波乱の2月相場、3月は落着きを見せ始めたが…
日経平均株価が一時1万5000円を割り込んだ2月の波乱相場が終わり、3月は落着きを取り戻しつつあります。特に3月2日、日経平均が前日比661円高で取引を負えたことに回復の兆しを見て取る声があります。
3月に入ると米景気に対する懸念が薄れ、株価下落の要因のひとつである円高ドル安進行が落着きを見せ始めたからです。日経平均の大幅高の前日3月1日、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した2月の製造業景況感指数が市場予想を上回り、米景気の不透明感が後退しました。
QUICKスコアで見る銀行株の割安さをどう見るか
この急落局面で割安となった株を探そうとしている投資家もいらっしゃると思います。QUICK株サーチを見ていると、「お買い得感のある株」として三菱UFJ(8306)、三井住友FG(8316)などの銀行株が出てきます。
国内最大のメガバンク、三菱UFJについて詳しくみてみましょう。 まず「割安度」のスコアが10と高く、さらにプロのアナリストの投資判断の平均値である「QUICKレーティング」は+1.64と強気ゾーンとなっています。三菱UFJも含め、銀行系の株価が割安となっているのは、2016年2月半ばから日銀が導入したマイナス金利の影響とされています。金利の低下が利ざやの縮小につながると考えられているからです。
2月中旬に500円台を割った三菱UFJ株は現在、530円台まで値を戻しています。スコアの「為替」が10と、為替の影響が大きいので、今後も円安が進むにつれて、下位の流れが続く可能性もあります。しかし注意しておきたいのは、株価の変動率を示す「リスク」のスコアが10と高い、つまり株価が大きく動きやすい株だということです。今回の銀行株の戻りは、必ずしも、マイナス金利が銀行に与える影響の懸念が和らいだものとは言えません。あくまでも、円相場の下落と日本株全体が底上げされたことによるものとみるべでしょう。短期的な上昇として注意する視点も重要です。
割安度の高さも、「株価がどれほど乱高下するか分からないので手を出しにくい」ということの現れと考えることもできます。
株価の戻りは続くのか?マイナス金利の相場に与えるプラス面
株価の値上がりは今後も続くのでしょうか。日本の銀行株については、マイナス金利の影響に対する懸念が払拭されないうちは短期的な株価上昇であるかもしれない、という可能性を指摘しました。では、日本株全体においてはどうでしょうか。
まず、続々と発表されている米国の経済統計ですが、堅調な内容なものが多く、米国経済に対する懸念は2月ごろよりも、かなり楽観的になっていると思われます。米国株上昇の追い風があれば、日本株全体も当分は上昇するものと見込まれます。
また、日本株上昇の根拠は欧米の株価上昇だけではありません。3月が決算期の日本企業の間で、4月から5月にかけて、自社株買いの動きが広まるものとみられています。マイナス金利の恩恵で資金調達金利が低下した上場企業が、低利で調達した資金を使い、自社株買いを進めるのでは、との分析も多く出ているためです。米国への過度の不安の後退と、自社株買い期待で、日経平均もひとまず回復の動きに転じるのではないでしょうか。
編集:QUICK Money World