整後の1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(29社、24日時点)は前年同期比横ばいの0.08ドルと見込まれている。2四半期連続の減収・減益となる見通し。半導体市況の悪化が見込まれ、目標株価の引き下げが相次ぐ中で悪材料出尽くしとできるかが焦点だ。 【10~12月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高 14億4500万ドル(-2.3%) ・EPS(1株利益) 0.08ドル(±0%、Non-GAAP) AMDの業績をけん引してきたのはPC用中央演算処理装置(CPU)のライゼンや画像処理半導体(GPU)のラデオンを含むコンピューティング&グラフィックス部門(C&G)である。しかしC&Gは2018年7~9月期(3Q)に2四半期連続の減収となり、ビットコインの下落基調もあって仮想通貨需要も低迷。売上高の過半を占めるC&Gの伸びにブレーキが掛かった。さらに3Qに大きな伸びを記録したサーバ向けCPUのEPYCを含む「エンタープライズ組み込み・セミカスタム部門(EESC)の鈍化が今後は予想され、AMDの成長ペースが曲がり角を迎えている。4QのC&Gの売上高の市場予想は前年同期比5%減の4億9400万ドルとなっており、前四半期との比較では30%減と大きく減る見込みだ。 ベアード・エクイティ・リサーチは18日付のリポートで「EPYCは2019年に市場シェアを10%減らすとみられ、我々の見解では困難に直面するとみられる」と指摘した。同業のインテルのサーバ向けCPUの「スケーラブル・プロセッサー」がEPYCより高性能だといい、さらに「インテルは昨年の大幅値下げに続き、大幅な価格改定を行う可能性がある」という。また仮想通貨のマイニング需要の減少を受け、中国でGPU在庫が通常の水準を大幅に上回っていることにも懸念を示し、投資判断のニュートラルを維持しつつ、目標株価を23から20ドルに引き下げていた。 バーンスタイン・リサーチは22日付のリポートで「仮想通貨の高揚感が和らぐにつれ、GPUの問題がAMDに圧力を掛けている」と指摘した。表面的に4Qの業績に期待はできず、GPUの逆風が持続する可能性があるとしながら、CPUやサーバ、データーセンター向けGPUが好調なら不安が覆い隠されるだろうとも見込んだ。投資判断はマーケット・パフォーム、目標株価16ドルで慎重な見方を維持した。 AMDの株価は2018年9月13日に34.14ドルまで上昇して2006年5月以来、12年4カ月ぶりの高値水準を回復して昨年半ばまでは堅調だったが、年末にかけては半導体市況の悪化を織り込む形で下げ基調に転じた。昨年12月26日には16.03ドルまで下げて昨年来高値から53%もの下げを記録した。テクニカル的には昨年10月安値(16.17ドル)と共に二番底を形成したようにみえ、年明け後は緩やかな戻り歩調にある。インテルが24日の大引け後に決算を発表し、2019年1~3月期(1Q)の売上高見通しが市場予想を下回ったことで時間外では7.11%安の46.22ドルで終えて急落したが、AMD株には目立った反応はみられなかった。 しかし、28日は前週末比8%安の20.18ドルと大幅安。米エヌビディアによる売上高見通しの下方修正を受けて、懸念が広がった。スタイフェルは28日付のリポートで「AMDのクラウド関連事業はまだ初期段階で収益への影響は小さい。ゲーム向け画像処理半導体(GPU)もエヌビディアより低価格・低コストだ」などとエヌビディアとの違いを強調し、下方修正との関連性は低いとの見方を示した。 QUICK FactSet Workstationによれば、同社をカバーするアナリスト36名の目標株価の平均値は22.47ドル(24日時点)で、24日終値(20.85ドル)から7.7%のアップサイド余地があると見込まれている。足元では目標株価の引き下げが相次ぎ、アンダーウエイトや売りの投資判断を下している比率が17%と半年ぶりの高水準に達しているが、弱い決算を受けて悪材料出尽くしとできるかがポイントとなりそうだ。(片平正ニ、松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

