2018年4~6月期の決算発表は今週末がピーク。QUICKが情報端末や特設サイトで提供する分析ツール「決算スコア」への関心も高い。決算スコアは、決算や業績予想の上方・下方修正がどの程度株価にインパクトを与えるかを統計的に算出する。決算発表の数秒後には算出されるため、内容を素早く見極めるのに強みを発揮する。
決算スコアはいくつかの手順を経て算出する。まず、発表された決算内容を①前期実績比②会社予想比③市場予想(QUICKコンセンサス)比で評価・分類する。それをもとに、過去10年間の決算・株価の反応と比較して株価へのインパクトを予測し、決算発表がザラバ(取引時間中)の場合は当日の株価騰落率、大引け後の発表の場合は翌営業日の騰落率を計算する。株価は決算数値の良し悪しだけでなく、市場の想定や織り込み度合いによっても変わるため、算出にあたっては株価の移動平均との乖離率も加味する。
決算スコアと発表後の株価の動きを実際に見てみよう。画像は東証株価指数(TOPIX)500の構成銘柄のうち、7~8日に決算を発表した銘柄の決算スコアのランキングだ。
9位の島津製作所(7701)は、決算スコアの予測値と株価の動きがおおむね一致した。7日の引け後に決算を発表し、決算スコアは2.12。翌営業日である8日に2.12%の上昇が見込まれるという分析だった。実際、翌営業日は前日比3.2%の上昇だった。主力の計測機器事業が中国や欧米で好調で、好決算に株価が素直に反応した。
一方、8日のザラ場に決算発表した資生堂(4911)は、決算スコアは3.10で3位だったが、異なる結果となった。当日中に3.10%の株価上昇が見込まれる好業績ではあったが、実際の終値は4.4%安と下げで反応。市場予想を下回ったことで利益確定の売りに押された。「バリュエーション(投資評価)が割高」(国内ファンドマネジャー)との声も聞かれた。
決算スコアは過去のデータをもとに算出した指標であり、銘柄への評価が反転するタイミングでは株価の反応が必ずしも一致するわけではない点に注意が必要だ。資生堂株は9日終値は8140円と、決算前の7896円を上回って推移。見直し買いが優勢となり、決算スコアの方向性に沿った動きを示している。
10日は542社の発表が集中する。見るべき業績項目は数多く、企業や業界によっても異なる。QUICKは、決算スコアをはじめ、業績を迅速に分析するのに一役買う各種ツールを用意している。(QUICKナレッジコンテンツグループ 伊藤央峻)