2018年の戌(いぬ)年が終わると、19年は亥(いのしし)年。「亥固まる」という相場格言からは値動きが乏しい印象もあるが、相場はどうなるのか。東海東京調査センターによると、過去4回の平均で東証株価指数(TOPIX)は2割近く上昇した。干支の中でも4番目に高いパフォーマンスだという。チャートを描くと、じわじわと上昇トレンドが続いている。
こうしたアノマリーを知ってか知らでか、主な各証券会社などのリポートを見てみると、日経平均株価やTOPIXは足元の水準から1~2割程度切り上がるイメージが多いようだ。
中でも強気なのはUBS。TOPIXの19年末の目標水準を2000とした。12月のNT倍率の平均値(13.43倍)をもとに試算すると、日経平均では2万6860円となる。企業収益が拡大する一方、配当や自社株買いなど株主還元も増えROEは横ばいを維持。長期金利が0.4%まで上昇する前提で、市場全体の株価純資産倍率(PBR)が1.37倍まで上がると見込む。10月に予定されている消費増税も「増税対策で国内総生産(GDP)への影響は0.5%程度」とみる。
モルガン・スタンレーも強気だ。19年に向けて日本株全体の投資判断を「イコールウエート」から「オーバーウエート」に引き上げ「グローバル株式の中で最も過小評価され、最も魅力的」とした。足元の株価収益率(PER)が低水準で推移しているほか、25年にはROEが世界に追いつき、PBRも2倍に達するという長期的な視点も踏まえ「めったにないほど割安」と分析している。
やや慎重なのがJPモルガン。世界的な中央銀行のバランスシート圧縮によるカネ余り相場の終焉と、世界景気の減速に警戒感を示している。19年度の1株あたり利益(EPS)が1ケタ台半ばの増加にとどまるほか、PERは切り上がっても13倍程度だろうと見込む。PERは市場のセンチメントを反映する指標だ。投資環境や投資家心理が悪化すれば、許容できる水準は当然下がる。「景気、金融政策、企業業績を踏まえると強気になりにくい」としている。
ソシエテ・ジェネラルは、インフレ期待の高まりなどで日本株を魅力的とする一方、20年の米景気後退や米国株安、中国景気の減速、テック株の下落などで、年後半に失速するとみる。19年9月末は日経平均で2万3500円、12月末は2万1400円と、年末にかけての大幅な調整を予想している。
最も弱気なのはメリルリンチ。19年末の日経平均を2万円とし、上昇局面での戻り待ちの売りを推奨している。景気の先行き不安によるPERの切り下がり、海外投資家のポジション解消の継続、消費増税などによる自民党の参院選敗北などを慎重姿勢の理由としている。(松下隆介)
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