世界の中銀ハトだらけ 強まる緩和期待、御指名ラガルド氏どう出る

世界の金融市場で中央銀行による緩和期待が一段と広がっている。

2日に豪州準備銀行(RBA)が開いた定例理事会で、政策金利を0.25%引き下げて年1.00%にすると決めた。2年11カ月ぶりに利下げした6月に続き、2会合連続で政策金利を過去最低水準に引き下げたことになる。一部では0.5%までの追加利下げがあるのではないかとの指摘もある。市場からは「みんなRBAのようにハト派になっていくのかな」(国内証券)と、FRBや欧州中央銀行(ECB)も金融緩和路線を強めるのではないかと期待する見方が出ていた。

マジックの後は?(Thierry Monasse/Getty Images)

欧州連合(EU)は2日、ブリュッセルで開いた臨時首脳会議で欧州中央銀行(ECB)総裁にフランスのクリスティーヌ・ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事、EUトップの欧州委員長にドイツのウルズラ・フォンデアライエン国防相を指名した。これまで、ECBのマリオ・ドラギ総裁の後任にはタカ派のイェンス・バイトマン独連銀総裁が候補として取り沙汰されていたが、EUの政治力学によってトリシェ総裁以来となるフランス出身のECB総裁が誕生する可能性が出てきた。女性初のECB総裁誕生となる可能性もある。

エバコアISIは2日付のリポートで「ラガルド氏が総裁になれば、ユーロ圏の成長を促す上でより積極的な役割を果たすよう促す一方、金融政策は幅広くハト派に傾くだろう」と指摘した。その上で、9月のECB理事会は「ドラギ総裁による最後のハト派プレーとなりそうだ。10~15bpの利下げ、毎月300億ユーロの新規量的緩和(QE)プログラムの両方が行われる可能性があり、金融政策のフォワードガイダンスは過去のものと異なる措置が取られる可能性がある」と指摘した。ドラギ総裁が6月に追加緩和を示唆したのはECB総裁の後任人事を踏まえ、ハト派路線を継続させたい狙いがあったとされる。

一方、JPモルガンは2日付のリポートで「金融政策に関するラガルド氏の見解は余り知られていないが、我々は彼女は非常に安全な選択だと思っている」と指摘。正式な経済学の経歴を持たず、中央銀行勤務の経験もないわけだが、「フランスの財務大臣を務め、IMFでユーロ圏の危機、ギリシャ救済の対応にも深く関わってきた」と実績を評価。ドラギ総裁ほどハト派的かは不明としながら、IMFがECBの量的緩和(QE)や目標を絞った長期資金供給オペ(TLTRO)、マイナス金利などの政策を支持してきたことを踏まえれば、「考えが近いと思うのは安全で、方向に大きな変化はないだろう」ともみていた。米連邦準備理事会(FRB)だけでなくECBも緩和路線を強めるようだと、日銀としても何らかの緩和策を検討して円安・日本株高を促す施策に迫られるかもしれない。(片平正二)

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