「投資を自然なことに」おつりで投資のトラノコ バロック社長に聞く

日々の暮らしに投資は溶け込むか――。TORANOTEC(トラノテック、東京・港)が手がける投資サービス「トラノコ」の開始から2019年6月で2年を迎える。トラノコは買い物のおつり分を投資することで手軽に資産運用できるサービスだ。 「おつり」とは、事前に登録したクレジットカードや電子マネーでの買い物金額の端数のこと。利用者はおつりのうちどのくらい投資に回すかを決め、リスクの異なる3つの投資信託から投資先を1つ選ぶ。家計簿アプリを使えば現金決済のおつりも投資資金にできる。月額利用料が税込みで300円かかる一方、投信の運用報酬(信託報酬)は年率0.324%と低く抑えている。残高が小さいうちは利用料の比率が高いものの、残高が積み上がるにつれて相対的にコストが低くなっていく仕組みだ(図1)。 おつりによる少額積み立てということもあって、3つの投信の純資産総額(残高)合計は5億円程度にとどまるが、利用者は増えているという。 月額利用料の学割や他業種との連携など、目新しい取り組みが目立つトラノコ。投資の文化を日本に作っていきたいと熱い思いを秘めるトラノテック代表取締役社長のジャスティン・バロック氏に話を聞いた。 ――「おつりで投資」のきっかけは。 「日本の資産運用サービスは初めて利用する際のハードルが高く、初心者でも使えるサービスが少なかったように思います」 「日本の貯金の文化を、うまく投資に活用する仕組みがあれば投資の文化もできる。そのためには、少額からコツコツと投資ができるサービスの提供が必要だと考えました。加えて、日々の生活に投資が結びつき、自然なものとなるためにはどうしたらよいか。普段の消費活動で投資にアクセスできないかと考え、生まれたのがおつりでの投資です」 ――月額利用料という費用体系は独特です。 「サブスクリプション(定額制)は面白いサービスだと考えています。利用者から見て分かりやすいですし、積み立てを続けて投資残高が増えると、割合として利用料の負担は減っていきます」 「他社との提携のしやすさもメリットです。月額利用料の無料期間の延長や割引といった施策が簡単に実施できるため、パートナーの要望に柔軟に対応できます」(図2) ――投資関連サービスで「学割」は珍しいです。 「学生のうちは月額利用料を無料にすることで、投資に一歩踏み出すきっかけを与えたい。将来にわたって続けるためにも学生のうちはずっと無料にして、長期投資を実践しやすくしました。若いうちから資産運用の世界に触れることができれば、投資の文化は根付くと思います」 ――利用者の特徴は。 「若年層や投資未経験者の方が多く、年収や金融資産がそれほど多くないのが特徴です(図3)。一方で、投資経験が5年以上ある利用者が1割近くいらっしゃいます。投資経験が豊富な方にもサービスの価値を感じていただけていると思います。月額利用料は誰でも最初の3カ月間は無料ですが、この期間が終わっても9割以上の方がサービスの利用を続けています」 「初心者の方でも分かりやすく、面倒に感じないように投資先をまずは3ファンドにしぼりました。3つのファンドは投資配分だけでなく、為替ヘッジの割合を変えています。一番人気は最もリスクの高い、リターン重視のものです」 ――トラノコの未来は。 「『すべての人を投資家に』と掲げている通り、投資を簡単に、当たり前にしていきます。具体的にはトラノコの認知度を広げる活動を引き続き進めていくこと。さらに、提携する企業を通して利用者にサービスを提供する「BtоBtоC」のビジネスモデルを加速させます。銀行をはじめ、通信キャリアや小売り、インフラなど様々な分野の企業とパートナーシップを組んでいますが、今後も提携企業を拡大する予定です」 「アプリ内でポイントやマイルを現金に交換して、投資に回すサービスも展開しています。実際の投資にこだわっているので、ポイントやマイルのままではなく、必ず現金化してから投資します。金融庁の支援案件として採用された『リアルおつり投資』プロジェクトの実証実験も始まります。これは小銭を専用のATMに投入するだけで簡単に投資を行うことができるサービスです。投資が自然なことになるよう、様々な角度からアプローチを続けていきます」 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ、イノベーション本部 吉田晃宗)

