投信ブロガーが選ぶこの1本 2018年の1位は「eMAXIS Slim先進国株式」

投資信託に関する自身の運用や考え方などをブログで発信する個人投資家が投票した「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」(FOY2018)が13日に発表された。20位以内に入った21本(20位が2本)のうち17本を積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の対象ファンドが占めた。 個人投資家が自分たちにとって本当によいと思える投信を投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」という趣旨で始まったイベントは今回で12回目。都内で開かれた結果発表会と表彰式は、3連休にもかかわらず150人あまりの個人投資家が詰めかけた。 ■1位は三菱UFJ国際「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」 投票権を持つのは、2018年9月末までにブログを開設した投信ブロガーで、投票は同年11月に実施された。今回は過去最多の241人(有効投票)が参加した。投信ブロガーは付与された5ポイントを1~5本のファンドに自由に投票できる。 1位は「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」(03319172)。「eMAXIS Slim」シリーズは信託報酬について「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というコンセプトで、三菱UFJ国際投信が17年2月に立ち上げた。3位に「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(0331418A)、5位に「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」(03312175)が入るなど、上位20位のうちこのシリーズが7本を占め、ネットを使いこなす投信ブロガーからの支持の厚さが鮮明となった。 「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」(2931113C)は2年連続の2位。ニッセイアセットマネジメントが運用し、純資産総額(残高)は1000億円を超える規模まで成長。5年連続でトップ3入りした。 ■つみたてNISA対象、20位までに17本 楽天投信投資顧問の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(9I311179)は前回の首位から9位に順位を落とした。前々回はトップ10に「ひふみ投信」(9C31108A)と「ひふみプラス」(9C311125)の2本が入り、特別賞も受賞したレオス・キャピタルワークスのひふみシリーズは上位10本から姿を消した。日本株式型、アクティブ(積極)運用型は影が薄い結果となった。 20位以内の21本のうち3本は米バンガードが運用する海外ETF(上場投信)で、ETFを除く18本の中で17本がつみたてNISAの対象だった。つみたてNISAの対象外で、アクティブ型は19位の「農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンド」(25311177)のみ。1年リターンのマイナス幅が上位21本の中で最も小さかった。   ■三菱UFJ国際、ブロガーとの対話奏効 三菱UFJ国際の躍進は、定期的にブロガーとのミーティングを開催し、ブロガーの意見や注文を積極的に取り入れて商品開発に活かすという社をあげての「対話」作戦が奏功した面があるようだ。表彰式で三菱UFJ国際の幹部は「残高が500億円を超えると信託報酬を引き下げるなど受益者還元ができそうなところまできた」と述べた。 ニッセイアセットの幹部は「昨年は監査報酬を引き下げた。今後は売買委託手数料や指数ライセンスの見直しなど業界に率先して『必ず』運用コストが下がるよう工夫する」と明言。楽天投信投資顧問の東眞之社長は「近々、専用のWebサイトを立ち上げて関連する情報開示を行う」と話していた。 ■会場には熱くて重い応援メッセージが充満 イベントは、個人投資家が集まる毎月開催の交流会「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ」の中心メンバーがボランティアで運営。投信ブロガーのrennyさんが運営委員長を務め、地方在住ブロガーのm@さん、かえるさん、ぺて(PET)さんも運営に加わった。 3部構成のイベントの第1部は「リーマン・ショックから10年・つみたてNISAアンケート結果発表」で、rennyさんと一緒に登壇したブロガーのセロンさんが「リーマン・ショックの頃は大学生で厳しい就活に直面していた。ただ、それがきっかけで資産運用をスタートできた」と振り返った。アンケートでは「リーマン・ショック時にも投資を止めずに継続。リーマン・ショック級の暴落が今後いつ来てもおかしくない」といった回答が大半だったようだ。 第2部の「みんなの【声】を聞いてみよう! 個人投資家が注目ファンドに寄せる『熱いコメント』を一挙紹介!!!」は、昨年も好評だった企画だ。ブロガーが投票ファンドに寄せた応援メッセージのうち、約70人分を投資資産の対象別に選んでスクリーンに映し出しながら、ファイナンシャル・プランナーのカン・チュンド氏(しんようFPオフィス代表)とファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子氏の2人がユーモアを交えた軽妙なトークで紹介した。 ひふみ投信について「すべての受益者に対して『あなたはなぜこのファンドを購入しているのですか』ということを改めて問う意味も込めて票を投じることにする」というブロガーの菟道(うどう)りんたろうさんの重い応援コメントが読み上げられると、会場には拍手が沸き起こった。 メインイベントの第3部は結果発表と表彰式。今回は上位5本のファンドについて、応募抽選で選ばれたブロガーが結果を知らずにその場で封を開け発表するという演出で、会場との一体感をかもしだした。プレゼンターを務めたブロガーは5位から順に、てっぺさん、とみますさん、エツさん、くは72さん、くれめんさん。 ■ファンドを育てるイベントへ 運営委員長のrennyさんは「昨年トップを獲得したファンドが9位になるなど順位が大きく変動したのが印象的。米国株式型のファンドとバランス型ファンドがトップ10に2本ずつ入ったのも今年の特徴だ」と総括。「過去に何度も上位入選するも頂点に届かなったeMAXISシリーズが遂にトップを獲得したのは執念を感じる」「低廉な信託報酬を前面に押し出すマーケティングは、まだしばらく続くのかもしれないが曲がり角に来ているのではないか。商品供給側である投信会社にとっても、受益者となる投資家にとっても、ファンドをどのように育てていくのか、という点に今後、注目していく必要があると個人的には感じている」と加えた。 竹川氏は懇親会の挨拶で「新規ファンドの設定や販売、購入に力を入れるのではなく、このイベントを活かす形でファンドを長く支持し、育てて行くように変わって欲しい」と販売会社や運用会社そして投資家にも強く要望していた。 「ファンドを育てる」という理想に向かって、このイベントの影響度がますます資産運用業界に広がろうとしている。 <FOY2018公式サイト> 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2018 <参考> 当日の様子は投信ブロガーや関係者がツイッター(ハッシュタグ:#foy2018)で発信 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、小松めぐみ)

