つみップ「金融庁×学生投資連合」第2弾 遠藤長官もサプライズ参加

3日夕の霞が関。金融庁が入る中央合同庁舎第7号館の受付に普段着姿の大学生が列をなした。金融庁が開いている個人投資家向け意見交換会「つみたてNISA Meetup」(愛称つみップ)に参加するためだ。今回は金融庁の遠藤俊英長官がつみップに初参加し、投資を学ぶことの重要性を説いた。 つみップは金融庁が積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)普及の一環で個人投資家向けに開いている意見交換会。「学生の金融リテラシーを高める」を理念に掲げて、全国の投資サークルで活動をしている「学生投資連合USIC」(Union of Student Investment Clubs)が所属する大学に呼び掛け、参加者を募った。つみップでの「金融庁×学生投資連合」は昨年6月に続く2回目。大学1、2年生を中心に、主に首都圏の大学の投資サークルで活動している約60人が参加した。 ■37年間の日本経済と官僚人生 遠藤長官の参加は事前に予告されていないサプライズ。金融庁が4月に開催した「つみたてNISAフェスティバル」で、ファイナンシャル・プランナーのカン・チュンド氏(しんようFPオフィス代表)との対談でつみップへの参加を要望されたことに応えた格好だ。金融庁が重視する金融経済教育を自ら率先して推進していく強い意図を示したと言える。 冒頭でスピーチした遠藤長官は、1982年から37年間にわたる自身の官僚生活とともに日本経済を振り返った。82年に7000円台だった日経平均株価が89年末に3万8915円の最高値を付け、その後にバブル経済が崩壊したことや、82年に8%近くあった長期金利が現在はマイナスに陥っていることを例に挙げ、経済は予想もつかない変化をしてきたと説明。また文書作成にワードプロセッサーと呼ぶ機器を重宝して活用した時代があったことをいまの若者は知るよしもないなど、社会も大きく変貌してきたことを付け加えた。 将来も予想のつかない変化が待ち受けているとすれば、学生時代から投資を学び経済や社会についての理解を深めておくことで「社会人になってからの10年後、20年後、その時々にベストな判断をくだすのに役立つのではないか」との見解を述べた。 遠藤長官は意見交換会後の懇親会にも参加。乾杯のあいさつで「きょうの参加を投資の学びのきっかけにして欲しい」と呼びかけた。学生とゲストとの会話の輪に加わり、熱心に耳を傾けている姿も印象的だった。 ■ブロガー水瀬氏がインデックス投資家になった理由 意見交換会ではUSIC代表の早稲田大学2年生の井上晃希氏が「学生の投資のメリットとは」と題してプレゼンテーション。「投資は自分を成長させる」「就活にも生かせる」などのメリットを説明すると同時に「生活資金を使わない」「学業をおろそかにしない」などの注意点をあげた。 ゲストとして投信ブロガーの水瀬ケンイチ氏が登壇し、「なぜ、私はインデックス投資家になったのか?」について講演した。水瀬氏は「(会社のトイレに隠れて株式を取引する)トイレ・トレーダーだった時期もあるが、投資以外のQOL(Quality of Life)を大切にしたかった」とその背景を話した。 また水瀬氏は「世界中の株式・債券に分散投資したインデックスファンドをバイ&ホールドするだけの『ほったらかし投資』で儲けられると分かった」「その背景として資本主義経済が人々の欲望のエンジンに支えられ、拡大再生産する仕組みを持ち、株式市場は短期的な変動が大きくても長期には安定度が高まる平均回帰的な性格を持つ」などと説明。自らの資産配分、投資額や損益の実額推移もグラフで示した。 ■「トイレに籠って株式投資、バレたら……」 質疑応答では、経済評論家の山崎元氏、日本株アクティブ型投資信託「結い2101」を運用する鎌倉投信の鎌田恭幸社長、通信大手傘下の運用会社KDDIアセットマネジメントの藤田隆社長、つみたてNISA対象ファンドを販売しているtsumiki証券の寒竹明日美社長がゲストとして学生からの質問に応じた。 鎌田氏はアクティブ運用にはインデックス投資では決して味わえない、社会に役立ち、人の人生をも変えてしまうような企業と出会える醍醐味がある点を強調。藤田氏は「投資を実践する入り口」として、auのウォレットポイントを使った運用を4月から始めたことを説明し、寒竹氏は人気マンガ「東京タラレバ娘」とコラボレーションして「しあわせになるためのおカネ」の知恵を解説していく「東京ツミタテ娘」というコンテンツサイトを立ち上げたことを紹介した。 学生からの質問で口火を切ったのは「水瀬氏が日本国債への投資に対してインデックスファンドでなく個人向け国債を使っているのはなぜか」という金利と債券価格の関係に迫るテーマ。続いて「資本主義経済の拡大を阻害する要因は何か」「鎌倉投信はなぜインデックス運用しないのか・銘柄発掘の考え方は」「ESG(環境・社会・企業統治)投資や行動経済学の将来性を知りたい」「トイレに籠っての株式投資を気づかれた時の人事評価は」「ポイント運用では投資対象を選べるのか」といった具体的な疑問がぶつけられた。遠藤長官は「素直で自分も勉強になった質疑」と感想を述べた。 株式投資には興味があるが、インデックス投資やつみたてNISAの実践はまだ先と考えている学生の参加が大半とみられるが、社会人になったらインデックス投資をしてみたいとの声もあった。投資の学びを重ねながら近い将来に長期・積み立て・分散投資を始めるためのきっかけづくりの場になったようだ。 学生投資連合USICのホームページはこちら 金融庁「つみップ」のホームページはこちら (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、望月瑞希)