ウェルスナビ 「品質」「透明性」「協業」でロボアド市場けん引 柴山CEOに聞く

金融機関の窓口に行ったり、ネットで自ら投資先を探したりしなくても、資産運用ができる時代が本格的にやってきた。台頭するサービスの1つに、コンピューターのプログラムが資産運用を指南するロボットアドバイザー(ロボアド)がある。このロボアド市場の一角を担うのがウェルスナビ(東京・渋谷)だ。 預かり資産1300億円超、国内最大規模 ウェルスナビは、年代や資産状況、運用の目的など6つの質問でリスク許容度を5段階に分け、許容度に応じた資産配分を提案。低コストの米国ETF(上場投資信託)で運用し、資産配分の見直し(リバランス)もする。運用手数料は残高の1.08%(3000万円を超える部分は0.54%)。 2016年7月のサービス開始から成長のスピードは衰えず、預かり資産は1300億円を突破(図1)。ロボアドとしては国内最大規模だ。口座申込件数は18万件にのぼり、20~50代の働く世代が9割以上を占める。 また、ウェルスナビでは銀行や証券会社、空港会社などさまざまな企業と提携することで、サービスを提供しているのが特徴だ。既存の金融機関に限らず、異業種を巻き込んでロボアド市場をけん引する同社の柴山和久代表取締役CEOに話を聞いた。 最低投資金額を10万円に引き下げ ――利用状況は。 「投資経験のある人から支持を集めているのが特徴の1つで、その割合は7割を超えます。利用者からの口コミが新たな利用者の呼び水になることも多いです」  「昨年からは投資未経験者にも裾野が広がってきました。当初100万円だった最低投資金額を10万円に下げたことやテレビCMなどマス広告の効果が出ています。おつりで投資ができるサービス『マメタス』の人気もあって、女性の利用者や若年層の割合が増えています」 ――成長し続ける背景は。 「今まで日本になかった新しいタイプのサービスを提供できたことにあると思います。『働く世代の資産運用』として、忙しく働く人たちでもスマホで隙間時間に高品質の資産運用を可能にするサービスを実現しました」 「かつては同じ会社に終身雇用で勤め上げ、退職金で住宅ローンを返して年金で暮らす、という典型的なモデルがあり、働きながら資産運用するニーズがなかったように感じます。しかし現在は、人材の流動性でキャリアプランが変わり、年金への不安も大きくなっています。こうした変化で生まれた資産運用ニーズを満たすサービスがロボアドです」 ――預かり資産残高はロボアド他社を圧倒しています。  「他の企業と連携するオープンイノベーションを先駆けてやってきた成果です。ウェルスナビの残高と、提携パートナーを経由した残高がほぼ半々となっています」 「ロボアドは革新的なビジネスモデルですが、収益性の高いビジネスではないですし、簡単に使ってもらえるサービスでもありません。働く世代を豊かに、といった同じようなミッションやビジョンが共有できる他社と協力することで、サービスをより広めていくことが可能になると考えています」 柴山和久・代表取締役CEO ――ウェルスナビの強みは。 「質の高さと透明性の両方が満たされていることでしょうか。弊社は社員の半分近くがエンジニアで、モノづくりする金融機関として、技術力で品質を追求します。自動でお任せの資産運用をうたっているので、運用手法などがブラックボックスではダメです。資産運用のアルゴリズムや手数料などの情報をWEB上で公開し、『ガラス張り』であることを意識しています」 ――今後に向けての抱負は。 「現在の預かり資産額では、まだスタート地点に立っているとさえ言えません。まずは1兆円。それでも社会的インパクトはほぼゼロに近いかもしれません」 「社会インフラの1つとなるよう、長期的なコミットメントを重視しつつ、パートナー企業との協業を進めていきます。どこにいても安心して預けられるサービスとして、全国津々浦々に普及させていきたいですね」 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ、イノベーション本部 吉田晃宗)

