【Art Market Review】没後45年で再評価、香月泰男の稀少作品が高値落札

今回は昨年12月7日に開催されたマレットジャパン(東京・江東)のアートオークションについてリポートする。マレットジャパンは主に国内外の近現代アートを取り扱うオークションハウスである。

Sale 2018.12.7(マレットジャパン オークションハウス)
出品数235点、うち落札数177点 落札率=75.3% 落札総額=1億3685万5000円

今回は国内作家の作品139点、海外作家の作品95点、その他1点、合計235点がセールにかけられた。内訳は絵画作品(油彩・水彩)124点、版画作品(写真含む)102点、立体彫刻その他9点となっている。昨年9月に同会場にて行われた前回のオークションと比較すると出品数で30点増加し、落札総額も5102万円増加している。

今回のオークションで注目したのが昭和を代表する洋画家、香月泰男(かづき・やすお、1911~74)の作品である。香月は戦後シベリアに抑留され、収容所で強制労働に従事した。この原体験が、その後の作品制作の主題・背景となっており、1969年「シベリア・シリーズ」で第1回日本芸術大賞を受賞している。

今回のオークションに出品されたのは45.5×27.0cmのキャンバスに油彩の作品「トレド」である。香月は1956年秋ごろヨーロッパに旅行に出かけ、その風景や建物を主題にした作品を残している。この作品も、年記はないが、そういった作品の一連のものとして考えられる。

「トレド」のオークション結果は、落札予想価格70万~100万円に対し上値の1.8倍の180万円で落札された。このシリーズの作品が市場に出ること自体が珍しいという点も、高額での落札の一つの要因になったのかもしれない。

香月の作品は、そのほとんどが国内オークション市場のみでの出品である。2014年以降の国内オークションに出品された68点を分析したACF美術品パフォーマンス指標を見てみると、14年から18年にかけて、趨勢として上昇基調にある。

14年の香月作品の油彩画全体の落札平均価格が約248万円だったのに対し、18年には約620万円に上昇している。各年の落札価格の平均は、落札予想価格の上限平均付近か、それを超えており、香月作品のパフォーマンスの高さを証明している。海外からの日本人作家へのオファーの増加傾向も高パフォーマンスの一因かもしれない。

今年、没後45年を迎え、美術品市場での再評価が進む香月泰男。今後もこの状況が続いていくのか注視したい。

(月1回配信します)

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マレットオークションの次回開催予定は2月28日

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