キーサイト、市場の不安をはねのけられるか【米決算プレビュー】

世界最大規模の電子計測器メーカーで、第5世代移動通信システム(5G)関連銘柄としても注目されているキーサイト・テクノロジーズが29日、2~4月期(2Q)決算を発表する。5G関連の旺盛な投資意欲を背景に増収・増益が見込まれている。ただ、市場の関心は5~7月期(3Q)以降に移りつつある。米政府による中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)との取引規制措置を受け、会社側がどういった見通しを示すのか、注目される。 ▼市場予想 【キーサイト・テクノロジーズの19年2~4月期決算の市場予想】 ・売上高   :10億7350万ドル(7%増) ・EPS   :0.98ドル(18%増) (予想はQUICK FactSet Workstation。5月27日時点。かっこ内は前年同期比の増減率) アナリストは2Qの売上高を前年同期比7%増、1株あたり利益(EPS)を18%増と、ほぼ会社計画に沿った内容になると見込んでいる。5G向け設備投資の活発化などを背景に、計測機器需要が増える見込み。インターネット接続機能を備えた次世代の自動車「コネクティッドカー」向けなども業績に貢献するもよう。 注目は先行きだ。ファーウェイに対する米政府の取引規制措置を受け、業績への影響を懸念する声が出始めている。「中国通信機器メーカーとの直接取引の規模は売上高の3%未満にとどまるが、ファーウェイ顧客へのダメージが間接的に響く」(米ロバート・W・ベアード)。取引規制のリスクを3Q以降の見通しにどう反映するのか、関心が集まっている。 5G向け需要が伸びる一方、現行の第4世代移動通信システム(4G)の需要がどの程度落ち込むかも焦点だ。英アリートリサーチの推計では、5G向けが中心になるのは2021年ごろ。市場規模がまだ大きい4Gの動向も、業績を大きく左右する。 実際、ライバルのアンリツ(6754)は、5G向けの伸びを4G向けの減少が相殺し20年3月期の計測事業の売上高がわずか前期比1%増にとどまると見込み、市場を驚かせた。ドイツ銀行は「キーサイトは5G向けの増加ペースが4G向けの減少ペースを上回っている。アンリツの決算はそれほどネガティブには影響しない」などと指摘するが、注意は必要だろう。 株価は米中貿易摩擦の深刻化を嫌気し、足元で大幅に調整した。人々の生活を一変させる可能性を持つ5G分野で、重要な役割を担うキーサイト・テクノロジーズ。市場の不安をはねのける力強い業績見通しを示し、上昇トレンドに回帰できるのか、注目だ。(松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

業績悪化エヌビディア、次の2Q見通しで光は差すか【米決算プレビュー】

パソコンなどで使われる画像処理用の半導体(GPU、グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を手がける米エヌビディアは16日、2019年2~4月期(1Q)決算を発表する。仮想通貨発掘の需要減退やデータセンター向けの落ち込みなどで、大幅な業績悪化が見込まれている。米中貿易摩擦の影響も懸念される中、先行きの回復シナリオを示すことができるか、注目される。 ▼市場予想【19年2~4月期】 ・売上高   :21億9840万ドル(31%減) ・EPS   :0.62ドル(69%減) (予想はQUICK FactSet Workstation。5月13日時点。かっこ内は前年同期比の増減率) アナリストは売上高を前年同期比31%減の約22億ドル、1株あたり利益(EPS)を69%減の0.62ドルと見込んでいる。仮想通貨の採掘需要やゲームで使われるGPUが大きく減少するほか、クラウド企業の設備投資鈍化などにより、データセンター(DC)向けも減速する見通し。4月に示された会社計画にほぼ沿った内容になりそうだ。 1Qのさえない決算は、おおむね織り込みが進んでいる。問題は5~7月期(2Q)以降の見通しをどう示すか。米調査会社レイモンド・ジェームズは6日付のリポートで「(20年12月期のDC向けの減少を見込む)米インテルの決算などをみると、2QのDC向け収益は前四半期比で減少するだろう」と指摘する。19年1月期に5割を超える増収を達成して業績をけん引した分野だけに、先々の成長鈍化が意識されれば、売り圧力が強まりかねない。 収益の柱である、ゲームや仮想通貨の発掘に使われるGPUも先行きは暗雲が垂れ込める。最大のゲーム市場であり、仮想通貨の発掘大国でもある中国に売上高の多くを頼っており、米中貿易問題による悪影響は避けられない。中国では当局によるゲーム規制への懸念がくすぶるほか、政府による仮想通貨の採掘禁止検討の動きもあり、先行きには慎重にならざるを得ない。 世界の半導体株高の追い風を受けて、株価は年初から4月にかけて40%強上昇した。一方、足元では調整色が強まっている。アナリストの間でも弱気派が少しずつ増えている。4月下旬にはパソコン向けで新しいGPUを発表したエヌビディア。バリュエーション面で見た割高さを指摘する声もある中、持ち前の製品力の強さで成長鈍化懸念を払拭できる見通しを示すことができるか、注目だ。(松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

スクエア正念場、赤字体質からの脱却いつ?【米決算プレビュー】

モバイル決済サービスを手掛けるスクエア株がさえない。25日の終値は72.65ドルと相場上昇に歩調を合わせて回復しているものの、昨年10月につけた上場来高値(101.15ドル)の7割程度にとどまる。2019年1~3月期決算で赤字幅が拡大することが嫌気されている。決算発表は5月1日の大引け後(日本時間28日)の予定だ。 ▼市場予想 19年1~3月期      売上高     4億8000万ドル(56%増) 純利益     4300万ドルの赤字(2400万ドルの赤字) EPS      0.08(0.06ドルの赤字)    ※QUICK FactSet Workstationの4月25日時点のデータを使用。()内は前年同期比 2018年10~12月期の純損益は2800万円の赤字と、前年同期(1600万円の赤字)から赤字幅が拡大した。市場予想によると、19年1~3月期は決済サービスや中小企業向け少額貸し付サービスが堅調だったようだ。決済取扱高は230億ドルと3割近く増えたもようだが、赤字は続く見通し。将来の成長に向けた研究費や販管費の増加が収益を圧迫しそうで、赤字体質の定着が懸念される。 年初からの株価をみてもスクエア株はS&P500種株価指数やダウ工業株30種平均を下回って推移している。野村インスティネットは3月末のリポートで「18年10~12月期決算で大型加盟店の決済処理額の伸び率が鈍化したことは懸念材料。しかし投資家は大局観を見失っている。マーケティングの効果や調整後の手数料率といった、カギとなるデータを見過ごしている」と指摘。投資判断は「BUY」、目標株価を105ドルとした。 一方、ウェドブッシュ証券はバリュエーションを総合的に判断したうえで、目標株価を75ドルとしており、現水準程度が妥当とみている。(根岸てるみ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

