投信ブロガーが選ぶこの1本 2018年の1位は「eMAXIS Slim先進国株式」

投資信託に関する自身の運用や考え方などをブログで発信する個人投資家が投票した「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」(FOY2018)が13日に発表された。20位以内に入った21本(20位が2本)のうち17本を積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の対象ファンドが占めた。 個人投資家が自分たちにとって本当によいと思える投信を投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」という趣旨で始まったイベントは今回で12回目。都内で開かれた結果発表会と表彰式は、3連休にもかかわらず150人あまりの個人投資家が詰めかけた。 ■1位は三菱UFJ国際「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」 投票権を持つのは、2018年9月末までにブログを開設した投信ブロガーで、投票は同年11月に実施された。今回は過去最多の241人(有効投票)が参加した。投信ブロガーは付与された5ポイントを1~5本のファンドに自由に投票できる。 1位は「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」(03319172)。「eMAXIS Slim」シリーズは信託報酬について「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というコンセプトで、三菱UFJ国際投信が17年2月に立ち上げた。3位に「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(0331418A)、5位に「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」(03312175)が入るなど、上位20位のうちこのシリーズが7本を占め、ネットを使いこなす投信ブロガーからの支持の厚さが鮮明となった。 「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」(2931113C)は2年連続の2位。ニッセイアセットマネジメントが運用し、純資産総額(残高)は1000億円を超える規模まで成長。5年連続でトップ3入りした。 ■つみたてNISA対象、20位までに17本 楽天投信投資顧問の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(9I311179)は前回の首位から9位に順位を落とした。前々回はトップ10に「ひふみ投信」(9C31108A)と「ひふみプラス」(9C311125)の2本が入り、特別賞も受賞したレオス・キャピタルワークスのひふみシリーズは上位10本から姿を消した。日本株式型、アクティブ(積極)運用型は影が薄い結果となった。 20位以内の21本のうち3本は米バンガードが運用する海外ETF(上場投信)で、ETFを除く18本の中で17本がつみたてNISAの対象だった。つみたてNISAの対象外で、アクティブ型は19位の「農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンド」(25311177)のみ。1年リターンのマイナス幅が上位21本の中で最も小さかった。   ■三菱UFJ国際、ブロガーとの対話奏効 三菱UFJ国際の躍進は、定期的にブロガーとのミーティングを開催し、ブロガーの意見や注文を積極的に取り入れて商品開発に活かすという社をあげての「対話」作戦が奏功した面があるようだ。表彰式で三菱UFJ国際の幹部は「残高が500億円を超えると信託報酬を引き下げるなど受益者還元ができそうなところまできた」と述べた。 ニッセイアセットの幹部は「昨年は監査報酬を引き下げた。今後は売買委託手数料や指数ライセンスの見直しなど業界に率先して『必ず』運用コストが下がるよう工夫する」と明言。楽天投信投資顧問の東眞之社長は「近々、専用のWebサイトを立ち上げて関連する情報開示を行う」と話していた。 ■会場には熱くて重い応援メッセージが充満 イベントは、個人投資家が集まる毎月開催の交流会「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ」の中心メンバーがボランティアで運営。投信ブロガーのrennyさんが運営委員長を務め、地方在住ブロガーのm@さん、かえるさん、ぺて(PET)さんも運営に加わった。 3部構成のイベントの第1部は「リーマン・ショックから10年・つみたてNISAアンケート結果発表」で、rennyさんと一緒に登壇したブロガーのセロンさんが「リーマン・ショックの頃は大学生で厳しい就活に直面していた。ただ、それがきっかけで資産運用をスタートできた」と振り返った。アンケートでは「リーマン・ショック時にも投資を止めずに継続。リーマン・ショック級の暴落が今後いつ来てもおかしくない」といった回答が大半だったようだ。 第2部の「みんなの【声】を聞いてみよう! 個人投資家が注目ファンドに寄せる『熱いコメント』を一挙紹介!!!」は、昨年も好評だった企画だ。ブロガーが投票ファンドに寄せた応援メッセージのうち、約70人分を投資資産の対象別に選んでスクリーンに映し出しながら、ファイナンシャル・プランナーのカン・チュンド氏(しんようFPオフィス代表)とファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子氏の2人がユーモアを交えた軽妙なトークで紹介した。 ひふみ投信について「すべての受益者に対して『あなたはなぜこのファンドを購入しているのですか』ということを改めて問う意味も込めて票を投じることにする」というブロガーの菟道(うどう)りんたろうさんの重い応援コメントが読み上げられると、会場には拍手が沸き起こった。 メインイベントの第3部は結果発表と表彰式。今回は上位5本のファンドについて、応募抽選で選ばれたブロガーが結果を知らずにその場で封を開け発表するという演出で、会場との一体感をかもしだした。プレゼンターを務めたブロガーは5位から順に、てっぺさん、とみますさん、エツさん、くは72さん、くれめんさん。 ■ファンドを育てるイベントへ 運営委員長のrennyさんは「昨年トップを獲得したファンドが9位になるなど順位が大きく変動したのが印象的。米国株式型のファンドとバランス型ファンドがトップ10に2本ずつ入ったのも今年の特徴だ」と総括。「過去に何度も上位入選するも頂点に届かなったeMAXISシリーズが遂にトップを獲得したのは執念を感じる」「低廉な信託報酬を前面に押し出すマーケティングは、まだしばらく続くのかもしれないが曲がり角に来ているのではないか。商品供給側である投信会社にとっても、受益者となる投資家にとっても、ファンドをどのように育てていくのか、という点に今後、注目していく必要があると個人的には感じている」と加えた。 竹川氏は懇親会の挨拶で「新規ファンドの設定や販売、購入に力を入れるのではなく、このイベントを活かす形でファンドを長く支持し、育てて行くように変わって欲しい」と販売会社や運用会社そして投資家にも強く要望していた。 「ファンドを育てる」という理想に向かって、このイベントの影響度がますます資産運用業界に広がろうとしている。 <FOY2018公式サイト> 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2018 <参考> 当日の様子は投信ブロガーや関係者がツイッター(ハッシュタグ:#foy2018)で発信 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、小松めぐみ)

