つみップで「投信あるある」 金融庁が「毎月分配」のカラクリを説明

金融庁が16日夜に開いた個人との意見交換会「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)は、つみップ担当の職員がツイッター上で呼びかけた「投信あるある」をテーマに取り上げた。投信でよくありそうな誤解に対して、ゲストとして登壇した識者が回答し、金融庁は毎月分配のカラクリを詳しく解説した。 つみップは金融庁が昨年4月から開いている積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)に関する個人との意見交換会で、今回で16回を数える。 投信あるあるは投信に関する誤った認識や体験談などをつぶやきあうことで、広く情報を共有しようという試み。金融庁の職員が2月23日夜に「#投信あるある104」というハッシュタグを付けて投稿を呼びかけると、投信ブロガーをはじめとする個人投資家や識者らにつぶやきの輪が広がっていった。今回のつみップでは、集まったつぶやきを材料に投信への理解を深めた。 ■参加者は3分の2が20~30代 金融庁の会議室に集まったのは、男性17人、女性13人の計30人。年代別では20代6人、30代14人、40代7人、50代3人で、20~30代の若い世代が3分の2を占めた。投資経験は3年以上12人、3年未満14人、経験なし3人、現在は休止中が1人と幅広かった。 ゲストは経済評論家の山崎元氏ら識者3人に、著名投信ブロガーの「水瀬ケンイチさん」「NightWalkerさん」「虫とり小僧さん」の3人が加わった。 ■「投信あるある」でよくある誤解を確認 金融庁は「収益調整金」を説明 つみップでは「#投信あるある104」から選んだつぶやきを掲載した冊子「投資信託についてよくある誤解 厳選集」が参加者に配られた。主な誤解や勘違いについて列挙すると、以下の通り。 「販売額ランキング上位のファンドは、みんなが買っているので良い商品なのでしょう」 「店舗のある銀行や大きな証券会社のほうが、専門家が親切にどの投信がよいか教えてくれるので信用できる」 「環境関連のテーマ型投信を前に積み立て投資していた。既に売却したが、その商品は結局、繰り上げ償還された」 「投資の基準価額は資金流入額が多いほど、多くの人が買うので上がるはず」 「インデックスファンドは基準価額が高いほうが優秀」 「分配金が出ないファンドは分配金を出すファンドより儲からない」 「販売手数料や信託報酬が低いと、それは粗悪品で安物買いの銭失い、という説明がある」 「特別分配金は普通とは違うので特別にお金を振り込んでくれるサービスのこと」 「ノーロードは道路と関係あるのか」 「日本株ファンドの基準価額には組み入れ銘柄の配当金が上乗せされるのに、配当を含まずに計算する『TOPIX』と比較して、運用成績をよくみせようとするケースが少なくない」 「販売会社が経営破たんすると自分のお金が戻ってこない」 金融庁は毎月分配型などで元本を取り崩した分配を可能にする「収益調整金」という追加型株式投資信託特有の仕組みをスライドを使って説明。投信を後から購入した人の「元本」の一部が分配原資に加わっていくため、基準価額が下落しても誰かの「元本」を原資にすることで分配しているというカラクリを解いた。 参加者からは「イメージはつかめた」との声があがった。投信ブロガーの「毛流麦花(モールバッカ)さん」は「投信経理の本を読んで分配金の仕組みについて理解を深めたい」と意欲を示していた。  ■答えがいのあるハイレベルな質疑 「投信あるある」に先立って、金融庁が「つみたてNISA」制度をスタートした背景や狙い、その特長や長期・分散投資の効果、対象商品などを説明した。配布資料には図表に合わせたイラストが差し込まれているのが今回の特色のひとつで、個人がより理解しやすくなるように工夫されていた。 参加者からの質問は「つみたてNISA」の制度に関するものが多かった。 【参加者からの質問】 ・販売手数料の海外(特に米国)との違い ・レバレッジをかけた投信(日経平均の2~3倍の値動き)が対象外となった理由 ・つみたてNISAでの投信販売実績 ・海外留学や海外赴任時の取り扱い ・売却手数料の信託財産留保額がある投信は対象外なのか ・バブル時には身近で投資の話をしやすかったか ・日経平均を20年積み立て投資してプラスになったというグラフがあるが、最終的に上昇した期間なので当然ではないのか ・「一般NISA」から「つみたてNISA」に切り替えてしまうと、5年後に「つみたてNISA」を止めても「一般NISA」のロールオーバーは不可との説明を金融機関から受けたが確かか ゲストの投信ブロガーからは「答えがいのあるハイレベルな質問が多かった」「『どんな投信がいいのか、資産配分はどうしたらいいのか』といった素朴な質問はなかった」などの感想が漏れた。 ■「つみップ」参加で指南役へ、草の根の活動も 参加者からは「職場では投資の話はなかなかできないので、『つみップ』での情報や懇親会での交流は、自分の投資にとても役立つ」(30代男性会社員)との声が聞かれた。 前回の女子部に続き2回目の参加で今年から「つみたてNISA」を毎日800円(月2万円程度)で始めたという30代の女性会社員は「全部は理解できないが、金融庁の説明は説得力があり、これで『外れ商品』に引っかからないと思うと安心」と明るい笑顔で語った。 その話をそばで聞いていた投資経験豊富な30代男性会社員は「投資入門としては最高の選択。『つみたてNISA』の制度には不満な点もあるが、金融庁の制度定着への本気度は感じる」と熱を込めていた。 地方の大学生も参加した。4月から宮崎県での就職が決まっているという山口県在住の大学4年生の男性は「去年は『つみップ』にとんぼ帰りで参加したが、今回は卒業旅行を兼ねて参加。水瀬さんをはじめ著名ブロガーの方にまた会えて感激」と話す。少しずつではあるが「つみたてNISA」が若い世代に浸透し始めている。 「つみップ」に参加するだけではなく学んだことを基にして、「つみたてNISA」の教え役に回っているケースもある。会社を早期退職し現在は職業訓練校に通っている女性は「学校のクラスメート20人あまりに『つみたてNISA』についてプレゼンテーションする機会を持ち、『つみたてNISA』を知らなかった人が関心をもってくれた」と話していた。 「つみたてNISA」は今年1月に始まったばかりで、投信市場での存在感はまだ小さい。学生での関心の高まりやこうした草の根の活動が徐々に広がっていくにつれ、おおきなうねりに変わっていくのはそう遠くないかもしれない。 ■東京では4月に「つみたてNISAフェスティバル 2018」 つみップはこの後、名古屋市、鯖江市などで開催し、東京では4月21日に「つみたてNISAフェスティバル 2018」を開催する。つみたてNISAフェスティバルは昨年9月に続く2回目。さらなる持ち上がりが期待できそうだ。 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、小松めぐみ)

