米企業決算キックオフ 2割増益の見方、貿易摩擦どこまで影響

米国企業の2018年4~6月期(2Q)決算発表が今週13日のJPモルガン・チェースら金融大手から実質的にスタートする。米中の関税戦争が6日に発動(Kick in)された後はいったん出尽くしの動きで株式相場は堅調。ゴールドマン・サックスは9日付のリポートで「米中の貿易紛争がここ数週間マーケットで関心を集めていたが、我々の分析によればマクロレベルでは影響は穏やかなものにとどまりそうだ」と指摘した。追加関税によって輸出入が共に同じ量で減少することが見込まれるため、国内総生産(GDP)や雇用への直接的な影響は限られるという。決算シーズンの開始(Kick off)を受けて業績相場に移行できるかどうかが、7月相場のトレンドをみるポイントになる。

ファクトセットの6日付のリポートによれば、S&P500種株価指数ベースの2Qの1株当たり利益(EPS)は前年同期比20%増と見込まれているという。3四半期連続の増益となるが、1~3月期(1Q)の実績値(24.8%増)は下回ると見込まれている。もっとも近年では、S&P500ベースのEPSは実績が市場予想を上回る傾向にある。

内訳では11業種すべてがプラス成長と見込まれ、7つのセクターでは2桁成長が見込まれる。エネルギー、マテリアル、通信サービス、情報技術がEPSのけん引役になるという。売上高も11業種すべてがプラスとなり、エネルギー、マテリアル、情報通信が2桁成長になるという。注目の情報通信では、アドバンスト・マイクロ・デバイスやツイッターが10%超の大きな伸びとなる一方、EPSの指数ウエイトが高いマイクロソフト(1.00→1.08ドル)も大きな伸びとなる見込みだ。

現在、S&P500の予想株価収益率(PER、1年先)は16.2倍ほどで、5年間の平均値(16.2倍)並み。過去10年の平均(14.4倍)を上回り、各国市場と比べて相対的な高さは否めないが、S&P500が史上最高値圏で推移している割にバリュエーションの割高感は年初と比べて薄れている。今回の決算シーズンに先立ち、109社が2Qの業績見通しを発表したが、市場予想の平均値を下回るEPS見通しを出したのは62社(全体の57%)で過去5年の平均(72%)を大幅に下回っているという。トランプ政権の貿易紛争懸念が相場の重しとなっているが、ガイダンス・リスクが低下していることも含め、大規模減税などを受けて企業業績は2Qも好調とみられている。

<S&P500(青・左軸)と予想PER(赤・右軸)の2年チャート>

(注)週足、QUICK FactSet Workstationより

ゴールドマンの6日付のリポートによれば、好業績を受けて米企業による自社株買いは前年同期比で30%増えることが見込まれるという。配当は同8%増える見込みといい、税制改革の好影響による増益を踏まえて米企業は配当よりも一時的な自社株買いを好むとみられる。今年の米株式市場の下支え役となっていた自社株買いが引き続き入れば、需給的には安心感が出てくる。(片平正ニ) 

<今週(10~13日)の主な米決算発表銘柄>

 

※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

QUICKでは米国株の決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

関連記事

  1. ネトフリ決算で嫌気されたある数字 時間外で急落、関連銘柄に波及

  2. 米金融株ETFが12日続落 長期金利低下で金融株に逆風

  3. 恐怖指数の連鎖高、貿易不安が世界拡散 日本も欧州も米ハイテクも火の粉

  4. 米ツイッターが7日続伸 「サッカーW杯の重要性が一段と増す」

  5. 米10年金利いよいよ3%目前 ドルも全面高、108円後半 【US Dashboard】

  6. 米ハイテク株、軒並み急落 エヌビディアが7%安、テスラ8%安

  7. ビットコインが6%安 ツイッターも広告規制準備か

  8. 米金利低下・金融株売りに透ける薄気味悪さ 強まる貿易紛争の横風

人気記事ランキング

  1. 登録されている記事はございません。

アーカイブ

PAGE TOP