日銀が23日に市場関係者と開く「市場調節に関する懇談会」を前に、国債買い入れオペ(公開市場操作)見直しの観測が浮上している。市場機能の改善に向け、参加者の間で有力なのが国債入札翌日の買いオペを見送るのではないかというものだ。議題にあがれば現実味が増しそうで、来週の懇談会に関心が高まっている。
関係者に「オペ懇」と呼ばれるこの懇談会は年2回開かれ、日銀の担当者と金融機関の市場部門関係者が参加する。昨年2月の会合ではオペの日程の事前通知が話題となり、その後日銀は毎月末に日程も含めた運営方針を明らかにするようになった「実績」がある。
今回の見直しの候補としては、財務省による国債入札の翌日は入札のあった年限の債券を対象としたオペを見送るとの観測がある。この説を有力視するみずほ証券の上家秀裕マーケットアナリストは「市場に出回る時間が長くなるため、流動性向上につながる」とみている。入札翌日にオペをしなければ「国債を多めに応札しても『翌日のオペに持ち込めば良い』との安心感がなくなるため、金利上昇要因となる」との見方もある。
日銀のTB(国庫短期証券)オペは3カ月物TB入札がある場合は翌営業日にオペを実施してきた。だが、10月はこの「暗黙のルール」通りではなくなっている。この変化が、国債でも入札翌日のオペを見送るとの観測につながっている。
オペの回数を減らしたり、オペ予定日を非公開化したりする説も市場にはある。予定日の非公開化は、不確実性が強まり、相場の変動率(ボラティリティー)が上がる可能性が高い。だが「債券相場の動きが『日銀のオペ日当てゲーム』のようになる」(国内証券の債券担当者)との懸念があり、否定的な見方もくすぶる。
日銀は7月末に金融緩和継続のための枠組み強化を打ち出したばかり。そのため今回のオペ懇については「政策変更後の市場動向の意見交換にとどまる」(大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジスト)との見方も少なくない。
だが、再び膠着感を強める債券相場に変化を求める市場関係者は多く、その期待が今回のオペ懇への関心を高めている。
〔日経QUICKニュース(NQN) 矢内純一〕
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