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「最後の百貨店として残るためにあのワクワク感をもう一度」三越伊勢丹ホールディングス・大西洋氏

記事公開日 2015/9/30 13:38 最終更新日 2018/1/4 12:04 経済・ビジネス コラム・インタビュー 金融コラム

流通小売業のトップに君臨していた百貨店だが、購買チャネルの多様化や顧客志向の変化などによって経営環境は厳しさを増している。そうしたなか、仕入構造改革や周辺事業の強化に取り組み、リモデルで売場作りに磨きをかける、大西洋・三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長に百貨店の課題と将来像を聞いた。(※この記事は2015年9月15日にQUICK端末で配信されたものです)

「最後の百貨店」として残る…円滑な統合処理に尽力

【問】百貨店の売上高がピーク時の9兆円から今や6兆円にまで落ち込んだ理由をどうお考えですか。

【答】小売全体の業態が多様化してきたことが大きな要因だと思います。駅上の商業施設やカテゴリーキラー(大型専門店)、eコマース(電子商取引)などが出てきて店頭やWEBに百貨店と同じ商品が並ぶようになっても、百貨店は独自性の発揮や、斬新な店作りの提案が弱く、結果的に同じブランドが入り同質化が進みます。そうなると、あえて百貨店で買い物をする理由がなくなります。特に、20代のお客さまが百貨店から一気に離れていきました。

【問】業界全体がダウントレンドにあったことが、三越と伊勢丹の経営統合の背景にあったということですね。

【答】はい。アメリカでは百貨店がかなり早い段階で経営統合していきました。私の前任の武藤信一(元ホールディングス会長、2010年1月逝去)は「日本もそうなって行くだろう」と常々言っていましたし、実際、ミレニアムリテイリング傘下のそごう西武百貨店、エイチ・ツー・オーリテイリング傘下の阪急阪神百貨店、J・フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店などライバル同士の大型再編も相次ぎました。

【問】なぜ、経営統合の相手が三越だったのですか。

【答】関東を中心に出店している伊勢丹と全国区の三越はお客さまの対象が違うので、経営統合により顧客基盤が補完し合えることや、業務の効率化が図れることが考えられました。この他に当時、伊勢丹の社長だった武藤信一と、三越の社長だった石塚邦雄(現ホールディングス会長)が、高校(開成高校)の先輩後輩関係にあったことも大きな理由の一つだったかもしれません。

【問】ご自身は統合にどう関わりましたか。

【答】経営統合に向けて統合準備委員会が結成され、私は伊勢丹立川店長兼務で統合準備委員会のメンバーとなり、その後、三越日本橋本店にMD統括部長として出向しました。当初は驚くようなこともありましたが、とにかく現場に出て、そこで起きていることを言い続けました。その際に「伊勢丹ではこうだった」という言い方だけはしないように気を付けました。

【問】経営統合してすぐ人材交流を行いました。

【答】これはかなり大幅にやりました。最初は文化も違う企業同士が割と強引に経営統合していったということもあって社員間に摩擦や軋轢もありましたが、徐々に雰囲気が変わってきました。当社には現場力を高める仕組みとして職場の約束運動があります。これは会社の企業理念をお客さまのために実現していくための継続的な取り組みで、各お買場(売場の三越伊勢丹用語)がグループになって、全員参加で取り組むテーマを考え、毎年3月に海外を含む全店にある1300ほどのチームのうち、10チームほどの優秀チームの中から最優秀チームを決定しています。去年は三越から伊勢丹新宿本店に来た女性マネージャーのチームが優勝したほどで、三越も伊勢丹も関係ないということを実感しました。

経営統合後、現場の交流は進み、延べ5百人から6百人の社員が三越と伊勢丹の垣根を越え、壁は消えていきました。事業会社統合やシステム統合などいろいろな統合作業を当初予定よりも前倒しで達成することが出来ました。

