「楽天・バンガード」、米国ETFに投資(インデックスファンドNAVI)

QUICK資産運用研究所=小松めぐみ 資産形成を目指す個人投資家の間で、指数連動型のインデックス投資が広まりつつある。運用各社も様々なインデックスファンドを展開し、低コスト化や品ぞろえの拡充など独自の取り組みでしのぎを削っている。 「インデックスファンドNAVI」では、運用各社のインデックスファンドシリーズについて、それぞれの特徴や強みを解説する。今回は楽天投信投資顧問の「楽天・バンガード・ファンド」。運用会社の名前を冠する珍しいインデックスファンドシリーズだ。 ■世界最大手の運用会社と組む 「楽天・バンガード・ファンド」シリーズは、楽天グループの資産運用会社である楽天投信とバンガード・インベストメンツ・ジャパンがタッグを組んで開発したインデックスファンドシリーズ。バンガード・グループ(以下バンガード)は、世界の資産運用会社の中でもインデックスファンド運用の最大手で、同社が運用する米国ETF(上場投資信託)は、国内でもネット証券の海外ETF販売ランキングなどで上位の常連だ。 日本で積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の対象となるファンドを提供したいと考えたバンガードがパートナーに選んだのは、ネット取引との親和性が高く、若年層との接点が比較的強い楽天投信。楽天投信としても、米国で既にネット取引を中心に低コストのインデックスファンドを幅広く提供しているバンガードと一緒に資産形成層のニーズを満たしていきたいと考えた。こうした流れで両社の名前を入れたシリーズが誕生した。 ■まるごと投資の「全米株式」と「全世界株式」 「楽天・バンガード・ファンド」シリーズのポイントは、バンガードが運用する米国のETFを投資対象とするファンドであること。米国ETFへの直接投資は時差や税金などの問題でハードルが高い印象があるが、国内の公募投信に仕立てることで日本の個人投資家でも買いやすく、長期の積み立て投資に適したファンドの提供が実現した。 シリーズは合計8ファンド。特に人気なのは「全米株式」と「全世界株式」の2本だ。純資産総額(残高)が最も大きい「楽天・全米株式インデックス・ファンド<愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式)>」(9I312179)の実質的な投資対象は米国の株式。投資可能銘柄のほぼ100%となる約4000銘柄をカバーし、現在日本で商品化されている米国株式ファンドの中で最大級の銘柄数を誇る(楽天投信調べ、2019年6月時点)。大型株だけではなく、中小型株も投資対象としているため、「長期的に見てパフォーマンスの向上と高い分散効果が期待できる」(楽天投信の石舘真企画部長)という。 「楽天・全世界株式インデックス・ファンド<愛称:楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)>」(9I311179)は、日本を含む世界の約8000銘柄の株式に「まるごと」投資できるのが最大の特徴。このファンドも日本にある世界株式ファンドの中では最大級(楽天投信調べ、2019年6月時点)だ。 ■「バランス型」は株と債券で対象2万銘柄 つみたてNISAに合わせてシリーズを立ち上げたため、長期の資産形成向けに相対的に低コストのファンドをそろえているのも特色の1つ。現在は米国ETFに投資するタイプだけでなく、複数の資産に分散投資するバランス型などを追加してラインアップを拡充している。このバランス型はバンガードのETFとファンドを利用することで幅広い資産クラスに投資できるのが特徴で、株式と債券あわせて約2万銘柄が対象になる 課題は運用精度のさらなる改善や信託報酬以外のコストの低減。なお、信託報酬に関しては投信業界の低価格化が進む中で、「状況を総合的に考慮しながら、取りうる対応を検討していきたい」(石舘氏)としている。 楽天投信の石館真企画部長 ■特設サイトで投資家とコミュニケーション 今年5月には同シリーズの特設サイト「楽天バンガードHEADS」を立ち上げた。参考にしたのは、バンガード創業者のジョン・ボーグルにちなんだ「ボーグルHEADS」という米国の投資家コミュニケーションサイトだ。日本でも投資家と直接コミュニケーションをとれるサービスの提供を目指し、ブログのようなシンプルなサイトにした。 サイト開設後は投資家から多くの質問が届いているという。内容は商品に対する素朴な疑問から、コストに関するマニアックなものまで幅広い。今後これらの疑問に答えていくことに加え、投資家との様々なやりとりを通じてサービスレベルを一層向上させていく。 <関連サイト> ◇楽天・バンガード・ファンド ◇楽天バンガードHEADS

