ネット証券で残高上位の投信、運用効率が高い傾向 共通KPIで比較

ネット証券大手のSBI証券と楽天証券、マネックス証券、カブドットコム証券の4社は、投資信託の販売が顧客本位に運営されているかどうかを「見える化」して評価するための3つの共通KPI(成果指標)を8月下旬に発表した。金融庁は投信を販売する金融機関に自主的な開示を求めており、銀行や証券などの発表も相次いでいる。QUICK資産運用研究所では、ネット証券4社の合算分や各社の運用損益別顧客比率などの比較をまとめた(図表A)。 ■投信で含み益の顧客比率、ネット証券が銀行を上回る 3月末時点で保有する投信の評価損益(含み損益)がプラスだった顧客数の割合は、4社合算で63.8%だった。金融庁が銀行29行を対象に実施した同時点の調査はプラスが55%程度だったが、ネット証券ではこれを10ポイント近く上回った。 ネット証券で含み益の顧客比率が銀行より高かったのは、購入手数料がかからないノーロードの投信を多く取り扱っているのが一因とみられる。積み立て投資を利用する顧客が相対的に多く、損失が広がりにくいことも寄与した可能性がある。 ■SBI証券は償還・全売却分を含め公表 金融庁が金融機関に自主的な公表を求めている共通KPIの調査対象は、3月末時点で顧客が保有している投信に限られ、それまでに償還・全売却して利益を確保したり損失が出たりした場合は含まれない。このため全体像を把握しにくいとの指摘がある。 SBI証券は、共通KPIの調査対象(3月末時点の顧客保有分の評価損益)に加え、過去に償還・全売却された分の実現損益を含むトータルの運用損益を公表した。評価損益がプラスの顧客数は全体の64.7%だったのに対し、償還・全売却分を含むトータルではプラスが71.1%にのぼった。 同じデータを8月末に公表した三菱UFJ銀行でも、運用損益がプラスだった顧客の割合は、償還・全売却分を含むトータルが共通KPIの評価損益を上回った。 ■楽天証券はファンドラップのデータも公表 楽天証券が公表したファンドラップ(楽ラップ)の顧客を対象にした評価損益はプラスが全体の53.9%と、同社の顧客が保有する投信全体の62.9%を下回った(図表B) 。損益区分別にみると、マイナス10%からプラス10%未満に集中した。 顧客が金融機関に運用を一任するファンドラップは、投資対象資産が異なる複数のファンドに分散投資するため、大きく損失が出たり利益が出たりしなかったとみられる。三菱UFJ信託銀行やみずほ証券のファンドラップも、同じ損益区分に顧客比率が集中した。 ■ネット証券の残高上位ファンド、運用効率が高い傾向 ネット証券4社は共通KPIのうち、残高上位20銘柄のコスト・リターン(5年年率)とリスク・リターン(同)の分布もそれぞれ公表した。4社の残高加重平均値と、QUICK資産運用研究所が試算した市場全体の残高上位20銘柄のデータを比較したのが図表Cだ。 これを見ると、ネット証券で預かり資産(残高)が大きい投信は、市場全体の残高上位銘柄よりコスト対比のリターン(=リターン÷コスト)が高いことが分かる。リスク1単位あたりのリターン(=リターン÷リスク)も市場全体を上回り、運用効率も相対的に高い傾向にある。この2つの指標については、対象が設定後5年以上のファンドに限られるため、金融機関によっては直近の売れ筋ファンドが含まれないケースがある。 (QUICK資産運用研究所)

投資ビギナー×つみップ 「お薦めの1本は?」

金融庁が12日夜に投資初心者を対象に開いた「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)には約40人の個人投資家が集まった。積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の普及を目的に2017年4月から始めた個人との意見交換会で、投資経験3年未満に対象を絞った「つみップ Rookies」の開催は今年1月以来の2回目。参加者からは「つみたてNISAを始めるにあたり、お薦めの1本は」といった直球の質問も飛び出した。 ■インターンの学生も参加、「ハッピー・マネー教室」紹介 今回のつみップは一般参加者に混じって、金融庁のインターンシップ(就業体験)に参加している大学生十数人も飛び入り。インターンでの「家計の『貯蓄から資産形成へ』の流れを後押しするため、若年層の投資への関心を高めるには、どのような方策が考えられるか」というテーマの討論をまとめたプレゼンテーションを控え、投資初心者の生の声に触れる貴重な機会になったようだ。 冒頭で金融庁が8月に小学生を対象に開いた「小学生のためのハッピー・マネー教室」(講師:岡本和久氏)の様子を動画で紹介した。「お金は感謝のしるし」「お金はあくまで幸せになる一つの方法」「お金を増やすにはどうしたらよいか」といった内容の講義は、一般公開されるようだ。 ■質問は多岐に、識者やブロガーが丁寧に回答 金融庁のつみップ担当職員がつみたてNISA誕生の背景や内容、長期・分散・積み立て投資の効用、対象商品や資産形成にあたって重要となるポイントなどを説明した後、参加者からの質問を受け付けた。多岐にわたる質問に対しては、金融庁職員に加え、経済評論家の山崎元氏らの識者と、著名投信ブロガーの虫とり小僧さん、吊られた男さん、水瀬ケンイチさん、NightWalkerさんが丁寧に答えた。 【参加者からの質問(要旨)】 ・説明資料中の金融資産「ゼロ」世帯の定義 ・子供への投資教育に対する取り組みの現状 ・初心者から中級者にステップアップするにはどうしたらいいか ・今後、子供の教育費がかさむ中、生活防衛資金とリスク資産に振り向ける資金のバランスをどう考えるのが適当か ・投資の勉強に役立つお薦め本を教えてください ・「ウォール街のランダム・ウォーカー」に書かれている間違いとは何のことか ・税制改正要望として挙がっている「海外転勤などでNISA口座保有者が一時出国時にもNISA口座を継続利用可とする」件の実現度 ・まとまった資金がある場合、一括投資した方がいいのか、それとも時間分散して投資すべきか ・つみたてNISA対象商品にアクティブ運用型のファンドが含まれている意味合い ・妻の父が新興国債券で運用する毎月分配型ファンドを保有している。ファンドに関するネガティブな話を良く聞くので、解約を薦めたいがどう説得したらいいか ・債券のみで運用するファンドはつみたてNISAで対象外となっている。株式との分散投資効果を考慮して、債券型のファンドを一般口座で購入した方がいいか ・家族も一緒につみたてNISAを行う時、投資商品は同じものに揃えるべきか ・投資する前に、どれくらいの知識が必要か ・これからつみたてNISAを始めるにあたり、お薦めの1本はどれか ■先進国株式や全世界株式インデックスファンドがお薦め 【識者やブロガーからの回答(抜粋)】 ・本を読むのはいいが当たり外れがある。水瀬氏のブログで紹介されている本がお薦め ・投資のお薦め本を一冊に絞るとすると「ウォール街のランダム・ウォーカー(日本経済新聞出版社)」を薦めるが、一部、間違いもある。それは本の400ページあたりに出てくる「投資の保有期間が長くなるとリスクが低減する」という記述でこれは金融理論上、誤り。 ・4月に開催された「つみたてNISAフェスティバル2018」で「はじめての投資! おススメの一冊 ベスト10」が発表されている。それも参考になる。 ・本を一冊読んでから投資をスタートする方が長続きする。その一方で、本を読むのは大切だが、投資を始めてから勉強する方が実践的との意見も。 ・つみたてNISAの投資手法であるコツコツ投資(ドルコスト平均法)は「気休めに過ぎない」という考えが示された一方で、コツコツ投資の方が心理的な面で有効という意見も少なくなかった。ブロガーからは母親がリーマン・ショック前に一括投資の高値づかみをして、元本回復に数年かかった実例も紹介された。 ・お薦めの1本については、先進国株式インデックスファンドを挙げた人が多く、続いて全世界株式のインデックスファンドが2名、日本株と8資産均等型のバランス型インデックスファンドも挙がった。具体名としては三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」とニッセイアセットマネジメントおよび楽天投信投資顧問のファンドが推された。 ■専門用語の説明集があるとより初心者向き 参加者には今年からつみたてNISAを始めたばかりという20~30代が目立った。「色々な角度からの意見がよかった。自分の今の投資内容に問題がないのを再確認できた。若い自分と同世代の投資家に出会えたのは心強く、老後のことを真剣に考えてみようと思った」といった声が出ていた。 また「バッサリ考えを述べる山崎氏に加え、優しく寄り添う感じで話すブロガーの方々などいろんな意見を聞くことができ勉強になった」(30代男性会社員)、「自分も初めはインデックスファンドとアクティブファンドの違いが分からなかった。関連する専門用語の説明集が資料に付いていると『初心者向け』にはより効果的ではないか」(20代女性会社員)といった感想も聞かれた。 ブロガーからは「説明をより分かりやすく工夫するべきだった気がする。例えば、債券の話にしても金利と債券価格の関係が分からないと理解が難しかったのではないか」「質問をその場で考えるのは人によっては難しい。少し間を置いて考えをまとめる時間などがあってもいいのではないか」「フレッシュな顔ぶればかりで、RookiesにはつみたてNISA普及の原点を感じる」という感想が漏れた。 初心者と言っても若者とは限らず、ベテラン投資家の50代後半の男性会社員が同世代の妻を連れて参加。「老後は妻や社会人になった子供と一緒に資産運用したいので、妻にもつみたてNISAのことを知ってもらいたい」と話していた。 つみたてNISAの投資家層は年齢を問わず徐々に広がりつつある。   ▽つみップのサイトはこちら (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

