金との組み合わせ投資は有効か? 相関係数で検証

投資資産としての「金」は、地政学リスクや金融不安が高まった時などに「安全資産」として買われやすい。独特の値動きが特徴で、複数の資産に分散投資するバランス型の投資信託に組み入れられるケースも多い。実際に組み合わせ投資が有効か検証してみた。 まず調べたのは、各資産で運用する国内公募追加型株式投信と金(円ベース)の相関関係(図表1)。相関係数はプラス1からマイナス1までの値をとり、プラス1に近づくほど似た値動き、マイナス1に近づくほど逆の値動き、ゼロに近づくほど値動きの関係がなかったことを示す。 過去15年間の平均的な値動きを使って比べたところ、どの資産も金との相関係数は低めだった。例えば、国内株式で運用する投信と金の相関係数は0.16。ゼロに近く、値動きの関係性がほとんどなかった。 次に国内株式と金を単独で運用した場合と、それぞれ1対1の割合で組み合わせて運用した場合をチャートにしたのが図表2。過去15年で国内株式は80%、金は236%値上がりし、組み合わせ投資のリターンはそれらを足して2で割った158%だった。 一方、チャートの形状を見ると、組み合わせ投資の値動きが国内株式や金よりもややなだらかなことが分かる。価格変動リスク(標準偏差・年率)を見ると、組み合わせ投資は13.08%。国内株式(17.85%)と金(16.50%)の平均(約17.18%)よりも4.1ポイント低くなった。つまり国内株式や金に単独で投資するよりも、組み合わせて投資したほうがリターンをある程度維持しつつ、リスクを抑えることができたと言える。 (QUICK資産運用研究所 笹倉友香子)

相関係数を使って分散投資 4月末の投信分類別一覧

複数の投資信託に分散投資する際、有効な組み合わせを探すのに便利なのが「相関係数」と呼ばれる統計指標だ。投資対象で区分した「新QUICK投信分類(大分類)」について、2019年4月末までの1年間の相関係数(日次データで算出)と10年間(月次データ)の相関係数をまとめた。 複数の投信に投資する場合、値動きの傾向が違うタイプを組み合わせると分散投資の効果が出やすい。例えば、投資家のリスク選好局面で買われやすい株式に投資するファンドと、逆に売られやすい債券に投資するファンド。この両方を持っていれば反対方向の値動きが打ち消しあって、全体のリスク(価格の振れ幅)を抑えることができる。 有効なファンドの組み合わせは「相関係数」を使うと探しやすい。相関係数は投資対象が異なる2つのファンドが似た値動きをするほどプラス1に近づき、逆の値動きをするほどマイナス1に近づく。ゼロなら値動きの関係がなかったことを示す。相関係数が低いファンド同士を組み合わせると、全体の価格変動リスクを低減しながらリターン向上を狙う分散投資効果が期待できる。 (QUICK資産運用研究所)

楽天証券、IFA経由で半年間に935億円流入 提携先は92社1000人超

楽天証券が手掛ける独立系金融アドバイザー(IFA)事業が順調に拡大している。提携するIFA法人は3月末時点で92社と半年間で10社増え、IFA法人に所属する外務員は約120人増の1092人にのぼる。同時点のIFA経由の預かり資産残高は3821億円となり、半年間の純資金流入額は935億円に達した。 ■カンファレンスで表彰 楽天証券が17日に都内で開いた「楽天証券IFAカンファレンス」は、同社と提携する200人近くのIFAが参加した。年2回開催しており、今回が20回目。同カンファレンスでは実績に基づきIFA法人と個人を表彰するのが恒例だ。 半年間の売り上げ(受取報酬)総額と預かり資産残高増加額の上位を対象とした「ベスト・パフォーマンス賞」「ベスト・アセットグロース賞」は、ともにアイ・パートナーズフィナンシャル、ファイナンシャルスタンダード、CSアセットの3社が法人部門の上位3位を占めた。内部管理体制に優れたIFA法人を表彰する「ベスト・コンプライアンス賞」は、GAIAが最優秀賞に輝いた。 各賞の法人部門の順位は下記の通り。 <ベスト・パフォーマンス賞> 第1位  アイ・パートナーズフィナンシャル 第2位  ファイナンシャルスタンダード 第3位  CSアセット <ベスト・アセットグロース賞> 第1位  ファイナンシャルスタンダード 第2位  アイ・パートナーズフィナンシャル 第3位  CSアセット <ベスト・コンプライアンス賞> 最優秀賞 GAIA 優秀賞  SHIPS 優秀賞  FPアソシエイツ&ファイナンシャルサービシズ ■人生100年時代、IFAの役割高まる 各賞で第1位(最優秀賞)の法人に受賞に至った背景を聞いたところ、アイ・パートナーズフィナンシャルが「所属IFA数が146人(19年3月末時点)と業界トップクラス」、ファイナンシャルスタンダードは「月5回程度の顧客セミナーや相場を語らないアドバイスの徹底」、GAIAは「兼務ではない専任のコンプライアンス担当者の配置」などを挙げていた。 金融庁は「高齢社会における金融サービスのあり方」について、具体的な原則策定や制度設計のとりまとめを進めており、証券会社や銀行など特定の金融機関に所属しないIFAが果たす役割についても議論にのぼっているようだ。「人生100年時代」を迎え、IFAの個人資産運用における役割が高まっている。楽天証券は昨年7月にIFAを養成するビジネススクールを開講するなど注力しており、個人の資産運用にも変化をもたらしそうだ。 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

ラップ口座特集② 大和「お金に色をつけていく」

個人投資家が証券会社や銀行などの金融機関に資産運用をお任せする「ラップ口座」――。「ラップ口座特集」では、各金融機関のラップ口座について、企画・運営の責任者に特徴を聞く。今回はファンドラップの新しいサービスを次々と生み出し、内容の充実を進める大和証券のラップ・ファンドビジネス部長、参与の間宮賢氏に話を聞いた。 ■お金が成長していくプロセスを提供 当社は3種類のファンドラップがある(図1)。契約金額に差はあるが、松竹梅のような金額によるすみ分けではない。お客様のニーズに合わせたものだ。ファンドラップは、お金が成長していくプロセスを提供するサービス。どういうお客様が何のために運用するのか。お金に、お客様のニーズに応じた「色」をつけていく。その色に合った商品を提供するために3種類のファンドラップを揃えている。 例えば、「ファンドラップオンライン」はお客様が自ら考えて決断した方針に基づき運用するための道具。インデックス(指数連動)型ファンドのみで運用し、費用 は一律で1%(年率・税抜き)だ。月々1万円から積み立て投資もできる。 「ファンドラッププレミアム」は、一人ひとり異なるニーズに応えられるよう、高いカスタマイズ機能を持たせた。例えば、投資対象を選べるようにしたり、リスク水準によって費用に差をつけたりしている。「ファンドラップ」もさらに利便性の高いものに刷新する予定だ。 ■運用の結果にこだわる 運用においても、利益という「色」をつけることにこだわっている。少しでも利益が出るようにファンド1つ1つを精査し、半年に1回は入れ替えをする。 2017年度はすべての対象資産(分類)でベンチマーク(運用指標)を上回ったが、昨年度はベンチマークに勝てない資産もあった。ファンドラップは費用がかかるので、各ファンドは最低でもベンチマークには勝たなければならない。運用の結果にこだわる姿勢は当社の特徴の1つだ。 ファンドの選定は、グループ会社である大和ファンド・コンサルティング がファンドの運用の安定性、継続性など個別ファンドを深堀りした調査する。大和証券側では、ファンド間の相性や関連性などから総合的に投資の判断をする。どのファンドを組み入れるか、両社の意見が対立することもあるが、最適な選択のために議論を重ねる。 ファンドを採用した後もかなり細かくモニタリングしている。運用がマイナスの時はなぜマイナスなのかを常に検証する。オルタナティブ運用(ヘッジファンドなど、株式や債券といった伝統的な資産とは異なる資産での運用)では、一定のリスク内でパフォーマンスは常に預金金利のプラス2~3%を目指している。 ■買ってもらっておわりでない。買ってもらってからがスタート ファンドラップを長く保有していただくためには、運用はもちろんのこと、資産を当社に預けてもらうための裏側(体制)をしっかりするべきだと考える。当社はファンドラップを保有するお客様へのフォローアップを徹底している。四半期ごとの現状報告に加え、年に1回は面談する。当たり前のことだが、買ってもらっておわりでない。買ってもらってからがスタートだ。 費用については、いくらが妥当な水準かは難しい。ただ、ファンドラップの投資ファンドは、国内外の選りすぐりの運用会社が運用しており、運用以外の管理やサポートにも手間をかけている。お客様が「なぜ損しているのに費用をとられるのか」という疑問を抱いた時にしっかりとした答えができる透明性のあるサービスであることが重要だ。 ■お金に対するニーズを満たす ファンドラップのオプションを強化している。サービスをデコレーションのように増やしていくだけでなく、最適なサービスを選べる機能を付加することが大事。一人ひとりのお金に対するニーズを満たし、お客様と深く関わることが理想だ。 ファンドラップの資産から一定金額を定期的に換金する「定期受取サービス」は多く利用されている。お客様があらかじめ指定した寄附先に寄附する「寄附サービス」もある。 「ファンドラッププレミアム」において相続対策をサポートする「相続時受取人指定サービス」 では、運用する人(被相続人)と資金を受け継ぐ人(相続人)、双方の意思を尊重する。被相続人に万が一のことがあった時は、ファンドラップの資金を現金化して相続人に渡す。相続人によってお金に対する考え方は違う。一度現金化することで、相続人に資金の状況を整理してもらう。 これらのオプション・サービスはすべて無料。お客様が使いたいと思ったサービスを自由に使っていただく。投資目的に応じて最大5つの運用口を持てるが、運用口は当社が初めて取り入れたサービス。これからもお客様のニーズに応じた新しいサービスを提供したい。 (聞き手:QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