スマホで「テーマ投資」の次の展開は FOLIO・甲斐CEOに聞く

テーマで選ぶ、かんたん投資――。昨年末からテレビCMや電車内広告で目にする機会がぐんと増えた「テーマ投資」。サービスを提供するのは、2015年に設立されたネット証券のFOLIO(フォリオ、東京・千代田)だ。 フォリオのサービスは、企業ではなくテーマで投資先を選ぶ「テーマ投資」が大きな特徴。利用者が「温泉」や「VR(仮想現実)」のようなテーマを選ぶと、そのテーマに関連した厳選企業10社の株式に10万円程度で分散投資ができる。昨年11月には独自開発したロボットアドバイザー(ロボアド)による「おまかせ投資」サービスもリリースした。同様のサービスは、無料対話アプリLINEでも「スマート投資」として展開しており、今春には、ワンコインで手軽にコツコツ積み立て運用ができる新たなサービスも登場する予定だ。 金融業界に新風を吹き込むフォリオ。「2018年までは開発フェーズ、2019年は口座数をどこまで伸ばせるかの事業フェーズ」と意気込む代表取締役CEOの甲斐真一郎氏に、現状と今後の展望を聞いた。 FOLIO・甲斐真一郎CEO ――テーマ投資とスマート投資、利用者の特徴は。 「自社アプリで提供しているテーマ投資の利用者は、30代前半の男性が多いです。口座開設の申し込み件数は昨年末からの宣伝効果で10倍になりました。一方、LINEで提供しているスマート投資は女性が多いですね。いずれも、昨年後半の株価下落時でも解約は少なく、短期売買というより中長期での保有が多いと言えます。リバランス機能(※)も多くの方々が活用してくれています」 (※)投資比率の変更や銘柄の変更によって資産配分を調整すること。フォリオではテーマや投資スタイルごとに適宜リバランスを提案。実際にリバランスをするか否かは本人の決定による。 ――フォリオの強みは。 「テーマ投資に優位性があります。数銘柄でテーマを設定し、テーマ全体への最低投資金額を10万円程度に抑えるには、単元未満株の取引に特化したディーリングシステムや在庫管理、それらをまとめ売り・まとめ買いできるようなシステムが必要となります。我々はそれらをほぼすべて内製で、ゼロから作り上げました。テーマを構成する銘柄も、社内に抱えるプロフェッショナルが選んでいます」 「全てのプロダクトを内製しているので、使いやすさへのこだわりは徹底しています。業界内で有名なアプリエンジニアやデザイナーを起用し、開発・デザイン能力にも優れていると思います」 ――フォリオが目指す資産運用サービスのあり方とは。 「資産運用を始めようとするあらゆる人にリーチしたいと思います。平均点を目指すパッシブ(受動的)な運用がしたい人、例えば、普段忙しくて投資に時間をかけたくない人は、手軽にインデックス(指数連動)型で国際分散ができるおまかせ投資(ロボアドバイザー)。自分で選んでアクティブ(積極的)に平均点以上を目指した投資をしたい人にはテーマ投資。今後展開するワンコインからの積み立て投資では、金融リテラシーは高くないものの気軽に老後の資産形成を始めたい層をターゲットとしています」(図1はイメージ) 「パッシブ型とアクティブ型、どちらが優れているという考えは持っていません。両方の機会を提供することが金融機関としてフェア(公正)だと思っています。投資できる金額も人それぞれですし、タイミングによっても違いますよね。弊社ではそれらをシームレスにつなげていくことを目指しています」 「テーマ投資で経済との接点を得ることができた、と言った声が届きます。このような機会をもっと広げていくために、テーマの追加や、オウンドメディア(自社媒体)での金融教育なども進めていきます」 ――今後、会社としての展望は。 「様々な会社との連携、とりわけ地域金融機関との提携を進めていきたいと思っています。例えば地方特化のテーマを追加することもできます。デザインを含めた開発分野においては、イチから要望に応えられるレベルの技術があると自負しています」 「長期的には上場を視野に入れていますが、今後も資金調達は継続する予定です。目先は単月黒字化を安易に追わず、顧客獲得に注力していく方針です」 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ、イノベーション本部 吉田晃宗)

日興AM「グローバル・フィンテック年2」、残高1000億円超す 設定から1年

日興アセットマネジメントが運用する「グローバル・フィンテック株式ファンド(年2回決算型)」(02312179)の純資産総額(残高)が1000億円を超えた。21日時点の残高は1006億円で、昨年9月15日の設定からおよそ1年で大台に乗せた。 主な投資対象は日本を含む世界の株式のうち、金融とIT(情報技術)を融合させたフィンテック関連の銘柄。8月末時点の上位銘柄には電子決済サービスの米スクエア(SQ)やネット小売りの米アマゾン・ドット・コム(AMZN)、中国ネットサービスの騰訊控股(テンセント)が並ぶ。 8月末時点の設定来リターン(分配金再投資ベース)は28.15%。直近3カ月は月間100億円を上回るペースで資金流入が続いている。 同じマザーファンドに投資する年1回決算の「グローバル・フィンテック株式ファンド」(0231116C)も、21日時点の残高が2217億円まで積み上がっている。 (QUICK資産運用研究所)

