米中摩擦の映し絵、弱い「豪ドル」 対円で1年10カ月ぶり安値に

外国為替市場でオーストラリア(豪)ドルの弱さが鮮明になっている。トランプ米大統領が追加の対中制裁関税に意欲を示す中、通商摩擦の激化により最も打撃を受けるのは中国への依存度が高い豪経済、という見方が改めて広がっているのだ。

3日の東京市場で、豪ドルは対円で一時1豪ドル=79円53銭近辺と2016年11月以来の安値、対米ドルでは1豪ドル=0.7166米ドル近辺と16年12月以来の安値を付けた。資源産出国の通貨として豪ドルとともに語られるカナダドルや、同じオセアニア通貨のニュージーランド(NZ)ドルに比べても安い。対NZドルは8月上旬には1豪ドル=1.11NZドル台だったが、足元では1.09NZドル前後まで下げている。

豪州にとって中国は日米と並ぶ重要な貿易相手国。「稼ぎ頭」の鉄鉱石や石炭だけでみれば圧倒的なお得意先だ。原材料をたくさん使う中国の製造業が米中摩擦によって失速すればてきめんに響く。

輸出が細っても国内で補えるのなら問題はないが、足元では豪国内情勢にも不透明感が生じている。豪統計局が3日に発表した7月の豪小売売上高は増加の市場予想に反して横ばいにとどまったほか、8月末発表の7月の住宅建設許可件数は市場予想以上に落ち込み、市場に驚きをもたらした。

さらに大手を含む一部金融機関が8月末、収益改善のために住宅ローン金利の引き上げを発表した。利払い負担が家計を圧迫し、個人消費を抑制すれば物価も上がりにくくなる。市場では「豪中銀の利上げも遠のくとの思惑が広がっている」(ナショナルオーストラリア銀行の柏木新一市場営業部部長)という。

あさって5日発表の4~6月期の豪国内総生産(GDP)は、前期比で0.7%増、前年比で2.8%増と1~3月期の1.0%と3.1%からの伸び率鈍化が見込まれる。足元の経済指標を踏まえ、下振れに身構える関係者も少なくない。

市場参加者が意識する豪ドルの下値メドは、対円では16年秋の米大統領選挙直後に付けた1豪ドル=77円前後。対米ドルでは「きょう付けた安値水準(0.716米ドル台)で踏みとどまれなければ厳しい」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長)との声があがっている。米中の報復関税の応酬が収まる気配は今のところなく、豪ドルはもう一段下値を探る展開を想定しておく必要がありそうだ。

【日経QUICKニュース(NQN ) 蔭山道子】

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