投信、相性の良い組み合わせは? 8月末時点の「相関係数」一覧

複数の投資信託に分散投資する際、有効な組み合わせを探すのに便利なのが「相関係数」と呼ばれる統計指標だ。投資対象で区分した「QUICK投信分類(大分類)」について、8月末までの1年間(日次データ)と10年間(月次データ)の相関係数をまとめた。 複数のファンドに投資する場合、値動きの傾向が違うタイプを組み合わせると分散投資の効果が出やすい。例えば、投資家のリスク選好局面で買われやすい株式に投資するファンドと、逆に売られやすい債券に投資するファンド。この両方を持っていれば反対方向の値動きが打ち消しあって、全体のリスク(価格の振れ幅)を抑えることができる。 有効なファンドの組み合わせは「相関係数」を使うと探しやすい。相関係数は投資対象が異なる2つのファンドが似た値動きをするほどプラス1に近づき、逆の値動きをするほどマイナス1に近づく。ゼロなら値動きの関係がなかったことを示す。相関係数が低いファンド同士を組み合わせると、全体の価格変動リスクを低減しながらリターン向上を狙う分散投資効果が期待できる。 【分類別相関係数(日次1年)】の表で「グローバル株式(先進・新興複合)型」を見ると「国内REIT型」との相関が0.23と低いが、「先進国株式型」との相関係数は0.95と高い。「グローバル株式(先進・新興複合)型」の投信を保有していて、もう1ファンド購入を検討している場合、「先進国株式型」を購入するよりも「国内REIT型」を組み合わせた方が、よりリスクを小さくすることができると言える。 【分類別相関係数(日次1年)】8月末時点 【分類別相関係数(月次10年)】8月末時点 出所:QUICK資産運用研究所 ※▲はマイナス。分類は「QUICK投信分類(大分類)」を使用、対象は追加型株式投信(ETF、通貨選択型除く) (QUICK資産運用研究所)

アセマネOneの「たわら」、幅広い販売網で存在感(インデックスファンドNAVI)

資産形成を目指す個人投資家の間で、指数連動型のインデックス投資が広まりつつある。運用各社も様々なインデックスファンドを展開し、信託報酬の引き下げや品ぞろえの拡充など独自の取り組みでしのぎを削っている。  「インデックスファンドNAVI」では、運用各社のインデックスファンドシリーズについて、それぞれの特徴や強みを解説する。今回取り上げるのは、アセットマネジメントOneの「たわらノーロード」。スタートは2015年12月と歴史は浅いが、幅広い販売網を持ち、確かな存在感を示す「たわら」に迫る。  ■「若い人に希望を」、シリーズの出発点に  「これから未来を担っていく若い人たちに希望を持ってほしい」――。そんな思いがシリーズ立ち上げの出発点になった。少子高齢化が進み、低金利が長引くなか、若い人の経済的な不安を和らげるためには資産形成に取り組みやすい商品が必要だと考えた。そこで提供し始めたのが、長期の積み立て投資がしやすい低コストのインデックスファンドシリーズだ。  もともと同社の前身のひとつである旧DIAMアセットマネジメントが機関投資家向けにインデックス運用の商品を多く手掛けており、比較的スムーズに商品化が実現。15年12月に「たわらノーロード」の第1号ファンドが運用を開始した。  当時はすでにほかの複数の運用会社がインデックスファンドシリーズを展開。信託報酬などのコスト面や商品のラインアップで他社に遜色のないシリーズ化を目指した。  ■親しみやすいネーミング、ロゴマークにもこだわり  独自色を打ち出したのが「たわら」のネーミングだ。他社のインデックスファンドシリーズはカタカナやアルファベットの名前がほとんどだが、ひらがな3文字で親しみやすさや分かりやすさを表現した。社内公募で集まった約300個の候補から選出。コメなどの穀物をくるんで保存する「たわら」には、コツコツと蓄える、積み上げていくといった意味が込められている。  ビジュアルにもこだわった。インターネットで取引する顧客の認知度向上を狙って、3つの黒い俵型を組み合わせた家紋のようなロゴマークを作った。基調のメインカラーは小判や金運、稲穂など、日本でおめでたいイメージがある黄色にした。 ■低コスト化は「常に検討」、実質コストは低水準  「たわらノーロード」は現在29本(ラップ口座向けを除く)。インデックス型は国内外の株式や債券、REIT(不動産投資信託)に投資する12本と、複数の資産に分散投資するバランス型の14本をそろえる。16年3月には市場平均以上のリターンを目指すアクティブ(積極運用)型の「たわらノーロードplus」を3本追加した。純資産総額(残高)は18年8月末時点で合計674億円(アクティブ型を含む)に積み上がっている。  このうち9本のインデックス型は、2017年12月末に設定後で初めて信託報酬を引き下げた。さらなる低コスト化の可能性について、花村泰廣・投資信託情報サービス部長は「むやみやたらに引き下げれば良いというものではなく、残高やコストとの見合いで常に検討している」と話す。  信託報酬だけを比較すると業界最安水準をやや上回るが、「投資家が負担する実質コストは業界でもかなり安い」(花村氏)という。投信のコストは信託報酬で比較する場合が多いが、実際には売買委託手数料や事務処理にかかる諸費用などが追加で発生する。これらを含めた「実質コスト」は、マザーファンドの規模が大きいほど負担が軽くなる傾向にある。  ■資産形成層にアプローチ、異業種と連携  「たわらノーロード」は積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)や個人型確定拠出年金(iDeCo)での取り扱いが多く、販売会社数は180社を超える。ネット証券を経由した購入が中心だ。他のインデックスシリーズと比べると、全国の信用金庫で幅広く販売しているのが特徴の1つだ。  最近は異業種と連携して、資産形成層へのアプローチも進めている。今年3月22日には家計簿アプリを運営するマネーフォワードと組み、「春から始める!賢いお金づくり~iDeCoとNISAの活用法~」と題したセミナーを開いた。ファイナンシャルプランナー(FP)を招き、参加者が投資のイロハを学んだ。  3月末にはABCクッキングスタジオ(東京・千代田)とタイアップして女性限定のセミナー「カラダとおカネはコツコツつくられる~お花見ごはんと資産運用のはなし~」を開催。料理の実演・試食後にアセマネOneの講師が「おカネ」について話し、参加者には7つの質問に答えてリスク許容度やモデルポートフォリオを診断するロボットアドバイザー「CAPTAIN One」を体験してもらった。  投資未経験者の中には「投資に興味はあるけど、どうしたらいいか分からない」といった悩みを抱える人が多い。今後もイベントなどを通して投資に興味を持ってもらい、長期の資産形成に取り組む若い人を応援していく予定だ。 <関連サイト>  ◇たわらノーロード ◇ロボットアドバイザー「CAPTAIN One」 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

丸井流の投信販売「小売り感覚&お客さま目線で安心を」 tsumiki証券の仲木COO

小売りを手掛ける丸井グループ(8252)が設立した積み立て投資専門の「tsumiki証券」が31日、サービスを開始した。グループのクレジットカード「エポスカード」で投資信託を買えるのが最大の特徴。カード払いで投信を購入できるのは日本初のスキームだ。取り扱う商品は投信4本だけで、投資方法は積み立てのみ。シンプルさを極めた投資初心者向けの新たな資産形成ビジネスが口火を切る。 ターゲットは20~30歳代の若い世代だ。エポスカードの会員は660万人にのぼり、そのうち半数以上を若年層が占める。顧客は月3000円から積み立てることができ、買い物などで使ったカードの利用代金と一緒に銀行口座から毎月引き落とされる仕組みだ。積み立て額の上限は月5万円。年間の積み立て額や積み立て期間に応じたエポスポイントももらえる。 4本に絞り込んだファンドはすべて、つみたてNISA(少額投資非課税制度)の対象になっている投信。手数料の安さや運用実績など金融庁が定めた厳しい要件をクリアし、長期の資産形成に適していると認められたファンドだ。運用会社が顧客とどう向き合っているかなどに着目し、「顔の見える運用」をしているファンドを厳選した。つみたてNISAの非課税枠(年40万円)を超える積み立ては特定口座での取引となる。 口座開設や月々の積み立て額の変更などはネットで手続きできるが、マルイの店頭でも口座申込みのサポートやお金に関する相談ができる窓口を設置する。当初は1店舗から始め、徐々に増やしていく方針だ。 今後は投資初心者向けのセミナーを随時開催する予定。マルイの店舗内スペースを利用して、20人程度のアットホームな雰囲気のセミナーにする。10月にはエポスカード会員を招いて200人規模のイベントも開催する予定だ。来春をメドにエポスポイントで投資を疑似体験できるサービスも始める。 tsumiki証券のロゴマーク 社名のロゴマークは、末尾の「i」に2つの点をつけた。これは「お客さまとtsumiki証券」という意味が込められている。顧客とともに「しあわせ」をつくることを目指すグループの共創理念を表した。 富裕層や高齢者に偏っているとされる日本の資産運用サービスに、異業種から参入したtsumiki証券がどれだけ新しい風を吹き込めるか――。若い人たちの資産形成を後押しする取り組みが注目される。 tsumiki証券設立の背景や同社が見据える未来について、仲木威雄代表取締役COOに話を聞いた。 ■若い人の不安を希望に、小売りのサービス力が強み ――tsumiki証券の設立に込めた思いは。 「資産形成をお手伝いすることによって、若い人が抱えている将来への不安を希望に変えたいという思いがあります。投資は富裕層や高齢者、金融の知識がある人だけがやるものといった敷居の高いイメージがあるかもしれません。しかしそうではなくて、若い人も含め皆さんが安心してお金を育てられるようなサービスを提供したかった。丸井グループは『誰も置き去りにされることなく、すべての人が“しあわせ”を感じられるインクルーシブで豊かな社会』を目指しています 。いまある金融サービスでは行き届いていない若年層を中心に働きかけていきたいと考えています」 「エポスカードの会員は若い人が多いです。コツコツ、ゆっくり、自分のペースでできる積み立て投資が資産形成にかなうと考え、提供するサービスは積み立て投資に限定しました。tsumiki証券の名前の由来も積み木のように資産をコツコツ積み上げていくという意味があります」 ――tsumiki証券の強みを教えてください。 「小売業で培ったサービス力ですね。マルイの店舗があるので、対面でもお客さまと向き合えます。専門の金融機関と違って、小売りの感覚で物事を考えられるので、難しい金融用語をあまり使わずにお客さま目線で分かりやすくお話しできます」 「tsumiki証券を立ち上げるにあたって、エポスカード会員の方々と意見交換する座談会を12回にわたって開きました。投資初心者から経験者までのべ50人のお客さまに参加してもらい、取り扱う商品などについてヒアリングしました。こうした生の声を参考にしたので、お客さまが共感しやすい情報の提供やセミナーの開催ができると思います」 tsumiki証券COOの仲木氏 ■取り扱いファンドは「顔の見える運用」を重視 ――ファンド4本の選定理由は。 「取り扱うファンドは当初から数本に絞り込もうと思っていました。選択肢が多すぎると、初めての方には選びにくいからです。自信を持っておすすめできる商品だけをそろえました」 「重視したのは『顔の見える運用』です。お客さまが大事なお金を託す先なので、その運用会社の『顔』がしっかりと見えなくてはならないと考えたからです。きちんと運用実績を出し続けているかだけでなく、セミナーやホームページ、レポートを含めて顧客に向けた説明がしっかりできているかの『対話力』が重要です。運用組織のチーム力、相場が下がっている時にどういうメッセージを出しているのかなども考慮しました」 「当初は4本だけですが、今後は取り扱うファンドを増やす可能性はあります。ただ、お客さまが迷って選べなくなってしまわないように、増やしすぎることはしません。多くても10本以内に収めるつもりです」 ■安心して投資を続けられる仕組みを ――長期の資産形成を根付かせるためには。 「若い人が安心して投資を続けられる仕組みを作っていくことが大事だと考えています。若い人はお金のことや将来のことに不安を感じている人が多いと思いますが、積み立てでコツコツお金を育てることはそうした不安の解消につながります。途中でやめてしまうのが一番もったいないので、続けることが何より大事だと分かりやすく伝えていきたいですね」 「積み立て額は毎月変更ができます。少しずつでも毎月積み立ててもらいたいですが、場合によっては0円にして休むこともできます。続けることがプレッシャーにならないように、自分のペースで安心して長く投資を続けていってほしいと思います」 「資産形成はあくまでも手段であり、目的は人それぞれ異なるとは思いますが、お客さまが人生を自分らしく彩ってもらえることにつながればうれしいです」 tsumiki証券のホームページはこちら→→→tsumiki証券 (QUICK資産運用研究所 西田玲子、石井輝尚、小松めぐみ)