ラップ口座特集① 野村「ファンドラップは『商品』ではなく『サービス』」

個人投資家が証券会社や銀行などの金融機関に資産運用をお任せする「ラップ口座」――。大事な資産の運用を託された金融機関は顧客に運用の目的や運用期間などを聞き、目標とするリターンやどの程度リスクがとれるかを診断。それらに基づき、顧客に代わって投資信託で資産運用をする。 ラップ口座は金融機関や契約するコースによって運用の仕方や費用などに差がある。契約には最低でも数百万円が必要な商品が多く、敷居が高いと感じる人も少なくない。「ラップ口座特集」では、各金融機関のラップ口座について、企画・運営の責任者に特徴を聞く。 第1回は国内でラップ口座での預かり資産額が最大規模の野村証券。同社でラップビジネスを主幹する投資顧問事業部の能見哲理部長に話を聞いた。 ■「商品」ではなく「サービス」 当社が提供するラップ口座は大きく分けて2つ。「野村ファンドラップ」(以下、ファンドラップ)と「野村SMA(エグゼクティブ・ラップ)」(以下、SMA)だ。(図1 ) 最も重要なのは、ラップ口座が「商品」ではなく「サービス」である点。スポーツに例えると、株式や投信などの金融商品は「ゴルフのドライバーショット」で、ラップ口座は「カーリング」に似ている。前者は飛距離というパフォーマンスを追求するが、後者は円にどれだけ正確にストーン(石)を置けるかで勝敗が決まる。 ラップ口座はお客様が許容できるリスクの範囲内で、期待するリターンにより近づけることが求められる。期待リターンから大きく上回るでもなく、ましてや大きく下げてはならない。このプロセスが円に向かってストーンを正確に投げていくカーリングに例えると分かりやすい。 カーリングではストーンを円の中心に置くためにチームで何度も話し合う姿が見られるが、ラップ口座でも同じ。お客様の資金がどういう性格なのか、どう使いたいのかを常に話し合い共有する。運用期間や許容できるリスクに変化はないかなど様々な要素を考慮した上で期待リターンの実現に向かって、長い時間をかけてサポートしていく。そういう意味で、「商品」ではなく「サービス」といえる。 ファンドラップのコストが高いとの指摘も一部あるが、コストに見合ったきめ細かい「サービス」を提供していると思う。 ■目標の資産配分比率を管理 ラップ口座の特徴として、2つのリバランス機能がある。3ヵ月毎に行う「定期リバランス」とマーケットの変動に応じて適宜行う「上下限リバランス」だ。ファンドラップは2つのリバランス機能があり、SMAは「上下限リバランス」のみ。リバランスとは、お客様の目標の資産配分が価格変動によりずれてしまった場合に、元の配分比率に戻すことを指す。 リバランス機能の効果について、リターンは投資を開始したタイミングによって結果がまちまちである。しかし、リスクは「定期リバランス」する方が確実にコントロールできることが実証されている。 「上下限リバランス」は、お客様の目標の資産配分比率においてあらかじめ上限と下限の値を決めて、その範囲を超えた時に目標の資産配分比率に戻す売買を行うしくみ。 図2のように国内株式の比率が上限に触れた際は、売買で国内株式の配分比率を下げる。一方で、配分比率が下限まで行った時は売買で国内株式の配分比率を高める。例えば、リーマンショックのような暴落の際は株式の配分比率が急激に下がるので、それを目標の配分比率に戻す。これは、ナンピン買いのような効果があり、ファンドラップのパフォーマンスには大きな影響を与える。個人投資家の多くは株価が急落した場合、積極的に株式を下値で購入する事は難しいが、上下限リバランスはこれをカバーできる機能と言える。 ■運用資産、そのまま相続人に ラップ口座を保有するお客様はまとまった資金のある退職世代や高齢者が多い。当社では、人生100年時代に向けたサービスの充実を図っている。その対応策として、ラップ口座では「定時定額払戻し」のオプションがある。毎月か隔月(奇数月)の払い戻し頻度を選択し1回あたりの払い戻し金額を設定して、運用資金を取り崩していくサービスで2018年3月から導入した。 「目的別口座」も人気があるオプションの1つだ。お客様自身の生活費、孫の教育費、趣味のための資金といった使い道に応じて最大8口座まで契約が可能。各口座に「目的」を上限20文字まで登録でき、定期運用報告書の表紙に記載するサービスもある。 さらに、「遺言代用信託」を設定したうえでラップ口座(SMAのみ)での資産運用ができる。当初の契約者(第一受益者)が死亡した際、ラップ口座の運用資産は遺産分割協議の対象外となり、あらかじめ定めた相続人(第二受益者)に引き継ぐことができるサービス。3カ月ごとの定期運用報告書は第一受益者と第二受益者の双方が確認でき、追加の手数料はかからない。 また、野村の投資一任情報誌「ラップ-アイ」を2017年10月より年1回程度発行している。お客様アンケートに寄せられた声をもとにサービス内容の改良に努めている。お客様のリスク水準を5段階から7段階に細分化したり、少額の契約者でも為替ヘッジの有無を選べるようにしたりした。今後もお客様の意向に沿った提案と運用を徹底していく。 (聞き手:QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

コモンズ投信、伊井社長「投資もモノからコトへ」(投信の直販NAVI)

投資信託の選び方や買い付け方法が多様化している。金融機関の窓口でじっくり相談しながら選ぶ人もいれば、インターネットでサクッと買う人もいる。運用会社から直接購入するのも手段の1つ。投信を直販している運用会社は投資理念や顧客との接点づくりなどに特色があり、それに共感したいわばファンのような顧客を引き付けている。 「投信の直販NAVI」では、ファンドを顧客に直接販売する運用各社の思いや特長を掘り下げていく。初回を飾るのは、2007年に設立された「コモンズ投信」。09年1月に公募投信「コモンズ30ファンド」(9N311091)の直販を始め、2年後に銀行や証券会社といった金融機関を通じた取り扱いも開始した。 現在直販しているのは、「コモンズ30ファンド」と「ザ・2020ビジョン」(9N31113C)の2本。静岡銀行などを通じて販売している「コモンズ30+しずぎんファンド」(9N31114C)を含めると、同社が運用する公募投信は3本で、純資産総額(残高)は合計198億円(3月末時点)。私募投信を含めた運用資産残高合計は303億円(同時点)。 昨年に発表した運用損益別の顧客比率(18年3月末時点)では、顧客の約98%が含み益だった。金融庁のまとめによると、コモンズ投信は昨年末までに同比率を公表した96金融機関の中で含み益の顧客割合がダントツに高かった。創業メンバーの1人で代表取締役社長を務める伊井哲朗氏に話を聞いた。 コモンズ投信・伊井哲朗社長 ■日本に長期投資の文化を ――コモンズ投信の根っこにある思いは。 「『自分たちが買いたくなるような商品を作りたい』と集まったのが創設時のメンバーです。目指したのは、本格的な長期投資のファンドでした」 「企業の経営者は何十年も先のことを考えて経営をしています。四半期などの足元だけ見ているわけではありません。一方で、日本には長期投資の文化がない。経営者と同じ時間軸で将来のビジネスを考え、後押ししていく投資家がいなかったわけです。それなら長期投資のファンドを作ろうということで、生まれたのがこのファンドです。著名な尊敬する経営者の方々もそろって賛同してくれました」 ――個人向けにした狙いは。 「国内の機関投資家は、それほど長期の投資ができません。運用成績を四半期ごとに開示するため短期的な成績を重視する傾向があり、投信自体もテーマ型のファンドが主流でやはり短期的な成果の追求になっています。経営者と同じ長期の時間軸で資金を出せる投資家として、行き着いたのが個人の資産形成のための資金です。欧米では確定拠出年金(DC)の仕組みが定着し、個人による長期投資の文化が根付いています」 「創業当時は個人が投信で長期投資する風潮や現役世代が活用しやすい税制優遇などがなく、気軽に資産形成できる環境がなかった。お客さまの長期的な資産形成を目指して投信を取り扱ってくれる販売会社もなかったので、それなら自分たちで資金を集めよう、日本に長期投資・積み立て投資の文化を作っていこうと思い立ちました」 ■「生産者の顔が見える」直販 ――直販の魅力は何ですか。 「生産者(=運用者)の顔が見えて、思いが伝わりやすい点です。農家で野菜を育てた人から直接買うのと同じです。スーパーに並んだものを買うよりも、生産者から少し土がついたくらいの野菜を手渡しされるほうが、安心しておいしく食べられるでしょう」 「ただ、いい投信を買うだけではお金は増えません。いかに長く保有し続けるかが大事です。生産者の顔が見えず、中身がよくわからないファンドは、価格が下がった時に持ちこたえられない。直販なら中身が見えやすく、生産者の思いが直接伝わりやすいので、長く続けられると思います」 ――長期保有のために工夫していることは。 「ひとつはディスクローズ(情報公開)です。セミナーなどで顔を合わせて話をしたり、月次レポートをメッセージ性のある内容にしたりといった工夫をしています。投資先の企業経営者が参加するセミナーもあるので、投資家と経営者がお互いの声を聴ける貴重な機会にもなっています」 ■寄付を通じた社会貢献活動も ――そのほかに顧客満足度を高める取り組みは。 「どの業界でも、消費者の心をつかむために『モノ』から『コト』へサービスを変化させています。ところが、金融業界では、いまだに『モノ』に関する議論ばかり。本来、投資を通じていろんな気づきや学びがあるはずです。単に『もうかればいい』というわけではなくなってきている。投資という行為そのものが『コト』消費と認識されれば、長く投資を続けるきっかけになると考え、様々な活動をしています」 「2010年から始めた『こどもトラスト』は、お子様の名義でファンドに投資できるサービスです。夏休みや春休みなどには、親子で参加できるお金の教室や寄付の教室などを開催し、社会にお金がどう回っているのかを学びます。親子でお金や投資に向き合うことで、投資を続けようという気持ちも強くなります」 「また、直販を始めた当初から続けている活動のひとつが寄付です。直販の売り上げの1%程度を非営利団体などの社会起業家や障がい者スポーツの団体に寄付するプログラムで、実際にその活動の場にファンドの保有者の方々と足を運ぶことがあります。最初のころは寄付することに対してネガティブな声もありましたが、今では女性やシニア世代を中心に関心が高いです。投資を通じて社会貢献しているという気持ちが長期投資につながるのではないでしょうか」 ■約8割が積み立て利用、ほとんどが含み益 ――直販の顧客属性は。 「直販口座を年代別に分けると、6人に1人が未成年。割合として多いのは40、50代の働く世代で、最近は人生100年時代とさかんに言われるようになったせいか、60歳以降のシニア層の新規申し込みも目立ちます。僕は、親族にも積み立ては一生やり続けるものですと言っています」 ――他の直販会社と比べても含み益の顧客割合が高いです(図1)。 「注目してほしいのは、含み益が10%以上の顧客比率が多いことです。この好成績の秘密は、長期保有と積み立て投資にあります。投資期間が長いほど含み益の顧客割合は多くなっています。また、直販の顧客は79%が積み立て投資をしていて、それがこのような成果につながったと考えています」 <関連サイト> ◇コモンズ投信 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