【問】統合作業と並行してビジネスモデルの改革を進めてきました。

【答】百貨店業の将来の見通しはかなり厳しいと考えています。全国約230店舗の百貨店のうち、おそらく7割は赤字です。地方にはオーナー系の百貨店が多く、不動産収益で百貨店事業をカバーしているという状況で、百貨店の営業利益率は大体2.5%から3%です。各社の経営判断により、従来の百貨店のオペレーションを減らし、場所貸しや不動産事業に傾斜していった百貨店もあります。瞬間的に収益力は上がるので、短期的に見るとアナリストの評価が高くなるのかもしれませんが、当社は日本から百貨店がなくなるとは思っていませんし、百貨店をやめることもありません。出来れば最後の百貨店になりたいと思っています。

売上増見込めない現状…仕入改革で収益率改善に挑戦

【問】そのために仕入構造改革に取り組まれています。着手の背景をお教え下さい。

【答】売上が毎年増え続けていくような時代ではない中で、営業利益率を上げていくためには商品の差益率を上げるか、コストを下げるしかありません。当社では、統合以来コスト削減を推進してきたので今後の余地は物流コストぐらいです。それ以外に考えられる大きなコストは人件費になりますが、お買場に立つスタイリスト(販売員の三越伊勢丹用語)を減らしてしまうと、お客さまの情報が百貨店に入らず、企画力や販売力の低下につながるため、当社ではスタイリストの削減はしません。

では、どうするか。販売価格を上げることで売上総利益を上げることも出来ますが現実的ではありません。営業経費の削減にも限界があるので、仕入価格を下げるしか方法はありませんが、お取組先(取引先の三越伊勢丹用語)に負担を強いることになるので、百貨店サイドが販売リスクを取ることにしました。これまで売れ残った商品はお取組先に返品していたので損失を被らない一方で、低い利益率を甘受していました。この状況を打開するためにお取組先と協議し、在庫リスクを負うことで仕入価格を下げ、利益率を上げる方法に方向転換しました。今年に入ってからもう一歩踏み込んで、お取組先を通さずに自社で生地を仕入れ、デザイナーを探し、工場に持ち込んで縫製してもらうという取り組みを進めています。SPA(製造小売業)そのものを目指しているわけではありませんが、SPAの手法を少しずつ取り入れて、モノ作りにかかわっていこうとしています。全部自分たちでやるのも大変なのでノウハウのあるお取組先と組むことも検討しています。このように仕入構造改革を推進していくことで、売上総利益率の向上を図っていくことが一番の優先事項です。

【問】売上が伸びなくても収益率が上がる仕組みを作るために仕入構造改革に着手されたのですね。

【答】はい。当社では他社にはない独自性のある商品を作るために、どのように付加価値をつけていくかを強く意識していますし、プラスライン(最も売れる価格帯)は絶対に動かさないというポリシーを貫き、絶対的な価値のあるものをお客さまに提供するという視点からも仕入構造改革に取り組んでいます。

【問】SPAの要素を取り入れて開発された自主企画商品は、PB(プライベートブランド)とは違いますね。

【答】PBというのは、お取組先とメーカーとのコラボレーションにより、例えば、スーパーマーケットのオリジナル商品を作るということです。お取組先からすると、全国に売っている自社のNB(ナショナルブランド)とスーパーマーケット向けのPBが店頭に並ぶことになりますが、普通に考えたら、メーカーは自社のNBより商品力のあるPBは絶対に作りませんし、利益率が高いのは圧倒的にNBです。当社の仕入構造改革商品はこのようなPBとは違います。

【問】御社の仕入構造改革の取り組みは売上のどのくらいの割合を占めていますか。

【答】2014年度現在、仕入構造改革の売上シェアは約15%まで伸び、成長を続けています。これを中期的には25%くらいまで高めていきます。仕入構造改革で取り組む自主企画商品は利幅も大きく、利益率を押し上げる効果があります。2011年度からの3年間の累計利益貢献額は約50億円で、2018年度の累計利益貢献額は200億円以上を見込んでいます。

【問】そうなると販売力の強化が重要課題になってきますね。

【答】そうです。在庫が膨らめばBSが傷みます。そのためにも仕入れた商品を早く売り切る販売力が一番重要になるため、スタイリストの労働条件の改善を図っています。例えば、スタイリストのモチベーションを高めるために一部のお買場で売上に応じた報酬制度の導入を検討しています。スタイリストが誇りを持って働くことで販売サービス職に良い人材が集まる。そうやって接客力を向上していきます。この他に付帯業務をやらず一部歩合給、売上で評価されるシニアスタイリストという販売専任職を設けました。今、約20人ですが100人規模に増やしたいと思っています。