SBI証券、投信で顧客の7割超が利益 全売却分含め公表

ネット証券大手のSBI証券と楽天証券、マネックス証券、カブドットコム証券の4社は28日、投資信託の販売が顧客本位に運営されているかどうかを「見える化」して評価するための「共通KPI」(成果指標、3月末時点)をそれぞれ発表した。このうちSBI証券は、金融庁が金融機関に対して自主的な公表を求めている共通KPIだけでなく、独自の指標も公開した。 SBI証券は3月末時点で顧客が保有する投信の評価損益に加え、3月末までに償還・全売却された分の実現損益を含むトータルの運用損益を公表した。また、楽天証券はロボアドバイザーの「楽ラップ(ファンドラップ)」の運用損益を公表した。 4社は共通KPIのうち3月末時点の運用損益別顧客比率(4社合算分)を共同で発表した。4社で保有する投信の評価損益がプラスだった顧客数は全体の63.8%だった。対象は3月末時点で顧客が保有している投信に限られ、それまでに全売却して利益を確保したり損失が出たりした場合は含まれない。 SBI証券の共通KPIを見ると、3月末時点で投信を保有する顧客の64.7%で運用損益がプラスだった。独自に公表した過去の償還・全売却分を含むトータルの運用損益(評価損益と実現損益の合計)は71.1%の顧客がプラスとなり、共通KPIベースを上回った。 金融庁が金融機関に公表を求めている共通KPIは、調査時点で投信を保有している顧客だけが対象。過去に投信をすべて売却するなどして損益を出した顧客の分が含まれないため、全体像を正確に把握しにくいとの指摘があった。 楽天証券の共通KPIは、3月末時点で投信を保有する顧客で運用損益がプラスだったのは62.9%。独自に公表した「楽ラップ」に絞った運用損益はプラスが53.9%だった。 マネックス証券の共通KPIを見ると、運用損益がプラスの顧客は64.2%、カブドットコム証券は62.0%だった。 ◇SBI証券の発表資料はこちら ◇楽天証券の発表資料はこちら ◇マネックス証券の発表資料はこちら ◇カブドットコム証券の発表資料はこちら ◇ネット証券4社の発表資料(楽天証券のサイト)はこちら (QUICK資産運用研究所)

投信で含み益、顧客の6割超で ネット証券4社

ネット証券大手のSBI証券と楽天証券、マネックス証券、カブドットコム証券の4社は28日、63.8%の顧客は保有する投資信託の評価損益がプラス(4社合算、2018年3月末時点)だったと共同で発表した。金融庁が銀行29行を対象に実施した同時点の調査ではプラスが55%程度だったが、ネット証券では含み益が出ている顧客の割合がこれより10ポイント近く高かった。 対象は3月末時点で顧客が保有している投信に限られ、それまでに全売却して利益を確保したり損失が出たりした場合は含まれない。ネット証券で評価損益がプラスの顧客が比較的多いのは、購入手数料がかからないノーロードの投信を多く取り扱っているためとみられる。積み立て投資を利用する顧客が相対的に多く、抱える損失が広がりにくいことも寄与した可能性がある。 投信を保有する顧客の損益は、金融機関がどれだけ顧客本位で取り組んでいるかを「見える化」するための「共通KPI」(成果指標)の一つ。金融庁が6月末に3つの成果指標を公表し、投信を販売する金融機関に対して自主的な公表を求めた。運用損益別の顧客比率のほかに、残高上位20銘柄のコスト・リターン(5年年率)の分布と、リスク・リターン(同)の分布がある。   ◇ネット証券4社の発表資料(楽天証券のサイト) ◇SBI証券 ◇楽天証券 ◇マネックス証券 ◇カブドットコム証券 (QUICK資産運用研究所)

野村AM、「ブランド」「分かりやすさ」で低コストと一線(インデックスファンドNAVI)