金融庁の本気度示す「つみフェス2019」 遠藤長官は強歩大会の前に登壇

金融庁が20日午後に東京・赤坂のイベント会場で開いた「つみたてNISAフェスティバル(#つみフェス2019)」は、緑色の服や小物を身に着けた約250人の個人投資家が集まった。積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」の普及を通じて、国民の安定的な資産形成を推進する金融庁の肝いりイベントも今年で3回目。田中良生・内閣府副大臣や金融庁の遠藤俊英長官が登壇し、個人投資家との交流を深めた。 <参加者の内訳> (性別)男性:73%、女性:27% (年代別)20代:14%、30代:36%、40代:31%、50代:19% (投資経験)なし:8%、3年未満:35%、3年以上:54%、過去に投資していたが今はしていない:1% ■田中副大臣「まいた種が豊かに実ってほしい」 最初の挨拶に立ったのは田中副大臣。「グリーンはつみたてNISAの公式キャラクター『つみたてワニーサ』」の色であると同時に、春の芽生えを感じさせる」と語り、「私もつみたてNISAを始めたところだ。まいた種が芽吹いて将来、豊かに実ってほしい」とつみたてNISAを活用した資産形成の広がりに期待を寄せた。 続いて、投資教育家として著名なファイナンシャル・ヒーラー(ヒーラーは「癒し」の意味)の岡本和久氏が基調講話に立ち、お金は汚いものではなく「感謝のしるし」と諭した。具体的な投資先については世界全体の株式を対象にしたインデックス投資を勧めた。 背景として、ノーベル経済学賞受賞の学説であり、現時点での株式市場には利用可能なすべての新たな情報が直ちに織り込まれているため、株価の予測は不可能としてインデックス運用の合理性を説明する「効率的市場仮説」などの専門的理論を紹介した。 ■遠藤長官「顧客本位は収益追求とのバランスの問題」 参加者から事前に募った質問を5つにまとめ、「長官に聞いてみよ~!」として、ファイナンシャル・プランナーのカン・チュンド氏(しんようFPオフィス代表)が遠藤長官にするどく切り込んだ。 (質問1)「つみたてNISA」のメリットを教えてください! (質問2)金融機関は、顧客本位の業務運営を怠っていた? (質問3)投資が当たり前になるような土壌を作れば投資家が増える? (質問4)幼少期に必要な金融教育とはどんなもの? (質問5)つみたてNISAの今後の方向性を教えてください! 遠藤長官は質問に丁寧に答えながら、補足する形でつみたてNISAを取り巻く金融行政の考え方も示した。遠藤長官の発言要旨は以下の通り。 ・目の前の顧客の長期的な利益に沿う商品の販売を行うのが顧客本位の業務運営の本来の姿。金融機関が収益を追求するのも大事だが、収益目標にとらわれるあまり、高い手数料の商品の回転売買で収益を上げるのは顧客本位とは言えない。金融機関の収益追求と顧客本位のバランスが大事。 ・顧客(投資家)も市場の短期的な動きに合わせて売買する近視眼的傾向が強い。(価格が)急落してもそこで踏みとどまり長期保有するのは難しい。 ・金融機関の販売窓口が顧客の投資リテラシーを高める投資教育を行う前線にいる。短期売買を勧めるのではなく長期保有するメリットをアドバイスするのも投資教育。 ・外貨建て保険を保険部分と運用部分に分け、運用部分については運用内容や手数料、コストなどを一般の投資信託と比較できるよう分かりやすい情報開示が求められる。 ・投資教育は親子で学ぶのが効果的。子供が面白がるのを見て、親がつみたてNISAを始めた例もある。 ・給与の振込先が銀行に限定される必要はない。利用者の安全性を守りながら、金融を銀行、証券会社といった業態別から預金・決済・送金などの機能別に整理する方向性を考えている。 ・つみたてNISAの制度恒久化については、恒久化が国民的要請であり優先度が高いことを政治に納得してもらう必要があり、そのためには利用者拡大の実績づくりが不可欠。 金融行政の事務方トップである金融庁長官が一般投資家向けイベントに「生出演」するのは異例で、金融庁のつみたてNISA普及に向けた不退転の強い意志を感じさせた。遠藤長官は「つみフェス」の終了後に、約80kmの道のりを夜通し歩く「強歩」大会に参加するとのことで、強歩用のウォーキング・シューズも会場からの視線を浴びた。 ■著名ブロガーが投資クリニック、生きた投資教育へのつながり 「つみたて投資クリニック」と銘打ったコーナーでは、投資経験豊富な著名投資ブロガーの虫とり小僧氏、たぱぞう氏、吊られた男氏、NightWalker氏の4人が登壇。虫とり小僧氏が進行役になり、事前に寄せられた個人投資家からの質問を「カルテ」としてスクリーンに映し出し、診断結果を説明した。 (カルテNo.1)投資信託での資産形成は、何年続ければ良いのか、一般的にどれくらいの金額と時間をかけているのか。(30代、男性) (カルテNo.2)世にあふれる投資話が玉石混交状態で、自分が何をしたらよいか分からなかった。(30代、男性) (カルテNo.3)昨年のように、現時点での推薦図書を教えてほしい。(50代~、男性) (カルテNo.4)マイナスの時も淡々と続けていたらその後の回復で報われたのに・・・(涙)(50代~、女性) (カルテNo.5)仕事で時間が足りません。(50代~、男性) (カルテNo.6)投資している人=仕事に身が入らない奴のようにきめつけられないか不安。(40代、男性) (カルテNo.7)長期投資では、どのタイミングで引き出すべきなのか?(20代、女性) (カルテNo.8)積み立て後、老後の資産の取り崩し方。出口戦略について知りたい。(40代、男性) (カルテNo.9)国内株式、外国株式、外国債券などもバランスを見て保有すべきでしょうか。(40代、女性) (カルテNo.10)投資信託を買っているが、米国株、世界株どちらに比重をおいて投資していくべきか。(30代、男性) (カルテNo.11)税金が不安。(年代・性別、記載なし) (カルテNo.12)今は2万円くらいプラスになっているので、元本割れする前に、売って益を確定させたくなってしまいます。(30代、女性) (カルテNo.13)ファンドの目論見書に前年の実質コストを明記して、実質コストでファンドを比較出来るようになったらいいのに・・・(30代、男性) (カルテNo.14)同様のファンドで、より信託報酬が低いものが出た場合、それに切り替えた方が良いのか?(20代、男性) ブロガーの診断結果は「20年くらいは続ける」「忙しい人はインデックス投資がおススメ」「出口は気にしなくていい」「推薦本は昨年のランキング上位などでいい。1年でそれほど変わらない」「米国株、世界株のどちらか自分で続けられそうなほうを選ぶ」「利益2万円で売却は論外。ここで売却せずに続けられるかどうかが長期の複利効果を得るうえでの勝負の分かれ目」「新たな低コストに乗り換えるのはよっぽどの時。つみたてNISAはファンドの乗り換え(スイッチング)が不利。売却せずに新たな買い付けを低コストの方にするのでいい」などだった。 紹介されたカルテはつみたてNISAの意見交換会(つみップ)でも同じように繰り返される質問だ。個々人でライフスタイルが異なるので、画一的な正解があるとは限らない中、個人が自分自身でなんらかの答えを出せるところに持っていくというのが生きた投資教育の目標ということになるのかもしれない。 ■パネルディスカッションは新規参入3社の幹部が登壇 締めくくりのパネルディスカッションは「金融業界に迫りくるITの波」と題し、膨大な数にのぼるスマホ利用者に対して各種金融サービスを拡充しようとしている3社(LINE Financial、KDDIアセットマネジメント、ソフトバンク)の幹部らが登壇。新規参入の動きが資産形成を取り巻く環境をどう変えるのか探った。 操作性が優れたアプリなどを通じて、初心者が投資を始めるハードルはかなり下がりそうだが、それと同時に投資のリスクや長期・積み立て・分散投資の効用など、投資家の金融リテラシーを高めるための投資教育の重要性が図らずも浮き彫りになった。 ■「金融庁長官の登壇は本気度の証し」「投資は歯磨きのようなもの」の声 ブロガーを中心に参加者の感想を聞いた(カッコ内はハンドル名)。 「金融庁長官の登壇と話が素晴らしかった。ブロガーの登壇企画はちょっと真面目すぎたかなと反省。こうしたイベントも、投資と同じように相場環境が悪くなっても『続けて』いくことが大切だと思う」(虫とり小僧氏) 「金融庁長官の話は保険分野での大きな変動を予感させる。企業収益と顧客本位という一見、二律背反になりがちな点をどう両立させるかという金融機関の大きな命題には今後も注目したい。新規参入各社がトータルなサービスで顧客にあらゆる利便性を届けようとする熱意は伝わってきた」(たぱぞう氏) 「金融庁長官が登壇し、つみたてNISA普及に向けた強い発言をしていたのはすごい出来事で期待したい。一方、さらなる制度充実には実績が必要というのもその通りなので、参加者は家族友人にもつみたてNISAを広めてもらえると、登壇者の一人としてうれしい」(吊られた男氏) 「金融庁長官がかなり踏み込んだ発言をしていたのが印象的。ごく普通の人がこういったイベントに参加してきてくれているという印象も強い。一歩ずつ、普通の人につみたて投資が浸透してきていることを感じられて、うれしく思う」(NightWalker氏) 「初めて参加したが、学びがたくさんあり有意義な時間だった。普段ツイッターで連絡し合っている個人投資家と顔を合わせる機会にもなった。田中内閣府副大臣の言葉が印象的。日本全体の投資活性化のために、国だけでなく民間企業や個人ブロガーとも手を取り合っていく強い意志を感じた」(20代、FP投資家リーマンとさか氏) 「ツイッターのハッシュタグ『#つみフェス2019』は参加できなかった人にも情報を伝える上で画期的と感じた。ネット中継も検討してはどうか。つみたてNISA普及には一般著名人による『わたしのつみたて体験』といった体験談を共有する場があるといいかもしれない」(20代、なまずん氏) 「副大臣や金融庁長官ら硬派な方から、ブロガーという緩い人間まで『投資』というくくりでいろんな意見を聞くことができ、とても有用なイベントだった。会場に20代の同世代が少なく感じ寂しかった。もっと若年層が集まれる会になるといいなと思った」(20代、ミドノン氏) 「金融庁長官がざっくばらんに話していたのがよかった。制度やイベントへの想いが伝わり、金融庁の取り組みに期待したいと改めて思った。パネルディスカッションは識者の意見を聞くよりも参加者からの質問に答えて欲しかった。イベントのネット配信を検討してはどうか」(Taku(金融系SEの投資のつぶやき)氏) 「金融庁長官が自ら金融機関への苦言やNISA強化への意気込みを肉声で語ったのはかなりインパクトがあった。ただ特にNISA制度については、国民側にも、制度の意義を理解し制度を活用するリテラシーや実行力を持つように、責任を投げかける内容でもあった」(安房氏) 「非常に豪華な面々が登壇し、つみたてNISAで資産形成していくことを本気で推進させていきたいという金融庁の本気度が伝わってきた。ただ、初心者向けの制度説明がほとんどなかった。スライドを交えて、簡単でもきちんと触れておいたほうがいいのかなと感じた」(パーサモウニアス氏) 「今回初めて参加して、改めてインデックス投資はいいと思った。コストは低く抑えられるし、状況によっては数十年後には結構なプラスも期待できる(絶対にプラスになる保証はないが)。つみたてNISAは若い人たちの口座開設が多いというのは、いい兆候だと思う」(Kojiro Nitta氏) 「金融庁長官の登壇は待ち望んでいた。つみたてNISAへ取り組む意気込みなど本気度も改めて感じ取れた。恒久化はぜひ実現して欲しい。通信・IT業界の金融分野の参入はまさに変わろうとしている印象を受けた。まだ手探りの感じも受けたがニーズはあると思う」(Livamoz氏) 「登壇者もプログラムも多様でメリハリがあった。一番印象的だったのは、金融庁長官がつみたてNISAの使い勝手向上に言及した点。スイッチング導入や恒久化にはとても期待。一方で、一人ひとりの金融リテラシーの向上や長期投資へのコミットも大事と感じた」(ザリガニ氏) 「パネルディスカッションでは既存のサービスに関してだけでなく、投資の未来像にまで踏み込んだ話があってもよかったのではと思う。既存の枠組みにとらわれない金融口座のあり方とか、『量子コンピューターでこんな投資が可能になる!』といった話をして欲しかった」(毛流麦花氏) 「金融庁長官登壇が印象的。やはり金融庁トップが語る言葉は重みがあるし、期待が持てる。つみたてNISAだけでなくNISAの恒久化も実現して欲しい。フェスと称するのであれば、もう少し砕けた感じでお祭り色があってもいいのかなと思った」(Wakaba氏) 「参加者も多く、金融庁がつみたてNISA普及へ力を入れていることがよく分かった。つみたてNISAの恒久化などが検討されていることで今後への期待感も持てた。つみップのように、参加者との懇親会の場などがあれば一層良いと思う」(Sayasayan氏) 「田中副大臣や金融庁長官らの話から、国としてつみたてNISAを盛り上げていく意気込みをすごく感じた。進行時間が少しタイトでもう少し余裕を持って欲しかった。未経験者や初心者には難しい流れだったように感じた。もっと堅苦しい会かなと思ったが、意外と楽しめた」(ずずず氏) 「岡本氏の話は素直に義務教育から教えて欲しい内容。お金は『不浄なもの』という先入観があるが、実はそうではなくて、お金をどのように運用し使っていけば周りが豊かになれるのかを分かりやすく解説してくれた」(takachan氏) 「『投資は普段欠かさず行う歯磨きのようなもの。若い時にはしなくても困らないが、年齢を重ねた時に困る』という岡本氏の言葉が強く印象に残った。つみたてNISAで短期間に大きくもうけることは難しいだろうが、世界の経済の成長を信じコツコツ続けていくのが大事だと思う」(セロン氏) 「有名ブロガーによるちょっとゆるい雰囲気のコーナーは『数万円儲かった。儲かっているうちに売りたくなる』など初心者にありがちな相談に対して『ここが長く続けることができるか否かの分かれ道』と、とても共感できる実用的な回答(診断)を返すなど面白く楽しめた」(やすぎ氏) 「つみたてNISAの認知度はゆっくりと確実に上がっているとの印象を受けた。夫婦で参加も見かけた。投信運用会社の方も一般客席で最後まで残っていた。決して大口保有者ではない個人投資家の考えや要望をキャッチアップする姿勢に変化を感じうれしく思った」(go-en(文系おじさん)氏) ◇つみたてワニーサのツイッターはこちら ◇金融庁・つみップのサイトはこちら (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

