話題のIPOも前人気低調 スマホの小米につきまとう不安

中国スマートフォン(スマホ)大手の小米(シャオミ)が9日に香港取引所に新規上場する。世界のテクノロジー企業の新規株式公開(IPO)としては2014年のアリババ集団以来の規模だが、事前の投資家人気は低調だ。スマホ市場の成熟や低価格戦略が先行きの懸念につながっている。年後半に相次ぐ見通しの香港での他の大型上場にも影響を及ぼしそうだ。

海外メディアによると小米は前週、公開価格を仮条件の下限だった17香港ドルに設定した。売り出し分を含んだ資金調達額は47億米ドル(約5200億円)と、当初目指していた100億米ドルからは半減する。3日の上場前の相対取引(グレーマーケット)では、その公開価格も下回る1株16.15香港ドルで取引されたと伝わっている。

ハンセン指数など香港株式相場の下げ基調を勘案したとしても、投資家の反応は芳しくない。香港での一般投資家向け公募で、株数に対する応募の超過倍率は8倍台にとどまった。昨年以降に香港上場した主要なテクノロジー企業で医療アプリの平安健康医療科技や電子書籍の閲文集団は倍率が600倍を超える人気となっていたのと対照的だ。

「中国の機関投資家からは、小米は上場の最適な時期を逃したとの声が聞かれる」(岡三国際の小泉めぐみストラテジスト)という。米IDCによると17年の中国でのスマホ出荷台数は5%減だった。18年の世界全体の出荷台数は2年連続で減少する見通しだ。インドなどにも展開する小米の個別企業としての出荷台数は18年1~3月期は前年同期比89%増だったが、市場全体の予想を考えれば今後の成熟化の影響は免れないとの懸念がくすぶる。

低価格戦略も不安材料だ。小米は「スマホや家電の純利益率は5%以下に抑え、上回った場合は消費者に還元する」と明言する。低価格で市場シェアを確保し、コンテンツ配信などネットサービスから利益を得る戦略ながら、会社の売り上げの7割はスマホ事業が占め、ネットサービスの売上構成比は1割に満たない。

仮条件の設定時から予想PER(株価収益率)が米アップルなどと比べて割高との指摘が目立っていた。雷軍・最高経営責任者(CEO)は6月の記者会見で「小米はハードウエア(機器)とネットサービス、電子商取引を組み合わせた新しい企業だ」と訴えたが、投資家の理解は得られていないようだ。

小米は今回、中国本土への重複上場は延期しており、その背景には上場時の企業価値を巡り中国当局と折り合いがつかなかったとの見方がある。複数の報道によると、中国当局は自社を製造業ではなくネットサービス企業と位置付けて高い企業価値での上場を目指す小米の姿勢を疑問視したという。

香港では今後、通信基地局の中国鉄塔や出前などの予約サービスの美団点評など大型上場が相次ぐ見通しだ。資金調達額は中国鉄塔が最大100億米ドル、美団点評は最大60億ドルとされ、小米の上場が成功するかどうかは他社の上場に影響を及ぼしかねない。小米は普通株より議決権の多い種類株を発行する企業として香港上場第1号でもある。低調な出足となれば香港市場のIPO全体にも暗い影を落としそうだ。

【日経QUICKニュース(NQN)香港=柘植康文】

 

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