資産形成を目指す個人投資家の間で、指数連動型のインデックス投資が広まりつつある。運用各社も様々なインデックスファンドを展開し、信託報酬の引き下げや品ぞろえの拡充など独自の取り組みでしのぎを削っている。 「インデックスファンドNAVI」では、運用各社のインデックスファンドシリーズについて、それぞれの特徴や強みを解説する。今回取り上げるのは野村アセットマネジメント。新発想のブランド戦略で投資家層の拡大を狙う「Funds-i」シリーズや、積み立て向けに特化した低コストの「野村つみたて」シリーズを展開する。 ■25本の「Funds-i」シリーズ、為替ヘッジ型が豊富 「Funds-i」は2010年11月に投資初心者向けのファンドとしてスタートした。当初の品ぞろえは10本。いまでは熟練者向けの「Funds-i フォーカス」シリーズと、リスク水準の異なるバランス型ファンドを集めた「My Funds-i」シリーズを合わせて25本のラインアップがある。 このうち基本的な指数に連動する「Funds-i」は、現在16本。国内外の株式や債券、不動産投信(REIT)の主要な指数に連動するファンドが並ぶ。 2016年に新設した「Funds-i フォーカス」シリーズは現在4本あり、増配を続ける企業で構成する米国の「配当貴族指数」や米国のハイ・イールド(低格付け)債券の指数に連動する。2017年には5つのタイプからバランス型ファンドを選べる「My Funds-i」を拡充した。 これら「Funds-i」シリーズは、為替ヘッジをしながら海外資産に投資できる「為替ヘッジ型」の取り扱いが多いことが特徴の1つだ。為替リスクを取りたくない投資家のニーズに合わせた。シリーズ全体の純資産総額(残高)は7月末時点で993億円まで膨らんでいる(表1)。 「どのファンドを選べばいいかわからない」といった悩みを抱える投資家は、資産運用を助言するロボットアドバイザー(ロボアド)の「Funds Robo(ファンズ・ロボ)」が無料で利用できる。7つの質問に答えれば、「Funds-i」シリーズの中からそれぞれに適したファンドの組み合わせやバランス型ファンドが表示される仕組みだ。 ■新発想のPRを展開、20~30代女性をメインターゲットに シリーズ名の「i」は、「I(私)」や「index」、「愛・愛着」、「internet(インターネット)」といった意味。投資を「自分事」にしてほしい、日常生活に根付かせたい――。そんな思いが込められている。 「Funds-i」の設定から7年目の2017年1月、野村アセットマネジメントはブランド戦略の強化に乗り出した。大々的なプロモーションで手を組んだのは、これまで金融分野を手掛けたことのないブランディング会社だ。 プロモーションは投資初心者、とりわけ20~30代の女性をメインターゲットに絞った。パンフレットやWEBサイトだけでなく、ロゴも一新。駅構内や電車の中に広告を設置したり、複数の女性誌で特集を組んだりと、同社がこれまで試したことのない新しい発想のPRを次々と展開した。 さらに最近は投資をもっと身近に感じてもらうために、自社のスマートフォン(スマホ)向けアプリを通じたキャンペーンを実施。クイズとアンケートに答えるとアイスクリームがもらえるこのキャンペーンは、SNS(交流サイト)で話題となった。参加者による「#(ハッシュタグ)」付きの投稿の効果もあって、若い女性を中心に反響が広がった。 投資信託営業企画部の安藤祐介シニア・マネージャーは、「若い人の感性に響くもの、見て共感できるものを具体的な形にしていった」と話す。その波及効果は女性にとどまらず、配偶者や友人など男性にも広まっていくことを想定している。 ■積み立てに特化した「野村つみたて」 積み立て方式の少額投資非課税制度(つみたてNISA)導入を2018年1月に控えるタイミングで、17年9~10月には積み立てに特化した「野村つみたて」シリーズを立ち上げた。コストの安い3ファンドを投入。投資初心者向けをより意識して、商品の名前からパンフレットの内容まで一貫してわかりやすさを追求した。 このうち「野村つみたて外国株投信」(0131317A)は、17年11月に投票された「投信ブロガーが選ぶ Fund of the Year 2017」で4位入賞を果たした。設定から間もないにも関わらず、1本で先進国(日本除く)と新興国の株式に投資できる利便性や低コストが支持を集めた。滑り出しは上々で、設定後から資金流入が続いている(表2)。 ■巨大なマザーファンド、高い運用効率 同社のインデックスファンドは、それぞれが投資するマザーファンドが大きいことも特色の1つだ。マザーファンドの資産規模が大きいと、運用管理を効率化して諸費用を安く抑える効果が期待できる。 例えば「野村つみたて外国株投信」の残高は7月末時点で30億円弱。一方、マザーファンドの「外国株式MSCI-KOKUSAIマザーファンド」と「新興国株式マザーファンド」の合計残高は、7月末時点で約5500億円と大きい。投資家が実際に購入するファンド(ベビーファンド)1つ1つの残高が小さくても、そのファンドが巨大なマザーファンドに投資していれば効率的に運用できる。 さらに同社のインデックス運用は1980年代から実績がある。長い歴史とその間に培ってきたノウハウの蓄積が信頼の高さにつながっているようだ。 ■低コスト競争に参加せず、投資家層の拡大に注力 インデックスファンドは運用各社による信託報酬の引き下げが続いているが、野村アセットマネジメントはこの「低コスト競争」に参加する以外の方法を選んだ。主力の「Funds-i」は設定当初から信託報酬を据え置き、今後も引き下げる予定はないという。 激しい低コスト競争にどう対抗するか。同社が出した答えが「ブランド戦略」の強化だ。安藤氏は「コストの削り合いで業界が疲弊するのは意味がない。若い人が気負わず投資に踏み出せるような雰囲気をつくり、投資家層の拡大につなげたい」と語る。 「Funds-i」のキャッチフレーズは「もっと、お金の話をしよう」。投資の潜在的なイメージが「怖い」「難しい」から「おしゃれでかっこいい」などポジティブな方向へと変わり、若い人が気軽にお金の話に花を咲かせる日がくるのかどうか。野村アセットマネジメントの戦略が実を結ぶかが注目される。 <関連サイト> ◇「Funds-i」 ◇「Funds Robo」 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

投信、相性の良い組み合わせは? 7月末時点の「相関係数」一覧

複数の投資信託に分散投資する際、有効な組み合わせを探すのに便利なのが「相関係数」と呼ばれる統計指標だ。投資対象で区分した「新QUICK投信分類(大分類)」について、7月末までの1年間(日次データ)と10年間(月次データ)の相関係数をまとめた。 複数のファンドに投資する場合、値動きの傾向が違うタイプを組み合わせると分散投資の効果が出やすい。例えば、投資家のリスク選好局面で買われやすい株式に投資するファンドと、逆に売られやすい債券に投資するファンド。この両方を持っていれば反対方向の値動きが打ち消しあって、全体のリスク(価格の振れ幅)を抑えることができる。 有効なファンドの組み合わせは「相関係数」を使うと探しやすい。相関係数は投資対象が異なる2つのファンドが似た値動きをするほどプラス1に近づき、逆の値動きをするほどマイナス1に近づく。ゼロなら値動きの関係がなかったことを示す。相関係数が低いファンド同士を組み合わせると、全体の価格変動リスクを低減しながらリターン向上を狙う分散投資効果が期待できる。 表の「先進国債券(投資適格)型」を見ると「国内REIT型」との相関が0.12と低いが、「バランス型」との相関係数は0.71と高い。「先進国債券(投資適格)型」の投信を保有していて、もう1ファンド購入を検討している場合、「バランス型」を購入するよりも「国内REIT型」を組み合わせた方が、よりリスクを小さくすることができると言える。 【分類別相関係数(日次1年)】7月末時点 【分類別相関係数(月次10年)】 7月末時点 出所:QUICK資産運用研究所 ※▲はマイナス。分類は「新QUICK投信分類(大分類)」を使用、対象は追加型株式投信(ETF、通貨選択型除く) (QUICK資産運用研究所)  

円建てで初の「元本確保型」投信が登場 アセマネOne、9月に第2弾も

アセットマネジメントOneが7月31日に設定した円建てで国内初となる「元本確保型」の投資信託には、300億円超の資金が集まった。当初設定額は今年設定された国内公募の株式投資信託で4番目の大きさ。投資で損をしたくない保守的なマネーを取り込み、「貯蓄から投資へ」の流れに新たな風穴を開けた。アセマネOneは9月に向けて販売会社を増やした「第2弾」も準備中だ。 アセマネOneが運用を始めた「ゴールドマン・サックス社債/国際分散投資戦略ファンド2018―07」(47212187)は、約10年後の満期償還まで保有し続ければ元本確保が狙える投信だ。中途解約した場合は損失が生じる可能性があるが、同社によると満期時に円建てで元本確保を目指すのは国内でこのファンドだけだ。 申し込み期間が限られる「単位型」で、7月11~30日に大和証券1社で販売した。投資家は300万円から買うことができ、購入時手数料は1億円未満の場合が税込みで1.08%、1億円以上なら無料になる。 このファンドが投資するのは、米金融大手ゴールドマン・サックス(GS)が発行する円建ての仕組債。「国際金融システム上重要な金融機関(G―SIFIs)」にも認定されているGSが経営破たんしない限り、10年後の満期日に額面で償還されるため、この仕組債に投資しているファンドも元本確保が狙える。 GSの仕組債からは年1回、2種類のクーポン(利息)が支払われる。その1つが年0.32%程度の「固定クーポン」。この部分で年0.3132%(税込み)の信託報酬がまかなえるので、投資家は元本を確保したまま運用を続けられる。 もう1つは、国内外の株式や債券での運用成績に連動する「実績連動クーポン」。アセマネOneが独自に開発した計量モデル「国際分散投資戦略」による運用が好調ならクーポンが高くなり、リターンがマイナスの場合はゼロになる。 投資家が年1回の決算時に受け取る分配金は、この実績連動クーポンが原資になる。実績連動クーポンの中から約1割の成功報酬などが差し引かれ、残りの部分が分配金の支払いにあてられる。実質連動クーポンがゼロの場合は分配金が支払われない。 「国際分散投資戦略」が目標とするリスク水準は3%程度。価格変動リスクを抑えて保守的に運用するため、大幅な値上がり益は狙えない。アセマネOneのシミュレーションによると、この戦略による過去10年のリターンは年2.3%程度(2018年3月末時点)だった。 それでも、ここから成功報酬として約1割(0.2%程度)を差し引いた後のリターンは年2.1%程度。投資家は元本を確保しつつ、足元で年0.01%の10年の定期預金や年0.05%の個人向け国債の金利を上回るリターンを得られたことになる。 単位型なので分配金はすべて課税対象の「普通分配金」になる。追加型のように元本を取り崩す「特別分配金」が支払われることはない。 「第2弾」は9月末の設定を目指す。販売会社は今回の大和証券だけでなく、ほかの証券会社や大手銀行、地方銀行に拡大する見込みだ。 (QUICK資産運用研究所 西田玲子)