金融庁、資産運用業の高度化に注力 アナリスト協会がセミナー

「自分の親戚、知人にも勧められると思う商品の販売に徹して欲しい」。日本証券アナリスト協会が16日に都内で開いたセミナーの基調講演に登壇した金融庁総合政策局の井藤英樹審議官(監督局担当)は、資産運用業の高度化へ向けた取り組みの重要性を強調し、顧客本位の業務運営の推進を促した。 ■金融庁長官が「思いを込めて資料作成」、審議官が代読 毎年恒例の同セミナーは2年前の基調講演で金融庁の森信親長官(当時)が資産運用業界の問題点を指摘し、業界関係者に大きな反響を巻き起こしたことで知られる。今回のテーマは「デジタル化時代の新たな資産運用ビジネス」で、180人近い業界関係者が集まった。 「日本の資産運用業界への期待」と題した基調講演は、金融庁の遠藤俊英長官が公務の都合で登壇できなくなり、井藤審議官が代理を務めた。遠藤長官が作成した64ページにのぼる分厚い資料が配布され、井藤審議官が「デジタライゼーションの加速的な進展への対応」など金融行政の重点施策について、ポイントを絞って説明した。 講演資料中の「2019年1月30日 主要行等との意見交換会における金融庁長官メッセージ(抜粋)」という部分に話が及ぶと、長官のメッセージを一字一句そのまま読み上げ、資産運用業の高度化へ向けた取り組みの重要性を強調した。 セミナー終了後のレセプション(懇親会)には遠藤長官も駆けつけ、乾杯の音頭を取った。遠藤長官は「思いを込めて講演資料を作成した」と語り、金融のデジタル化や資産運用業の高度化に注力していく考えを示した。 ■米運用大手がアクティブ運用の実績を力説 セミナーでは、アクティブ運用に強み持つ米運用大手のティー・ロウ・プライス グローバル・インベストメント・マネジメント・サービシズのアジア・パシフィック地域統括責任者であるニコラス・S.トゥルーマン氏が登壇。「アクティブ運用会社としての進化と歩み」と題して講演した。 自社の米国株アクティブ運用に関して過去20年間で10年リターンを毎月測ったところ、そのうちの約9割がベンチマークに対する超過収益(アルファ)を上げたと力説。運用の目標年に向けて資産配分を変えていく「ターゲット・デート型」のアクティブ運用は好成績を背景に運用資産規模が拡大し、同社は米大手3社の一角を占めているという。今後は運用のデジタル化を進め、アルファを効率的に生み出していくとした。 ■レオスの藤野氏「投資は素敵な経済活動」 日本のアクティブ運用者を代表して、レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長も「これからの投資信託の役割とは――投資文化の普及のために――」をテーマに講演。冒頭から「投資信託はおまけに過ぎず、消費者が欲しいのは投資によって得られる『快適な生活』。将来得られる安心感やリターンが売り物であって、投資信託そのものではない」との持論を展開し、聴衆を引き込んだ。 日本人の手元に眠り、40兆円あまりあるとされるタンス預金。このお金が資産運用に回りだすと、資産運用業界は成長産業になると指摘。タンス預金を保有している個人に「投資は素敵な経済活動」とその魅力を理解してもらうのがカギだと結んだ。 パネルディスカッションは、投信評価会社モーニングスターの朝倉智也社長、一般社団法人国際資産運用センター推進機構の有友圭一代表理事、ウェルスナビ(東京・渋谷)の柴山和久社長の3人が登壇。モデレーターをPwCあらた有限責任監査法人の清水毅氏が務め、「デジタル化時代の新たな資産運用ビジネス」について活発な議論を交わした。 (QUICK資産運用研究所 望月瑞希、高瀬浩)

