「上下院ねじれに」予想6割 米中間選挙、両院で共和敗北なら105円台も  月次調査<外為>

今年最大の政治イベント、米中間選挙まで1カ月弱。QUICKと日経ヴェリタスが共同実施した外国為替市場関係者への調査で、共和党は上院で過半数を維持するが下院では過半数を失う「ねじれ」状態になるとの予想が6割に上った。年末の円相場予想の平均は1ドル=112円80銭と足元の水準並み。ただ共和党が両院で敗北すれば105円台に上昇するとの予想も多い。   ※四捨五入の関係で合計は100にならない 米上下院のねじれ予想について、三井住友アセットマネジメントの市川雅浩氏は「ねじれ議会は市場のコンセンサスとなりつつある。現実になってもリスクオフの反応は一時的」という。 ただ2年前の大統領選では予想に反してトランプ氏が勝利し、直後に円安が進む「トランプラリー」となった。リスクシナリオを踏まえる意味で、中間選挙の結果がどうなれば最も円安・ドル高に傾くか聞いた。最も多い回答が「共和党が両院で過半数を維持」(72%)だった。その場合「年内に1ドル=120円まで円安が進む」が58%あった。 逆に共和党が両院で過半数を失った場合は円高・ドル安に振れる(64%)。重要法案や予算の審議が滞るだけでなく、大統領の弾劾も現実味を増し「リスクオフ=円買い」の筋書きになる。想定される円高の上限水準は1ドル=105円(50%)だ。 マネーパートナーズの武市佳史氏は「好調な経済を考えれば米国絡みの相場波乱は想定しづらい。年末にかけてのポイントは実は欧州」と指摘する。中でもユーロ相場への影響が大きそうなのが英国の欧州連合(EU)離脱交渉の行方だ。 来年3月の離脱の条件を巡って英国とEUは11月中旬の決着を目指す。調査では、年内に何らかの形で合意するとの見方が計52%だが、合意先延ばしを予想する声も少なくない。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鹿野達史氏は交渉難航による欧州経済への影響を危惧しつつも、懸念の広がりが結果的に両者の歩み寄りをもたらし「合意なき離脱は何とか回避されそうだ」とみる。市場ではユーロについて年末1ユーロ=130円台半ばが予想の平均だ。 月次調査は9~10日に実施し、金融機関や事業会社の外為担当者96人が回答した。   (QUICKナレッジ開発本部) ※日経ヴェリタスの14日付記事を掲載。QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。Qr1などQUICKの情報端末では月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

ガバナンス改革、市場活性化に効果あり 持ち合い株縮減など  QUICK月次調査<株式>

QUICKがまとめた10月の月次調査<株式>によると株式市場関係者は、この数年、企業や運用会社が様々なガバナンス改革に取り組んできた結果、資本市場の活性化に一定の効果をもたらしたと考えていることが分かった。 企業経営の統治指針であるコーポレートガバナンス・コードと、機関投資家向けの行動規範となるスチュワードシップ・コードは、どちらも企業経営に緊張感をもたらし、「稼ぐ力」を高めて、資本市場の活性化ひいては個人金融資産の活用・発展につなげる狙いだ。 調査はこれらのコードに盛り込まれた項目の中から5つを選び、市場の活性化にどのぐらい効いたかを質問した。「政策保有株の縮減」と「資本コストを意識した経営」、「議決権行使結果の個別開示」、「企業と投資家の建設的な対話」の4項目については、いずれも「(効果が)大いにあった」「多少あった」の回答の合計が8割に上った。「取締役会の多様性」も、何らかの効果があったとみる回答は66%だった。 こうした取り組みが推進される一方で、日銀のETF買いが株式市場に無視できない影響を与えているとの見方は根強い。この点を聞いたところ、「個別株の価格形成を歪める」(35%)および「市場全体の株価水準を歪める」(32%)との見方が多かった。 回答者からは「価格形成はあくまで市場に任せるべき」(投信投資顧問)、「いずれ政策の修正が必要になると思うが、出口戦略を誤ると株式市場の下落要因になる」(銀行)などの指摘があった。少数派だが「企業ガバナンスの空洞化を招く」(4%)との意見もあった。 調査期間は10月2~4日。証券会社および機関投資家の株式担当者148人が回答した。   ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

上下院ねじれ、トランプ氏レームダック化も 米中間選挙で債券月次調査

世界が注目する米国の中間選挙が11月に迫ってきた。QUICKが10月1日にまとめた9月の月次調査<債券>では、市場関係者の多くが、上院では「共和党辛勝」、下院では「民主党辛勝」を予測した。上下両院の多数派が異なる「ねじれ」状態になれば、予算編成や減税など重要法案の可決が難しくなり、米経済にも悪影響が出かねない。  ※QUICKは株式や債券、外為市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として公表。ヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。 今回の<債券>の調査期間は9月25~27日で、135人が回答した。 上院・下院の選挙結果をどのように予想するか聞いたところ、上院は「共和党辛勝」との回答が81%と大半を占めた。一方、下院で最も多かったのは「民主党辛勝」で53%、次に「共和党辛勝」が37%だった。全体としては、上院で共和党、下院で民主党がそれぞれ勝利するものの、そう大差はつかないと見る向きが多い。 「ねじれ」状態になると、さらに注目されるのが、ロシアゲートなど様々な疑惑が指摘されるトランプ米大統領の勢いだ。「弾劾訴追されないが、求心力は低下する」という回答が51%と過半数を占め、次いで「弾劾訴追されず、求心力も低下しない」が32%となった。「トランプ政権は確かに問題山積みだがそれは以前から分かっていたことであり、ここまで政権がもっているということは今後も急に体勢が崩れるとまでは行かないのではないか(証券会社)」との声がある。 トランプ大統領の求心力が衰えて多少おとなしくなるのか否かで、米国の通商・外交政策も大きく変わる可能性がある。 激化する米中貿易摩擦が今後1~2年でどのように推移するか、との問いには、「対立が膠着状態になる」(56%)が最多を占め、次いで「さらにエスカレートし、世界経済の成長が鈍化する」(24%)となった。「妥協が進み、世界経済は堅調な成長を維持する」は12%のみ。残念ながら、良い方向に向かうという期待はあまり持てそうにないようだ。「中国に一方的譲歩を強いる現在の米国の交渉スタンスの下で、早期妥結の可能性は薄れている」(銀行)という。   調査では、中間選挙の結果と米中貿易摩擦を踏まえた2019年の経済への影響も聞いた。米国、世界、日本いずれも、経済成長率が「押し下げられる」との回答が半数を超えた。市場の見立て通りに米議会でねじれが生じれば、「減税効果が薄れる2019年後半以降に追加の景気刺激策を実施することが難しくなる」(信託銀行)との懸念も出ている。また米国の物価上昇率については「押し上げられる」(56%)との回答が最も多かった。