個人が選ぶ投信の共通点は? FOY2017ベスト20を一覧比較

 個人投資家が年に1回、自分たちにとって本当に良いと思える投資信託を投票で選ぶ「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」(FOY)。13日に表彰式が開かれたFOY2017で11回を数え、いまや投信業界の恒例イベントになっている。  では、投票に参加した投信ブロガーが高く評価するのは、どのような投信か――。FOY2017のベスト20投信(20位が2本で計21本)をコストや運用成績などを加えた一覧にして比較した。 【ベスト20の特徴】 ◯ノーロード(販売手数料なし)は共通条件(ETFを除く)。実質信託報酬も平均的な投信よりも低い。1位の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」は販売手数料なし。実質信託報酬は0.2396%と、同じ分類(QUICK分類「グローバル株式(先進・新興複合)-為替リスクあり」)の平均(1.591%)を大きく下回る。 ◯設定後年数(ETFを除く)は平均4.24年で、設定から日が浅い投信が目立つ。2018年1月に始まった積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)をにらんで新規設定された投信が複数選ばれたことが影響した。ETFを除くと、つみたてNISAの対象商品。 ◯決算は年1回が共通条件(ETFを除く)。決算を迎えていない投信を除くと、直近1年に分配金がなかったのも共通点。 ◯設定から日が浅い投信は比較が難しいが、2位の「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」、6位の「ひふみ投信」などは1年リターンが同じ分類の平均を上回る。 ◯先進国株式、グローバル株式(先進・新興複合)を投資対象とする投信が上位に並び、国内株型では直販投信が上位にランクイン。 ◯1位の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」、3位の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は、それぞれ主な投資対象が9位の「Vanguard Total World Stock ETF(VT)」、16位の「Vanguard Total Stock Market ETF(VTI)」。海外ETFを、税手続きや積み立ての手間がかからない投信として購入できるようにしたことが評価された。 <FOY2017公式サイト> 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2017 (QUICK資産運用研究所)