金融庁、新体制初の「つみップ」 運用5社の生の声に質問続々

金融庁が27日夜、同庁発足以来の大規模な組織改正後としては初めてとなる「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)を開いた。つみップは積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の普及を目的に2017年4月から始めた個人との意見交換会。終了後の懇親会ではつみたてNISAの推進を統括する新旧幹部が引き継ぎを兼ねて挨拶に立ち、貯蓄から資産形成への流れを促す政策の推進に向けた変わらぬ姿勢を強調した。 ■参加者は男女が半々、20~30歳代で半分 今回の参加者は約40人で、男女の比率はほぼ半々。年代別は20~30歳代で全体のほぼ半分を占め、投資経験は3年未満と経験なしが半数に達した。懇親会では20~40歳代の働く女性が目立った。 つみップは運用会社5社(大和証券投資信託委託、ニッセイアセットマネジメント、三菱UFJ国際投信、楽天投信投資顧問、バンガード・インベストメンツ・ジャパン)の幹部がつみたてNISAへの取り組みを説明し、参加者から質問を受ける形で進行。登壇する運用会社の調整に当たってはブロガーの要望も参考にしたようだ。ゲストには著名投信ブロガーの虫とり小僧さん、水瀬ケンイチさん、NightWalkerさんの3氏に加え、経済評論家の山崎元氏らを迎えた。 金融庁職員が冒頭で「なぜ、つみたてNISAなのか」「制度の意義と個人にとってのメリット」などを資料に沿って説明。つみたてNISA対象の投資信託が7月20日時点で155本と、当初から50本ほど増えたことも紹介した。 ■つみたてNISAも投信も知らない層が6割 運用会社各社の説明を以下にまとめた。 (大和証券投資信託委託) ・同社のファンドマネジャー25名に「つみたてNISA」で投資するとしたら、というアンケート結果を紹介。アクティブ型よりもインデックス型を選ぶ人が多く、国内株式型よりも海外株式型を多く選好しているなどの特徴があった。 (ニッセイアセットマネジメント) ・6月29日に<購入・換金手数料なし>の「なしなし」シリーズで4回目となる信託報酬の引き下げを実施。5月末時点のシリーズの純資産総額は合計1404億円と増大している。 (三菱UFJ国際投信) ・毎月実施している「つみたてNISA」1万人認知度調査の7月版を紹介。6月時点の認知度は上がっておらず、前月より低い26.6%。特に地方での認知度がやや低い傾向。つみたてNISAはもちろんのこと、投資信託も知らない層がまだ約6割もいる。 ・男女比率では女性の認知度が男性よりも低く、男性は年代間の認知度格差が小さいのに対し、女性は20代が低く、年齢が上がるとともに認知度アップの傾向。ただし、女性の認知度は07年9月時点の調査開始時より上昇中。 ・各社の代表的なノーロード・インデックスファンドの純資産総額の合計は6月末時点で1兆円突破が間近。資金流入額はNISAが始まった14年に年間で1400億円まで急拡大。18年は半年で既に1800億円集め、これまでの年間で最大を記録した15年の約1700億円を上回っている。 (楽天投信投資顧問とバンガード・インベストメンツ・ジャパン) ・米国株指数連動のインデックスファンドとしてS&P500連動型の組成も検討したが、低コストを追求するうえで、指数使用料のハードルが高く断念し、バンガード社の米国株ETFに投資する仕組みを採用した。 ■参加者から質問続々も時間切れで打ち切り 参加者およびブロガーからの質問を以下にまとめた。 ・低コスト化による薄利の極みの状況下で、販売会社からは何か言われないのか。 ・投資家が損しても売り急がないよう、運用会社としてはどのようにアドバイスするか。 ・注目している他社のファンド名を具体的に教えてください。 ・低コストで費用があまりかけられない中、どのようにマーケティングしているのか。 ・金融資産「ゼロ」世帯の金融資産には普通預金の他、年金も含まないという理解で正しいか。 ・2014年以降ノーロード・インデックスファンドへの資金流入額が急増したという説明を受けたが、その一方で、日銀が資金循環統計を見直した結果、家計の投信保有残高が増えていないことが判明した。金融庁はこの状況をどう捉えているか。 ・低コスト化が進む中、直販への進出を検討している会社は手を挙げて教えてください。 ・繰り上げ償還される可能性はあるか。 ・資産配分(アセット・アロケーション)に関するアドバイスやツールを金融庁が個人に提供する可能性について。 ■参加者からは「運用会社の生の声はやはり違う」の声 質問は時間切れで打ち切りとなるまで続いた。参加者から時間があれば「例えば、ドイツ、インド、スウェーデンの各1カ国の株式集中型など、インデックスファンドの投資対象地域が今後増える可能性はあるのか」「日本株インデックスファンドの信託報酬の方が先進国株型よりも高止まりしているのはなぜか」といった質問をしたかったといった声が出ていた。参加者からの感想を以下にまとめた。 ・制度説明の時間を削ってでも、質疑応答の時間をもっと長く取った方がよかった。 ・運用会社の生の声を聞けるのは貴重な体験。ネットで調べるとのはやはり違う。 ・運用会社が低コスト化に色々苦心しているのがよく分かった。 ・他社の注目ファンドは『株式型』など抽象的ではない具体的なファンド名を聞きたかった。 ・損をした時の対処など自分のやり方が間違っていないのを再確認できてよかった。 ・自分のように50歳代の主婦でも投資を始められる。成人した息子のつみたてNISAの商品選びについて家族で話し合うのにも、いいきっかけになった。 ・楽しかったが、正直なところ理解できなかった説明内容も多い。全面的に初心者向けのつみップを期待したい。 ・インド株指数が認定されれば、低コストのインド株連動型ファンドの設定を前向きに検討するという運用会社の話をじかに聞けた。 ・女性と若い人の参加が多いのは「つみたてNISA」の趣旨に合ったとてもよい状況。  (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

三井住友トラストAM、インデックスシリーズのパイオニア (インデックスファンドNAVI)

資産形成をしている個人投資家の間で、指数連動型のインデックス投資が広まりつつある。運用各社は様々なインデックスファンドを展開し、信託報酬の引き下げや品ぞろえの拡充など独自の取り組みでしのぎを削っている。 「インデックスファンドNAVI」では、運用各社のインデックスファンドシリーズについて、それぞれの特徴や強みを解説する。第2回は国内で初めてインデックスファンドをシリーズ化したパイオニア、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMTインデックスシリーズ」を取り上げる。 ※「インデックスファンドNAVI」シリーズの第1回は6月27日配信の三菱UFJ国際投信 ■国内初のインデックスファンドシリーズ 同社が国内初のインデックスファンドシリーズとして2008年に立ち上げたのが「SMTインデックスシリーズ」だ。信託銀行系列の資産運用会社で培った運用ノウハウを生かし、「分かりやすい、始めやすい、続けやすい」をコンセプトにしたこのシリーズを設定した。 目指したのは、投資初心者でも長期で安定した資産形成に取り組めるようなファンドシリーズ。それまで長く年金基金や機関投資家に投資商品を提供してきた実績とノウハウを個人向けの商品開発にも応用した。 シリーズの名前は、会社の略称(三井住友トラスト・アセットマネジメント=SMTAM)から付けられた。2008年1月の設定当初は6本だけだったが、現在は28本に増加。純資産総額(残高)の合計は、今年1月に2000億円を超えた(図1)。 昨年11月には新しいシリーズを投入。手数料ゼロのノーロードで、ネット専用の「i―SMTインデックスシリーズ」を新設した。 ■「高品質」「幅広い品ぞろえ」が強み これらのシリーズの強みは「品質の高さ」(商品戦略企画部の宇野直樹部長)。インデックス運用では指数の値動きとの乖離(かいり)をいかに最小限にとどめるかが評価尺度の1つだが、同社のインデックスファンドはこの「トラッキングエラー」が小さいことでも定評があるという。 幅広い品ぞろえも特徴だ。シリーズを構成するのは、市場全体の動きに連動する伝統的なインデックスファンドだけではない。インデックスに関する深い知識を生かして商品開発に取り組み、より効率的な運用を目指す「スマートベータ(賢い指数)型」のファンドも展開している。 例えば「配当貴族指数」に連動するファンドは、一定期間以上連続して増配している優良株に投資する「スマートベータ型」だ。日本と米国、欧州を対象にした3種類をそろえた。 ■人気の「世界経済インデックス」、GDPに応じて分散投資 「SMTインデックスシリーズ」には、5本のバランス型ファンドがある。このうち2017年8月に設定した「SMT 世界経済インデックス・オープン」(64311178)は、先進国と新興国、日本それぞれの株式と債券の6資産が投資対象だ。株式と債券に半分ずつ投資し、地域別の組み入れ比率は国内総生産(GDP)総額の比率に基づき決定する。 シリーズとは別で、2009年1月から運用している「世界経済インデックスファンド」(64315091)は、設定来のリターン(分配金再投資ベース)が18年6月末時点で119.09%と高く、個人投資家の支持を集めている。このファンドは地域別のGDPの比率を参考にしつつ、専門家の知見なども取り入れながら運用する。年1回ごと地域別構成比を見直す点や投資対象は「SMT 世界経済インデックス・オープン」と同じだ(図2)。 ■統合で運用力を強化 同社は今年10月に三井住友信託銀行の運用部門と統合する予定で、国内で最大規模の運用会社となる。年金運用に強みを持つ同部門との統合により運用力を強化していく。 今後は顧客ニーズの多様化にどう対応するかが課題の1つ。インターネットで取引する個人投資家には「i―SMTシリーズ」を活用してもらい、「SMTシリーズ」では伝統的な指数にこだわらず、さらに進化した指数連動型の商品を投入していく方針だ。 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

