満身創痍の地銀株にも選別の芽 前向き評価、持たざるリスク意識

超低金利などを背景に地方銀行の厳しい経営環境が続いている。投資家からは地銀業界全体に弱気の目が向けられているが、4~6月期決算の発表を前にアナリストの間では一部の地銀に対し「持たざるリスクが意識され始めている」との前向きの評価がある。地銀でも買える銘柄を選別しようという兆しが出てきた。

18日付のリポートで一部の地銀について「持たざるリスク」を指摘したJPモルガン証券の西原里江シニアアナリストらは、なかでもふくおかFG(8354)と千葉銀(8331)について投資判断を最上位の「オーバーウエート」に据え置いた。ふくおかFGは預貸利ざやの縮小が他行より早いペースで下げ止まるとみており、千葉銀は法人向け手数料ビジネスの伸びなどを評価する。

十八銀行(8396)との経営統合に向けた審査が長引いているのに目が向きがちなふくおかFGだが、モルガン・スタンレーMUFG証券の長坂美亜アナリストらも買いを推奨する。11日付のリポートでは「独自の事業モデルを有する地銀も存在する」とし、ふくおかFGのフィンテックを生かした事業への積極的な取り組みを評価する。同社はスマホにプラットフォームを確立するiBank事業を推進し、口座アプリのダウンロードが増加している。スマホを通じた即時決済サービスも導入した。

SMBC日興証券の佐藤雅彦アナリストらは19日付で、一部の地銀の4~6月期決算について「株式売却益などで(通期計画に対する純利益は)高めの進捗率になる」と見通す。特に任天堂(7974)の大株主である京都銀(8369)については、株式配当の受け取りで純利益の進捗率が3カ月間にもかかわらず4割前後に達すると予想している。ふくおかFGと京都銀は7月31日に4~6月期の決算を発表する予定。千葉銀は8月6日に予定している。

シェアハウス問題が表面化したスルガ銀行(8358)や水増し融資が発覚したコンコルディアFG(7186)傘下の東日本銀行など悪いニュースが続き、地銀をひとくくりに「買えない業界」とみる投資家は少なくない。今年に入ってからの株価は20日時点でふくおかFGが10%安、京都銀が14%安、千葉銀が20%安と同期間の東証株価指数(TOPIX)の4%安と比べ地銀株の低迷ぶりは目立つ。だが、株価の反発を狙った選別物色の芽は生まれているようだ。

【日経QUICKニュース(NQN) 矢内純一】

 

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