大和投資信託「iFree」 とんがった品揃え、個性が強み(インデックスファンドNAVI)

資産形成を目指す個人投資家の間で、指数連動型のインデックス投資が広まりつつある。運用各社も様々なインデックスファンドを展開し、信託報酬の引き下げや品ぞろえの拡充など独自の取り組みでしのぎを削っている。 「インデックスファンドNAVI」では、運用各社のインデックスファンドシリーズについて、それぞれの特徴や強みを解説する。今回取り上げるのは、大和証券投資信託委託が運用する「iFree(アイフリー)」シリーズ。一般的なインデックスファンドだけでなく、他社にはない“とんがった”商品を相次いで投入し、独自路線を行く。 ■投資をもっと自由に 「iFree」のスタートは2016年9月と、他社のインデックスシリーズと比べて後発組だ。大和証券のみで販売する「ダイワ・インデックスセレクト」シリーズは2013年11月から運用しているが、「iFree」は主にネット経由で取引する資産形成層向けにコストを安く抑えた新シリーズとして立ち上げた。 名前に込めたのは「投資(investment)、もっと自由(Free)に」との思いだ。多様化する投資家のニーズに対応し、豊富なラインアップの中から投資家が自分の好みに合ったファンドを自由に選べるようにした。 「iFree」のインデックスファンドには、東証株価指数(TOPIX)やMSCIコクサイ・インデックスなど代表的な指数に連動するベーシックなタイプに加え、特徴ある成長分野に着目した「iFreeNEXT」シリーズがある。 ■「GPIF」「FANG」……高い期待リターンを提供 「iFree」には他社のインデックスシリーズでは取り扱いのない個性的なファンドが目立つ。例えば8月末に設定した「iFree 年金バランス」(04316188)は、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオに近づくように運用する。 「iFreeNEXT」では1月に「NYSE FANGプラス指数」に連動するインデックスファンドを世界で初めて投入した。FANGと呼ばれる米国のハイテク企業を中心にアリババなど中国のIT(情報技術)企業なども組み入れられている。 今月19日には日本の小型株を投資対象にした「iFreeNEXT 日本小型株インデックス」(0431118A)の運用を開始した。ラインアップの拡充に取り組む背景には「安易にコストの引き下げ競争に走るのではなく、高い期待リターンの提供こそが真に投資家のためになる」との考えがある。 ■アクティブ型とレバレッジ型を導入 より高いリターンが期待できるファンドのカテゴリーとして、今年1月にテーマ型のアクティブファンドシリーズの「iFreeActive」を、8月にはレバレッジファンドシリーズの「iFreeレバレッジ」を新たに導入した。 「iFreeActive」には、ゲーム対戦競技「eスポーツ」や教育とITを組み合わせた「エドテック」など目を引く最新のテーマ型ファンドをそろえる。1つのファンドに組み入れるのは10~20銘柄程度。月次レポートにはカラフルな写真やグラフを散りばめ、組み入れ銘柄を分かりやすく表示するなど工夫をこらした。 「iFreeレバレッジ」は、積み立て投資のメリットを存分に享受できると見込む自信作だ。8月に「iFreeレバレッジS&P500」(04315188)、今月19日に「iFreeレバレッジ NASDAQ100」(0431218A)を設定した。日々の値動きが各指数の2倍程度になるように運用する。 これらの指数にレバレッジをかけるファンドは、ETF(上場投信)を除くと国内初となる。大和投資信託の試算によると、「iFreeレバレッジ NASDAQ100」で今年6月まで毎月3万円ずつ20年間積み立て投資した場合、資産は元本の8倍程度になった。TOPIX連動型だと1.4倍にとどまる。 ■資産形成の議論で大事なことは…… 執行役員の熊原祐次マーケティング副本部長は「いまの資産形成の議論では大事なことが見過ごされている。わずかなコストの差よりも何に投資すべきか検証されていないのが残念」と指摘。若い資産形成層ほどより高いリターンを追求すべきだと提唱し、「どの資産で積み立て投資をするのかは、就職先を決めるのと同じかそれ以上に大切」と熱弁を振るう。 年内には主に資産形成層をターゲットにしたオウンドメディアをリリースする予定。投資未経験者でものぞいてみたくなるようなコンテンツを展開し、「マジメに面白く」投資を考えるきっかけを提供したいと考えている。顧客目線に立って低コスト化に向けた努力も続ける方針。今後も運用会社として投資家の成功体験をサポートし、積み立て投資を根付かせる取り組みなどを進めていく。 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