ランド、レアルへの警戒感強く 広がる新興国不安 月次調査<外為>その2

新興国通貨の先安観が強まっている。QUICKがまとめた9月の月次調査<外為>によると、南アフリカのランドやロシアルーブル、ブラジルレアルが対円で下落すると予想している市場関係者(金融機関の外為担当者)が目立つ。米国発の世界的な貿易摩擦が経済基盤の脆弱な新興国通貨を狙い撃ちし、米利上げ路線による資金流出に拍車がかかるとの見方が広がっている。 中でもランドについては、半年先に下落しているとの予想が70%台後半と、2011年の調査開始以来の最高となった。「上昇する」から「下落する」の比率を差し引いたDIはマイナス67。ランドについては「南アの対外赤字、対外債務が大きく、経済成長ペースは低水準。米国との政治的な対立もあり、下落懸念が根強く残る」(証券会社)という。 ブラジルレアルの下落予想も61%と、上昇予想の10%を大きく上回った。国際通貨研究所の武田紀久子主任研究員は、「10月7日に迫る大統領選は『ブラジルのトランプ』と呼ばれ、過激な発言で知られる右派のボルソナロ下院議員が刺傷されるなど混迷化している。加えて輸出相手国第3位のアルゼンチンが国際通貨基金(IMF)の融資を受けるなど通貨不安のきっかけになりうる要素が多い」と指摘。レアルの先行きについて、タービュラントな(値動きの荒い)展開を覚悟する必要があるという。   米国との貿易戦争まっただ中の中国の人民元はDIがマイナス50と、人民元の切り下げを機に中国株安が進んだ「人民元ショック」の16年以来のマイナス幅に拡大した。「トルコリラ、南アランドなどの下落は、国内個人投資家の外為証拠金取引(FX)がボラティリティを拡大している」との見方も出ていた。(QUICKナレッジ開発本部)   ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。Qr1などQUICKの情報端末では月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

新興国不安の深まり次第で「米利上げ見直し」4割 月次調査<外為>その1

乱高下するトルコリラをはじめ新興国の通貨不安がなかなか収まらない。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した外国為替市場関係者への調査によると、通貨不安が一段と深刻になった場合、米国は金融政策を見直し、利上げペースにブレーキがかかるとの見方が4割超に上った。 月次調査は10~12日に実施し、金融機関や事業会社の外為担当者98人が回答した。 米連邦準備理事会(FRB)は好調な経済を受けて金融正常化のプロセスを進行中。金融市場では、今月と12月を含めて今年は最大4回、来年も数回の利上げが見込まれている。 新興国通貨不安が一段と深刻になった場合の米金融政策運営の見直しの有無を尋ねたところ、最も多い回答は「見直しはない」(54%)だった。その一方で「利上げ回数を減らす」(33%)と「利上げ打ち止め」(10%)、「利下げに動く」(1%)と見直し予想が目立った。 調査はその前段で、新興国不安のそもそもの要因は何かを聞いており、回答者が最も影響が大きいとみるのが「米の利上げ」(49%、複数回答)だった。 みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「米の利上げが止まらない限り新興国通貨の苦境が続くだろう。米経済の好調が持続するほど、新興国が通貨安に陥る皮肉な状況」と指摘する。米国が進める金融正常化が自縄自縛に陥り、成り行き次第では挫折しかねない可能性を市場関係者が意識し始めたとみることができる。 そのほか調査では、トルコリラ、アルゼンチンペソに続く「危機候補」を挙げてもらった。ブラジルレアル(31%)と南アフリカランド(25%)が突出。国際通貨研究所の武田紀久子主任研究員は10月のブラジルの大統領選など国内政治の混迷ぶりを懸念する。レアルは13日に対ドルで最安値を更新し、年初からの下落率が2割に達した。 新興国通貨安・ドル高の構図は円高要因にも円安要因にもなる。新興国通貨不安が一段と深刻になった場合の今年末のドル円相場については「1ドル=105~110円」と、今よりやや円高方向の予想が4割だった。(QUICKナレッジ開発本部)   ※日経ヴェリタスの16日付記事を掲載。QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。Qr1などQUICKの情報端末では月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

カギは「小学生から投資教育」 変われるか貯蓄大国ニッポン 月次調査<株式>

リーマン・ショックから10年が経ち、日経平均株価は安値から約3倍に回復。個人金融資産は約1800兆円に膨らんだが、その半分超を現金と預金が占め、「貯蓄から投資へ」の動きは伸び悩んでいる。QUICKがまとめた9月の月次調査<株式>で、市場関係者にこうした現状の打開策は何かを聞いたところ、「義務教育からの投資教育の導入」と答えた人の割合が3割と最も高くなった。NISA(少額投資非課税制度)の拡充など、税制面の優遇措置を挙げた回答を上回る。カギを握るのは、息の長い金融リテラシー向上の取り組みだ。 調査期間は9月4~6日。証券会社および機関投資家の株式担当者151人が回答した。 政府主導が音頭をとる形で、NISAや個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」といった非課税制度の拡充により貯蓄から投資へのシフトを促してきたものの、欧米と比較するとリスク資産への投資はなお低水準だ。もともと、欧米と日本ではお金に対する考え方が大きく違う面もある。欧米では投資教育が盛んで、著名投資家のウォーレン・バフェット氏は新聞配達などのアルバイトでためた貯金を元手に、11歳から投資を始めたことで知られる。 市場関係者からは「義務教育から正しい知識や成功体験を得ることが重要」(銀行)との声が聞かれた。若者の間で浸透している動画配信やSNSを有効活用すべきとの声もあった。大手証券会社は若年層向けにYoutube(ユーチューブ)動画チャンネル上で金融教育コンテンツを始めている。 日本で、貯蓄から投資の流れが加速しない理由については、「金融商品における元本信仰が根強い」(34%)という分析が目立つ。「日本国民は『リスク』というワードに拒否反応を示す傾向が強い。その背景には、デフレの長期化でインフレヘッジの必要性が見いだされず、資産運用ニーズが高まらなかった」(銀行)との声や、「投資信託の運用成績とその結果に対する金融機関のフォローが不十分」という指摘もあった。 貯蓄から投資を促進させるためには金融機関の役割が重要になる。金融機関やサービスに求めることとしては、「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)の徹底」が25%と最も多かった。次いで「低コスト金融商品の提供」が20%、「スマホ完結などのユーザーフレンドリーな金融サービス」が15%だった。投信業界では、短期の売買や行き過ぎた分配金などで、投資信託の顧客の46%が損失を抱えているという実態も明らかになったばかり。市場関係者はさらなる顧客本位の取り組みが必要とみている。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