アップル、特許和解がもたらす長期の甘味と短期の渋味【米決算プレビュー】

アップルが30日の大引け後、2019年1~3月期(2Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(35社、25日時点)は前年同期比13.1%減の2.37ドルとなっており、前年同期から減収減益決算となる見込み。期間中は中国で多機能携帯電話(スマートフォン)のiPhoneの値下げを行うなど厳しい環境が続いたが、今月16日にクアルコムと特許を巡って和解した。クアルコムとの係争が解消されたことで2020年に発売するとみられる5G対応iPhoneに対する長期的な期待感が出る一方、短期的にはロイヤリティ支払いなどで粗利益率が悪化するリスクが警戒されている。 【1~3月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高      575億ドル ( -5.8%) ・EPS(1株利益) 2.37ドル (-13.1%) ・iPhone販売台数 4190万台 (-19.7%) 【4~6月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高      520億ドル (-2.1%) アップルは例年、売上高の6割を稼ぐiPhoneを9月に発売するため、1~3月期は新型モデルの発表を前に買い控えが起こりやすい。その買い換えサイクルも機種の高価格化などで長期化しているとみられるほか、アップルは2018年11月の決算発表時にiPhone販売台数の開示を行わない方針を表明済み。成長期待が薄れたiPhoneに代わるサービスなどの成長戦略が注目されている。3月25日には独自の動画定額制配信サービスの「アップルTV+(プラス)」などを発表したばかりだ。 アップルに対して強気派のモルガン・スタンレーは24日付のリポートで「4~6月期(3Q)の業績見通しは保守的になる見込みだが、バイサイドのポジションがネガティブなら好ましい反応が予想される」と指摘した。アップル株は24日に208.48ドルまで上昇して年初来で32%超も上昇。昨年10月に付けた分割後高値(233.47ドル)にあと10%ほどに迫っているが、モルガンはリポートで「我々は株価がここからさらに回復すると見込んでいる。投資家はiOSユーザーがモバイルサービスに関心が高く、アンドロイドユーザーの10倍のお金をアプリに使うという、アップルのプラットフォームの強さを充分に理解していない」などと指摘。iPhoneの買い換えサイクルは従来の3年未満から9月末にはパソコンなどと同様、4年に伸びると見込んだが、サービス部門の好調さを理由に投資判断のアウトパフォーム(買い)を維持しつつ、目標株価を220→234ドルに引き上げていた。10%の増配、少なくとも自社株買いを500億ドル増やすなどの株主還元策にも注目した。 QUICK FactSet Workstationによれば、同社をカバーするアナリスト39名の目標株価の平均値は198.64ドル(25日時点)で、25日終値から3.2%のダウンサイド余地があると見込まれている。「買い」の投資判断を下している比率が49%で過半数割れとなる一方、中立としているのは44%、売りが8%となっている。強気派はかつてほど多くない。 アップルに対して弱気派のゴールドマン・サックスは23日付のリポートで、投資判断のニュートラル(中立)を維持しつつ、目標株価を140→182ドルに引き上げていた。iPhone販売台数や平均販売価格がコンセンサスを下回る可能性があるとする一方、「クアルコムとの和解を受けて4~6月期での粗利益率に潜在的なリスクがある」と警鐘を鳴らした。また「米国の消費者のセンチメントが前年比で悪化しているほか、日本では補助金の廃止があるためiPhone販売台数のボラティリティが高まる恐れがある」とし、販売動向に不透明感が残ることも指摘していた。 アップルはクアルコムとの和解で詳しい条件を明らかにしていない。クアルコムとアップルが和解した16日にはインテルが早々に5Gモデム事業の終了を発表し、クアルコムは実質的に同分野でライバル不在の状態でもある。クアルコムに有利な特許使用料契約が結ばれる可能性について、UBSは17日付のリポートで「アップルからクアルコムへのロイヤリティはiPhone1台あたり8~9ドルになりそうで、従来(5ドル以下)より改善しそうだ」と予想していた。 2020年に5G対応のiPhoneが発売されると見込まれる中、長期的には来年の「スーパー買い換えサイクル」で成長期待は残るものの、2019年モデルはカメラが3個に増える程度で5G未対応のため、クアルコムとの和解はむしろ強力な買い控え要因となる。短期的に業績期待は膨らみにくい状況と言え、iPhone販売台数のコンセンサス・トレンドを見る限り、足元で販売台数に大幅な改善期待は膨らんでいない。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

アマゾン「買い推奨」も独占 業績上振れ期待で総強気【米決算プレビュー】

アマゾン株に対してアナリストは総じて強気だ。同社をカバーする45社すべてが「買い」(19日時点)としており、目標株価の平均は2128ドルと現水準の1923ドルは割安との見方だ。強気の背景には、2019年1~3月期業績が市場予想を上回るとの期待がある。決算発表は25日(日本時間26日)に予定されている。 ▼市場予想       19年1~3月期            ・売上高  596億5500万ドル(17%増) ・純利益  23億3600万ドル(43%増) ・EPS   4.718ドル (44%増)  ・S&P500種構成銘柄の純利益の伸び率 3%減 ※QUICK FactSet Workstationの19日時点のデータを使用。()内は前年同期比。EPSは非GAAPベース。S&P500種構成銘柄の純利益の伸び率は17日時点。 ▼「買い」推奨が100% アマゾンが1月末に発表した18年10~12月期決算は、純利益が前年同期比で6割増と好調だった。高収益のクラウドサービス「AWS」部門の売り上げが増加し、収益を押し上げた。 一方、19年1~3月期の純利益は4割増に鈍化する。市場はAWSのほか、主力のネット販売、さらにアマゾンプライムなど定期収入が得られる「サブスクリプション・サービス」も伸び悩むとの見方だ。しかし、米証券会社スタイフェル・ニコラス は22日付のリポートで「市場予想は慎重。年始の休暇期間中のネット通販などが好調だったとみられ、業績は上振れする可能性がある」とみている。RBCキャピタルも市場予想は固めと指摘する。 また、中国向けネット通販から撤退することはアリババ集団に実質敗れたといえ、中国でのビジネスの難しさが露呈したが、バンクオブアメリカ・メリルリンチは22日のリポートで「想定内」とした。 アマゾンの株価は年初から28%上昇して戻り歩調。市場予想を上回る好決算となれば、昨年9月4日につけた上場来高値(2050.50ドル)を上抜けるかもしれない。しかし、市場が強気に傾いているだけに予想に届かなければ失望売りが膨らみ株価が大きく下落するリスクもある。(根岸てるみ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

