インドネシア、タクシー会社がドライバー流出に直面 政府、配車アプリを後押し

  • QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。(※本記事は2016年3月23日にQUICK端末で配信された記事です)

成長中の配車サービスアプリにタクシー事業従事者は抗議

インドネシアの通信・情報技術省は15日、配車サービスアプリの国内での営業を禁止しないことに同意したと発表した。今回の発表は、政府が成長中の配車サービスを容認する方向に態度を切り替えたターニングポイントとなったが、インドネシアのタクシー運営大手ブルーバード・グループ(コード@BIRD/JK)やエクスプレス・トランシンド・ウタマ(コード@TAXI/JK)のような従来のタクシー事業者に対し、圧力が強まることになるだろう。
 ジャカルタのタクシー運転手らは14日朝、米サンフランシスコに本社があるウーバーとマレーシアのグラブタクシーという2つの人気のある配車サービスアプリの禁止を政府に要求する大規模な抗議を行った。インドネシア運輸省はそれに応じ、そうしたアプリは未認可の一般車が公共交通を提供することを可能とするもので、これは現行の道路交通法では違法と主張し、通信・情報技術省に対してそうしたアプリを禁止するよう正式に要請した。
 配車アプリの事業者側は、個々の運転手のサービス提供には協力していないとして、道路交通法違反を否定している。代わりに事業者側は、道路交通法で認められている地場のレンタカー会社と提携した。グラブ・インドネシアのリツキ・クラマディブラタ社長は「グラブはドライバーと乗客を結ぶ技術企業だ。グラブは輸送サービスの提供者ではないし、いかなる車両も保有していない」と述べた。

タクシー業界は明暗分かれる…ブルーバードは増益

ルディアンタラ通信・情報技術相は、グラブの姿勢に同意したようで、同省はグラブの営業継続を認めるだろうと述べた。同相は「これは配車サービスアプリを禁止する・禁止しないという話ではない。テクノロジーは中立なものだ。根本的な問題は、その事業と政府、顧客すべてがウィンウィンの関係となる解決法をもたらすように、いかにわれわれが輸送事業を再編するかだ」と述べた。
 同相はまた、ジョコ・ウィドド大統領は原則的に輸送事業におけるオンライン・イノベーションに賛成の立場で、その成長を支援し、強化するよう、既存の規制の見直しを各大臣に要請したと語った。これは昨年12月にジョコ大統領が、バイク版配車サービスのゴージェックを禁止する運輸省の決定を覆した事を考えれば、驚くに値しない。
ウーバーや競合相手のグラブは、簡単な依頼・支払システム、比較的安価な乗車料、平均以上のサービスにより、インドネシアの利用者の間で支持を獲得している。エクスプレス・トランシンド・ウタマは、それらのアプリがもたらした競争激化の犠牲となり、昨年1~9月の利益は90%近く落ち込んだ。一方で競合するブルーバードは同じ運命を逃れ、営業台数の多さがもたらした収入により16%の増益を記録した。

大手タクシー事業者株価比較

 

米ウーバーへの人材流出も

しかしタクシー事業者は、自社のドライバーが辞めてウーバーやグラブに移り、自社の拡大能力を損なっている状況に直面している。エクスプレスのドライバー、カヒョノさん(50)は、同社との契約が7月に切れた後、ウーバーかグラブに登録することを考えているという。「今は稼ぐのが大変。ウーバーが上陸してから、1日当たり売上の30~40%を失っている。今運転しているこのタクシーの車両代を完済したら、ウーバーに移ると思う」とカヒョノさんは話した。
 セセップさん(46)はブルーバードで13年間運転した後、半年前にウーバーへ移った。「ここの方が収入も良いことから、ウーバーで運転したい。私のタクシー乗り場の運転手たちも数百人単位でウーバーへ移っている」と話した。
ブルーバード広報部門のトップ、テグン・ウィジャヤント氏はこの件についてコメントを控えた。
【翻訳・編集:NNA】

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