金融政策の「修正」は消化不良 債券市場、緩和後退の解釈も多く QUICK月次調査

日銀が7月末に金融緩和の枠組み強化を打ち出してから1ヵ月たっても、債券市場はまだ消化不良ーー。QUICKが3日にまとめた月次調査<債券>でこんな結果が出た。金融政策の「修正」は、金融緩和の強化なのか、中立なのか、それとも緩和の後退(金融引き締め方向)なのか、債券担当者自身がどう解釈したのかを尋ねたところ、「中立」と「緩和の後退」の回答が拮抗した。同時に、日銀はどのような意図(狙い)を込めたと見ているか、という問いかけもしたが、「中立」あるいは「緩和の後退」が多く似たような結果となった。 ※QUICKは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として公表しています。今回の<債券>の調査期間は8月28~30日。回答者数は140人。 金融政策の見直しを債券担当者がどう解釈しているかの質問では、「緩和の強化」と受け止めている人が6%で、「緩和の後退」が45%。「中立」が最も多く49%だった。フォワードガイダンス(将来の指針)の導入で現在の低金利を「当分の間」継続することを示す一方で、経済や物価情勢に応じた長期金利の変動幅拡大を「これまでの2倍程度」を念頭に容認した。市場関係者の間ではフォワードガイダンスを、日銀が言うように緩和の枠組み強化と素直に受け止める向きもあるが、「日銀の国債買入による債券市場の流動性枯渇により対応を余儀なくされたという側面が強く、実質的には緩和の後退と同義であると考える」(銀行)との指摘もあった。 長期金利の一定程度の上昇の容認と、金利の抑制と、日銀の真意がどちらにあるのか、債券担当者の見方は真っ二つ。結局どちらなのか分からないので、結果として長期金利が大きく動きにくい状況になっている、といえる。   では、フォワードガイダンスが導入され、現行の低金利はいつまで継続するのか。最も多かった回答は「2021年以降も続く」(29%)というもので、「20年前半まで」(23%)と「20年後半まで」(15%)をあわせると67%。少なくとも来年19年に金利が引き上げられることはなさそう、とみている債券担当者が3人に2人の割合というわけだ。「今回のフォワードガイダンスで2020年より前に金利水準を引き上げたら日銀のコミュニケーションは破綻する」(証券会社)といった指摘があった。   ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

保護主義、米景気に影 「年内に顕在化」3割 QUICK月次調査<外為>

トランプ米大統領の保護主義的な通商政策が米国の経済成長を失速させるとの懸念が広がってきた。QUICKと日経ヴェリタスの共同月次調査によると、外国為替市場関係者の3人に1人が、米景気への悪影響はさっそく年内に顕在化するとみている。高い経済成長が減速し始める時期は、年内から来年1~3月期にかけてを予想する回答者の割合が4割超に上った。 月次調査は6~8日に実施し、金融機関や事業会社の外為関連業務の担当者96人が回答した。米が半導体や化学品など中国からの輸入品160億ドル分を対象にした制裁関税の第2弾を7日に発表。中国も報復措置を打ち出し、貿易戦争は日に日に深刻さを増している。 米国が中国や欧州連合(EU)などに対して発動した鉄鋼とアルミの追加関税の影響が、目に見える形で表れているのが米企業決算だ。ゼネラル・モーターズは追加関税に伴う原材料コストの上昇を理由に18年12月期の業績見通しを下方修正。キャタピラーは年間1億~2億ドルのコスト増が見込まれるとし、コカ・コーラも缶に使う鉄鋼・アルミ価格の高騰を受けて炭酸飲料の値上げに動いた。 関税で鉄鋼の販売価格が上がり、増収となったUSスチールのような例もあるが、プラスマイナスを差し引きすれば全体では強い逆風とみるのが自然だ。 調査で、米景気への影響がはっきり見えてくるのはいつごろかを聞いたところ、「7~9月」が6%で「10~12月」が29%となり、年内派は合計35%。最も多い回答は「19年前半」(50%)だった。 他国に強腰で臨むトランプ流のツケが、足元で4%を超す高成長を謳歌する自国に回るブーメランのような現象だ。米景気減速の時期については「10~12月」が12%で、「19年1~3月」が32%。これに「19年4~6月」の26%を加えると70%に達する。好況の賞味期限はあと1年足らず、というのが多くの市場参加者の見立てだ。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の鹿野達史副所長は「利上げの累積効果が出るうえ、米中摩擦の影響もあり、19年に入ると成長ペースは大幅に鈍化する。下期には軽い景気後退局面に入るだろう」と指摘する。 さらに通商摩擦の先行きと景気影響について懸念されるのが対日交渉だ。米は輸入車に25%の追加関税を検討。日本メーカーだけで2兆円のコスト増との見方もある。クレディ・アグリコル銀行外国為替部長の斎藤裕司氏は「25%の関税適用なら日本株が下落し、円相場に上昇圧力がかかる」とみる。裾野が広い自動車を起点にした業績悪化と株安のシナリオが浮かぶ。 調査で日本への対応はどうなるかを尋ねると、「関税の適用を回避」が39%、「25%未満の税率で適用」が37%で、「25%の税率で適用」(24%)を大きく上回り、やや楽観的といえる結果となった。 向こう1年間の円相場も「1ドル=105~110円」と「110~115円」がそれぞれ3割。自動車交渉の軟着陸を前提に、極端な円高を想定した見方は多くない。そのため、政府の交渉力への期待が裏切られる結果になれば、円相場も波乱に見舞われる可能性が高い。 ¥  $  €  £ 毎月定点調査している円相場の見通しは、金融機関の外為業務担当者の平均で8月末に1ドル=110円86銭と、5カ月連続で円安・ドル高方向にシフトした。円の変動要因として最も注目を集めたのは「金利/金融政策」で、金融機関の外為担当者の52%が挙げた。50%を超えるのは3月の調査以来5カ月ぶりだ。ドルの変動要因では「政治/外交」が60%に達し、4月以来の高水準となった。 注目の要因は通貨の上昇、下落、どちらに影響するとみられているのか。上昇と下落の両要因の強さを指数にしてみると、円の「金利・金融政策」の指数は46.2と、中立を示す50を下回った。これは円安の要因とみられていることを意味する。一方、ドルの「政治・外交」の指数は35.5と、50を大幅に下回った。すなわちドル安の要因だ。円の対ドル相場はこの2つの要因が綱引きする格好となる。市場では「米中通商政策の行方をにらみながら、ドル円は110円前後で方向感の乏しい推移が続く」(投信投資顧問)との指摘があった。 (QUICKナレッジ開発本部)   ※日経ヴェリタスの12日付記事に一部、加筆しています。Qr1などQUICKの情報端末では月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