ツイッターで広がる「投信あるある」 金融庁職員が呼びかけ

「債券でしか運用していないのに、なぜ株式投資信託?」 「基準価額が高いと割高で、低いと割安?」 2月23日夕に「#投信あるある104」というハッシュタグを付けた投稿がツイッター上に登場すると、瞬く間に投信ブロガーをはじめとする個人投資家や識者らによるつぶやきの輪が広がった。 呼びかけたのは、積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)に関する個人投資家の意見交換会(つみたてNISA Meetup、通称:つみップ)を担当する金融庁の職員だ。ハッシュタグは「#」の後に言葉を書くことで特定のテーマであることを示す検索用のキーワードで、「104」は「とうし(投資)」を意味する。 金融庁は昨年からつみップの開催を重ねている。参加者から投資対象となる投資信託の仕組みに関する初歩的な質問を受け、「確かに投信ってわからないことが多い」と感じたのが投信あるあるを始めたきっかけという。 投信の制度や仕組みは難解な専門用語が多く、未経験者や初心者にはわかりにくい。投信でよくありそうな勘違いや投信購入時の体験などをつぶやくことで、広く情報を共有しようというわけだ。   「債券は満期まで保有すれば元本が確保されるのに、債券で運用する投信に元本割れリスクがあるのはなぜか」 「金利の高低と債券価格の上下との関係は?」 「国内非居住者になる海外赴任者は投信を購入できるのか」 「実際の取引に適用されるのはいつの基準価額か」 インターネットなどで調べても正しい答えにたどり着くのが容易でない「投信の常識」がサイバー空間の集合知で浮かび上がりつつある。 金融庁は「貯蓄から資産形成へ」の旗を振り、投資家の裾野拡大に腐心する。3月16日に東京で開催するつみップでは、「#投信あるある104」を参考にしながら、「投信のよくある誤解」について、ゲストを交えて話し合うことも予定しているようだ。 (QUICK資産運用研究所)

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