営業時間の短縮も実施しました。営業時間を短縮して交代勤務をなくし1直勤務(開店から閉店まで勤務すること)にすれば、お客さまがいつお見えになられても、いつものスタイリストが丁寧なおもてなしをすることが出来ます。引き継ぎのコミュニケーションが不要になり、その分をお客さまの接客に充てることも出来ます。このように、サービスの質の向上を図るためにも営業時間の見直しを行いました。

地方再生の理念重視…採算性低くとも撤退はせず

【問】伊勢丹新宿本店・三越銀座店で開店時間を30分遅らせた時に混乱はありませんでしたか。

【答】10時から10時30分にした時は大変でした。百貨店は長年10時に開店するというスタイルを続けてきたので、お客さまにもそれが深く浸透しています。10時30分に変更してからも、10時には玄関前にお客さまがお待ちになっている状況が続きました。特に、三越銀座店は、歌舞伎座や新橋演舞場に行く時にお弁当を買って行かれる方にも数多くご利用頂いていますので、当初はお客さまからのご批判もありました。現在では従業員のうち7割くらいは変えてよかった、働きやすくなったという評価です。

【問】百貨店への来店を促すために、販売力の強化以外はいかがでしょう。

【答】お客さまがワクワクするような環境・空間を作ることです。これはハード、ソフト両方を全部プラスして、百貨店のあるべき姿として「百貨」をワンストップショッピングで買って頂くことが理想です。ただ、残念なことに、今、伊勢丹新宿本店では、婦人服を買っている方の3分の1しか化粧品を買って頂いておらず、リビング用品はさらに低いという状況です。昔は、日曜日に家族でお洒落をして百貨店に買い物に行く日はワクワクする思いで出かけたものです。家族で百貨店に行けば半日は楽しむことが出来ましたが、現在の平均滞留時間は非常に短く1時間を切っています。

【問】小売業の形態が多様化して選択肢が広がり、百貨店の同質化が進む中で、ワクワク感が次第に失われてしまった。そこに大きな問題がある。一歩足を踏み入れると時間の経過を忘れてしまうような環境・空間がもっと百貨店にあればということですね。

【答】そうです。昔の姿をもう一度取り戻したいですね。そのためにも、さきほど申し上げた環境・空間、スタイリストの思いを通したおもてなし、絶対的な価値ある商品の一層の充実が欠かせません。

もうひとつ言うと、これまでの百貨店の売場は婦人服、婦人雑貨、紳士服の分類でお客さまに商品をご紹介していましたが、これからはアート、音楽、文化、コンテンツ産業などライフスタイル型の分類に変わっていくと考えています。

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【問】新宿のお客さまは伊勢丹に新しいことを期待されています。

【答】伊勢丹新宿本店は、店頭の声を聞いて商品化するマーケットインと、今まで想像もつかなかったような企業とコラボレーションしながらお客さまが潜在的に求めていたニーズにこちらから仕掛けていくプロダクトアウトという2つのアプローチのバランスを考えながら、常に新しいものを発信し、リモデルをし続けないといけません。伊勢丹新宿本店に投資をかけることについて高すぎると言う人は誰もいませんし、「世界最高のファッションミュージアム」というコンセプトを掲げ、毎年数十億円の投資をしています。

【問】リモデルでますます業績好調。東急東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転の開始も伊勢丹新宿本店に追い風ですね。

【答】今まで新宿は乗り換えの手間がかかるので、銀座や渋谷の百貨店へ行かれたお客さまも多かったと思いますが、新宿3丁目まで直通で行けるようになり商圏が広がりました。東横線や田園都市線沿線のお客さまは割と新宿のお店にフィットしていると感じています。