ニッセイAM<購入・換金手数料なし>、低コストにこだわり(インデックスファンドNAVI)

資産形成を目指す個人投資家の間で、指数連動型のインデックス投資が広まりつつある。運用各社も様々なインデックスファンドを展開し、信託報酬の引き下げや品ぞろえの拡充など独自の取り組みでしのぎを削っている。 「インデックスファンドNAVI」では、運用各社のインデックスファンドシリーズについて、それぞれの特徴や強みを解説する。今回はニッセイアセットマネジメントが運用する<購入・換金手数料なし>シリーズを取り上げる。名前が象徴するように、とことん低コストを追求している。 ■2013年に始動、つみたてNISA対象は7本 スタートしたのは2013年。「米国と同じように日本でもインデックスファンドを普及させたい」という想いから始まった。同社が2004年に確定拠出年金(DC)専用に設定し、09年から一般にも販売し始めたコストの安い「ニッセイ日経225インデックスファンド」(29311041)がヒットしていたこともあり、インデックスファンドがメジャーになると確信。シリーズの設計当初から低コストに徹底的にこだわった。 シリーズは現在、12本を運用。純資産総額(残高)の合計は18年8月末時点で1571億円にのぼる(図表1)。このうち10本は信託報酬が業界最安値水準。7本がつみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)の対象となっている。 ■目論見書やイラストを「断捨離」 「購入・換金手数料なし」というシリーズ名は、低コストへのこだわりの表れで、購入するときも解約するときも手数料がゼロであることを意味する。コンセプトが一目で伝わりやすい名前にした。 信託報酬を安く抑えるために、運用にかかるコストを徹底的にカット。ネット経由での販売を中心にして目論見書などの書類をペーパーレス化するだけでなく、イラストを排除したり、白黒のシンプルなものにしたりしてコストを削った。 極め付きは信託報酬引き下げのタイミングだ。同シリーズは「残高が増えてきたら信託報酬を下げる」というスタンスで、15年から4年連続で信託報酬を下げている。17年までは秋に引き下げを発表し、年1回の定期的な目論見書の改訂時期に合わせた。そうすれば臨時で目論見書を発行する手間が省け、費用の節約につながるからだ。18年は競合他社の値下げや残高の状況を踏まえ、夏に前倒しで引き下げた。 ここまでコストにこだわるのは、個人投資家と「ウィンウィン」の関係を築くのが目的。同シリーズはインデックスファンドのコスト革命で業界をけん引してきた。コストの安さが個人投資家の支持を集め、「残高増→信託報酬引き下げ→残高増」という好循環を生んでいる。 ■人気の外国株ファンド、残高は1000億円超 同シリーズの中で人気が高いのは「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」(2931113C)だ(図表2)。投信ブロガーが投票する「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」に2014年から4年連続で入賞。18年8月末には残高が1000億円を突破した。国内でシリーズ展開するインデックスファンドで最も規模が大きい。 先進国株が対象の「MSCIコクサイ・インデックス(配当込み)」に連動するファンドは、ほかにたくさんある。その中でも選ばれている理由について、投資信託企画部の結城宗治担当部長は「残高が増えたら信託報酬を下げる実績を積んできたことで、個人投資家からの信認が得られてきたのではないか」と分析している。 ■さらなるラインアップ拡充を検討 今後も低コスト化に向けた努力を継続する方針だ。信託報酬とは別に発生する諸費用を含め、投資家が負担する実質コストの抑制を目指す。 コストを抑制しているため、販売会社はネット証券が中心。販売チャネルが限られているだけに、認知度向上は課題だ。今後はより多くの顧客ニーズを満たすために、ラインアップの拡充を検討。複数の資産に分散投資するバランス型などの追加を視野に入れている。 <関連サイト> ◇こだわりのインデックスファンド<購入・換金手数料なし>シリーズ (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