投信「半数の個人が損失」の驚き 金融庁の共通指標どう読み解く

「投信で損失、個人の半数」「銀行投信の個人客、半数が損失」--。金融庁が金融機関の投資信託販売における「顧客本位の業務運営」を客観的に評価できる共通の成果指標(KPI)を6月29日に発表したのにあわせて、発表資料の別紙に掲載されていた金融庁の集計・分析結果をメディアなどがこぞって取り上げた。SNS(交流サイト)などではヘッドラインがひとり歩きし、「投信=損失」「投信=危険」といった論調の書き込みも目立っている。もっとも共通KPIの定義をよく読むと、必ずしも実態を映しているとは言えない面がありそうだ。 ■運用損益別顧客比率、全部売却済みの銘柄は集計対象外 共通KPIの「投資信託・ファンドラップの運用損益別顧客比率」は一定の条件で各行が算出。金融庁は資料の別紙に主要銀行や地方銀行の計29行をとりまとめた結果を掲載した。その対象は、基準日(今回は2018年3月末)時点で①投資信託およびファンドラップを保有している顧客②対象顧客が保有している投信--などだ。 すなわち基準日時点で全部を売却してしまった銘柄が含まれないのがポイントだ。集計では46%の個人が損失を抱えているという結果になったが、「利益確定を目的に全部が売却された投信を加えれば、損失を出した投資家は共通KPIよりも少ない」(地方銀行)との指摘が出ている。 2012年末以降のアベノミクス相場で日本株高・円安が進んだのに加え、この間は海外株も堅調に推移しており、長期で投信を保有すれば利益が出やすい環境にあった。金融庁の集計・分析でも「顧客の投資信託の平均保有期間と各販売会社の運用損益率0以上の顧客割合」は、長期保有していると利益を得られやすい傾向を示した。 だから3月末で半数近くの個人が損失を抱えているとしたら、含み益のある投信を解約して別の投信に乗り換えさせることで購入時手数料を稼ぐ「回転売買」の影響を懸念すべきかもしれない。今年は3月にかけて世界的に株価が調整局面にあったから、短期保有の投信は損失が出やすい環境だった。 もちろんその逆もしかりだ。含み損が膨らむのに耐え切れずに売却した投信は集計に含まれていないから、実態以上に良く見えている可能性も否定できない。実際に「利益確定と損失限定の解約は同じぐらいだから、共通KPIは実態に近い」(別の地銀)との声も聞かれた。 ■共通KPIは販売会社を評価する「ものさし」 SNSでは「投信はギャンブル」「タンス預金が正しい」といった投信の商品性そのものを問う声があがっているが、今回の共通KPIはあくまでも販売状況の「見える化」で、販売会社の姿勢を評価する「ものさし」のひとつだ。積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」が象徴するように、金融庁は投信を個人の資産形成の中核商品と位置付けている。 QUICK資産運用研究所が17年12月に約5000人の20~60代の個人を対象に実施した「個人の資産形成に関する意識調査」では、「現在投資をしていない理由(複数回答あり)」の首位は「損をしそうだ(過去に損をした)から」が最多の36.7%だった。販売会社に「顧客本位の業務運営」を促すために設けた共通KPIだが、投信の悪いイメージにつながるようだと、貯蓄から資産形成への流れに水をさしかねない。 ◇金融庁の発表資料はこちら 【比較可能な共通KPI】 ①運用損益別顧客比率 投信(ファンドラップを含む)を保有している顧客について、基準日時点の保有投信の購入時以降の累積運用損益(手数料控除後)を算出し、運用損益別に顧客比率を示す。個々の顧客が保有している投信について、購入時以降どれくらいのリターンを得ているかがわかる。 ②投信預かり残高上位20銘柄のコスト・リターン ③投信預かり残高上位20銘柄のリスク・リターン 設定後5年以上の投信の預かり残高上位20銘柄について、銘柄毎および預かり残高加重平均のコストとリターンの関係、リスクとリターンの関係を示す。中長期的に販売会社がどのようなリターン実績を持つ商品を顧客に多く提供してきたかを確認できる。 (QUICK資産運用研究所 伊藤和之)