鯨ざぶーん、ESG投資の拡大期待じわーり  QUICK月次調査<株式>

株式市場で幅広い銘柄を一気に買うことから「鯨」と呼ばれる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、環境や企業統治のテーマを重視するESG投資を開始してから1年が経過した。QUICKの月次調査<株式>によると、この1年で株式市場関係者のESG投資に対する見方もやや前向きに変化した。調査期間は7月31日~8月2日。証券会社および機関投資家の株式担当者149人が回答した。 ESG投資は、利益など財務の分析だけでなく環境や社会、企業統治の3分野に対する企業の取り組みを考慮して投資先を選ぶ。公的年金を運用するGPIFは運用資産の158兆円のうち、約26%にあたる41兆円弱を日本株に投資している。ESG投資の投資金額は1兆円からスタートし、数年かけて3兆円程度まで引き上げるとしている。 QUICKでは、GPIFがESG投資の開始を発表した17年7月に市場関係者にESGについてアンケート調査した。今回の調査では1年前と全く同じ項目を聞き、マインドがどのように変化したか調べた。 ESG投資の拡大余地について聞いたところ、1年前は「徐々に拡大する」と答えた人は全体の67%だったが、今回は79%に上昇した。 興味深い点はESG投資に関する懐疑的な見方が減少したことだ。1年前にESG投資について「一過性のブームに終わる」と答えた人が13%、「大きな変化はない」との回答が14%あったが、今回はそれぞれ9%、8%に低下した。 ESG投資が企業経営に与える最も大きな影響を聞いたところ、前回と同様に今回も「長期的な企業価値の向上を後押しする」が最多で34%を占めた。 国内株式のパフォーマンスに与える影響については、「中長期的なパフォーマンス向上につながる」が前回の35%から50%に上昇した。かつてパフォーマンスとの関係が不透明との見方から冷ややかな見方が多かったが、ESG投資に対する理解が深まるにつれて前向きなとらえ方が増えているようだ。 GPIFは現在、日本株に投資する3つのESG指数に連動を目指すパッシブ運用をしている。これら3指数それぞれの構成銘柄のトップは直近でトヨタ自動車(7203)、KDDI(9433)、キーエンス(6861)だった。ESGの切り口だけで株価の値動きを判断することは難しいが、これら3銘柄の年初から8月3日までの株価はキーエンスを除いて日経平均株価を上回った。市場関係者からは「認知度がアップするには、『ESG スコア』が良い企業の株価パフォーマンスが目立って良くなることが必要」(証券会社)との指摘があった。 <GPIFが連動を目指すESG3指数の構成銘柄トップと日経平均の推移> 国際組織のGSIA(Global Sustainable Investment Alliance)によると、16年の世界のESG投資の運用残高は約22兆ドルだった。このうち欧州が53%を占め、次いで米国が38%だった。ESGで先行する欧州ではインテグレーション(統合)投資の広がりにより、運用資産規模が格段に大きくなった。今回はじめて、どのようなスタイルのESG投資が今後広がるか質問したところ、インテグレーション(ESG要素を考慮した投資)との回答が35%と最も多かった。 ESG投資の運用資産の世界に占める日本の比率は2%と欧米と比較するとごくわずか。だがエーザイ企業年金基金が年内にESG投資を始める見込みなど、裾野が広がり運用資産が拡大する可能性もありそうだ。   ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。  

日銀は動くのか 「金利誘導の見直し」求める債券市場、QUICK月次調査

日銀は30~31日に開く金融政策決定会合で、現行の金融緩和策の副作用などについて点検する。QUICKが30日にまとめた月次調査<債券>によると、債券の市場関係者の多くが「市場機能の低下」を副作用として最も問題視し、市場機能の維持にはゼロ%程度に設定している長期金利の誘導目標を見直す必要があるとの声が多かった。 ※QUICKは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として公表しています。今回の<債券>の調査期間は7月24~26日。回答者数は133人。 大規模な金融緩和(長短金利操作付き量的・質的金融緩和)の副作用を挙げてもらったところ、最も多かった回答は「市場機能の低下」で47%を占めた。次いで「金融機関の収益圧迫」が29%だった。 次に、市場機能を維持するためには何が必要なのか(優先順位で2つ選択)を聞いた。最も多かったのは「長期金利ターゲットの撤廃・柔軟化」で74%、次いで「マイナス金利の解除」が38%、「国債買い入れ(現行ペース比)の減額」が35%、「ETFの買い入れの減額」が22%で続いた。 回答者からは「10年金利の誘導を現状の0.0%程度から『0.0~0.25%』の幅を持たせた柔軟運営に変更することで、将来の正常化への小さな一歩としての実績を残す可能性がある」(銀行)との予想があった。一方、「マイナーな文言の変更はあるかもしれないが、大枠は変わらない」(証券会社)、「今回は金融政策の変更はないが、今後の方向性について何らかの示唆がされる」(投信投資顧問)との指摘が出ていた。 そもそも副作用が生じるのは、日銀が掲げる2%の物価目標がいつになっても達成のメドがたたないため、超低金利の金融緩和策をひっこめることができないからだ。31日に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、4月時点で出した18年度の消費者物価指数(CPI)の見通しを下方修正するとみられている。政策委員が示す見通しを事前に予想してもらったところ、18年度は1.1%(4月の展望リポートは1.3%)、19年度は1.5%(同1.8%)、2020年度は1.6%(同1.8%)となった。   ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

