「株式市場のプロ」の予想はどこまで当たるのか 元ストラテジスト岩澤教授、QUICK月次調査で分析

元野村証券チーフ・ストラテジストで現在は名古屋商科大学ビジネススクール教授の岩澤誠一郎氏は、このほど都内で開かれた行動経済学会の大会で「プロ市場参加者の予想のバイアスと市場価格」と題した研究成果を発表した。QUICKが毎月発表する月次調査<株式>のデータを使い、証券会社などのセルサイドと資金を運用するバイサイドの株価予想を比較。投資マインドの変化や予測の正確性などを局面ごとに分析した。過去20年超にわたり、セルサイドがバイサイドよりも「より悲観的で、より予想が間違っている」タイミングが株式相場のボトムだったことを証明した。

※岩澤教授の研究リポートの詳細はこちら

セルサイドの方がバイサイドの予想より楽観的な傾向があると話す岩澤教授。正確性はだいたい同じという

QUICKの月次調査では、証券会社や投信、信託銀行などに所属する市場関係者200人を対象に毎月、向こう6カ月の日経平均株価の予想などを聞き取っている。岩澤教授は1994年4月~2018年2月までのデータをもとにセルサイド、バイサイドそれぞれの予想リターンを算出し、実現リターンと比較。実現リターンから予想リターンを差し引いた値を「予想の誤差(絶対値を利用)」と定め、以下のように分類した。

【予想リターン】
セルサイド>バイサイド セルサイドの投資マインドがより楽観的
セルサイド<バイサイド セルサイドの投資マインドがより悲観的

【予想の誤差(絶対値)】
セルサイド>バイサイド セルサイドの予想がより不正確
セルサイド<バイサイド セルサイドの予想がより正確

この4つを組み合わせて日経平均株価のチャートにそれぞれ落とし込み、4つのグラフを作成した。セルサイドがバイサイドよりも「悲観的で予測がより不正確」だった局面は過去に9例あり、いずれも上昇局面に入る前の大底圏だった。「いつも強気なセルサイドが『もう株はダメだ』と悲観的になり相場の先行きを下方向で見たときがボトム」と判断できるという。

※セルサイドがバイサイドに比べ「悲観的で予想がより不正確」だったタイミング(網掛け)と日経平均株価

セルサイドがバイサイドよりも「楽観的で予想がより正確」だったのは89例。いずれも、相場が上昇局面に入るタイミングだ。「上げ相場の初期にセルサイドが強気なら、傾聴に値する」という。一方、セルサイドの意見が当てにならないのは下げ相場だ。セルサイドがバイサイドよりも「楽観的で予想がより不正確」だった146例のほとんどは、下落局面だ。セルサイドは弱気相場でも強気バイアスがかかりやすいが、過去のデータを振り返ると「たいてい間違っている」との結果になった。

証券会社の一部では、6カ月後の日経平均株価の見通しを2万4000円前後と、足元から10%程度切り上がるイメージを描いているもよう。10日発表の11月の月次調査によると、バイサイドも含めた市場参加者は6カ月後に2万3034円になると予想している。研究成果の通りになるのか、今回は違うのか。6カ月後の株価水準に注目だ。(松下隆介)

※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

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