金融庁、新体制初の「つみップ」 運用5社の生の声に質問続々

金融庁が27日夜、同庁発足以来の大規模な組織改正後としては初めてとなる「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)を開いた。つみップは積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の普及を目的に2017年4月から始めた個人との意見交換会。終了後の懇親会ではつみたてNISAの推進を統括する新旧幹部が引き継ぎを兼ねて挨拶に立ち、貯蓄から資産形成への流れを促す政策の推進に向けた変わらぬ姿勢を強調した。 ■参加者は男女が半々、20~30歳代で半分 今回の参加者は約40人で、男女の比率はほぼ半々。年代別は20~30歳代で全体のほぼ半分を占め、投資経験は3年未満と経験なしが半数に達した。懇親会では20~40歳代の働く女性が目立った。 つみップは運用会社5社(大和証券投資信託委託、ニッセイアセットマネジメント、三菱UFJ国際投信、楽天投信投資顧問、バンガード・インベストメンツ・ジャパン)の幹部がつみたてNISAへの取り組みを説明し、参加者から質問を受ける形で進行。登壇する運用会社の調整に当たってはブロガーの要望も参考にしたようだ。ゲストには著名投信ブロガーの虫とり小僧さん、水瀬ケンイチさん、NightWalkerさんの3氏に加え、経済評論家の山崎元氏らを迎えた。 金融庁職員が冒頭で「なぜ、つみたてNISAなのか」「制度の意義と個人にとってのメリット」などを資料に沿って説明。つみたてNISA対象の投資信託が7月20日時点で155本と、当初から50本ほど増えたことも紹介した。 ■つみたてNISAも投信も知らない層が6割 運用会社各社の説明を以下にまとめた。 (大和証券投資信託委託) ・同社のファンドマネジャー25名に「つみたてNISA」で投資するとしたら、というアンケート結果を紹介。アクティブ型よりもインデックス型を選ぶ人が多く、国内株式型よりも海外株式型を多く選好しているなどの特徴があった。 (ニッセイアセットマネジメント) ・6月29日に<購入・換金手数料なし>の「なしなし」シリーズで4回目となる信託報酬の引き下げを実施。5月末時点のシリーズの純資産総額は合計1404億円と増大している。 (三菱UFJ国際投信) ・毎月実施している「つみたてNISA」1万人認知度調査の7月版を紹介。6月時点の認知度は上がっておらず、前月より低い26.6%。特に地方での認知度がやや低い傾向。つみたてNISAはもちろんのこと、投資信託も知らない層がまだ約6割もいる。 ・男女比率では女性の認知度が男性よりも低く、男性は年代間の認知度格差が小さいのに対し、女性は20代が低く、年齢が上がるとともに認知度アップの傾向。ただし、女性の認知度は07年9月時点の調査開始時より上昇中。 ・各社の代表的なノーロード・インデックスファンドの純資産総額の合計は6月末時点で1兆円突破が間近。資金流入額はNISAが始まった14年に年間で1400億円まで急拡大。18年は半年で既に1800億円集め、これまでの年間で最大を記録した15年の約1700億円を上回っている。 (楽天投信投資顧問とバンガード・インベストメンツ・ジャパン) ・米国株指数連動のインデックスファンドとしてS&P500連動型の組成も検討したが、低コストを追求するうえで、指数使用料のハードルが高く断念し、バンガード社の米国株ETFに投資する仕組みを採用した。 ■参加者から質問続々も時間切れで打ち切り 参加者およびブロガーからの質問を以下にまとめた。 ・低コスト化による薄利の極みの状況下で、販売会社からは何か言われないのか。 ・投資家が損しても売り急がないよう、運用会社としてはどのようにアドバイスするか。 ・注目している他社のファンド名を具体的に教えてください。 ・低コストで費用があまりかけられない中、どのようにマーケティングしているのか。 ・金融資産「ゼロ」世帯の金融資産には普通預金の他、年金も含まないという理解で正しいか。 ・2014年以降ノーロード・インデックスファンドへの資金流入額が急増したという説明を受けたが、その一方で、日銀が資金循環統計を見直した結果、家計の投信保有残高が増えていないことが判明した。金融庁はこの状況をどう捉えているか。 ・低コスト化が進む中、直販への進出を検討している会社は手を挙げて教えてください。 ・繰り上げ償還される可能性はあるか。 ・資産配分(アセット・アロケーション)に関するアドバイスやツールを金融庁が個人に提供する可能性について。 ■参加者からは「運用会社の生の声はやはり違う」の声 質問は時間切れで打ち切りとなるまで続いた。参加者から時間があれば「例えば、ドイツ、インド、スウェーデンの各1カ国の株式集中型など、インデックスファンドの投資対象地域が今後増える可能性はあるのか」「日本株インデックスファンドの信託報酬の方が先進国株型よりも高止まりしているのはなぜか」といった質問をしたかったといった声が出ていた。参加者からの感想を以下にまとめた。 ・制度説明の時間を削ってでも、質疑応答の時間をもっと長く取った方がよかった。 ・運用会社の生の声を聞けるのは貴重な体験。ネットで調べるとのはやはり違う。 ・運用会社が低コスト化に色々苦心しているのがよく分かった。 ・他社の注目ファンドは『株式型』など抽象的ではない具体的なファンド名を聞きたかった。 ・損をした時の対処など自分のやり方が間違っていないのを再確認できてよかった。 ・自分のように50歳代の主婦でも投資を始められる。成人した息子のつみたてNISAの商品選びについて家族で話し合うのにも、いいきっかけになった。 ・楽しかったが、正直なところ理解できなかった説明内容も多い。全面的に初心者向けのつみップを期待したい。 ・インド株指数が認定されれば、低コストのインド株連動型ファンドの設定を前向きに検討するという運用会社の話をじかに聞けた。 ・女性と若い人の参加が多いのは「つみたてNISA」の趣旨に合ったとてもよい状況。  (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

個人が選ぶ投信の共通点は? FOY2017ベスト20を一覧比較

 個人投資家が年に1回、自分たちにとって本当に良いと思える投資信託を投票で選ぶ「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」(FOY)。13日に表彰式が開かれたFOY2017で11回を数え、いまや投信業界の恒例イベントになっている。  では、投票に参加した投信ブロガーが高く評価するのは、どのような投信か――。FOY2017のベスト20投信(20位が2本で計21本)をコストや運用成績などを加えた一覧にして比較した。 【ベスト20の特徴】 ◯ノーロード(販売手数料なし)は共通条件(ETFを除く)。実質信託報酬も平均的な投信よりも低い。1位の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」は販売手数料なし。実質信託報酬は0.2396%と、同じ分類(QUICK分類「グローバル株式(先進・新興複合)-為替リスクあり」)の平均(1.591%)を大きく下回る。 ◯設定後年数(ETFを除く)は平均4.24年で、設定から日が浅い投信が目立つ。2018年1月に始まった積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)をにらんで新規設定された投信が複数選ばれたことが影響した。ETFを除くと、つみたてNISAの対象商品。 ◯決算は年1回が共通条件(ETFを除く)。決算を迎えていない投信を除くと、直近1年に分配金がなかったのも共通点。 ◯設定から日が浅い投信は比較が難しいが、2位の「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」、6位の「ひふみ投信」などは1年リターンが同じ分類の平均を上回る。 ◯先進国株式、グローバル株式(先進・新興複合)を投資対象とする投信が上位に並び、国内株型では直販投信が上位にランクイン。 ◯1位の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」、3位の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は、それぞれ主な投資対象が9位の「Vanguard Total World Stock ETF(VT)」、16位の「Vanguard Total Stock Market ETF(VTI)」。海外ETFを、税手続きや積み立ての手間がかからない投信として購入できるようにしたことが評価された。 <FOY2017公式サイト> 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2017 (QUICK資産運用研究所)