三菱UFJ国際、指標を「配当込み指数」に統一 ブロガーの強い要望に対応

三菱UFJ国際投信は国内外の株式やREIT(不動産投資信託)などを投資対象とする非上場のインデックス型投資信託のベンチマーク(指標)を配当金を含む指数(配当込み指数)に統一する。投信ブロガーからの強い要望に応えた施策を、同社が注力している投信ブロガーとの対話集会「ブロガー・ミーティング」を開催した18日に発表するという心憎い演出も見せた。 投信ブロガーの質問に答える三菱UFJ国際投信の代田秀雄常務執行役員 ■海外株式・REITは「ネット配当込み指数」に 変更対象は株式・REITなどの指数への連動を目指す非上場の投信で、合成インデックスに連動するバランス型も含む。組み入れ銘柄の配当金から運用経費を控除した額を決算日にすべて分配するという制度上の制約がある上場投信(ETF)は対象外となる。 また海外株式や海外REITの指数で既に「配当込み指数」を使っているが、「グロス(課税前)配当込み指数」だった場合は「ネット(課税後)配当込み指数」に変更する。海外株式・REITはその国で源泉徴収課税されるため、グロス配当込み指数と比較すると税金分だけ投信のパフォーマンスが劣後してしまうことにも対応する。 変更対象となる投信を取り扱う240社あまりの販売会社に説明し、了承を得た。7月と10月の2回にわたって変更する。 例えば、配当金を含まない「日経平均株価」に連動する投信の指標は、配当金を含む「日経平均トータルリターン・インデックス」に変わる。日経平均株価は構成銘柄の配当金を含まずに算出する指数であるため、実際の運用では組み入れ銘柄の配当金が基準価額の上振れ要因となる。一方で「日経平均トータルリターン・インデックス」は配当金を含めて算出する指数だから、配当金で生じる指数と基準価額の差が解消。指数に完全に連動した運用をした場合、運用や管理にかかるコストの分だけ基準価額がマイナス乖離することになる。 ■指標変更の影響は 指標の変更は様々な影響を与えそうだ。今後の注目点は以下の通り。 ・ETFは制度面から配当込み指数を指標にすることができないため、ETFと非上場投信の違いがより明確になる。 ・海外株式型と海外REIT型はネット配当込み指数に変更することで、投信と指数の連動がよりわかりやすくなる。 ・アクティブ(積極運用)型は配当金を含まない「配当除く指数」を指標とする投信も目立つが、配当込み指数への変更を促すきっかけとなる可能性がある。 ・インデックス型投信が分配金を支払うと、基準価額が分配金の分だけ下がる。配当込み指数との連動性を保つため、分配しないという流れが定着する可能性がある。 ■ブロガーとの対話、質疑応答は時間オーバー 18日のブロガー・ミーティングでは冒頭で指標の変更などを説明するにとどめ、ブロガーとの質疑応答に多くの時間が割かれた。全体で90分間の予定を軽くオーバーするまで、参加者からの質問が途切れなかった。主な質疑応答は以下の通り。 ・信託報酬のうち販売会社の取り分は投信ごとに決まっているため、販売会社の判断で信託報酬を下げることはできない。販売会社が自由に変えられるのは販売手数料。 ・運用報告書に開示されている売買委託手数料には証券会社と相対売買(バスケット取引)する際のコストは含まれない。このコストは約定価格に上乗せされる。バスケット取引はインデックス運用で多用されているため、運用報告書には「隠れコスト」のすべてが開示されるとは限らない。運用報告書に開示されたデータだけで実質コストの大小を比較すると、ミスリーディングになることが少なくない。 ・「eMAXIS Slim」の個々のファンドの純資産残高が500億円以上になると、その部分については信託報酬が下がる設計になっている。信託報酬の数値が具体的にどう変わったかについての公表方法を前向きに検討する。 ・ブロガーの記事内容を日々チェックし、同社と関連性の高い内容について報告をしてくる社員がいる。 ・今回の指数変更はマザーファンドベースとなるため、関連するベビーファンド(一般投資家が投資する投信)はすべて変更の対象になる。 ・同社が始めた直接販売サービスの「mattoco(マットコ)」は、顧客が多数の投信の中から「外れ投信」をつかまないようラインアップを絞った。顧客の属性だけでなく、投資行動に関する分析データも収集し、将来的に顧客それぞれへの適切な投資アドバイスを可能するようなことも目的にしている。アクティブ型の「これぞ、日本株」(0331218B)という国内株式型投信を投入したが、「ひふみ投信」(9C31108A)のレオス・キャピタルワークスを凌ぐことを当面の目標に置いている。 ■「eMAXIS Slim」の新たなファンも 参加者は「ホットな話題で、質疑応答が充実していた」「配当込み指数への変更はプレスリリースだけでは知りえない色々なことが分かった」などと満足げに感想を述べてくれた。 「mattocoはネット証券との違いや利用メリットがまだ乏しいように感じるが、改善要望は受けとめてくれたので、今後に期待する」「自分では買わないと思うが、日本株アクティブ運用力を向上する心意気は十分伝わってきた」といった声もあった。 女性ブロガーのインタビュー記事を読んだのをきっかけに、ブロガー・ミーティングの開催情報をツイッターで知ったという40代の女性は「まだ初心者なので、ミーティングの内容は高度で難しかったが楽しめた。『eMAXIS Slim』は購入してみようと思う」と話していた。ブロガー・ミーティングで、新たなファンが一人増えたようだ。 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

投信「先進国株式」✕「国内REIT」でリスク抑制 3月末の相関係数

複数の投資信託に分散投資する際、有効な組み合わせを探すのに便利なのが「相関係数」と呼ばれる統計指標だ。投資対象で区分した「新QUICK投信分類(大分類)」について、2019年3月末までの1年間の相関係数(日次データで算出)と10年間(月次データ)の相関係数をまとめた。 複数の投信に投資する場合、値動きの傾向が違うタイプを組み合わせると分散投資の効果が出やすい。例えば、投資家のリスク選好局面で買われやすい株式に投資するファンドと、逆に売られやすい債券に投資するファンド。この両方を持っていれば反対方向の値動きが打ち消しあって、全体のリスク(価格の振れ幅)を抑えることができる。 有効なファンドの組み合わせは「相関係数」を使うと探しやすい。相関係数は投資対象が異なる2つのファンドが似た値動きをするほどプラス1に近づき、逆の値動きをするほどマイナス1に近づく。ゼロなら値動きの関係がなかったことを示す。相関係数が低いファンド同士を組み合わせると、全体の価格変動リスクを低減しながらリターン向上を狙う分散投資効果が期待できる。 【分類別相関係数(日次1年)】の表で「先進国株式型」を見ると、「グローバル株式(先進・新興複合)型」との相関係数は0.97と高い。一方、「国内REIT型」は0.25と相関が低い。「先進国株式型」と組み合わせて保有するなら、「グローバル株式(先進・新興複合)型」よりも「国内REIT型」のほうが分散投資効果が期待できる。 出所:QUICK資産運用研究所 ※▲はマイナス。分類は「QUICK投信分類(大分類)」を使用、対象は追加型株式投信(ETF、通貨選択型除く) (QUICK資産運用研究所)

「投資を自然なことに」おつりで投資のトラノコ バロック社長に聞く

日々の暮らしに投資は溶け込むか――。TORANOTEC(トラノテック、東京・港)が手がける投資サービス「トラノコ」の開始から2019年6月で2年を迎える。トラノコは買い物のおつり分を投資することで手軽に資産運用できるサービスだ。 「おつり」とは、事前に登録したクレジットカードや電子マネーでの買い物金額の端数のこと。利用者はおつりのうちどのくらい投資に回すかを決め、リスクの異なる3つの投資信託から投資先を1つ選ぶ。家計簿アプリを使えば現金決済のおつりも投資資金にできる。月額利用料が税込みで300円かかる一方、投信の運用報酬(信託報酬)は年率0.324%と低く抑えている。残高が小さいうちは利用料の比率が高いものの、残高が積み上がるにつれて相対的にコストが低くなっていく仕組みだ(図1)。 おつりによる少額積み立てということもあって、3つの投信の純資産総額(残高)合計は5億円程度にとどまるが、利用者は増えているという。 月額利用料の学割や他業種との連携など、目新しい取り組みが目立つトラノコ。投資の文化を日本に作っていきたいと熱い思いを秘めるトラノテック代表取締役社長のジャスティン・バロック氏に話を聞いた。 ――「おつりで投資」のきっかけは。 「日本の資産運用サービスは初めて利用する際のハードルが高く、初心者でも使えるサービスが少なかったように思います」 「日本の貯金の文化を、うまく投資に活用する仕組みがあれば投資の文化もできる。そのためには、少額からコツコツと投資ができるサービスの提供が必要だと考えました。加えて、日々の生活に投資が結びつき、自然なものとなるためにはどうしたらよいか。普段の消費活動で投資にアクセスできないかと考え、生まれたのがおつりでの投資です」 ――月額利用料という費用体系は独特です。 「サブスクリプション(定額制)は面白いサービスだと考えています。利用者から見て分かりやすいですし、積み立てを続けて投資残高が増えると、割合として利用料の負担は減っていきます」 「他社との提携のしやすさもメリットです。月額利用料の無料期間の延長や割引といった施策が簡単に実施できるため、パートナーの要望に柔軟に対応できます」(図2) ――投資関連サービスで「学割」は珍しいです。 「学生のうちは月額利用料を無料にすることで、投資に一歩踏み出すきっかけを与えたい。将来にわたって続けるためにも学生のうちはずっと無料にして、長期投資を実践しやすくしました。若いうちから資産運用の世界に触れることができれば、投資の文化は根付くと思います」 ――利用者の特徴は。 「若年層や投資未経験者の方が多く、年収や金融資産がそれほど多くないのが特徴です(図3)。一方で、投資経験が5年以上ある利用者が1割近くいらっしゃいます。投資経験が豊富な方にもサービスの価値を感じていただけていると思います。月額利用料は誰でも最初の3カ月間は無料ですが、この期間が終わっても9割以上の方がサービスの利用を続けています」 「初心者の方でも分かりやすく、面倒に感じないように投資先をまずは3ファンドにしぼりました。3つのファンドは投資配分だけでなく、為替ヘッジの割合を変えています。一番人気は最もリスクの高い、リターン重視のものです」 ――トラノコの未来は。 「『すべての人を投資家に』と掲げている通り、投資を簡単に、当たり前にしていきます。具体的にはトラノコの認知度を広げる活動を引き続き進めていくこと。さらに、提携する企業を通して利用者にサービスを提供する「BtоBtоC」のビジネスモデルを加速させます。銀行をはじめ、通信キャリアや小売り、インフラなど様々な分野の企業とパートナーシップを組んでいますが、今後も提携企業を拡大する予定です」 「アプリ内でポイントやマイルを現金に交換して、投資に回すサービスも展開しています。実際の投資にこだわっているので、ポイントやマイルのままではなく、必ず現金化してから投資します。金融庁の支援案件として採用された『リアルおつり投資』プロジェクトの実証実験も始まります。これは小銭を専用のATMに投入するだけで簡単に投資を行うことができるサービスです。投資が自然なことになるよう、様々な角度からアプローチを続けていきます」 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ、イノベーション本部 吉田晃宗)

