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インドネシア、成長のカギ握るインフラ整備 HSBCレポート

HSBCインドネシアCEOスミット・ダッタ氏(写真左)、グローバル・バンキング部門東南アジア統括責任者スティーブン・ウィリアムズ氏(右)がインドネシアの今後の経済成長についてリポートします。

■島しょ国家、エネルギー網や輸送網に大きな制約

インドネシアはアジア通貨危機後の低迷期以来、大きく発展してきた。世界第4位の人口を持ち、現在では購買力平価ベースで世界第7位と、東南アジアでは圧倒的な経済規模を誇る。経済成長率は過去10年間のほとんどの期間で年率5%以上となり、2018年についてもHSBCでは5.2%という堅調な成長率を予想している。

インフラ開発はこのような経済成長の原動力であり、今後もインドネシアの大きな潜在力を一層引き出すうえで極めて重要とみられる。

民族的に多様であり、インドからオーストラリアまで互いに遠く離れた国と領海を接している島国であるインドネシアは、物理的にも経済的にも舵取りが非常に難しい国だ。送電網は断片化しているうえ、1万7000以上もの島々を隔てる海を渡る、もしくは陸路で移動したり輸送したりするのには時間がかかり、負担が大きい。

急速な都市化、気候変動による影響への脆弱性、中部のスラウェシ島を9月に襲った巨大地震と津波のような自然災害の影響を受けやすいため、持続可能かつ効率的なインフラがますます求められている。

インフラ整備は交通、通信、エネルギーなどの接続性および災害レジリエンス(強靭性)を改善させるだけでなく、インドネシアの経済を次の段階へと引き上げることにも役立つはずだ。

■交通、公衆衛生から教育・医療まで

言うまでもなく、これまで急速な進歩が見られた分野もいくつかある。例えば、空路拡充により多くのインドネシア人が遠方の島々と都市の間を移動できるようになった。国内航空路線の旅客数は2005年から3倍以上に増え、昨年は9700万人近くに達している。インドネシアは近いうちに日本を抜いて世界第4位の航空旅客市場になる可能性がある。

インドネシア政府が2015年にまとめたインフラ開発5カ年計画は素晴らしい出発点だろう。この計画には、今年だけで全国で800km以上の道路建設の計画や空港整備、上下水道および公衆衛生の改善などが盛り込まれている。

石油やガスの精製所を改修・拡大する計画もあり、電力セクターでは新たな高電圧送電網を構築中だ。

また、教育と医療の利用拡大に向けた取り組みも進行中だ。これらのソフトインフラは、将来インドネシアの若年人口(3分の1以上が20歳未満)が経済発展に一層貢献するために欠かせない。

■旺盛な資金需要、多様な調達手段が不可欠

資金需要は極めて旺盛だ。5カ年計画のもとで予定されているインフラ・プロジェクトの投資総額は3300億米ドル以上、または今後2年間で目標とされる投資額は約1000億米ドルとなっている。政府および国営企業からの投資ではこの一部しか確保できないため、民間部門ならびに国外からの資金調達が不可欠だ。

中国は自国が掲げる一帯一路構想の一環としてインドネシアのインフラ計画に積極的に関わろうとしており、すでにかなりの資金が流入している。日本や韓国もインドネシアのインフラに多額の投資をしている。法律および資本市場の枠組みを国際基準に合わせるための改革を継続するなど、インドネシアへの投資の魅力と開放性を高めることが政策立案者や規制当局の主な任務となるだろう。

世界経済フォーラムの国際競争力リポートにおいて、評価対象の137カ国の中でインドネシアのランキングが昨年の41位から今年は36位に上昇したことも注目すべき進歩である。

また、インドネシアは急成長分野のグリーンファイナンス(環境問題解決のための資金調達)を主導しており、グリーンボンド国債およびイスラム債(スクーク)の枠組みを定め、今年初めにはグリーン・スクーク国債を世界に先駆けて発行した。こうした取り組みにより、インドネシアは高まるグリーンボンドへの国際的な需要に対応している。調達資金は再生可能エネルギーや持続可能な輸送システムなどの環境配慮型プロジェクトに活用している。

■改善する財政、起業意欲が高い若年層などが強み

他の多くの発展途上国と同様、インドネシアの経済は貿易摩擦やコモディティ価格の変動、さらには世界の投資家心理の影響を受けやすい。選挙を巡る思惑に政策決定が左右される側面もある。新興国市場に対する警戒感から、インドネシアルピアは対米ドルで数年ぶりの安値圏にある。

また、スラウェシ島地震によって、インドネシアが環太平洋火山帯の上にあることで特に地震や火山噴火、その他の自然災害が発生しやすいことが改めて認識されている。

しかし、インドネシアは1997年のアジア通貨危機、あるいは2013年の「テーパー・タントラム」の期間よりもはるかに良い状態にある。依然として経常赤字国ではあるが、政府は持続可能な経常収支に向けた政策をとっている。一方で外貨準備高は増加してきており、対外債務は減少している。

豊かさが増し、都市化は急速に進展している。人口の層が厚い若い世代はテクノロジーに精通しており、過去わずか数年間で多くのインターネット関連のスタートアップ企業を生み出していることも併せて考えると、素晴らしい長期的な経済展望が見えてくる。

持続可能で気候変動に対する耐性が高く、情報通信技術を活用してスマートに運用されるインフラ、そして金融が、今後数年および数十年先にわたってこの潜在力をより一層引き出していくはずだ。

※本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元であるスミット・ダッタ氏、スティーブン・ウィリアムズ氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。


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