5Gで急成長ザイリンクス、株価割高の評価は変わるか【米決算プレビュー】

米半導体のザイリンクスは買われ過ぎ――。高速通信規格「5G」への本格移行を間近に控えて、5G対応のチップを製造する同社の株価は年初から急ピッチで上昇。17日には上場来高値(137.23ドル)をつけたが、市場では割高との見方だ。24日(日本時間25日)に発表される2019年1~3月期決算を受けて、アナリストの評価が変化するか注目される。 ▼市場予想       19年1~3月期            ・売上高  8億2600万ドル(23%増) ・純利益  2億4100万ドル(46%増) ・EPS   0.942ドル (47%増)  ・S&P500種構成銘柄の純利益の伸び率 3%減 ※QUICK FactSet Workstationの18日時点、27社のデータを使用。()内は前年同期比。EPSは非GAAPベース。S&P500種構成銘柄の純利益の伸び率は17日時点 QUICK FactSet Workstationによる市場予想では、ザイリンクスの1~3月期は2桁の増収増益が見込まれている。5G移行に伴う通信部門の売上増が寄与するようだ。増収幅に対して増益幅が大きい理由は、同社はファブレスで設備投資が少なく収益率が高いため。例えば競合のクアルコムの売上高営業利益率は20%程度だが、ザイリンクスは30%台に達する。 足元のザイリンクスの株価は134ドルと、市場平均の目標株価である116ドル(19日時点)を16%上回る。野村インスティネットは3日付のリポートで「バリュエーション的には予想PER30倍程度が妥当で、現水準の株価には割高感がある」と指摘し、目標株価を115ドルとした。さらに慎重な見方のマッコーリー・リサーチは90ドルと想定する。 アナリストの多くは5Gに対する期待先行で買われているとの見方だが、ザックス・インベストメントは目標株価を142ドルと、さらなるアップサイドを予想する。5Gだけでなく人工知能(AI)向け製品に対する成長性も評価ポイントに挙げる。5G向け以外の事業も好調ならば株価の一段高の可能性もある。(根岸てるみ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

手術ロボISRG、成長性の「診断カルテ」は期待以上か 【米決算プレビュー】

インテュイティブサージカル(ISRG)が18日の大引け後、2019年1~3月期(1Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、調整後の1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(15社、15日時点)は前年同期比10.6%増の2.70ドルと見込まれている。株価は決算に先立って6カ月ぶりに上場来の高値を更新しており、2四半期ぶりのポジティブ・サプライズで出尽くし感を払拭する展開が待たれる。 【2019年1~3月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高      9億7300万ドル  (+15.0%) ・EPS(1株利益)   2.70ドル  (+10.6%、Non-GAAP) ・ダ・ヴィンチ・サージカルシステム 219台(+18.3%) インテュイティブサージカルはロボット支援による低侵襲手術「ダ・ヴィンチ・サージカルシステム」を手掛ける医療機器メーカーである。従来は遠い戦地での治療を行うために開発された軍事用の遠隔手術装置だったが、ロボットアーム技術などの進歩によって患者の負担を減らす低侵襲手術として民間で発展。2000年にロボット支援手術システムとして米食品医薬品局(FDA)の認可を得た。 胸腔鏡手術、心臓手術のほか、小児外科など多岐に活躍の場を拡大し、2014年から日本でも直接販売されて2018年4月からは国内での手術が保険適用となった。手術の際に大きく開腹する必要がないため、術後の回復も早く、感染症に罹りづらいメリットもある。 ISRGは先進技術を活かした手術システムを持つわけだが、ジョンソン&ジョンソン傘下で手術用医療機器を手掛けるエチコンが今年2月、手術用ロボットを手掛けるオーリス・ヘルスを34億ドルで買収すると発表。昨年にはライバル機の手術支援ロボットシステム「Versius」を手掛けるCMRサージカルとフロリダ州の病院がVersiusの訓練プログラムを始めた経緯もあり、手術ロボット業界内で競争が激しくなりつつある。 それでもISRGの株価は足元で強く、4月に入り、2018年10月1日に記録した上場来高値を6カ月ぶりに更新した。12日には589.32ドルまで上昇して600ドルの大台を試す展開となっている。QUICK FactSet WorkstationによればISRGをカバーしているアナリスト(20名)の目標株価の平均値は593.77ドルとなっており、足元の株価はアナリストの目標株価の平均に迫っている。最も高い目標株価を設定しているのはSVB Leerinkの650ドル(11日付)だ。 強気派の一角のドイチェ・バンク・リサーチは1日付のリポートで投資判断・買い、目標株価630ドルで新規カバレッジを開始した。リポートではまだ世界規模の外科手術市場が浸透していないため、技術革新による堅調な売上げ成長のための滑走路が残されているとしながら、「競合相手の手術ロボットの発売が迫っており、見逃すことはできないが、無数の重要な競争上の優位性を鑑みると市場のリーダーシップを維持することは可能だ」と指摘。「我々は世界で、安定的に10%台半ばで手術が増加すると見ており、最終的にISRGのビジネスモデル全体を推進することになるだろう」とも指摘した。米国でロボット手術が継続的に行われるとみられる一方、今後数年は日本と中国が成長ドライバーになるとも指摘した。 RBCキャピタルマーケッツは15日付のリポートで「最近のイベントで外科医達と話したところ、我々が今年予想する全世界でISRGが17%成長することを満足させるものだった」と指摘。フレキシブルカテーテルの「Ion」と、1つの穴から複数のロボットアームを入れて手術を行う「ダ・ヴィンチSP」に投資家が感心を寄せているなどと指摘していた。 なお、ISRGの決算時の反応を知るQUICK FactSet Workstationのサプライズ履歴を見ると、ISRGは2015年4~6月期(2Q)から2018年7~9月期(3Q)まで14四半期連続でEPSの実績が市場予想を上回るポジティブ・サプライズを記録していた。今年1月に2018年10~12月期(4Q)決算を発表した際には、決算に先立って売上高速報を出した経緯がある中でのネガティブ・サプライズとなったが、通常なら市場予想を上回る好決算を出す銘柄である。業績期待で既に株価は上場来の高値圏にあるものの、好材料出尽くしとならなければ株価は堅調な展開が続くとみられる。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ネットフリックス 値上げの影響を見極め【米決算プレビュー】

ネットフリックスが16日に2019年1~3月期(1Q)の決算発表を予定している。QUICK FactSet Workstationがまとめたアナリストの調整後EPS予想は0.69ドルで、前年同期(0.79ドル)から減少する見通し。トップラインとなる動画配信の有料契約者数は前年同期比での増加を続けそうだが、番組制作費の負担増などが収益を圧迫するとみられる。 【1~3月期の市場予想】 ・売上高  45億220万ドル(21.7%増) ・EPS  0.69ドル(12.6%減、Non-GAAP) (注)※予想はQUICK FactSet Workstation。12日時点、EPSは12社の予想()内は前年同期比。 ▼米国内の有料契約純増数は鈍化か ネットフリックスの有料会員純増数は増加基調を辿っているが、四半期ごとの振れが激しく、会社予想および市場予想を大幅にかい離することも珍しくないことには留意したい。1Qの有料会員純増数に関して、市場は前年同期比8.1%増の893万人(会社計画は890万人)と見込む。その内訳は米国内が160万人、米国外が732万人となっており、前年同期(米国内227万人、米国外598万人)と比べると、米国内の伸びが大きく鈍化するとみられている。その背景にあるのは、値上げの影響だろう。 ネットフリックスはこれまで数回値上げを実施してきたが、今年1月に米国内向けで従来比12.5~18%の値上げを実施した。これは過去最大の上昇率であり、ユーザー離れを懸念する向きがある。また、11月からサービスを開始するディズニーの定額動画サービス「Disney+」の月額最低料金は6.99ドルと、ネットフリックスの通常ブラン(12.99ドル)を大きく下回る水準に設定したことも影響を与えそう。今秋に動画配信参入を予定しているアップルはまだ料金体系を発表していないが、ネットリックスおよびディズニーを意識した金額に設定するとみられ競争激化は必至とみられる。(本吉亮) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