ウェルスナビ 「品質」「透明性」「協業」でロボアド市場けん引 柴山CEOに聞く

金融機関の窓口に行ったり、ネットで自ら投資先を探したりしなくても、資産運用ができる時代が本格的にやってきた。台頭するサービスの1つに、コンピューターのプログラムが資産運用を指南するロボットアドバイザー(ロボアド)がある。このロボアド市場の一角を担うのがウェルスナビ(東京・渋谷)だ。 預かり資産1300億円超、国内最大規模 ウェルスナビは、年代や資産状況、運用の目的など6つの質問でリスク許容度を5段階に分け、許容度に応じた資産配分を提案。低コストの米国ETF(上場投資信託)で運用し、資産配分の見直し(リバランス)もする。運用手数料は残高の1.08%(3000万円を超える部分は0.54%)。 2016年7月のサービス開始から成長のスピードは衰えず、預かり資産は1300億円を突破(図1)。ロボアドとしては国内最大規模だ。口座申込件数は18万件にのぼり、20~50代の働く世代が9割以上を占める。 また、ウェルスナビでは銀行や証券会社、空港会社などさまざまな企業と提携することで、サービスを提供しているのが特徴だ。既存の金融機関に限らず、異業種を巻き込んでロボアド市場をけん引する同社の柴山和久代表取締役CEOに話を聞いた。 最低投資金額を10万円に引き下げ ――利用状況は。 「投資経験のある人から支持を集めているのが特徴の1つで、その割合は7割を超えます。利用者からの口コミが新たな利用者の呼び水になることも多いです」  「昨年からは投資未経験者にも裾野が広がってきました。当初100万円だった最低投資金額を10万円に下げたことやテレビCMなどマス広告の効果が出ています。おつりで投資ができるサービス『マメタス』の人気もあって、女性の利用者や若年層の割合が増えています」 ――成長し続ける背景は。 「今まで日本になかった新しいタイプのサービスを提供できたことにあると思います。『働く世代の資産運用』として、忙しく働く人たちでもスマホで隙間時間に高品質の資産運用を可能にするサービスを実現しました」 「かつては同じ会社に終身雇用で勤め上げ、退職金で住宅ローンを返して年金で暮らす、という典型的なモデルがあり、働きながら資産運用するニーズがなかったように感じます。しかし現在は、人材の流動性でキャリアプランが変わり、年金への不安も大きくなっています。こうした変化で生まれた資産運用ニーズを満たすサービスがロボアドです」 ――預かり資産残高はロボアド他社を圧倒しています。  「他の企業と連携するオープンイノベーションを先駆けてやってきた成果です。ウェルスナビの残高と、提携パートナーを経由した残高がほぼ半々となっています」 「ロボアドは革新的なビジネスモデルですが、収益性の高いビジネスではないですし、簡単に使ってもらえるサービスでもありません。働く世代を豊かに、といった同じようなミッションやビジョンが共有できる他社と協力することで、サービスをより広めていくことが可能になると考えています」 柴山和久・代表取締役CEO ――ウェルスナビの強みは。 「質の高さと透明性の両方が満たされていることでしょうか。弊社は社員の半分近くがエンジニアで、モノづくりする金融機関として、技術力で品質を追求します。自動でお任せの資産運用をうたっているので、運用手法などがブラックボックスではダメです。資産運用のアルゴリズムや手数料などの情報をWEB上で公開し、『ガラス張り』であることを意識しています」 ――今後に向けての抱負は。 「現在の預かり資産額では、まだスタート地点に立っているとさえ言えません。まずは1兆円。それでも社会的インパクトはほぼゼロに近いかもしれません」 「社会インフラの1つとなるよう、長期的なコミットメントを重視しつつ、パートナー企業との協業を進めていきます。どこにいても安心して預けられるサービスとして、全国津々浦々に普及させていきたいですね」 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ、イノベーション本部 吉田晃宗)

「国内株式」✖「バランス」はリスク抑制しにくく 投信の相関係数、2月

複数の投資信託に分散投資する際、有効な組み合わせを探すのに便利なのが「相関係数」と呼ばれる統計指標だ。投資対象で区分した「新QUICK投信分類(大分類)」について、2018年12月末までの1年間の相関係数(日次データで算出)と10年間(月次データ)の相関係数をまとめた。 複数の投信に投資する場合、値動きの傾向が違うタイプを組み合わせると分散投資の効果が出やすい。例えば、投資家のリスク選好局面で買われやすい株式に投資するファンドと、逆に売られやすい債券に投資するファンド。この両方を持っていれば反対方向の値動きが打ち消しあって、全体のリスク(価格の振れ幅)を抑えることができる。 有効なファンドの組み合わせは「相関係数」を使うと探しやすい。相関係数は投資対象が異なる2つのファンドが似た値動きをするほどプラス1に近づき、逆の値動きをするほどマイナス1に近づく。ゼロなら値動きの関係がなかったことを示す。相関係数が低いファンド同士を組み合わせると、全体の価格変動リスクを低減しながらリターン向上を狙う分散投資効果が期待できる。 【分類別相関係数(日次1年)】の表で「国内株式型」を見ると、「国内債券型」との相関係数はマイナス0.37で逆相関、「新興国株式型」は0.36と低くなっている。一方、「バランス型」は0.83と、1に近いため、両者の値動きは似ていることが分かる。「国内株式型」投信を保有していて、もう1ファンドを選ぶ場合、「バランス型」を購入しても、リスクを小さくする効果は限られると言える。 出所:QUICK資産運用研究所 ※▲はマイナス。分類は「QUICK投信分類(大分類)」を使用、対象は追加型株式投信(ETF、通貨選択型除く) (QUICK資産運用研究所)

投信、「新興国株」✖「国内REIT」でリスク抑制 1月末の相関係数

複数の投資信託に分散投資する際、有効な組み合わせを探すのに便利なのが「相関係数」と呼ばれる統計指標だ。投資対象で区分した「新QUICK投信分類(大分類)」について、2018年12月末までの1年間の相関係数(日次データで算出)と10年間(月次データ)の相関係数をまとめた。 複数の投信に投資する場合、値動きの傾向が違うタイプを組み合わせると分散投資の効果が出やすい。例えば、投資家のリスク選好局面で買われやすい株式に投資するファンドと、逆に売られやすい債券に投資するファンド。この両方を持っていれば反対方向の値動きが打ち消しあって、全体のリスク(価格の振れ幅)を抑えることができる。 有効なファンドの組み合わせは「相関係数」を使うと探しやすい。相関係数は投資対象が異なる2つのファンドが似た値動きをするほどプラス1に近づき、逆の値動きをするほどマイナス1に近づく。ゼロなら値動きの関係がなかったことを示す。相関係数が低いファンド同士を組み合わせると、全体の価格変動リスクを低減しながらリターン向上を狙う分散投資効果が期待できる。 【分類別相関係数(日次1年)】の表で「新興国株式型」を見ると、「グローバル株式(先進・新興複合)型」との相関係数は0.82と高いが、「国内REIT型」とは0.19と低い。「新興国株式型」の投信を保有していて、もう1ファンドを選ぶ場合、「グローバル株式(先進・新興複合)型」を購入するよりも「国内REIT型」を組み合わせた方が、よりリスクを小さくすることができると言える。 出所:QUICK資産運用研究所 ※▲はマイナス。分類は「QUICK投信分類(大分類)」を使用、対象は追加型株式投信(ETF、通貨選択型除く) (QUICK資産運用研究所)

第2回QUICKが選ぶ「中長期投資にふさわしい投信」 ~運用成績を定量評価~

QUICK資産運用研究所は、中長期の資産形成を目指す個人投資家が投資信託を選ぶ際の参考になるように、2018年に活躍した投信の中から「中長期投資にふさわしい投信」5本を選定した。第1回は18年3月に発表しており、今年から年初に選定結果を公表する。 ■リスク階級ごとに5本を選定 運用方針、投資対象、コスト、運用体制……。数ある投信の中から、個人が自分に合った商品を見定めるのは簡単ではない。「中長期投資にふさわしい投信」では、過去の運用成績に的を絞って分析し、恣意性を排除した。具体的には、運用でとったリスクに見合うリターンを上げたかどうかを測る指標「シャープレシオ」を用いて、個々の投信を評価した。 個人が中長期の投資を続けていくうえでは、自分がどの程度のリスク(リスク許容度)をとれるかを想定した投信選びが重要になる。そのため、リスクを示す指標「QUICKファンドリスク(QFR)」の5つの階級ごとに1本ずつ、計5本を選んだ。 結果はリスク階級の小さい順に「明治安田日本債券ファンド(愛称:ホワイトウィング)」(12312001)、「J-REITオープン(年4回決算型)」(01313052)、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Aコース(為替ヘッジあり)」(39311065)、「SBI中小型成長株ファンド ジェイネクスト(愛称:jnext)」(89311052)、「マネックス・日本成長株ファンド(愛称:ザ・ファンド@マネックス)」(47311007)の5本(図A)。 5本ともアクティブ(積極)運用型で、主な投資対象はリスク階級別に1が国内債券、2が国内REIT(不動産投信)、3は米国株式、4と5が国内株式だった。 ■QUICKファンドスコアでも高評価 「明治安田日本債券ファンド」の18年のリターン(分配金再投資ベース)は、約1%の小幅なプラス。過去5年間では緩やかな値動きが続いている(図B)。 「J-REITオープン(年4回決算型)」は11.26%上昇。国内REIT市場平均の「東証REIT指数(配当込み」(11.11%)をわずかながら上回り健闘した。 18年は日本株式市場を代表する「TOPIX(東証株価指数)配当込み」が約16%下げるなど、世界的に株式相場が低迷した。リスク階級が3以上で選定したファンドはどれも年間のリターンがマイナスだったが、それぞれのリスク階級の中では高い評価を収めた。 「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Aコース(為替ヘッジあり)」は、成長性が高いと判断される米国株式へ投資すると同時に、為替ヘッジでドル円相場の変動リスクを回避するのが特徴だ。「SBI中小型成長株ファンド ジェイネクスト」と「マネックス・日本成長株ファンド」は、どちらも主に中小型の国内成長株に投資する。 選定した5本は、QUICKが毎月算出している「QUICKファンドスコア」でもおおむね高評価を得ている。QUICKファンドスコアは長期投資にふさわしいかどうかの視点で、リスクやリターンといった運用成績に加え、下値抵抗力、運用コスト、分配金健全度の5項目で投信を多角的に分析評価し、最も低い「1」から最高の「10」まで10段階にランク付けしている。5本中4本の最高スコア(18年末時点)が9または10だった。「明治安田日本債券ファンド」は、同じリスク階級のファンドの中で比べた下値抵抗力や分配金健全度の項目で相対評価点が低く、スコアは4にとどまった。 【選定対象・方法】 1.対象は国内公募の追加型株式投資信託で、決算回数が年6回以上のものを除く。2018年末時点で(1)運用実績が6年以上(2)償還予定日までの期間が1年以上(3)残高が10億円以上――の条件を満たす。原則としてETF(上場投資信託)、確定拠出年金(DC)専用、販売停止中、販売停止予定、限定追加型、マネープール相当、ブルベア型、ラップ口座専用、ミリオン型、一般財形型は除外した。 2.リスク階級は価格変動リスク(過去の価格変動の度合い)をTOPIX(東証株価指数)との相対評価で表した「QUICKファンドリスク(QFR)」を用いる。QFRはリスクが最も小さい「1」から最大の「5*」まで6段階を付与しているが、ブルベア型などが含まれる「5*」は除外した。 3.18年1月から12月までの1年間の各月末時点における5期間(5年間、3年間、1年間、6カ月間、3カ月間)の運用実績データ(シャープレシオ)を使った定量評価。過去12カ月間における上記5期間のシャープレシオ(年率換算)の平均値を合計し、この合計値が最大となる投信をリスク階級別(1~5)に1本ずつ選定。 (QUICK資産運用研究所 中田裕子)