お金のデザインが拓く「新しい資産運用」 ポイント投資やロボアドで異業種連携

ロボアドバイザーサービス「THEO(テオ)」を運営するお金のデザインが資産運用の裾野拡大に向けた取り組みを加速している。ポイントサービスを使った疑似投資では、JR東日本、NTTドコモと相次いで連携。ロボアドでも提携先を着々と広げるなど、同社が仕掛ける「新しい資産運用」は、若年層や投資未経験者の需要を喚起している。 ■dポイント投資、利用者は3週間で10万人超 ドコモのdポイントを使ったポイント投資は、5月中旬に開始してから6月初旬までの3週間で、利用者が10万人を超えた。総運用ポイント数は約2億2000万ポイント(6月7日時点)で、1ポイント1円換算で2億2000万円に相当する。利用者10万人で単純に割ると、1人当たりの運用ポイント数は約2200ポイント(同2200円)になる計算だ。 ドコモの決算説明資料によると、dポイントクラブ会員数は6560万人(18年3月末時点)だから、ポイント投資利用者が増えていく余地は大きい。本人確認とマイナンバー登録が不要であるため、手軽に始められるからだ。 ポイント投資で連動するのは、ロボアドではなく、同社が5月中旬に新規設定した2本の追加型株式投資信託だ。「THEOグロース・AIファンド(世界の株式中心)」(AR311185)と「THEOインカム・AIファンド(世界の債券中心)」(AR312185)を組み合わせた2つのコースを用意した。 アクティブコースは「世界の株式中心」と「世界の債券中心」を80%対20%の割合で組み合わせた運用成績、バランスコースは45%対55%の合成運用にそれぞれ連動する。ユーザーは毎日17時頃に投資ポイントの増減を確認できる。 2本の投信は6月7日時点の純資産総額がそれぞれ1億6400万円、4600万円で計2億1000万円と、総運用ポイント換算値とほぼ一致。dポイントを運営するNTTドコモがポイント投資サービスの利用に合わせ、投信を実際に売買している公算が高い。 両ファンドへの資金流入額(推計値)は5月17日の設定から6月22日までの1カ月強の一日平均で計900万円程度。足元ではdポイントから投資に回るポイントが毎日じわりと増えてきている状況だ。 ■地銀経由のロボアド利用者は6割が投資未経験 一方で、THEOのロボアド・サービスは地方銀行を中心に提携先が増えている。地銀は6月22日時点で13行がサービスを利用できる。 THEOの総口座数は4万3700口座(18年5月末時点)で、地銀経由の申し込み者数は未公表だが、資産運用の拡大への貢献度は高い。6月中旬まで1年あまりの実績集計によると、地銀経由の利用者全体の54%を20代と30代で占め、投資未経験者は57%に達する。 インターネットやスマホの扱いに慣れているはずの若者も、ロボアドで資産運用を始めるのは地銀経由が少なくない状況だ。お金のデザインの中村仁社長は「地方では地銀が金融機関の要(かなめ)。親譲りの口座や地元企業の給料振り込み銀行として地銀は若者にとっても身近な金融機関になっている」と指摘し、「若い層がネットで資産運用を始めるかと言えば、まだそうなっておらず、既に預金口座をもっている銀行で始めるケースが多い」と解説する。 ポイントによる疑似投資を経て、THEOで実際に運用を始める利用者も出始めているという。中村社長は「資産運用を人々の毎日の日常生活の一部として何気なく当たり前のようにするのが、資産形成が本格的に根付いていくうえでの第一歩」と強調する。資産運用への入り口が増えることで、裾野が広がっていこうとしている。 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)  

大和投信「ワールド・フィンテック革命ファンド」、当初設定額が総額200億円超す

大和証券投資信託委託が11日に設定した「ワールド・フィンテック革命ファンド」は、為替ヘッジありとなしの2本で当初設定額が200億円を超えた。ヘッジなし(04315186)に約166億円、ヘッジあり(04314186)に約38億円の資金が集まった。 投資対象は日本を含む世界の株式のうち、金融とIT(情報技術)を融合した「フィンテック」に関連する銘柄。大和証券1社で販売する。 為替ヘッジなしコースの当初設定額は、今年に入って新規設定された国内公募の投資信託(追加型と単位型)で6番目に多い。ヘッジありも上位20本に入った。 (QUICK資産運用研究所)