静かな熱気、懇親会には金融庁職員も 投信ブロガーが選ぶ!FOY2017表彰式

1月13日に都内で開いた「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2017」(FOY2017)の表彰式会場は熱気に包まれていた。163人の個人投資家(有料入場者)が詰めかけ、会場はほぼ満席。この日のために大阪や北海道から駆け付けた参加者もいた。 ボランティアによる運営で始まったFOYも今回で11回目。個人投資家が自分たちにとって本当に良いと思える投資信託を投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」という趣旨で毎年開催されている。 前回FOY2016の表彰式では、金融庁の森信親長官からメッセージが寄せられ、消費者目線での良質な投信を選んで育てていこうとする取り組みに最大級の賛辞が送られたことは記憶に新しい。もはや単なる個人投資家の人気投票と侮れない。運用会社の将来の浮沈を左右しかねない、消費者代表としての影響力を秘めている。 ■熱い声の数々、会場は静かな熱気に 投信ブロガーの投票理由が「海外株(先進国)型」など主な投資先分類ごとに「熱い声」として司会者から紹介された。参加者の眼差しは正面のスクリーンにくぎ付けとなり、会場内は静かな熱気に包まれた。熱い声の一部は、ファンドごとに公式サイトにも紹介されている。 司会者からは「月次レポートなどへのマザーファンドの規模の明示」や「同じファンドの販売会社名もNISA、iDeCoなどで詳細区分してはどうか」という有益な提案もあった。 「熱い声」は寄せ書きにして上位5ファンドの代表に手渡された。初めて上位入選した野村アセットマネジメントをはじめ、運用会社は投信ブロガーの声援にどう応えていくか。消費者の関心は移ろいやすい面がある。運用各社の今後の取り組みに注目が集まる。 折しもインデックス運用の巨人バンガードが形を変えて日本に上陸した。楽天投信投資顧問が運用する1位の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(9I311179)と3位の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(9I312179)は、主に米運用大手バンガードのETFに投資する。国内の運用大手から独立系まで、今後どのように迎え撃つのか目が離せない。 ■山崎氏「つみたてNISAの影響が色濃く」 「積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)が始まったことによる低コスト化競争が色濃く影響した結果になった。今後一段と低コスト化するうえでは、組み入れる世界の株式の株券を現物保管するカストディアン(管理銀行)をグループ内に持つ運用会社が有利になる可能性が高い。連動指数の使用料が低コスト化のネックになるおそれもある」。 経済評論家の山崎元氏は上位入賞結果をこう評し、「この表彰式は素晴らしいが、低コストに焦点を絞った商品性だけではなく、運用内容も含めて総合評価されるよう成熟化していって欲しい」と期待を寄せた。 ■懇親会で熱のこもった議論、金融庁職員も参加 「本家」表彰式が静かな熱き声に満ち溢れていたのは打って変わり、場所を居酒屋に移して開かれた懇親会は熱のこもった議論が充満した。 懇親会には本家の運営委員と上位入賞ファンドの運用会社代表に加え、金融庁職員も数名参加し、官民の交流の場ともなった。 懇親会の実行委員長を務めた投信ブロガーの「個人凍死家テリー」さんは「70人の当初参加枠があっと言う間に埋まったのには驚いた。こうして個人投資家が集まり、輪が広がっていくのは楽しいし、イベントを主催するやりがいがある」と話していた。 投信ブロガーの「takachan」さんは「自分も首位となった楽天・全世界株式インデックス・ファンドに1点投じたが、中小型株を含む世界の株式市場に低コストのファンド1本で投資できる利便性と、海外ETFのVT(バンガード・トータル・ワールド・ストック)に直接投資した場合にはできない配当金の自動再投資が実現可能となったのが魅力的だ」と話した。 ■「投信ブロガーはコストに敏感」「投票締め切りが延びたなら違った結果も」 FOY2017運営委員の「m@」さんは「新たなファンドが上位入選しているのは、投信ブロガーが情報感度が高く、コストに敏感なことを反映し、特に今年の上位はブロガーの間での米国株ばやりの流れを受けているのではないか」と分析していた。 「信託報酬の引き下げは歓迎するが、自分が保有している既存のファンドではなく、(似たようなファンドを)新たに設定する形で低コストにするのは正直どうかと思う。それより販売会社の同意を取り付けたうえで、既存ファンドで信託報酬の引き下げを実行する運用会社を積極的に評価したい」と話す投信ブロガーもいた。 「11月末に投票が締め切られたが、それ以降に続々と低コストファンドが登場している。投票締め切りが少し延びたら、また違った結果になったのでは」との声も聞かれた。 ■終わりなき熱い議論、2次会・3次会へ 懇親会終了後、自発的に参加者30名以上が居残り2次会が開かれた。金融庁のつみたてNISA推進担当者も交え、消費者本位の良質な投信を巡り、熱心に語り合う姿がそこにあった。その後、相当な人数が3次会にも流れ込んだようだ。 FOY2017は、日本の資産運用業界が本当の意味で顧客本位に変わる静かなムーブメントが起こりつつあるのを感じさせるイベントだ。5年後、10年後に振り返ってみると、消費者本位への地殻変動の動きはここで始まったと思い起こさせることを予感させる会であった。 <FOY2017公式サイト> 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2017 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、小松めぐみ)

