香港市場、投資家のリスク回避進む 資金はディフェンシブ銘柄や金ETFに

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。※本記事は2016年2月29日にQUICK端末で配信した記事です。

2016年は大幅な下落からの出発

2016年に入り、世界の株式相場で下げ基調が続いている。香港株式市場の主要指数であるハンセン指数は2月12日に1万8279と、昨年末の終値(2万1914)比で16.6%安となる安値を付けた。足元では1万9300台を回復しているものの、年初からの下げ幅は12%近くに達している。一方、上海株式市場では上海総合指数が1月27日に2638の安値を付けて昨年末の終値(3539)比で25.5%下落した。

全体相場の下落に強みを見せる銘柄も

投資家たちのリスク許容度の低下に伴い、公益事業を手掛ける銘柄や不動産投資信託(REIT)、金価格に連動した上場投資信託(ETF)といったリスク回避の資産に資金が向かっている。公益事業銘柄では、長江基建集団(コード@1038/HK)、電能実業(パワー・アセッツ、コード@6/HK)、中電(コード@2/HK)がいずれも相場全体を上回るパフォーマンスで、年初からの上昇幅がそれぞれ10.0%、5.1%、4.0%に達している。

csi インフラ指数

 中でも、長江基建集団は英国や豪州、中国、カナダ、ニュージーランド、オランダで業務を展開。英国では電力事業(UK Power Networks 社とSea bank Power社)、水道事業(Northumbrian Water社)、ガス事業(Northern Gas Networks社とWales & West Utilities社)、鉄道事業(UK Rails社)、豪州ではガス事業(Australian Gas Networks社)や電力事業(SA Power Networks社とVictoria Power Networks社)など、中国では有料道路事業と建設資材事業、カナダでは電力事業(Canadian Power社)と駐車場運営事業(Park’N Fly社)、ニュージーランドでは電力事業(Wellington Electricity Lines 社)と廃棄物発電事業(Envirowaste Services 社)、オランダでは主に廃棄物発電事業(Dutch Enviro Energy 社)を手掛けている。長江基建集団が提示した電能実業との合併案は失敗に終わったが、同社の事業の安定性やディフェンシブ性から、株価パフォーマンスが良好だ。

REITや金ETFに資金流入

置富産業信託(コード@778/HK)も長江基建集団と同じく香港の大富豪である李嘉誠の傘下のREITだ。昨年末比ではプラスを維持しており、相場全体を上回るパフォーマンスとなっている。置富産業信託は香港域内の各地に小売関連物件を保有。保有資産には17カ所のマンションに付随するショッピングモールや商業物件があり、約318万平方フィートの小売店舗面積と2713台数分の駐車場を有している。保有物件の貸出面積のうち約60%がスーパーや飲食店、サービス業、教育関連など日常の必需品・サービスを取り扱う店舗に貸し出されているため、マクロ経済の周期的な変動に対して強いディフェンシブ性があるとされる。置富産業信託の2015年12月期の営業収益は前の期比13.7%増の18億8200万香港ドル、分配可能額が同13.3%増の8億8400万香港ドルだった。1口当たり分配金は0.4688香港ドルで、2月24日の終値7.96香港ドルに基づく利回りが5.9%だった。
 リスク回避で金に資金が流れ込んでいることを受けて、香港証券市場で取引されているSPDR金ETF(コード@2840/HK)と価値黄金ETF(コード@3081/HK)が年初からそれぞれ16.6%、17.0%上昇した。SPDR金ETFは04年11月に組成され、ニューヨーク証券取引所やシンガポール証券取引所、メキシコ証券取引所へも上場している。一方、価値黄金ETFは10年10月に組成された、実物の金を取引所で売買するタイプの投資信託である。保有する金が香港空港管理局傘下の香港国際空港の貴金属倉庫に保管されており、他の地域の政治リスクの影響を受けにくい。価値黄金ETFは13年11月から2種類の通貨(香港ドルと人民元)で取引されており(人民元建てのコード:@83081/HK)、実物の金と交換できる。

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