キャタピラー、原材料高や中国景気の逆風しのげるか【米決算プレビュー:10~12月】

建設機械大手のキャタピラーは日本時間28日夜、2018年10~12月期決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると22日時点の市場の予想EPS(1株利益)は前年同期比38%増の2.98ドル。売上高は11%増の143億ドルと予想されている。 【キャタピラーの18年10~12月期決算に対する市場予想】 ・売上高      :143億ドル(前年同期比10.9%増) ・EPS(Non-GAAP)  :2.98ドル(同37.9%増) (QUICK FactSet Workstationより) トランプ政権の施策の負の側面が米企業の業績に表れてきた。18年3月に発動した鉄鋼やアルミニウムに対する追加関税がコスト高につながり、キャタピラーの収益も圧迫されている。18年1~3月期に0.2億ドル、同4~6月期に0.8億ドルだった製造費用の増加額は7~9月期は2億ドルに達した。コスト高などを背景に同社は通期の利益見通しを据え置き、市場予想を上回った決算でも株価は一時10%安と急落した。  ■17年7~9月期と18年7~9月期の営業利益の比較 同社株に強気の見通しを貫いてきたアナリストも白旗を上げ始めた。クレディ・スイスは1月18日付けのリポートで目標株価を183ドルから173ドルに引き下げた。機械業種の最有望株であるとしながらも、マクロ環境や原材料コストの上昇などを引き下げの理由に挙げた。 焦点は製造コストの上昇だけではない。アップルをはじめ、今回の米決算では中国の景気動向からどういったネガティブ・インパクトを受けたのかが関心の1つ。21日発表の中国の国内総生産(GDP)は物価の変動を除く実質で前年比6.6%増と28年ぶりの低い伸びとなり、グローバル企業の業績に影を落としていたことが鮮明になっている。 キャタピラーの売上高に占める中国の販売額はそれほど多くはないが、昨年10月から原油価格を中心に商品市況が崩れた。世界景気の敏感株とも言えるだけに、市場が抱く警戒感は根強い。 ■中国 実質GDP年成長率(IMF) 19年通期に対する業績予想も重要だ。ここでも中国景気がカギを握る。JPモルガン証券は19日付けのリポートで、アナリストが参加したアジアの投資家との会合で「中国の投資家は鉱山機械や米建機の需要には前向きだったものの、中国景気に否定的だった」と指摘。投資心理が弱気に傾いているだけに、慎重な予想を示せば売りが膨らむ可能性がある。 半面、米ウェルズ・ファーゴは17日付のリポートで19年の業績見通しについて「保守的なガイダンスを出してくると想定される」としながら、「19年1月に実施した値上げや、在庫の消化といった好材料を活用して市場予想に近いガイダンスを示せればポジティブ」と期待も残していた。 キャタピラー株は相場全体の戻りの流れに乗って回復基調にある。ある程度は悲観が払しょくされた可能性がある中、強気の見通しが援護する形で買いに弾みがつくかもしれない。一方で過去数四半期に高水準を維持してきた利益にピークアウトが鮮明になるようだと再び下値を試す場面もありそうだ。(伊藤央峻)   ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

