日本中が熱狂したリオ五輪も閉幕し、季節はもうすぐ秋に差し掛かろうとしていますが、株式市場は未だ「夏枯れ相場」の最中。市場全体に「冷めた」空気が漂っており、株式相場の変動も控えめです。この閑散とした相場は果たしていつまで続くのか。格言では「彼岸底」「5月に売って9月に戻れ」などと言われてますが、今回は過去の統計を基に導き出した「アノマリー」から答えを見出しましょう。
そもそも、夏枯れ相場は本当か?
QUICK Money Worldのマーケットカレンダーを見れば、各月の取引傾向とアノマリーが確認できます。しかし、日経平均株価の過去勝率を基にしたデータなので、売買の「繁忙」「閑散」までは傾向がつかめません。そこで、今回は東証1部全銘柄の売買代金の統計を基に、「取引の多い日」「少ない日」を調査しました。対象期間は、QUICK端末で確認できる1999年から2015年までの17年間です。以下が、調査結果を1つのカレンダー画像にまとめたものです。
この図のつくり方を説明しておきます。一年間のそれぞれの日付について年間の売買代金ランキングをつくります。1999年~2015年にかけての順位の平均値を取得し、その値に応じて繁忙か閑散を判断しています。ランキング順位に基づいて集計したのは株価の上下による売買代金の変動の影響を除くためです。株価が高くなれば、一単位の売買代金も大きくなるためです。
要するに、赤色が濃いほど相対的に取引が多く(繁忙)、緑色が濃いほど取引が少なく(閑散)なる傾向にある日となります。
これを見れば一目瞭然、やはり夏枯れ相場は存在するようです。6月から9月にかけてが、年間を通して閑散期にあたる時期で、特に8月は取引の少ない日が続きます。
夏枯れ相場の一旦の終わりは、9月中旬である9月16日頃です。また、シルバーウィーク直前にあたる9月19日は、特に取引が多くなる傾向があります。
2月から5月に繁忙期が訪れる
夏枯れ相場以外の繁忙期と閑散期についても見ていきましょう。
カレンダーを見てみると、2月から5月にかけて赤色の濃い日が集中して表れます。この時期が繁忙期と言えます。中でも2月29日(うるう日)、5月7日、3月14日は年間で最も取引の多い日となる傾向が見えます。また、1月14日、2月14日、3月14日は前後の日と比較して取引が多くなる傾向があります。これらの日の取引が多くなる理由については、明確な答えが見出せません。いわゆるアノマリー(合理的に説明できない経験則)であると言えます。
意外と大きい「クリスマス」の影響
逆に夏枯れ相場以外の閑散期を探すと、10月の中旬頃と、年末年始の商いが少なるなる傾向が見えます。特に12月25日は、年間でも際立って取引の少ない日です。この日は「クリスマス」のため、外国人投資家が一斉に休み、商いが薄くなると言われていますが、それが統計上でも顕著に表れています。また、外国人はクリスマスから年明けにかけて休暇に入ると言われ、日本人も年末年始に休む傾向があるため、12月25日以降から年明けの1月5日頃までは閑散が続くようです。
なお、これらはあくまでも過去17年間の統計に基づくデータです。経済的なイベントや投資環境の変化等により、アノマリーと反する動きとなったり、傾向が変化する事も考えられますので、過信は禁物です。
(編集:QUICK Money World)