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「外為ルール、全ての市場参加者が遵守を」 東京市場委の星野議長に聞く

ロンドン市場などで不正な外国為替取引が発覚したのをきっかけに、各国の中央銀行と民間の外国為替市場参加者が外為業務の統一ルール「グローバル外為行動規範」を策定し、1年あまりがたった。東京市場の透明性と効率性の向上のため規範遵守の輪を広げようと、東京外国為替市場委員会議長として陣頭指揮をとる星野昭氏(三菱UFJ銀行シニアフェロー・金融市場部共同部長)に、活動の意義や今後の方針などを聞いた。

※QUICKは8月30日に東京・日本橋の本社で「外国為替セミナー」を開きます。星野氏と日本銀行為替課長の廣瀬敬久氏が講演し、パネルディスカッションでは外為業務の行動規範や新しいベンチマークの重要性などを討議します。お申し込みはこちら

――グローバル外為行動規範を遵守する意思を表明した国内の市場参加者は7月末時点で107社に達し、世界全体の3割弱を占めるまでになりました。

「現時点でほかのどの国・地域よりも数多くの遵守の意思表明を得ている。グローバルに見ても、銀行のほか、資産運用会社や生損保、事業法人など幅広い場参加者が意思表明しているという意味が大きい。規範は全市場参加者が対象であり、ヘッジファンドを含む幅広い市場参加者だ。多くの市場参加者が遵守意思表明書にサインするには、雰囲気づくりが重要になる。銀行だけでなく、いわゆるバイサイドにあたるエンドユーザーがサインすることで、自分もサインしなくてはいけないというムードを広げていきたい。いわば外堀を埋める作戦だ」

――ルールづくりの機運が盛り上がったきっかけはなんですか。

「2013年にロンドン市場などで為替相場の指標価格を不正に操作したり、顧客の注文を利用して自己ポジションを仕込んで収益を上げたり、ということが相次いで発覚した。こうした市場操作が行動規範づくりのきっかけの一つになっているのは間違いない」

「もう一つ大きな流れとして、OTC(相対取引)をどうすべきかという議論があった。リーマン・ショック後の2009年にOTCのカウンターパーティーリスク(取引相手先リスク)が強く意識されるなか、OTCを残すか取引所にするかという2つの意見が出てきた。クロスボーダーの外為を取引所で取引するのは難しいので、OTCを維持するためにルールを整備し、仕組みを強化しようということになった。OTCの外為のルールづくりは、エポックメイキングな取り組みだ。ほかのマーケットにも同じように展開されていくと思う」

――行動規範は中身がかなり詰め込まれています。

「いろいろな原則を盛り込んでいる。網を大きく広げ、その網の目を細かくした。たとえば、原則17は電子取引で顧客から受けた注文が不利に動いた場合に拒否できる慣行『ラスト・ルック』を取り上げた。ラスト・ルックを採用する市場参加者は、透明なかたちでそれを適用するとともに顧客に適切に開示すべきだ、とうたっている。電子取引はミリ秒単位なので、相手先と取引を締結する前にカバーをとるといったように、注文を受けて執行するまでの一連のプロセスの順序をひっくり返すことさえできてしまう。わずかなアドバンテージ(有利)をものにしようという市場参加者が遵守意思表明書にサインしない理由は、ここにある。遵守意思表明書にサインしてしまえば、彼らのストラテジーが崩壊してしまうところもあるからだ」

――行動規範は時流に応じて見直すそうですが、次の重要なテーマは何でしょうか。

「我々も含め市場参加者はアルゴリズムトレーディングを使っているが、アルゴが暴走するリスク、想定通りに動かなくなるリスクなど、コンティンジェンシーを含めたリスクガバナンスが大きなテーマになってくる可能性があると思う。フラッシュクラッシュ(瞬時の急落)をできるだけ起こさないようにすることと、起きた時の対応も今後のテーマになるだろう。昔はいったん『ダン(取引成立)』と言ったら『ダン』というのが外為市場のカルチャーで、取引を取り消すのは恥だった。最近はいろいろな市場参加者がいる。フラッシュクラッシュで相場が大きく動いた際、どこまで取引が正しいのか、どこまで取引を締結させるのかが議論の対象になるだろう」

――6月に世界各国の中央銀行や外為市場委員会で構成するグローバル外為市場委員会の副議長に就任されました。

「グローバル外為市場委は、東京やニューヨーク、英国、香港、シンガポール、オーストラリアなど16カ国・地域の外為市場委がメンバーになっている。今年6月にはジョージアがアソシエイトメンバーとして加わった。7月にはロシアからメンバー申請があり、いま手続き中だ。参加国・地域が広がっている。委員会のワーキンググループの議論を事務局役の日銀、ニューヨーク連銀、英イングランド銀行の3中銀が吸い上げ、議長と副議長を交えて、新たなルールを決めていく。大変意義深く、その役目は大きい」

(聞き手はナレッジ開発本部 大谷篤)

 

 


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