内憂外冠ネットフリックス 契約者数どこまで伸ばせるか【米決算プレビュー:10~12月期】

米企業の2018年10~12月期決算の発表が本格化している。米国や中国の景気後退懸念が浮上し、株価の乱高下にも見舞われた時期だけに、米中経済戦争の影響がどこまで顕在化するのか、企業トップが摩擦の先行きをどう予想しているのかなど、見どころは多い。逆風が吹くハイテク大手の業績や戦略にも注目だ。主要企業の決算ポイントをシリーズで先読みする。 ネットフリックスが17日に10~12月期(4Q)決算発表を予定している。QUICK FactSet Workstationがまとめたアナリストの調整後EPS予想(37社平均)は0.24ドルで、前年同期(0.41ドル)から大幅に減少する見通し。番組制作費の増加が収益を圧迫しそうだ。また、業績を左右する動画配信の純増契約者数は前年同期比での増加が続きそうだが、市場は会社計画を下回る伸びにとどまるとみている。 ▼10~12月期の市場予想 売上高  42億640万ドル(28.0%増) EPS  0.24ドル(41.5%減、Non-GAAP)      0.24ドル(41.5%減、GAAP) (注)※予想はQUICK FactSet Workstation。15日時点、EPSは18社の予想()内は前年同期比。 ▼純契約者数、会社予想940万人増に対し市場予想は921万人 契約者数は米国外の加入者数が米国内の加入者数を抜き、伸び率も米国外の方が高い。ただ利益面をみると、米国外は契約者増を優先して料金をかなり低めに設定しているため、米国内の方が大きくなっている。それだけに米国内での契約純増数の動向に注目されよう。 会社側は、10~12月期における全世界の契約純増数を940万人(前年同期実績は833万人)と見込む。内訳は米国内180万人(同198万人)、米国外760万人(同636万人)。全世界では前年同期比12.8%増を見込むが、収益源の米国内が同9.1%減となっていることが気掛かり。市場予想は全世界の契約純増数を921万人、米国内176万人、米国外745万人と、いずれも会社計画を下回ると見込んでいる。 同社の契約純増数は増加基調を辿っているが、四半期ごとの振れが激しく、会社予想および市場予想を大幅にかい離することも珍しくない。7~9月期は全世界の契約純増数が696万人で会社計画(500万人)および市場予想(517万人)を大幅に上回りポジティブサプライズとなった。その一方で、4~6月期は全世界の契約純増数が515万人で、会社計画(620万人)および市場予想(637万人)を大きく下回りネガティブサプライズとなった経緯もあるだけに注意が必要だろう。 ▼膨らむ制作費、米国内の競争激化 米アカデミー賞の前哨戦とされるゴールデン・グローブ賞では、「コミンスキー・メソッド」などオリジナル作品が5部門を受賞するなど、オリジナル作品の質・評価は高まりつつある。ただ、外部から調達するコンテンツの調達コストが上昇するなど、番組制作費の増加が収益を圧迫しそうだ。 また、動画配信サービスを巡る競争激化も懸念される。ネットフリックスへのコンテンツ提供を打ち切ったウォルト・ディズニーを筆頭に、アップルなどが新規参入するほか、有料会員サービスの一環ながら動画配信サービスを手掛けるアマゾンも不気味な存在となっており、収益源である米国内の加入者数の動向からしばらく目が離せない。 IT企業の代表的な名称として「FANG」が使われ、その一角として注目を集めてきたネットフリックスだが、最近は「GAFA」にその座を譲り存在感が薄くなりつつある。動画配信業界の盟主の座も安穏としてられないだろう。 ネットフリックス株の市場平均の目標株価は382ドルとなっている。足元の株価上昇で目標株価との乖離が15%程度に縮まっていることから、市場予想を下回る決算になるとネガティブに作用する公算が大きい。 ▼QUICK FactSet Workstationの「サプライズ履歴」 <過去20四半期決算分析> EPS実績  対市場予想 上振れ回数  16 下振れ回数   4  EPS実績/市場予想(%) 平均乖離率   +54.0 平均上振れ率      +71.2 平均下振れ率       -14.8 決算発表直後1日の値動き 上昇回数      11 下落回数      9 平均騰落率    +3.5 平均上昇率      +12.5 平均下落率         -7.6 同社の決算発表は概ね市場予想を上回って着地するケースが多く、過去5年(20四半期)で16回も上振れ。その際の平均上振れ率は71%にも達する。その一方で、4回下振れしたが、その下振れ率は15%。この決算発表直後1日の値動きは11回が上昇し、9回下落。平均上昇率10.5%で下落率は7.6%だった。 傾向的に市場予想を上回る着地となり、株価はポジティブに反応することが多い。ただ、市場予想を上回る決算ながら利益確定売り等などで売られたケースも少なくないだけに注意が必要だろう。今回は大幅減益予想および純増数が会社計画下振れ予想と、やや悲観的な見方が多いため、会社計画通りとなればポジティブに反応するかもしれない。(本吉亮) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

