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投資の「大安」日を発見?マーケットカレンダーで見るアノマリー

記事公開日 2015/10/29 13:04 最終更新日 2018/1/9 16:24 経済・ビジネス コラム・インタビュー 金融コラム

カレンダーをふと見たときにその日が「大安」であれば、「何かいいことが起こるかもしれない」と考える人も多いかと思います。現に大安日には結婚式場の予約も多く入り、宝くじ売り場にはいつもより多くの人がくじを買いに足を運んでいます。反対に「仏滅」に何か新しいことを始める時には、少しばかり不安になる人も多いようです。

同じように、マーケットにおいても株価が上がりやすい日と、株価が上がりにくい日が存在しているのです。

日経平均株価が上昇しやすい日がある

ここでQUICKが提供している、「マーケットカレンダー」を使ってみましょう。マーケットカレンダーとは、日経平均株価の終値の比較で前日から上昇したものを勝ち、下落したものを負け、変わらずを引き分けとして一定の期間を計測し、日別の勝率を算出したツールです。たとえば全期間(1976年~)で集計した10月1日の勝率が50%のとき、40年間で「10月1日の日経平均」が上昇した回数と「10月1日の日経平均株価」が下落した回数が変わらずであることを示します。日経平均が前日終値と同値になる可能性は、コイン投げでいえば、投げたコインがたまたま「直立」する状態に似ています。つまり上下する確率よりも低くなります。

そうすると原則として、上がるか下がるかという二択になります。勝率は試行を重ねるにつれて50%に収束すると考えられることから、日付ごとに値動きのクセは無いようにも思えます。

では実際はどうでしょうか。40年のデータを集積した「全期間(1976~)で集計」で見てみましょう。確かに勝率45%~55%の間に大多数の日付が集まっています。しかしながら、勝率70%を超える日もままあり、2月25日にはなんと勝率80%を示しています。一方、12月23日は勝率27%を示しています。

このような事実から考えうる活用方法としては、勝率の高い日の前日に株式を購入したり、勝率の低い日の前日にポジションを手じまったり、空売りの準備をしたりする等が挙げられます。その反面、勝率が50%に近い場合、「日付に基づく株価の上がりやすさ」という点では不明確であるため、マーケットカレンダーを投資の判断要素として活用することは難しいということになります。

以上より、マーケットカレンダーは勝率が50%から離れていれば離れているほど利益が出しやすいという指標になりうるそうです。

(※10月29日時点、全期間(1976~)で集計)

 

アノマリーの謎…なぜ株価の動きは同じパターンを示すのか

なぜ極端な勝率を出す日付が生まれるのでしょうか。その理由は、実はよく分かっていないのです。このことをアノマリー(Anomaly)といい、金融市場においては「学問的理論では説明できない、経験則に基づいた市場の変化」という意味でよく用いられます。通常はランダムに動くはずの株価が何らかの要因によって、同じパターンの値動きをする局面が存在するのです。

具体的な例を挙げるとすれば「夏枯れ相場」という現象も金融市場におけるアノマリーの一つです。これは、夏の値動きが小幅になる、という意味の相場用語です。「夏にバカンスやお盆といった休暇が集中しやすいことから、市場参加者が減少し、相場も閑散として値動きが期待できないだろう」という経験則がその根拠として挙げられます。

では、マーケットカレンダーで算出される高勝率、低勝率の日付は、何らかの経験則で説明がつくでしょうか。

たとえば営業日ベースの勝率を見ると、月初から19営業日目の日経平均は上昇しやすいことが分かります。19営業日目はほぼ月末。月末には機関投資家による「お化粧買い(保有株の評価額を上げるために買い注文を入れること)」や「配当再投資の買い」が入るとの経験則・憶測が、市場関係者の間には存在しています。

 

 

答えは群集心理?

アノマリーには、それを信じる投資家の投資行動が、市場の流れをアノマリー通りにさせるという側面があります。つまり「信じる人が多いから、その通りに動く」ということです。たとえばテクニカルのチャート分析も、「25日移動平均で反発する可能性が高い」と信じる投資家が多ければ多いほど、そこで押し目買いが入り、実際にその水準で反発しやすくなると考えられます。

このように考えると、何がアノマリーをアノマリーたらしめるのかという根源的な問題は、経験則に対する市場参加者の信頼という心理状態にあるともいえます。理論で説明できないような値動きについて経験則を当てはめて(こじつけて)、それを信じる人が増えれば自然とそれに沿った値動きが再現され、経験則となるのです。

先ほど説明した「お化粧買い」なども、実際にそういった買いが入っているかどうかは未確認のまま、噂や経験則先行で市場関係者が追随買いを入れ、結果としてアノマリー通りの動きになっている、という状況もありえます。

 

「アノマリー予備軍」を見つけ出してみよう

一方、理論や経験則で勝率が合理的に説明できない日付も存在します。このような「お日柄」に対して、どのように考えるべきなのでしょうか。

これまでの話に基づくと、経験則で値動きが説明できないもの、つまり値動きのクセに対する認知や信頼が乏しいものは、厳密にはアノマリーではありません。市場参加者の広い信頼を獲得する前の段階のアノマリー予備軍ともいうべき概念でしょう。

マーケットカレンダーは特殊なツールです。勝率の特異日を分析した結果、説得力のある理由が見つかったり、知る人ぞ知る地味なアノマリーを発見できるかもしれません。また「11月後半の勝率が良いのは米国の年末商戦に向けて明るい話が出てくる時期だからだ」「2月25日の勝率が8割もあるのは、日経225の語呂合わせだ」「12月23日の勝率が3割以下なのはサンタクロースのクリスマスプレゼント代金支払による資金需要に基づく換金売りだ」といった経験則が発見される(こじつけられる)ことにより、アノマリー予備軍はアノマリー化を果たすとも考えられます。

誰かが日付による勝率のクセを発見、分析し、説得力のある背景が説明され、クセを認知・信頼する投資家が増えれば増えるほど信憑性が向上し、アノマリーとして投資判断の材料とされるかもしれません。

皆さんもマーケットカレンダーからアノマリー予備軍を見つけ出し、背景を分析し、自分独自の「大安」日を見つけてみてはどうでしょうか。


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