人民元に広がる先安観 トランプ流、再び中国を翻弄 QUICK月次調査<外為> 

米国と中国の貿易戦争の火ぶたが切って落とされたのを受け、外国為替市場では中国・人民元の先安観が広がっている。QUICKがまとめた7月の月次調査<外為>によると、人民元相場が今後6カ月間に下落するとの予想は2016年12月以来の多さになった。 中国本土市場(オンショア)の人民元は対ドルで1ドル=6.69元前後と、およそ1年ぶりの安値圏にある。対円では年初の1元=17円台前半から16円台後半に下げている。米中貿易摩擦が激しさを増してきた6月以降、人民元に対する下落圧力が増している。 月次調査によると、金融機関の外為担当者のうち、向こう半年間で人民元の対円相場が下落すると予想した人は全体の56%を占め、比率は16年12月(63%)以来の大きさとなった。上昇予想の割合から下落予想の割合を差し引いたディフュージョンインデックス(DI)はマイナス44と、同じく16年12月(マイナス50)以来の大幅なマイナスとなった。16年は後半に中国景気が減速するなかでトランプ大統領の誕生が重なり、元安・ドル高懸念が加速し、およそ8年7カ月ぶりの元安水準となった局面だ。今回もまた人民元は貿易戦争を仕掛けたトランプ氏に翻弄されている格好だ。 貿易摩擦が中国経済に与えるダメージに対する懸念も広がる。外為市場関係者が貿易摩擦で最もマイナスの影響を受けるとみているのが「中国」。全体の53%が世界第2の経済大国の名を挙げた。「中国の習近平主席には長いスパンで(今回の事態に)臨む余地がありそうだが、そうした楽観には案外、死角があるようにみえる」との指摘も出ている。 中国国家統計局が16日に発表した18年4~6月期の実質国内総生産(GDP)の前年同期比の伸び率は6.7%と、3期ぶりに減速した。インフラ投資も消費も伸び悩み、貿易戦争が外需を直撃するリスクにも直面している。中国は人民元の安値誘導で米国の制裁に対抗しているとの見方もあり、「戦局」の行方次第で通貨の安定が一気に損なわれる可能性も看過できない。(QUICKナレッジ開発本部) ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。今回の<外為>の調査期間は7月9~11日。QUICKの情報端末で月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

米保護主義「20年まで」最多45%、次は日本も QUICK月次調査<外為>

米国と中国の貿易戦争が激しさを増してきた。QUICKが日経ヴェリタスと共同で実施した外国為替担当者への調査で、米トランプ政権の保護主義政策は「2020年の米大統領選まで続く」とみている人の割合が45%に上り、最も多くなった。トランプ政権の強硬姿勢は11月の中間選挙を乗り切る手段にとどまらず、当面は続くとの見立てで、世界経済や金融市場への悪影響が懸念される。 月次調査は米国が340億ドル相当の中国製品への輸入関税を発動した後の9~11日に実施。対象は金融機関や事業会社の外為担当者で91人が回答した。調査期間中の10日に2000億ドル相当の追加関税リストが公表され、一段と緊張が高まった。 市場が気にしているのが、問題の広がりと深度だ。米政権の保護主義政策がいつまで続くかとの質問に対し「20年の大統領選まで」とした回答(45%)は「今年11月の中間選挙まで」(36%)を上回った。「常態化する」との答えも12%あった。 <トランプ流に市場の懸念が高まっている> ちなみにQUICKが3~5日に実施した株式担当者への月次調査で同様の質問をした際は「11月の中間選挙まで」が53%、「20年まで」が22%だった。トランプ流は当初は中間選挙を乗り切るためのディール(取引)材料の1つとみられていたが、米中の覇権争いへとステージが大きく変わり、市場のとらえ方もこの数日間で急速に悪化したといえる。 米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は「中国との交渉は1年かかる」と長期戦も辞さない構え。MU投資顧問の菊池宏氏は「国際協調体制からG2(米中)による新帝国主義時代への移行が底流にあり、保護主義は長期化する可能性が高い」と指摘する。 貿易戦争の悪影響が最も大きくなりそうな国・地域をたずねたところ、中国(53%)、米国(29%)、その他の新興国(14%)の順になった。実際、中国は足元の経済減速と米利上げに貿易戦争が追い打ちをかける格好となり、株安と人民元安に見舞われている。 「日本への影響が最も大きくなる」との回答はわずか1%だったが、サプライチェーン(供給網)などに間接的な影響が及ぶ可能性はある。また、トランプ政権はとにかく貿易赤字を毛嫌いしており、中国の次は日本に対して通商面での圧力を強めることも予想される。 調査で米国が日本に何を求めてくるかをたずねたところ「農産品などの輸入拡大」(41%)が最も多く、次いで「米国内での生産拡大」(29%)、「自動車輸出の抑制」(22%)となった。「ドル高(円安)の是正」(7%)も挙がった。 足元でドルは独歩高の様相をみせ始めており、対円では1ドル=112円台と半年ぶりのドル高・円安水準にある。「貿易戦争で米中が共倒れになる事態にはならず、いずれ落としどころを探り始める。米金利上昇は緩やかで減税効果の本格化も期待されるため、ドル買いは息が長くなる可能性がある」(FX会社)との見方が出ている。 1年後のドル円相場の予想をみると、1ドル=110~115円とみている人の割合は32%となった。今月下旬には日米の新たな貿易協議の枠組み「FFR」が始まり、米側の出方が注目される。(QUICKナレッジ開発本部 根岸てるみ)   ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