アセマネOne「たわら」、幅広い販売網で存在感(インデックスファンドNAVI)

資産形成を目指す個人投資家の間で、指数連動型のインデックス投資が広まりつつある。運用各社も様々なインデックスファンドを展開し、信託報酬の引き下げや品ぞろえの拡充など独自の取り組みでしのぎを削っている。  「インデックスファンドNAVI」では、運用各社のインデックスファンドシリーズについて、それぞれの特徴や強みを解説する。今回取り上げるのは、アセットマネジメントOneの「たわらノーロード」。スタートは2015年12月と歴史は浅いが、幅広い販売網を持ち、確かな存在感を示す「たわら」に迫る。  ■「若い人に希望を」、シリーズの出発点に  「これから未来を担っていく若い人たちに希望を持ってほしい」――。そんな思いがシリーズ立ち上げの出発点になった。少子高齢化が進み、低金利が長引くなか、若い人の経済的な不安を和らげるためには資産形成に取り組みやすい商品が必要だと考えた。そこで提供し始めたのが、長期の積み立て投資がしやすい低コストのインデックスファンドシリーズだ。  もともと同社の前身のひとつである旧DIAMアセットマネジメントが機関投資家向けにインデックス運用の商品を多く手掛けており、比較的スムーズに商品化が実現。15年12月に「たわらノーロード」の第1号ファンドが運用を開始した。  当時はすでにほかの複数の運用会社がインデックスファンドシリーズを展開。信託報酬などのコスト面や商品のラインアップで他社に遜色のないシリーズ化を目指した。  ■親しみやすいネーミング、ロゴマークにもこだわり  独自色を打ち出したのが「たわら」のネーミングだ。他社のインデックスファンドシリーズはカタカナやアルファベットの名前がほとんどだが、ひらがな3文字で親しみやすさや分かりやすさを表現した。社内公募で集まった約300個の候補から選出。コメなどの穀物をくるんで保存する「たわら」には、コツコツと蓄える、積み上げていくといった意味が込められている。  ビジュアルにもこだわった。インターネットで取引する顧客の認知度向上を狙って、3つの黒い俵型を組み合わせた家紋のようなロゴマークを作った。基調のメインカラーは小判や金運、稲穂など、日本でおめでたいイメージがある黄色にした。 ■低コスト化は「常に検討」、実質コストは低水準  「たわらノーロード」は現在29本(ラップ口座向けを除く)。インデックス型は国内外の株式や債券、REIT(不動産投資信託)に投資する12本と、複数の資産に分散投資するバランス型の14本をそろえる。16年3月には市場平均以上のリターンを目指すアクティブ(積極運用)型の「たわらノーロードplus」を3本追加した。純資産総額(残高)は18年8月末時点で合計674億円(アクティブ型を含む)に積み上がっている。  このうち9本のインデックス型は、2017年12月末に設定後で初めて信託報酬を引き下げた。さらなる低コスト化の可能性について、花村泰廣・投資信託情報サービス部長は「むやみやたらに引き下げれば良いというものではなく、残高やコストとの見合いで常に検討している」と話す。  信託報酬だけを比較すると業界最安水準をやや上回るが、「投資家が負担する実質コストは業界でもかなり安い」(花村氏)という。投信のコストは信託報酬で比較する場合が多いが、実際には売買委託手数料や事務処理にかかる諸費用などが追加で発生する。これらを含めた「実質コスト」は、マザーファンドの規模が大きいほど負担が軽くなる傾向にある。  ■資産形成層にアプローチ、異業種と連携  「たわらノーロード」は積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)や個人型確定拠出年金(iDeCo)での取り扱いが多く、販売会社数は180社を超える。ネット証券を経由した購入が中心だ。他のインデックスシリーズと比べると、全国の信用金庫で幅広く販売しているのが特徴の1つだ。  最近は異業種と連携して、資産形成層へのアプローチも進めている。今年3月22日には家計簿アプリを運営するマネーフォワードと組み、「春から始める!賢いお金づくり~iDeCoとNISAの活用法~」と題したセミナーを開いた。ファイナンシャルプランナー(FP)を招き、参加者が投資のイロハを学んだ。  3月末にはABCクッキングスタジオ(東京・千代田)とタイアップして女性限定のセミナー「カラダとおカネはコツコツつくられる~お花見ごはんと資産運用のはなし~」を開催。料理の実演・試食後にアセマネOneの講師が「おカネ」について話し、参加者には7つの質問に答えてリスク許容度やモデルポートフォリオを診断するロボットアドバイザー「CAPTAIN One」を体験してもらった。  投資未経験者の中には「投資に興味はあるけど、どうしたらいいか分からない」といった悩みを抱える人が多い。今後もイベントなどを通して投資に興味を持ってもらい、長期の資産形成に取り組む若い人を応援していく予定だ。 <関連サイト>  ◇たわらノーロード ◇ロボットアドバイザー「CAPTAIN One」 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