個人投資家の一大オフ会に 「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」懇親会

毎年恒例の「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」(FOY2018)が開かれた13日の夜、表彰式から場所を移した懇親会は、100人あまりのブロガーや個人投資家に加え、上位に入賞した運用会社の関係者も参加した。今回で12回目を迎えたイベントも懇親会を開くようになってからは3回目。入場チケットの購入者は昨年の約70人を上回るが、早々と完売したようだ。 ◇表彰式の記事はこちら↓ 投信ブロガーが選ぶこの1本 2018年の1位は「eMAXIS Slim先進国株式」 進行役を務めた投信ブロガーの虫とり小僧さんが「皆さんに楽しんでいただけたようでよかった」と話したように約2時間にわたる懇親会は終始大賑わい。日頃はネット上で情報交換するだけの関係だった人とリアルに交流する「一大オフ会」と化した。懇親会参加者の声をまとめた。 ■順位の大きな変動に「シビアさを垣間見」の声 「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(9I311179)が9位に後退し、たわらノーロード 先進国株式(4731B15C)が上位20位の圏外となるなど、前回と大きく順位が変動する結果となり驚いた。コストを引き下げるなど、継続的に手を打っていかないと直ちに人気を失ってしまうシビアさを垣間見た」(けいのすけさん) 「このイベントには毎年参加している。インデックス(指数連動型)ファンドの動向をアップデートできるとともに他の個人投資家と交流する機会があり、運用会社も巻き込んで個人投資家の生の声が伝わるイベントとして有意義だ。多忙のため投票は見送ったが、インデックスファンドの上位入賞が予想されたため、投票するならあえてアクティブ(積極運用型)ファンドを選んだと思う」(ASKさん) 「三菱UFJ国際投信やニッセイアセットマネジメント、セゾン投信のファンドなど、安定して上位に入っているファンドへの熱いコメントが印象的。月報や運用報告、ブロガーミーティングなどを通じて顧客へのメッセージをしっかりと発信している運用会社にはファンが付き、お互いにファンドを育てていく良い環境があるように思う」(じゅん@さん) 「コスト意識が高い中、来年も三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimシリーズとニッセイアセットマネジメントの<購入・換金手数料なし>シリーズのバトルか、はたまた新たな登場があるのかどうか。懇親会では楽天投信投資顧問の東眞之社長と『こんなことも対応いただけますか』といった話ができた。こういった場で運用会社のトップに直接伝えることができるのもありがたい」(リバモ(livamoz)さん) 「懇親会は同じ志をもったブロガーの方々と普通に投資の話をできるまたとない機会。投資の話をしてみたいができないという人は一度参加してみるといい経験になると思う。日頃は話をする機会のない運用会社の方とも話すことができるうえ、要望があれば直接伝えられるし、気になっている質問を聞いてみる絶好の場」(シオイさん) 「今回は2位受賞ファンドの発表と副賞授与のお手伝いができた。投信ブロガーが求めるファンドだけではなく、投資にあまり関心がない人にも利用しやすいファンドが上位にランクインした。『自分たちだけではなく一般生活者にも投資が普及して欲しい。そのためにどのようなファンドがいいのか』というブロガーの新たな視点も組み込まれてきていると感じた」(くは72さん) ■定年退職世代の投資環境は「発展途上」 「とても多くの学びがあった素晴らしいイベントだった一方で、定年退職者の立場ではいろいろな課題を再認識した。私のような定年退職世代、積み立て投資に頼らず退職金などを一括投資して徐々に取り崩すステージに入る投資家にとって今の投資環境はまだまだ発展途上。高齢者が資産を有効に使い、幸せな老後を送れるような環境整備が必要と感じた」(安井宏@定年退職FPさん) 「運用会社の関係者やネット上で著名な人に会えて直接お話しできる貴重な機会。投信ブロガーなどは普段住んでいる地域もバラバラで情報交換する場も限られているので、懇親会に参加できたのは本当にうれしかった。自分の投資手法自体が地味なので、投信仲間がいることを感じられたのが一番の収穫」(Sayasayanさん) 「今回のランキングは直近の株価下落と円高によるパフォーマンス悪化の影響を受けたように思う。ひふみ投信(9C31108A)や新興国株式型ファンドも2018年のパフォーマンス悪化が順位を落とした原因ではないか。アクティブファンドであれ、新興国株式型であれ、投資家の資産形成を目的とするファンドに投票する趣旨からは、今回の結果は個人的には残念」(タカちゃんさん) 「初回を除きこれまで毎年投票している。今回は農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンド (25311177)に5点すべてを投票した。ネット上では10年くらいやりとりがあったものの、これまで会えていなかったブロガーと対面できたり、かなり久しぶりの再会もあるなど、懇親会は極めて貴重な機会となった。ファンドの投票に関係して、これだけ大勢の人が集まるのは正直ビックリした」(エルさん) 「表彰式は今回が初参加。ランキング発表は興奮するものがあり、ドキドキの連続だった。ツイッターでの実況にも参加して2倍楽しめた。自分の投票コメントが読み上げられたので更に興奮。運用会社にもコメントが届き、ユーザー参加型で本当に楽しめる仕組みになっていると感じた。懇親会で運用会社の関係者から話を直接聞けるのがこれほどためになるというのにも驚いた」(やすぎさん) 「ツイッター内でのフォロワーとのやりとりも増え、今年は万全を期して、昨年参加できなかった懇親会にも参加した。『久しぶりー!』や『〇〇さんなんですね。イメージ通り』といった感じで同窓会、オフ会のように楽しく過ごせた。著名なブロガーの方ともフランクに話せたり、憧れのカン・チュンドさんとも握手してもらったり、幸せな1日だった」(こんこんさん) 「波乱の相場となり結果がどうなる事かとドキドキしていたが、今回も<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド(2931113C)が堂々のベスト3入り、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(0331418A)が初入賞という快挙。とても見応えのある表彰式だった」(アキウマレさん) ■20代も積極的に参加 「懇親会は個性豊かな先輩投資家と直接顔を合わせることのできる貴重な機会。まだ国内では投資家の存在がメジャーでない以上、つながる場はとても大切。全般的に30~50代の方の来場者が多かった印象だが、若手にこそ投資の面白さと可能性を知ってほしいので、20代の私は同年代の方に投資への関心を持ってもらえるよう発信していきたい」(なまずんさん) 「今回は波乱と呼ぶにふさわしい結果だった。投票者コメントにもあったように、これからは受益者の真価が問われそうだ。<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドに対する自分の投票コメントが会場で読み上げられたのは驚いたが、その後、会う人、会う人に熱いコメントと言われ、話のタネになった」(安房さん) 「表彰式では、上位入賞の運用会社から熱いコメントのシャワーを浴びた。普段は聞くことができない『運用会社側の想い』に触れる事ができ、投資家の資産形成を全力で担うという並々ならぬ熱意に心打たれた。特に、三菱UFJ国際投信は若手社員を登壇者に抜擢し、資産形成が必要な若年層へメッセージを届けるにはこれ以上ない適任と感じた」(パーサモウニアスさん) 「投票で順位に差はつくものの、いまや入賞しているファンドはどれも優れていると言っていいほど精査され、このイベントの理念通りになっているように思う。長い間、投資について話す相手がいなく、とても楽しみにしていた懇親会では大勢の方に会えたのに、挨拶と雑談で終わってしまった自分にガッカリ。投資に関する質問を事前に考えてこなかった」(ソロトナさん) 「懇親会では投信で資産運用している多くの人、普段はネット越しにしか交流がない方に出会うことができた。私は社会人2年目で、周囲で『投資』というと仮想通貨や外為証拠金取引(FX)、個別株の話題ばかりが出てきて投信派は少ないので、『自分の他にも投信を購入している人がこんなにいるんだ』と再認識するいい機会になった」(ミドノンさん) ■eMAXIS Slimは継続保有の安心感 「つみたてNISAと一般NISAでは、一度購入すると非課税枠が消費され、売却しても戻らない仕組みのため、より低コストな新規ファンドが出てきても『乗り換え』が困難。その点、eMAXIS Slimシリーズは保有し続けても継続的にコスト引き下げをしてくれるという安心感があり、多くの投信ブロガーから評価されたのだと思う」(水瀬ケンイチさん) 「思ったよりもeMAXIS Slimシリーズが躍進していたのは、ブロガーミーティングを含む三菱UFJ国際投信の宣伝活動の勝利だったのかな、という印象。懇親会は、四国の松山や九州、北海道、奈良からの参加者や、全国津々浦々から集まったブロガーの方々、特に伝説のように語られていたm@(エムアット)さんとも直接お話しすることができ、非常に楽しい時を過ごした」(にこいちさん) 「投信ブロガーは低コストのインデックスファンド好みということがランキングに明確にでたのではないか。ベスト10にeMAXIS Slimシリーズが5本もランクインしたのは運用会社と個人投資家とのコミュニケーションが実を結んだものと思う。三菱UFJ国際投信は今後もブロガーミーティングを続けていくとのことなので、eMAXIS Slimシリーズに期待している」(もことんさん) 「運用会社はいかに個人投資家との信頼関係を築いていけるのか。個人投資家は長期間投資でき、信頼に足るファンドをいかに選ぶことができるのか。そんなことを感じた。『低コストへの取り組み、情報開示、顧客サポート、直接対話の機会などを通じて、顧客に信頼されるファンドづくりを目指していく』と語った上位2社の受賞スピーチが印象的だった」(ザリガニさん) 「個人投資家である投信ブロガーがファンドを選ぶことに大きな意味があると感じた。熱いコメントが多く、見応えがあった。懇親会は多くの人と交流できる貴重な場となり、ありがたかった」(青井ノボルさん) 「このイベントの存在意義が年々大きくなってきているように感じ、1回目から投票に参加してきたので感無量。今年のランキングが物語るのは、受益者に対する『信頼』こそが大切で、投信ブロガーはそこのところに敏感ということだ。アクティブファンドが振るわなかったのはちょっぴり残念だった」(NightWalkerさん) ■リアルな交流会は時代を超えて継続 懇親会を主催した実行委員と委員長の2人は、今後も懇親会を継続していく意気込みを語った。 「今年は若い人の出席が多く、長期の資産形成という考え方が若年層に浸透しつつあると実感した。ただ、投資家と投資家、投資家と運用会社が交流する機会は少ないのが現状だ。今後も相場動向に関係なく、この懇親会の開催を通じてそうした場を提供していきたいと強く思った」(実行委員のすぱいくさん) 「表彰式と懇親会の参加者は20~30代とみられる人が目立ち、投資による資産形成の裾野が着実に広がっていることを強く感じ取れた。今後もコミュニケーションのきっかけとなるこのような場の提供を継続していきたい」(実行委員長の個人凍死家テリーさん) ネットでのつながりからリアルな交流へ--。「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」の懇親会の役割は平成の時代を超えて続いていく。 <FOY2018 公式サイト> 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2018 <参考>当日の様子は投信ブロガーや関係者がツイッター(ハッシュタグ:#foy2018)で発信 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

