QUICKは上場企業の2期先までの業績予想を示すツール「QUICK Forecast 企業業績」を提供している。このツールでゲーム業界をみてみると、財務データやマクロ指標などをもとに打ち出された今期の利益の予想値は、企業側が示す見通しから上振れしている。
たとえば、バンダイナムコホールディングス(7832)。会社側は今期(2019年3月期)の連結営業利益の予想を前期比20.0%減の600億円と計画している。5月9日の決算説明会によると、この数字は「必達目標とし、少しでも上を目指していきたい」というもの。一方、QUICK Forecastでは営業利益は713億円と、5.0%減にとどまる見通しだ。会社側は新中期計画の初年度となる19年3月期は重点戦略として、新規IP(知的財産)創出・育成の強化、中国市場での事業の本格的展開に向けた基盤整備を行う、としている。
来期(2020年3月期)の予想について、QUICK Forecastは営業利益が796億円になると計算する。アナリスト予想のQUICKコンセンサス(5月30日更新)の820億円よりも控えめだが、今期予想と比べると増益となる。ちなみに、会社側は新中期計画で、最終年度の21年3月期に営業利益で750億円、自己資本利益率(ROE)は10%以上を目指すという。
スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)の場合はどうか。会社側は19年3月期の連結営業利益を300億円と、前期に比べ21.4%減るとみている。複数のゲームの新規大型タイトルの発売が予定されており、増収を見込んでいるが、償却負担が増えるため減益になるそうだ。これに対し、QUICK Forecastの営業利益予想は2.2%増の390億円となっている。
20年3月期の連結営業利益は、QUICK Forecastの予想では469億円。QUICKコンセンサス(5月30日更新)の営業利益(520億円)に届かないが、今期の予想に比べると増える。会社側は17年3月期決算説明会で発表した中期目標「20年3月期以降に営業利益400~500億円を安定的に達成できる事業構造の確立」について、変更なしとしている。
※QUICK Forecastは全上場企業約3700社のうち、必要なデータがそろわない一部の銘柄を除き、ほぼすべての銘柄をカバーしている。決算や業績予想の修正などに対応し、タイムリーに予想値を算出することができる。現在はβ版として提供しており、サービス内容は適宜、改善・更新される。QUICKの情報端末の「ナレッジ特設サイト」ではこのほかさまざまな決算情報のコンテンツツールを提供している。