スクエア、成長性への懐疑を晴らす時 株価トレンド転換点【米決算プレビュー】

モバイル決済サービスを手掛けるスクエアが27日の大引け後(日本時間28日)、2018年10~12月期決算を発表する。調整後の1株利益は前年同期比63%増の0.13ドルと、同社が想定する0.12~0.13ドルの上限で着地すると市場はみている。ただ、今後の成長性については懐疑的な見方があり、株価のトレンドも転換点にある。 ▼市場予想        18年10~12月期        17年10~12月期 売上高     9億1000万ドル(48%増) 6億1600万ドル 調整後EPS   0.13ドル(63%増)       0.08ドル ※QUICK FactSet Workstationの2月22日時点のデータを使用。()内は前年同期比、1株利益は34社の予想 ▼決済取引高の市場予想は3割増 スクエアの決済サービスは、スマートフォンのイヤホン端子にICカードリーダーを差して、クレジットカード情報を読み取るというもの。設備コストを抑えたい小規模事業主や個人事業主などの需要を取り込んでいる。市場予想では、10~12月期の決済取引高は前年同期比約3割増の230億4900万ドルに膨らんだようだ。 銀行口座が不要な送金アプリ「Cash App(旧スクエア・キャッシュ)」のダウンロード数も増えているもよう。米国の人口の約2割が銀行口座を持っていないといわれ、こうした人たちの給与決済ツールとして使用されている。このアプリではビットコインの取引も可能で、市場予想では4000万ドル程度の取引に関する売り上げがあったようだ。 そのほか、年末商戦のかきいれ時にフードデリバリーサービス「キャビア」がどれだけ売り上げを伸ばせたかも注目だろう。 ▼弱気派じわり増加 スクエア株に対する見方は分かれる。野村インスティネットは過小評価されているという。1月8日のリポートで「19年の年初からオンラインチケットを手掛けるイベントブライト向けに決済処理サービスを提供し始めた。市場はこの新規顧客の売上高を反映していない可能性が高い」と指摘する。 一方、米証券会社のレイモンド・ジェームス・アソシエイツは1月末、スクエアの成長は既に天井を打って19年4~6月期に大幅に成長が減速するという内容のリポートを公表。実際、足元でスクエア株に対する弱気派がやや増えている(図表の赤色が弱気)。キャッシュレス化が進む中で市場拡大が見込まれるものの、ペイパル・ホールディングスなどとの競争は激しくなるだろう。市場はスクエアの将来的な優位性を見出したいようだ。 スクエア株は昨年10月に101.15ドルの上場来高値を付けたのち、同年末に約半分の50ドル台まで下げた。この高値から安値までの下げ幅の半値戻しは75ドル台で、足元で回復した。一段高の展開になるかどうか、今回の決算は株価の方向を決める重要な材料になりそうだ。(根岸てるみ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

「混乱、残念」エヌビディア、出口は見えるか 【米決算プレビュー:11~1月期】

画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディアが14日に2018年11月~19年1月期決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均(28社、12日時点)は前年同期比60.1%減の0.63ドルとなっている。1月28日には主力のゲーム事業やデータセンター事業が予想に届かないとして売上高見通しの大幅下方修正を発表済み。先行きにはなお警戒感が強く、目標株価の引き下げも相次ぐ。 【18年11月~19年1月期決算の市場予想】 ・売上高    :22億5400万ドル(-22.6%) 会社予想:22億ドル(±2%) ・EPS    :    0.63ドル(-60.1%) 【19年2月~4月期】 ・売上高    :23億4000万ドル(-27.0%) 「異常に混乱した残念な期となった」――1月28日に発表した業績下方修正の資料でジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)はこう説明した。11~1月期の売上高は従来7%減の27億ドルを見込んでいたが、24%減の22億ドルに引き下げた。いずれも上下2%の範囲で変動するとしている。中国の景気減速などにより主力のゲーム事業やデータセンター事業の業績が振るわなかったという。 エヌビディアの多くをゲーム事業が占める。11~1月期の同事業の売上高は前年同期比42.1%減の10億700万ドルが見込まれている。次に売上規模の大きいデータセンター向け事業は13.6%増の6億8900万ドルが市場予想の平均となっている。データセンター事業はかろうじて前年同期を上回る成長と見込まれるが、徐々に伸びは鈍化傾向にある。レイモンド・ジェームズは1月の下方修正を受けて「ゲーム用半導体とクラウド向けの需要の弱さは少なくとも19年2~4月期(1Q)まで続くだろうと分析している。 長期的にはAIや自動運転向けなどで同社が他社に比べて優位に立っているとの見方は多い。とはいえ、目先の業績を睨んで足元では投資判断や目標株価の引き下げが相次いでいる。同社をカバレッジする38社の目標株価の平均は174ドル台。18年10月には目標株価の平均は289ドル台あったことからすると大きく水準は下がってきた。投資判断はなお65%が買いまたはオーバーウエイトとしているが、市場は疑心暗鬼だ。 1月29日の下方修正の資料でジェンスン・ファンCEOは「戦略と成長の原動力に自信を持っています。エヌビディアの事業基盤は強固であり、かつてないほど明確になっています」とも説明していた。不安の火種がくすぶるなか、投資家の信頼を取り戻せるか。先行きの見通しに最も関心が集まっている。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです

アルファベットのクラウド事業、晴れのち「?」【米決算プレビュー:10~12月期】

「グーグル」を傘下に抱える米アルファベットは4日、2018年10~12月期(4Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、1株あたり利益(EPS)のアナリスト予想は前年同期比12%増の10.88ドル、売上高は50%増の389億ドルで、インターネット広告の拡大が成長をけん引するのは間違いない。一方、広告事業以上に急成長を続けてきたクラウド事業には暗雲が垂れこめている。 【アルファベットの18年10~12月期決算の市場予想】 ・売上高   :389億400万ドル(50%増) ・EPS   :10.88ドル(12%増) (予想はQUICK FactSet Workstation。1月30日時点。かっこ内は前年同期比の増減率) 「堅調な決算を予想する」(キーバンク)など市場では、4Q決算について前向きな予測が多い。稼ぎ頭は中核事業のインターネット広告。検索や動画サイト「Youtube(ユーチューブ)」といった自社サイトの広告にAdWordsなど外部のネットワーク広告を加えた、売上高の8割強を占める広告事業の売上高は、前年同期比19%ほど伸びる見通しだ。 ネット広告は急拡大で成長が続いている。米調査会社マグナによると、2018年のグローバルでの広告市場は前年比7%増の5520億ドルだった。2010年以来の高い伸びだ。とりわけデジタル広告の成長が顕著で、18年は前年比17%増の2510億ドル。検索広告(16%増)、動画(29%増)、ソーシャルメディア(33%増)の3分野が大きく成長した。広告市場の4割近くを占める米国でも、デジタル広告は隆盛を極める。 ※米国の広告市場の見通し(マグナのリポートから引用) グーグルは、2018年に新たに手軽に商品を買える仕組みと広告を組み合わせた「ショッピング・アクション」機能を導入するなど、米アマゾンに対抗すべく、ネットショッピングに絡む新しい広告の仕組みづくりにも力を注いでいる。ロバート・W・ベアードは28日付リポートで「EC市場の成長も追い風になり続けるだろう」などと指摘する。 武器はもう1つある。クラウド事業だ。QUICK FactSet Workstationによると、クラウド事業を中心とした「その他」の売上高は前年同期比37%増の64億ドルになり、ネットワーク広告(55億ドル)を上回る見通しだ。4~6月期は43%増、7~9月期は36%増など、足元では広告事業を上回る成長率を叩き出し、成長のけん引役となりつつある。 リサーチ会社カナリスによると世界のクラウド市場はアマゾン、マイクロソフト、グーグルの3社で6割近いシェアを握る。グーグルはアマゾンから大きく離された3番手に過ぎないが、成長力はアマゾン、マイクロソフトを上回る。ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズは19日付リポートで「人工知能や機械学習といった強みに加え、元オラクル幹部の最高経営責任者(CEO)起用で、収益力の拡大に期待できる」などと分析している。 ※2018年6月末時点のクラウド市場のシェアと成長率(カナリスまとめ) ただ、クラウド事業は足元で減速への懸念も強まり始めた。米インテルの18年10~12月期決算は、クラウド用データセンターの拡張一服を示唆した。独ソフトウェア大手のSAPも、18年10~12月期でクラウド製品の新規受注の伸びが鈍化した。世界シェア2位である米マイクロソフトの「アジュール」でさえ、18年10~12月期の成長率は前年同期を下回った。世界景気の先行きが不安定な中では、クラウド採用を見送る企業が出ても不思議ではない。成長分野であることは間違いないものの、かつての勢いがいったん鈍る可能性はある。 QUICK FactSet Workstationによると、カバーする44の証券会社のうち、43社が「買い」、1社が「中立」だ。株価は足元の水準を35%ほど上回る1348ドルが目標株価となっている。向こう12カ月先の予想をもとに計算した株価収益率(PER)は足元で22倍。昨年末から上昇基調が続いているとはいえ、さまざまな分野で競合するライバルのアマゾン(56倍)と比べると割安で、投資妙味を指摘する声は多い。 ただ、第二の柱であるクラウド事業の伸び悩みが明らかになった場合はどうか。アナリストの楽観論が後退し、売り材料視される可能性もある。マイクロソフトも、アジュールの伸び悩みが明らかになった30日の時間外取引で、一時売られる場面があった。 政治的な足かせにも警戒だ。フランスのデータ保護機関は21日、一般データ保護規則(GDPR)に基づきグーグルに5000万ユーロの制裁金を科した。国内でもグーグルなどに対する規制強化の議論が出始めている。「(政治リスクは)ビジネスを展開する上でのコストを投資家に意識させてしまう」との見方もある。決算では広告収入以外にも、しっかりと目配せする必要がありそうだ。(松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

アマゾンの巨体、「ポスト小売業」へ脱皮中【米決算プレビュー:10~12月期】

アマゾン・ドット・コムが1月31日の取引終了後に2018年10~12月期(4Q)の決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、売上高の市場予想の平均(42社、28日時点)は前年同期比19%増の718億ドル、1株当たり利益(EPS、46社)は2.60倍の5.63ドルが見込まれている。18年7~9月期決算では売上高が市場予想に届かず、10~12月期の売上高見通しも市場予想を下回り発表後には売りに押されていた経緯がある。多くの証券会社は強気スタンスだが、かつてほどの売り上げの伸びも見込みにくい。クラウド事業の伸びとともに利益成長を示せるか注目される。 【2018年10~12月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高       718億ドル (+18.9%) 会社予想665億ドル~725億ドル ・EPS(1株利益) 5.63ドル (+2.60倍) 【19年1~3月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高       610億ドル (+19.5%) 既存勢力を駆逐する「アマゾンエフェクト」という言葉が定着し、小売業の業績を脅かす存在になりつつあるアマゾン。売上高の過半を占めるEC事業「Online Stores」事業の18年10~12月期の売上高は9%増の384億ドルが見込まれる。利益率の高いクラウド事業「AWS」は42%増の72億8300万ドル、第三者に商品を販売する場を提供する「Third-Party Seller Services」は36%増の135億3700万ドルが見込まれている。 投資家の大多数はアマゾンの成長率がさらに減速するリスクに注目している。同社の売上高の伸びは1~3月期の43%、4~6月期の39%、7~9月期の29%増と急激に鈍化しつつある。7~9月期決算発表時には10~12月期の売上高見通しを665億~725億ドルと、市場予想(738億ドル程度)を下回る見通しを示して投資家の失望を招いた。決算発表と同時に開示される見込みの1~3月期の売上高見通しにも注目が集まる。 利益率の高い事業の伸びにも注目だ。11月からは全米の倉庫で働く従業員35万人を対象にした最低賃金の引き上げや実店舗の拡大に向けた積極的な投資や輸送コストの上昇が全体の収益の重荷となる。EC事業に比べてAWSなどの利益率は高く、ゴールドマン・サックスは「当面および将来の投資サイクルの利益率拡大のためにはAWSの持続的な成長および広告事業の伸びに期待している」とする。 現状は小売り事業者の色彩が強いが、徐々に手数料を稼ぐビジネスモデルに移行する過渡期にあるとの指摘もある。事業構造の変化とともに粗利益率が一段と上向くか注目する向きは多い。 アマゾンに対する市場の期待は大きい。同社をカバレッジする48社のうち、「買い」またはオーバーウェイトとする比率は98%、中立が2%にとどまる。目標株価の平均は2139ドルと、足元の株価水準に比べても28%ほど高い。とはいえ、一時期に比べると目標株価は切り下がりつつある。クレディ・スイスは28日付リポートで目標株価を従来の2400ドルから2100ドルに引き下げた。ドイツ銀行も23日に2300ドルから2250ドルに小幅に切り下げた。市場の見方が弱気に傾きやすいなかで、しっかりと成長シナリオを示せるか。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