野村AM、「ブランド」「分かりやすさ」で低コストと一線(インデックスファンドNAVI)

資産形成を目指す個人投資家の間で、指数連動型のインデックス投資が広まりつつある。運用各社も様々なインデックスファンドを展開し、信託報酬の引き下げや品ぞろえの拡充など独自の取り組みでしのぎを削っている。 「インデックスファンドNAVI」では、運用各社のインデックスファンドシリーズについて、それぞれの特徴や強みを解説する。今回取り上げるのは野村アセットマネジメント。新発想のブランド戦略で投資家層の拡大を狙う「Funds-i」シリーズや、積み立て向けに特化した低コストの「野村つみたて」シリーズを展開する。 ■25本の「Funds-i」シリーズ、為替ヘッジ型が豊富 「Funds-i」は2010年11月に投資初心者向けのファンドとしてスタートした。当初の品ぞろえは10本。いまでは熟練者向けの「Funds-i フォーカス」シリーズと、リスク水準の異なるバランス型ファンドを集めた「My Funds-i」シリーズを合わせて25本のラインアップがある。 このうち基本的な指数に連動する「Funds-i」は、現在16本。国内外の株式や債券、不動産投信(REIT)の主要な指数に連動するファンドが並ぶ。 2016年に新設した「Funds-i フォーカス」シリーズは現在4本あり、増配を続ける企業で構成する米国の「配当貴族指数」や米国のハイ・イールド(低格付け)債券の指数に連動する。2017年には5つのタイプからバランス型ファンドを選べる「My Funds-i」を拡充した。 これら「Funds-i」シリーズは、為替ヘッジをしながら海外資産に投資できる「為替ヘッジ型」の取り扱いが多いことが特徴の1つだ。為替リスクを取りたくない投資家のニーズに合わせた。シリーズ全体の純資産総額(残高)は7月末時点で993億円まで膨らんでいる(表1)。 「どのファンドを選べばいいかわからない」といった悩みを抱える投資家は、資産運用を助言するロボットアドバイザー(ロボアド)の「Funds Robo(ファンズ・ロボ)」が無料で利用できる。7つの質問に答えれば、「Funds-i」シリーズの中からそれぞれに適したファンドの組み合わせやバランス型ファンドが表示される仕組みだ。 ■新発想のPRを展開、20~30代女性をメインターゲットに シリーズ名の「i」は、「I(私)」や「index」、「愛・愛着」、「internet(インターネット)」といった意味。投資を「自分事」にしてほしい、日常生活に根付かせたい――。そんな思いが込められている。 「Funds-i」の設定から7年目の2017年1月、野村アセットマネジメントはブランド戦略の強化に乗り出した。大々的なプロモーションで手を組んだのは、これまで金融分野を手掛けたことのないブランディング会社だ。 プロモーションは投資初心者、とりわけ20~30代の女性をメインターゲットに絞った。パンフレットやWEBサイトだけでなく、ロゴも一新。駅構内や電車の中に広告を設置したり、複数の女性誌で特集を組んだりと、同社がこれまで試したことのない新しい発想のPRを次々と展開した。 さらに最近は投資をもっと身近に感じてもらうために、自社のスマートフォン(スマホ)向けアプリを通じたキャンペーンを実施。