日経QUICKニュース(NQN)=松井聡
ユニゾホールディングス(3258)が6日、エイチ・アイ・エス(HIS、9603)によるTOB(株式公開買い付け)に反対するとの意見表明を発表した。HISは7月11日からTOBを実施しているが、ユニゾHDはこれまで意見表明を留保していた。折しも、この日は米投資会社によるユニゾHD株の大量保有も明らかになった。「ホワイトナイト(白馬の騎士)」の登場か――。市場で思惑を呼んでいる。
■株価はTOB価格を上回って推移している
ユニゾHDの大株主に突如、浮上したのは「物言う株主(アクティビスト)」として知られる米ヘッジファンド大手のエリオット・マネジメントだ。同社が6日、関東財務局に提出した大量保有報告書によると、5日時点で共同保有分を含め5.51%(188万5700株)保有している。保有目的は「建設的な対話や助言、重要提案行為等を行う可能性もある」としている。
エリオットは2017年、米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)による日立国際電気へのTOBを巡り、株主としてTOB価格の引き上げに成功。存在感を見せつけた。最終的にはTOBに応じ、売却益を得たもようだ。
今年1月に経営統合したアルプスアルパイン(6770)を巡っては、前身のアルパイン株とアルプス電気株を買い増し、経営統合を後押しする立場に回った。アクティビストとしての性格は極めて強い。
果たしてエリオットはユニゾHDに友好的な「ホワイトナイト」なのか。ユニゾHDは日経QUICKニュース社の取材に対し「コメントは差し控える」としながらも「保有については大量保有報告書で初めて知った」(広報担当者)と明かした。
市場では「過去の例から推測すると大量に保有して、TOBの成否に影響を及ぼしたり、さらにTOB価格を引き上げたりするのが目的では」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)との臆測が出ている。
HISはTOBの買い付け期間を7月11日から8月23日までの30営業日としているが、TOB開始以降、ユニゾHD株はTOB価格である3100円を下回ったのはわずか2日。6日終値はTOB価格を460円(14.8%)上回る3560円で、7日午前の取引では一時4%高となる3720円まで買われた。
HISの買い付け予定株数は1375万株だが、現時点でほとんど買えていないとみられ、TOBの成功にはTOB価格の引き上げが必至の情勢だ。そうした「漁夫の利」狙いがエリオットの目的ではとの見方がある。
一方、ユニゾHDは子会社が保有する含み資産の大きい東京・銀座(中央)などの不動産を国内企業に次々と売却している。これが、「クラウンジュエル」を切り離して買収妙味を薄める「焦土作戦」だとしたら、エリオットは高値づかみに終わる可能性もある。