学生投資連合×金融庁 「つみップ」参戦、質問攻めに

サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で日本が初戦を迎えた19日夜、多くの人が応援のために街に繰り出し始めた時間帯に、金融庁の会議室にカジュアルな服装の若者が集まった。金融庁が積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)普及の一環で開いている個人投資家向け意見交換会「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)に参加するためだ。 参加者は主に首都圏の大学の投資サークルで活動している約50人。理念に「学生と金融をつなげ、学生の金融リテラシーを高める」を掲げて、全国の投資サークルの取りまとめ役である「学生投資連合USIC(Union Students Investment Clubs)」が所属メンバーに声をかける形で実現した。 参加申込者の内訳は大学1~2年生が約7割で、3年生が約2割、残りが4年生と大学院生だった。ゲストとして、投信ブロガー「虫とり小僧」さんらも加わった。 ■「さあ、皆さんはどう思いますか?」に率直な質問が次々と 冒頭で金融庁の「つみップ」担当者が「つみたてNISA」を制度化した背景や個人にとってのメリットなどを解説。参加者が大学生ということで、金融庁の生い立ちや役割などの概略も説明した。 担当者からの「さあ、皆さんはどう思いますか?」という問いかけをきっかけに、大学生が次々と手を挙げ、率直な疑問や質問をぶつけた。 【大学生の疑問・質問】 ・成人年齢の引き下げが決まったので、親の同意無しに投資できる年齢も下がると想定される中で、学校での早い段階の投資教育が重要になると思うがどう考えるか。 ・投資信託の販売手数料が(欧米などと比べて)高止まりしているのはそもそもなぜか。 ・楽天ポイントで投資できるようだが、現状を知りたい。ポイント投資によって個人の金融資産を構成する現預金と株式・投信の割合はどう変わるのか。 ・手数料が高いというラップ口座についてどう考えているか。 ・つみたてNISAで長期に儲かる確率が高いのは分かったが、損するリスクはないのか。     ■多くは仮想通貨に関心、女性は「長期志向」との声も 投資サークルに入っていることもあり、多くは短期の個別株投資や仮想通貨への関心が高いものの、つみたてNISAへの関心はまだ低いようだった。つみたてNISAは成人にならないと始められないのを知らない学生も多かった。大学生が毎月一定額を投資するのは難しい事情もある。虫とり小僧さんは「話しかけてくる学生のほとんどが仮想通貨のことを聞いてきた」と話していた。  参加者はつみたてNISAに関心があったからというよりは、「一度、金融庁に来てみたかった。懇親会でゲストの方々と話をしてみたかった」という動機も多かったようだ。「金融庁のビルは格式が高く立派。入るのに少しドキドキ緊張したが、みんなと一緒なので大丈夫だった」という声が聞かれた。  投資サークルとは別に参加した女子大学生は「リスクをとっても起業(スタートアップ)にはとても関心があるが、投資で短期に儲けようとは思わない。つみたてNISAにも興味がある。女性の方が長期志向だからかもしれない」と話していた。  今回集まったのは既に株式や仮想通貨投資の経験があるか、または関心がある大学生だ。今後は「投資は怖い」と思うような若年層に資産形成をどう根付かせていくのかも課題になる。 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

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