「つみたてNISA」本番直前、金融庁に個人投資家が集結 年内最後の「つみップ」

  街がクリスマスムードに包まれた12月22日、金曜日の夜。東京・霞が関にある金融庁の厳かな会議室に、40人の個人投資家に加え、運用会社、著名な経済評論家らが集まった。2018年1月から始まる積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の本番直前、金融庁主催の「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)と称する「個人投資家との意見交換会」も年内最後の会合となった。 つみたてNISAをきっかけに、より多くの人が資産形成に関心を持つようになることを狙い今年4月から始まった「つみップ」も今回で12回目。東京だけでなく、大阪や名古屋、金沢など地方でも開催している。運用会社や販売会社をゲストに呼んだり、女性だけを集めた「女子部」を企画したりするなど、様々な趣向で反響を呼び、今回は40人の募集枠があっという間に定員に達する人気ぶりだ。  つみたてNISA対象の投信は12月18日時点で132本。このうち56本をつみたてNISA向けに新たに組成されたインデックスファンドが占める。今回のつみップでは、新商品の狙いや特徴について、運用会社6社(アセットマネジメントOne、大和証券投資信託委託、ニッセイアセットマネジメント、バンガード・インベストメンツ・ジャパン、三菱UFJ国際投信、楽天投信投資顧問)が説明した。  ***************************************************************************** 【運用会社各社の主なポイント】 ・アセットマネジメントOne:8資産均等型やリスク水準が3段階で異なる「たわらノーロード バランス」を投入。 ・大和証券投資信託委託:「S&P500指数」に連動する「iFree S&P500」の誕生秘話。つみップの場で受けた個人投資家からの要望を反映し、いち早く組成したという。 ・ニッセイアセットマネジメント:国内株・先進国株・新興国株を各3分の1ずつ組み合わせる株式のみの「バランスもどき」を設定。 ・三菱UFJ国際投信:ネット専用の「eMAXIS」とは別に、対面販売専用の「つみたて」シリーズを新設。金融機関の窓口で販売員が顧客に制度説明できる商品に。 ・楽天投信投資顧問とバンガード・インベストメンツ・ジャパン:世界の株式市場の大半に1本の投信でアクセスできるようバンガードの超低コストETFを活用。 ****************************************************************************   「今後、信託報酬を下げる予定はあるのか」「繰り上げ償還しないファンドを見極めコツは」――。質疑応答では、参加者から次々と手があがった。「海外株の配当金への課税も考慮すると指数連動性の点で問題はないのか」といった踏み込んだ質問も飛び出した。  専門的な難しい用語が出た時はすかさず金融庁職員が別の言葉に置き換えて補足説明するので、投資初心者でも気後れすることはない。ゲストの識者からは、ノーロードのインデックスファンドの短期売買を防ぐには「信託財産留保額」を運用会社が新たに設けやすいよう、金融庁が促すのが適当ではないかとの提案も出た。  意見交換会の後に開かれた懇親会で、参加者の声を拾ってみた。2回目の参加となる40代女性は「金融庁が主催なので安心感がある」と今回は友人を誘って参加。著名投信ブロガーの一人であるNightWalkerさんは「色んな声に耳を傾けてくれる。金融庁がリーダーシップをとって約1年続いたことが素晴らしい」としみじみ振り返る。「資産運用にあまり関心がない息子には『つみたてNISA』を始めるよう話す」  「運用会社の生の声が聞けたのがよかった」という声もあった。まとまったお金が入って投資を始めたという30代男性は「普段は周囲の人とお金の話しを気軽にできないけれど、ここに来るとオープンに話せるので楽しい。自分が保有しているファンドの運用会社の方に直接質問ができて勉強になりました」と意欲的に語ってくれた。  今回参加した運用会社の関係者は「自社でセミナーを企画してもなかなか資産形成層との接点を持つことが難しいので、とてもいい機会だ」と話す。最近の相次ぐ信託報酬の引き下げ競争については「正直、厳しい」と苦笑しながらも、「長期的に資産形成の後押しに繋がるのであれば、社会貢献だと前向きに思える」と語った。 今回の参加者は主に20代~40代の資産形成層が中心で、多くはSNS(交流サイト)でこのイベントを知ったとのこと。ただ、つみたてNISAを実際に来年から始めるかどうかは、まだ決定していない参加者も少なくない印象だった。  「投資しながら貯める」趣旨で制度設計された「つみたてNISA」。こうした金融庁の意欲的な説明会に参加した個人投資家の輪を通じて、じわり若い世代に広まっていくことが期待される。    (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ、高瀬浩)

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