クイズとアンケートに答えるとアイスクリームがもらえるこのキャンペーンは、SNS(交流サイト)で話題となった。参加者による「#(ハッシュタグ)」付きの投稿の効果もあって、若い女性を中心に反響が広がった。 投資信託営業企画部の安藤祐介シニア・マネージャーは、「若い人の感性に響くもの、見て共感できるものを具体的な形にしていった」と話す。その波及効果は女性にとどまらず、配偶者や友人など男性にも広まっていくことを想定している。 ■積み立てに特化した「野村つみたて」 積み立て方式の少額投資非課税制度(つみたてNISA)導入を2018年1月に控えるタイミングで、17年9~10月には積み立てに特化した「野村つみたて」シリーズを立ち上げた。コストの安い3ファンドを投入。投資初心者向けをより意識して、商品の名前からパンフレットの内容まで一貫してわかりやすさを追求した。 このうち「野村つみたて外国株投信」(0131317A)は、17年11月に投票された「投信ブロガーが選ぶ Fund of the Year 2017」で4位入賞を果たした。設定から間もないにも関わらず、1本で先進国(日本除く)と新興国の株式に投資できる利便性や低コストが支持を集めた。滑り出しは上々で、設定後から資金流入が続いている(表2)。 ■巨大なマザーファンド、高い運用効率 同社のインデックスファンドは、それぞれが投資するマザーファンドが大きいことも特色の1つだ。マザーファンドの資産規模が大きいと、運用管理を効率化して諸費用を安く抑える効果が期待できる。 例えば「野村つみたて外国株投信」の残高は7月末時点で30億円弱。一方、マザーファンドの「外国株式MSCI-KOKUSAIマザーファンド」と「新興国株式マザーファンド」の合計残高は、7月末時点で約5500億円と大きい。投資家が実際に購入するファンド(ベビーファンド)1つ1つの残高が小さくても、そのファンドが巨大なマザーファンドに投資していれば効率的に運用できる。 さらに同社のインデックス運用は1980年代から実績がある。長い歴史とその間に培ってきたノウハウの蓄積が信頼の高さにつながっているようだ。 ■低コスト競争に参加せず、投資家層の拡大に注力 インデックスファンドは運用各社による信託報酬の引き下げが続いているが、野村アセットマネジメントはこの「低コスト競争」に参加する以外の方法を選んだ。主力の「Funds-i」は設定当初から信託報酬を据え置き、今後も引き下げる予定はないという。 激しい低コスト競争にどう対抗するか。同社が出した答えが「ブランド戦略」の強化だ。安藤氏は「コストの削り合いで業界が疲弊するのは意味がない。若い人が気負わず投資に踏み出せるような雰囲気をつくり、投資家層の拡大につなげたい」と語る。 「Funds-i」のキャッチフレーズは「もっと、お金の話をしよう」。投資の潜在的なイメージが「怖い」「難しい」から「おしゃれでかっこいい」などポジティブな方向へと変わり、若い人が気軽にお金の話に花を咲かせる日がくるのかどうか。野村アセットマネジメントの戦略が実を結ぶかが注目される。 <関連サイト> ◇「Funds-i」 ◇「Funds Robo」 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

