米政府がイラン産の原油輸入を停止するよう世界各国に要請したと伝わり、需給の引き締まり観測から原油先物が急騰した。26日のWTI期近8月物の終値は前日比3.59%高の1バレル70.53ドルと反発し、1ヵ月ぶりに70ドル台に乗せた。イランから日本への原油輸入はどんな状況で、仮に停止した場合どんな影響がありそうなのだろうか。経済産業省の石油統計速報(2018年4月分)を調べた。
4月の日本の原油輸入量は1536万klで、輸入量の多い順に、1)サウジアラビア(619万kl)、2)アラブ首長国連邦(428万kl)、3)クウェート(139万kl)、4)カタール(92万kl)、5)ロシア(80万kl)と並んでいる。4月の中東諸国への輸入依存度は89.4%で、イランの構成比は日本の総輸入量の1.0%。中東諸国内での構成比でも1.1%に相当する。イランとの取引での直接的なインパクトという視点では極めて限定的と判断できるかもしれない。
イランとの石油取引といえば、小説や映画「海賊と呼ばれた男」で脚光を浴びた出光興産の創業者・出光佐三が、メジャー(国際石油資本)に対抗してタンカー日章丸でイランから石油を輸入し、中東からの直接輸入の道を切り拓いたことが想起されるなど、歴史は古い。イランとの過去の経緯を踏まえつつ、日米の同盟関係を勘案すれば、構成比は小さいとはいえ、イランからの原油輸入をゼロにせよとの求めは日本に厳しい判断を迫るものだろう。(山口正仁)
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