投信ブロガーが選んだのは? 1位はRV全世界株・Fund of the Year 2017

1月13日、昼下がり。都内のイベントホールで「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2017」(FOY2017)が発表された。発表会を兼ねた表彰式は、160人を超える個人投資家(有料入場者)が参加し、会場はほぼ満席となった。 「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」は、個人投資家が自分たちにとって本当に良いと思える投資信託を投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」という趣旨で毎年開催しているイベントだ。投信ブロガーや著名ファイナンシャルプランナーらがボランティアで企画・運営を続け、今回で11回目を迎えた。 投票は17年11月末に締め切られた。17年9月末までにブログを開始している”投信ブロガー”が投票権を持つ。投信ブロガーは1人5ポイントを保有し、アクティブ(積極運用)型、インデックス(指数連動)型を問わず、1~5本のファンドを選んで自由に投票する。今回は過去最多となるおよそ200名もの投信ブロガーが投票に参加した。 1位に輝いたのは、楽天投信投資顧問が運用する「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(9I311179)で、獲得ポイント数は95だった。17年9月末に設定されたばかりのニューフェイスが2位に16ポイントの差をつけて首位となった。1本で日本を含む全世界の株式に投資できることなどを理由に幅広い支持を集めた。授賞式で登壇した楽天投信投資顧問の東眞之代表取締役社長は1位獲得を「感無量」とコメントした。  ニッセイアセットマネジメントの「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」(2931113C)が79ポイントで2位となった。4連覇を逃したが、4年連続でトップ3入りを果たした。代表者は「<購入・換金手数料なし>シリーズのファンドは純資産総額が拡大するにつれ、受益者とそのメリットを分かち合えるよう、信託報酬を下げて行くコンセプトに変わりはない」と明言した。 楽天投信投資顧問は「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(9I312179)も70ポイントで3位に入った。 野村アセットマネジメントが運用する「野村つみたて外国株投信」(0131317A)は4位にランクイン。国内最大手運用会社の野村アセットマネジメントは上位入賞が今回が初めてとなった。代表者は今回の賞を「”粋な賞”と受け止め、まだまだ上がいる、継続こそ力なり」と運用の質は下げすに上を目指す気概を見せた。 5位は三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」(03312175)が入った。2017年にインターネット専用で販売を開始したスリムシリーズの人気商品だ。代表者は「正月休み明けとかけて、つみたてNISAと解く、その心は常にスリムを目指します」と、「Slim」へのなぞかけで会場を沸かせた。 上位10本のうち、6本が17年に新規設定されたファンドだった。実行委員長の投信ブロガーrennyさんは総評で、初めて入選した運用会社に「今年限りの一発屋にならないで欲しい」と熱いエールを送った。 <FOY2017公式サイト> 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2017 <参考> 当日の様子は投信ブロガーや関係者がツイッター(ハッシュタグ:#foy2017)で発信 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ、高瀬浩)