好調エヌビディアに市場は警戒モード 目標株価下げ相次ぐ 【米決算プレビュー:8~10月期】

GPU(画像処理半導体)大手のエヌビディアが15日、2018年8~10月期決算(第3四半期)を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、日本時間12日時点で市場予想の調整後1株利益(EPS、24社平均)は1.72ドルが見込まれている。 第2四半期の5~7月期決算では仮想通貨向けGPUの需要が大きく減少するとの見方を示し、市場に衝撃を与えた。足元ではアナリストは好調な業績を維持するとの見方が多勢だが、目標株価を引き下げる動きが続く。 【8~10月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高       :32億4200万ドル(+23.0%) ・調整後EPS         :             1.72ドル(+29.3%) ~~~売上高の部門別内訳~~~ ・ゲーム部門     :19億0900万ドル (+47.7%) ・映像化部門    : 2億8200万ドル(+8.7%) ・データセンター部門: 8億1900万ドル(+78.6%) ・自動車部門    : 1億6100万ドル(+4.1%) ・OEMその他   : 1億1600万ドル(-25.6%) ※QUICK FactSet Workstationより作成  ソフトバンクG(9984)の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の投資先でもあるエヌビディア。任天堂(7974)のゲーム機「ニンテンドースイッチ」のメーンプロセッサーにエヌビディア製のモバイルプロセッサ「Tegra」が採用されて一時期話題を集めたほか、完全自動運転へのGPUの活用でも期待がかかる。 とはいえ、市場の見方は日に日に厳しさを増している。8月発表の5~7月期決算ではジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)が仮想通貨向けGPUの8~10月期売上高見通しについて「基本的にゼロ」と断言。市場に衝撃が走り決算発表翌日には1日で株価水準を約5%ほど切り下げていた。 売り上げの過半を占めるゲーム部門に対して警戒感が強まっている。仮想通貨用GPUの品薄が解消した結果として低価格製品の不振を指摘する見方がある。加えて中国では当局によるゲーム規制があり、GPUの最終需要の落ち込みも警戒される。 同業のAMDが10月24日に発表した7~9月期決算でゲーム関連事業の売上高がふるわず、エヌビディアのゲーム部門に対しても警戒する向きもある。8~10月期の同部門の売上高は前年同期比47.7%増の19億900万ドルと高い伸びを見込んでいるが、市場の期待に応えられるか注目だ。あるアナリストは「今後2~3四半期は伸びが見込めるだろうが、どの程度かが問題だ」との見方を示していた。 QUICK FactSet Workstationによると、10月以降にエヌビディアの目標株価を引き下げる動きが相次いだ。モルガン・スタンレーが従来の273ドルから260ドルに、JPモルガンは265ドルから255ドルに引き下げ、目標株価の引き下げ社数は計8社(日本時間11月12日時点)にのぼる。 これまで持続的に売上高を伸ばして株価上昇の要因となったデータセンター部門では、大手クラウド事業者の設備投資の伸び率も鈍化する見通し。米国と中国の貿易摩擦にも警戒感が広がるなか、会社側がどのようなコメントをするか今回の決算発表には先行きを占う材料が満載だ。(中山桂一)     ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

ディズニーに強気、「買い」判断4カ月ぶり半数超 【米決算プレビュー:7~9月期】

ウォルト・ディズニーの投資判断を引き上げるアナリストが増えている。QUICK FactSet Workstationによると、「買い/オーバーウエート」が4カ月ぶりに半数を超えた。足元の堅調な業績に加えて、21世紀フォックスのコンテンツ事業の獲得に伴うポテンシャルの高まりが背景にある。株価は年初来高値に近い水準。8日の引け後(日本時間9日午前)の2018年7~9月期決算発表の中身しだいで、大きく反応する可能性もある。 テーマパーク事業が寄与し、市場平均上回る利益成長に QUICK FactSet Workstationによると、市場はディズニーの7~9月期の1株あたり利益(EPS)を前年同期比25%増の1.33ドル(10月末、22社)と予想。主要500社の17%増益を上回る利益成長を達成するとの見方だ。テコ入れ中の有料テレビ事業が収益の足かせとなったものの、テーマパーク事業でカバーしたようだ。映画関連事業の伸長やトランプ政権による法人減税も寄与した。 <市場予想>         18年7~9月期 ・売上高  137億ドル(7.4%増) ・EPS  1.33ドル(24.7%増、非GAAP)  (注)10月末時点、EPSは22社の予想()内は前年同期比 Huluを軸としたポテンシャルに注目 成長のカギは今後、動画配信となるだろう。なかでもフォックスのコンテンツ事業の買収で経営権を握る動画配信サービス「Hulu(フール―)」との連携は、未知数なだけに市場の注目も高い。投資判断がにわかに引き上げられた背景には、こうした先行き期待に加えて、英有料放送局スカイ株を巡る動きもあったようだ。 ディズニーがフォックスから買収する一部事業の中には、スカイ株39%も含まれていた。しかし、フォックスがスカイ株の残り61%の取得を巡るコムキャストの争奪戦に敗れると、フォックスは9月下旬、ディズニーに売却するスカイ株39%をコムキャストに売却すると発表。ディズニーは欧州ビジネスのルートを1つ失ったものの、スカイ株の売却益を事業に有効活用できると評価された。 市場の目標株価は平均121.99ドル(24社・5日時点)だが、モルガン・スタンレーは15日付リポートで130ドルから135ドルに引き上げた。RBCキャピタル・マーケッツは140ドルと強気だ。 一方で、収益性や競争激化に伴うコンテンツ制作費の増加などに注目したい。例えば、動画配信で先行するネットフリックスの収益の伸びは著しいが、売上高営業利益率はディズニーの半分程度。ネトフリの18年のコンテンツ制作費は80億ドルともいわれ、純現金収支(フリーキャッシュフロー)の赤字が続いている。動画配信事業はとかくお金がかかるだけに、売り上げが拡大してもこれまでの利益率を維持できるか、見極める必要がある。(根岸てるみ)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。        