著名ブロガーも金融庁職員も熱く語った 「インデックス投資ナイト」盛況

指数連動型運用を志向する個人投資家にとって夏の恒例行事となった「インデックス投資ナイト」が今年は七夕の7日夜に東京・渋谷のイベントハウス型飲食店「東京カルチャーカルチャー(運営はイッツ・コミュニケーションズ)」で開かれた。今回で11回目を迎えたイベントは年々注目度が増し、入場券は即完売。約160人が集まり、満員御礼となった会場を、QUICK資産運用研究所の研究員が突撃取材した。 2時間半にわたるイベントは三部構成。第一部は、たぱぞう氏(米国株投資ブロガー)、水瀬ケンイチ氏(インデックス投資ブロガー)、田村正之氏(日本経済新聞社 編集委員兼紙面解説委員)の3人が対談し、進行役はイーノ・ジュンイチ氏(投資ブロガー)。この数年は米株式相場が絶好調とあって、「米国株投資と国際分散投資、どっちがいいの?」をテーマに議論を交わした。 第二部は金融庁で個人投資家向け意見交換会「つみたてNISA Meetup(通称:つみップ)」を担当する今井利友氏(総務企画局 政策課 総合政策室 金融税制調整官)に対して、参加者が自由に質問。進行役は実行委員長のASK氏(投資ブロガー)が務めた。 第三部は、カン・チュンド氏(晋陽FPオフィス代表)を進行役に、ゆうき氏(投資ブロガー)と個人凍死家テリー氏(投資ブロガー)、山崎元氏(経済評論家)と竹川美奈子氏(ファイナンシャル・ジャーナリスト)の2組がそれぞれ「インデックス投資を継続するためのメンタリティ」の考え方を披露した。 登壇者のブロガーはゴーグルで目を隠したスノーボーダー・スタイルや、カモがネギをしょってくるのを風刺したかぶり物を身につけるなど、ユーモアたっぷりの姿で登場。登壇者からは「ビールを生で3杯ください」「私はワインがほしい」といったお酒の注文が次々と出され、舞台上はくつろぎ感が広がった。 もっとも参加者は登壇者や会場内のスクリーンを凝視しながらメモを取るなど真剣そのもの。知的探究心を満足させるには十分な内容だったようだ。金融庁で積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」の普及促進を中心とした広報活動に携わる女性職員も「内容のレベルは結構高く、自分でも勉強になった」と話していた。 ■「投資はストーリー」「自分のライフスタイルに合った投資を」 登壇者の熱い話に会場からは共感や賛同の意を示す拍手が度々起こった。コメントをまとめた。 「投資はストーリー。自分の投資の軸があれば、多少、運用成績が上下しても動じなくてすむ。動じないために心の中で投資の砦をつくること」「米国株でも国際分散投資でもどちらでもよい。自分の主張を通すために、他人のやり方を批判する必要はなく、多様性の中を生きている者どうし、お互いの意見を尊重すればいい」(たぱぞう氏) 「個別株に投資するには分析の時間が相当必要。自分はその時間を割くことができなかったので、ほったらかし投資ができる国際分散のインデックス投資にたどりついた」(水瀬氏) 「米国株の好調さは、企業経営者が利益を設備投資に回さず株主を重視する『短期経営主義』に支えられている面があり、『追い風参考記録』程度にみておくのがいいかもしれない」(田村氏) 「つみたてNISAなどNISA制度の恒久化に尽くしていきたい」「NISA制度の使い勝手をよくするには個人の非課税限度額の管理をしっかり行う必要があるが、実現にはブロックチェーン(分散型台帳)技術が使える可能性もある」(今井氏) 「自分は相場の上げで利益確定、下げで買いなど現金の比率を大きく調整するが、基本は一度買ったらそのまま保有するバイ&ホールドがおすすめ。長期運用の途中で退場しないためには、経済の仕組みや歴史を知ること、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用を知ることが大切」(ゆうき氏) 「ルールを決めて投資を始めた方は、何があってもそのルールを踏襲すること。そのうえで、興味のある個別株などインデックス投資以外を試すのがあってもいいと思う」(個人凍死家テリー氏) 「人についていってはいけない。自分のリスクは自分だけのもの。仕事の状況、収入、負債など自分の置かれている現状を把握して自分のライフスタイルに合った投資スタイルを見つけていって欲しい。投資方針書を作成するのも効果的」(竹川氏) 「投資額は許容できる損失額を目安に決めるのがいい。例えば、老後に65歳から95歳まで30年(360ヵ月)生きるとして、毎月の生活費が1万円減ってもいいなら360万円の損失が許容できるということ。投資額に対して最悪の場合に3分の1は損するとみなすと、投資可能額は360万円の3倍の1080万円になる」(山崎氏) ■参加者も「新たなつながり」「ホンネで語り合い」 主催者、登壇者、参加者に感想を聞いたところ、こうした交流の広がりを喜ぶ声が目立った。参加者の声をまとめた(名前はブログやツイッターのハンドルネームを含む)。 「本年も関心の高い個人投資家の方々が集まり、刺激的な良い交流の機会になったのではないか。会も盛況で、投資家自身が企画・開催していることに意義があると思うし、チケットが数分で完売になるほど多くの方が参加してくれとても光栄」(実行委員長のASK氏) 「例年以上の盛り上がりになったようだ。女性の比率も上がってきており、世の中的に投資が少し身近になってきたのかもしれない。10年間ずっと裏方の企画・運営をやってきて11年目にして初登壇。登壇者はこんなにも緊張するものなのかを知ると同時に、こんなにも楽しいものなのかと、改めて感じた」(実行委員の水瀬ケンイチ氏) 「実行委員の間でいちばん苦労したのは、インデックス投資をテーマにするマニアックなイベントで毎年違う内容を組み立てること。それでも今年も充実した内容を提供することができ、多くの参加者に楽しんでもらえてよかった」(実行委員のイーノ・ジュンイチ氏) 「実行委員は6人全員がボランティア。おおよその流れは事前に取り決めるが、細かくは決めておらず、本番はどうしても登壇者任せの面がある。今回は登壇者の人柄や巧みな話術でうまくまとまった感が強かった。懇親会もツイッターでは知っていても会うのは初めての方とも話ができ、大変有意義だった」(実行委員のkenz氏) 「いくつか課題は散見されたが、ツイッターやブログ等の反応をみるに、おおむね成功だったのではないか。これもひとえに参加者、登壇者、会場運営の東京カルチャーカルチャーのスタッフ、そして会場に来られなかった多くの参加希望者あってのものと感謝。本業を持ちながらも手弁当で企画を練り上げた、すばらしい実行委員会のメンバーに出会えてよかった」(実行委員のyb氏) 「新たに投資を始めた方の参加が例年以上に多く、投資への関心が増えていることを実感。ここ数年、『インデックス投資が報われた時代』になっているのは素直にうれしい。今後、厳しい相場環境がまたやってくるかもしれないが、そんな時にも投資家、そして自分への支えとなるよう、この会を長く続けていきたい」(実行委員のセロン氏) 「お台場で開催していた時から、チケットを取ろうとしても買えなかった。それが今回登壇者として参加できたのは大変うれしい。壇上のビールはうまさ格別。ついつい話しすぎた。10年の年月を経て、こうして着々と投資が広がり、偏見が薄れていく。私としては米国株をコアとした幅広い投資をこれからも発信していきたい」(たぱぞう氏) 「インデックス投資は本来、派手ではなく地味な分野。それにも関わらず、年々参加希望者が増えているのは、市場平均以上の運用パフォーマンスを追い求めるのが合理的な選択とは言えないとの考えが広がってきたからかもしれない。つみたてNISAの開始で運用コストが下がってきたのも影響している」(山崎氏) 「10年前に比べ、初心者や女性が増えてきた印象を受けた。コツコツ投資を続けるには『自動化(しくみ化)する』『ルール化する』『仲間を作る』のが大事。登壇者の話を聞くだけでなく、資産形成をしている仲間と交流できる機会があるのはよいことだと思う」(竹川氏) 「『株価が下がっているときの方が楽しい』という話をした。市況が悪化した時に株式の比率を上げていく私の投資法に起因しているが、こうしたタイミングを見て株式比率を上下させる手法には理論上の正当性はなく、他人には勧められないので、妻や友人にはつみたてNISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)での国際分散・積み立て・バイ&ホールドの投資を勧めている」(ゆうき氏) 「『かつて投資で後悔するという失敗をした』一人として、話をする機会を得た。これまでと比べて20代、30代の参加者が明らかに増え、インデックス投資、広く言えば資産形成が多くの若人に浸透しつつあるのを肌で感じた。今後、市場を荒波が襲う時もあるかと思うが、そのような時にも多くが集える場として、本会が継続されるのを強く願う」(個人凍死家テリー氏) 「『投資を始めたのは2016年や2017年』として手を挙げた人が30名程度はいたが、初心者ほど、『仲間』を求めていると思う。マニアックではなく片手間でできるインデックス投資がもっとメジャーになってくれば、投資に対する偏見も薄れていくのではないか」(カン氏) 「インデックス投資の本質に迫るテーマ設定だったため、登壇者同士のやり取りがマニアックになり過ぎず、中級者の私にはちょうど良い内容で大変参考になった。『金融庁に何でも聞く』も面白かったが、時間が少し短かった。事前の質問受け付けや会場にいない人からツイッターで質問してもらう、といった形式を採り入れるともっと面白くなるのではないか」(けいのすけ氏) 「今年は投資の続け方・リスクへの耐え方が大きなテーマだった。つみたてNISAを始めた初心者が相場の調整で『もうやめよう』という気分になってしまう懸念がある中、『リスク許容度には経済的と気分的の2つの側面があるとの認識が重要』など、リスクへの向き合い方が語られたのは有意義だった」(安房氏) 「初参加。金融庁開催のつみップとはまた一味違う、有志の方々が開催という『自由度』のメリットを最大限に活かした、まさに『投資家による投資家のための投資イベント』。普段、孤独になりがちな個人投資家らが全国から一同に集まり直接対面し、有識者や著名な方々とも直接交流できるのが大きな魅力。『毎年発売数分でチケット完売』なのも納得」(アキウマレ氏) 「久しぶりの参加。第一部のブロガー対談では二人とも『インデックス投資を勧めている点』や『米国株ブロガーが急速に増え、米国株に少し過熱感を感じている』など、互いの意見に共通点も多く、冷静で客観的な双方の視点は参加者にとって、とても参考になったのではないか」(つばさ氏) 「今回のインデックス投資ナイトは色々な要素が網羅されていて良かった。初心者とマニアの両方を満足させるのは難しいが、その難しいところをなんとかしてみようという運営委員の皆さんの心意気が感じられた。楽しかった」(虫とり小僧氏) 「20代、30代の投資家、女性の参加者が近年で一番多かった。インデックス投資の裾野が広がっていることを実感。11回目ということで、内容が洗練されていた。ブロガー、有識者と司会者のテンポよいかけあいが見事だった」(ファイナンシャルアドバイザーの佐渡玉希氏) 「米国株投資と国際分散投資をそれぞれ実践しているブロガーさんのリアルな話や、金融庁の方の登壇など、工夫を凝らした演出で楽しかった。参加者に女性が増えていたことや皆さんが熱心にメモを取っていたのが印象的」(ファイナンシャル・プランナーの岩城みずほ氏) 「同じテーブルに、会社の確定拠出年金をどう運用するのか勉強するためにインデックス投資家のブログを読み漁り、初めて参加した方が二人もいた。世間一般ではまだまだ投資の普及は広がっていないが、それでも徐々に老若男女問わずインデックス投資が広まってきていると実感」(シオイ氏) 「印象に残ったのは『相場が下落してからその後にどうしようではなく、下落に耐えられるよう前もって準備するのが重要で、例えるなら、地震が起きてからではなくその前から対応しておくのと同じ』という竹川さんの話。話のあと、本当の地震が起きたのにはびっくり」(リバモ氏) 「初参加。20代~30代の参加者が多く、ツイッターやノートなどに真剣にメモをとって考えを学ぼうとする勉強熱心な人が多いと感じた。多種多様な考えがあるのを改めて感じ、他人の投資手法を否定する人が少なくない中、自分自身が満足できる損益がでていればそれでいい、ということを再認識した」(ずずず氏) 「初参加だったが開場直後にほぼ満員となっていてびっくり。女性の参加者が意外と多く、登壇者が遠慮なくお酒を飲んでいたのが面白かった。金融庁の人がこのようなイベントでメッセージを出すのは素晴らしい取り組みだと思う」(YUMA氏) 「老若男女が普段の属性をすべて忘れて、投資への関心というただ一点を共通項として存分に語り合う大規模なオフ会。参加者同士の間でもブログの匿名ハンドルネームや本名で紹介しあい、お互いが交流を深めていく。普段は話しにくい『投資』について、1年分の熱意を皆が存分に吐き出せた7月の夜だった」(WATANKO氏) 「インデックス投資のブログを昨年から始めた。多くのインデックス投資家との交流を深めたくて参加。自分と同じ個人投資家の話を生で聞けたのが印象的だった。有識者による説明とは目線の違う、投資家が今まで培ってきた経験を聞くことができる機会はなかなかなく、とても有意義」(もことん氏) 「東京以外では投資家が集まる大規模なイベントはなかなかない。全国の投資家と意見交換ができる貴重な場のため可能な限り参加。ツイッターやブログで面識のある方と実際に交流することができて大変有意義。第一部の対談の中での『自身の投資法を主張するために他人の投資法を批判する必要はない』というコメントが最も印象的」(くは72氏) 「お酒を飲みながら金融商品について自由に語るというのは、金融機関の後ろ盾がなくタブーのない運営スタイルだからこそ実現できると感じた。参加者の投資経験が本当に幅広く(半数以上がリーマン・ショック未経験者)、色々な先輩投資家と気軽に意見交換ができる貴重な機会となった」(眼鏡小僧氏) 「『インデックス投資に端を発した長期投資の裾野の拡がり』を感じた。参加者に若い人、女性もたくさんいて、『普通の人』が増えてきたような気がする。異なる投資スタイルの人に対しても、お互いを理解できるマインドが醸成されてきているのを感じられてうれしかった」(NightWalker氏) 「初参加。私の場合、投資・資産運用に関する情報収集は書籍やネットが中心で、誰かと会うことはなく、半ば孤独の状態。友人や職場の同僚と気軽に話せる話題ではなく、ましてや対面での情報交換や議論の機会は皆無。多くの参加者や運営者、登壇者の方々と交流でき、新たなつながりを持てたのに満足」(ザリガニ氏) 「初参加。雰囲気が想像以上にカジュアルなのが一番印象的。登壇者の方がお酒を飲みながらも真面目に投資について語らう。親近感を感じながらしっかり勉強させてもらった。懇親会でも、実行委員や登壇者の方とフランクに話ができたうえ、長期投資を志す個人投資家の皆さんと交流が図れた」(青井ノボル氏) 「2016年以来2回目の参加。たぱぞうさんの説明は説得力があった。水瀬さんは最悪の事態を少しでも回避できるように単一国投資にはしないということで、自分もビビリなのでこの意見に大きく賛同。平時にきちんと投資方針書を作成し、『自動化』『ルール化』『仲間をつくる』という竹川さんの説明は自分に突き刺さった」(Hiro_san氏) 「初参加。登壇者、参加者ともにお酒を飲みながらということもあり、一方的に講演を聞くのではなく、参加者も隣同士で自然に会話が始まり、特に誰に気遣うこともなく、ホンネで語り合えるいい機会だと思う」(ファイナンシャル・プランナーの横田健一氏) 「現在25歳。大雨で乗車予定の夜行バスが運休になり、予定の2倍近くの出費になったけど、それだけの価値があった。日常ではなかなか『投資の話』ができる相手や機会がなく、孤独感を抱きがちなので、インデックス投資をしている同好の士に会うことができたので大満足」(ミドノン氏) 「登壇者や参加者のみなさんの投資に対する考え方を学び、自分の投資について客観的に見つめ直すいいきっかけとなった」(30代養護学校職員) 「4~5年前に最初に参加した時より『普通』の方や『投資マニア』ではない方が増えたように感じた。女性も増え、カジュアルに参加しやすい雰囲気だった。コツコツ買えば、年に一回リバランスをする程度で済むのがインデックス投資。年に一回このような会で楽しく情報収集するのを楽しみにしている」(おぱる氏) ▼インデックス投資ナイトのサイトはこちら (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、望月瑞希)