激しい米中摩擦「米中間選挙まで続く」 影響大きいのは中国株 QUICK月次調査<株式>

激しさを増す米中の報復関税の応酬。米国が6日に中国の知的財産侵害に対して制裁関税を発動すると、中国は即座に対抗措置に出た。QUICKがまとめた7月の月次調査<株式>によると、注目する株価変動要因として「政治・外交」を挙げた人が回答者の38%に上り、2003年3月以来15年4カ月ぶりの高水準となった。また米中の通商問題は今年11月の米中間選挙まで続くとの回答が半数を占めた。調査期間は関税発動直前の7月3~5日。証券会社および機関投資家の株式担当者154人が回答した。 米国は6日、産業用ロボットや自動車、半導体など818品目、340億ドル(約3兆8千億円)相当の輸入品に25%の追加関税を課した。これに対して中国側は大豆を含む農産品や自動車など545品目、同額の追加関税を発動した。株式市場関係者へのアンケート調査では、回答者の約5割が米中の貿易摩擦は11月の米中間選挙まで続くとみている。短期間で収束すると回答した1割を合わせると、6割超がこの数カ月間は貿易摩擦問題に左右されやすい展開を見込む。 米中の貿易摩擦は好調な世界経済の足を引っ張りかねない。米中摩擦の影響について、回答者の5割弱は「一時的な景気減速を招く」と予想。次いで回答が多かったのは「影響は軽微」で2割強だった。米中貿易摩擦は秋まで続き、世界経済も一時的な減速が避けられない、というのが株式市場関係者のメインシナリオのようだ。 米国の関税引き上げはトランプ政権が事前に予告していたことから、市場では織り込み済みの面があった。9日の前場寄り付きの日経平均株価は続伸して始まり、心理的な節目の2万2000円を1週間ぶりに回復する場面もあった。日経平均の午前の終値は前週末比275円60銭(1.26%)高の2万2063円74銭だった。日経平均を対象としたオプション価格から算出し相場の変動率を映す日経平均ボラティリティ―・インデックス(VI)は低下。9日午前11時過ぎに前週末の終値より1.65ポイント(9.08%)低い16.52を付けた。 米中貿易摩擦で最も大きな影響を受ける株式市場として回答者が警戒しているのは中国。9日の寄り付きの上海総合指数は前週末比5.2181ポイント(0.2%)高の2752.4466だった。市場ではいったん悪材料出尽くし感が広がっているものの、トランプ政権はさらなる制裁関税を検討しているほか、本丸とされる自動車関税の引き上げの機会をうかがっている。目先のヤマ場は米国と日本が7月に予定する新たな貿易協議「FFR」になりそうだ。(QUICKナレッジコンテンツグループ) ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。  

「長短金利操作の撤廃を」 停滞する債券市場、8割が要望 QUICK月次調査

取引の停滞が著しい国内債券市場が活発化するには何が必要か。QUICKが2日まとめた月次調査<債券>によると、債券担当者の8割(複数回答)が日銀の長短金利操作(イールド・カーブ・コントロール、YCC)を撤廃するべきと答えた。日銀が今の金融政策で金利を低位で抑えつけているかぎり、市場の停滞は続くという見方が大勢だ。 ※QUICKは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として公表しています。今回の<債券>の調査期間は6月26~28日。回答者数は141人。 国内債券市場は盛り上がりを欠き、現物債の取引が成立しない時もある。取引が活発になるには「YCCの撤廃」(82%)のほか、「日銀による国債の買い入れの停止」(63%)といった金融政策の修正が不可欠という意見が多かった。「物価の上昇」(40%)、「首相・日銀総裁の交代」(35%)という声も目立った。 調査では「YCC政策で国内債券市場のボラティリティは低位で安定しており、原因がはっきりしている以上、金融政策の変更がなされないかぎり市場の活性化にはつながらない」(国内銀行)との指摘があった。「債券市場を活発化させるだけなら現在の政策をやめて、市場のことは市場に任せればいいが、それには株価暴落など大きな痛みを伴う」(証券会社)という声も聞かれた。 一方、「日銀が金融政策を動かそうとしても、政権が許さない」(投信投資顧問)といった見方や「本格的な債券市場の機能回復には、政権交代がないと難しい」といった意見もあった。 政府は6月15日に経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)と新たな成長戦略「未来投資戦略2018」を決めた。基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化について「2025年度を目指す」とし、2019年10月に予定している消費税率10%への引き上げは「実現する必要がある」と明記した。 債券担当者に消費税率の将来の見通しについて聞いたところ、2019年10月時点の消費税率は単純平均で9.7%となった。回答者の84%が予定通り「10%」になるとみているが、16%は「8%」のまま据え置かれると予想しているためだ。さらに5年後の2024年12月末時点の税率予想は10.9%。回答者の58%が「10%」の見通しを示し、次いで「12%」に引き上げられているとの答が24%を占めた。 市場関係者は「19年10月には予定どおり10%に引き上げられると見込んでいる。ただ、安倍政権の後に再び消費税率の引き上げに切り込める強い政権が生まれるとは考えにくく、さらなる引き上げは見通せない」(信託銀行)との声があった。 成長戦略で最も効果があると思う取り組みを聞いたところ、最も多かったのが「外国人材の受け入れ」で37%、次いで「多様な人材の活躍(女性活躍・高齢者雇用など)」が22%だった。「人材への投資(教育の無償化など)」が15%、「働き方改革(長時間労働の是正、最低賃金の引き上げなど)」が14%と続いた。 回答者からは「『外国人材の受け入れ』は、日本の産業に大きく寄与する人材を確保できるメリットが大きい。一方で、『人材への投資』の教育無償化は長期的な視点では国の成長につながるが、結果が見えるまで時間がかかる」(信託銀行)との意見があった。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