アリババ、成長のための踊り場か 【米決算プレビュー:7~9月期】

中国の電子商取引(Eコマース)最大手のアリババ集団が2日、2018年7~9月期(2Q)の決算を発表する。QUICK  FactSet  Workstationによれば、売上高は前年同期比59%増の868億人民元、1株あたり利益(EPS)は13%減の7.45元が見込まれている。中国の景況感の悪化や子会社の赤字が足を引っ張り「通期見通しが下方修正されても驚きではない」との声もある。長期的な成長期待は根強いものの、短期的には業績下振れへの警戒感から、株価の上値が重くなる可能性もある。 【アリババの18年7~9月期決算の市場予想】 ・売上高   :868億7970万元(59%増) ・EPS   :7.45元(13%減) (注)予想はQUICK FactSet Workstation 8月10日時点、カッコ内%は前年同期比 QUICK  FactSet  Workstationによると、2Qの売上高は前年同期比59%増と、1Q(64%増)と比べて増収率が鈍化する見通しだ。コア・コマース部門の売上高は市場予想が60%増の738億元。出前アプリ「餓了麼(ウーラマ)」が四半期を通じて連結計上となり増収に寄与するものの、伸び率は4~6月期(70%増)に及ばない。背景にあるのは、中国のネット消費の減速感。中国国家統計局によると、オンライン小売売上高の前年同月比でみた増加率は低下し続けている。 <中国のオンライン小売売上高の推移>   (注)ゴールドマン・サックスのリポートより引用 ゲームや映画、音楽などさまざまなコンテンツを配信しているデジタル・メディア・エンターテインメント部門もさえない。1Qは53%の増収だったが、2Qは35%増にとどまるもよう。 警戒すべきは売上高の減速だけでない。アナリスト予想によると、EPSは上場来、四半期ベースで初めて減益になる見通し。積極的な投資によるコスト負担が重くのしかかる。モルガン・スタンレーはウーラマの赤字額が1Qの12億元から2Qは20億~25億元に拡大するとみる。「美団点評」との競争が激化し「採算性よりも市場シェアの獲得を優先している」(大和証券)ためだ。 デジタル・メディア・エンターテインメント部門でもコンテンツ拡大に向けて積極的な投資が続いているとみられ、赤字が続くもよう。電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」を展開する金融会社アント・フィナンシャルも投資の加速を背景に減益となる可能性が高い。 野村証券は29日付のリポートで「米国や欧州を訪問した際、投資家の質問が最も多かったのは『2019年3月期のガイダンスを達成できるのか』ということ。独身の日(11月11日)の販促イベント後にガイダンスが下方修正されても驚きではない」と指摘する。騰訊控股(テンセント)よりも弱気に見る投資家が多かったという。 ただ、アナリストは強気だ。50社中、なんと49社が「買い」か「オーバーウエート」。残り1社は「中立」で、目標株価やレーティングの変更は8月30日で止まっている。言い換えれば、きちんとアリババ株をウオッチしているアナリストはすべて強気、ということになる。 理由は明白だ。EPSが2Qに減益となる理由は一段の成長に向けた先行投資が主因。アリババはEコマースの枠を飛び出し、ネット注文も可能な実店舗型スーパーマーケット「Hema(盒馬)」、百貨店の「Intime Retail(銀泰商業)」なども含めさまざまな分野で種まきをしている。「Eコマースでの主導的な立場と、新しい分野でのイニシアチブは、長期的にはコア・コマース部門での強力な地位の確立につながる」(ゴールドマン・サックス)との見方は多い。 加えて、投資指標面でも割安感が出ている。中国景気の減速懸念と米国市場でのグロース株売りがかさなった結果、株価は30日に52週安値を更新した。12カ月先のEPS予想に基づいたPERは21倍にとどまる。 大きくジャンプするためには、かがむことも大切だ。減益決算で上値が重くなったとしても、過度に悲観する必要はないのかもしれない。(松下隆介)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