マイクロソフト、好調クラウドに曇りなし【米決算プレビュー:10~12月期】

マイクロソフトが30日に2018年10~12月期の決算発表を予定している。QUICK FactSet Workstationがまとめたアナリストの調整後EPS予想は1.09ドルで、前年同期(0.96ドル)から2桁増加する見通し。 クラウドサービス「Azure」の好調が業績を牽引しそうだ。 【2018年10~12月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高        290億8400万ドル (+18.5%) ・純利益(非GAAP)     84億7430万ドル (+13.0%) ・調整後EPS(1株利益)      1.09ドル (+13.5%) 【事業別売上の市場予想/会社計画】  PBP  :100億9200万ドル (+12.7%) /会社計画99.5~101.5億ドル、中央値100.5億ドル   IC    :  92億8100万ドル (+19.1%) /会社計画  91.5~93.5億ドル、中央値  92.5億ドル MPC :130億7600万ドル   (+7.4%) /会社計画    128~132億ドル、中央値   130億ドル ※QUICK FactSet Workstationより 売上構成比で約4割を占めるモア・パーソナル・コンピューティング(MPC)はWindows、デバイス、ゲーム、検索などを含む主力事業で利益率は3割弱、売上構成比が3割程度の生産性及びビジネス・プロセス(PBP)は法人向け、個人向けのOffice、Dynamicsなどを扱い利益率は4割弱。同様に売上構成比が3割程度のインテリジェント・クラウド(IC)ではクラウドサービス「Azure」を提供し、こちらも利益率も約4割と高い。 「Windows」で一世を風靡した同社は、パソコン需要の低迷で業績が頭打ちとなる時期もあったが、現在はクラウドサービスを主力とする企業への転換を推進している。主力の基本ソフト(OS)は稼ぐための製品というよりもクラウドサービスの利用を促す道具となりつつある。企業向けクラウド事業の「Azure」は中核サービスの一つとして急成長を遂げ、大企業向けで強みを発揮している。クラウドとソフトウエア販売を融合させた「ハイブリッドコンピューティング」戦略で売り上げを伸ばしているとみられ、2Qも2桁増収増益が期待できそう。米調査会社ガートナーは、クラウド市場が年率2割の成長が続くと予想しており、市場規模規模拡大の恩恵享受はしばらく続きそうだ。 マイクロソフト株の市場評価は高まっており、2018年秋には時価総額でアマゾン、アップルを抜き去って、15年ぶりに時価総額首位に躍り出る場面もみられた。現在の市場平均のマイクロソフトの目標株価は124.42ドル。年末の相場急落局面で一時100ドル台を割り込む場面もみられたが、足元では戻り歩調となり目標株価との乖離は17%程度となっている。2Q決算が市場予想を上回る着地となり株価の騰勢を強めれば、昨秋につけた52週高値(116.18ドル)の更新も視野に入りそうだ。 ▼QUICK FACTSETの「サプライズ履歴」より <過去20四半期決算分析> EPS実績   対アナリスト予想 上振れ回数   17 下振れ回数     3 EPS実績/アナリスト予想(%) 平均乖離率    +10.6 平均上振れ率   +13.2 平均下振れ率      -4.2 決算発表直後1日の値動き 上昇回数     15 下落回数       5 平均騰落率   +1.9 平均上振率   +3.9 平均下振率    -4.3 同社の決算発表は概ねアナリスト予想を上回って着地するケースが多く、過去5年(20四半期)で17回も上振れ。その際の平均上振れ率は13.2%に達する。下振れは3回で、率は4.2%にとどまる。決算発表直後1日の値動きは、15回が上昇し、5回下落。平均上昇率は3.9%、下落率は4.3%だった。概ね市場予想を上回る決算を発表してポジティブに動くことが多い。ただ、まれに利益確定売りに押されることもあるほか、市場予想を下回った際には大幅安に見舞われる傾向にあるので留意したい。(本吉亮) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

先行き懸念を払拭できるか、アリババと14億人の消費市場 【米決算プレビュー:10~12月】

中国のインターネットコマース(電子商取引、EC)最大手のアリババ・グループ・ホールディングスは、30日に2018年10~12月期(3Q)の決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、売上高は前年同期比48%増の1191億人民元、1株あたり利益(EPS)は12%増の11.47元が見込まれている。多くの証券会社は強気スタンスだが、足元ではかつての成長の勢いにやや陰りもみられる。市場予想も、決算発表日が近づくにつれて切り下がってきた。じわり懸念が広がるECの先行き不安を決算で払拭できるか、注目される。 【アリババの18年10~12月期決算の市場予想】 ・売上高   :1191億2200万元(48%増) ・EPS   :11.47元(12%増) (予想はQUICK FactSet Workstation。1月26日時点。かっこ内は前年同期比の増減率) QUICK FactSet Workstationによると、3Qの売上高は前年同期比48%増。4~6月期(1Q)は64%増、7~9月期(2Q)が56%増と鈍化が続く。中核事業であるコアコマース部門のうち、収益の柱である中国での売上高は前年同期比37%増の822億元と、15年10~12月期(35%増)以来の低い伸び率にとどまる見通し。 取引手数料収入よりも大きい、広告売り上げなどから成るカスタマー・マネジメント部門が伸び悩む。クリック数に応じて支払われる既存の広告モデルが伸びる一方、キーバンクによると、新たな広告モデル(レコメンデーション型広告)への移行によるマネタイズの遅れが成長の足かせになっているようだ。 中国のネット通販全体の成長鈍化懸念もある。スタイフェルのまとめでは、中国のオンライン小売売上高(モノ)は18年10~12月期が前年同期比21%増だった。35%増を記録した1~3月期以降、減速感が鮮明。単月でみれば12月に持ち直したものの、10~11月が10%台の伸びにとどまったためだ。 10%台の伸びにとどまった11月は、ネット通販セール「独身の日」でアリババの取扱高が前年比26%増の2135億元と過去最高だった時期。中国消費全体の成長が鈍化する中での記録更新は、他社のシェアを奪っているだけ、との見方もできる。中国消費というパイの拡大余地が乏しくなるのであれば、シェアを奪いきった後は、これまでのような成長は期待できない。 ■中国オンライン小売売上高(モノ)の伸び率 (前年同期比、スタイフェルのリポートより) 中国消費の減速を補えるほど、第二の柱はまだ成長できていない。野村証券は7日付のリポートで、動画やゲーム、音楽などさまざまなコンテンツを展開するデジタル・メディア・エンターテインメントについて「動画コンテンツへの多額の投資と動画広告収入の伸び鈍化で、連結ベースのマージンを下押しした」と予測する。 巨額の設備投資を必要とするクラウド事業も、収益貢献を期待するにはまだ早い。ジェフリーズはEBITA(利払い前・税引き前・減価償却前の利益)で損益分岐点の水準に達するのは、2020年3月ごろと見込む。売上高はEC事業にはるか及ばず、中国ECの動向が業績を左右する構図はこれまでと何も変わらない。 QUICK FactSet Workstationによると、同社をカバーする53社のアナリストの目標株価は平均で204ドル。足元の株価から30%超の上値余地があると見込まれている。投資判断を「バイ」や「オーバーウエート」など最上位に置いている証券会社は52社にのぼる。 決済システム「アリペイ」を含むアリババの巨大なエコシステムは「事業間でもっと大きなシナジー効果を生み出せる」(THデータ・キャピタル)。こうした期待にもかかわらず、実際の株価がアナリストの目標水準を超えたことはない。世界的なグロース株の見直し機運が高まり足元で株価は戻しているが、米中貿易摩擦が重荷になり伸び悩みもみられる。「アナリストの評価は過大」との烙印を押されないためには、マクロの影響を跳ね返すだけの、ミクロの積み上げによる力強い成長シナリオを示す必要がある。(松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ビザ、個人消費と世界景気を占う試金石【米決算プレビュー:10~12月期】