「つみたてNISA」本番直前、金融庁に個人投資家が集結 年内最後の「つみップ」

  街がクリスマスムードに包まれた12月22日、金曜日の夜。東京・霞が関にある金融庁の厳かな会議室に、40人の個人投資家に加え、運用会社、著名な経済評論家らが集まった。2018年1月から始まる積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の本番直前、金融庁主催の「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)と称する「個人投資家との意見交換会」も年内最後の会合となった。 つみたてNISAをきっかけに、より多くの人が資産形成に関心を持つようになることを狙い今年4月から始まった「つみップ」も今回で12回目。東京だけでなく、大阪や名古屋、金沢など地方でも開催している。運用会社や販売会社をゲストに呼んだり、女性だけを集めた「女子部」を企画したりするなど、様々な趣向で反響を呼び、今回は40人の募集枠があっという間に定員に達する人気ぶりだ。  つみたてNISA対象の投信は12月18日時点で132本。このうち56本をつみたてNISA向けに新たに組成されたインデックスファンドが占める。今回のつみップでは、新商品の狙いや特徴について、運用会社6社(アセットマネジメントOne、大和証券投資信託委託、ニッセイアセットマネジメント、バンガード・インベストメンツ・ジャパン、三菱UFJ国際投信、楽天投信投資顧問)が説明した。  ***************************************************************************** 【運用会社各社の主なポイント】 ・アセットマネジメントOne:8資産均等型やリスク水準が3段階で異なる「たわらノーロード バランス」を投入。 ・大和証券投資信託委託:「S&P500指数」に連動する「iFree S&P500」の誕生秘話。つみップの場で受けた個人投資家からの要望を反映し、いち早く組成したという。 ・ニッセイアセットマネジメント:国内株・先進国株・新興国株を各3分の1ずつ組み合わせる株式のみの「バランスもどき」を設定。 ・三菱UFJ国際投信:ネット専用の「eMAXIS」とは別に、対面販売専用の「つみたて」シリーズを新設。金融機関の窓口で販売員が顧客に制度説明できる商品に。 ・楽天投信投資顧問とバンガード・インベストメンツ・ジャパン:世界の株式市場の大半に1本の投信でアクセスできるようバンガードの超低コストETFを活用。 ****************************************************************************   「今後、信託報酬を下げる予定はあるのか」「繰り上げ償還しないファンドを見極めコツは」――。質疑応答では、参加者から次々と手があがった。「海外株の配当金への課税も考慮すると指数連動性の点で問題はないのか」といった踏み込んだ質問も飛び出した。  専門的な難しい用語が出た時はすかさず金融庁職員が別の言葉に置き換えて補足説明するので、投資初心者でも気後れすることはない。ゲストの識者からは、ノーロードのインデックスファンドの短期売買を防ぐには「信託財産留保額」を運用会社が新たに設けやすいよう、金融庁が促すのが適当ではないかとの提案も出た。  意見交換会の後に開かれた懇親会で、参加者の声を拾ってみた。2回目の参加となる40代女性は「金融庁が主催なので安心感がある」と今回は友人を誘って参加。著名投信ブロガーの一人であるNightWalkerさんは「色んな声に耳を傾けてくれる。金融庁がリーダーシップをとって約1年続いたことが素晴らしい」としみじみ振り返る。「資産運用にあまり関心がない息子には『つみたてNISA』を始めるよう話す」  「運用会社の生の声が聞けたのがよかった」という声もあった。まとまったお金が入って投資を始めたという30代男性は「普段は周囲の人とお金の話しを気軽にできないけれど、ここに来るとオープンに話せるので楽しい。自分が保有しているファンドの運用会社の方に直接質問ができて勉強になりました」と意欲的に語ってくれた。  今回参加した運用会社の関係者は「自社でセミナーを企画してもなかなか資産形成層との接点を持つことが難しいので、とてもいい機会だ」と話す。最近の相次ぐ信託報酬の引き下げ競争については「正直、厳しい」と苦笑しながらも、「長期的に資産形成の後押しに繋がるのであれば、社会貢献だと前向きに思える」と語った。 今回の参加者は主に20代~40代の資産形成層が中心で、多くはSNS(交流サイト)でこのイベントを知ったとのこと。ただ、つみたてNISAを実際に来年から始めるかどうかは、まだ決定していない参加者も少なくない印象だった。  「投資しながら貯める」趣旨で制度設計された「つみたてNISA」。こうした金融庁の意欲的な説明会に参加した個人投資家の輪を通じて、じわり若い世代に広まっていくことが期待される。    (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ、高瀬浩)

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