幅広い用途に使われる建機の需要は、世界経済の温まり具合を示すバロメーター。その先行きに鈍化懸念が広がってきた。
UBS証券が米キャタピラーの投資判断を「買い」から「売り」へと2段階引き下げた。同証券は、グローバルな建機機械への需要鈍化からエンドマーケット(末端市場)が2019年にピークアウトすると見込まれることを、理由に挙げている。また、JPモルガン証券はコマツと日立建機について投資判断を「オーバーウエイト」から「ニュートラル」にして、目標株価を引き下げているようだ。
コマツは目標株価を5400円から3200円に引き下げていて、中国市場のシェア低下、インドネシアの販売減速、中・大型高鉱山機械の受注鈍化を背景に業績予想を下方修正しているもようだ。日立建の目標株価は6100円から3400円に引き下げた。来期以降の建機需要の頭打ちや中国市場におけるシェア低下を予想し、業績予想を下方修正しているもようだ。
QUICK FactSet Workstationで、3社について総売上高に占める地域別エクスポージャーを比較してみた。データはキャタピラーは2018年12月時点、コマツ、日立建は18年3月時点。
キャタピラーは国別では、米国が41.5%、中国大陸が5.1%を占める。コマツは日本が24.7%、中国大陸は6.8%を占める。日立建は、日本が20.1%、中国大陸が12.3%を占める。コマツ、日立建は相対的に中国の比重が大きい。
同様にQUICK FactSet Workstationで、経済圏別の売上げエクスポージャーを比較した。キャタピラーは先進国向け68.4%に対して新興国向けが20.9%。コマツは先進国向けと新興国向けの比率が52.5%と29.8%、日立建は同じく51.1%、39.0%だ。どの地域から減速傾向が表面化するのかについても警戒が必要になりそうだ。(山口正仁、上田誠)
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