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イールドハンター、REIT狩りの季節 株式市場からも債券市場からも

国際通貨基金(IMF)は21日、米中貿易摩擦や欧州の低迷を背景に、2019年と20年の世界経済成長率見通しを下方修正した。大手会計事務所が同日発表した、世界の主要企業トップを対象にした経営調査では回答者の3割が「今後1年間で世界景気は減速する」と答えた。景気先行きへの警戒感はなお根強く、買いの手が引っ込みやすいのも間違いない。

外部環境に不透明感がくすぶる中、投資家が着実にリターンを積み上げられる金融商品は何か。足元で注目を集めているのが、不動産投資信託(REIT)だ。株式市場がいまひとつ盛り上がりを欠く一方で、昨年後半から売買が活発化し始めている。特に昨年末から年初にかけて、一段と勢いを増している。

■REITの売買代金(グラフ青、左軸)は増加基調。グラフ赤(右軸)は東証1部の売買代金

(単位いずれも億円、25日平均)

2018年11月30日から1月21日までの1カ月あまりの騰落率をみると、6~7%下落した日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)に対し、東証REIT指数はほぼ横ばい。年初からの株式相場の反発局面では出遅れているが、それでもプラス2%強とまずまずのリターンだ。

盛り上がりの背景は、毎月分配型ファンドの失速を補って余りある、多様な買い手の存在だ。マクロ系ヘッジファンドや年金マネーといった海外勢に加え「年末にかけて売った地方銀行や信用金庫の買い戻しが入っている」(市場関係者)。さらには、地方のJA(農業協同組合)も買い手として動いているとみられる。

資家を引き付けるのはオフィスREITを中心とした良好なファンダメンタルズ。18年12月の東京のオフィス賃料は過去最長となる60カ月連続の上昇と、オフィスは空前の活況を呈する。空室率も低下の一途だ。波は地方にも押し寄せる。福岡で空きオフィスを見つけられなかった企業が周辺地域に営業拠点を設け、わざわざ福岡に出張する事例もあるという。

REITは保有物件からの賃料収入などによる内部成長と、新規の物件取得による外部成長に分けられる。いまは高騰する新規物件の取得が運用利回りの低下につながり、外部成長は見込みにくい。半面、「オフィス賃料の上昇による内部成長の加速が期待できる」(地銀)。賃料改定はたいてい2年に1回で、米中貿易摩擦もすぐに影響するわけではない。

ほかの金融資産と比べた投資妙味の大きさも、REITの支援材料になる。安定した賃料収入などを原資とした分配金利回りと東証1部の配当利回りの差は1.6%。過去をみると東証REIT指数がピークを付けたのは、利回り差が限りなく1%に近づく場面。いまは過熱感を意識する局面ではない。

日銀の金融緩和策も後押しする。TOPIXとの連動性が高かったのは昔の話で、2016年からは日本の長期金利との連動性が強まっている。日銀は、22日から開く金融政策決定会合で、今後の物価上昇率の予測を引き下げるもよう。日本の長期金利に低下圧力が強まる中にあっては、REIT相場が崩れるとの見通しは当面、立てにくい。

■東証REIT指数(グラフ赤・左軸)は10年物国債利回り(グラフ青・右軸で軸を反転%)と連動するようになってきた

(グレーの破線はTOPIX,右軸)

「投資マネーは当然のように、利回りの低いものから高いものに流れる」(ドイチェ・アセット・マネジメントのアジア太平洋リサーチ&ストラテジーヘッド、小夫孝一郎氏)。安定した高い利回りと良好なファンダメンタルズを追い風に、株式市場からも、債券市場からもイールドハンターを引き寄せるREIT市場。活況な地合いは、しばらく続きそうだ。(松下隆介)

■時価総額上位のREIT
銘柄名(証券コード)       予想分配金利回り
日本ビルF(8951) オフィス       2.86%
JRE(8952) オフィス         3.01
NMF(3462) オフィス         4.12
日本リテール(8953) 商業・物流など   4.06
ユナイテッドU(8960) 商業・物流など  4.24
オリックスJRE(8954) オフィス    3.63
プロロジス(3283) 商業・物流など    3.87
ハウスリート(8984) 商業・物流など       4.23
ADR(3269) 住宅           3.33
GLP(3281) 商業・物流など      4.68

(用途は東証REIT用途別指数シリーズの構成銘柄情報を利用)

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