投信、相性の良い組み合わせは? 6月末時点の「相関係数」一覧

複数の投資信託に分散投資する際、有効な組み合わせを探すのに便利なのが「相関係数」と呼ばれる統計指標だ。投資対象で区分した「新QUICK投信分類(大分類)」について、6月末までの1年間(日次データ)と10年間(月次データ)の相関係数をまとめた。 複数のファンドに投資する場合、値動きの傾向が違うタイプを組み合わせると分散投資の効果が出やすい。例えば、投資家のリスク選好局面で買われやすい株式に投資するファンドと、逆に売られやすい債券に投資するファンド。この両方を持っていれば反対方向の値動きが打ち消しあって、全体のリスク(価格の振れ幅)を抑えることができる。 有効なファンドの組み合わせは「相関係数」を使うと探しやすい。相関係数は投資対象が異なる2つのファンドが似た値動きをするほどプラス1に近づき、逆の値動きをするほどマイナス1に近づく。ゼロなら値動きの関係がなかったことを示す。相関係数が低いファンド同士を組み合わせると、全体の価格変動リスクを低減しながらリターン向上を狙う分散投資効果が期待できる。 日次1年の表の「先進国株式型」を見ると「国内REIT型」との相関が0.22と低いが、「グローバル株式(先進・新興複合)型」との相関係数は0.95と高い。「先進国株式型」の投信を保有していて、もう1ファンド購入を検討している場合、「グローバル株式(先進・新興複合)型」を購入するよりも「国内REIT型」を組み合わせた方が、よりリスクを小さくすることができると言える。 (QUICK資産運用研究所)  

変わりゆく「伝統的4資産」 企業年金の運用、グローバル区分の概念に

企業年金を運用する際の資産配分で国内と海外という地域の区分を取り払い、グローバル株式、グローバル債券として管理する傾向が強まっている。日銀の大規模な金融緩和が長引き、国内債券の収益低下に歯止めがかからない状況が背景にあるようだ。JPモルガン・アセット・マネジメントの調査によると、グローバル区分を採用する企業年金の比率は増加傾向にあり、2018年の調査では2割を超えた。 ■「伝統的4資産」の概念に変化、「代替投資」シフト鮮明 資産運用では投資対象を商品と地域から①国内株式②国内債券③海外株式④海外債券--の4つに区分するのが一般的で、この4つが「伝統的資産」と位置付けられている。一方、インフラ、実物不動産、不動産投資信託(REIT)、ヘッジファンド、コモディティといった伝統的資産以外の対象は「オルタナティブ(代替投資)」と呼ばれる。 JPモルガン・アセットが18年3~6月に国内の確定給付年金(DB)を中心に123の企業年金を対象に調査(2017年度企業年金運用動向調査)したところ、資産配分・資産管理で「伝統的資産」の概念が変化していることが明らかになった。 グローバル区分の採用が増える一方、代替投資の配分比率が高まる傾向も鮮明だ。企業年金があらかじめ計画する資産配分のベースで、代替投資の配分比率は17.1%と、08年度の調査開始以来で最高となった。     代替投資は株式や債券とは異なるリスク・リターン特性を有するため、運用効率の向上が図れるとして、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用資産の一部に組み入れ始めるなど、年金運用で活用が目立ってきた。 ■企業年金の運用は保守的で、予定利率も低下傾向 企業年金の運用は元来、予定利率を確実に達成する保守的な運用に徹し、リスクを取って大きく稼ぐのを目指す運用とは無縁だった。ところが国内の超低金利の長期化で、国内債券の収益が悪化し、企業年金の予定利率も低下傾向が続く。調査対象企業年金の平均で7年前の約2.8%から足元では約2.3%まで低下した。 グローバル区分採用や代替投資シフトは、予定利率を引き下げても国内債券を軸にした運用では達成するのは難しいという状況を反映している。JPモルガン・アセットは「現在は米国を中心とした世界的景気拡大の後期にあるが、いずれは景気後退のサイクルに入るので、運用難が続くことを踏まえる必要がある」と指摘する。企業年金の資産配分や資産管理の考え方も変化を迫られている。 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

ESG投資の浸透で変わる企業経営 真価を問うアクティブ運用

企業によるESG(環境・社会・企業統治)重視の経営が熱を帯びてきている。大きなきっかけは、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が3つのESG指数に連動した日本株運用を2017年から始めたことだ。運用資産額が160兆円を超える世界最大規模の機関投資家は、他の投資家の運用に与える影響も大きく、投資対象となる企業にとっても軽視できない。 ■「企業経営とESGは一心同体」「真価の評価はアクティブ運用」 「いまや企業経営とESGは一心同体」。日本電産の永安正洋IR・CSR推進部長は、6月下旬に都内で開かれたESG投資セミナーのパネルディスカッションに登壇し、「GPIFのESG指数の評価ポイントである環境負荷管理や労働者の人権擁護、企業統治の確立などに取り組むのは会社として当たり前の最低ライン」と強調した。 永安氏は「ESG全般を考慮に入れたGPIFの総合型ESG指数の採用銘柄選定基準は企業のリスク管理面の評価が軸」と分析し、「企業がグローバルな社会的課題に対しどのように取り組み、ステークホルダーと呼ぶ利害関係者すべて(顧客、取引先、従業員、株主、地域コミュニティ、地球環境)が満足するよう貢献していくのかという将来を含めたESG活動の真価を評価するのは、(指数との連動を目指す)パッシブ運用ではなく、(運用担当者の采配で投資する)アクティブ運用の役割」と説いた。 GPIFのESG指数の採用銘柄候補について「現状では時価総額の大きい500銘柄に限定されており、東証1部に上場する約2000社のうち、4分の3はESG指数に採用される可能性がない」とも指摘した。 ■「本業で社会的課題を解決するのがESG」「キーワードはインクルージョン」 従来のCSR(企業の社会的責任)やSRI(社会的責任投資)が企業の社会的な貢献活動を評価する側面が強かったのに対して、ESGはあくまで本業そのもので社会的課題の解決をするという考え方が浸透してきた。製造業だけにとどまらず、小売業・金融業も同じだ。 一緒に登壇した丸井グループの加藤浩嗣IR部長兼経営企画・ESG推進担当は「国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)の中で示されている『誰も置き去りにしないで、すべての人が幸せを感じる』という意味の『インクルージョン(包摂)』に着目し、インクルージョンを事業経営のキーワードにしている」と説明した。 実際、同社が発行した統合報告書(共創経営レポート2017)の中では「インクルージョン」「インクルーシブ」という言葉が何度も繰り返し出てくる。具体例として、日本人女性の足のサイズをほぼ100%カバーするようサイズを揃えた履き心地の良い靴の販売や、既存の金融機関が対応しきれていない若者向けの金融サービスなどを挙げ、「インクルージョンを本業で展開し、消費者需要を掘り起こすのにつなげている」という。 ■欧州では自主的な「責任投資」が「義務」化への流れも 高崎経済大学の水口剛教授はパネルディスカッションに先立って「世界のESG投資の動向と今後の展望」というテーマで基調講演。「世界では官民でESG投資を推進する動きが目立ってきている」と指摘し、「日本では例えば、環境省が主催し、金融業界首脳を交えてESG金融のあり方などを議論している『ESG金融懇談会』が近々、提言をまとめる見通しになっている」と加えた。 欧州でのESG投資はこれまで機関投資家による自主的な「責任投資」に委ねられていたが、機関投資家によるESGの考慮や、投資アドバイザーが顧客にESGを重視するか否かを確認するのを「法制として義務化」しようとする動きも出てきたという。 今回のセミナーを主催した三井住友アセットマネジメントは、ESG評価を基にしたアクティブ型投資信託「三井住友・日本株式ESGファンド」(79312182)の運用を2月から始めた。信託報酬は税込み年率1.1664%、販売手数料の上限は税込みで3.24%。 運用の特色として、ESGに主体的に取り組む企業は中長期的には企業価値が高まっていくことを見込んで銘柄を発掘し、アナリストの独自分析で、今後ESG評価が高くなると期待される日本企業に投資する。6月末まで4カ月間のリターンはマイナス0.9%で、配当込みTOPIX(東証株価指数)のマイナス1%をわずかながら上回った。 セミナーは投信の販売会社を中心に120人近くが参加した。ESGに取り組んでいる企業の声を直接聞くことで、企業の経営や意識が大きく変わりつつあることを実感したようだ。 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

投信販社の評価に共通3指標 金融庁、コストや収益を「見える化」

金融庁は29日、金融機関の投資信託販売における「顧客本位の業務運営」を客観的に評価できる共通の成果指標(KPI)を発表した。これまでは一部の販売会社が自主的に設定・公表してきたため、投資家が比較するのが難しかった。金融庁が長期的にリスクや手数料に見合ったリターンがどの程度かなどを「見える化」した3つの指標を導入したことで、今後は共通KPIと自主的なKPIの両方を総合的に判断して販売会社を評価することができる。 共通KPIは以下の通り。金融庁は販売会社が毎年3月末を基準として年次更新で公表することを期待している。 【比較可能な共通KPI】  ①運用損益別顧客比率 投信(ファンドラップを含む)を保有している顧客について、基準日時点の保有投信の購入時以降の累積運用損益(手数料控除後)を算出し、運用損益別に顧客比率を示す。個々の顧客が保有している投信について、購入時以降どれくらいのリターンを得ているかがわかる。  ②投信預かり残高上位20銘柄のコスト・リターン  ③投信預かり残高上位20銘柄のリスク・リターン 設定後5年以上の投信の預かり残高上位20銘柄について、銘柄毎および預かり残高加重平均のコストとリターンの関係、リスクとリターンの関係を示す。中長期的に販売会社がどのようなリターン実績を持つ商品を顧客に多く提供してきたかを確認できる。 共通KPIによって、販売会社が高コストの投信ばかりを売っていないか、リスクに見合ったリターンが出ている投信を販売しているかなどがより鮮明となる。販売会社は従来以上に「顧客本位の業務運営」の実践が求められそうだ。 ◇金融庁の発表資料はこちら 投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIについて (QUICK資産運用研究所)

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