投信ブロガーが選ぶこの1本 2018年の1位は「eMAXIS Slim先進国株式」

投資信託に関する自身の運用や考え方などをブログで発信する個人投資家が投票した「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」(FOY2018)が13日に発表された。20位以内に入った21本(20位が2本)のうち17本を積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の対象ファンドが占めた。 個人投資家が自分たちにとって本当によいと思える投信を投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」という趣旨で始まったイベントは今回で12回目。都内で開かれた結果発表会と表彰式は、3連休にもかかわらず150人あまりの個人投資家が詰めかけた。 ■1位は三菱UFJ国際「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」 投票権を持つのは、2018年9月末までにブログを開設した投信ブロガーで、投票は同年11月に実施された。今回は過去最多の241人(有効投票)が参加した。投信ブロガーは付与された5ポイントを1~5本のファンドに自由に投票できる。 1位は「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」(03319172)。「eMAXIS Slim」シリーズは信託報酬について「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というコンセプトで、三菱UFJ国際投信が17年2月に立ち上げた。3位に「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(0331418A)、5位に「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」(03312175)が入るなど、上位20位のうちこのシリーズが7本を占め、ネットを使いこなす投信ブロガーからの支持の厚さが鮮明となった。 「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」(2931113C)は2年連続の2位。ニッセイアセットマネジメントが運用し、純資産総額(残高)は1000億円を超える規模まで成長。5年連続でトップ3入りした。 ■つみたてNISA対象、20位までに17本 楽天投信投資顧問の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(9I311179)は前回の首位から9位に順位を落とした。前々回はトップ10に「ひふみ投信」(9C31108A)と「ひふみプラス」(9C311125)の2本が入り、特別賞も受賞したレオス・キャピタルワークスのひふみシリーズは上位10本から姿を消した。日本株式型、アクティブ(積極)運用型は影が薄い結果となった。 20位以内の21本のうち3本は米バンガードが運用する海外ETF(上場投信)で、ETFを除く18本の中で17本がつみたてNISAの対象だった。つみたてNISAの対象外で、アクティブ型は19位の「農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンド」(25311177)のみ。1年リターンのマイナス幅が上位21本の中で最も小さかった。   ■三菱UFJ国際、ブロガーとの対話奏効 三菱UFJ国際の躍進は、定期的にブロガーとのミーティングを開催し、ブロガーの意見や注文を積極的に取り入れて商品開発に活かすという社をあげての「対話」作戦が奏功した面があるようだ。表彰式で三菱UFJ国際の幹部は「残高が500億円を超えると信託報酬を引き下げるなど受益者還元ができそうなところまできた」と述べた。 ニッセイアセットの幹部は「昨年は監査報酬を引き下げた。今後は売買委託手数料や指数ライセンスの見直しなど業界に率先して『必ず』運用コストが下がるよう工夫する」と明言。楽天投信投資顧問の東眞之社長は「近々、専用のWebサイトを立ち上げて関連する情報開示を行う」と話していた。 ■会場には熱くて重い応援メッセージが充満 イベントは、個人投資家が集まる毎月開催の交流会「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ」の中心メンバーがボランティアで運営。投信ブロガーのrennyさんが運営委員長を務め、地方在住ブロガーのm@さん、かえるさん、ぺて(PET)さんも運営に加わった。 3部構成のイベントの第1部は「リーマン・ショックから10年・つみたてNISAアンケート結果発表」で、rennyさんと一緒に登壇したブロガーのセロンさんが「リーマン・ショックの頃は大学生で厳しい就活に直面していた。ただ、それがきっかけで資産運用をスタートできた」と振り返った。アンケートでは「リーマン・ショック時にも投資を止めずに継続。リーマン・ショック級の暴落が今後いつ来てもおかしくない」といった回答が大半だったようだ。 第2部の「みんなの【声】を聞いてみよう! 個人投資家が注目ファンドに寄せる『熱いコメント』を一挙紹介!!!」は、昨年も好評だった企画だ。ブロガーが投票ファンドに寄せた応援メッセージのうち、約70人分を投資資産の対象別に選んでスクリーンに映し出しながら、ファイナンシャル・プランナーのカン・チュンド氏(しんようFPオフィス代表)とファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子氏の2人がユーモアを交えた軽妙なトークで紹介した。 ひふみ投信について「すべての受益者に対して『あなたはなぜこのファンドを購入しているのですか』ということを改めて問う意味も込めて票を投じることにする」というブロガーの菟道(うどう)りんたろうさんの重い応援コメントが読み上げられると、会場には拍手が沸き起こった。 メインイベントの第3部は結果発表と表彰式。今回は上位5本のファンドについて、応募抽選で選ばれたブロガーが結果を知らずにその場で封を開け発表するという演出で、会場との一体感をかもしだした。プレゼンターを務めたブロガーは5位から順に、てっぺさん、とみますさん、エツさん、くは72さん、くれめんさん。 ■ファンドを育てるイベントへ 運営委員長のrennyさんは「昨年トップを獲得したファンドが9位になるなど順位が大きく変動したのが印象的。米国株式型のファンドとバランス型ファンドがトップ10に2本ずつ入ったのも今年の特徴だ」と総括。「過去に何度も上位入選するも頂点に届かなったeMAXISシリーズが遂にトップを獲得したのは執念を感じる」「低廉な信託報酬を前面に押し出すマーケティングは、まだしばらく続くのかもしれないが曲がり角に来ているのではないか。商品供給側である投信会社にとっても、受益者となる投資家にとっても、ファンドをどのように育てていくのか、という点に今後、注目していく必要があると個人的には感じている」と加えた。 竹川氏は懇親会の挨拶で「新規ファンドの設定や販売、購入に力を入れるのではなく、このイベントを活かす形でファンドを長く支持し、育てて行くように変わって欲しい」と販売会社や運用会社そして投資家にも強く要望していた。 「ファンドを育てる」という理想に向かって、このイベントの影響度がますます資産運用業界に広がろうとしている。 <FOY2018公式サイト> 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2018 <参考> 当日の様子は投信ブロガーや関係者がツイッター(ハッシュタグ:#foy2018)で発信 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、小松めぐみ)

投信、「先進国株」✖「国内REIT」でリスク抑制 18年12月末の相関係数

複数の投資信託に分散投資する際、有効な組み合わせを探すのに便利なのが「相関係数」と呼ばれる統計指標だ。投資対象で区分した「新QUICK投信分類(大分類)」について、2018年12月末までの1年間の相関係数(日次データで算出)と10年間(月次データ)の相関係数をまとめた。 複数の投信に投資する場合、値動きの傾向が違うタイプを組み合わせると分散投資の効果が出やすい。例えば、投資家のリスク選好局面で買われやすい株式に投資するファンドと、逆に売られやすい債券に投資するファンド。この両方を持っていれば反対方向の値動きが打ち消しあって、全体のリスク(価格の振れ幅)を抑えることができる。 有効なファンドの組み合わせは「相関係数」を使うと探しやすい。相関係数は投資対象が異なる2つのファンドが似た値動きをするほどプラス1に近づき、逆の値動きをするほどマイナス1に近づく。ゼロなら値動きの関係がなかったことを示す。相関係数が低いファンド同士を組み合わせると、全体の価格変動リスクを低減しながらリターン向上を狙う分散投資効果が期待できる。 【分類別相関係数(日次1年)】の表で「先進国株式型」を見ると、「グローバル株式(先進・新興複合)型」との相関係数は0.97と高いが、「国内REIT型」とは0.30と低い。「先進国株式型」の投信を保有していて、もう1ファンドを選ぶ場合、「グローバル株式(先進・新興複合)型」を購入するよりも「国内REIT型」を組み合わせた方が、よりリスクを小さくすることができると言える。 【分類別相関係数(日次1年)】12月末時点 【分類別相関係数(月次10年)】12月末時点 出所:QUICK資産運用研究所 ※▲はマイナス。分類は「QUICK投信分類(大分類)」を使用、対象は追加型株式投信(ETF、通貨選択型除く) (QUICK資産運用研究所)

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