【問】伊勢丹新宿本店でリモデルを繰り返され、今年、三越銀座店では8階1フロアに消費税や酒税などを免除される「空港型免税店」がオープンします(沖縄を除くと本土初)。三越日本橋本店もリモデル実施と伺っていますが、どのようにリモデルされるご予定ですか。

【答】三越日本橋本店のリモデルは2年後になります。すぐそばの室町エリアが再開発され、コレド室町がオープンしてから入店客数は2割増えましたが、売上が伸びていません。それは、コレド室町にいらしたお客さまが三越日本橋本店では買うものがないからです。三越は3百年以上の歴史があるので、お客さまのロイヤリティーは伊勢丹以上に高いものがあります。これまで長年にわたって支えて頂いてきたお客さまを第一に考えることは大切ですが、お客さまの年齢層が高くなっていることは否めません。30代、40代の三越を利用されていないお客さまにも買って頂けるような見せ方や内装に変えていく必要があります。

【問】ということは、ガラリと変えてしまうのですか。

【答】ガラリとまでは行かないと思います。30~40代の若いニューファミリー層が街に沢山お越し頂いているので、三越の売場も約7割は従来のお客さま、約3割は30~40代を意識したものにする。お客さまの中から離反者が出るかもしれませんが、それ以上に新しいお客さまをお呼びすることが出来るという仮説を持ってリモデルをやらないと、大きな成果は望めません。伊勢丹が得意としてきた手法を活用して三越日本橋本店では美術や呉服を強みにして打ち出していきます。

【問】ファッションの伊勢丹新宿本店に対し、三越日本橋本店は文化の側面を強調していくということでしょうか。

【答】三越日本橋本店は、カルチャーリゾート百貨店というコンセプトを掲げています。この店に来たら、お買い物を楽しむことはもちろん、当社が提供するカルチャー、特に、日本文化を楽しんで頂きたいという発想です。カルチャーイコール美術・アートではなく、生き方やライフスタイルに通じるという視点から提案していきます。2016年から2017年にかけて全館リモデルを行い、さらなる増益を目指します。

【問】地方店についてはどうお考えでしょうか。地方店にお金をかけても大きなリターンは期待出来ないから、資本政策や首都圏店舗に回した方が効率的との指摘もあります。

【答】アナリストからは地方店は閉めたらどうか、というご指摘もいただきます。当社の地方店舗の赤字店は松山1店舗だけですが、黒字だからいいということではありません。黒字でも設備の維持をはじめコストが毎年かかり、1店舗に5億円、23店舗合計で100億円超です。その分を地方から首都圏に回すというのは確かに効率的ですが、そう単純ではありません。これだけ地方再生と言われている中で、地方経済が疲弊していることは、三越の店舗のある地元にとって大きな打撃です。三越は地方にお店が多く、ロイヤリティーの高いお客さまが多くいらっしゃるため、店がなくなるということが地元にとってどういうことなのかを考え、地方再生に取り組んでいく必要があると考えています。

【問】唯一の赤字店、松山店の現状は。

【答】お取組先頼みの商品供給で売れ筋商品が入らず、4年前は35億円の赤字でした。経営統合後、支店グループ商品統括部が設置され、一括して商品を発注してグループ店へ供給するという、CPCC(商品のセントラルコントロール)体制が確立し、商品が地方にも回るようになりました。松山店の収益も改善し、PL上は赤字ですが、キャッシュフローベースでは今年度も20数億円の営業黒字の見込みです。

【問】基幹3店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)で地方店の不振を十分カバー出来ますね。

【答】楽観は出来ません。当社連結売上高の90%以上が百貨店業、中でも伊勢丹新宿本店のシェアは約40%と高すぎることはリスクであり、百貨店以外の事業も成長させないといけません。今までグループ企業、周辺事業を百貨店事業と横並びに見ていくということがあまり出来ていませんでしたが、事業のポートフォリオを大きく変えていく必要があります。当社は中期目標に「2018年度営業利益500億円以上の達成」を掲げています。私は個人的には2025年には営業利益は1,000億円を超え、その半分以上は百貨店以外の事業で稼いでいるという将来像を描いています。