日興アセット「グローバル・フィンテック株式」、残高が2000億円に

日興アセットマネジメントが運用する「グローバル・フィンテック株式ファンド」(0231116C)の純資産総額(残高)が初めて2000億円に到達した。9日時点の残高は2014億円。 主な投資対象は、金融とIT(情報技術)を融合させたフィンテック関連で日本を含む世界の株式。1月末時点の業種別の組み入れ銘柄を見ると、ソフトウェア・サービス関連が47.0%とおよそ半数を占める。次いで各種金融が17.0%、小売が11.1%と続く。 2016年12月に設定され、昨年4月から資金流入の勢いが加速した。大手証券やネット証券、メガバンク、地方銀行と販売チャネルが多岐にわたるほか、2月末での1年リターンは40.95%と運用の堅調さも後押しした。 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

英個人、仮想通貨に消極的? フィンテック投資を拡大

英国民は仮想通貨への投資に消極的――。英調査会社D―CYFORが今年1月下旬に個人1015人を対象に実施した調査(期間1月19~20日)によると、仮想通貨の一種であるビットコインに「投資している」もしくは「投資を考えている」と答えた人が16%にとどまった。昨年2017年11月の調査では22%だった。ビットコイン価格は昨年に急騰劇を演じたが足元で大きく調整しており、投資に二の足を踏んでいる個人が多いようだ。 ■今後半年で「ビットコイン価格下落」予想は6割 英個人がビットコイン投資に後ろ向きなのは、先行き価格に対する弱気な見方が台頭している影響が大きい。今後6カ月以内に「価値が下がる」と予想する人が33%と前回調査(17%)から増え、「無価値になる」も28%(前回調査30%)だった。合計で61%の回答者がビットコイン価値下落を予想しており、「上昇する」との回答(39%)を大幅に上回った。年代別では20~30代の「ミレニアル世代」よりも高齢層が価格下落への懸念が強かった。 調査結果はこのところの相場トレンドを反映した面はありそうだが、投機色の強い現状のビットコインに対し、投資に及び腰になっている個人の様子がうかがえる。 ■フィンテック投資はライバル国を引き離す英国 いまのところ、「仮想通貨トレード」には慎重な姿勢がみられる英国だが、仮想通貨の基盤技術となるブロックチェーン(分散型台帳)を含むフィンテック(金融とIT=情報技術の融合)関連ビジネスへの投資になると話は別で、投資規模では世界をリードする存在だ。 ロンドン市経済開発機構「ロンドン&パートナーズ」によると、17年のベンチャーキャピタルによるテクノロジー向け投資はロンドンが24億5000万ポンド(約3750億円)と過去最高となり、フィンテック企業への誘致に積極的な仏パリ(5億6500万ポンド)や独ベルリン(4億5600万ポンド)といった都市を大きく上回った。 ロンドン&パートナーズは「最先端技術の開発をリードする環境とイノベーション・エコシステムは、投資家に大きなチャンスをもたらすと同時に、今後数年間にわたって英国のデジタル経済への投資を促すのに役立つだろう」と自信を示す。 ■2018年の英IPO第一号はフィンテック企業に 英インテグラフィン・ホールディングスは1月22日、ロンドン証券取引所に上場する計画を発表した。インテグラフィン社は資産運用プラットフォームサービスを手掛けるフィンテック・ベンチャーだ。3月の新規株式公開(IPO)を予定しているが、英メディアによれば「フィンテック企業が2018年の英証取のIPO第一号になる」という。 英国には未上場ながら企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン」と呼ばれる有力なフィンテック関連のスタートアップ(創業間もないベンチャー企業)も数多く存在するが、今後数年間でこうした企業がIPOに動くとの期待も根強い。 折しも日本では大手仮想通貨取引所から約580億円に相当する仮想通貨の不正流出が明らかになった。価格の変動が激しく、現時点で評価基準が定まらずリスクの高い仮想通貨そのものにベットするよりも、まずは成長期待の強いフィンテック企業などに目を向ける方が得策かもしれない。 (QUICK資産運用研究所ロンドン 荒木朋)

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