三井住友トラストAM、インデックスシリーズのパイオニア (インデックスファンドNAVI)

資産形成をしている個人投資家の間で、指数連動型のインデックス投資が広まりつつある。運用各社は様々なインデックスファンドを展開し、信託報酬の引き下げや品ぞろえの拡充など独自の取り組みでしのぎを削っている。 「インデックスファンドNAVI」では、運用各社のインデックスファンドシリーズについて、それぞれの特徴や強みを解説する。第2回は国内で初めてインデックスファンドをシリーズ化したパイオニア、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMTインデックスシリーズ」を取り上げる。 ※「インデックスファンドNAVI」シリーズの第1回は6月27日配信の三菱UFJ国際投信 ■国内初のインデックスファンドシリーズ 同社が国内初のインデックスファンドシリーズとして2008年に立ち上げたのが「SMTインデックスシリーズ」だ。信託銀行系列の資産運用会社で培った運用ノウハウを生かし、「分かりやすい、始めやすい、続けやすい」をコンセプトにしたこのシリーズを設定した。 目指したのは、投資初心者でも長期で安定した資産形成に取り組めるようなファンドシリーズ。それまで長く年金基金や機関投資家に投資商品を提供してきた実績とノウハウを個人向けの商品開発にも応用した。 シリーズの名前は、会社の略称(三井住友トラスト・アセットマネジメント=SMTAM)から付けられた。2008年1月の設定当初は6本だけだったが、現在は28本に増加。純資産総額(残高)の合計は、今年1月に2000億円を超えた(図1)。 昨年11月には新しいシリーズを投入。手数料ゼロのノーロードで、ネット専用の「i―SMTインデックスシリーズ」を新設した。 ■「高品質」「幅広い品ぞろえ」が強み これらのシリーズの強みは「品質の高さ」(商品戦略企画部の宇野直樹部長)。インデックス運用では指数の値動きとの乖離(かいり)をいかに最小限にとどめるかが評価尺度の1つだが、同社のインデックスファンドはこの「トラッキングエラー」が小さいことでも定評があるという。 幅広い品ぞろえも特徴だ。シリーズを構成するのは、市場全体の動きに連動する伝統的なインデックスファンドだけではない。インデックスに関する深い知識を生かして商品開発に取り組み、より効率的な運用を目指す「スマートベータ(賢い指数)型」のファンドも展開している。 例えば「配当貴族指数」に連動するファンドは、一定期間以上連続して増配している優良株に投資する「スマートベータ型」だ。日本と米国、欧州を対象にした3種類をそろえた。 ■人気の「世界経済インデックス」、GDPに応じて分散投資 「SMTインデックスシリーズ」には、5本のバランス型ファンドがある。このうち2017年8月に設定した「SMT 世界経済インデックス・オープン」(64311178)は、先進国と新興国、日本それぞれの株式と債券の6資産が投資対象だ。株式と債券に半分ずつ投資し、地域別の組み入れ比率は国内総生産(GDP)総額の比率に基づき決定する。 シリーズとは別で、2009年1月から運用している「世界経済インデックスファンド」(64315091)は、設定来のリターン(分配金再投資ベース)が18年6月末時点で119.09%と高く、個人投資家の支持を集めている。このファンドは地域別のGDPの比率を参考にしつつ、専門家の知見なども取り入れながら運用する。年1回ごと地域別構成比を見直す点や投資対象は「SMT 世界経済インデックス・オープン」と同じだ(図2)。 ■統合で運用力を強化 同社は今年10月に三井住友信託銀行の運用部門と統合する予定で、国内で最大規模の運用会社となる。年金運用に強みを持つ同部門との統合により運用力を強化していく。 今後は顧客ニーズの多様化にどう対応するかが課題の1つ。インターネットで取引する個人投資家には「i―SMTシリーズ」を活用してもらい、「SMTシリーズ」では伝統的な指数にこだわらず、さらに進化した指数連動型の商品を投入していく方針だ。 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

三菱UFJ国際投信、「eMAXIS Slim」の信託報酬引き下げ 業界最安に

三菱UFJ国際投信は3日、指数連動型(インデックス型)の投資信託「eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)」シリーズ10本のうち3ファンドの信託報酬を7月25日に引き下げると発表した。3本はいずれも業界最安と並ぶ水準になる。 今回引き下げるのは「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」(03319172)と「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」(0331C177)、「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」(03312175)の3本。 同シリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」という方針がある。ニッセイアセットマネジメントが6月29日にインデックスファンドシリーズ12本のうち6ファンドの信託報酬を業界最安水準まで引き下げると発表しており、これに追随したとみられる。 ◇三菱UFJ国際投信の発表資料はこちら (QUICK資産運用研究所)

ニッセイアセット、インデックスシリーズの信託報酬を引き下げ 業界最安に

ニッセイアセットマネジメントは29日、指数連動型(インデックス型)の投資信託「購入・換金手数料なし」シリーズ12本うち6ファンドの信託報酬を引き下げると発表した。7月13日に2本、8月21日に4本を引き下げ、いずれも業界最安となる。 このうち、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンド」(2931517A)は税込みで0.36612%から0.20412%に引き下げ、同じタイプのインデックス型としては業界最安値を更新する。シリーズの中で残高が最も大きい「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」(2931113C)も0.20412%から業界最安の0.11772%に下げる。   「<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド」(2931316B)は業界最安に並ぶ0.17172%とするほか、複数の指数に連動する4資産均等型、6資産均等型、8資産均等型もそれぞれ最安値を更新する。 ◇ニッセイアセットマネジメントの発表資料はこちら (QUICK資産運用研究所)