ビザは30日(日本時間31日朝)、2018年10~12月期決算を発表する。金融市場の関心は米ハイテク株に集まりがちだが、世界景気の先行きを占ううえで今回の10~12月期決算ではビザがカギを握りそうだ。仮に同社の決算が市場予想を下回り、個人消費が弱含んでいることが確認されれば、景気減速はもはや懸念ではなくなる。 ■市場予想は16%増益、データ処理手数料けん引 QUICK FactSet Workstationによると、ビザの18年10~12月期の予想1株当たり利益(EPS・非GAAP)は、アナリストの平均で前年同期比16%増の1.25ドル(24日時点、39社)を見込む。外国為替市場では「ドル1強」の流れだったが、ドル高のマイナス要因を上回る決済手数料を確保したようだ。特にネットワークの利用や清算などデータ処理に伴う手数料収入に加えて、国境をまたぐ海外取引手数料が伸びた。 <市場予想>18年10~12月期 ・売上高  54億ドル(11%増) ・EPS  1.25ドル(16%増、非GAAP) (注)1月24日時点、39社の予想()内は前年同期比 先行きの業績については、米中貿易摩擦による影響が大きい。ビザにとって米国は主戦場のほか、中国はここ数年で需要が勢いづいた重要な地域だからだ。 (注)QUICK FactSet Workstationから引用。2018年9月時点 ■マスターカードより投資妙味あり、との見方 アナリストはビザに対して強気だ。目標株価の平均は162ドルと、25日の終値138ドルを上回る。マスターカードとの相対比較で出遅れ感があるとの見方もある。バンクオブアメリカ・メリルリンチ17日付のリポートで「ビザの株価は52週高値から10%近く下落(17日時点)しており投資妙味がある」と指摘。さらに欧州での事業拡大のポテンシャルなどにも期待が持てるため、マスターカードよりもビザを長期的な視点から選好するとの見方を示した。 世界的なキャッシュレスの流れに加えて、電子商取引(EC)の拡大と事業環境は底堅い。ビザには高いシェアを保持する強みもある。景気減速下でも競合より相対的に高い成長を維持できる可能性がありそうだ。(根岸てるみ) <アナリストの目標株価とレーティング> ■2018年の決済額は8兆ドル近い ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

アク抜け遠いフェイスブック、市場が探すきっかけ【米決算プレビュー:10~12月期】

フェイスブックが30日に2018年10~12月期決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、24日時点の市場の予想EPS(1株利益、Non-GAAP)は前年同期比6%減の2.34ドルが予想されている。7~9月期決算では、月間アクティブユーザー(MAU)の伸び悩みが想定の範囲内と受け止められたが、株価が上昇基調に転換したとは言い難い。米大手IT企業全体に対する投資家心理が好転していないためだ。 【18年10~12月期決算に対する市場予想】 ・売上高      :163億9900万ドル(26.4%増) ・広告売上高    :161億9900万ドル(26.8%増) ・うち携帯向け広告 :149億4400万ドル(31.4%増) ・1株利益(EPS)  :2.34ドル(6.0%減、Non-GAAP)            2.18ドル(51.4%増、GAAP) (注:増減率は対前年同期) 18年10~12月期の売上高は同26%増の163億ドルと、これまでの3割増加ペースから伸び悩む見通しだ。7~9月期決算の発表後、業績の鈍化は想定の範囲内だと市場はいったん受け止めた。それでもフェイスブック株価が反転しないのは、「FANG」「GAFA」と称される大手IT企業(アマゾン・ドット・コム、アップル、グーグル、ネットフリックス、フェイスブック)に対する国際的な規制強化の懸念が払しょくされないためだ。 下記チャートから分かる通り、昨年後半、フェイスブックは個人情報の流出問題をきっかけに個別要因で下落。フェイスブックの下げが、他のGAFA銘柄をはじめとした米IT株の重荷となる格好だった。だが、7~9月期決算以降は、GAFA銘柄全体の軟調さに連動する動きとなっている。 ■株価はGAFAの他社に比べても大きく見劣り(フェイスブック=グラフ緑、ほか3社の指数=グラフ青) ■アクティブユーザーの推移          月間      日次 17年1~3月期 19.3(17%) 12.8(18%)       4~6月期 20.0(17%) 13.2(17%)   7~9月期 20.7(16%) 13.6(16%)    10~12月期 21.2(15%)  14.0(15%) 18年1~3月期 21.9(13%)  14.4(13%)       4~6月期 22.3(11%) 14.7(11%)   7~9月期 22.7(10%) 14.9( 9%)   10~12月期 23.1( 9%)  15.2( 9%)市場予想  (注)単位億人、カッコ内は前年同期比の増加率 「GAFA」にまとわりつく不安からフェイスブックが抜け出すきっかけとして、市場は、傘下であるインスタグラムの収益化など、新規分野の成長期待を高めるような成果を求めている。他のGAFA銘柄に比べた割安感を指摘するアナリストもいるため、きっかけさえあれば、株価の急反発は十分ありうる。もっとも、そのきっかけは「なかなか明確に出てこない」(国内投信)状況だ。今回の決算でもきっかけが見えないようだと、伸び悩む主力事業をめぐる様々な不安に振り回される展開は続くだろう。(吉田晃宗) (注)QUICK FactSet Workstationより引用。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