「南欧リスク再燃」3人に2人が懸念 QUICK月次調査<外為>

南欧の政局リスクへの警戒感がなおくすぶっている。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した外国為替市場関係者への調査では「リスクが再燃する」とみている人の割合が67%に上った。5月下旬に世界を揺るがしたイタリア政局の混乱は、新政権の樹立をきっかけにひとまず収まり、欧州中央銀行(ECB)は14日の理事会で量的緩和策を年内に終了することを決めた。だが油断は禁物だ。再び問題が顕在化すれば、ECBの金融政策の正常化プロセスが遅れかねない。 月次調査はECB理事会の直前の11~13日に実施。調査対象は金融機関や事業会社の外為関連業務の担当者で、75人が回答した。 イタリアはポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と極右「同盟」による連立政権の発足で、政治の空白をなんとか回避。イタリア国債の値動きは小康状態を保っている。またスペインはイタリアに比べて相対的に経済・金融面の不安が小さいとされる。 調査で南欧リスクの先行き見通しを聞いたところ「このまま収束していく」との回答は29%にとどまり、市場関係者の大半は警戒を緩めていない。「ギリシャやポルトガルなど周辺国にリスクが広がる」と一段の混乱を心配する声も一部にあった。 南欧リスクの行方をどうみるか 懸念されているのは、秋に控えるイタリアの2019年度予算の審議が一筋縄ではいきそうにない点だ。 ポピュリズムのコンテ新政権が財政拡張を唱えているのに対し、「財政ルールを重視するEU側が簡単に見過ごすことは考えられない」(欧州情勢に詳しい、みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミスト)という。EUとイタリアの関係が悪化すれば、イタリア国債への売りが膨らみ利回りが上昇(価格は下落)する事態を招くのは必至だ。 月次調査で、ECBが最初に利上げする時期はいつなのかを聞いたところ、回答者の38%が「19年7~9月」、27%が「4~6月」と予想。「1~3月」はわずか11%で、全体のざっと6割が、利上げは来年の半ば以降にずれ込むとみていた。 記者会見でドラギ総裁は量的金融緩和を年内に終了する一方、少なくとも19年夏までは現在の金利水準が維持されるとの見通しを示した。イタリア問題の展開しだいでは、ECBの金融正常化の足取りはさらに重くなる可能性がある。 マネーパートナーズの武市佳史チーフアナリストは「それほど大きな危機に発展せずに済んだとしても、問題がくすぶり続けるだけで金融正常化は遠のくのではないか」と指摘。当面はユーロに売り圧力がかかりやすい地合いになるという。 一方で、19年中の利上げ実施を前提に、「向こう1年は、ユーロは対ドル、対円とも堅調に推移する」(運用会社)との見方もある。 1年後のユーロの対ドル相場の予想を聞くと「1ユーロ=1.20~1.25ドル」が31%、「1.25ドル超」11%と、足元の実勢よりユーロ高・ドル安の方向を予想する声が目立った。最も多い回答は「1.15~1.20ドル」(32%)で、1.15ドルを下回るユーロ安を予想しているのは25%だった。 不透明な南欧の政局リスクをうまく封じ込め、ユーロを安定させることができるかどうか、ドラギ総裁の手腕が引き続き試される。 (QUICKナレッジ開発本部 大谷篤) ¥  $  €  £ 毎月定点調査している為替相場見通しによると、全回答者の平均の米ドルの対円相場は6月末に110円08銭、8月末は110円41銭、11月末には110円59銭。ユーロは同じく、6月末に1ユーロ=129円88銭、8月末は130円52銭、11月末には131円25銭と緩やかに円安・ユーロ高になるとみられている。ユーロの対ドル相場は1.18ユーロ、1.18ユーロ、1.19ユーロの予想。足元の実勢レートと比べてユーロ高水準で推移するが、上値は重い。 金融機関の外為業務担当者の見通しは、6月末に1ドル=110円12銭と、5月調査(109円93銭)から円安方向にシフトした。前月比で円安が予想されるのは3カ月連続で、予想が110円以上の水準となったのは1月調査(111円26銭)以来5カ月ぶり。3カ月後の8月末には110円31銭、6カ月後の11月末には110円63銭と、ほぼ横ばいの予想だった。今後6カ月程度を想定した注目の変動要因は、円・ドル・ユーロすべてが「金利/金融政策」で、次いで「政治/外交」となっている。 ※日経ヴェリタスの17日付記事に一部、加筆しています。Qr1などQUICKの情報端末では月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

持ち合い株の縮減に期待 「市場活性化に効果」が7割 QUICK月次調査<株式>

QUICKがまとめた6月の月次調査<株式>によると、株式市場関係者は持ち合い株の削減などコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の改定が株式市場の活性化に効果をもたらすと概ね期待を寄せていることが分かった。調査期間は6月5~7日。証券会社および機関投資家の株式担当者154人が回答した。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表している。 東京証券取引所は1日、コーポレートガバナンス・コードの改定版を発表した。改定は株式市場の活性化に効果があるのか、株式の市場関係者に聞いた。取引先などと株式を持ち合う政策保有株の縮減については、「効果がある」が20%で「やや効果がある」の56%を合わせると7割超に達し、期待が高かった。ただ、「効果なし」の回答も20%あり、懐疑的にみている側面も浮き彫りになった。 政策保有株の縮減を阻む最大の要因については、「取引関係への影響」が34%と最も多く、次いで「経営者の保身や実質的な買収防衛策」が22%、「日本的経営慣行」が21%と続いた。 改訂を受けてユニー・ファミリーマートホールディングス(8028)や、イオン(8267)など2月期決算企業の一部には持ち合い株を削減する動きもみられる。 また、取締役会の実効性を高めるには何が最も必要かを聞いたところ、「取締役・取締役会評価の厳格化」(40%)との指摘が目立った。「社外取締役に占める企業経営経験者の比率を高める」が18%、「社外取締役の比率を高める」が13%と続いた一方、「女性や外国人など取締役の多様化」を挙げる声は9%にとどまった。 ※「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