三菱UFJ国際投信、「eMAXIS」など投資家のニーズに幅広く対応 (インデックスファンドNAVI)

積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の開始や個人型確定拠出年金(イデコ)の加入者拡大が追い風となり、投資初心者にも分かりやすい指数連動型(インデックス型)の投資信託に対する関心が一段と高まっている。 ファンドマネジャーが主に市場平均以上の成績を目指して運用するアクティブ型と違って、インデックス型は運用の巧拙で成果に差がつきにくいとあって、運用各社はコストの引き下げや品ぞろえなど独自の取り組みでしのぎを削っている。 各社のインデックスシリーズにどのような特徴や強みがあるのか、「インデックスファンドNAVI」として、運用会社ごとに解説していく。第1回は三菱UFJ国際投信。同社が運用する主なインデックスシリーズは「eMAXIS(イーマクシス)」「eMAXIS Slim」「つみたてんとう」の3種類がある(表A)。 ■古株の「eMAXIS」、安さと豊富なラインアップで残高伸ばす  同社が最初に設定したのは「eMAXIS」。設定は2009年10月で、他社のインデックスシリーズと比べても古株に入る。当時は販売手数料ゼロの「ノーロード」が珍しく、安いコストと豊富なラインアップなどが投資家に受け入れられ、右肩上がりで純資産総額(残高)を伸ばした。現在では、国内の主なネット向けインデックスシリーズの中で最大規模に成長した。 当初はシリーズで8本だけだったが、徐々にラインアップを増やし現在では36本をそろえる。2014年には少額投資非課税制度(NISA)での利用が増え、残高が大きく伸びた。全国各地の地銀に販路を拡大していたことも奏功し、特に「eMAXIS バランス(8資産均等型)」への資金流入が増加した。  ■低コストの「Slim」誕生  17年2月、新たに誕生したのが「eMAXIS Slim」シリーズだ。運用コストに敏感なネット投資家が増えてきたのに合わせ、「コストを徹底的に下げた」(プロダクト・マーケティング部長の吉田研一氏)新しいシリーズを立ち上げた。  「Slim」は目論見書や運用報告書などを電子交付にして印刷コストを削減。スリムな商品ラインアップとスリムな信託報酬がコンセプトで、信託報酬については「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」という思い切った方針を打ち出した。この発想が多くの個人投資家の共感を呼び、ネット証券各社の積み立て投資額ランキングでは上位に顔を出している。  今年始まった「つみたてNISA」の開始に合わせて投入した「つみたてんとう」シリーズの売れ行きも順調だ。同シリーズは主に金融機関の対面販売向けの商品。信託報酬は「Slim」シリーズほど安くないが、つみたてNISAの制度説明も網羅した販売用資料や金融機関の販売員向けの研修などで手厚くバックアップする体制を整えた。  吉田氏はつみたてNISAに関して「利幅は薄いが、制度を利用して投資を始めるきっかけとなれば、その意義は大きい」と話す。 ■「投資家のニーズに幅広く対応」が強み  同社は積み立て投資の働きかけに力を入れている。資産運用を始める人、続ける人を応援するサイト「ポートステーション」を開設。投資家が5つの簡単な質問に答えるだけで「eMAXIS最適化バランス」シリーズの5ファンドの中からおススメ商品を提案する無料のロボット・アドバイザー(ロボアド)「ポートスター」も導入した。  また、都営地下鉄の駅構内には、漫画仕立ての冊子「つみたてNISAによろしく」を陳列した。若年層が抱える「投資が怖い」「損をする」といった誤解や警戒感を解きたいとの思いが根底にある。  3種類のインデックスシリーズをそろえる同社の最大の強みは「投資家のニーズに幅広く対応できる」(吉田氏)ことだ。金融機関の窓口で販売員に相談しながら積み立て投資を始めるなら「つみたてんとう」シリーズ、コストにこだわりネット証券などで自ら商品を選ぶ人には「eMAXIS Slim」が向く。ほかの2つのシリーズにはないラインアップから選んだり、ロボアドの助言を受けたい人は「eMAXIS」が選択肢になりそうだ。 <関連サイト> ◇「eMAXIS」 ◇「eMAXIS Slim」 ◇「ポートステーション」 ◇「ポートスター」 ◇「つみたてNISAによろしく」 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

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