7月15日、2016年最大規模の新規株式公開(IPO)銘柄「LINE」が上場しました。初値は公開価格の3300円を大きく上回る4900円。翌営業日7月19日の終値は3990円で値を下げ、市場は落ち着きを取り戻しつつありますが、依然として投資家の関心を集めている銘柄であります。このレポートでは、流通市場(セカンダリー)での投資でLINEを考える場合の、ターニングポイントとなりうる「イベント」をまとめました。
なお、LINEの業績分析については、先のレポートに分かりやすくまとめてあります。
日米の市場で話題となるLINE上場(イメージ)
1.上場後の決算発表(7/27)
7月27日に、上場後初の決算発表となる、第2四半期決算(2016年4~6月)が発表される予定です。その際、会社予想にあたる第3四半期決算(2016年7~9月)の見通しも発表される予定です。
先のレポートの通り、LINEの投資対象としての魅力は成長性の高さにあり、仮に成長ストーリーが疑われるような見通しが発表された場合は、ネガティブなサプライズとなる可能性があります。
まずは、第1四半期で減収が判明した「ゲーム事業」が、次の四半期でどの程度回復しているのかが注目されるでしょう。なお、「ゲーム事業」には1つ懸念材料があります。
2.Pokemon GOのリリース(7月中?)
LINEにとって収益の柱である「ゲーム事業」の懸念、それは任天堂(7974)のスマートフォンゲーム「Pokemon GO」の登場です。日本では、遅くとも7月中にリリースされる見通しで(本日7月20日にリリースされると一部報道もあり)、既に欧米で社会現象化している状況からみて、日本でも大流行することが期待されています。
Pokemon GOがヒットすると、逆に売り上げが落ち込むのではと危惧されているのが、他スマートフォンゲームの運営会社です。スマートフォンゲーム市場規模は約1兆円ともいわれ、現在は飽和状態にあります。Pokemon GOが爆発的に日本でヒットすれば、他スマートフォンゲームからユーザーが移動するのではとの懸念が広がっており、7月14日に「パズル&ドラゴンズ」を運営するガンホー(3765)、「モンスターストライク」のミクシィ(2121)、「白猫プロジェクト」「魔法使いと黒猫のウィズ」のコロプラ(3668)などスマートフォンゲーム運営会社の株価が、大幅に下落しました。株価が急騰した任天堂とは対照的です。
LINEの収益の柱は「LINE ディズニーツムツム」などがけん引する「ゲーム事業」。Pokemon Goとはゲーム性が異なるものの、強力なライバルの動向には、細心の注意が必要でしょう。
3.TOPIX組み入れ(8/31)
東証1部に上場したので、8月31日のTOPIXリバランスの際、指数に組み入れられる予定です。LINEの時価総額は8000~9000億円、情報・通信業の第8位であり比較的大きく、インデックス運用ファンドからの買い需要が発生するでしょう。
ただし、投資家にとっては既定路線であるため、8月31日より前の段階で株価に織り込まれることが想像されます。
4.ロックアップ解除日(1/11)
LINEの主要な既存株主には180日のロックアップが掛かっているため、上場後から来年1月10日までは、既存株主による売り圧力を心配しなくてもいいでしょう。しかし、解除日の1月11日以降は注意が必要です。ロックアップ解除後に伴い売り圧力が強まるかどうかは、ひとえに、上場時点で全体の9割弱の株式を保有している親会社NAVERの思惑次第であり、1月11日以降の展開は不透明と言えます。
以上が来年にかけてのターニングポイントとなりうるイベントです。LINEは上場まもなく、投信判断できるだけの情報・材料が少ないため、上記に限らず、関連ニュースやIRには常にアンテナを張ることが必要でしょう。
(編集:QUICK Money World)