米長期金利の上昇余地小さい 利上げ織り込み、年末3.07%に QUICK月次調査<債券>

米長期金利の目先の上昇余地は限られる――。QUICKが4日まとめた月次調査<債券>によると、債券市場では米10年物国債の利回りは2018年末に3.07%になると予想されている。足元の米景気は堅調だが、先行きは減速するとの見方が多く、長期金利が3%を超えて大幅に上昇することはないとの読みが大勢だ。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。今回の<債券>の調査期間は5月29~31日。回答者数は140人。 米景気の改善と米利上げ観測を背景に、米10年物国債利回りは5月中旬に3.1%台と6年10カ月ぶりの水準に上昇(債券価格は下落)した。その後は欧州政治の不透明感の台頭をきっかけに長期金利は急落。2.7%台に低下する場面があった。足元で金利は反発しているが、再び上昇基調を強めるとの見方は少ない。 ひとつは、この先の米連邦準備理事会(FRB)による利上げを市場がかなり織り込んでしまっていることだ。「すでにフェデラルファンド(FF)金利について、2019年末までに3%程度(中立金利水準)への引き上げがマーケットに織り込まれている。これ以上の米利上げ観測の高まりを背景にした米金利上昇は限定的」(信託銀行)という。「FRBは短期金利を上げ続けるものの、長期金利は容易には上昇しない。むしろ外部要因から、3%を多少超えるあたりが限界ではないか」との声も出ている。 米景気の先行きも曲者だ。2009年7月に始まった米景気の拡大局面は今年7月で10年目に突入する。トランプ大統領の大型減税の効果が下支えするが、いつまでも我が世の春が続くとは限らない。月次調査によると、米景気が後退(リセッション)局面に向かう時期について「2019年前半」との回答が22%、「2019年後半」が29%を占めた。「18年内」の2%を加えると、半数以上が来年末までの景気後退局面入りを織り込んでいることになる。 「米利上げの影響がラグを伴い顕在化し、2019年前半に米国経済は軽微ながらリセッション入りする」(証券会社)。米長期金利については「今年の秋口にいったんピークをつけ、来年以降の景気減速とそれに伴う利上げペース鈍化への思惑から年末にかけてやや落ち着く」(信託銀行)というシナリオだ。 また、最近は米長期金利の上昇をきっかけにトルコやアルゼンチンなど一部の新興国の通貨が大幅に下落した。この傾向が続くと、どこまで実体経済の悪化が広がるのか。債券担当者に聞いたところ、最も多かったのは「一部の新興国に限定される」で64%。「先進国にも悪影響が広がる」が19%で、「新興国全体に広がる」が16%だった。 市場からは「外貨準備の蓄積に伴い、新興国の対ドルに対する耐久力も増してきている。自国通貨安に伴う経済への悪影響は以前より緩和されつつある。他方、トルコ、アルゼンチンのような政治的運営力が乏しい国は注意」(証券会社)との声があった。「米長期金利上昇の影響が一部とはいえ、外貨調達構造の弱い国に表れ始めた以上、更なる利上げが新興国や財政構造の弱い国に悪影響を及ぼすことは想定しておかなければならない」(投信投資顧問)との意見もあった。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

米利上げ「4回」の予想増える 景気後退は「19年前半」3割、QUICK月次調査<外為>

米経済指標の改善や原油高を受け、米連邦準備理事会(FRB)による利上げが進むとの思惑が強まり、米長期金利が上昇している。米10年物国債利回りは足元で約6年10カ月ぶりの高い水準を付けた。米国の利上げペースは加速するのか。外国為替市場の関係者を対象にQUICKがまとめた5月の月次調査によると、18年の米国の利上げ回数は「3回」が最も多く全体の5割を占めた一方、「4回」予想が4割に増えた。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。今回の月次調査<外為>の調査期間は5月14~17日。 ※Qr1などQUICKの情報端末で、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。 18年に入りFRBはすでに3月に利上げしている。この3月を含め年内に何回利上げするかが市場の焦点になっている。市場では「年内計3回以上の利上げを織り込みつつある。6月のFOMCでドットの上方修正があるかに市場の関心が集まろう」(証券会社)との声があった。「米国での税制改革の実施や、高率関税適用による輸入物価上昇などを受けて、物価上昇率が高まれば、利上げペースは市場の想定よりも速まる可能性もある」(銀行)との指摘もあった。 2009年7月から拡大を続けている米景気は、トランプ政権の大型減税によって先行きも好調を維持するとみられる一方で、FRBの利上げ継続が逆風になる可能性もありうる。では、先行き米景気が後退を始めるのは、いつごろだと予想するか。市場関係者の回答で最も多かったのは「2019年前半」で31%、次いで「2019年後半」で23%、「2020年前半」で20%と続いた。 米景気後退なら円高・ドル安が進行 仮に米景気が後退した場合、ドル円相場はどのくらいの水準になるかとの問いには、最も多かったのは「95~100円」と「100~105円」が34%で、現在の水準より円高の100円前後を予想する回答が多かった。 市場関係者からは「今秋に中間選挙を控えたトランプ政権が『米国第一』の姿勢を強め、日本を含めた世界経済全体に悪影響が及ぶような政策を発動したり、対米貿易黒字国の通貨が減価することに対して難色を示したりすれば、円安が進まない可能性もある」(銀行)との声があった。 「特に原油価格の高騰と朝鮮半島の政治イベントによる急激な円高の発生には留意しておきたい」(その他)といった指摘や「日銀のコミュニケーション次第では一気に円高に振れるリスクがある。とくに黒田日銀総裁が雨宮副総裁とともに正常化を模索する可能性には注意が必要」(投信投資顧問)などの意見もあった。 新興国通貨への影響は「一部に限定」、心配なのはトルコ  米長期金利と米ドルの上昇を背景に、トルコやアルゼンチンなど一部の新興国の通貨が下落した。この傾向が続いた場合、新興国にどのような影響をもたらすかと聞いたところ、「資金流出や通貨下落は一部の新興国に限定される」が7割を占め、「資金流出や通貨下落が新興国全体に広がる」が23%となった。 市場関係者からは「短期的には、資金流出や通貨下落が新興国全体に広がることはないが、2019年以降については、米国の利上げペースやインフレ動向次第で、広がる可能性が高まる」(投信投資顧)、「むしろ過剰流動性によって好景気を謳歌した中国こそ、米国の金利上昇の悪影響をかなり受けるものと警戒している」(その他)などの指摘もあった。 具体的に、資金流出や通貨下落の影響が大きい国・地域はどこかという質問には、「トルコ」(43%)、「アルゼンチン」(27%)、「中南米」(22%)、「ブラジル」(18%)、「南アフリカ」(10%)などが挙がった。 市場では「アルゼンチンやトルコの通貨が下落しているのは、両国ともインフレに直面しており、高水準の債務残高を抱えるなど、固有の問題があるため。一方、多くのアジア諸国は、過去に比べて財政収支や経常収支が改善している。通貨安がアジア諸国に波及し、金融市場全体に動揺が広がる可能性は低い」(投信投資顧問)といった指摘もある。

人気記事ランキング

  1. 登録されている記事はございません。

アーカイブ

PAGE TOP