アップルショックから4週間 見えなくなるもの、見えてくるもの【米決算プレビュー:10~12月期】

アップルが29日の大引け後、2018年10~12月期(1Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(35社、24日時点)は前年同期比7.1%増の4.17ドルとなっている。アップルは2日に1Qの売上高が当初予想よりも5~10%低い840億ドルにとどまる見込みだとして従来予想を下方修正済み。利益ベースの業績悪化に加え、前回決算時のカンファレンスコールでiPhone販売台数を開示しない方針を示していた経緯もあり、市場では2018年1~3月期(2Q)の見通しなども含めて先行き不透明が強い状況だ。 【10~12月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高      840億ドル ( -4.8%) ・EPS(1株利益) 4.17ドル ( +7.1%) ・iPhone販売台数 6782万台  (-12.2%) 【1~3月期決算の市場予想】 (前年同期比) ・売上高      593億ドル (-2.9%) アップルは2018年9月に有機エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレー(OLED)のiPhoneXS、XS Maxに加え、液晶パネル(LCD)モデルのiPhoneXRの計3機種を発表した。需要期である10~12月期を前に買い換えが期待されたが、需要低迷といった報道が相次ぎ、アップルの販売戦略や多機能携帯電話(スマートフォン)市場の飽和懸念が強まる状況だった。また昨年11月2日の4Q決算発表時のカンファレンスコールで、ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)が今後、決算でiPhoneなど個別製品の販売台数・平均販売価格を発表しない方針を表明したことで、情報開示に対する姿勢に疑問符もついた。24日には自動運転開発を進めるプロジェクト・タイタンで200人以上の人員を削減したと伝わっており、iPhone以外の成長シナリオが見つかりづらい状況である。 ゴールドマン・サックスは24日付のリポートで「2018年1~3月期(2Q)の弱い業績見通しを受けて株価は弱含みそうだ」と指摘した。2日に売上高見通しを下方修正したことについてアップルは中国など新興市場の需要の弱さを理由にしていたが、GSは「中国は依然として弱いと考えられるが、欧州でシェアを失っているとみられる」と指摘。1QのEPSを4.17ドルとコンセンサス並みで予想しつつ、2Qについては売上高が583億ドル、iPhoneの販売台数を4230万台と見込み、それぞれ市場予想(593億ドル、4499万台)を下回る弱気な見方を示した。 「バイサイドの推定はさらに我々を下回る可能性が高い」としつつ、「アップルは今後、iPhone販売台数を公表しないため、2Qの動向についてはより高いレベルの議論と変動が予想される」と先行きに不透明感があるいう。GSは2018年9月に中国のスマホ市場が弱いことを検出したため10月からアップルの収益にリスクがあると積極的に指摘してきたとしつつ、「中国の潜在需要環境に改善の兆候はみられないが、悪化の速度は鈍化している」と指摘した。 またリポートでは、アップルが今月8日に会計を変更した点に着目。音声認識のSiri、無料のiCloudなどの償却をiPhoneやiPad、Macなどその他の製品の販売価格とまとめてサービスの売上高として計上するという。「これにより、iPhoneなどの製品の売上げを効果的に減らしつつ、それに相応してサービスの売上高粗利益率の向上に役立つと確信する」と指摘した。投資判断のニュートラル、目標株価140ドルを維持していた。 ベアード・エクイティ・リサーチは24日付のリポートで「2019年の予想は依然として高いか?」と先行きに警戒した。ガイダンスに注意として「2Qと2019年通期の市場予想が中国やその他に地域が困難な状況であることを踏まえると、依然として高い」と指摘。アップルのエコシステムの優位性や潤沢なキャッシュフローという長期的なポジティブ要因はあるが、「短期的に市場のコンセンサスがリセットされるまでは慎重に見たい」と指摘。投資判断のアウトパフォーム、目標株価185ドルは維持した。 アップルの株価は今月3日に142ドルまで下げ、2日に売上高を下方修正したことを受けて一時は10%超の急落となった。昨年10月に付けた上場来高値(233.47ドル)からは39%もの下げを記録している。その後は相場の地合い改善を受けて戻り歩調にあるが、一時は1兆ドルを超えた時価総額も7000億ドル台で低迷し、マイクロソフトやアマゾン・ドットコムの後塵を拝している。 QUICK FactSet Workstationによれば、同社をカバーするアナリスト41名の目標株価の平均値は179.62ドル(24日時点)で、24日終値から17.6%のアップサイド余地があると見込まれている。株価は悪材料を織り込んだ状態にあると言えるが、年明け以降は投資判断や目標株価の引き下げが相次ぎ、「買い」の投資判断を下している比率が49%に低下し、2005年12月以来、14年ぶりに買い推奨の比率が過半数割れとなった。2007年に初代iPhoneを発売して以降、初めてのことである。市場のセンチメントが弱気に傾いていることは確かで、映像コンテンツなどでiPhoneに変わる成長シナリオを示せるかどうかが焦点となりそうだ。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

半導体が「辛い」のは皆同じ AMDは「違い」示せるか【米決算プレビュー:10~12月期】

アドバンスド・マイクロ・デバイシズが29日の大引け後、2018年10~12月期(4Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、調整後の1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(29社、24日時点)は前年同期比横ばいの0.08ドルと見込まれている。2四半期連続の減収・減益となる見通し。半導体市況の悪化が見込まれ、目標株価の引き下げが相次ぐ中で悪材料出尽くしとできるかが焦点だ。 【10~12月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高 14億4500万ドル(-2.3%) ・EPS(1株利益) 0.08ドル(±0%、Non-GAAP) AMDの業績をけん引してきたのはPC用中央演算処理装置(CPU)のライゼンや画像処理半導体(GPU)のラデオンを含むコンピューティング&グラフィックス部門(C&G)である。しかしC&Gは2018年7~9月期(3Q)に2四半期連続の減収となり、ビットコインの下落基調もあって仮想通貨需要も低迷。売上高の過半を占めるC&Gの伸びにブレーキが掛かった。さらに3Qに大きな伸びを記録したサーバ向けCPUのEPYCを含む「エンタープライズ組み込み・セミカスタム部門(EESC)の鈍化が今後は予想され、AMDの成長ペースが曲がり角を迎えている。4QのC&Gの売上高の市場予想は前年同期比5%減の4億9400万ドルとなっており、前四半期との比較では30%減と大きく減る見込みだ。 ベアード・エクイティ・リサーチは18日付のリポートで「EPYCは2019年に市場シェアを10%減らすとみられ、我々の見解では困難に直面するとみられる」と指摘した。同業のインテルのサーバ向けCPUの「スケーラブル・プロセッサー」がEPYCより高性能だといい、さらに「インテルは昨年の大幅値下げに続き、大幅な価格改定を行う可能性がある」という。また仮想通貨のマイニング需要の減少を受け、中国でGPU在庫が通常の水準を大幅に上回っていることにも懸念を示し、投資判断のニュートラルを維持しつつ、目標株価を23から20ドルに引き下げていた。 バーンスタイン・リサーチは22日付のリポートで「仮想通貨の高揚感が和らぐにつれ、GPUの問題がAMDに圧力を掛けている」と指摘した。表面的に4Qの業績に期待はできず、GPUの逆風が持続する可能性があるとしながら、CPUやサーバ、データーセンター向けGPUが好調なら不安が覆い隠されるだろうとも見込んだ。投資判断はマーケット・パフォーム、目標株価16ドルで慎重な見方を維持した。 AMDの株価は2018年9月13日に34.14ドルまで上昇して2006年5月以来、12年4カ月ぶりの高値水準を回復して昨年半ばまでは堅調だったが、年末にかけては半導体市況の悪化を織り込む形で下げ基調に転じた。昨年12月26日には16.03ドルまで下げて昨年来高値から53%もの下げを記録した。テクニカル的には昨年10月安値(16.17ドル)と共に二番底を形成したようにみえ、年明け後は緩やかな戻り歩調にある。インテルが24日の大引け後に決算を発表し、2019年1~3月期(1Q)の売上高見通しが市場予想を下回ったことで時間外では7.11%安の46.22ドルで終えて急落したが、AMD株には目立った反応はみられなかった。 しかし、28日は前週末比8%安の20.18ドルと大幅安。米エヌビディアによる売上高見通しの下方修正を受けて、懸念が広がった。スタイフェルは28日付のリポートで「AMDのクラウド関連事業はまだ初期段階で収益への影響は小さい。ゲーム向け画像処理半導体(GPU)もエヌビディアより低価格・低コストだ」などとエヌビディアとの違いを強調し、下方修正との関連性は低いとの見方を示した。 QUICK FactSet Workstationによれば、同社をカバーするアナリスト36名の目標株価の平均値は22.47ドル(24日時点)で、24日終値(20.85ドル)から7.7%のアップサイド余地があると見込まれている。足元では目標株価の引き下げが相次ぎ、アンダーウエイトや売りの投資判断を下している比率が17%と半年ぶりの高水準に達しているが、弱い決算を受けて悪材料出尽くしとできるかがポイントとなりそうだ。(片平正ニ、松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

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