米中の貿易協議に関して、ゴールドマン・サックスは20日付のリポートで「貿易リスクで株式のバリュエーションがどれほど割り引かれるかを理解する上で、我々は貿易緊張バロメーターを開発した」と明らかにした。
同バロメーターによれば、全体的に金融市場がみている現在の貿易戦争によるストレスポイントは2018年後半や2019年初頭の水準を下回っているといい、「米中の双方がダメージを受けるという予測は20%程度だ」という。4月中旬には80%程度だったが、5月5日にトランプ大統領が中国に対して第4段の関税措置をかける方針を示したものの、今月18日にトランプ大統領と中国の習近平国家主席が電話で会談し、米中首脳会談の開催で合意する中で同バロメーターからは緊張緩和がうかがえるとのことだ。
その上でゴールドマンは中国A株のほか、香港取引所上場の中国本土株(H株)に関してオーバーウエイト(買い)の判断を維持した。中国の国内政策の柔軟性、抵抗しがたい投資家の選択性の優位などを踏まえてアップサイドの機会があるというわけだ。
20日の米国市場でS&P500指数は史上最高値を更新して堅調だったが、QUICK FactSet Workstationで日米中の主要株価指数を指数化したところ、最も強かったのは上海総合指数(19.78%高)だった。これにS&P500が続き、日経平均株価やTOPIXは10%以下の上昇率で米中の後塵を拝している。
東証が20日発表した10~14日の週の投資主体別売買動向(東証、名証2市場の合計)によると、海外投資家は現物株を6週連続で売り越した。売り越し金額は1992億円と、前の週(1143億円の売り越し)からやや増加した。出遅れ感の強い日本株をよそに、紛争当事国の中国株に海外勢の関心が高まっている。(片平正二)
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