かつてのワクワク感を取り戻す…WEB事業にも注力

【問】百貨店事業以外で重点事業をいくつか掲げています。その中で特に重要視している事業は何でしょう。

【答】1つはWEB事業です。いつでもどこでも買い物ができるネット社会の中で、リアルな店舗は確実に減っていきます。テクノロジーの進化はとても速く、自分たちがこの分野に積極的に参加しないと取り残されてしまいます。インターネットを通じてグローバルで戦うことは思い切ってやっていきたいと思っています。

2つ目はスーパーマーケット事業で、百貨店に次ぐ重要事業だと考えています。お客さまとの接点がきわめて密接なデイリー品目を扱っているので、しっかり育てていかないといけません。

【問】先日、リモデルオープン後のクイーンズ伊勢丹笹塚店に行ってきたのですが、店内は広くて清潔。商品も種類豊富。パンやピザを作ってみせることもひとつの特徴です。思わず買って食べたくなりました。

【答】ありがとうございます。リモデルオープンの笹塚店も新規オープンの目白店もグレード感のあるデザイン・内装、商品の見せ方や演出方法のレベルにはまだ課題があり、スーパーマーケットを展開する人材も育っていません。

クイーンズ伊勢丹は首都圏を中心に展開する高品質な食品専門スーパーマーケットとして、お客さまには成城石井さん、紀ノ國屋さんと同じようなイメージをお持ちいただく一方で、郊外に出店していく間に事業の方向性を見失ったのだと思います。クイーンズ伊勢丹はもともと新宿にあった高いグレードの店が原点なので、今後はしっかり立地を絞り込み、品質の高い商品を売って行く方向を徹底していきます。

ただし、単純にリモデルをすると投資コストが発生するので、確実に利益を出していくには突き抜けた店を作らないといけません。有能なデザイナーや感性のある人、例えば、婦人でファッションを担当したバイヤーを登用して、行列ができるような話題性のある店作りをやりたいと考えています。

スーパーマーケット事業には期待をしており、グループ全体の食品事業として戦略的に取り組んでいきます。現在の業績は黒字・赤字店舗の割合が半々で業績はイーブンですが、2015年度は、収益力の高い店舗への集中投資、社内物流システムの再構築、社内従業員教育の徹底などを重要戦略に増益を目指します。

【問】社長ご就任から3年が経ちました。これまでをどう振り返りますか。

【答】統合当初はホールディングスにほとんどの機能が集中していたので、事業会社の社長には情報が入ってこない等の制限がありましたが、今では当時と状況は随分違います。当社は、経営戦略会議での審議を通して方向性を決め、さらに重要事項については取締役会で決議をするというガバナンス体制をとっているので、社長が全ての決裁をするわけではありませんが、少なくとも自分の方針をどんどん発信出来るようになりました。

百貨店が小売業の王様みたいな言われ方をしていた時代もありましたが、日本の小売業全体の売上140兆円の中で百貨店のシェアはわずか4%くらいです。それでも小売業の中でピラミッドの上に位置づけられているのは、百貨店が憧れの業態で、お客さまがワクワク感をお求めになっているからではないでしょうか。環境・空間、スタイリストの思いを通したおもてなし、価値のある商品。それらを最高の形でお客さまにご提供し続けていけば、ワクワク感を取り戻すことが出来る、百貨店をやめることなく、最後の百貨店として存在感を示しながら成長していくことが出来る。そう強く信じています。これからも仕入構造改革や周辺事業の強化に取り組み、お客さまにワクワク感を感じていただけるような売場づくりに磨きを掛けていきます。

 

(聞き手・QUICK情報・コンテンツ本部 岡村健一)

<大西洋氏略歴>
1955年東京都生まれ。麻布高校、慶應義塾大学商学部卒。79年伊勢丹(現・三越伊勢丹)入社。紳士服の販売員からキャリアをスタートし、プロジェクト開発・店舗開発担当となり、この間、海外勤務も経験。2003年新宿本店のメンズ館リモデル・オープンを成功させる。その後、執行役員などを経て、2009年伊勢丹代表取締役社長執行役員に就任。2010年三越伊勢丹ホールディングス取締役となり、2012年2月より現職。三越伊勢丹の代表取締役社長も務める。


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