アップル、iPhone鈍化・対中関税リスクを払拭できるか【米決算プレビュー:7~9月期】

アップルが11月1日の大引け後、2018年7~9月期(4Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(37社、29日時点)は前年同期比34.2%増の2.78ドルとなっている。売上高の6割を稼ぐ多機能携帯電話(スマートフォン)のiPhoneの販売が鈍化する一方、中国市場の成長鈍化やトランプ政権による対中関税リスクが警戒されている。中国リスクを払拭できるかどうかを占う上で、2018年10~12月期(1Q)の売上高見通しに関心が高まりそうだ。 【7~9月期決算の市場予想】   (前年同期比) ・売上高            614億ドル  (+16.8%) ・EPS(1株利益)     2.78ドル   (+34.2%) ・iPhone販売台数 4749万台  ( +1.7%) 【10~12月期決算の市場予想】   (前年同期比) ・売上高            927億ドル  ( +5.0%) アップルは例年、7~9月期にiPhoneの新機種を発売し、10~12月期に過去最高益を更新するのが通例となっている。今回の7~9月期には有機エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレー(OLED)のiPhoneXS、XS Maxに加え、液晶パネル(LCD)モデルのiPhoneXR計3機種を発表した。昨年の10周年記念モデルのiPhoneXに比べて関心は低いとみられ、今回それほどiPhoneに対する期待値は高くない。 iPhoneXSラインアップ (注)出所:アップル QUICK FactSet Workstationで7~9月期のiPhone販売台数のトレンドをみたところ、今年1月以降は5000万の大台を割り込み、かろうじて前年同期(4667万台)を上回る程度となっていた。LCDモデルの販売が遅れたこともあるとみられるが、中国での販売鈍化が警戒されている。ゴールドマン・サックスは24日付のリポートで、「中国の消費の弱さが10~12月期のアップルの業績にリスクをもたらすとみている」と指摘。iPhone販売台数を7~9月期で4780万台、10~12月期で8010万台と市場予想よりやや強めで見ていたが、投資判断のニュートラル、目標株価の240ドルは据え置いていた。中国当局の減税策で個人消費が持ち直すとみられるとしつつ、アップルの業績については慎重だった。 <アップルの四半期iPhone販売台数のトレンド推移> (注)QUICK FactSet Workstationより作成 一方、アップルに強気のパイパージャフレーは22日付のリポートで、投資判断のオーバーウエイトと目標株価250ドルを据え置いた。10代を対象にした調査でiPhoneやApple Watchの人気が高かったとし、「アップルのブランド力は10代の若者の間で無傷だ」と指摘した。 その上で、iPhoneの買い換えが進むスーパーサイクルに関しては、今年初めの時点でiPhoneXに買い換えなかった人達に「価格が高い、画面が小さい」という不満があったことを紹介しながら、「現在は画面が広いXS Maxと、価格が安いXRという選択肢がある」と指摘。「2019年通期にアップルは2億2300万台(市場予想は2億1800万台)のiPhoneを販売すると見込まれ、機種が増えたことで買い換えサイクルは2020年までのスーパー・ロング・サイクルを迎えるだろうと指摘した。 米国や日本に限ればパイパーのような強気の見方もできそうだが、アップルを巡ってはトランプ政権による対中関税策の影響が警戒されている。9月に実施された対中関税第三弾ではかろうじてApple Watchなどの適用は免れたものの、第四弾が発動された場合、中国で部品を組み立て・製造しているiPhoneなど主力製品への影響は避けられないとみられている。ブルームバーグは29日、「11月に予定されている米中首脳会談が不調の場合に備え、米国が全ての中国の品目に対する追加関税を12月初旬までに発表する用意がある」と報じており、トランプ政権としては貿易戦争の手を緩めないもようだ。 アップルが業績見通しでiPhone販売台数を示すことはないため、中国需要を占う上で10~12月期の売上高見通しが従来にも増して関心を集めそう。カンファレンスコールでは対中関税の粗利益への影響のほか、中国の景気減速懸念を払拭するようなコメントが発せられるのかどうかポイントになりそうで、相場が不安定な中、1兆ドルの時価総額を維持できるか正念場を迎えている。(片平正ニ)    ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。    

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