世界の株式相場が軟調となるなか、実物資産の裏付けのある金にはゆるやかに資金が逃避している。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心となる19年2月限物は3日ぶりに反発し、前日比10.4ドル高の1トロイオンス1251.8ドルで終えた。7日には1252.6ドルで終え、7月9日以来およそ5カ月ぶりの高値をつけていた。市場の一部では一段の上昇を見込む声がある。
「ブレグジットへの懸念などからさらに上昇余地を探る可能性がある」――あるコモディティアナリストは一段と金相場の上昇を睨む。投機筋はすでにやや上昇を睨んだ動きも見せている。
米商品先物取引委員会(CFTC)が14日発表した11日時点の建玉報告によると、COMEXで投機筋(非商業部門)による金先物の買い越し幅は6万499枚だった。前週に比べて1万1498枚増加し、7月10日時点(8万1434枚)以来の高水準となった。直近の週はロングも小幅に減少したものの、ショートが1万4917枚の大幅減となっていた。
■NY金とCFTCの金先物買い越し幅の比較チャート
個人投資家も金相場の上昇を睨んだ動きをしているようだ。英ロンドンを拠点に個人向けの金オンライン取引を手掛けるブリオンボールトによると、11月に金価格が上昇するなかで個人投資家の保有量が増加していた。こうした現象は2017年1月以来という。
欧州を巡る不安、米中の対立を巡る不安など先行き不透明感は多い。リスク資産から現物資産の裏付けのある金に資金が一気に流入する可能性もありそうだ。(中山桂一)
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