静かな熱気、懇親会には金融庁職員も 投信ブロガーが選ぶ!FOY2017表彰式

1月13日に都内で開いた「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2017」(FOY2017)の表彰式会場は熱気に包まれていた。163人の個人投資家(有料入場者)が詰めかけ、会場はほぼ満席。この日のために大阪や北海道から駆け付けた参加者もいた。 ボランティアによる運営で始まったFOYも今回で11回目。個人投資家が自分たちにとって本当に良いと思える投資信託を投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」という趣旨で毎年開催されている。 前回FOY2016の表彰式では、金融庁の森信親長官からメッセージが寄せられ、消費者目線での良質な投信を選んで育てていこうとする取り組みに最大級の賛辞が送られたことは記憶に新しい。もはや単なる個人投資家の人気投票と侮れない。運用会社の将来の浮沈を左右しかねない、消費者代表としての影響力を秘めている。 ■熱い声の数々、会場は静かな熱気に 投信ブロガーの投票理由が「海外株(先進国)型」など主な投資先分類ごとに「熱い声」として司会者から紹介された。参加者の眼差しは正面のスクリーンにくぎ付けとなり、会場内は静かな熱気に包まれた。熱い声の一部は、ファンドごとに公式サイトにも紹介されている。 司会者からは「月次レポートなどへのマザーファンドの規模の明示」や「同じファンドの販売会社名もNISA、iDeCoなどで詳細区分してはどうか」という有益な提案もあった。 「熱い声」は寄せ書きにして上位5ファンドの代表に手渡された。初めて上位入選した野村アセットマネジメントをはじめ、運用会社は投信ブロガーの声援にどう応えていくか。消費者の関心は移ろいやすい面がある。運用各社の今後の取り組みに注目が集まる。 折しもインデックス運用の巨人バンガードが形を変えて日本に上陸した。楽天投信投資顧問が運用する1位の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(9I311179)と3位の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(9I312179)は、主に米運用大手バンガードのETFに投資する。国内の運用大手から独立系まで、今後どのように迎え撃つのか目が離せない。 ■山崎氏「つみたてNISAの影響が色濃く」 「積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)が始まったことによる低コスト化競争が色濃く影響した結果になった。今後一段と低コスト化するうえでは、組み入れる世界の株式の株券を現物保管するカストディアン(管理銀行)をグループ内に持つ運用会社が有利になる可能性が高い。連動指数の使用料が低コスト化のネックになるおそれもある」。 経済評論家の山崎元氏は上位入賞結果をこう評し、「この表彰式は素晴らしいが、低コストに焦点を絞った商品性だけではなく、運用内容も含めて総合評価されるよう成熟化していって欲しい」と期待を寄せた。 ■懇親会で熱のこもった議論、金融庁職員も参加 「本家」表彰式が静かな熱き声に満ち溢れていたのは打って変わり、場所を居酒屋に移して開かれた懇親会は熱のこもった議論が充満した。 懇親会には本家の運営委員と上位入賞ファンドの運用会社代表に加え、金融庁職員も数名参加し、官民の交流の場ともなった。 懇親会の実行委員長を務めた投信ブロガーの「個人凍死家テリー」さんは「70人の当初参加枠があっと言う間に埋まったのには驚いた。こうして個人投資家が集まり、輪が広がっていくのは楽しいし、イベントを主催するやりがいがある」と話していた。 投信ブロガーの「takachan」さんは「自分も首位となった楽天・全世界株式インデックス・ファンドに1点投じたが、中小型株を含む世界の株式市場に低コストのファンド1本で投資できる利便性と、海外ETFのVT(バンガード・トータル・ワールド・ストック)に直接投資した場合にはできない配当金の自動再投資が実現可能となったのが魅力的だ」と話した。 ■「投信ブロガーはコストに敏感」「投票締め切りが延びたなら違った結果も」 FOY2017運営委員の「m@」さんは「新たなファンドが上位入選しているのは、投信ブロガーが情報感度が高く、コストに敏感なことを反映し、特に今年の上位はブロガーの間での米国株ばやりの流れを受けているのではないか」と分析していた。 「信託報酬の引き下げは歓迎するが、自分が保有している既存のファンドではなく、(似たようなファンドを)新たに設定する形で低コストにするのは正直どうかと思う。それより販売会社の同意を取り付けたうえで、既存ファンドで信託報酬の引き下げを実行する運用会社を積極的に評価したい」と話す投信ブロガーもいた。 「11月末に投票が締め切られたが、それ以降に続々と低コストファンドが登場している。投票締め切りが少し延びたら、また違った結果になったのでは」との声も聞かれた。 ■終わりなき熱い議論、2次会・3次会へ 懇親会終了後、自発的に参加者30名以上が居残り2次会が開かれた。金融庁のつみたてNISA推進担当者も交え、消費者本位の良質な投信を巡り、熱心に語り合う姿がそこにあった。その後、相当な人数が3次会にも流れ込んだようだ。 FOY2017は、日本の資産運用業界が本当の意味で顧客本位に変わる静かなムーブメントが起こりつつあるのを感じさせるイベントだ。5年後、10年後に振り返ってみると、消費者本位への地殻変動の動きはここで始まったと思い起こさせることを予感させる会であった。 <FOY2017公式サイト> 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2017 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、小松めぐみ)

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