日銀が22~23日に開催する金融政策決定会合後に公表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)で物価見通しを引き下げる公算が大きい。金融政策の変更・修正は展望リポートでの物価見通し修正が「前提条件」になることを踏まえると、金融政策で何らかの微修正があっても不思議ではない。
黒田東彦総裁は2018年12月の金融政策決定会合後の記者会見で、世界経済の下振れリスクに懸念を示したほか、物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するために必要と判断されれば、適時・適切に追加緩和を検討していくと述べた。
■年間6兆円、海外勢の売りの緩衝材に
日銀はブレグジットに揺れた2016年7月にETF購入額を従来比ほぼ倍増の6兆円に引き上げ、2018年7月の金融政策修正時には「資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて買い入れ額は上下に変動しうる」と方針を微調整していた。2018年の投資主体別売買動向では、外国人投資家が日本株を6兆円弱売り越したのに対して、日銀が6兆円強を買い入れたことで相場を下支えした経緯があり、買い入れ枠拡大を望む声は多い。
ただ、足元で相場がやや落ち着きを取り戻していることを勘案すると、ETFの買い入れ枠拡大に踏み切ることは難しそうだ。そこで現実的な路線で考えられるのはETF買い入れ配分の変更だろう。日銀が一部値がさ株の実質大株主になっていることなどを踏まえ、昨年7月の政策修正時にはTOPIX連動型ETFの買い入れ比率を従来の約75.0%から約87.5%へ引き上げた一方で、日経平均連動型は約22.4%から約11.2%に、JPX日経400連動型も約2.6%から約1.3%へ引き下げた経緯がある。
■注目はキーエンスやメガバンク、ファストリやユニファミマ
今回もTOPIX連動型ETFの買い入れ比率を引き上げ、日経平均連動型比率を引き下げる場合は、TOPIX寄与度の高いトヨタ(7203)、三菱UFJ(8306)、NTT(9432)、キーエンス(6861)などの買い入れ比率が上がることになる。特に、キーエンスなど日経平均非採用銘柄や、日経平均寄与度が低いメガバンクなどはTOPIX連動比率の引き上げは歓迎されよう。
その一方で、日経平均寄与度の高いファーストリテイ(9983)、ソフトバンクG(9984)、ファナック(6954)、ユニー・ファミマ(8028)などの買い入れ比率が下がることになる。足元でファーストリテイの下落、任天堂の上昇などが目立つが、このような思惑も背景にありそうだ。(本吉亮)
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